JPH09273391A - トンネル掘削機及び掘削方法 - Google Patents

トンネル掘削機及び掘削方法

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JPH09273391A
JPH09273391A JP8625496A JP8625496A JPH09273391A JP H09273391 A JPH09273391 A JP H09273391A JP 8625496 A JP8625496 A JP 8625496A JP 8625496 A JP8625496 A JP 8625496A JP H09273391 A JPH09273391 A JP H09273391A
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tunnel
cutter head
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drum
excavation
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Takeshi Matsuura
武 松浦
Joji Kamimura
城司 上村
Kazuyuki Okamoto
和之 岡本
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トンネル掘削機において、トンネルの内壁面
の崩落を抑制すると共に掘削作業の安全性の向上を図
る。 【解決手段】 掘削機本体を筒状をなす一対の前胴11
と中胴12と後胴13とで構成し、前胴11の前部に回
転自在なカッタヘッド15を装着してカッタ旋回モータ
20によって回転駆動可能とすると共に、前胴11と後
胴13との間にパラレルリンク機構37を架設して推進
可能とし、また、着脱ボルト101によって前胴11と
中胴12の連結リング103とを着脱自在に連結すると
共に、前胴11に対して中胴12が離脱したときにシー
ルド開閉ジャッキ102によって中胴を移動自在に保持
し、前胴11と中胴12との間を開口可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤を掘削してト
ンネルを構築するトンネルボーリングマシンやシールド
掘削機などのトンネル掘削機及びトンネル掘削方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】図13に従来のトンネルボーリングマシ
ンの断面概略を示す。
【0003】従来のトンネルボーリングマシン(以下、
TBMと称する。)において、図13に示すように、掘
削機本体は円筒形状をなす前胴001と後胴002とから構成
されており、この前胴001の前部にはカッタヘッド003が
回転自在に装着されており、このカッタヘッド003は前
面部に岩盤をせん断破壊するローラカッタ004が多数枢
着されている。このカッタヘッド003の後部には内歯を
有するリングギヤ005が一体に固定される一方、前胴001
にはカッタ旋回モータ006が固定されており、このカッ
タ旋回モータ006の駆動ギヤ007がリングギヤ005に噛み
合っている。また、前胴001には掘削して発生したずり
が内部に浸入しないように、バルクヘッド008が形成さ
れており、カッタヘッド003とこのバルクヘッド008との
間にはチャンバ室009が形成されている。そして、この
チャンバ室009にはずりを集積するホッパ010が配設さ
れ、このホッパ010の下部にはこのホッパ010にて集積し
たずりを外部に排出するベルトコンベヤ011が取付けら
れている。
【0004】従って、カッタ旋回モータ006を駆動して
駆動ギヤ007を回転駆動すると、この駆動ギヤ007が噛み
合うリングギヤ005が回転し、リングギヤ005と一体のカ
ッタヘッド003を旋回し、ローラカッタ004が岩盤をせん
断破壊して掘削することができる。そして、カッタヘッ
ド003の開口部からチャンバ室009に取り込まれたずりは
ホッパ010内に落下し、このホッパ010内に集積されたず
りはベルトコンベヤ011によって外部に排出される。
【0005】前胴001と後胴002とは互いにシール部材01
2を介して揺動自在に嵌合しており、両者の間には12
本のスラストジャッキ013が架設されている。このスラ
ストジャッキ013は油圧の給排によって伸縮作動するも
のであって、全体としてトラス状に配設されることでパ
ラレルリンク機構014を構成している。従って、このパ
ラレルリンク機構014において、各スラストジャッキ013
の各駆動ロッドを伸縮することで、前胴001と後胴002と
の相対位置を変更することができ、また、各スラストジ
ャッキ013の各作動ストロークを変えることで、後胴002
に対してカッタヘッド003を有する前胴001を屈曲し、そ
の掘進方向を変更することができる。
【0006】また、前胴001には複数のフロントグリッ
パ015が周方向にほぼ均等間隔で装着されており、各フ
ロントグリッパ015は内蔵された図示しない油圧ジャッ
キによってグリッパシュー016 を径方向に張り出すこと
ができる。従って、この油圧ジャッキを駆動して各グリ
ッパシュー016を径方向に張り出すと、このグリッパシ
ュー016を前胴001内に収納した位置から、掘削形成され
たトンネル内壁面に圧接して前胴001を保持する位置に
移動させることができる。一方、後胴002には複数のリ
ヤグリッパ017が周方向にほぼ均等間隔で装着されてお
り、各リヤグリッパ017は内蔵された図示しない油圧ジ
ャッキによってグリッパシュー018 を径方向に張り出す
ことができる。従って、この油圧ジャッキを駆動して各
