JPH09275994A - トレハロースの製造法 - Google Patents

トレハロースの製造法

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JPH09275994A
JPH09275994A JP9434996A JP9434996A JPH09275994A JP H09275994 A JPH09275994 A JP H09275994A JP 9434996 A JP9434996 A JP 9434996A JP 9434996 A JP9434996 A JP 9434996A JP H09275994 A JPH09275994 A JP H09275994A
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maltose
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cells
flavobacterium
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JP9434996A
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Satoo Kubota
悟夫 窪田
Tadashi Wada
正 和田
Masahisa Oguchi
真央 大口
Takafumi Sano
孝文 佐野
Kazuo Oishi
一男 大石
Masaaki Yamagishi
政昭 山岸
Toshiya Ota
俊也 太田
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Shizuoka Prefecture
Fuji Seito Co Ltd
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Shizuoka Prefecture
Fuji Seito Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 フラボバクテリウム属に属し、マルトー
スをトレハロースに転換し得る能力を有する微生物の菌
体又は菌体処理物を、マルトースに作用させることを特
徴とするトレハロースの製造法。 【効果】 トレハロースを容易にかつ効率的に製造する
ことができ、またバイオリアクターを利用することによ
りトレハロースを安価に大量生産することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレハロース〔O
−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−α−D−グ
ルコピラノシド〕の製造法に関し、特に微生物の菌体又
は菌体処理物を用いてマルトースからトレハロースを製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トレハロースは、グルコース2分子がα
(1,1)結合した非還元性の二糖類で、天然界では昆
虫、酵母、カビ、細菌、担子菌、紅藻、地衣類、植物マ
ンナン、ワムシ、無脊椎動物、顕花植物等に広く分布し
ている。このトレハロースは、水分子が重なった構造と
類似しているため、生物体内では生命に不可欠な水の代
役となり、細胞やタンパク質、核酸等を乾燥や凍結から
守る生体保護機能及び天然保存剤としての機能を有して
いる。従って、トレハロースは、医薬品、診断薬、ホル
モン、受精卵、精子、生理活性物質、酵素、微生物等の
有用物質や食品保存剤として用いることができ、また化
粧品に加えることにより保水剤として用いることもでき
る。
【0003】また、トレハロースはストレプトコッカス
ミュータンス(Streptococcus muta
ns)等の虫歯菌による不溶性グルカンや酸を生成せ
ず、ショ糖による不溶性グルカンの生成を抑える等の抗
うしょく性を有している。そのうえ、砂糖に比べて甘味
が低く、人体に吸収され難いため、トレハロースは低カ
ロリー甘味料として有効に用いることができる。さら
に、トレハロースは、血清や肝臓中のコレステロールの
蓄積を抑える作用を有するとともに、腸内におけるビフ
ィズス菌の増殖因子としての生理活性機能も有している
ため、それらの作用、機能を利用した医薬品や健康食品
が期待されている。
【0004】従来、トレハロースの製造法としては、パ
ン酵母の菌体から抽出する方法、ノカルディア(Noc
ardia)属等に属する微生物を用いた発酵による方
法、ブレビバクテリウム(Brevibacteriu
m)属等に属する微生物による培養法(特開平5−21
1882号公報)、ミクロコッカス(Micrococ
cus)属又はダイノコッカス(Deinococcu
s)属に属する微生物による培養法(特開平6−319
578号公報)、ラクトバチルスブレビス(Lacto
bacillus brevis)由来のマルトースフ
ォスフォリラーゼ及びユーグレナグラチリス(Eugl
ena gracilis)由来のトレハロースフォス
フォリラーゼによりマルトースから生成する方法(特開
