JP2736555B2 - 金属の溶融還元法 - Google Patents
金属の溶融還元法Info
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- JP2736555B2 JP2736555B2 JP28045989A JP28045989A JP2736555B2 JP 2736555 B2 JP2736555 B2 JP 2736555B2 JP 28045989 A JP28045989 A JP 28045989A JP 28045989 A JP28045989 A JP 28045989A JP 2736555 B2 JP2736555 B2 JP 2736555B2
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は金属酸化物の溶融還元法に関し、特に、鉄お
よび合金鉄の溶融還元法に係わるものである。
よび合金鉄の溶融還元法に係わるものである。
<従来の技術> 鉄浴式の溶融還元法(以下、溶融還元と言う)では、
鉱石を溶融し、還元する媒体として炉内に多量に存在す
るスラグを活用する操業法があり、この方式での反応、
伝熱および安定操業方法について種々開発が進められて
いる。
鉱石を溶融し、還元する媒体として炉内に多量に存在す
るスラグを活用する操業法があり、この方式での反応、
伝熱および安定操業方法について種々開発が進められて
いる。
例えば、特開昭61−221322号公報では、転炉型容器内
において、スラグに二次燃焼熱を伝達し、更にスラグ浴
をガスで撹拌して前記熱を溶融金属に伝達する技術が開
示されており、撹拌法としては、スラグ内および溶融金
属内にガスを吹き込み、伝熱を促進する技術が示されて
いる。また特開昭61−213310号公報には、上底吹きが可
能な転炉型の容器で溶融還元を行う際、スラグ量を25
0kg/t以上、底吹きされるガス量を全ガス量の3〜40
%、スラグのMgO+Al2O3≦23%の条件として、熱利用
効率を向上する技術が開示されている。
において、スラグに二次燃焼熱を伝達し、更にスラグ浴
をガスで撹拌して前記熱を溶融金属に伝達する技術が開
示されており、撹拌法としては、スラグ内および溶融金
属内にガスを吹き込み、伝熱を促進する技術が示されて
いる。また特開昭61−213310号公報には、上底吹きが可
能な転炉型の容器で溶融還元を行う際、スラグ量を25
0kg/t以上、底吹きされるガス量を全ガス量の3〜40
%、スラグのMgO+Al2O3≦23%の条件として、熱利用
効率を向上する技術が開示されている。
ところで溶融還元において主原料としての鉱石は、上
方もしくは、炉底から供給され、鉄浴内もしくはスラグ
内で溶解し、酸化鉄の形態でスラグ中に溶解する。この
酸化鉄は、溶銑中に溶存している炭素およびスラグ中に
混在しているコークスもしくはチャーの形態をしている
炭材により、還元されて溶銑となる。
方もしくは、炉底から供給され、鉄浴内もしくはスラグ
内で溶解し、酸化鉄の形態でスラグ中に溶解する。この
酸化鉄は、溶銑中に溶存している炭素およびスラグ中に
混在しているコークスもしくはチャーの形態をしている
炭材により、還元されて溶銑となる。
前記鉱石を還元する際には多量の還元熱が必要であ
り、このため溶融還元法では、炉内に酸素もしくは、酸
素を含むガスを供給して、燃料として供給される石炭・
コークス・石油乾留残差等の炭素もしくは炭化水素を燃
焼させて、この熱を補う操業が実施される。また鉄浴か
ら発生するCOガスおよびH2ガスを、更にCO2ガスおよびH
2Oガスまで燃焼させる二次燃焼によって炉内において多
量の熱を発生させ、前記還元のために必要な熱量を確保
する技術開発も積極的に進められている。
り、このため溶融還元法では、炉内に酸素もしくは、酸
素を含むガスを供給して、燃料として供給される石炭・
コークス・石油乾留残差等の炭素もしくは炭化水素を燃
焼させて、この熱を補う操業が実施される。また鉄浴か
ら発生するCOガスおよびH2ガスを、更にCO2ガスおよびH
2Oガスまで燃焼させる二次燃焼によって炉内において多
量の熱を発生させ、前記還元のために必要な熱量を確保
する技術開発も積極的に進められている。
この際、溶銑およびスラグを撹拌することは、反応お
よび伝熱を促進するうえから効果的な方法であり、熱効
率を向上させるための一手段として溶銑およびスラグを
撹拌するための種々の技術が採用されている。この撹拌
は、上吹きの酸素を鉄浴から遮断して、メタルの再酸化
を防止するとともにスラグ内で還元反応を起こすために
も有効に機能する。
よび伝熱を促進するうえから効果的な方法であり、熱効
率を向上させるための一手段として溶銑およびスラグを
撹拌するための種々の技術が採用されている。この撹拌
は、上吹きの酸素を鉄浴から遮断して、メタルの再酸化
を防止するとともにスラグ内で還元反応を起こすために
も有効に機能する。
一方、スラグ中に懸濁する炭材は、スラグに溶解して
いる酸化鉄をその表面で還元したり、燃焼熱の伝熱媒体
の機能を持っている。加えてスラグ中で酸化鉄の還元反
応により発生する一酸化炭素の微小気泡を合体する働き
も有しており、発生するガスによるスラグの過剰な泡立
ちを抑制して、炉口からスラグが突沸することにより操
業が続行できない現象(以下、スロッピングと称する)
を抑制する機能も果たしている。このような炭材の有す
る機能を有効に活用するためにも、スラグを循環させ、
炭材をスラグ内に均一に分布させる前記スラグの撹拌は
重要な手段である。スラグの撹拌方法としては、鉄浴へ
ガスを吹き込むことにより、スラグを撹拌する方法と、
スラグに直接ガスを吹き込む方法、及び機械的な回転体
でスラグを撹拌する方法等がある。しかしながらスラグ
に直接ガスを吹き込む方法では、ガスは炉の側壁から供
給されるため、壁際のスラグの撹拌は良いものの、特に
大型炉では、中心部のスラグの撹拌はほとんどできない
と言う問題を抱えている。また、回転体でスラグを撹拌
する方法については、溶融還元のスラグは耐火物の浸食
性が強いため、回転体の耐用性がきわめて短く、しかも
高温かつ高ダスト濃度の炉内に機械的に作動する物体を
装着することは、整備上の問題点が大きかった。このた
め実用化にはほど遠く、従って、従来は鉄浴へガスを吹
込むことにより、スラグの撹拌を行う方法が一般的であ
った。
いる酸化鉄をその表面で還元したり、燃焼熱の伝熱媒体
の機能を持っている。加えてスラグ中で酸化鉄の還元反
応により発生する一酸化炭素の微小気泡を合体する働き
も有しており、発生するガスによるスラグの過剰な泡立
ちを抑制して、炉口からスラグが突沸することにより操
