JP2725466B2 - 溶融還元製鉄法 - Google Patents

溶融還元製鉄法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、転炉型溶融還元炉を
用いて鉄鉱石を溶融状態で還元する溶融還元製鉄法に関
し、特に酸素および鉄浴攪拌用ガスの吹き込み法を改善
することにより、二次燃焼比率および二次燃焼熱の浴へ
の伝熱効率(以下、着熱効率という)とを高めて熱効率
よく鉄鉱石を溶融還元し、操業の経済性を高めることを
特徴とする溶融還元製鉄法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、銑鉄の大部分は高炉で製造されて
いる。高炉製銑法そのものは永年の技術蓄積によって大
量生産技術が確立している。しかし高炉は鉄源としては
焼結鉱などの塊成鉱を、燃料としては高品位のコークス
を使用するものであり、原燃料の制約がある。
【0003】そこで最近では、転炉型式の炉に鉄鉱石と
炭材(石炭)および造滓剤を供給し、鉄浴面より上方に
位置する上吹きランスまたは上吹きランスと横吹き羽口
から酸素を底吹羽口から酸素または窒素などの鉄浴攪拌
用ガスを吹き込み、炉内生成ガスを二次燃焼させて鉄鉱
石を溶融還元する方法が提案されている(例えば、特開
昭62−4810号、特開昭62− 60805号、特開平2−282410
号の各公報参照)。
【0004】ところで溶融還元製鉄法では、二次燃焼比
率を上げ、かつ二次燃焼熱を効率よく浴へ着熱させて、
多量の吸熱反応を伴う鉱石の溶融還元反応に利用するこ
とにより、石炭などの燃料および酸素などの支燃性ガス
の消費量を節減できることは一般に知られている。この
ため特開昭62−4810号公報では、上吹きランスおよび底
吹き羽口から酸素を供給するとともに炉側壁に設けたノ
ズルから酸素を吹き込んで二次燃焼比率および着熱効率
の向上を図ることが提案されている。しかしながら炉側
壁に設けたノズルの位置が高過ぎると着熱効率が低下
し、低過ぎると二次燃焼比率が低下するという問題があ
った。なお、二次燃焼とは、炉内で発生した可燃性ガス
が酸素によって燃焼することを言い、二次燃焼比率 (即
ち、酸化度) は、炉の排ガス分析値から後述する式に
よって算出される値である。
【0005】上記の問題点を解決するため、本出願人は
上・底吹き転炉の側壁に、羽口と鉄浴面との距離が炉径
の 0.3〜1.5 倍の範囲内になるように横吹き羽口を設
け、上吹きランスおよび横吹き羽口から酸素を吹き込
み、底吹き羽口から鉄浴攪拌用の窒素を吹き込んで鉱石
を溶融還元する方法を特開平2−282410号公報に開示し
た。
【0006】この方法によって二次燃焼比率および熱着
効率の向上が可能になった。しかしながら、さらに熱効
率を改善するため、底吹き鉄浴攪拌用窒素流量を増加す
るあるいは上吹き酸素ランス位置を低下すると、着熱効
率は高くなるが、二次燃焼比率が減少する。即ち、二次
燃焼比率と着熱効率の両者をいずれも高値に保つのは難
しい。この事情は横吹き羽口から酸素を吹き込んでも吹
き込まなくても同じである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】溶融還元製鉄法におい
ては、エネルギー利用効率の向上が最も重要な課題の一
つである。本発明の目的は、転炉型溶融還元炉を用いて
鉄鉱石を溶融還元する際に二次燃焼比率と着熱効率との
いずれか一方を高めると、他方が低下するという問題を
解決し、二次燃焼比率と着熱効率とをともに高位に維持
してエネルギー利用効率を高め、石炭および酸素消費量
を節減することができる溶融還元製鉄法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、転炉型溶融
還元炉を用いる溶融還元製鉄法において、上吹き酸素が
スラグ浴面におよぼす衝撃力と底吹きガスの攪拌力とを
調整すること、および酸素を横吹きする場合は側壁羽口
を適正位置に設置することにより、上記の問題が解決で