昭63−60998号公報)、α−グルコース−1−リ
ン酸及びグルコースにトレハロースフォスフォリラーゼ
を作用させてトレハロースを生成する酵素法(特開平6
−189779号公報)などが知られている。
【0005】しかしながら、上記培養法においては、培
養液中のトレハロースの蓄積量は2%以下と少なく、ま
た上記酵素法においては、酵素の大量供給が困難であ
る、長期安定性に欠ける、酵素活性が低いなどの点で問
題があり、酵素をバイオリアクターとして用いてトレハ
ロースを連続的に大量生産するには適していなかった。
マルトースフォスフォリラーゼ及びトレハロースフォス
フォリラーゼを用いる特開昭63−60998号公報記
載の発明では、それらをバイオリアクターとして用いて
マルトースからトレハロースを製造しているが、各酵素
について異なる複数の微生物を用いており、非常に煩雑
であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、トレ
ハロースを容易にかつ効率的に製造する方法、さらには
バイオリアクターを利用することによりトレハロースを
安価に大量生産できる方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、マルトースをトレハロースまで
転換できる酵素を菌体内に有するフラボバクテリウム属
に属する微生物の菌体又は菌体処理物を使用することに
より、トレハロースを容易にかつ効率的に製造できるこ
と、及びその微生物の菌体又は菌体処理物をバイオリア
クターとして用いることにより、トレハロースを安価に
大量生産できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、フラボバクテリウム属に
属し、マルトースをトレハロースに転換し得る能力を有
する微生物の菌体又は菌体処理物を、マルトースに作用
させてトレハロースを製造することを特徴とするトレハ
ロースの製造法である。また、本発明は、前記微生物が
フラボバクテリウムsp.F−2(Flavobact
erium sp.F−2)であることを特徴とする、
トレハロースの製造法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる微生物は、フラボバクテリウム属に属し、マルト
ースをトレハロースに転換し得る能力を有する微生物で
あればいずれの菌株であってもよい。そのような菌株と
しては、公知の菌でもよいし、新たに土壌、海水等から
分離した菌であってもよく、さらにはそれらの菌株に変
異処理等を施すことによりトレハロース合成能を向上さ
せた変異株であってもよい。好ましい菌株の具体例とし
ては、フラボバクテリウム sp.F−2(Flavo
bacteriumsp.F−2)が挙げられる。フラ
ボバクテリウム sp.F−2(Flavobacte
rium sp.F−2)は、本発明者らが新たに土壌
より分離したトレハロース合成能を有する菌株である。
【0010】フラボバクテリウム sp.F−2(Fl
avobacterium sp.F−2のスクリーニ
ング法の一例を以下に示す。菌株を含む土壌サンプルを
滅菌水に懸濁して適宜希釈し、それを好ましくはグルコ
ース寒天平板培地(グルコース1.0%、ペプトン0.
5%、酵母エキス0.3%及び寒天1.5%)に塗抹す
る。この培地を30℃程度で約20時間保温し、生じた
コロニーの内生育のよい菌を寒天平板培地に釣菌し、単
離する。
【0011】次に、生育した菌を、例えば液体培地(グ
ルコース1%、ニュウトリエントブロス(DIFCO
社)4%)で20時間程度振とう培養を行い、培養液を
遠心分離して菌体を回収する。この菌体に約1/20容
量のトルエンを添加し、15秒間程度激しく振とうす
る。この処理菌体にマルトースを加え、37℃程度で約
20時間反応させた後遠心分離する。次いで、高速液体
クロマトグラフィーによって標準のトレハロースとリテ
ンションタイムが一致するピークが確認できる菌株を選
抜すればよい。このようにして得られる菌株F−2の菌
学的性質は下記に示すとおりである。
【0012】(1)形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.7×1.4μm 運動性 なし 鞭毛の着生状態 複数の極鞭毛 グラム染色 陰性 (2)生育状態 肉汁寒天平板培養 円形、全縁、半レンズ状に生育し、不透明で、 表面は平滑であり、色調は黄色。 肉汁寒天斜面培地 やや隆起し、表面は平滑であり、不透明で、色 調は黄色。 肉汁液体培養 良好に生育、培養液は均一に濁る。 肉汁ゼラチン穿刺培養 ゼラチンを液化しない。
【0013】(3)生理的性質 硝酸塩還元 陰性 脱窒反応 陰性 MRテスト 陽性 VPテスト 陰性 インドールの生成 陰性 硫化水素の生成 陰性 デンプンの加水分解 陰性 クエン酸利用 陽性 無機窒素源 陽性 色素の生成 陽性(黄色) ウレアーゼ 陰性 オキシターゼ 陽性 カタラーゼ 陽性 生育の温度範囲 4℃〜34℃ 生育のpH範囲 pH6からpH10 酸素に対する態度 好気性 O−Fテスト O