業が続行できない現象(以下、スロッピングと称する)
を抑制する機能も果たしている。このような炭材の有す
る機能を有効に活用するためにも、スラグを循環させ、
炭材をスラグ内に均一に分布させる前記スラグの撹拌は
重要な手段である。スラグの撹拌方法としては、鉄浴へ
ガスを吹き込むことにより、スラグを撹拌する方法と、
スラグに直接ガスを吹き込む方法、及び機械的な回転体
でスラグを撹拌する方法等がある。しかしながらスラグ
に直接ガスを吹き込む方法では、ガスは炉の側壁から供
給されるため、壁際のスラグの撹拌は良いものの、特に
大型炉では、中心部のスラグの撹拌はほとんどできない
と言う問題を抱えている。また、回転体でスラグを撹拌
する方法については、溶融還元のスラグは耐火物の浸食
性が強いため、回転体の耐用性がきわめて短く、しかも
高温かつ高ダスト濃度の炉内に機械的に作動する物体を
装着することは、整備上の問題点が大きかった。このた
め実用化にはほど遠く、従って、従来は鉄浴へガスを吹
込むことにより、スラグの撹拌を行う方法が一般的であ
った。
鉄浴への撹拌ガスの吹き込みは、鉄浴内の物質および
熱の移動を促進して、成分と温度を均一にする効果を有
するとともに、スラグ−メタル間の界面を効果的に撹拌
して、還元反応速度をさらに向上させる効果もある。
熱の移動を促進して、成分と温度を均一にする効果を有
するとともに、スラグ−メタル間の界面を効果的に撹拌
して、還元反応速度をさらに向上させる効果もある。
ところが前述した従来技術における操業では、伝熱効
率と反応速度を向上させることのみに注目して、単にス
ラグを良好に撹拌すれば良いと言っただけの技術思想し
かなく、スラグの撹拌以外のこと、例えば、底吹き撹拌
を適正な範囲に制御して、ダスト発生量を抑制すること
等については、十分な研究がなされていなかった。ま
た、従来の溶融還元法の開発は、1〜10ton炉程度の非
常に小型な試験炉で、研究開発がされてきたことから、
撹拌ガスの羽口1本当たりのガス流量は数十〜100Nm3/h
r程度の少量であった。このため、羽口1本当りのガス
流量を増加させた場合の影響については、全く解明され
ておらず、大型炉で必然的に実施される大流量の底吹き
ガス吹き込み時の問題点については、未解決の状態であ
った。
率と反応速度を向上させることのみに注目して、単にス
ラグを良好に撹拌すれば良いと言っただけの技術思想し
かなく、スラグの撹拌以外のこと、例えば、底吹き撹拌
を適正な範囲に制御して、ダスト発生量を抑制すること
等については、十分な研究がなされていなかった。ま
た、従来の溶融還元法の開発は、1〜10ton炉程度の非
常に小型な試験炉で、研究開発がされてきたことから、
撹拌ガスの羽口1本当たりのガス流量は数十〜100Nm3/h
r程度の少量であった。このため、羽口1本当りのガス
流量を増加させた場合の影響については、全く解明され
ておらず、大型炉で必然的に実施される大流量の底吹き
ガス吹き込み時の問題点については、未解決の状態であ
った。
つまり、底吹きガス流量を必要以上に多くした場合に
は、溶銑がスラグ内に吹上げられる。この結果、スラグ
中の粒鉄が多くなり、発生ガスに随伴される鉄が増加
し、炉外にダストとして排出されたり、上吹きランスか
ら噴出される酸素ジェットと粒鉄が接触することによ
り、酸素ジェットに鉄が吹き散らされて鉄ダストロスが
増加するなどの重大の問題が生じることになる、更に、
スラグ内の多量の粒鉄と酸素ジェットとが接触した場合
は、二次燃焼率が低下する問題が生ずる。このような問
題に対し前記従来技術では、適切な処置方法は確立して
いなかった。
は、溶銑がスラグ内に吹上げられる。この結果、スラグ
中の粒鉄が多くなり、発生ガスに随伴される鉄が増加
し、炉外にダストとして排出されたり、上吹きランスか
ら噴出される酸素ジェットと粒鉄が接触することによ
り、酸素ジェットに鉄が吹き散らされて鉄ダストロスが
増加するなどの重大の問題が生じることになる、更に、
スラグ内の多量の粒鉄と酸素ジェットとが接触した場合
は、二次燃焼率が低下する問題が生ずる。このような問
題に対し前記従来技術では、適切な処置方法は確立して
いなかった。
従来法での操業において、鉄のダストロスは、良好な
状態でも、60〜80kg/tあり、操業条件によっては、100k
g/t以上の場合もあった。この様に多量の鉄のダストロ
スが生じるため、発生ダストを集塵して、これを再度、
炉内に供給することが必要であり、ダストリサイクルの
ための設備が大掛かりとなる。またリサイクルダストを
余分に炉内に供給することから、鉄ダストの溶解熱が増
加して、プロセス全体として熱効率が低下すると言った
問題にも繋がっていた。特に、ダストロスが100kg/tを
越える場合は、そのための熱収支の悪化は、鉄の溶融還
元の場合、5,000〜7,000kcal/tにもなり、燃料として使
用する石灰が、30〜50kg/tも増加する結果となる。
状態でも、60〜80kg/tあり、操業条件によっては、100k
g/t以上の場合もあった。この様に多量の鉄のダストロ
スが生じるため、発生ダストを集塵して、これを再度、
炉内に供給することが必要であり、ダストリサイクルの
ための設備が大掛かりとなる。またリサイクルダストを
余分に炉内に供給することから、鉄ダストの溶解熱が増
加して、プロセス全体として熱効率が低下すると言った
問題にも繋がっていた。特に、ダストロスが100kg/tを
越える場合は、そのための熱収支の悪化は、鉄の溶融還
元の場合、5,000〜7,000kcal/tにもなり、燃料として使
用する石灰が、30〜50kg/tも増加する結果となる。
前述したように、スラグ内に炭材を懸濁することは、
溶融還元法の操業にとって重要な効果があり、通常は、
スラグ重量の10〜100%程度の重量の炭材を懸濁させて
いる。しかし、この炭材は飛散し易く、時には、投入石
灰の15〜20%もの量が飛散することもある。炭材の飛散
は炭材の原単位の増加をもたらすだけでなく、スラグ内
の炭材の混在比率が低下して、スロッピングが発生する
等の問題も生ずる。特に、炭材のダストロスが多い場合
はスラグ内炭材の混在比率の低下が生じて、スロッピン
グが発生し、このスロッピング発生は、ひどい場合、操
業開始後、30〜40分で生じ、その時点で操業が不可能と
なる。これらのことより炭材の飛散ロス低減方法は、特
に、解決が望まれていた問題点があった。
溶融還元法の操業にとって重要な効果があり、通常は、
スラグ重量の10〜100%程度の重量の炭材を懸濁させて
いる。しかし、この炭材は飛散し易く、時には、投入石
灰の15〜20%もの量が飛散することもある。炭材の飛散
は炭材の原単位の増加をもたらすだけでなく、スラグ内
