JPH09272960A - 溶融めっき設備用トップロール - Google Patents

溶融めっき設備用トップロール

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JPH09272960A
JPH09272960A JP8489396A JP8489396A JPH09272960A JP H09272960 A JPH09272960 A JP H09272960A JP 8489396 A JP8489396 A JP 8489396A JP 8489396 A JP8489396 A JP 8489396A JP H09272960 A JPH09272960 A JP H09272960A
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JP
Japan
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roll
sleeve
steel
inner sleeve
stainless steel
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Application number
JP8489396A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kaseda
良之 綛田
Kazusane Isaka
和実 井坂
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ロールを冷却してロール軸方向に温度差が残存
しても、熱クラウンの発生を抑制することができ、その
結果、鋼帯の通板時の蛇行を防止することができ、かつ
めっき金属のピックアップをも防止できる溶融メッキ設
備用トップロールを提供する。 【解決手段】中空ロールのバレル部が、鋼またはステン
レス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性に優れた金属か
らなる中間スリーブ、および鋼またはステンレス鋼から
なる内側スリーブが嵌合固着された三重のスリーブから
なり、内側スリーブは、その内部の中間スリーブ寄りに
ロール軸方向に貫通した冷却媒体通路を有し、必要によ
りその冷却媒体通路より内側の厚みが、媒体通路の外側
からロール表面までの厚みより大きくした溶融めっき設
備用トップロール、さらに内側スリーブの両端部の内周
面に加熱手段を備えている溶融めっき設備用トップロー
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融めっき設備にお
けるトップロールに係わり、さらに詳しくは、めっき後
の高温状態の鋼帯をロール表面に接触させることによっ
て鋼帯を冷却するトップロールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性に
優れていることから家庭用電気製品、建築用材および自
動車用外装材など様々な分野で使用されており、めっき
鋼板に対する品質要求も日増しに高くなっている。特
に、自動車用表面処理鋼板は極めて微少な疵が問題とな
るため、製造技術の向上は必須の課題となっている。
【0003】図2は、ゼンジミア法の縦型溶融めっきラ
インのめっき槽周辺の側面図である。鋼帯11は、連続
炉12で焼鈍されて所定の機械的特性値になるように処
理された後、鋼板温度が調整されてめっき浴18へ送ら
れる。めっき浴中に進入した鋼帯は、めっき浴中に浸漬
配置された非駆動のシンクロール13と呼ばれるパス周
回ロールによって方向転換された後、めっき浴の上方に
引き上げられる。めっき浴から引き上げられた鋼帯は、
ワイピングノズル14によってめっき金属の付着量が調
整され、必要により合金化処理用加熱炉15を経由後、
空気または気水による冷却装置16により冷却される。
その後、鋼帯はトップロール7を経由して冷却装置22
を通り、空冷された後水冷タンク21で浸漬冷却され
る。
【0004】この様な、連続溶融亜鉛めっき設備におい
ては、鋼帯の通板に多数のプロセスロールが用いられて
おり、鋼帯の蛇行を防止するためにロールに所定の初期
クラウンを付与することが一般的に行われている。本発
明の対象とするトップロールにも通板の安定化のために