きることを見出した。
【0009】前述のように、着熱効率を高めるには底吹
ガスによる攪拌を強化すること、および上吹きランスの
位置を下げることが有効である。しかし、このようにす
ると二次燃焼比率が下がる。この二次燃焼比率の低下の
原因を究明したところ、つぎのような現象がその主たる
原因であるこが判明した。即ち、炉内には溶鉄の上にス
ラグ層が形成されているが、その中には底吹きガスによ
って噴き上げられた粒鉄が多量に混在している。この粒
鉄は、スラグ層の下方ほど多いのであるが、底吹ガスに
よる攪拌を強化すると、この粒鉄を多量に含むスラグ層
( 以下、「粒鉄多在層」という) が上の方まで上がって
くる。この状態で上吹きランスを下げて酸素を吹きつけ
ると、スラグ中の粒鉄が酸化され、即ち、酸素が粒鉄の
酸化に消耗され、二次燃焼比率が下がるのである。
【0010】そこで、上記の粒鉄多在層と上吹き酸素と
の接触を少なくするような操業を行えば、二次燃焼比率
を向上させることが可能になる。本発明は、このような
考え方を基本としてなされたものである。
【0011】本発明の要旨は、下記の(イ) 、(ロ) 、(ハ)
、 (ニ)および(ホ) を特徴する溶融還元製鉄法にある。
【0012】 (イ) 溶融鉄と溶融スラグが存在する炉に鉄酸化物と固体
炭素を含む燃料と造滓剤とを供給し、上吹きランスから
酸素を吹き込み、底吹き羽口から浴攪拌用ガスを吹き込
んで、上記鉄酸化物を溶融状態で還元する溶融還元製鉄
法において、 (ロ) 溶融還元中の炉内スラグ層厚 (Ls0) を1〜8mの
範囲に保ち、 (ハ) スラグの粒鉄多在層厚 (△h) が下記式の条件を
満たすように底吹きガス流量および鉄浴深さを調整し、 (ニ) スラグ浴面の凹み深さ (L) が下記式の条件を満
たすように上吹き酸素流速およびランスとスラグ浴面と
の距離を調整し、更に、 (ホ) 横吹き羽口を、鉄浴面から羽口までの高さ (y) が
下記式の条件を満たすように炉壁に設置し、この横吹
き羽口から全酸素吹き込み量の10〜50%の酸素を吹き込
む。
【0013】 0.15<△h/Ls0<0.6 ・・・ 0.5 <(L+△h)/Ls0<0.9 ・・・ △h<y< 0.7・Ls0 ・・・ さらにまた、横吹き羽口から微粉炭を酸素と共に吹き込
むこともできる。
【0014】上記の本発明方法において、鉄酸化物と
は、鉄鉱石、還元鉄、ペレット等であり、固体炭素を含
む燃料とは、主に石炭であるが、コークス、黒鉛、ター
ル等もも使用できる。造滓剤としては、生石灰、軽焼ド
ロマイトが用いられる。また、底吹き羽口から吹き込む
浴攪拌ガスは、窒素、CO、あるいは溶融還元炉からの排
ガスである。
【0015】図1は、本発明方法の原理と上記の〜
式および後述する〜式の中の記号を説明するための
溶融還元炉の断面略図である。図示のとおり、Ls0はス
ラグ層の厚さ(m)、△hはその中の粒鉄多在層の厚さ
(m)である。また、溶鉄の深さをH(m)、ランスと
スラグ面との距離をa(m)、上吹き酸素によるスラグ
の凹み深さをL(m)とし、溶鉄面から横吹き羽口まで
の距離をy(m)とする。
【0016】スラグの粒鉄多在層というのは、ここでは
スラグ中の粒鉄が10重量%以上である層を意味し、その
厚さ△hは、底吹きガス流量と鉄浴深さから下記の関
係式を用いて算出できる。これに基づいて前記式の条
件を満たすように溶融還元中の底吹きガス流量を調整す
る。また横吹き羽口は下記式に基づいて前記式の条
件を満たすように設置する。
【0017】 △h=0.0012・H-1.5・E2/3 E=28.5・Q・T・log(1+H/1.48Pa) ・・・ ただし、△h:スラグの粒鉄多在層厚(m) H:溶融鉄浴深さ(m) E:底吹き羽口1本あたりの溶融鉄攪拌エネルギー(Watt) Q:底吹きガス流量 (Nm3/min) T:鉄浴温度 (°K) Pa:炉内圧力 (atm) またスラグ浴面の凹み深さLmmは、上吹き酸素流速とラ
ンス−スラグ面間距離とから、下記の関係式を用いて
算出できる。これに基づいて前記式を満たすよう、溶