の炭材の混在比率が低下して、スロッピングが発生する
等の問題も生ずる。特に、炭材のダストロスが多い場合
はスラグ内炭材の混在比率の低下が生じて、スロッピン
グが発生し、このスロッピング発生は、ひどい場合、操
業開始後、30〜40分で生じ、その時点で操業が不可能と
なる。これらのことより炭材の飛散ロス低減方法は、特
に、解決が望まれていた問題点があった。
この問題解決のためには、極力、炭材の飛散率を低減
することが重要であるが、従来法では適当な方法がな
く、未解決のままであった。
することが重要であるが、従来法では適当な方法がな
く、未解決のままであった。
<発明が解決しようとする課題> 溶融還元の操業を効率的かつ経済的に実施しようとし
た場合に、次の点が技術的な課題となる。
た場合に、次の点が技術的な課題となる。
撹拌力を適切な範囲に調整して、溶鉄および溶融スラ
グの撹拌状態を適正に保つことである。即ち (1) 底吹きされる撹拌ガスによる溶融還元炉の鉄浴
の撹拌力を適切な範囲として、特にスラグの循環流動を
良好に保ち、二次燃焼の伝熱および還元反応を生じてい
る界面への物質移動を適正な水準とすることにより、熱
効率および反応速度を良好な状態に保持する。
グの撹拌状態を適正に保つことである。即ち (1) 底吹きされる撹拌ガスによる溶融還元炉の鉄浴
の撹拌力を適切な範囲として、特にスラグの循環流動を
良好に保ち、二次燃焼の伝熱および還元反応を生じてい
る界面への物質移動を適正な水準とすることにより、熱
効率および反応速度を良好な状態に保持する。
(2) スラグ内への粒鉄の吹上げ量を低減して、鉄ダ
ストの発生を抑える。
ストの発生を抑える。
(3) スラグ内の粒鉄と上吹き酸素ジェットの接触を
阻み、二次燃焼率の低下を防止する。
阻み、二次燃焼率の低下を防止する。
(4) 発生ガスにより同伴飛散する炭材量を低減す
る。
る。
本発明は前記課題を効果的に解決する溶融還元法を提
供するものである。
供するものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は、溶融還元における前述した課題を解決する
ために実際操業に適用可能な大型の試験炉において、種
々の研究検討を重ねた結果発明されたものであって、上
吹きランスから酸素を、浴面下の複数の羽口より撹拌ガ
スを底吹きする鉄浴式の溶融還元炉において、前記撹拌
ガスによる鉄浴の撹拌力を1〜6kW/tの範囲とし、か
つ、前記羽口1本当りのガス流量を標準状態換算で70〜
450Nm3/hrの範囲で制御して操業することを特徴とする
ものである。
ために実際操業に適用可能な大型の試験炉において、種
々の研究検討を重ねた結果発明されたものであって、上
吹きランスから酸素を、浴面下の複数の羽口より撹拌ガ
スを底吹きする鉄浴式の溶融還元炉において、前記撹拌
ガスによる鉄浴の撹拌力を1〜6kW/tの範囲とし、か
つ、前記羽口1本当りのガス流量を標準状態換算で70〜
450Nm3/hrの範囲で制御して操業することを特徴とする
ものである。
また、前記操業方法において、上吹き酸素のスラグに
対する凹み深さ(L)とスラグ厚み(L0)の関係が下記
(1)式を満足するように、撹拌ガス流量、ランス高
さ、送酸流量、上吹きランスのノズル形状のいずれか、
もしくは2以上を制御することを特徴とするもである。
対する凹み深さ(L)とスラグ厚み(L0)の関係が下記
(1)式を満足するように、撹拌ガス流量、ランス高
さ、送酸流量、上吹きランスのノズル形状のいずれか、
もしくは2以上を制御することを特徴とするもである。
L0−L<35(α・q/p)1/2 (1) ただし、q:羽口1本当りのガス流量(Nm3/hr) α:撹拌ガスの鉄浴内での反応によるガス容
積の変化率(−) p:炉内圧力(ata.) さらにまた、前記操業方法において、溶融還元炉内の
浴面積当りのスラグ量を1500kg/m2以上として操業する
ことを特徴とするものである。
積の変化率(−) p:炉内圧力(ata.) さらにまた、前記操業方法において、溶融還元炉内の
浴面積当りのスラグ量を1500kg/m2以上として操業する
ことを特徴とするものである。
<作 用> 前述したように溶融還元においては、溶銑および溶融
スラグを効率的に撹拌し、かつ、スラグ内に適度な量の
炭材を懸濁させておくことが、熱効率および反応速度、
ひいては、生産性を支配する重要な操業条件である。
スラグを効率的に撹拌し、かつ、スラグ内に適度な量の
炭材を懸濁させておくことが、熱効率および反応速度、
ひいては、生産性を支配する重要な操業条件である。
本発明者らは、この操業条件を満足しつつ、先に問題
点として述べたダスト発生量の低減方法および二次燃焼
率の低下防止方法について、実際操業に適用可能な大型
の試験炉において種々実験研究を重ねた結果、以下に述
べる事実を知見した。
点として述べたダスト発生量の低減方法および二次燃焼
率の低下防止方法について、実際操業に適用可能な大型
の試験炉において種々実験研究を重ねた結果、以下に述
べる事実を知見した。
まず、鉄ダストの発生機構を解析するために、鉄ダス
トの発生に最も重大な影響を与えるスラグ内の粒鉄の分
布を、スラグ内の物質分布を測定することによって調査
をした。
トの発生に最も重大な影響を与えるスラグ内の粒鉄の分
布を、スラグ内の物質分布を測定することによって調査
をした。
本例では、最大120T浴の溶融還元炉を用い、下記の操
業条件の下で前記測定を実施した。
業条件の下で前記測定を実施した。
試験炉の炉容 最大120T浴炉 浴面積 22m2 炉内容積131m3 試験条件 鉄浴量 70〜110T スラグ量 21〜45T スラグ中炭材量 5〜22T 鉱石投入速度 約41T/hr 石灰投入速度 約27T/hr 上吹酸素流量 20,000Nm3/hr 溶銑温度 1500℃ 羽口数 1〜6 撹拌ガス種 N2,CO2 撹拌ガス流量 400〜4,000Nm3/hr 前記測定には、長さ2,000mmのプローブに、3ないし
4個のサンプル室が300〜500mm間隔で組み込まれた特殊
なサブランスプローブを用いた。スラグ及び溶鉄等の溶
融物は前記サンプル室に流入し、サンプリングされる
が、各サンプル室の入口は厚紙で閉蓋され、溶融物に接
してから所定時間後に燃焼しつくしスラグ等の溶融物が
流入するように構成されている。
4個のサンプル室が300〜500mm間隔で組み込まれた特殊
なサブランスプローブを用いた。スラグ及び溶鉄等の溶
融物は前記サンプル室に流入し、サンプリングされる
が、各サンプル室の入口は厚紙で閉蓋され、溶融物に接
してから所定時間後に燃焼しつくしスラグ等の溶融物が
流入するように構成されている。
而してこのプローブを装着したサブランスを、操業中
