JPH09272907A - 溶融還元設備の炉体構造 - Google Patents

溶融還元設備の炉体構造

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JPH09272907A
JPH09272907A JP8397796A JP8397796A JPH09272907A JP H09272907 A JPH09272907 A JP H09272907A JP 8397796 A JP8397796 A JP 8397796A JP 8397796 A JP8397796 A JP 8397796A JP H09272907 A JPH09272907 A JP H09272907A
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molten metal
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tuyere
oxygen
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融還元炉の炉体構造において、金属を撹拌
するために金属浴面下の羽口からガスを吹き込むことな
しに、溶融金属とスラグの界面直上のスラグを撹拌し、
スラグと溶融金属の相対速度を増大し、スラグから溶融
金属への熱移動量を増大し、スラグと溶融金属の温度差
を小さくし、結果として低い炭材及び酸素原単位を達成
する溶融還元設備を提供する。 【解決手段】 炉本体に金属原料、炭材及び媒溶剤を添
加し、炉体の側面を水平方向に貫通してスラグに向けて
配設された下部羽口を通じてスラグ中に酸素及び/又は
酸素富化ガスを吹き込んで、溶融金属を直接製造する設
備において、前記下部羽口の下方であって、炉内のスラ
グと溶融金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部
に、水平から下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽
口を配設し、該最下段羽口より不活性ガスを吹き込む如
くなしたことを特徴とする溶融還元設備の炉体構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炉本体に金属原
料、炭材及び媒溶剤を添加し、純酸素及び/又は酸素富
化ガスを吹き込んで、溶融金属を直接製造する溶融還元
設備に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融還元は、炉本体内に金属原料、炭材
及び媒溶剤を添加し、純酸素及び/又は酸素富化ガスを
吹き込んで、スラグ中で鉄原料中の酸化金属を還元し、
溶融金属を直接製造する方法である。この方法では、溶
融還元炉から1600〜1800℃程度の高温の燃焼性
ガスが生成される。
【0003】この溶融還元法は、従来の高炉法に比べ、
生産量の柔軟性が高い、即ち生産量の変更が容易なこと
と、設備の停止・再起動が容易なこと、及び設備投資額
が小さいことから、特に小規模溶融金属製造法として最
近注目されつつある。
【0004】一般にこの種の溶融還元法は、炉本体内に
予備還元した金属原料、炭材及び媒溶剤を添加し、炉本
体から発生する燃焼性ガス中のCOガス、H2 ガスで金
属原料を予備還元する2段法(例えば特開57−120
607号公報、特開昭61−96019号公報等)と、
炉本体内に未還元の金属原料、炭材及び媒溶剤を添加
し、スラグ中で金属原料中の酸化金属を還元し、炉本体
から発生する燃焼性ガス中のCOガス、H2 ガスを廃熱
ボイラー内で完全燃焼させ、燃焼性ガスの顕熱、潜熱を
蒸気化して回収し、発電等を行う1段法(例えば特開平
1−502276号公報、特開昭61−279608号
公報、特開昭60−9815号公報等)とに分類され
る。
【0005】2段法は、1段法に比べエネルギー効率が
良い利点はあるものの、充填層方式及び流動層方式等の
予備還元炉が必要なため設備が複雑となり設備投資額が
高いこと、予備還元炉内での反応の均一性から鉄原料の
形状制限がある(例えば充填層方式においては塊状の鉄