初期のクラウンが付与されている。ところが、走行する
鋼帯の板幅、板厚、温度は一定でなく、種々の条件下で
使用されるため、ロール面には熱クラウンが発生する。
すると、全クラウン量が変化するので、トップロールと
鋼帯の接触状態が変化し、鋼帯の平坦不良(耳波、中伸
び)、不均一冷却や蛇行といった現象を誘発する。特
に、トップロールは溶融めっき後の鋼帯が最初に接触す
るロールであり、クラウンの変動やロール温度の管理
は、めっき製品の性状に大きく影響する。
【0005】この対策として、従来よりトップロールの
表面粗度の変更、管理やロール冷却などが行われてい
る。
【0006】図3は、従来使用されている水冷トップロ
ールの冷却媒体の循環経路を示す図である。同図(a)
は、トップロール17のロール軸の一方より冷却媒体を
導入して反対側の軸端から排出する内部貫通方式を示
し、(b)はトップロールのロール軸の両端から冷却媒
体を導入してトップロールの中央部から両側に循環させ
る方式、および(c)は、トップロールのロール軸の一
方より冷却媒体を導入して、ロール内面を螺旋状に周回
させる方式を示す。
【0007】ところが、これらどの方式でも、鋼帯11
と接触するロール面(C)では、ロールの表面温度が高
まる一方で、鋼帯と接触しない鋼帯幅より外側(E)で
のロール表面温度は冷却媒体の温度に近くなる。そのた
め、上記方式の違いによって温度分布に若干の違いがあ
るものの、ロールバレル部20には軸方向に温度差が発
生する。すると、温度の高い部分は熱膨張によって、相
対的に直径が大きくなり、熱クラウンが形成される。つ
まり、上記のような冷却媒体経路を有する冷却ロールで
は、ロール温度の調整は可能であるが、熱クラウンを抑
制する機能は備えていない。
【0008】特開昭51−77538号公報には、トッ
プロール直前でめっき鋼帯の表面に水、空気等の流体を
噴射して冷却を行った後、めっき鋼帯をトップロールに
接触させ、トップロールの表面に先端が刃物状のカーボ
ンや滑石等を密着させてトップロール表面に溶融めっき
金属が付着するのを防止し、ロールを保護する方法が開
示されている。
【0009】特開昭59−185767号公報には、一
本のトップロールではなく、内部が冷却された複数本の
冷却ロールで鋼帯を冷却させながら鋼帯の進行方向を9
0度変更することで、冷却ロールとめっき鋼帯との接触
弧長を小さくすることにより、リッジの発生を防止し、
機械的特性に優れ、かつ外観が美麗な亜鉛めっき鋼帯を
得る方法が開示されている。
【0010】しかしながら、上記両公報に開示されてい
る方法では、鋼帯の全幅に亘って均一に冷却することは
困難であり、冷却不均一によるめっき鋼帯の平坦不良及
び鋼帯の蛇行を回避することはできない。
【0011】また、特開平7−166315公報には、
熱クラウンの発生を防止したトップロールが開示されて
いる。このロールは、ロールバレルの外側スリーブの内
部に熱伝導性に優れた金属スリーブを嵌合することでロ
ールバレルにおける軸方向の熱移動を促進させて温度勾
配を緩和すると共に、ロールの内部に螺旋状に冷却媒体
を流すことによりクラウンの発生を抑制するものであ
る。
【0012】ところが、このロールは、熱伝導性の優れ
た金属が嵌合されていない場合と比較すると、軸方向へ
の熱伝導性が若干改善されるものの、内部の冷却によっ
て鋼帯と接するロール面と、接しない面とでは依然とし
て温度勾配が存在する。この温度差を緩和すべくロール
の冷却を強化すると、鋼帯と接触するロールの表面温度
が低下しすぎてしまい、ロールと接触する鋼帯の抜熱量
が大きくなるため過冷却となる。そのため、鋼帯の平坦
不良を誘発する場合がある。
【0013】一方、ロールを冷却せずに操業に用いる
と、水冷する場合ほどロールの軸方向に温度差は発生し
ないが、ロールの表面温度が高まり、めっき金属のロー
ルへのピックアップが発生するため、鋼帯の表面に疵が
発生する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ロールを冷
却してロール軸方向に温度差が残存しても、熱クラウン
の発生を抑制することができ、その結果、鋼帯の通板時
の蛇行を防止することができ、かつめっき金属のピック
アップをも防止できる溶融メッキ設備用トップロールを