【0014】 (4)糖類からの酸及びガスの生成の有無 酸の生成 ガスの生成 L−アラビノース 陰性 陰性 D−キシロース 陰性 陰性 D−グルコース 陰性 陰性 D−マンノース 陰性 陰性 D−フラクトース 陰性 陰性 D−ガラクトース 陰性 陰性 麦芽糖 陰性 陰性 ショ糖 陰性 陰性 乳糖 陰性 陰性 トレハロース 陰性 陰性 D−ソルビット 陰性 陰性 D−マンニット 陰性 陰性 グリセリン 陰性 陰性 デンプン 陰性 陰性
【0015】(5)その他の諸性質 蛍光色素の生成 陰性 エスクリンの分解 陽性 アルギニンの分解 陰性 PHBの蓄積 陰性 ONPGテスト 陰性 Tween80分解性 陰性 レシチナーゼ活性 陰性 GC含量 59.8mol% イソプレノイドキノン Q−9
【0016】以上の菌学的性質を有する菌株F−2を、
バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バ
クテリオロジー(Bergey’s Manual o
fSystematic Bacteriology)
第1巻 1984年に従って検討した結果、この菌株はフラ
ボバクテリウム(Flavobacterium)属に
属する菌株であると同定され、フラボバクテリウム
(Flavobacterium)sp.F−2とし
た。このフラボバクテリウム (Flavobacte
rium)sp.F−2は、平成7年12月4日付で、
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、FE
RM P−15325として寄託されている。
【0017】上記微生物の培養に用いる培地としては、
通常使用されるものであればよく、炭素源としては、グ
ルコース、フラクトース、マルトース、澱粉、粗糖、廃
糖蜜等を単独で又は混合して用いることができる。窒素
源としては、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン
スティープリカー、尿素等の有機窒素源のほか、硫酸、
硝酸、燐酸等のアンモニウム塩などの無機窒素源を単独
で又は混合して用いることができる。無機塩類として
は、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、マンガン、鉄等の硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、硝酸
塩、燐酸塩等をそれぞれ単独で又は組み合わせて用いる
ことができる。
【0018】培養は、振とう培養又はジャーファーメン
ターを用いて通気条件下で行うことができる。培地のp
Hは6〜8の範囲内が好ましく、培養温度は25〜33
℃の範囲内が好ましく、培養時間は1〜3日間が好まし
い。培養終了後の培養液からの菌体の回収は、遠心分離
又は限外濾過等の濾過分離によって行えばよい。
【0019】培養によって得られた上記菌体は、生菌の
ままで用いるか、凍結乾燥するか又はトルエン、アセト
ン等で処理して用いるかさらには公知の固定化法、例え
ば包括法、担体結合法、架橋法等で固定化し、固定化菌
体として用いてもよい。包括法としては、カラギーナン
やアルギン酸等の天然高分子又はモノマーやプレポリマ
ーによる合成高分子を用いる方法が挙げられる。担体結
合法としてはキトサン等に吸着させる方法がある。架橋
法としては、グルタルアルデヒド等を用いることができ
る。
【0020】また、菌体を公知の菌体破砕法、例えば超
音波破砕法、フレンチプレス破砕法、ガラスビーズ破砕
法、ダイノミル破砕法等により破砕して酵素を抽出し、
その抽出液を粗酵素液として、菌体と同様に固定化して
固定化酵素として用いることができる。粗酵素液は、硫
安沈殿による塩析法、限外濾過膜による濃縮法、イオン
交換クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフ
ィー又はゲル濾過クロマトグラフィーによる分離等の組
み合わせにより精製して精製酵素として用いることもで
きる。
【0021】本発明において、菌体処理物とは、上記の
ような菌体の破砕物、磨砕物、固定化菌体、又はそれら
から単離した粗製もしくは精製酵素、それら酵素を固定
化した固定化酵素等をいうものとする。本発明では、上
記菌体又は菌体処理物をマルトースに作用させることに
よってトレハロースを製造する。本発明において重要な
ことは、培養液中あるいは菌体内よりトレハロースを抽
出精製する方法とは異なり、基質であるマルトースに菌
体又は菌体処理物を直接に作用させてトレハロースまで
転換させることである。反応液中の成分は糖がほとんど
であり、他の有機物等を含まないため、従来技術と比較
して反応液からのトレハロースの分離精製が非常に容易
である。
【0022】または、その酵素活性は高いため、効率的
にトレハロースを製造することができ従来の酵素法のよ
うにマルトースフォスフォリラーゼについてある種類の
微生物、トレハロースフォスフォリラーゼについて別の
種類の微生物を用いなくてはならないという煩雑さがな
いため、簡単にトレハロースを製造することができる。
【0023】この反応における基質としてのマルトース