グリッパシュー018を径方向に張り出すと、このグリッ
パシュー018を後胴002内に収納した位置から、掘削形成
されたトンネル内壁面に圧接して後胴002を保持する位
置に移動させることができる。
【0007】なお、通常のTBMは岩盤掘削用のトンネ
ル掘削機であり、前述したリヤグリッパ017による掘進
反力を得て前胴001を推進させるものであるが、トンネ
ル掘削中の地盤が岩盤層から一般土砂層に変化した場合
には、掘削したトンネル壁面が軟弱であり、リアグリッ
パ017によって掘進反力を得ることができない。そのた
め、シールド掘削機のようにセグメントSによって掘進
反力を得て前胴001が推進できるようになっている。即
ち、後胴002の後部には円周方向に複数のシールドジャ
ッキ019が並設されており、このシールドジャッキ019を
作動して掘進方向後方に駆動ロッドを伸長させると、掘
削したトンネル内周面に構築された既設のセグメントS
に押し付けられ、その反力により前胴001を前進させる
ことができる。そして、このシールドジャッキ019と共
に後胴002の後部にはトンネル内壁面にセグメントSを
組付けるエレクタ装置020が装着されている。
【0008】従って、リアグリッパ017の各グリッパシ
ュー018を掘削形成されたトンネル内壁面に圧接するこ
とで、後胴002を移動不能に保持し、この状態で、カッ
タ旋回モータ006を駆動してカッタヘッド003を回転駆動
させながら、パラレルリンク機構014の各スラストジャ
ッキ013を伸長して前胴001と共にカッタヘッド003を前
方へ移動させる。すると、旋回するカッタヘッド003の
ローラカッタ004が岩盤をせん断破壊し、この岩盤を掘
削する。そして、各スラストジャッキ013を所定ストロ
ーク伸長すると、このスラストジャッキ013 の駆動を停
止し、フロントグリッパ015の各グリッパシュー016を押
し出して掘削形成されたトンネル内壁面に圧接すること
で、後前001を移動不能に保持する一方、リアグリッパ0
17を後胴002内に収納することでこの後胴002を移動自在
とする。この状態で、パラレルリンク機構014の各スラ
ストジャッキ013を収縮することで前胴201に対して後胴
002を引き寄せる。そして、再び、リアグリッパ017の各
グリッパシュー018を既設トンネル内壁面に圧接するこ
とで後胴002を移動不能に保持する一方、フロントグリ
ッパ015を前胴001内に収納することでこの前胴001を移
動自在とする。この状態で、カッタ旋回モータ006によ
ってカッタヘッド003を回転駆動させながら、各スラス
トジャッキ013を伸長して前胴001と共にカッタヘッド00
3を前方へ移動させると、旋回するカッタヘッド003のロ
ーラカッタ004が岩盤をせん断破壊し、この岩盤を掘削
する。
【0009】この作動の繰り返しによって連続してトン
ネルを掘削していく。そして、このローラカッタ004の
岩盤掘削によって生じたずりはチャンバ室009内に取り
込まれてホッパ010内に落下し、ホッパ010内に集積され
たずりはベルトコンベヤ011によって外部に排出され
る。また、岩盤を掘削してトンネルを掘削形成していく
過程で、この掘削形成されたトンネルの壁面が安定して
いる場合は支保は不要であるが、若干不安定であり、壁
面から岩片が剥がれ落ちないようにリング状の形成した
H形綱や木製の板等を支保として用い、トンネルを保護
する。また、岩盤を掘削してトンネルを形成する場合
に、掘削地盤が岩盤層から一般土砂層に変化した場合に
は、シールドジャッキ019がセグメントSにて掘進反力
を得て前胴001を推進させる。そして、エレクタ装置020
によって新しいセグメントSを組み付けていく。この繰
り返しによってトンネルを構築していく。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のTBM
にあっては、掘削形成されたトンネルの内壁面が不安定
であるときには、シールドジャッキ019が既設のセグメ
ントSによって掘進反力を得て前胴001を推進させ、こ
のとき、エレクタ装置020が既設のトンネル内壁面に新
しいセグメントSを組み付けていく。このエレクタ装置
020によるセグメントSの組付作業は、従来、掘削機本
体、即ち、後胴002の後方で行っている。
【0011】掘削形成されたトンネルの内壁面が不安定
であるものの、崩落の少ない地盤であれば問題ないが、
地山が崩落し易い地盤では掘削面(切羽)からなるべく
近いところで、且つ、なるべく早い時期に支保工などを
用いたトンネル保護作業を行う必要がある。上述した従
来のTBMにあっては、セグメントの組付作業を後胴00
2の後方で行っており、カッタヘッド003が岩盤を掘削し
てから、掘削機本体が掘進してエレクタ装置020が岩盤
掘削位置に到達するまである程度の時間がかかってしま
う。そのため、その間にトンネルの内壁面の崩落が広範
囲にわたってしまうという問題があった。
【0012】本発明はこのような問題を解決するもので
あって、トンネルの内壁面の崩落を抑制すると共に掘削
作業の安全性の向上を図ったトンネル掘削機及びトンネ
ル掘削方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本発明のトンネル掘削機は、筒状をなして互いに移
動自在に嵌合する前胴及び中胴、後胴から構成された掘
削機本体と、前記前胴の前部に回転自在に装着されたカ
ッタヘッドと、該カッタヘッドを駆動回転するカッタヘ
ッド駆動手段と、前記前胴と中胴とを着脱自在に連結す
る中胴連結手段と、該中胴連結手段によって前記前胴に
対して前記中胴が離脱したときに該中胴を移動自在に保
持する中胴移動手段と、前記前胴と後胴との間に架設さ