提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、トップロ
ールの熱クラウンを低減するため、水冷ロールの構造に
ついて種々実験検討した結果、下記の知見を得た。
【0016】1)クラウンの発生原因となるスリーブの
熱膨張を拘束するための構造材をロール内部の冷却媒体
通路よりも内側に設けることにより、ロール軸方向に温
度勾配があってもクラウンの発生を防止することができ
る。
【0017】2)鋼帯からの入熱で形成されるクラウン
形状は凸クラウンであるため、ロールのスリーブに外力
によって凹クラウンを形成させることができれば、両者
凸クラウンと凹クラウンの相殺作用で熱クラウンの形成
を防止できる。
【0018】3)凹クラウンを形成するためには、ロー
ルのバレル部両端部を内部から加熱するのがよい。
【0019】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたもので、その要旨は、「中空ロールのバレル部が、
鋼またはステンレス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性
に優れた金属からなる中間スリーブ、および鋼またはス
テンレス鋼からなる内側スリーブがそれぞれ嵌合固着さ
れた三重のスリーブからなり、内側スリーブは、その内
部の中間スリーブ寄りにロール軸方向に貫通した冷却媒
体通路を有し、必要によりその冷却媒体通路より内側の
厚みが、媒体通路の外側からロール表面までの厚みより
大きくしたことを特徴とする溶融めっき設備用トップロ
ール、これらトップロールに、さらに内側スリーブの両
端部の内周面に加熱手段を備えていることを特徴とする
溶融めっき設備用トップロール、および前記加熱手段を
有するトップロールに、さらに内側スリーブと加熱手段
との間に内側スリーブ内周面に設けた断熱材を介して鋼
またはステンレス鋼からなるリングが設けられているこ
とを特徴とする溶融めっき設備用トップロール」にあ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のトップロールの
縦断面図で、(a)は内側スリーブ両端部の内周に加熱
手段を備えていない、ロールバレル部が三重のスリーブ
からなるロール、(b)は内側スリーブ両端部の内周に
加熱手段を備えたトップロール、および(c)は内側ス
リーブと加熱手段との間に、断熱材とリングを備えたト
ップロールを示す図である。
【0021】本発明のトップロール(以下ロールと記
す)は、ロールのバレル部20が外側スリーブ1、中間
スリーブ2および内側スリーブ3からなる三重構造とな
っている。これらのスリーブは、それぞれ拡散接合や焼
きばめにより強固に嵌合されている。
【0022】外側スリーブ1の材質を鋼またはステンレ
ス鋼としたのは、次の理由による。すなわち、外側スリ
ーブは、鋼帯と接触するので表面硬度や剛性が要求さ
れ、またロールには鋼帯の張力が負荷されるので、構造
物としての強度が要求されるが、これら要求に対し鋼ま
たはステンレス鋼が適しているためである。具体的に
は、SUS431、S45C等が好適である。
【0023】中間スリーブは、熱伝導性に優れた金属、
例えば銅、アルミ、銀などからなり、このような金属を
用いるのは以下の理由による。
【0024】トップロールに接する鋼帯の温度は、冷却
されたロールに比べて高温であるため、ロールの外表面
(外側スリーブ)が鋼帯により加熱され、鋼帯がロール
に接触している部分と接触していない部分(ロール端
部)とでは温度差が発生する。通常、鋼やステンレス鋼
のロールでは軸方向の温度差が発生するため熱クラウン
が形成されやすい。
【0025】そこで、外側スリーブの内側に銅などの熱
伝導性の良好な金属が接合されていると、鋼帯からの熱
は外側スリーブから熱伝導性に優れた金属からなる中間
スリーブに伝わり、その熱は外側スリーブの両端部に向
かって伝わる。その結果、鋼帯と接していない外側スリ
ーブのうち、鋼帯幅方向の端部(以下、鋼帯端部と記
す)近傍の部分の温度が上昇し、外側スリーブの軸方向
での温度勾配は緩和される。 その結果、外側スリーブ
の熱クラウンの発生はある程度抑制できる。この効果
は、軸方向へ熱が伝わると同時に径方向にも熱が伝わる
ため、ロール表面から冷却媒体通路までの範囲で作用す
る。
【0026】加えて、中間スリーブに熱伝導性の良好な