のスラグ内に挿入して、スラグ層のサンプルを採取し、
このサンプルを冷却して、スラグと鉄を分離することに
よりスラグ中に混在している粒鉄の比率を求めることが
てきる。第3図は、前述したN2の流量と羽口数を種々変
化させた操業中における測定結果の一例を示すもので、
横軸が羽口1本当りのN2の流量、縦軸がスラグ中の粒鉄
比率である。測定位置は鉄浴面から、1.5m上の部分であ
り、○が、羽口2本の操業、また、●が、羽口4本の操
業であり、このときのスラグ厚みは、3〜4mであった。
のスラグ内に挿入して、スラグ層のサンプルを採取し、
このサンプルを冷却して、スラグと鉄を分離することに
よりスラグ中に混在している粒鉄の比率を求めることが
てきる。第3図は、前述したN2の流量と羽口数を種々変
化させた操業中における測定結果の一例を示すもので、
横軸が羽口1本当りのN2の流量、縦軸がスラグ中の粒鉄
比率である。測定位置は鉄浴面から、1.5m上の部分であ
り、○が、羽口2本の操業、また、●が、羽口4本の操
業であり、このときのスラグ厚みは、3〜4mであった。
また、前述したN2の流量と羽口数を変化させて、二次
燃焼率、二次燃焼の着熱効率および排ガス中のダスト量
も調査した。第4図及び第5図はその調査結果の一例を
示すもので、第4図は、羽口4本の操業での調査結果で
あり、撹拌ガス流量が、300Nm3/hr/本の時のスラグ内の
垂直方向の粒鉄分布を示したものである。この第4図か
ら明らかなように、ある部分から下になると、スラグ中
の粒鉄が急激に増加する。つまり鉄浴面の揺動や粒鉄の
吹上げにより、スラグ層下部には多量の鉄が混在してい
ることが判明した。また第5図は、羽口1本当りのガス
流量を変化させた場合の鉄ダストの発生量を調査した結
果の一例を示すものである。この第5図から判るように
450Nm3/hr/本以下であれば鉄ダストが少ないのに対し
て、450Nm3/hr/本を越えると、鉄ダストが多くなった。
燃焼率、二次燃焼の着熱効率および排ガス中のダスト量
も調査した。第4図及び第5図はその調査結果の一例を
示すもので、第4図は、羽口4本の操業での調査結果で
あり、撹拌ガス流量が、300Nm3/hr/本の時のスラグ内の
垂直方向の粒鉄分布を示したものである。この第4図か
ら明らかなように、ある部分から下になると、スラグ中
の粒鉄が急激に増加する。つまり鉄浴面の揺動や粒鉄の
吹上げにより、スラグ層下部には多量の鉄が混在してい
ることが判明した。また第5図は、羽口1本当りのガス
流量を変化させた場合の鉄ダストの発生量を調査した結
果の一例を示すものである。この第5図から判るように
450Nm3/hr/本以下であれば鉄ダストが少ないのに対し
て、450Nm3/hr/本を越えると、鉄ダストが多くなった。
以上のように排ガス中の鉄ダスト量と、撹拌ガス流量
の関係を種々の要因で解析した結果、羽口1本当りのガ
ス流量が、鉄ダスト量に最も影響が大きいことが判っ
た。また、羽口1本当りの撹拌ガス流量と、スラグ中の
粒鉄量の関係を調査した前記第3図から、撹拌ガスの流
量が450Nm3/hr/本を越えると、上部スラグ中の粒鉄量が
極端に増加することも判った。更に前記第5図に示され
る鉄ダストの発生量と第3図のスラグ中の粒鉄比率に
も、同様の傾向が認められた。
の関係を種々の要因で解析した結果、羽口1本当りのガ
ス流量が、鉄ダスト量に最も影響が大きいことが判っ
た。また、羽口1本当りの撹拌ガス流量と、スラグ中の
粒鉄量の関係を調査した前記第3図から、撹拌ガスの流
量が450Nm3/hr/本を越えると、上部スラグ中の粒鉄量が
極端に増加することも判った。更に前記第5図に示され
る鉄ダストの発生量と第3図のスラグ中の粒鉄比率に
も、同様の傾向が認められた。
而して上部スラグ中の粒鉄量を低減することが、鉄ダ
ストを減少させるための重要な条件の一つであることを
本発明者らは知見した。つまり、スラグ中の粒鉄が増加
すると酸素ジェットや発生ガスに吹き飛ばされる鉄が減
少して鉄ダストが減少することを前述した種々の調査結
果により見出した。具体的には羽口1本当りの撹拌ガス
流量を適性な範囲である450Nm3/hr/本以下とすることに
より、スラグ中の粒鉄比率の低い操業ができ、鉄ダスト
の発生量を低減できることをつきとめた。
ストを減少させるための重要な条件の一つであることを
本発明者らは知見した。つまり、スラグ中の粒鉄が増加
すると酸素ジェットや発生ガスに吹き飛ばされる鉄が減
少して鉄ダストが減少することを前述した種々の調査結
果により見出した。具体的には羽口1本当りの撹拌ガス
流量を適性な範囲である450Nm3/hr/本以下とすることに
より、スラグ中の粒鉄比率の低い操業ができ、鉄ダスト
の発生量を低減できることをつきとめた。
ただし、撹拌ガスとして、鉄浴内で反応するガス種、
たとえば、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)等を使用す
る場合は、反応により、ガスの容積が増加するため、45
0Nm3/hr/本以下の流量においても、鉄ダストの発生が多
い現象が生ずる。しかしながらこの現象は、撹拌ガスが
鉄浴内で反応して容積変化する比率を考慮した係数を掛
けて補正することにより、不活性であるN2,Ar等と同様
の整理ができる。(ただし、炉内圧は1ata.の場合) Q=α×q ……(2) Q:標準状態換算のガス流量(Nm3/hr) α:鉄浴内での反応でガスの容積が変化する率(−) q:実際の撹拌ガス流量(Nm3/hr) ここで、αはガス種で異なるが、例えば、二酸化炭素
は、CO2+C→2COの反応により、ガス容積を2倍にする
ことから、αは2となる。
たとえば、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)等を使用す
る場合は、反応により、ガスの容積が増加するため、45
0Nm3/hr/本以下の流量においても、鉄ダストの発生が多
い現象が生ずる。しかしながらこの現象は、撹拌ガスが
鉄浴内で反応して容積変化する比率を考慮した係数を掛
けて補正することにより、不活性であるN2,Ar等と同様
の整理ができる。(ただし、炉内圧は1ata.の場合) Q=α×q ……(2) Q:標準状態換算のガス流量(Nm3/hr) α:鉄浴内での反応でガスの容積が変化する率(−) q:実際の撹拌ガス流量(Nm3/hr) ここで、αはガス種で異なるが、例えば、二酸化炭素
は、CO2+C→2COの反応により、ガス容積を2倍にする
ことから、αは2となる。
また、種々の理由で炉内を加圧する場合は、炉内圧力
によりガスが圧縮され、実効容積が小さくなることか
ら、鉄ダストの発生が少ない撹拌ガス流量が限界値450N