れた推進手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0014】従って、このトンネル掘削機によって地盤
を掘削する場合、カッタヘッド駆動手段によってカッタ
ヘッドを駆動回転させながら、推進手段によって後胴に
対して前胴を前進させることでこのカッタヘッドによっ
て前方の地盤を掘削し、このとき、中胴連結手段によっ
て前胴に対して中胴を離脱状態とし、この中胴移動手段
によって前胴の前進に対してこの中胴を保持して追従を
不能とすることで、前胴は中胴と離間して両者の間には
開口部が形成されることとなり、この開口部を用いて既
設トンネルの内壁面に対する支保を行う。
【0015】また、本発明のトンネル掘削方法は、掘削
機本体を筒状をなして互いに移動自在に嵌合する前胴及
び中胴、後胴にて構成し、該前胴の前部に装着されたカ
ッタヘッドを駆動回転させながら、前記後胴に対して前
記前胴を前進させることで前記カッタヘッドによって前
方の地盤を掘削し、このとき、前記前胴に対して前記中
胴を離脱状態とし、該前胴の前進に対して該中胴の追従
を不能とすることで、前記前胴と中胴とを離間させて両
者の間に開口部を形成し、該開口部を用いて既設トンネ
ルの内壁面に対する支保を行うようにしたことを特徴と
するものである。
【0016】従って、このトンネル掘削方法を用いて地
盤を掘削することで、掘削途中で、掘削面から近いとこ
ろで早い時期に支保を行うことができ、地山の崩落を抑
制できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0018】本発明のトンネル掘削機は、地盤を掘削し
てトンネルを形成するトンネルボーリングマシンやシー
ルド掘削機に適用されるものである。即ち、掘削機本体
は筒状をなす前胴と中胴と後胴とがそれぞれ互いに移動
自在に嵌合して構成され、前胴の前部には回転自在なカ
ッタヘッドが装着されており、このカッタヘッドはカッ
タヘッド駆動手段としての駆動モータなどによって駆動
回転可能となっている。そして、前胴と後胴との間には
推進手段としての多数の油圧ジャッキが架設されてお
り、この油圧ジャッキの伸縮によって前胴と後胴とを接
近離間させて両者を交互に前進させることができる。ま
た、前胴と中胴とは中胴連結手段としてのボルトなどに
よって着脱自在に連結されており、このボルトを締結す
ることで両者を連結固定し、ボルトの締結を解除するこ
とで両者を離脱することができる。更に、中胴と後胴と
の間には中胴移動手段としての油圧ジャッキが架設され
ており、前胴に対して中胴が離脱状態となったときに後
胴に対して中胴を移動自在に保持することができる。
【0019】従って、このトンネル掘削機によって地盤
を掘削する場合、駆動モータによってカッタヘッドを駆
動回転させながら、推進手段としての油圧ジャッキを伸
長し、後胴に対して前胴を前進させることで、カッタヘ
ッドが前方の地盤を掘削する。次に、油圧ジャッキを収
縮することで、前胴に対して後胴を引き寄せて前進させ
る。そして、再び、油圧ジャッキを伸長し、前胴を前進
させることで、カッタヘッドが前方の地盤を掘削する。
この繰り返しによって掘削作業を行う。そして、掘削地
盤が不安定であるときは、中胴連結手段としてのボルト
の締結を締結することで前胴と中胴とを離脱状態とし、
後胴に対して前胴が前進したときに、中胴移動手段とし
ての油圧ジャッキによって中胴を位置保持することで、
前胴と中胴の間を開口することができ、この開口部を用
いて既設トンネルの内壁面に対して支保を行って地盤の
崩落を防止できる。
【0020】このように本発明のトンネル掘削機にあっ
ては、掘削地盤が不安定であるときは、前胴と中胴とを
離脱状態として両者を離間させ、前胴と中胴の間を開口
することで、この開口部を用いて既設トンネルの内壁面
に対して支保を行って地盤の崩落を防止することがで
き、掘削面から近いところで、しかも、早い時期に支保
を行うことで、地山の崩落を抑制して安全に作業を行う
ことができる。
【0021】また、本発明のトンネル掘削方法は、掘削
機本体を筒状をなして互いに移動自在に嵌合する前胴及
び中胴、後胴にて構成し、前胴の前部に装着されたカッ
タヘッドを駆動回転させながら、この前胴を前進させる
ことでカッタヘッドによって前方の地盤を掘削し、この
とき、前胴と中胴とを離脱状態としと前胴の前進に対し
て中胴の追従を不能とすることで、この前胴と中胴とを
離間させて両者の間に開口部を形成し、この開口部を用
いて既設トンネルの内壁面に対する支保を行うようにし
ている。従って、このトンネル掘削方法を用いて地盤を
掘削することで、掘削途中で、掘削面から近いところで
早い時期に支保を行うことができ、地山の崩落を抑制で
きる。
【0022】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0023】なお、以下に説明する実施例では、本発明
のトンネル掘削機を岩盤を掘削するトンネルボーリング
マシン(TBM)として説明する。
【0024】図1に本発明の一実施例に係るトンネル掘
削機としてのトンネルボーリングマシンの断面、図2乃
至図5は本実施例のトンネルボーリングマシンの要部を
表すものであって、図2にこのトンネルボーリングマシ
ンの正面視、図3に図1のIII−III断面、図4に図1の
IV−IV断面、図5に図1のV−V断面を示し、図6に推
進機構としてのパラレルリンク機構の概略、図7及び図
8は前胴と中胴と後胴の連結構造を表すものであって、
図7に前胴と中胴の連結固定状態の要部断面、図8に前
胴と中胴の離脱状態の要部断面を示し、図9にこのトン
ネルボーリングマシンに適用されるリンク式セグメント
エレクタ装置の側面視、図10にリンク式セグメントエ
