JPH0927430A - フェライト磁石の製造方法 - Google Patents

フェライト磁石の製造方法

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JPH0927430A
JPH0927430A JP7175954A JP17595495A JPH0927430A JP H0927430 A JPH0927430 A JP H0927430A JP 7175954 A JP7175954 A JP 7175954A JP 17595495 A JP17595495 A JP 17595495A JP H0927430 A JPH0927430 A JP H0927430A
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JP7175954A
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Inventor
Mikio Yamamoto
幹夫 山本
Atsushi Hara
原  敦
Yasunobu Ogata
安伸 緒方
Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
Yutaka Kubota
裕 久保田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性、特に角型性が良好で、脱水性を改
善するフェライト磁石の製造方法を提供する。 【構成】 仮焼した原料混合物を微粉砕した後、800
〜1000℃で2次仮焼を行い、その後、再び微粉砕し
てスラリーとした後、濃縮、混練、分散を行って濃度6
5〜75重量%に調整して成形、焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高磁気特性のフェライト
磁石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト磁石は、モータ、発電機等の
回転機器を含む種々の用途に使用されている。このフェ
ライト磁石の製造方法の一つとして、粒径1μm程度の
フェライト粉末を含むスラリーを磁場中で湿式成形し、
得られた成形体を焼結する、いわゆる湿式法が知られて
いる(例えば特公昭55−6041号、同59−804
7号参照)。最近はフェライト磁石に対する要求特性も
厳しくなっており、例えば残留磁束密度(Br)が40
00G以上で、且つ保磁力(iHc)が4000Oe以
上といった磁気特性が要求される場合もある。この様な
高い磁気特性のフェライト磁石を得るためにフェライト
の主成分以外にCaCO3,SiO2,H3BO3,Al2
3 ,Cr23等を添加することが行われている(例え
ば特開平2−98106号参照)。またフェライト磁石
の磁気特性を高めるために、上記以外にも粒度、モル比
等の材料面での検討やスラリー温度や焼結温度等の製造
条件の検討が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、残留磁
束密度と保磁力を共に向上させることは困難を伴う。す
なわち、残留磁束密度を高める為には、配向度を高めて
しかも焼結密度を高めることが有効であるが、その為に
は、焼結温度を高くしてある程度結晶組織を大きくして
やることが望ましい。一方保磁力の点からは結晶組織を
微細化してやることが望ましい。即ち、高い磁気特性の
磁石を得るためには焼結体において(1)結晶粒径を単
磁区粒径以下に近付けること、(2)結晶粒の配向度が
高い(C軸が異方性方向にそろっている)こと、(3)
高密度であること、である。(1)〜(3)を達成する
には、磁場中成形時に配向度を上げ、更に適正な温度で
焼結することが必要であるが、微粉砕工程に於いて、原
料粒子を微粒子化することが要求される。このようなス
ラリー中の微細粒子は物理的あるいは磁気的に互いに凝
集しやすく、十分な配向度が達成されにくいといえる。
またスラリー状の微細粒子は次工程の脱水成形工程の脱
水性が悪化し、成形工程の生産性が著しく低下する問題
がある。そこで、生産性に優れた高性能フェライト磁石
を製造する方法として微粒子原料をフィルターやその他
の方法で濃縮させた後、ポリカルボン酸アンモニウム等
の分散剤を添加して、ニーダで混練し、高濃度のスラリ
ーを作成しこれを脱水成形して製造する方法がある。こ
れにより、脱水水量を減らし成形サイクルの短縮が図れ
る。またスラリー原料、金型を加温することで水の粘性
を低下させ脱水性を改善する方法が提案されている。し