m3/hr/本を越える場合もあるが、撹拌ガスの流量を炉内
圧力で補正すれば次の式で整理が可能である。
によりガスが圧縮され、実効容積が小さくなることか
ら、鉄ダストの発生が少ない撹拌ガス流量が限界値450N
m3/hr/本を越える場合もあるが、撹拌ガスの流量を炉内
圧力で補正すれば次の式で整理が可能である。
つまり、Q=α×q×(p0/p) ……(3) p0:大気圧(ata.) p :炉内圧(ata.) と表現できる。
ただし、ここで大気圧は、1ata.であることから、上
記(3)式は下記(4)式に書き換えられる。
記(3)式は下記(4)式に書き換えられる。
Q=α×q/p ……(4) したがって、鉄ダストの発生の少ない鉄浴の撹拌ガス
の流量を評価するためには、(4)式で換算したガス流
量(Q)で、統一的に炉内状況を表現することができる
ことを解明した。
の流量を評価するためには、(4)式で換算したガス流
量(Q)で、統一的に炉内状況を表現することができる
ことを解明した。
以上の理由により、撹拌ガス流量は、上記の(4)式
で補正して、標準状態換算の値として操業を制御するこ
とが望ましいことを、本発明者らは解明した。
で補正して、標準状態換算の値として操業を制御するこ
とが望ましいことを、本発明者らは解明した。
また、底吹きガス流量450Nm3/hr/本以下が条件であっ
ても、羽口数を増加して、鉄浴の撹拌力が6kW/tを越え
る場合は、やはり、ダスト発生量が増加することも認め
られた。これは、羽口数を増やして撹拌力を確保した結
果、羽口間の干渉の増加により、吹上げられた粒鉄の量
が増加したためと判明した。第6図は撹拌ガス流量が、
500Nm3/hr/本以下の条件で、鉄浴の撹拌力とダスト発生
量の関係、及び鉄浴の撹拌力と着熱効率の関係を調査し
た結果の一例を示すものである。横軸が撹拌力、縦軸が
鉄ダスト発生量及び着熱効率である。また●は着熱効
率、○は鉄ダストの発生量である。鉄ダストの発生量
は、撹拌力が6kW/tを境にして急激に増加しており、撹
拌力が強すぎる場合は鉄ダスト量が増加することが示さ
れている。また着熱効率については、1kW/t未満の撹拌
力では低下しており、場合によっては60〜70%の着熱効
率となり、発生ガス温度が上昇することが認められた。
尚、前記撹拌力は、次の(5)式から計算した値を使用
した。
ても、羽口数を増加して、鉄浴の撹拌力が6kW/tを越え
る場合は、やはり、ダスト発生量が増加することも認め
られた。これは、羽口数を増やして撹拌力を確保した結
果、羽口間の干渉の増加により、吹上げられた粒鉄の量
が増加したためと判明した。第6図は撹拌ガス流量が、
500Nm3/hr/本以下の条件で、鉄浴の撹拌力とダスト発生
量の関係、及び鉄浴の撹拌力と着熱効率の関係を調査し
た結果の一例を示すものである。横軸が撹拌力、縦軸が
鉄ダスト発生量及び着熱効率である。また●は着熱効
率、○は鉄ダストの発生量である。鉄ダストの発生量
は、撹拌力が6kW/tを境にして急激に増加しており、撹
拌力が強すぎる場合は鉄ダスト量が増加することが示さ
れている。また着熱効率については、1kW/t未満の撹拌
力では低下しており、場合によっては60〜70%の着熱効
率となり、発生ガス温度が上昇することが認められた。
尚、前記撹拌力は、次の(5)式から計算した値を使用
した。
ここで、ε:撹拌力(kW/t−metal) W:溶銑重量(t) ρ:溶銑密度(kg/m3) d:溶銑の浴深さ(m) t0:大気温度(K) t:鉄浴温度(K) この第6図より判るように、撹拌力の増加に伴い、鉄
ダストの発生量が増加し、6kW/tを越えると極端に鉄ダ
ストが増加することが判明した。本発明において、鉄浴
の撹拌力の上限を6kW/tとしたのは前述した理由からで
ある。
ダストの発生量が増加し、6kW/tを越えると極端に鉄ダ
ストが増加することが判明した。本発明において、鉄浴
の撹拌力の上限を6kW/tとしたのは前述した理由からで
ある。
次に前述したスラグ中粒鉄分布の調査結果と、上吹き
ランスからの酸素ジェットの関係を種々調査研究した。
ランスからの酸素ジェットの関係を種々調査研究した。
前述したサブランスプローブによるスラグ内の垂直方
向の粒鉄分布を調査した第4図から判るように、スラグ
下部は、撹拌ガスにより、吹上げられた粒鉄が多量に存
在している。また、粒鉄の多い層の厚みは、羽口1本当
りのガス流量の影響がもっとも強く、ガス流量と粒鉄の
多い層の厚みの関係として、第4図の測定結果より求め
たスラグ下部の粒鉄の混在比率の多い層の厚みTを第7
図に表した。第7図は、前記第4図の調査結果に基づい
て求めた撹拌ガス流量とスラグ層下部の粒鉄の多い層の
厚みの関係を示したものであり、これについても羽口1
本当たりの撹拌ガス流量に強く影響されていることが判
る。而してこの第7図より前記関係を求めたところ、次
の関係式が得られた。
向の粒鉄分布を調査した第4図から判るように、スラグ
下部は、撹拌ガスにより、吹上げられた粒鉄が多量に存
在している。また、粒鉄の多い層の厚みは、羽口1本当
りのガス流量の影響がもっとも強く、ガス流量と粒鉄の
多い層の厚みの関係として、第4図の測定結果より求め
たスラグ下部の粒鉄の混在比率の多い層の厚みTを第7
図に表した。第7図は、前記第4図の調査結果に基づい
て求めた撹拌ガス流量とスラグ層下部の粒鉄の多い層の
厚みの関係を示したものであり、これについても羽口1
本当たりの撹拌ガス流量に強く影響されていることが判
る。而してこの第7図より前記関係を求めたところ、次
の関係式が得られた。
厚み:T=35Q1/2(もしくは、35(α×q/p)1/2 ……(6) Q:前記(4)式で定義された羽口1本あたりの底吹きガ
ス流量 また、酸素ジェットと粒鉄の多い層の相互作用の影響
を調査するため、上吹きランスを上下させて、上吹き酸
素ジェットによるスラグの凹み(L)を変化させる試験
を実施した。なお、Lの計算は、瀬川らの報告(日刊工
業新聞刊 S44「鉄冶金反応工学」瀬川清著)をもとに
スラグの物性値で換算した、次式を使用した。
ス流量 また、酸素ジェットと粒鉄の多い層の相互作用の影響
を調査するため、上吹きランスを上下させて、上吹き酸
素ジェットによるスラグの凹み(L)を変化させる試験
を実施した。なお、Lの計算は、瀬川らの報告(日刊工
業新聞刊 S44「鉄冶金反応工学」瀬川清著)をもとに
スラグの物性値で換算した、次式を使用した。
h0=36.0(k・F/D)2/3 L=h0exp(−0.78h/h0)・(ρM/ρS) ……(7) ただし、k:ノズル係数(−)…第10図参照 F:上吹き酸素流量(Nm3/hr) D:ランスノズル径(mm) h:ランス−スラグ上面間隔(mm) ρM:溶銑密度(T/m3) ρS:スラグ密度(T/m3) ノズル係数kは、前記瀬川らの報告による第10図に示