レクタ装置の正面視、図11に中胴の連結固定時の本実
施例のトンネルボーリングマシンの側面視、図12に中
胴の離脱時の本実施例のトンネルボーリングマシンの側
面視を示す。
【0025】<トンネルボーリングマシンの全体構成>
まず、トンネルボーリングマシン(TBM)10の全体
構成について説明する。図1及び図2に示すように、T
BM10において、掘削機本体は円筒形状をなす前胴1
1と中胴12と後胴13とが互いに移動自在に嵌合して
構成されている。この前胴11の前部には軸受14によ
ってカッタヘッド15が回転自在に装着されており、こ
のカッタヘッド15は前面に径方向に沿って互いに交差
するスポーク16が固定され、各スポーク16には岩盤
をせん断破壊するディスクカッタ17が多数枢着される
と共に、岩盤の掘削面を掻き取るスクレーパ18が固定
されている。このカッタヘッド15の後部には内歯を有
するリングギヤ19が一体に固定される一方、前胴11
には電動式あるいは油圧式のカッタ旋回モータ20が固
定されており、このカッタ旋回モータ20の駆動ギヤ2
1がリングギヤ19に噛み合っている。
【0026】また、前胴11には掘削して発生したずり
が内部に浸入しないように、カッタヘッド15側とカッ
タ旋回モータ20側とを仕切るバルクヘッド22が形成
されており、カッタヘッド15とこのバルクヘッド22
との間にはチャンバ室23が形成されている。そして、
このチャンバ室23にはずりを集積するホッパ24がバ
ルクヘッド22に固定されて配設され、カッタヘッド1
5の内側には破壊されて落下したずりを掻き上げてホッ
パ24に取り込む掻き上げ板25が固定されている。更
に、このホッパ24の下部にはこのホッパ24にて集積
したずりを外部に排出する排出装置26が取付けられて
いる。
【0027】なお、この排出装置26は図示しないジェ
ットポンプによってずりを外部に排出するものであり、
掘削機本体内には、このジェットポンプに給水する給水
管26aと給水された水及びずりを排出する排出管26
bが配設されている。従って、ホッパ24にて集積され
たずりはジェットポンプからの噴射水によって排出管に
吸引され、この排出管を通って排出することができる。
【0028】従って、カッタ旋回モータ20を駆動して
駆動ギヤ21を回転駆動すると、この駆動ギヤ21が噛
み合うリングギヤ19が回転し、リングギヤ19と一体
のカッタヘッド15を旋回し、ディスクカッタ17が岩
盤をせん断破壊し、スクレーパ18が掘削面を掻き取る
ことで、岩盤を掘削することができる。そして、掘削し
て生じたずりはチャンバ室23内に落下し、掻き上げ板
25がカッタヘッド15と共に回転することで、チャン
バ室23内のずりを掻き上げてホッパ24内に落とす。
このホッパ24内に落下して集積したずりは排出装置2
6のジェットポンプによって外部に排出される。
【0029】図1及び図4に示すように、中胴12は前
胴11の後部に球面軸受27を介して揺動自在に連結さ
れている。また、後胴13は中胴12の後部内周面にシ
ール部材28を介して掘進方向移動自在に連結されてい
る。そして、前胴11の後部と中胴12との間には図示
しない連結ジャッキが架設されている。この連結ジャッ
キは油圧の給排によって伸縮作動するものである。
【0030】また、前胴11の前胴基板29と後胴13
の前部に固定された後胴基板33との間には推進機構と
しての6本のスラストジャッキ34a〜34fが架設さ
れている。このスラストジャッキ34a〜34fは油圧
の給排によって伸縮作動するものであって、ジャッキ本
体は前胴基板29に固定された球軸受35によって揺動
自在に支持され、ロッド先端部は後胴基板33に固定さ
れた球軸受36によって揺動自在に支持されている。そ
して、このスラストジャッキ34a〜34fはそれぞれ
隣合って配設された関係が、例えば、スラストジャッキ
34aがカッタヘッド15の周方向一方に傾斜し、スラ
ストジャッキ34bがカッタヘッド15の周方向他方に
傾斜して全体としてトラス状に配設されることでパラレ
ルリンク機構37を構成している。
【0031】従って、このパラレルリンク機構37にお
いて、スラストジャッキ34a〜34fの各作動ストロ
ークを変えることで、カッタヘッド15を有する前胴1
1を中胴12に対して屈曲し、その掘進方向を変更する
ことができる。また、このパラレルリンク機構37のス
ラストジャッキ34a〜34fの各駆動ロッドを伸長さ
せることで、カッタヘッド15を有する前胴11及び中
胴12を後胴13に対して前進することができる。
【0032】ここで、前述した複数のスラストジャッキ
34a〜34fから構成されるパラレルリンク機構37
の制御システムの構成について説明する。
【0033】図6に示すように、スラストジャッキ34
a〜34fにおいて、例えば、スラストジャッキ34a
の図示しないピストンによって仕切られた2つの圧力室
には油圧給排管41,42が連結されており、各油圧給
排管41,42はそれぞれ非常遮断弁43,44を介し
てサーボ弁45に連結されている。このサーボ弁45は
スラストジャッキ34aの各圧力室への圧油の供給及び
排出を操作するものであって、連結管46,47を介し
て油圧給排源48に連結されている。
【0034】また、スラストジャッキ34aにはその作
動位置を検出する変位センサ49が装着されており、こ
の変位センサ49は制御部50を介してサーボアンプ5
1に接続されている。そして、前述したサーボ弁45は
このサーボアンプ51に接続されている。なお、この制
御部50には複数のジョイスティックを有する操作部5
2と非常停止ボタン53が接続されている。
【0035】従って、変位センサ49はスラストジャッ
キ34aの作動位置を検出しており、その検出信号を制