金属材を用いることによって、後述する内側スリーブ内
の軸方向に設けた冷却媒体通路の影響を排除するために
有効である。すなわち、冷却媒体通路直上部と冷却媒体
通路間の直上とでは、周方向に温度差が形成され、ロー
ルの真円性を損なうことになるが、熱伝導性の良好な中
間スリーブにより、周方向の温度の均一性が向上する。
【0027】中間スリーブに熱伝導性に優れた金属を用
いるのは、上記のように外側スリーブの熱をスリーブ端
部にまで伝えてクラウンを抑制するため、および冷却媒
体通路分布により生じる冷却むらを防止するためであ
る。中間スリーブを用いることにより、鋼帯がロールに
接する範囲における鋼帯幅当たりの熱クラウン量の低減
には効果があるが、ロール全長におけるクラウンの形状
にはあまり効果がない。
【0028】次に、内側スリーブについて説明する。
【0029】中間スリーブに熱伝導の良好な金属を用い
ると、外側スリーブの鋼帯端部近傍での温度勾配は改善
される。ところが、ロールは内部から冷却されているの
で、バレル部の両端部では冷却媒体温に近い温度にな
り、ロールの表面から冷却媒体通路まで半径方向にほぼ
同一の温度分布になる。一方、外側スリーブの鋼帯と接
触する部分では、外表面から昇温し、内表面から冷却さ
れるので、ロール表面から冷却媒体通路にかけて半径方
向に温度勾配が存在する。つまり、ロールバレル部全体
で評価するとロール中央部と端部において、ロールの熱
膨張量に差が存在する。
【0030】ロールのスリーブは、連続体であるために
直径の違いが緩やかなクラウンとなる。そのため、鋼帯
端近傍での熱勾配緩和に加えて軸方向の平均的な温度差
によるロールバレル部全体にわたるクラウン形成を抑制
することで熱クラウンをさらに低減することができる。
【0031】内側スリーブは、以下に説明するように各
スリーブの軸方向の温度分布をより均一にするためと、
スリーブの軸方向における温度分布の不均一により発生
するクラウンを機械的に拘束して、クラウンの発生を抑
制するために用いる。
【0032】各スリーブの軸方向の温度分布をより均一
にするために、内側スリーブ内の中間スリーブ寄りに軸
方向に貫通した冷却媒体通路を設ける。冷却媒体の通過
方向を軸方向にしたのは、スリーブの軸方向の冷却度を
均一にするためである。すなわち、冷却媒体通路を軸方
向とすることにより、媒体通路の長さがスリーブ長さに
限定されて適切な長さになり、冷却媒体が長時間通路内
に滞留しないため冷却媒体の高温化が防止でき、昇温し
ても軸方向の温度をほぼ均一にすることができる。その
ため、スリーブの直径は変化するが、スリーブの軸方向
での直径の変化は、ほとんどなくなるためクラウンには
ならない。
【0033】図4は、ロールバレル部の横断面と縦断面
の斜視図である。同図に示すように冷却媒体通路4は、
内側スリーブ3内の中間スリーブ2寄りに設ける。それ
は、中間スリーブに近づける方がより効率的に冷却でき
るからである。
【0034】冷却媒体通路は、前述の図1中に示すよう
に媒体通路9系統と10系統の2系統に分け、2系統の
冷却媒体通路を交互に配置して、冷却媒体の流れる方向
を逆にするのが好ましい。すなわち、図4に示すように
媒体通路9系統はAに、媒体通路10系統はBに接続
し、冷却媒体を流す方向は矢符で示すように逆方向とす
る。このようにすることにより、冷却媒体の温度上昇に
よるロール両端の温度差が小さくなり、ロール軸方向に
より均一な冷却が可能となる。
【0035】なお、冷却媒体に関しては、鋼帯からの入
熱に対して、内面よりロールを冷却することができるも
のであればよく、一般には水を用いるが特に限定するも
のではない。
【0036】しかし、各スリーブとも軸方向の温度分布
を完全に均一にすることはできないので、多少クラウン
が生じる。それを抑制するために、剛性の高い鋼または
ステンレス鋼からなる内側スリーブにより、外側スリー
ブおよび中間スリーブの熱膨張を圧縮歪みとして拘束す
る。そのためには、強度部材の使用が必須となり、内側
スリーブの材質を鋼またはステンレス鋼とした。
【0037】ここで、外側スリーブ、中間スリーブの熱
膨張と内側スリーブの拘束力との力の釣り合いで最終的
なクラウン量は決定される。したがって、内側スリーブ
の厚みが大きいほど拘束力が高くなり、クラウン低減効
果が大きくなる。つまり、内側スリーブ厚t3は、外側