融還元中の上吹き酸素流量に応じてランス−スラグ浴面
間距離aを調整する。
【0018】 v・d= 0.3・ (L+a)・L1/2 ・Pa1/2 ・・・ ただし、v:ノズル出口平均見掛け酸素流速(m/sec) d:ノズルスロート部径(mm) L:スラグ浴面の凹み深さ(mm) a:ランス−スラグ浴面間距離(mm)
【0019】
【作用】図2は本発明の実施に用いる転炉型溶融還元炉
の概略断面図である。このような転炉型溶融還元炉を用
いて鉄鉱石を溶融還元する工程は次のとおりである。
【0020】まず、溶融還元後炉1内の炭素 4.5%程度
を含む溶融鉄浴6と溶融スラグ浴7の約半量を出銑、出
滓し、残りを炉1内に残存させる。そして、炉内に塊状
または粉状の鉄鉱石9および石炭10を供給し、上吹きラ
ンス4と横吹き羽口3とから酸素11を吹き込み、底吹き
羽口2から浴攪拌用ガス12を吹き込む。
【0021】このとき石炭10は溶融鉄浴6中に溶解する
とともに、酸素11によって酸化される。この酸化熱で鉄
鉱石9が溶融し、石炭10および溶融鉄浴6中の炭素で還
元されて鉄とCOガスを生成する。この還元反応は底吹き
羽口2の浴攪拌用ガス12の吹き込みで促進される。また
底吹きガス12の吹き込みでスラグ浴7内へ粒鉄8が巻き
込まれて、スラグ浴7内に懸濁する。生成したCOガスは
上吹きランス4と横吹き羽口3から吹き込まれた酸素11
によって二次燃焼して CO2ガスとなり、その顕熱は溶融
鉄浴6、スラグ浴7へ伝熱され、熱交換した後、排ガス
5として排気される。
【0022】鉄鉱石の溶融還元反応は吸熱反応であるた
め、前述のように二次燃焼比率および着熱効率を高めて
熱を充分に供給することが溶融還元製鉄法では最も重要
である。
【0023】本発明の方法において、溶融還元中の炉内
スラグ層厚Ls0を1〜8mの範囲に保つのは下記の理由
による。
【0024】溶融還元中の炉内スラグ層厚Ls0が1m未
満になると、上吹き酸素が鉄浴面に接近しすぎるので溶
融鉄浴の直接酸化が二次燃焼に優先して進行し、二次燃
焼が阻害される。また8mを超えるとスラグ浴が深すぎ
てスラグの均一混合が難しく、炉内の上下間の温度差が
大きくなって好ましくない。従って、Ls0は実用炉規模
では炉形状にかかわらず1〜8mの範囲に保つ必要があ
る。このとき、スラグの粒鉄多在層の厚さ (△h) およ
びスラグ浴面の凹み深さ (L) はそれぞれ前記式およ
び式を満足しなければならない。その理由は下記のと
おりである。
【0025】前述のように、着熱効率を高めるには底吹
き攪拌の強化、あるいは上吹きランスの位置低下が有効
であるが、この処置は同時に二次燃焼比率の低下をもた
らす。すなわち、底吹きガス流量を増加して浴攪拌を強
化すると前記式に示すようにスラグの粒鉄多在層厚△
hが大きくなる。そしてその層中に酸素を吹き込むと酸
素と粒鉄との反応が優先して進行し、二次燃焼比率が低
下するのである。
【0026】また、上吹きランス位置を下げると前記
式に示すようにスラグ浴面の凹み深さLが深くなる。し
かし、粒鉄多在層の位置まで上吹き酸素が到達しないよ
うにすると、酸素と粒鉄との直接反応が抑制され、底吹
きガス吹込み条件、上吹き酸素吹込み条件はいずれも二
次燃焼比率にほとんど影響しない。
【0027】従って、△h/Ls0および(L+△h)/
Ls0を適正な範囲に保持することにより二次燃焼比率を
低下させることなく、着熱効率を高める操業方法が可能
になる。
【0028】なお、二次燃焼比率ηa および着熱効率η
b はそれぞれ下記式および式で表される。
【0029】 ηa =〔{( %CO2)+( %H2O)}/{( %CO2)+( %CO)+( %H2O)+( %H2) }〕×100 (%) ・・・ ただし、( )内は排ガス成分で、%は容量%である。
【0030】 ηb =〔1− (Qs /Qpc)〕×100 (%) ・・・ ただし、QpcはCOおよびH2の燃焼熱、Qs は排ガススー
パーヒートで下記式で表される。