御部50に出力している。制御部50はこの検出信号に
基づいてサーボアンプ51に指令信号を出力し、サーボ
アンプ51はその指令信号に基づいてサーボ弁45を制
御し、油圧給排源48とスラストジャッキ34aとの間
で油圧の給排を行うようになっている。なお、ここでは
スラストジャッキ34aについてのみ説明したが、他の
スラストジャッキ34b〜34fについても同様の構成
となっている。
【0036】また、前胴11には、図1及び図3に示す
ように、複数のフロントグリッパ55が周方向にほぼ均
等間隔で装着されており、各フロントグリッパ55は内
蔵された油圧ジャッキ56によって径方向に駆動するこ
とができる。従って、この油圧ジャッキ56を駆動して
各フロントグリッパ55を径方向に張り出すことで、こ
のフロントグリッパ55を前胴11内に収納した位置か
ら掘削形成されたトンネル内壁面に圧接して前胴11を
保持する位置に移動させることができる。
【0037】一方、後胴13には、図1及び図5に示す
ように、2つのリアグリッパ57が周方向にほぼ均等間
隔で2つ装着されており、各リアグリッパ57は内蔵さ
れた油圧ジャッキ58によって径方向に駆動することが
できる。従って、この油圧ジャッキ58を駆動して各リ
アグリッパ57を径方向に張り出すことで、このリアグ
リッパ57を後胴13内に収納した位置から掘削形成さ
れたトンネル内壁面に圧接して後胴13を保持する位置
に移動させることができる。
【0038】ところで、本実施例にあっては、図1及び
図7に示すように、中胴12は前胴11の後部に中胴連
結手段としての着脱ボルト101によって着脱自在に連結
されると共に、この中胴12と後胴13との間には中胴
移動手段としてのシールド開閉ジャッキ102が架設され
ており、前胴11に対して中胴12が離脱状態となった
とき、中胴11はシールド開閉ジャッキ102によって後
胴13に対して移動することができる。
【0039】即ち、前胴11の後端部には周方向に沿っ
て嵌合溝11a及びフランジ部11bが一体に形成され
ており、この前胴11の嵌合溝11aには内周フランジ
103aが一体に形成された連結リング103の前端部がシー
ル部材104を介して嵌合し、且つ、前胴11のフランジ
部11bに連結リング103の内周フランジ103aが密着し
ている。そして、連結リング103の内周フランジ103aに
は前述した着脱ボルト101が装着され、この着脱ボルト1
01が前胴11のフランジ部11bを貫通して固定ナット
105に締結されることで、連結リング103は前胴11の後
部に連結固定されることとなる。また、前胴11の前胴
基板29には固定ナット105を保持して締結及び弛緩自
在なナットランナ106が装着されている。一方、中胴1
2の前端部は前胴11の後部に連結固定された連結リン
グ103に球面軸受27及びシール部材107を介して揺動自
在に連結されている。そして、この中胴12の前端部と
後胴12の後胴基板33との間にはシールド開閉ジャッ
キ102が各取付ブラケット108,109を介して架設されて
いる。
【0040】従って、図7に示すように、前胴11の嵌
合溝11aに連結リング103の前端部を嵌合してフラン
ジ部11bに内周フランジ103aを密着した状態で、前胴
11のフランジ部11bを貫通した連結リング103の着
脱ボルト101に対して、ナットランナ106によって固定ナ
ット105を締結することで、前胴11に連結リング103、
即ち、中胴12及び後胴13を連結固定することができ
る。一方、このナットランナ106によって固定ナット105
の締結を解除することで、図8に示すように、前胴11
と連結リング103との連結固定を解除することができ
る。そして、前胴11から連結リング103を取り外した
状態で、シールド開閉ジャッキ102を収縮状態のまま、
パラレルリンク機構37の各スラストジャッキ34を伸
長すると、後胴13に対して前胴11のみが前進して中
胴12は元位置に保持されることとなり、前胴11と中
胴12との間を開口することができる。
【0041】ところで、一般的に、TBM10は岩盤掘
削用のトンネル掘削機であり、前述した後胴13のリア
グリッパ57によって掘進反力を得て前胴11を推進さ
せるものであるが、トンネル掘削中の地盤が岩盤層から
一般土砂層に変化した場合には、掘削したトンネル内壁
面が軟弱であり、リアグリッパ57によって掘進反力を
得ることができない。そのため、本実施例のTBM10
にあっては、シールド掘削機のように、セグメントによ
って掘進反力を得て前胴11が推進できるようになって
いる。
【0042】即ち、図1及び図5に示すように、後胴1
3の後部には円周方向に複数のシールドジャッキ59が
並設されており、後方に伸びる駆動ロッドの先端部には
スプレッダ60が取付けられている。従って、このシー
ルドジャッキ59を作動して掘進方向後方に駆動ロッド
を伸長させると、掘削したトンネル内周面に構築された
既設のセグメントSにスプレッダ60が押しつけられ、
その反力により前胴11、中胴12及び後胴13を前進
させることができる。なお、後胴13の後部内周面には
既設のセグメントSの外周面に密着して後胴13内部へ
の土砂の浸入を防止するテールパッキン61が固着され
ている。
【0043】ここで、上述したTBM10に適用される
セグメントエレクタ装置について説明する。図1に示す
ように、このTBM10に装着されたセグメントエレク
タ装置62はリンク式であって、後胴13の後部に固定
された固定板63に設けられており、このエレクタ装置
62はシールドジャッキ59によって前進した後胴13
(掘削機本体)と既設のセグメントSとの間の空所に新
しいセグメントSを装着するものである。