原料しか使用できず、流動層方式では粉状の鉄原料しか
使用できない)等の欠点があることから、最近シンプル
な1段法が注目されつつある。
【0006】また、この1段法においては、スラグ中で
発生するCOガス、H2 ガスをスラグ上部の炉内空間
(以後2次燃焼帯と呼ぶ)で燃焼する割合(以後炉内2
次燃焼率と呼び、炉内2次燃焼率=(CO2 %+H2
%)/(CO2 %+CO%+H2 O%+H2 %)と定義
する)を上昇させ、その燃焼熱をスラグに有効に伝える
ことで、エネルギー効率を向上させる、即ち炭材原単位
を低減させることが可能なことは広く知られている。
【0007】ところが、スラグの上下方向の撹拌が十分
でない場合、スラグの下層への熱移動が小さくなり、ス
ラグの上層のみが加熱され、2次燃焼帯とスラグ上層の
温度差が小さくなり、2次燃焼帯からスラグへの熱移動
量が低下し、結果として2次燃焼帯を上昇させても炭材
原単位の低減代が小さくなるという課題があった。
【0008】この場合、2次燃焼帯からスラグへの熱移
動量が低下することから、2次燃焼帯の雰囲気温度が上
昇し、2次燃焼帯の炉壁に耐火物を内張りした場合に
は、耐火物の損耗量が急増するという課題があった。
【0009】そこで、これらの課題を解決するために、
底吹羽口と酸素上吹きランスを備え、炉壁に耐火物を内
張りした溶解炉に溶銑を入れ、底吹羽口から吹き込まれ
るガス量を制御し、スラグ組成及び遊離炭材量を制限し
て溶融還元する方法が、特開昭60−9815号公報で
提案されている。
【0010】しかしこの方法では、金属原料を還元する
と共に2次燃焼帯からスラグへの熱移動量を確保するた
めにスラグを強撹拌する必要があるが、この撹拌力を溶
融金属の撹拌を介してスラグに伝える点で精錬操作上大
きな難点があった。即ち、溶融金属撹拌ガス量が極めて
多いため、非酸素ガスでは溶融金属温度の低下を招き、
一方、温度維持のために酸素を含ませると溶融金属の酸
化を招くジレンマがある。
【0011】そこで、これらの課題を解決するために、
金属浴面下で金属を撹拌するために不活性ガスを吹き込
む羽口と、金属浴面上で且つスラグ面下に位置し、スラ
グ内に酸素又は酸素富化ガスを吹き込む羽口と酸素上吹
きランスとを備えた、炉壁に耐火物を内張りした溶融還
元炉を用いる方法が、特開昭61−279608号公報
で提案されている。
【0012】しかしこの方法であっても、金属を撹拌す
るために金属浴面下の羽口から不活性ガスを吹き込むた
めに、なお以下の課題を抱えている。 金属浴面下の羽口から吹き込まれる不活性ガスによ
り、溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられ、金属浴面
上で且つスラグ面下に位置した羽口からスラグ内に吹き
込まれる酸素又は酸素富化ガスにより再酸化され、還元
速度向上即ち生産速度向上の妨げとなる。
【0013】金属浴面下の羽口から吹き込まれる不活
性ガスにより、溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられ
スラグ中に懸濁するため、スラグの熱容量及び熱伝導率
が大きくなり、スラグに接する炉壁を水冷構造にでき
ず、耐火物構造にせざるを得ないため、この耐火物のス
ラグによる損耗が大きく、頻繁に補修又は張り替えする
必要がある。
【0014】スラグの熱容量及び熱伝導率が大きくな
るため、金属浴面上で且つスラグ面に位置した羽口につ
いても水冷構造にできず、消耗式羽口にせざるを得ない
ため、頻繁に交換する必要がある。
【0015】金属浴面下の羽口は、溶融金属の熱容量
及び熱伝導率が大きいため、水冷構造にできず、消耗式
羽口にせざるを得ないため、頻繁に交換する必要があ
る。 金属浴面下の羽口周辺の耐火物の損耗が大きく、頻繁
に補修又は張り替えする必要がある。
【0016】そこで、これらの課題を解決するために、
炉体を水平方向に貫通してスラグに向けられた下部羽口
を通じてスラグ中に純酸素及び/又は酸素富化ガスを吹
き込み、炉体を貫通して2次燃焼帯に向けられた上部羽
口を通じて2次燃焼帯に純酸素及び/又は酸素富化ガス
を吹き込み、炉内面の2次燃焼帯及びスラグに面した範
囲に水冷パネルを内張りした構造が、特開平1−502