【0031】 Qs =(総入熱)−(溶鉄およびスラグの顕熱増加分)−(鉄浴温度相当分の ガス顕熱)−(鉱石の還元熱)−(石炭の分解熱)−(炉体からの放散熱) − (炭素溶解熱)−(原料中のH2O 蒸発熱) ・・・ 図3に二次燃焼比率ηa および着熱効率ηb と△h/L
s0との関係を示す。図に示すように△h/Ls0が0.15以
下では△hが小さくなりすぎ、スラグ下部層の攪拌が不
十分になるので炉内の温度分布が不均一になり着熱効率
が急激に低下する。一方、△h/Ls0が 0.6以上では△
hが大きくなりすぎ、スラグ層内の高い位置まで粒鉄が
存在するので一般的な上吹き送酸法では酸素と粒鉄との
接触が避けられず、二次燃焼比率が急激に低下する。従
って、二次燃焼比率と着熱効率とを同時に高めるには、
前記式に基づいて底吹きガス流量および鉄浴深さを調
整して△h/Ls0が0.15<△h/Ls0<0.6 の条件を満
たすようにするのが望ましい。
【0032】図4に二次燃焼比率ηa および着熱効率η
b と(L+△h)/Ls0との関係を示す。図示のように
(L+△h)/Ls0が 0.5以下ではスラグ層の攪拌が不
十分になって着熱効率が低下し、 0.9以上では上吹き酸
素とスラグ層中の粒鉄との接触によって二次燃焼比率が
急激に低下する。従って、二次燃焼比率と着熱効率とを
ともに高位に安定させるには、前記式および式に基
づいてそれぞれ底吹きガス流量と鉄浴深さおよび上吹き
酸素流速とランス−スラグ浴面間距離を調整して、(L
+△h)が 0.5<(L+△h)/Ls0<0.9 の条件を満
たすようにするのが望ましい。
【0033】つぎに横吹き羽口からの酸素の吹き込みに
ついて説明する。
【0034】これまでに述べた方法では、炉内スラグの
攪拌を主として底吹きガスで行い、さらに補助的にスラ
グ上部層については上吹き酸素で行っている。しかし、
これらの攪拌法には△hや△h+Lの制約があるので、
スラグ上部層の攪拌をさらに強化するためスラグ内の粒
鉄と酸素とが接触しないようにして、全酸素吹込み量の
10〜50%の酸素を横吹きすることが必要である。
【0035】横吹き羽口の鉄浴面からの高さ位置yは、
粒鉄との接触を避けるため△hより高くする必要があ
る。一方、あまり上方すぎるとスラグ浴深さが不充分に
なり上層部スラグ浴の攪拌が有効に行えない。
【0036】図5に二次燃焼比率ηa および着熱効率η
b とy/Ls0との関係を示す。なお、図5は△h/Ls0
=0.3 、横吹き酸素ガス比率=50%の条件で横吹き羽口
の鉄浴面からの高さ位置を変更して調査した結果であ
る。
【0037】図に示すようにyを△hより低い位置に設
定してy/Ls0が 0.3以下、即ち、△h/Ls0=0.3 の
条件であることを考慮すれば、△h≧yになると二次燃
焼比率が低下し、y/Ls0が 0.7を超えると上層部スラ
グ浴の攪拌が不充分になり着熱効率が悪くなった。従っ
て、二次燃焼比率と着熱効率とを同時に高めるには横吹
き羽口の鉄浴面からの高さ位置yが△h<y< 0.7・L
s0の条件を満たすようにするのが望ましい。
【0038】また横吹き酸素ガス比率、即ち、炉に吹き
込む全酸素に対する横吹き羽口からの酸素吹込量が、10
%より少ないと、横吹きの実効がない。一方、これを50
%を超える量にすれば、横吹き羽口の数が多くなり、設
備的に複雑になりすぎるし、ガスの吹き抜けや合体がお
きやすくなり、攪拌効果の向上は望めない。従って横吹
き酸素ガス比率は10〜50%が望ましい。
【0039】横吹き羽口を使用するに際し、この羽口か
ら酸素と同時に微粉炭を吹き込むことも有効である。微
粉炭を吹き込むことによりその揮発分がスラグ中で分解
してスラグ攪拌に寄与し、着熱効率の改善に結びつくほ
か、微粉炭は燃焼反応効率も高く、総合的に石炭原単位
の低減に有効である。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を具体的に
説明する。
【0041】先に説明した図2に示す転炉型溶融還元炉
(溶融鉄浴5トン規模)を用いて、前述した方法で鉄鉱
石の溶融還元を行った。