【0044】即ち、図9及び図10に示すように、固定
板63にはブラケット64によって回転自在な4つの支
持ローラ65が周方向ほぼ均等間隔で取付けられてお
り、この4つの支持ローラ65によって回転リング66
が回転自在に支持され、この回転リング66には内歯を
有するリングギヤ67が固定されている。また、固定板
63にはブラケット68によって油圧モータ69が固定
されており、この油圧モータ69の駆動ギヤ70がリン
グギヤ67の内歯に噛み合っている。従って、油圧モー
タ69を駆動して駆動ギヤ70を回転駆動すると、この
駆動ギヤ70が噛み合うリングギヤ67が回転し、リン
グギヤ67と一体の回転リング66を旋回することがで
きる。
【0045】また、回転リング66に固定された固定台
71には一対の連結リンク72及び一対の可動リンク7
3を介して移動台74が支持されており、この一対の可
動リンク73には油圧ジャッキ75の本体が枢着され、
その駆動ロッドの先端部は固定台71に連結されてい
る。そして、この移動台74のねじロッド76にはスラ
イド体77が螺合し、このねじロッド76の回転によっ
てスライド体77が移動自在となっており、このスライ
ド体77に固定された取付ブラケット78には連結ピン
79によって吊り金具80が着脱自在となっている。な
お、この吊り金具80は下部がねじ部となっており、図
示しない装置によって搬入されたセグメントSの内面に
予め螺合されるものである。
【0046】従って、セグメントSに螺合された吊り金
具80に対して、スライド体77を移動して取付ブラケ
ット78と位置合せを行い、この吊り金具80を連結ピ
ン79によって取付ブラケット78に連結することで、
セグメントSを保持することができる。そして、油圧ジ
ャッキ75を駆動して駆動ロッドを伸縮すると、可動リ
ンク73及び連結リンク72が上下に回動し、固定台7
1に対して移動台74を昇降することで、保持したセグ
メントSを昇降することができる。更に、油圧モータ6
9を駆動してリングギヤ67と共に回転リング66を旋
回することで、保持したセグメントSをトンネル内壁面
に沿って移動することができる。
【0047】ここで、上述したように構成されたTBM
10によって岩盤を掘削してトンネルを構築する場合に
ついて説明する。
【0048】図1に示すように、油圧ジャッキ56を駆
動(縮小)して各フロントグリッパ55を引き込んで前
胴11内に収納することで、前胴11を移動自在とする
一方、油圧ジャッキ58を駆動(伸長)して各リアグリ
ッパ57を押し出して外周面を掘削形成されたトンネル
内壁面に圧接することで、後胴13を移動不能に保持す
る。この状態で、カッタ旋回モータ20を駆動してカッ
タヘッド15を回転駆動させながら、パラレルリンク機
構37の各スラストジャッキ34a〜34fを伸長して
前胴11と共にカッタヘッド15を前方へ移動させる。
すると、旋回するカッタヘッド15のディスクカッタ1
7が岩盤をせん断破壊し、スクレーパ18が掘削面を掻
き取ることで岩盤を掘削する。そして、このときに各ス
ラストジャッキ34a〜34fの各作動ストロークを変
えることで、前胴11は中胴12と球面軸受27を介し
て折れ曲がり、カッタヘッド15の向きを変えてトンネ
ルの掘削方向を変更することができる。
【0049】また、図6に示すように、制御部50には
変位センサ49が検出したスラストジャッキ34a〜3
4fの作動位置の検出信号が入力されており、制御部5
0は予め設定された掘削条件(掘削するトンネルの計画
線形や掘削速度等)及び変位センサ49の検出信号に基
づいてサーボアンプ51に指令信号を出力してサーボ弁
45を制御し、油圧給排源48とスラストジャッキ34
a〜34fとの間で油圧の給排を行う。従って、スラス
トジャッキ34a〜34fは油圧の給排によって所定量
駆動し、X方向、Y方向、Z方向及びψ方向、θ方向、
φ方向の制御が行われながら、カッタヘッド15をこの
X方向、Y方向、Z方向及びψ方向、θ方向、φ方向の
6自由度運動させる。
【0050】そして、各スラストジャッキ34a〜34
fを所定ストローク伸長すると、このスラストジャッキ
34a〜34fの駆動を停止し、油圧ジャッキ56を駆
動(伸長)して各フロントグリッパ55を押し出して外
周面を掘削形成されたトンネル内壁面に圧接すること
で、前胴11を移動不能に保持する一方、油圧ジャッキ
58を駆動(縮小)して各リアグリッパ57を引き込ん
で後胴13内に収納することで、後胴13を移動自在と
する。この状態で、パラレルリンク機構37の各スラス
トジャッキ34a〜34fを縮小して前胴11及び中胴
12に対して後胴13を前方へ引き寄せて移動させる。
そして、前述と同様に、各フロントグリッパ55を引き
込んで前胴11内に収納し、前胴11を移動自在とする
一方、各リアグリッパ57を押し出して外周面をトンネ
ル内壁面に圧接し、後胴13を移動不能に保持する。こ
の状態で、カッタ旋回モータ20を駆動してカッタヘッ
ド15を回転駆動させながら、パラレルリンク機構37
の各スラストジャッキ34a〜34fを伸長して前胴1
1と共にカッタヘッド15を前方へ移動させることで、
ディスクカッタ17及びスクレーパ18によって岩盤を
掘削する。この繰り返しによってトンネルを掘削形成し
ていく。
【0051】このディスクカッタ17及びスクレーパ1
8の岩盤掘削によって生じたずりはカッタヘッド15の
隙間からチャンバ室23内に落下し、カッタヘッド15
と共に回転する掻き上げ板25がこのチャンバ室23内
のずりを掻き上げてホッパ24内に落とす。そして、こ
のホッパ24内に落下して集積されたずりは排出装置2
6によって外部に排出される。即ち、給水管から排出装
置26のジェットポンプに給水されると、ジェットポン