かしこれ等の方法は原料の高濃度化による脱水ストロー
クの短縮や水の粘度の温度依存性で生産性向上に効果は
あったものの、本質的な磁粉の特性を変化させ脱水性の
向上を満足させるものではなかった。これに対し、磁粉
に熱処理を加え、磁力や脱水性を改善することが提案さ
れている(特開平6−20819、特開平6−2909
23)。しかし、これ等の方法は、脱水性に関して改善
は認められるものの、磁気特性が、容易に期待どおりに
改善されなかったり、フェライト磁石の実際の使用時に
問題となるB−Hカーブの角型性が著しく悪化するよう
な問題点があった。従って、本発明の目的は磁力を高性
能化すると共に脱水性を改善するフェライト磁石の製造
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、本発明はMO・nFe23(M:Ba,Sr,Pb
の内の1種以上、n=5〜6)の基本組成を有する仮焼
(1次仮焼)したフェライト粉末を微粉砕した後、更に
仮焼(2次仮焼)、微粉砕し、脱水又はその他の方法で
濃縮、混練して水分調節をして高濃度スラリーとして成
形、焼結するという技術的手段を採用した。従来の一般
的なフェライト磁石の製造方法は、混合、仮焼反応等に
よって得られたフェライト生成物を粗粉砕、微粉砕する
ことによりフェライト粉末を得ていた。この得られた粉
末の粒度分布巾は広く、目標粒度より極端に小さい微粉
末や粉砕されてない粗粉末が混在しており、この残存す
る粗粉を微細化する為に粉砕時間を長くする等の手段を
用いていた。その結果、過粉砕の傾向となり微粉末の割
合が多くなり、成形時の脱水性の悪化、成形歩留の低
下、焼成時の異常粒成長に起因する磁気特性の低下等の
現象がみられた。脱水性を改善し、成形歩留を向上さ
せ、高い磁気特性を有するフェライト磁石を得る為に
は、組成及び物性が適当に制御されたフェライト粉末を
準備することに加えて、粒度分布をシャープに均一化
し、フェライト粉末がスラリー中で凝集しないことが重
要である。そこで本発明者は、混合、1次仮焼、微粉砕
した粉を再び仮焼することにより極端に小さい微粉末
が、近接する大きい粒子に取込まれ、その結果粒度分布
巾をシャープにし均一化できることを利用した。次にフ
ェライト粉末がスラリー中で独立して存在し得る状態即
ち、凝集させない方法を検討した結果、フェライト粉末
を含むスラリーを微粉砕後、濃縮して高濃度のスラリー
状態にして、混練することにより、剪断力が加えられ、
凝集が解かれて、配向性が向上し、磁気特性が向上する
ことを見出した。また混練時に分散剤を添加することに
より分散剤の吸着による表面改質で良好な分散状態とな
り、更に磁力が向上することを見出した。本発明のフェ
ライト磁石の製造方法の一例を図1に示す。1次仮焼
後、アトライター、ボールミル等の微粉砕機で平均粒径
0.5〜1.2μmに微粉砕する。次にこの微粉砕粉を
内燃式又は外燃式ロータリーキルンやこう鉢を用いた連
続熱処理炉で800℃〜1000℃の2次仮焼を行う。
ここで、処理温度800℃未満では微粉末の成長が行わ
れず、1000℃を越えると粒子が焼結して強く固着す
る為、磁気特性が低下するか、さらに強い微粉砕が必要
となり、熱処理の効果が消滅する。2次仮焼後、解砕
し、アトライター、ボールミル等の微粉砕機で平均粒径
0.5μm〜1.2μmに微粉砕する。この微粉砕時に
Cr23を0.05〜5.0重量%添加する。Cr23
のクロームは通常3価で安定に存在するが、熱処理によ
る酸化作用で6価に変化した際、湿式微粉砕時に水に溶
出する現象が見られた。この傾向は800℃以下の比較
的低温処理時に顕著である。これに対し、わずかの6価
クロームの流出をも防止する為、2次仮焼後添加するこ
とが有効であり、Cr23の添加時期を2次仮焼の後に
することで添加量を安定化させることが出来る。添加割
合は0.05重量%未満では効果がなく、5重量%を越
えると残量磁束密度(Br)が低下する為0.05〜
5.0重量%が望ましい。微粉砕後、フィルタープレ
ス、遠心脱水機又は乾燥等により、脱水脱液して濃度8
0重量%以上に濃縮する。次に濃縮したスラリーを双腕
型バッチ式ニーダ又は連続混練機等を用いて、混練し機
械的な剪断力を加える。効果的な剪断力を加えるにはス
ラリー濃度は80重量%以上が望ましい。混練時には、
ポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリル酸アンモニ
ウム、糖類から選ばれる少なくとも1種以上の分散剤を
0.2〜3.0重量%添加して混練することが望まし
い。分散剤の添加割合は磁粉の粒径により異なるが0.