スリーブ厚t1と中間スリーブ厚t2とすると、t3×E3
>t1×E1+t2×E2 を満たすことが剛性の観点から
好ましい。ここで、Eは各材質の弾性係数である。
【0038】内側スリーブの上記拘束力を高めるために
は、内側スリーブの内部に設けた冷却媒体通路より内側
の厚みが、媒体通路の外側からロール表面までの厚みよ
り大きくするのがよい。すなわち、図4に示すようにT
>tとするのが好ましい。
【0039】内側スリーブの厚さの効果について、以下
に示す数値解析により評価した。
【0040】[前提条件] ロールの構造:図1(a)と(c)に示すロール ロールの外径:1200mm ロールバレル長:2200mm 外側スリーブ:S55C、肉厚20mm 中間スリーブ:銅、肉厚20mm 内側スリーブ:ステンレス鋼(SUS304) 肉厚80、100、200、300mm 冷却水の温度:40℃ バレル部の熱的負荷長さ:1200mm(鋼帯幅に相
当) バレル部の加熱温度:310℃ ロール表面の熱伝達係数:2000kcal/m2h℃ 冷却水路と冷却水間の熱伝達係数:1000kcal/m2h
℃ 冷却水は、前記のように二系統に分け、互いに逆方向に
なるように流し、冷却水路より外側には熱伝導の良好な
中スリーブがあるため、ロールの周方向位置における冷
却水路による表面温度への影響はないものとした。
【0041】また、内側スリーブに設けた水路は直径1
0mmで、内側スリーブの外表面から20mmの深さの
所に設けた。 図1(c)に示すロールの場合、リング
は、肉厚150mm、幅400mmステンレス鋼とし
た。
【0042】比較のために、ロールバレル部が上記と同
じ外側スリーブのみからなり、その内部に上記と同じ冷
却水路を設けたロール、および上記と同じ外側スリーブ
と中間スリーブとからなり、中間スリーブ内に同じ水路
を設けたロールについても、数値解析した。
【0043】図5は、加熱手段を設ていないロールの解
析結果を、図6は加熱手段を設たロールの解析結果を示
す図である。
【0044】解析では、ロール胴体部の鋼帯幅に相当す
る幅で熱的負荷を与えてクラウン形状を比較しており、
表面の熱伝達や内側スリーブでの冷却は同一の境界条件
を与えている。なお、クラウンは室温からの膨張量であ
り、半径当たりの値を示す。
【0045】図5から明らかなように、本発明の構造の
ロール(図5、〜)は、比較ロール(図5、)
に比べて大幅な熱クラウンの低減が可能であることがわ
る。また、内側スリーブの厚みが大きくなると熱クラウ
ンの低減効果が大きくなる。したがって、熱クラウンを
可能な限り小さくする目的であれば、内側スリーブ厚が
大きいほどよい。なお、内側スリーブの肉厚を大きくす
ることは、水路の位置は一定にしているので、水路より
も内側の肉厚が大きくなることを示している。また、図
6から明らかなように、本発明の構造のトップロールの
熱クラウン(図6、〜)は、鋼帯からの入熱に対し
てロールバレル端部加熱により生じるクラウン量(図
6、)の相殺作用によって、比較の冷却ロールの熱ク
ラウン(図6、)より大幅に、または殆ど熱クラウ
ンの発生しない形状にまで調整が可能であることがわか
る。
【0046】上記のように内側スリーブにより、外側ス
リーブおよび中間スリーブの熱膨張を拘束するために
は、それぞれのスリーブが強固に嵌合固着されていなけ
ればならない。スリーブをそれぞれ固着する手段として
は、前記した拡散接合や焼きばめがある。
【0047】拡散接合方法は、各スリーブを機械加工で
個々に製作し、三重構造の管状態に組み立て、熱間水圧
プレスを用いてスリーブに圧力を負荷した状態で約10
00℃まで無酸化雰囲気で加熱し、2時間程度保持する
ような方法でおこなう。
【0048】焼きばめ方法は、内側スリーブと中間スリ
ーブを焼きばめで一体とした後、中間スリーブの外表面
を切削し、外側スリーブを焼きばめにより装着する。こ
のとき、内側スリーブと中間スリーブの焼きばめ代は、
50℃×直径×中間スリーブの線膨張係数の直径差とす
るとよい。また、外側スリーブの焼きばめ代は、200
℃×直径×外側スリーブ線膨張係数の直径差を中間スリ
ーブの外径に対して設けるのがよい。ここで、中間スリ
ーブの焼きばめ代を比較的小さくしているのは、中間ス
リーブとして熱伝導性のよい銅を想定しているためで
あ。さらに強度の高い材質を用いる場合は、焼きばめ代