す上吹きランスのノズル角度と、ノズル孔数との関係か
ら求めた。
す上吹きランスのノズル角度と、ノズル孔数との関係か
ら求めた。
この結果、スラグの凹み(L)が粒鉄の多いスラグ層
13の厚み(T)の領域に到達した場合は(第2図)、撹
拌ガス流量が450Nm3/hr/本以下の条件においても鉄のダ
ストロスの増加が認められた。酸素ジェットの凹み
(L)と粒鉄の多いスラグ層13の厚み(T)の関係を理
解しやすい様にその概要図を第2図に示した。第2図
は、溶融還元中の炉内の詳細図であり、炉最下部には鉄
銑11が存在しており、その上部には、溶融スラグ層12が
存在し、スラグ層を通過する撹拌ガスにより、発泡して
いる。この溶融スラグ層12の下部には底吹きガスにより
吹き上げられた粒鉄の多いスラグ層13が形成されてお
り、この厚みをTと表し、溶融スラグ層12と粒鉄の多い
スラグ層13の合計厚みをL0で表す。スラグ上部には若干
の粒鉄と比較的多量の炭材が混在しており、溶融スラグ
は底吹きガスおよび鉱石を還元する際に生成する一酸化
炭素ガスによる撹拌により循環流動している。上吹きの
酸素はランス2から、スラグ12に向けて吹きつけられて
おり、酸素は超音速もしくは、亜音速のジェットを形成
しており、スラグを押し退けて深さLの凹みを作る。
13の厚み(T)の領域に到達した場合は(第2図)、撹
拌ガス流量が450Nm3/hr/本以下の条件においても鉄のダ
ストロスの増加が認められた。酸素ジェットの凹み
(L)と粒鉄の多いスラグ層13の厚み(T)の関係を理
解しやすい様にその概要図を第2図に示した。第2図
は、溶融還元中の炉内の詳細図であり、炉最下部には鉄
銑11が存在しており、その上部には、溶融スラグ層12が
存在し、スラグ層を通過する撹拌ガスにより、発泡して
いる。この溶融スラグ層12の下部には底吹きガスにより
吹き上げられた粒鉄の多いスラグ層13が形成されてお
り、この厚みをTと表し、溶融スラグ層12と粒鉄の多い
スラグ層13の合計厚みをL0で表す。スラグ上部には若干
の粒鉄と比較的多量の炭材が混在しており、溶融スラグ
は底吹きガスおよび鉱石を還元する際に生成する一酸化
炭素ガスによる撹拌により循環流動している。上吹きの
酸素はランス2から、スラグ12に向けて吹きつけられて
おり、酸素は超音速もしくは、亜音速のジェットを形成
しており、スラグを押し退けて深さLの凹みを作る。
また、この操業条件では、上吹き酸素と多量の粒鉄が
接触することにより、酸素によって燃焼生成した二酸化
炭素と水蒸気が溶銑中の炭素と反応して、一酸化炭素と
水素を生成することも認められた。つまり、二次燃焼率
が低下し、ひいては炉内への熱供給量が低下して、生産
性の低下をもたらすことを解明した。
接触することにより、酸素によって燃焼生成した二酸化
炭素と水蒸気が溶銑中の炭素と反応して、一酸化炭素と
水素を生成することも認められた。つまり、二次燃焼率
が低下し、ひいては炉内への熱供給量が低下して、生産
性の低下をもたらすことを解明した。
従って、さらに鉄ダストを低減するとともに、二次燃
焼率を高位に保つためには、撹拌ガス流量の条件に加え
て、上吹き酸素ジェットの凹み深さ(L)が粒鉄の多い
層13の厚み(T)の領域に到達しないことが望ましい。
L0−Lと(T)の位置関係と、鉄ダスト発生量及び二次
燃焼率の関係を第8図に示すが、酸素ジェットが粒鉄の
多いスラグ層と重なる、L0−L<Tの操業では、ダスト
量が多く、二次燃焼率が低いことが解明された。尚この
操業におけるスラグ厚みは2800mm、スラグ下部の粒鉄の
多い層の厚みは600mmであった。
焼率を高位に保つためには、撹拌ガス流量の条件に加え
て、上吹き酸素ジェットの凹み深さ(L)が粒鉄の多い
層13の厚み(T)の領域に到達しないことが望ましい。
L0−Lと(T)の位置関係と、鉄ダスト発生量及び二次
燃焼率の関係を第8図に示すが、酸素ジェットが粒鉄の
多いスラグ層と重なる、L0−L<Tの操業では、ダスト
量が多く、二次燃焼率が低いことが解明された。尚この
操業におけるスラグ厚みは2800mm、スラグ下部の粒鉄の
多い層の厚みは600mmであった。
この関係を上吹き酸素のスラグに対する凹み深さ
(L)とスラグ層厚み(L0)および底吹きガス流量で表
現すれば、前述した(1)式、つまり L0−L<35(α×q/p)1/2 ……(1) となる。
(L)とスラグ層厚み(L0)および底吹きガス流量で表
現すれば、前述した(1)式、つまり L0−L<35(α×q/p)1/2 ……(1) となる。
つまり、L0−L<35(α×q/p)1/2の関係を満たす、
上吹き酸素と撹拌ガスの供給条件で操業することが、鉄
ダストを低減するとともに、二次燃焼率を高位に保つた
めに重要であり、本条件を満たす操業では、石炭原単位
および鉄歩留が良好な操業が実施できることを本発明者
らは解明した。
上吹き酸素と撹拌ガスの供給条件で操業することが、鉄
ダストを低減するとともに、二次燃焼率を高位に保つた
めに重要であり、本条件を満たす操業では、石炭原単位
および鉄歩留が良好な操業が実施できることを本発明者
らは解明した。
次に、鉄浴の撹拌力と二次燃焼の着熱効率の関係を調
査したところ、撹拌力が低い場合は、二次燃焼の着熱効
率が低下することが認められた。
査したところ、撹拌力が低い場合は、二次燃焼の着熱効
率が低下することが認められた。
前記(5)式で定義した鉄浴の撹拌力と着熱効率との
関係を調査した結果が第6図である。鉄浴の撹拌力が1k
W/t未満になると、二次燃焼の着熱効率が悪化すること
が認められ、その結果、1kW/t未満の操業では、炉内の
ガス温度が上昇して耐火物が損傷したり、石炭原単位が
悪化したりする現象が生じて、良好な操業が実施できな
かった。
関係を調査した結果が第6図である。鉄浴の撹拌力が1k
W/t未満になると、二次燃焼の着熱効率が悪化すること
が認められ、その結果、1kW/t未満の操業では、炉内の
ガス温度が上昇して耐火物が損傷したり、石炭原単位が
悪化したりする現象が生じて、良好な操業が実施できな
かった。
つまり、鉄浴の撹拌力は、1kW/t以上が望ましく、前
述の鉄ダストの発生量の調査結果から、上限値はkW/t以
下が望ましいことから、底吹きの撹拌力を1〜6kW/tと
して操業することが、効率的な溶融還元の操業のために
必要であることを本発明者等は解明した。
述の鉄ダストの発生量の調査結果から、上限値はkW/t以
下が望ましいことから、底吹きの撹拌力を1〜6kW/tと
して操業することが、効率的な溶融還元の操業のために
必要であることを本発明者等は解明した。