2〜3.0重量%が好ましい。0.2重量%未満では効
果がなく、3.0重量%を越えるとiHc(保磁力)は
向上するが、焼成時の脱バインダーの障害となったり、
Br(残留磁束密度)が低下する。混練分散後は、水を
調合してスラリー濃度65〜75重量%に濃度調整し
て、成形、焼成を行う。スラリー濃度が65重量%未満
では、成形能率が悪く75重量%を越えると磁気特性が
悪くなる。また成形に供する微粉末として2次仮焼を行
った微粉砕粉に1次仮焼を行った微粉砕粉を最大50重
量%配合し、スラリー原料とした後、濃縮して混練を行
い、濃度65〜75重量%に調整して成形、焼成するこ
とによっても同様の効果が得られる。
【0005】
【作用】本発明の製造方法によると、極端に微細な微粉
と比較的大きな大粒子の混在している粒度分布巾の広い
粉末を2次仮焼することにより、微粉末が大粒子に取込
まれて粒度分布が全体的に粒径の大きい方へ変化し、こ
の粉末を微粉砕すると粗粉末や熱処理による凝集粒子が
優先的に粉砕され、粒度分布の狭い、即ちシャープな粒
度分布の粉が得られる。次にこの粉を濃縮して、混練機
により混練作用を施すことにより、機械的な剪断力を加
え、磁気的、物理的に凝集した凝集塊を解き、混練時に
分散剤を添加することにより、磁粉粒子の表面改質がな
され分散性が増大する。混練して、剪断作用により効果
的に分散させた混練後のスラリー中の粉末は微細粒子と
なるため、次工程の磁場中成形時に配向性が向上し、磁
気特性とB−Hカーブの角型性が向上するのである。微
粉砕粉の粒度は微細なほど、磁気特性的に有利である
が、粉の性質上、微細化すればするほど凝集性が増大
し、相反する現象が発現されるのである。しかし本発明
のような製造方法を行使することにより、凝集を防ぐこ
とができると共に、極端な微粒子が消滅することで脱水
性が大巾に改善され、サイクル時間を短縮することが出
来る。
【0006】
【実施例】以下、実施例を述べるが本発明はこれに限定
されるものではない。 (実施例1)酸化鉄と炭酸ストロンチウムのモル比を
5.85とし、SiO2を添加物として0.2wt%加
え、1300℃の温度でロータリーキルンにより仮焼し
て得たストロンチウムフェライト磁粉(10μm)を原
料磁粉とする。これに添加物としてSiO20.3wt
%、CaCO30.8wt%、SrCO30.6wt%添
加した後、アトライターにより8.5時間の微粉砕を行
い、平均粒径0.54μmのフェライト磁粉スラリーを
得た。これを水分1.0wt%以下に乾燥した後、85
0℃、900℃、950℃の温度で2時間の熱処理を行
った。さらにこれら三種類の焼成磁粉にアトライターを
用いて2回目の微粉砕を平均粒径0.6μmを目標に行
った。この2回目の微粉砕に於いて、Cr230.8w
t%及び溶出するSr2+を補集する目的で0.3wt%
のNH4(H)CO3を添加した。このようにして得たス
ラリー原料を磁場中で脱水成形し、1195〜1210
℃の範囲で焼成し、表1に示す磁気特性をもつフェライ
ト磁石を得た。表1の中での脱水指数とはφ40の円柱
状テストピース金型を用い、一定濃度(50wt%)一
定量のスラリーを充填し、一定圧力(37kg/c
2)で脱水成形した際、脱水が進行し平衡状態となる
までの時間を求め、この時得られた成形体の厚みを15
mmとして求めた。
【0007】
【表1】
【0008】表1に示すように、磁粉に熱処理を加え、
2回目の微粉砕を行うことにより熱処理を行わないN
o.1に比較し、No.2〜4のように磁気特性を改善
し、さらに脱水性を大巾に改善していることが明らかで
ある。高性能フェライト磁石の製造に於いて、高性能化
を追求すれば微粒子化は必要不可欠な条件であるが、こ
の為脱水成形時間が長時間となり生産性を大きく低下さ
せ、しかも金型からの原料モレの問題から品質を低下さ
せる。しかし実施例1の処理により、生産性を低下させ
ることなく高性能化が図れることが可能となった。
【0009】(実施例2)実施例1の条件に於いて、磁
気特性の評価をヒステリシスカーブと残留磁束密度Br
及び保磁力iHcで行ったが、ヒステリシスカーブで評
価するとNo.1の処理粉に対して劣るという結果とな
った。表2にNo.1、2の磁気特性値を示す。
【0010】
【表2】
【0011】図2及び図3にNo.1とNo.2の試料
の磁気特性のヒステリシスカーブを示す。熱処理後のヒ
ステリシスカーブ(図2)では角型化が悪化しており、
bHc値も大きく低下している。この問題を解決する目
的で特願平6−156287で示したと同様の混練分散
処理を加えた。実施例1のNo.2試料(表1、2のN
o.2)をベース粉砕原料とし、実施例1の処理後、さ
らにフィルタープレスで脱水を行い、スラリー固形分濃
度82wt%とした。この脱水原料の固形分重量に対
し、分散剤(ポリカルボン酸NH4(商品名:サンノプ
コSN−DIS−5468)を固形分として、0.4w
t%、0.5wt%、0.6wt%添加し、双腕ニーダ
を用い20分間混練する。混練後、水を添加しながらさ
らに混練均質化を行い、固形分濃厚75wt%のフェラ
イト磁石成形用原料スラリーを調整した。これら試料の
磁気特性を表1、2に示したNo.1、2の結果と対比
させて表3に示す。
【0012】
【表3】
【0013】表3のNo.5の磁気特性のヒステリシス
カーブを図4に示す。これらの一連の実施例1、2の検
討から、従来のフェライト磁石の製造工程に加えて、微
粉砕原料を熱処理を行い(800〜1000℃)、2回
目の微粉砕後、濃縮して(82wt%以上)分散剤と混
練分散し、水を添加して得た原料スラリーは角型性とヒ
ステリシスカーブの磁気特性を大巾に改善された優れた
ものとなったといえる。
【0014】(実施例3)酸化鉄と炭酸ストロンチウム
のモル比を5.85とし、SiO2を添加物として0.