を大きくするのが好ましい。
【0049】次に、スリーブ両端の加熱手段について説
明する。
【0050】上記した手段で熱クラウンは大幅に低減さ
れるが完全に消去することは難しい。そこで、通常トッ
プロールで形成される熱クラウンが、ロールの幅方向中
央に形成される凸形状であることより、スリーブに凹ク
ラウン形状を形成させてクラウンを相殺する。そのた
め、スリーブの端部を加熱しスリーブの端部の直径を増
加させて凹クラウンを形成する。
【0051】加熱する位置は、鋼帯が接触しないロール
表面部に相当する範囲でよい。また、加熱手段は特に限
定はしないが、電熱ヒータを用いるのが好ましい。
【0052】加熱は、スリーブ端部を熱膨張させること
が主眼であるため、冷却媒体通路より抜熱されないこと
が望まい。したがって、図1(c)に示すように、断熱
材22を介してリング6を設けると、より効率的に凹ク
ラウンを形成することができる。ただし、図1(b)の
ように直接内側スリーブ端部を加熱しても効率は低下す
るものの同様に熱クラウンの相殺が可能である。
【0053】なお、内側スリーブまたはリングの加熱
は、ロール中央部表面の温度を測定し、その温度に近づ
くようにするのが好ましい。ロール中央部表面の温度の
測定は、ロール表面に熱電対を埋め込んでおけばよい。
【0054】
【実施例】
(実施例1)図1(a)に示す構造のトップロールを、
溶融亜鉛めっきラインに設置して、トップロール入り側
での温度が380℃の鋼帯を120m/分で1時間通板
させた際に生じた熱クラウンを測定した。鋼帯寸法は厚
さ1.0mm、幅1600mmで、使用したロールの仕
様は以下の通りであった。
【0055】 バレル部の直径: 1200mm バレル部の長さ: 2200mm 外側スリーブ : 厚さ 20mm(S55C) 中間スリーブ : 厚さ 20mm(銅) 内側スリーブ : 厚さ 80mm、200mm(SUS
430) 水路直径 : 20mm 水路の位置 : 内側スリーブ表面から水路の中心ま
で20mm 水路より内部の肉厚: 50mm、170mm(図4、
T) 水路より外部の肉厚: 50mm(図4、t) 冷却水 :温度 30℃、流速 120m/分 従来例として、バレル部が上記と同じ外側スリーブと内
側スリーブからなり、中間スリーブの内側にスパイラル
状に冷却水路を設けた水冷装置を備えたロールを用意
し、上記と同様の通板を行った。
【0056】クラウンの測定結果は以下の通りであっ
た。なお、測定はロールの回転軸に平行になるよに配置
したレールにレーザの変位計を設置し、その変位計を軸
方向にスライドさせることによりおこなった。 [本発明ロール] 内側スリーブ厚80mm :0.6〜0.8mm 内側スリーブ厚200mm:0.3〜0.4mm [従来ロール] 1.2〜1.3mm このように、本発明のロールでは従来ロールに比べ熱ク
ラウンが低減し、鋼帯の幅方向不均一冷却による平坦不
良の発生がなくなると共に、不均一冷却を起点としたス
トリップの蛇行も減少して走行性も大幅に向上した。
【0057】(実施例2)実施例1で使用した内側スリ
ーブ厚が200のロールに、内側スリーブ内面の両端部
に加熱幅が280mmの電熱ヒータを取り付け、図1
(b)に示す構造のロールを準備し、上記と同じ条件で
通板を行った。なお、通板中はヒータの温度を380℃
に上げ内側スリーブを加熱した。生じた熱クラウンを測
定した結果、0.05〜0.01mmであった。ヒータ
のない実施例1の場合に比べ、クラウン量は小さくなっ
ていることが分かる。
【0058】(実施例3)実施例1で用いた、内側スリ
ーブ厚80mmのロールにさらに内側スリーブとヒータ
との間に断熱材(300μmのセラミックス溶射層)と
肉厚150mm、幅300mmのステンレス鋼(SUS
304)からなるリングを設け、図1(c)に示す構造
のロールを用意し、実施例2と同じ、通板条件で通板を
行った。
【0059】冷却水による抜熱が少ないため、300℃
に加熱し、生じた熱クラウンを測定した結果、−0.0
5〜0.5mmであった。ステンレスリングを設けてい
ない実施例2で使用したロールに比べクラウン量はより
小さくなっていることが分かる。このように、熱クラウ
ンがほぼ初期状態を保つことができたのは、ステンレス
リングを加熱し、膨張させた結果、熱クラウンをほぼ相