276号公報で提案されている。この構造では、前述の
金属を撹拌するために不活性ガスを吹き込む金属浴面下
の羽口がないために、前述の〜の課題はすべて解決
している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の炉体
構造であっても、なお以下の課題を抱えている。この構
造では、前述の金属を撹拌するために不活性ガスを吹き
込む金属浴面下の羽口がないために、下部羽口より上に
位置するスラグは強撹拌されるものの、下部羽口より下
に位置する溶融金属浴及び溶融金属とスラグの界面が極
めて静かである。
【0018】そのため、2次燃焼帯からスラグへの熱移
動量は大きいので、スラグ中の還元反応は進むものの、
スラグから溶融金属への熱移動量は小さく、結果として
スラグと溶融金属の温度差が大きくなる。
【0019】溶融還元設備では、下行程の制約から炉か
ら排出される溶融金属温度が指定されるため、スラグと
溶融金属の温度差が大きいと、その分だけスラグの温度
を上げざるを得ず、その分だけ炉から排出される燃焼性
ガスの温度も上昇する。
【0020】従って、スラグと溶融金属の温度差が例え
ば約100℃ある場合、スラグと溶融金属の温度差がな
い場合に比べ、スラグと炉から排出される燃焼性ガスの
温度を約100℃上昇するに必要なエネルギーが余分に
必要となり、その分だけ炭材及び酸素原単位が上昇する
ことになる。
【0021】更に、前述のように炉から排出される燃焼
性ガス及びスラグの温度が約100℃上昇すると、炉内
面の2次燃焼帯及びスラグに面した範囲に水冷パネルを
内張りした場合、水冷パネルからの抜熱が増加するため
に、炭材及び酸素原単位が更に上昇することになる。
【0022】これは、2次燃焼帯に面した水冷パネルに
おいては、水冷パネルへの伝熱が輻射伝熱が主体のため
に、(燃焼性ガスの温度)4 −(水冷パネル)4 にほぼ
比例し、スラグに面した水冷パネルにおいては、水冷パ
ネルへの伝熱が対流伝熱が主体のために、(スラグの温
度)−(水冷パネル)にほぼ比例するためである。
【0023】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、その目的とするところは、
金属を撹拌するために金属浴面下の羽口からガスを吹き
込むことなしに、溶融金属とスラグの界面直上のスラグ
を撹拌し、スラグと溶融金属の相対速度を増大し、スラ
グから溶融金属への熱移動量を増大し、結果としてスラ
グと溶融金属の温度差を小さくする溶融還元設備を提供
することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、炉本体に金属原料、炭材及び媒溶剤を
添加し、炉体の側面を水平方向に貫通してスラグに向け
て配設された下部羽口を通じてスラグ中に酸素及び/又
は酸素富化ガスを吹き込んで、溶融金属を直接製造する
設備において、前記下部羽口の下方であって、炉内のス
ラグと溶融金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部
に、水平から下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽
口を配設し、該最下段羽口より不活性ガスを吹き込む如
くなしたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の溶融還元炉の炉体構造に
おいては、下部羽口の下方であって、炉内のスラグと溶
融金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部に、水平
から下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽口を配設
し、該最下段羽口より不活性ガスを吹き込む如くなした
ことにより、金属を撹拌するために金属浴面下の羽口か
らガスを吹き込むことなしに、溶融金属とスラグの界面
直上のスラグを撹拌し、スラグと溶融金属の相対速度を
増大し、スラグから溶融金属への熱移動量を増大し、結
果としてスラグと溶融金属の温度差を小さくすることが
可能となることで、以下の作用がある。