の濃度は、10mM〜2Mが好ましい。また、反応温度
は30〜60℃、pHは5〜9が好ましく、1〜200
時間反応させるのが好ましい。pHを一定に維持するた
めには、リン酸緩衝液を使用するのが好ましい。固定化
菌体又は固定化酵素として使用する場合、連続法によっ
て行うこともでき、例えばそれらをカラムに詰めて、バ
イオリアクターとして、回分式と同様の反応条件で一カ
月から一年間連続通液を行うことにより、トレハロース
を安価に連続的に大量生産することができる。
【0024】反応終了後、遠心分離又は限外濾過等の濾
過分離により晶析するか、あるいは反応液から菌体又は
菌体処理物を除去する。得られた上清又は濾液より、活
性炭やイオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いてトレ
ハロース画分を集める。イオン交換樹脂クロマトグラフ
ィーは、Na型又はCa型の陽イオン交換樹脂を用いて
擬似移動床法によって行うのが好ましい。次いで、得ら
れた画分を濃縮して、煎糖晶析法、冷却晶析法、エタノ
ールによる晶析法等によりトレハロースを晶出させる。
また、必要により再結晶を行って精製することができ
る。本発明では、菌体又は粗製もしくは精製酵素を担体
に固定化することにより、その固定化菌体又は固定化酵
素を繰り返し使用でき、その結果、連続的に大量にトレ
ハロースをマルトースから製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0026】〔実施例1〕 菌株の分離 静岡県の土壌より採取した土壌サンプル約1gを10m
lの滅菌水に懸濁して適宜希釈し、その0.1mlをグ
ルコース寒天平板培地(グルコース1.0%、ペプトン
0.5%、酵母エキス0.3%及び寒天1.5%)に塗
抹した。この平板培地を30℃の孵卵器で24時間保温
し、生じたコロニーの内生育のよい菌を寒天平板培地に
釣菌し、単離した。次に、生育した菌の1白金耳を、1
0mlの液体培地(グルコース1%、ニュウトリエント
ブロス(DIFCO社)4%)を入れた50ml容大型
試験管に接種し、30℃で20時間振とう培養を行い、
培養液を遠心分離して菌体を回収した。この菌体に1/
20容量のトルエンを添加し、15秒間激しく振とうし
た。
【0027】この処理菌体に50mMのマルトース1m
lを加え、37℃で20時間反応させた後遠心分離し
て、その上澄みを高速液体クロマトグラフィー(カラ
ム;YMC−03(山村化学社製)、溶離液;アセトニ
トリル:水=80:20、流速1ml/min、温度;
40℃、検出器;示差屈折計)にて分析した。分析の結
果、標準(和光純薬社製トレハロース)とリテンション
タイムが一致するピークが確認された菌株を選抜した。
本発明者らは、この菌株をフラボバクテリウム sp.
F−2と称することとした。
【0028】凍結乾燥菌体によるトレハロースの製造 フラボバクテリウム sp.F−2を、液体培地(グル
コース1%、ニュウトリエントブロス(DIFCO社)
4%)3リットルを含む5リットル容ジャファーメンタ
ーで30℃、20時間培養した。培養後、遠心分離によ
り菌体を回収し、さらに菌体を蒸留水に懸濁し、遠心分
離により菌体を回収する作業を2回繰り返し、菌体を洗
浄した。集めた菌体を凍結乾燥し、粉末菌体とした。
【0029】基質となる反応液としては、100mMの
マルトース(0.1MKH2 PO4−K2 HPO4
H7.0)を用いた。この反応液に粉末菌体を加え、3
7℃で24時間反応させた後、遠心分離し、得られた上
澄み液から高速液体クロマトグラフィー(分取用カラ
ム;アサヒパックNH2P50(旭化成社製)、溶離
液;アセトニトリル:水:リン酸=80:17:3、カ
ラム温度40℃、流速:1ml/min)を用いてトレ
ハロース画分を分取した。
【0030】このトレハロース画分について核磁気共鳴
装置及び質量分析計により分析した結果、標準(和光純
薬社製トレハロース)のスペクトルと一致した。さらに
微生物(菌体外トレハラーゼ生産菌Chaetomiu
m aureum)より分離精製したトレハラーゼと反
応させたところ、グルコースの生成が確認できた。この
結果より、本微生物によりマルトースから生成した物質
は、トレハロース(O−α−D−glucopyran
osyl−(1→1)−α−D−glucopyran
oside)であることが判明した。また、実施例1に
おける反応液中のトレハロース量を測定したところ、6
0mMトレハロースまで反応が進んでいた。これより、
マルトースからトレハロースへの転換率は60%である
と計算された。
【0031】〔実施例2〕 固定化菌体によるトレハロ
ースの製造 実施例1で調製したフラボバクテリウム sp.F−2
の凍結菌体2gを、0.9%NaCl溶液で溶解して8
mlとし、45℃で加温した。これに、予め45℃に加
温したカラギーナン溶液(カラギーナン2gを45ml
の0.3M KClで溶解したもの)を加えてよく混合
し、その後水浴中で冷却した。冷却後、500mlの
0.3M KClを加え4℃にて一夜放置した。ゲル化
した固定化菌体を3mm角に切断し、500mlの0.