プは加圧水を噴射して発生した負圧によってホッパ24
に集積されたずりが排出管に吸引され、この排出管を通
って外部に排出される。
【0052】このように岩盤を掘削してトンネルを掘削
形成していく過程で、この掘削形成されたトンネルの壁
面が安定している場合は支保は不要であるが、若干不安
定であり、壁面から岩片が剥がれ落ちないようにリング
状の形成したH形綱や木製の板等を支保として用い、ト
ンネルを保護する。この場合、図11に示すように、作
業者は後胴13の後方にて、トンネルの内壁面への支保
工Sの組付作業を行う。
【0053】そして、岩盤を掘削してトンネルを形成す
る場合には、前述したように、リアグリッパ57がトン
ネル内壁面に圧接して後胴13を移動不能に保持こと
で、パラレルリンク機構37の各スラストジャッキ34
aはこの後胴13にて掘進反力を得て前胴11を前進さ
せ、旋回するカッタヘッド15によって前方の岩盤を掘
削する。一方、トンネル掘削中の地盤が岩盤層から一般
土砂層に変化した場合には、トンネル内壁面が軟弱であ
るため、リアグリッパ57によって推進反力を得ること
ができないので、シールドジャッキ59が既設のセグメ
ントSにて掘進反力を得て前胴11及び中胴12、後胴
13を推進させる。
【0054】即ち、複数のシールドジャッキ59のスプ
レッダ60を既設のセグメントSへ押し付けた状態で、
このシールドジャッキ59を伸長することにより、その
押し付け反力によってトンネル掘削機本体、即ち、前胴
11、中胴12及び後胴13を前進させ、これと同時に
カッタ旋回モータ20を駆動してカッタヘッド15を旋
回させ、ディスクカッタ17及びスクレーパ18によっ
て一般土砂層を掘削していく。そして、前胴11、中胴
12及び後胴13からなる掘削機本体が所定量前進する
と、シールドジャッキ59の何れか一つを縮み方向に作
動し、スプレッダ60と既設のセグメントSとの間に空
所を形成し、この空所にセグメントエレクタ装置62に
よって新しいセグメントSを装着する。
【0055】図9及び図10に示すように、図示しない
台車によってトンネル内に搬入されたセグメントSに対
して、作業者はこのセグメントSに吊り金具80を螺合
する。そして、エレクタ装置62のスライド体77を移
動し、取付ブラケット78をセグメントSに固定された
吊り金具80の上方に位置させ、この吊り金具80を連
結ピン79によって取付ブラケット78に連結する。こ
のようにセグメントSを取付ブラケット78が保持した
状態で、油圧ジャッキ75を駆動して可動リンク73を
回動することで移動台74を昇降すると共に、油圧モー
タ69を駆動して回転リング66を旋回することで移動
台74を旋回し、保持したセグメントSをトンネル内で
移送してトンネル内壁面の所定の位置に組付ける。そし
て、セグメントSをトンネル内壁面に固定すると、セグ
メントSの保持を解除し、元位置に戻る。この繰り返し
によってトンネルを構築していく。
【0056】ところで、掘削地盤が不安定であって、既
設トンネルの内壁面での崩落がある場合には、掘削面
(切羽)からなるべく近いところで、且つ、なるべく早
い時期に支保工などを組み付けて既設トンネルを保護す
る必要がある。従って、この場合には、図1及び図8、
図12に示すように、ナットランナ106によって保持し
た固定ナット105を回転し、着脱ボルト101との締結を解
除することで、前胴11と連結リング103との連結固定
を解除する。そして、前胴11から連結リング103を取
り外した状態で、シールド開閉ジャッキ102を収縮状態
のまま、パラレルリンク機構37の各スラストジャッキ
34を伸長する。すると、後胴13に対して前胴11の
みが前進し、旋回するカッタヘッド15によって前方の
岩盤が掘削され、中胴12は後胴13と共に元位置に保
持されることとなり、前進した前胴11と中胴12との
間を開口する。
【0057】従って、作業者は、前胴11と中胴12と
の間の開口部を用いて、既設トンネルの内壁面への支保
工Sの組付作業を行うことで、地盤の崩落を早期に抑制
できる。なお、前胴11と中胴12との間の開口部の大
きさを調整する場合には、シールド開閉ジャッキ102を
伸長することで、中胴12が前胴11側へ移動し、開口
部を小さくすることができる。
【0058】その後、掘削地盤が安定して、既設トンネ
ルの内壁面での崩落の危険性がなくなった場合には、シ
ールド開閉ジャッキ102を収縮状態として、パラレルリ
ンク機構37の各スラストジャッキ34を収縮すると、
前胴11に対して後胴13と共に中胴12が引き寄せら
れて前進し、前進した中胴12の連結リング103の前端
部が前胴11に密着する。この状態で、ナットランナ10
6によって保持したナット105を回転させることで、この
ナット105と連結リング103の着脱ボルト101とが螺合
し、この連結リング103は前胴11に連結固定され、前
胴11と中胴12と後胴13とが連結されることとな
る。
【0059】このように上述したTBM10では、トン
ネル掘削機本体(前胴11、中胴12、後胴13)をパ
ラレルリンク機構37あるいはシールドジャッキ59に
よって前進させながらカッタヘッド15を旋回させ、デ
ィスクカッタ17及びスクレーパ18によって岩盤を掘
削し、岩盤掘削によって生じたずりをホッパ24に集積
してから排出装置26によって外部に排出する一方、セ
グメントエレクタ装置62によってセグメントSをトン
ネル内壁面に装着することで、トンネルを構築してい
る。そして、掘削地盤が不安定である場合には、前胴1
1と連結リング103(中胴12)との連結を解除し、パ
ラレルリンク機構37によって前胴11を前進させるこ
とでこの前胴11と中胴12との間を開口することがで
き、作業者はこの開口部を用いて掘削面(切羽)からな