【0026】スラグと溶融金属の温度差が小さくな
り、その分だけスラグと炉から排出される燃焼性ガスの
温度を低下でき、その熱量の分だけ炭材及び酸素原単位
が低下する。
【0027】スラグと炉から排出される燃焼性ガスの
温度を低下でき、炉内面の2次燃焼帯及びスラグに面し
た範囲に水冷パネルを内張りした場合には、水冷パネル
の抜熱量が低下し、その熱量の分だけ炭材及び酸素原単
位が低下する。
【0028】炉から排出される燃焼性ガスの温度を低
下でき、炉内面の2次燃焼帯に面した範囲に耐火物を内
張りした場合には、耐火物の損耗速度を低減できること
で、補修又は張り替えの頻度が低下する。
【0029】溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられ
ることがないため、下部羽口からスラグ内に吹き込まれ
る酸素又は酸素富化ガスにより再酸化されることがな
く、還元速度向上即ち生産速度が向上する。
【0030】溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられ
ることがないため、スラグの熱容量及び熱伝導率が小さ
くなり、スラグに接する炉壁及び下部羽口を水冷構造に
でき、半永久的に使用できることで、耐火物、羽口コス
ト及び補修、交換のための操業停止頻度が激減する。 金属浴面下の羽口が必要でないため、耐火物、羽口コ
スト及び補修、交換のための操業停止頻度が激減する。
【0031】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図5に基づ
いて説明する。図1は、本発明に係わる溶融還元設備の
第1の実施例の炉体構造立断面図であり、図2はその側
面図である。図3は、本発明に係わる溶融還元設備の第
2の実施例の炉体構造立断面図であり、図4は、その下
部羽口と最下段羽口を一体化した羽口部分の拡大図であ
る。図5は特開平1−502276号公報で提案されて
いる従来技術の溶融還元設備の炉体構造立断面図であ
る。
【0032】(実施例1)まず、図1、図2を用いて第
1の実施例について説明する。炉体1は基礎2に固定さ
れ、炉内面は水冷パネル3及び耐火物4を内張りされて
おり、炉体1の上部には、鉄原料、炭材及び媒溶剤を添
加する原料投入口5、及び炉本体から発生する燃焼性ガ
スを排出するガス排出口6が配設されている。
【0033】炉体1の底部には溶銑7が溜まり、その上
部に溶銑7より比重の軽いスラグ8が溜まっており、溶
銑7は溶銑溜まり9を介して出銑口11から、スラグは
スラグ溜まり10を介して出滓口12から、それぞれ連
続又は断続的に排出される。
【0034】本実施例は鉄の還元の場合について説明す
るが、本発明が同様の溶融還元法によって製造される非
鉄金属及び鉄合金(例えばクロム、ニッケル、マンガン
等)の溶融還元設備についても適用されることは言うま
でもない。
【0035】原料投入口5から投入された鉄原料中の酸
化鉄(FeO及びFe2 3 )は、同じく原料投入口5
から投入された炭材中炭素分により、スラグ8中で以下
の式(1),(2)に示す反応により還元される。 FeO + C→ Fe+ CO (吸熱反応) …(1) Fe2 3 +3C→2Fe+3CO (吸熱反応) …(2) この溶融還元法においては、式(1),(2)の還元反
応はスラグ8中で行われるため、その還元速度即ち溶銑
の生産速度はスラグの体積にほぼ比例することは広く知
られている。
【0036】また、原料投入口5から投入された炭材中
炭素分の一部は、炉体1を貫通してスラグ8に向けて配
設された下部羽口13を通じてスラグ8中に吹き込まれ
る酸素と以下の式(3)に示す反応により酸化される。 C+1/2O2 →CO (発熱反応) …(3) この溶融還元炉のエネルギー効率即ち炭材原単位は、式
(1),(2),(3)の反応に必要な炭素分の合計に
よって決定される。
【0037】さらに、上記式(1),(2),(3)に
よりスラグ8中で発生したCOガス及び炭材中水素分
は、炉体1を貫通して2次燃焼帯16に向けて配設され
た上部羽口14を通じて2次燃焼帯16中に吹き込まれ
る酸素と以下の式の(4),(5)に示す反応により酸