2wt%加え、1300℃の温度でロータリーキルンに
より仮焼して得たストロンチウムフェライト磁粉(10
μm)を原料磁粉とする。これに添加物としてSiO2
O.3wt%CaCO30.8wt%、SrC030.5
wt%添加した後アトライターで微粉砕を行い、平均粒
径0.95μmのフェライト磁粉スラリーを得た。これ
を水分1.0%以上に乾燥した後900℃2時間の熱処
理を行った。この時の平均粒径は1.19μmである。
同じアトライターを用い再度平均粒径0.95μmに微
粉砕を行い、フィルタープレスで脱水して、固形分濃度
82wt%の高濃度原料を得た。これをニーダー中でポ
リカルボン酸アンモニウム塩からなる分散剤0.4wt
%と一緒に20分間混練した後、水を加え水分調節を行
い、固形分濃厚75wt%とした。この原料スラリーを
用いたフェライト磁石の磁気特性と脱水性の結果を表4
に示す。No.10の脱水性がNo.9と比較しやや悪化
するのは、分散剤の影響によるものであるが、熱処理を
実施しないNo.8と比較し脱水性及び磁気特性が大巾
に改善されたといえる。
【0015】
【表4】
【0016】表4、No.10の試料に示すように、熱
処理−二次粉砕−混練分散 の処理を行うことで、脱水
性と磁気特性の二つの特性が大巾に改善されることは明
らかである。この脱水性の効果は最初の微粉砕粒度が平
均粒度1.2μm以上であっても同様の効果が得られる
が、このような粒子径であれば、本発明に示す処理を行
わなくとも、もともとの原料スラリーが良好な脱水性を
示すことから、最初の微粉砕粒度の上限は1.2μmと
した。
【0017】(実施例4)酸化鉄と炭酸ストロンチウム
のモル比を5.85とし、SiO2を添加物として0.
2wt%加え、1300℃の温度でロータリーキルンに
より仮焼して得たストロンチウムフェライト磁粉(10
μm)を原料磁粉とする。これに添加物としてSiO2
O.3wt%CaCO30.8wt%、SrC030.6
wt%添加した後、アトライターにより微粉砕を行い、
平均粒径0.48、0.67μmのフェライト磁粉スラ
リーを得た。これを水分1.0wt%以下に乾燥した
後、900℃2時間の熱処理を行った。アトライターを
用い追加の添加物としてCr230.8wt%、重炭酸
アンモニウム0.3wt%を加え2次微粉砕を行い、平
均粒径0.60μmとし、これらをフィルタープレスで
脱水し、固形分濃度82wt%の脱水原料を得た。ポリ
カルボン酸アンモニウムからなる分散剤を1.0wt%
加え、ニーダで20分混練分散した後、水を加えて水分
調節を行い、固形分濃度75wt%とした。この原料ス
ラリーを用いたフェライト磁石の磁気特性と脱水性の結
果を表5に示す。
【0018】
【表5】
【0019】本発明による磁粉の処理は、磁気特性、脱
水性ともに大巾に改善することは表4の結果からも明ら
かである。一般にフェライト磁石の高性能化には微粒子
化が不可欠な条件である。表4に示すように従来法によ
る最初の微粉砕の平均粒径0.48μmと0.67μm
を比較した場合(No.11とNo.15)、No.1
1は保磁力iHcに優れNo.15は配向性に関係する
Brが優れる。これらにポルカルボン酸アンモニウムを
1wt%加え混練分散したNo.12とNo.16の比
較ではNo.12の配向性が改善され、良好なBr値が
得られるが、本発明による熱処理を行っていないので、
脱水性は非常に悪い。本発明による熱処理と混練分散を
合わせて行ったNo.14とNo.18は磁気特性のB
r値とBHc値のいずれも大巾に改善されしかも脱水性
も改善されていることがわかる。磁気特性の観点からは
最初の微粉砕平均粒径が0.48μmのNO.14がわ
ずかに優れるが、逆に脱水性の観点からはNo.18が
22%も優れ、最初の微粉砕粒径が0.63μmのN
o.18が総合的に優れているといえる。量産製造工程
での微粉砕能力の制約からも微粉砕粒度を0.5μm以
下とする為には長時間の微粉砕時間が必要で、しかも成
分変動の危険を伴うことから、平均粒径0.5μm以上
が適当といえる。
【0020】(実施例5)実施例1と同条件の試料に於
いて、熱処理条件を700〜1100℃の範囲に拡げそ
の効果を確認した。表5に各試料の0.58〜0.6μ
mまでに2次粉砕するまでの粉砕時間、脱水指数、磁気