殺できたためと考えられる。通板終了後のロール表面を
目視観察した結果、ロール表面への亜鉛のピックアップ
はなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明のトップロールによれば、熱クラ
ウンの発生を抑止または消去できことで、めっき鋼帯の
ロールによる不均一冷却や、平坦不良の発生を抑制でき
る。さらに、ロールクラウンの変動による蛇行発生も大
幅に抑制できたため、操業が安定し、生産性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトップロールの縦断面図である。
【図2】溶融めっき設備の概略図
【図3】従来のトップロールの冷却水路を示す模式図で
ある。
【図4】ロールバレル部の縦断面と横断面の斜視図であ
る。
【図5】ロールバレル部の熱クラウン形状を示す図であ
る。
【図6】ヒータを備えたロールバレル部の熱クラウン形
状を示す図である。
【符号の説明】
1 外側スリーブ 2 中間スリーブ 3 内側スリーブ 4 冷却媒体通路 5 加熱装置 6 リング 7 トップロール 11 鋼帯 12 連続炉 13 シンクロール 14 ワイピングノズル 15 合金化処理のための加熱炉 16 空気または気水による冷却装置 20 ロールバレル部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空ロールのバレル部が、鋼またはステン
    レス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性に優れた金属か
    らなる中間スリーブ、および鋼またはステンレス鋼から
    なる内側スリーブがそれぞれ嵌合固着された三重のスリ
    ーブからなり、内側スリーブは、その内部の中間スリー
    ブ寄りにロール軸方向に貫通した冷却媒体通路を備えて
    いることを特徴とする溶融めっき設備用トップロール。
  2. 【請求項2】中空ロールのバレル部が、鋼またはステン
    レス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性に優れた金属か
    らなる中間スリーブ、および鋼またはステンレス鋼から
    なる内側スリーブがそれぞれ嵌合固着された三重のスリ
    ーブからなり、内側スリーブは、その内部の中間よりに
    ロール軸方向に貫通した冷却媒体通路を備え、その冷却
    媒体通路より内側の厚みが、媒体通路の外側からロール
    表面までの厚みより大きいことを特徴とする溶融めっき
    設備用トップロール。
  3. 【請求項3】中空ロールのバレル部が、鋼またはステン
    レス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性に優れた金属か
    らなる中間スリーブ、および鋼またはステンレス鋼から
    なる内側スリーブがそれぞれ嵌合固着された三重のスリ
    ーブからなり、内側スリーブは、その内部の中間スリー
    ブ寄りにロール軸方向に貫通した冷却媒体通路を備え、
    内側スリーブの両端部の内周面に加熱手段を備えている
    ことを特徴とする溶融めっき設備用トップロール。
  4. 【請求項4】中空ロールのバレル部が、鋼またはステン
    レス鋼からなる外側スリーブ、熱伝導性に優れた金属か
    らなる中間スリーブ、および鋼またはステンレス鋼から
    なる内側スリーブがそれぞれ嵌合固着された三重のスリ
    ーブからなり、内側スリーブは、その内部の中間スリー
    ブ寄りにロール軸方向に貫通した冷却媒体通路を備え、
    その冷却媒体通路より内側の厚みが、媒体通路の外側か
    らロール表面までの厚みより大きく、内側スリーブの両
    端部の内周面に加熱手段を備えていることを特徴とする
    溶融めっき設備用トップロール。
  5. 【請求項5】請求項3または請求項4記載のトップロー
    ルにおいて、内側スリーブと加熱手段との間に内側スリ
    ーブ内周面に設けた断熱材を介して鋼またはステンレス
    鋼からなるリングが設けられていることを特徴とする溶
    融めっき設備用トップロール。
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