化される。 CO+1/2O2 →CO2 (発熱反応) …(4) H2 +1/2O2 →H2 O (発熱反応) …(5)
【0038】この式(4),(5)の反応を炉内2次燃
焼と呼び、この2次燃焼の度合いの大小を以下の式
(6)で定義される炉内2次燃焼率で表すことと、この
2次燃焼率は上部羽口14を通じて2次燃焼帯16中に
吹き込まれる酸素の流量を増加することで増加すること
は広く知られている。 炉内2次燃焼率=(CO2 %+H2 O%) /(CO2 %+CO%+H2 O%+H2 %) …(6) 但し、(6)式中のCO2 %,CO%,H2 O%,H2
%は、ガス排出口6における燃焼性ガスの各成分の体積
分率を示す。
【0039】炉内2次燃焼率を上昇させると、2次燃焼
帯16における式(4),(5)の反応熱の一部がスラ
グ8に伝達し、スラグ中の式(3)の発熱反応に必要な
炭素分を減少せしめることで、炭材原単位が減少する。
【0040】炉内2次燃焼率を上昇したときの炭材原単
位の減少代を大きくするためには、前述のように2次燃
焼帯16における式(4),(5)の反応熱のスラグ8
への移動量を高める、即ちスラグの上下方向の撹拌を十
分に行うことが有効であるが、2次燃焼帯16からスラ
グ8への熱移動量は2次燃焼帯16の雰囲気温度とスラ
グ8の温度の差の関数でもあるため、溶融金属7とスラ
グ8の温度差を極力小さくし、スラグ8の温度を下げる
ことも極めて有効である。
【0041】そこで、図1に示す本発明に係わる溶融還
元設備では、前記下部羽口の下方であって、炉内のスラ
グと溶融金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部
に、水平から下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽
口15を配設し、該最下段羽口15から不活性ガスを吹
き込む如くなしたことにより、スラグ8と溶融金属7の
界面直上のスラグを撹拌し、スラグ8と溶融金属7の相
対速度を増加し、スラグ8から溶融金属7への熱移動量
を増加する。
【0042】最下段羽口15の下向き角度に関しては、
発明者らが実施したモデルテストの結果から、45°以
上にすると溶融金属8の最下段羽口15から吹き込まれ
た不活性ガスと接触する部分に窪みが発生し、溶融金属
7の粒がスラグ8中に吹き上げられること、及びスラグ
8と溶融金属7の界面から最下段羽口15までの高さ方
向の距離が小さい場合には、下向き角度が0°であって
もスラグ8と溶融金属7の界面直上のスラグは十分に撹
拌されることが確認されたので、最下段羽口15の下向
き角度は0〜40°の範囲にすることが好ましい。
【0043】図5で示す特開平1−502276号公報
で提案された従来技術では、下部羽口13から吹き込ま
れる酸素及び/又は酸素富化ガスが溶融金属7と直接接
触することを避けるため、下部羽口13はスラグ8と溶
融金属7の界面から約1000mm上方に配設されてい
る。
【0044】また、最下段羽口15は水冷構造にし半永
久的に使用可能とした方が好ましいので、溶融金属7上
面の波立ちを考慮して、最下段羽口15はスラグ8と溶
融金属7の界面から約200〜1000mm上方に配設さ
れるのが好ましい。
【0045】(実施例2)次に図3、図4を用いて、第
2の実施例について説明する。第2の実施例は、下部羽
口13と最下段羽口15を一体化した例であり、この一
体化した水冷構造の羽口は、前述のように下部羽口13
から吹き込まれる酸素が溶融金属7と直接接触すること
を避けるため、スラグ8と溶融金属7の界面から約10
00mm上方に配設されている。
【0046】下部羽口13から吹き込まれる酸素即ち前
記反応式(3)に必要な酸素は、前述のように溶融金属
7と直接接触することを避けるため、水平方向に向けて
スラグ中に吹き込まれ、一方、最下段羽口15から吹き
込まれる不活性ガスは、スラグ8と溶融金属7の界面直
上のスラグを撹拌するために、水平から下向きに指向せ
しめて吹き込まれる。
【0047】この時の最下段羽口15の下向き角度に関
しては、スラグ8と溶融金属7の界面から最下段羽口1
5までの高さ方向の距離が1000mmと大きいため、3
0〜45°の範囲にすることが好ましい。