特性を示す。
【0021】
【表6】
【0022】熱処理温度は1000℃以上高温化すると
磁粉同志の強い凝着(焼き固まり)が生じ、2次微粉砕
に必要な粉砕時間が長時間化する。この為、本発明で特
長とする脱水性が悪化するとともに、凝着した2次粒子
が2次粉砕後も多数残留する為、磁場配向性が悪化し磁
気特性が低下する。又、800℃以下に低温下した場合
は、逆に熱処理の効果が小さくなり、脱水性が低下する
傾向が生じた。この検討から熱処理温度範囲を800〜
1000℃とした。
【0023】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、仮焼した原
料混合物を平均粒径0.4〜1.2μmに微粉砕した
後、800〜1000℃で2次仮焼を行い、その後再び
平均粒径0.4〜1.2μmに微粉砕し、スラリー原料
とした後、濃縮して混練を行い、濃度65〜75重量%
に調整して成形することにより、フェライト粉末の粒度
分布巾をシャープにし、凝集塊を剪断分散することが可
能となり微細粒子となる為、磁場中成形時に配向性が向
上し、磁気特性が大巾に改善され、さらに角型性が良く
なり磁気特性が向上し、あわせて脱水性も向上し、工業
的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明フェライト磁石の製造工程。
【図2】試料No.1のヒステリシスカーブ。
【図3】試料No.2のヒステリシスカーブ。
【図4】試料No.5のヒステリシスカーブ。
【符号の説明】
なし
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 洋 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地日立金属株式 会社磁性材料研究所内 (72)発明者 久保田 裕 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地日立金属株式 会社磁性材料研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MO・nFe23(M:Ba,Sr,P
    bの内の1種以上、n=5〜6)の基本組成を有するフ
    ェライト磁石の製造方法において、仮焼した(1次仮
    焼)原料混合物を平均粒径0.5〜1.2μmに微粉砕
    した後、800〜1000℃で2次仮焼を行い、その後
    再び平均粒径0.5〜1.2μmに微粉砕し、スラリー
    原料とした後、濃縮して混練を行い、濃度65〜75重
    量%に調整して成形、焼成することを特徴とするフェラ
    イト磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 2次仮焼後の微粉砕時にCr23を0.
    05〜5.0重量%添加することを特徴とする請求項1
    記載のフェライト磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 スラリー原料の濃縮、混練時に、スラリ
    ーを80重量%以上に濃縮し、ポリカルボン酸アンモニ
    ウム、ポリアクリル酸アンモニウム、糖類から選ばれる
    少なくとも1種以上の分散剤を0.2〜3.0重量%添
    加して混練することを特徴とする請求項1記載のフェラ
    イト磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 MO・nFe23(M:Ba,Sr,P
    bの内の1種以上、n=5〜6)の基本組成を有するフ
    ェライト磁石の製造方法において、成形に供する微粉末
    として、2次仮焼を行った微粉砕粉に1次仮焼を行った
    微粉砕粉を最大50重量%配合し、スラリー原料とした
    後、濃縮して混練を行い、濃度65〜75重量%に調整
    して成形、焼成することを特徴とするフェライト磁石の
    製造方法。
JP7175954A 1995-07-12 1995-07-12 フェライト磁石の製造方法 Pending JPH0927430A (ja)

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