3M KCl及び1000mlの0.1Mリン酸バッフ
ァーpH7.0で洗浄し、39gの固定化菌体を得た。
【0032】得られた固定化菌体8gに、6.25ml
の1Mマルトース溶液(0.1Mリン酸バッファーpH
7.0含有)を加えて45℃で振とう反応をおこなっ
た。反応終了後、上澄み液を高速液体クロマトグラフィ
ーで定量した結果、7日間で転換率約50%、200m
Mのトレハロースが生成されたことが分かった。
【0033】〔実施例3〕 トレハロース合成粗酵素に
よるトレハロースの製造 培養したフラボバクテリウムsp.F−2の菌体を蒸留
水で十分に洗浄後、菌体5gに、30mlの0.05M
リン酸バッファーpH7.0を加え、氷中にて超音波破
砕機で細胞を破砕した。破砕処理液から遠心分離によっ
て沈殿を除去し、上澄み液の粗酵素28mlを得た。こ
の粗酵素液に13.5gの硫酸アンモニウムを徐々に加
え、4℃にて一夜放置した。硫酸アンモニウムで沈殿し
た粗酵素液を遠心分離にて回収し、その後0.1Mリン
酸バッファーで再溶解し、同バッファーで透析を行い、
粗酵素12.0ml(2.5単位)を得た。
【0034】キトパールBCW2603(富士紡績製)
50mlを4リットルの蒸留水で洗浄後、135mlの
0.1Mリン酸バッファーpH7.0、2.25mlの
蒸留水及び20mlの14%グルタルアルデヒド溶液を
加えて混合し、2時間振とう反応を行った。反応終了後
6リットルの蒸留水で洗浄し、活性化キトパールを得
た。活性化したキトパール10mlに粗酵素10mlを
加え、4℃にて一夜振とうさせ、固定化させた。固定化
終了後、0.1Mリン酸バッファーpH7.0でよく洗
浄し、固定化酵素を得た。
【0035】得られた固定化酵素10mlに7.5gの
マルトース及び0.5Mリン酸バッファーpH7.0を
加え、蒸留水で20mlとし、37℃で振とう反応を行
った。反応終了後、上澄み液を高速液体クロマトグラフ
ィーで定量した結果、4日間で転換率40%、3gのト
レハロースが生成されたことが分かった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、トレハロースを容易に
かつ効率的に製造することができ、またバイオリアクタ
ーを利用することによりトレハロースを安価に大量生産
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大口 真央 静岡県静岡市登呂4丁目25番8号 (72)発明者 佐野 孝文 静岡県庵原郡富士川町南松野1759−4 (72)発明者 大石 一男 静岡県沼津市三園町7−1 職住303 (72)発明者 山岸 政昭 静岡県焼津市小川256−2 (72)発明者 太田 俊也 静岡県駿東郡清水町柿田178−3 職住301

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラボバクテリウム属に属しマルトース
    をトレハロースに転換し得る能力を有する微生物の菌体
    又は菌体処理物を、マルトースに作用させてトレハロー
    スを製造することを特徴とするトレハロースの製造法。
  2. 【請求項2】 前記微生物が、フラボバクテリウムs
    p.F−2(Flavobacterium sp.F
    −2)であることを特徴とする、請求項1記載のトレハ
    ロースの製造法。
JP9434996A 1996-04-16 1996-04-16 トレハロースの製造法 Pending JPH09275994A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0868916A2 (en) * 1997-03-04 1998-10-07 Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo Reduction inhibitory agent for active-oxygen eliminating activity

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