【0048】以下の表1に、特開平1−502276号
公報で提案された従来技術、及び本発明に係わる溶融還
元設備の炭材及び酸素原単位の1例を示す。
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の溶融還元炉の炉体構造において
は、前記下部羽口の下方であって、炉内のスラグと溶融
金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部に、水平か
ら下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽口を配設
し、該最下段羽口より不活性ガスを吹き込む如くなした
ことにより、スラグと溶融金属の界面直上のスラグを撹
拌し、スラグと溶融金属の相対速度を増加し、スラグか
ら溶融金属への熱移動量を増加し、結果としてスラグと
溶融金属の温度差を小さくすることが可能となること
で、以下の効果が期待できる。
【0050】スラグと溶融金属の温度差が小さくな
り、その分だけスラグと炉から排出される燃焼性ガスの
温度を低下でき、その熱量の分だけ炭材及び酸素原単位
が低下する。 スラグと炉から排出される燃焼性ガスの温度を低下で
き、炉内面の2次燃焼帯及びスラグに面した範囲に水冷
パネルを内張りした場合には、水冷パネルの抜熱量が低
下し、その熱量の分だけ炭材及び酸素原単位が低下す
る。
【0051】炉から排出される燃焼性ガスの温度を低
下でき、炉内面の2次燃焼帯に面した範囲に耐火物を内
張りした場合には、耐火物の損耗速度を低減できること
で、補修又は張り替えの頻度が低下する。 溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられることがない
ため、下部羽口からスラグ内に吹き込まれる酸素又は酸
素富化ガスにより再酸化されることがなく、還元速度向
上即ち生産速度が向上する。
【0052】溶融金属の粒がスラグ中に吹き上げられ
ることがないため、スラグの熱容量及び熱伝導率が小さ
くなり、スラグに接する炉壁及び下部羽口を水冷構造に
でき、半永久的に使用できることで、耐火物、羽口コス
ト及び補修、交換のための操業停止頻度が激減する。 金属浴面下の羽口が必要でないため、耐火物、羽口コ
スト及び補修、交換のための操業停止頻度が激減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる溶融還元設備の第1の実施例の
炉体構造立断面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明に係わる溶融還元設備の第2の実施例の
炉体構造立断面図。
【図4】図3の下部羽口と最下段羽口を一体化した羽口
部分の拡大図。
【図5】特開平1−502276号公報で提案されてい
る従来技術の溶融還元設備の炉体構造立断面図。
【符号の説明】 1 炉体 2 基礎 3 水冷パネル 4 耐火物 5 原料投入口 6 ガス排出口 7 溶銑 8 スラグ 9 溶銑溜まり 10 スラグ溜まり 11 出銑口 12 出滓口 13 下部羽口 14 上部羽口 15 最下段羽口 16 2次燃焼帯 θ 最下段羽口15の下向き角度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉本体に金属原料、炭材及び媒溶剤を添
    加し、炉体の側面を水平方向に貫通してスラグに向けて
    配設された下部羽口を通じてスラグ中に酸素及び/又は
    酸素富化ガスを吹き込んで、溶融金属を直接製造する設
    備において、前記下部羽口の下方であって、炉内のスラ
    グと溶融金属の界面に相当する位置までの炉体側壁部
    に、水平から下向きに0〜45°指向せしめた最下段羽
    口を配設し、該最下段羽口より不活性ガスを吹き込む如
    くなしたことを特徴とする溶融還元設備の炉体構造。
JP8397796A 1996-04-05 1996-04-05 溶融還元設備の炉体構造 Withdrawn JPH09272907A (ja)

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