ここで鉄浴の撹拌力を1kW/tにするための撹拌ガスの
流量を求めた。溶融還元での平均的鉄浴温度1500℃と、
撹拌ガスのジェットが吹き抜けを生じずに安定して鉄浴
を撹拌できる鉄浴の深さが、700〜1000mmの場合は、炉
底面積1m2当り70Nm3/hr(不活性ガス、1atm.換算)とな
る。また一方で、撹拌ガスの羽口を築造する場合は、羽
口及びその周囲のサポート煉瓦は大型の異形煉瓦であ
り、羽口の間隔を極端に小さくすることはできない問題
がある。また、吹き込みガスの底たたき等の減少により
羽口は溶損速度が周囲の煉瓦に比べて大きく、羽口の
み、すりばち状に先行溶損することが知られている。隣
合う羽口の間隔が小さいと前記溶損の大きい部分がつな
がり、炉底煉瓦全体に損耗する問題もある。しかるに羽
口の間隔は通常1m以上とすることが望ましく、このこと
から羽口はほぼ1m2に1本の比率となることから羽口1
本当りの最低流量は70Nm3/hrとなる。
流量を求めた。溶融還元での平均的鉄浴温度1500℃と、
撹拌ガスのジェットが吹き抜けを生じずに安定して鉄浴
を撹拌できる鉄浴の深さが、700〜1000mmの場合は、炉
底面積1m2当り70Nm3/hr(不活性ガス、1atm.換算)とな
る。また一方で、撹拌ガスの羽口を築造する場合は、羽
口及びその周囲のサポート煉瓦は大型の異形煉瓦であ
り、羽口の間隔を極端に小さくすることはできない問題
がある。また、吹き込みガスの底たたき等の減少により
羽口は溶損速度が周囲の煉瓦に比べて大きく、羽口の
み、すりばち状に先行溶損することが知られている。隣
合う羽口の間隔が小さいと前記溶損の大きい部分がつな
がり、炉底煉瓦全体に損耗する問題もある。しかるに羽
口の間隔は通常1m以上とすることが望ましく、このこと
から羽口はほぼ1m2に1本の比率となることから羽口1
本当りの最低流量は70Nm3/hrとなる。
以上の様に、本発明者らは二次燃焼、同着熱効率およ
び熱ダスト発生量について、従来法に比べて良好な操業
条件を実現する撹拌ガスによる鉄浴およびスラグの撹拌
条件を解明した。
び熱ダスト発生量について、従来法に比べて良好な操業
条件を実現する撹拌ガスによる鉄浴およびスラグの撹拌
条件を解明した。
さらに、溶融還元の操業においては、前述した様に、
炭材の飛散ロスを低減することも非常に重要な操業要素
であることから、本発明者らは精力的に炭材飛散ロス低
減方法の研究を行った。
炭材の飛散ロスを低減することも非常に重要な操業要素
であることから、本発明者らは精力的に炭材飛散ロス低
減方法の研究を行った。
第9図は操業条件を種々変えて、スラグ量と、炭材の
ダスト発生量の関係を調査した結果の一例を示すもの
で、スラグ量、もしくは鉄浴面積当りのスラグ量が増加
するに伴い、炭材の飛散量(炭材ダスト)の発生量が減
少しており、スラグ量が1500kg/m2以上では、炭材の飛
散ロスが低減されていることが示されている。つまり、
炭材の飛散ロスに最も強い影響を持つ操業要因として、
炉内の溶融スラグ量を増加することが重要であることが
判った。
ダスト発生量の関係を調査した結果の一例を示すもの
で、スラグ量、もしくは鉄浴面積当りのスラグ量が増加
するに伴い、炭材の飛散量(炭材ダスト)の発生量が減
少しており、スラグ量が1500kg/m2以上では、炭材の飛
散ロスが低減されていることが示されている。つまり、
炭材の飛散ロスに最も強い影響を持つ操業要因として、
炉内の溶融スラグ量を増加することが重要であることが
判った。
そこで本発明者らは、この要因を解明するために、溶
融還元操業中の炉内溶融スラグの膨れ状態を測定した結
果、発生するガスがスラグを通過することから、炉内の
スラグは通常の鎮静した状態の3〜4倍に膨れているこ
とが判った。つまり、この膨れ率からスラグの見掛け比
重に換算すれば、膨れたスラグの見掛け比重は0.5〜0.7
T/m3となっていることが判った。このスラグ比重の値
は、スラグ内に懸濁している炭材(チャーの形態をして
いる)の見掛け比重の0.7〜0.8T/m3とほぼ等しい。炭材
の見掛け比重がスラグのそれと等しいことから、激しく
流動しているスラグに炭材は良く混合する能力を持ち、
スラグ量を増加させることにより、スラグが炭材を被覆
する効果が増し、炉内のガスへの移行比率が低下するこ
とが原因であることが解明した。
融還元操業中の炉内溶融スラグの膨れ状態を測定した結
果、発生するガスがスラグを通過することから、炉内の
スラグは通常の鎮静した状態の3〜4倍に膨れているこ
とが判った。つまり、この膨れ率からスラグの見掛け比
重に換算すれば、膨れたスラグの見掛け比重は0.5〜0.7
T/m3となっていることが判った。このスラグ比重の値
は、スラグ内に懸濁している炭材(チャーの形態をして
いる)の見掛け比重の0.7〜0.8T/m3とほぼ等しい。炭材
の見掛け比重がスラグのそれと等しいことから、激しく
流動しているスラグに炭材は良く混合する能力を持ち、
スラグ量を増加させることにより、スラグが炭材を被覆
する効果が増し、炉内のガスへの移行比率が低下するこ
とが原因であることが解明した。
従って、炉内のスラグ量を増加させてスラグの厚みを
大きくすることにより、スラグが炭材を充分に被覆する
ことができ、このスラグの被覆効果はスラグの厚みで決
まることから、スラグ量を鉄浴面積当りで評価すべきこ
とが判った。
大きくすることにより、スラグが炭材を充分に被覆する
ことができ、このスラグの被覆効果はスラグの厚みで決
まることから、スラグ量を鉄浴面積当りで評価すべきこ
とが判った。
前記第9図には、スラグ量が増加するに従い、炭材の
飛散ロス量が減少することが示されている。本設備でス
ラグ量が30もしくは、33T以上、つまり、浴面積当りの
スラグ量が1500kg/m2以上であれば、炭材の飛散ロスが1
0%以下に低減されていることを解明した。
飛散ロス量が減少することが示されている。本設備でス
ラグ量が30もしくは、33T以上、つまり、浴面積当りの
スラグ量が1500kg/m2以上であれば、炭材の飛散ロスが1
0%以下に低減されていることを解明した。
<実施例> 本発明を第1図に示す溶融還元炉において実施した。
第1図において、1は耐火煉瓦の内張りをされた炉体
であり、この炉体1の下部に溶銑11と溶融スラグ12がそ
れぞれ浴を形成している。この溶銑11および溶融スラグ
12は、1400〜1700℃程度の高温であり、この中に鉱石を
供給して、酸化鉄を溶融した後に、スラグ内の混在して
いるコークスもしくはチャーの形態をしている炭材およ
び溶銑中の溶存炭素により、この溶融酸化鉄は還元さ
れ、溶銑が製造される。還元熱および生成物の顕熱を補
うために前記溶銑11およびスラグ12内の炭材に上吹きラ