【0042】転炉型溶融還元炉の炉体寸法は内径1600m
m、炉底から炉口までの高さ3800mm、炉内容積 6 m3
ある。上吹きランスはノズル孔数6、ノズル内径10mmの
ものを使用した。底吹き羽口は炉底に2ヶ所設置し、横
吹き羽口は鋼浴面上 0.8mの高さ位置に4ヶ所設置し
た。
【0043】表1に使用した溶融鉄(溶銑)、鉄鉱石、
石炭および造滓剤(生石灰)の化学組成等を示す。
【0044】
【表1】
【0045】炉内に上記の溶銑5トンを予め装入してお
き、表2に示す条件下で操業を行った。
【0046】実施例1は、上吹き送酸と底吹き窒素攪拌
に横吹き送酸を行う本発明の方法、実施例2は、更に横
吹き羽口から微粉炭を酸素と共に吹き込む本発明の方法
である。
【0047】比較例は、実施例1と同様、上・底吹きに
加えて横吹き酸素を用いるが、横吹き羽口が溶融鉄浴面
上の高い位置に設置されている例である。
【0048】表2に各種操業方法による操業結果を併せ
て示す。
【0049】上・底吹きに横吹きを加えた実施例1と比
較例とを対比すると、比較例は実施例1とほぼ等しい△
h/Ls0、(L+△h)/Ls0値であるが、横吹き羽口
の設置位置が 0.7・Ls0より高いため上層部スラグ浴の
攪拌が不充分となり、着熱効率が実施例1より低い。こ
のため実施例1より石炭原単位および酸素使用量が高く
なっている。
【0050】横吹き酸素と同時に微粉炭を吹き込んだ実
施例2では、実施例1よりも一層低い石炭原単位および
酸素使用量で鉄鉱石の溶融還元を行うことができた。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明方法によれば転炉型溶融還元炉を
用いて二次燃焼比率と着熱効率とを同時に高くして高い
熱効率で鉄鉱石を溶融還元することができる。従って、
石炭消費量および酸素消費量を下げて溶鉄の製造コスト
を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための転炉型溶融還元
炉の概略断面図である。
【図2】本発明の実施に用いる転炉型溶融還元炉の断面
図である。
【図3】二次燃焼比率ηa および着熱効率ηb と(スラ
グの粒鉄多在層厚△h)/(炉内スラグ層厚Ls0)との
関係を示す図である。
【図4】二次燃焼比率ηa および着熱効率ηb と{(ス
ラグ浴面の凹み深さL)+(スラグ中粒鉄多在層厚△
h)}/(炉内スラグ層厚Ls0)との関係を示す図であ
る。
【図5】二次燃焼比率ηa および着熱効率ηb と(鉄浴
面かまら横吹き羽口までの高さy)/(炉内スラグ層厚
Ls0)との関係を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融鉄と溶融スラグが存在する炉に鉄酸化
    物と固体炭素を含む燃料と造滓材とを供給し、上吹きラ
    ンスから酸素を吹き込み、底吹き羽口から撹拌用ガスを
    吹き込んで、上記鉄酸化物を溶融状態で還元する溶融還
    元製鉄法において、溶融還元中の炉内スラグ層厚(L
    s0)を1〜8mの範囲に保ち、スラグの粒鉄多在層の厚
    さ(Δh)が下記式の条件を満たすように底吹きガス
    流量および鉄浴深さを調整し、スラグ浴面の凹み深さ
    (L)が下記式の条件を満たすように上吹き酸素流速
    およびランスとスラグ浴面との距離を調整し、更に横吹
    き羽口を、鉄浴面から羽口までの高さ(y)が下記式
    の条件を満たすように炉壁に設置し、この横吹き羽口か
    ら全酸素吹き込み量の10〜50%の酸素を吹き込むこ
    とを特徴とする溶融還元製鉄法。 0.15<Δh/Ls0<0.6 ・・・ 0.5<(L+Δh)/Ls0<0.9 ・・・ Δh<y<0.7・Ls0 ・・・
  2. 【請求項2】横吹き羽口から微粉炭を酸素とともに吹き
    込むことを特徴とする請求項の溶融還元製鉄法。
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