るべく近いところで、なるべく早い時期に支保工などを
組み付けを行うことができる。
【0060】なお、上述したTBM10において、パラ
レルリンク機構37を6本のスラストジャッキ34a〜
34fによって構成したが、スラストジャッキの数は6
本に限定されるものではなく、8本でも、10本でもよ
いものであり、いずれの場合であっても前述と同様の作
用効果を奏することができる。また、上述のTBM10
において、掘削機本体の推進機構及び掘進方向を変更す
る機構としてパラレルリンク機構37を用いたが、本発
明のトンネル掘削機はこれに限定されるものではない。
更に、上述した各実施例にあって、TBM10にリンク
式セグメントエレクタ装置62を適用したが、門型セグ
メントエレクタ装置を適用しても良いものである。ま
た、上述した各TBM10,110にあっては、ずりの排
出装置26としてジェットポンプやベルトコンベヤを適
用して説明したが、排出装置はこれらに限定されるもの
ではなく、スクリューコンベヤなどを適用しても良い。
【0061】
【発明の効果】以上、実施例を挙げて詳細に説明したよ
うに本発明のトンネル掘削機によれば、掘削機本体を筒
状をなして互いに移動自在に嵌合する前胴、中胴、後胴
から構成し、前胴の前部に回転自在なカッタヘッドを装
着してカッタヘッド駆動手段によって駆動回転可能とす
ると共に、前胴と後胴との間に推進手段を架設して両者
を接近離反自在とし、また、中胴連結手段によって前胴
と中胴とを着脱自在に連結すると共に、中胴連結手段に
よって前胴に対して中胴が離脱したときに中胴移動手段
によって中胴を移動自在に保持するようにしたので、既
設トンネルの内壁面で崩落がある場合には、前胴に対し
て中胴を離脱状態としてこの前胴の前進に対して中胴を
保持して追従を不能とすることで、前胴を中胴と離間し
て両者の間に開口部が形成することにより、この開口部
を用いて既設トンネルの内壁面に対する支保を行うこと
ができる。その結果、トンネルの内壁面の崩落を早期に
抑制することができると共に、掘削作業の安全性の向上
を図ることができる。
【0062】また、本発明のトンネル掘削方法によれ
ば、前胴の前部に装着されたカッタヘッドを駆動回転さ
せながら、後胴に対して前胴を前進させることで前方の
地盤を掘削し、このとき、前胴に対して前記中胴を離脱
状態とし、前胴の前進に対して中胴の追従を不能とする
ことで、前胴と中胴とを離間させて両者の間に開口部を
形成し、この開口部を用いて既設トンネルの内壁面に対
する支保を行うようにしたので、掘削途中にて掘削面か
ら近いところで早い時期に支保を行うことができ、地山
の崩落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るトンネル掘削機として
のトンネルボーリングマシンの断面図である。
【図2】トンネルボーリングマシンの正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】推進機構としてのパラレルリンク機構の概略図
である。
【図7】前胴と中胴の連結固定状態の要部断面図であ
る。
【図8】前胴と中胴の離脱状態の要部断面図である。
【図9】トンネルボーリングマシンに適用されるリンク
式セグメントエレクタ装置の側面図である。
【図10】リンク式セグメントエレクタ装置の正面図で
ある。
【図11】中胴の連結固定時の本実施例のトンネルボー
リングマシンの側面図である。
【図12】中胴の離脱時の本実施例のトンネルボーリン
グマシンの側面図である。
【図13】従来のトンネルボーリングマシンの断面概略
図である。
【符号の説明】
10 トンネルボーリングマシン 11 前胴(トンネル掘削機本体) 12 中胴(トンネル掘削機本体) 13 後胴(トンネル掘削機本体) 15 カッタヘッド 20 カッタ旋回モータ 23 チャンバ室 24 ホッパ 26 排出装置 34a〜34f スラストジャッキ 37 パラレルリンク機構 59 シールドジャッキ 62 リンク式セグメントエレクタ装置 101 着脱ボルト(中胴連結手段) 102 シールド開閉ジャッキ(中胴移動手段) 103 連結リング 105 固定ナット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状をなして互いに移動自在に嵌合する
    前胴及び中胴、後胴から構成された掘削機本体と、前記
    前胴の前部に回転自在に装着されたカッタヘッドと、該
    カッタヘッドを駆動回転するカッタヘッド駆動手段と、
    前記前胴と中胴とを着脱自在に連結する中胴連結手段
    と、該中胴連結手段によって前記前胴に対して前記中胴
    が離脱したときに該中胴を移動自在に保持する中胴移動
    手段と、前記前胴と後胴との間に架設された推進手段と
    を具えたことを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 【請求項2】 掘削機本体を筒状をなして互いに移動自
    在に嵌合する前胴及び中胴、後胴にて構成し、該前胴の
    前部に装着されたカッタヘッドを駆動回転させながら、
    前記後胴に対して前記前胴を前進させることで前記カッ
    タヘッドによって前方の地盤を掘削し、このとき、前記
    前胴に対して前記中胴を離脱状態とし、該前胴の前進に
    対して該中胴の追従を不能とすることで、前記前胴と中
    胴とを離間させて両者の間に開口部を形成し、該開口部
    を用いて既設トンネルの内壁面に対する支保を行うよう
    にしたことを特徴とするトンネル掘削方法。
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