ンス2から酸素(酸素富化空気、もくしは加熱空気でも
良い)が供給される。供給された酸素は、石炭および溶
銑内の溶存炭素を燃焼して、COおよびH2を生成して燃焼
熱を発生する。また、発生したこれらのガスとも燃焼反
応を起こし、CO2およびH2Oを生成し、さらに燃焼熱を発
生する。前者の燃焼を一次燃焼、後者の燃焼を二次燃焼
と称する。
であり、この炉体1の下部に溶銑11と溶融スラグ12がそ
れぞれ浴を形成している。この溶銑11および溶融スラグ
12は、1400〜1700℃程度の高温であり、この中に鉱石を
供給して、酸化鉄を溶融した後に、スラグ内の混在して
いるコークスもしくはチャーの形態をしている炭材およ
び溶銑中の溶存炭素により、この溶融酸化鉄は還元さ
れ、溶銑が製造される。還元熱および生成物の顕熱を補
うために前記溶銑11およびスラグ12内の炭材に上吹きラ
ンス2から酸素(酸素富化空気、もくしは加熱空気でも
良い)が供給される。供給された酸素は、石炭および溶
銑内の溶存炭素を燃焼して、COおよびH2を生成して燃焼
熱を発生する。また、発生したこれらのガスとも燃焼反
応を起こし、CO2およびH2Oを生成し、さらに燃焼熱を発
生する。前者の燃焼を一次燃焼、後者の燃焼を二次燃焼
と称する。
また、鉱石の溶解、還元反応および熱移動の促進を目
的として、浴面下の羽口3を通して撹拌ガスを供給す
る。この撹拌ガスは撹拌を目的としていることから、ガ
ス種は特に限定されるものでなく、一般には、窒素,ア
ルゴン,酸素,プロパン等の炭化水素が用いられる。た
だし、二次燃焼率を高位に保つことを目標として操業を
行う場合、酸素や二酸化炭素等の鉄浴中の炭素を消費す
るガスは望ましくない。つまり、これらの酸化性ガスを
底吹きした場合には、ガスが鉄浴中の溶存炭素と反応し
ても熱力学的に一酸化炭素までにしかならず、発生ガス
の二酸化炭素の比率つまり、二次燃焼率を低下させる結
果となるからである。
的として、浴面下の羽口3を通して撹拌ガスを供給す
る。この撹拌ガスは撹拌を目的としていることから、ガ
ス種は特に限定されるものでなく、一般には、窒素,ア
ルゴン,酸素,プロパン等の炭化水素が用いられる。た
だし、二次燃焼率を高位に保つことを目標として操業を
行う場合、酸素や二酸化炭素等の鉄浴中の炭素を消費す
るガスは望ましくない。つまり、これらの酸化性ガスを
底吹きした場合には、ガスが鉄浴中の溶存炭素と反応し
ても熱力学的に一酸化炭素までにしかならず、発生ガス
の二酸化炭素の比率つまり、二次燃焼率を低下させる結
果となるからである。
鉱石の供給方法としては、炉の上部のホッパーから落
下投入する方法、炉の側壁から吹きつける方法、および
スラグもしくは溶鉄浴中に吹き込む方法等があるが、第
1図の実施例では炉上方のホッパー5から鉱石を供給す
る方法を示した。
下投入する方法、炉の側壁から吹きつける方法、および
スラグもしくは溶鉄浴中に吹き込む方法等があるが、第
1図の実施例では炉上方のホッパー5から鉱石を供給す
る方法を示した。
石炭の供給は、溶融還元炉内の炭素バランスをほぼ一
定に保つ様に供給される。供給方法としては、鉱石と同
様に、上方から投入、吹きつけ、および溶鉄もしくはス
ラグ浴中への吹き込みによる方法があり、これもまた、
第1図の実施例では炉上方のホッパー4から石炭を供給
する方法を示した。
定に保つ様に供給される。供給方法としては、鉱石と同
様に、上方から投入、吹きつけ、および溶鉄もしくはス
ラグ浴中への吹き込みによる方法があり、これもまた、
第1図の実施例では炉上方のホッパー4から石炭を供給
する方法を示した。
溶融還元の操業中には、鉱石は5のホッパーから、ま
た、石炭は、4のホッパーから連続的に供給され、酸素
も上吹きのランスからスラグおよび溶銑の方向に吹きつ
けられ、供給された鉱石は溶解、還元され、溶銑として
炉下部の溶銑浴に沈降する。また、石炭が燃焼したガス
は、排ガスダクト7を経由して回収されて、ガス中にダ
ストは集塵機8で除塵され、予備還元炉での鉱石の予備
還元の還元ガス、もしくは、燃料として使用される。こ
の時、ガスは多量の顕熱を持っていることから、この顕
熱を蒸気発生等の熱として有効利用しても良い。
た、石炭は、4のホッパーから連続的に供給され、酸素
も上吹きのランスからスラグおよび溶銑の方向に吹きつ
けられ、供給された鉱石は溶解、還元され、溶銑として
炉下部の溶銑浴に沈降する。また、石炭が燃焼したガス
は、排ガスダクト7を経由して回収されて、ガス中にダ
ストは集塵機8で除塵され、予備還元炉での鉱石の予備
還元の還元ガス、もしくは、燃料として使用される。こ
の時、ガスは多量の顕熱を持っていることから、この顕
熱を蒸気発生等の熱として有効利用しても良い。
操業の制御のためには、炉内の状態の測定が必要であ
ることから、サブランス6を使用して、溶銑とスラグの
サンプルを採取し、また、スラグおよび溶銑の上面高さ
も測定する。また、二次燃焼率の測定等の目的で、排ガ
ス分析計10も設置される。
ることから、サブランス6を使用して、溶銑とスラグの
サンプルを採取し、また、スラグおよび溶銑の上面高さ
も測定する。また、二次燃焼率の測定等の目的で、排ガ
ス分析計10も設置される。
溶融還元の操業が進行していくと炉内に溶銑とスラグ
が蓄積していくことから、定期的に溶銑およびスラグは
排出される。
が蓄積していくことから、定期的に溶銑およびスラグは
排出される。
前述した溶融還元炉において第1表に示す各条件に基
づき溶銑の製造を行った。第1表において本発明による
実施例では、本発明に定める各々底吹きガス流量、撹拌
力、上吹き酸素ジェットによるスラグの凹み深さと粒鉄
の多いスラグ層の厚みの比較およびスラグ量のいずれも
本発明の条件で操業した結果である。
づき溶銑の製造を行った。第1表において本発明による
実施例では、本発明に定める各々底吹きガス流量、撹拌
力、上吹き酸素ジェットによるスラグの凹み深さと粒鉄
の多いスラグ層の厚みの比較およびスラグ量のいずれも
本発明の条件で操業した結果である。
実施例1では鉄浴内で反応しない窒素ガスを底吹き
し、かつ炉内圧力を大気圧とした標準的な操業である。
また、実施例2では炉内圧力を2気圧にした操業であ
る。この時の撹拌ガス流量は、ノルマル換算での表示
(Nm3/hr)では、本発明に定める羽口1本当りの底吹き
ガス流量の上限を越えているが、炉内圧力を補正した流
量(標準状態換算:Q)では、本発明の操業条件内に入る
操業である。実施例3では、鉄浴内の炭素と反応して一
酸化炭素となり、容積が2倍となる炭酸ガスを撹拌ガス
として吹き込んだ場合の操業結果である。
し、かつ炉内圧力を大気圧とした標準的な操業である。
また、実施例2では炉内圧力を2気圧にした操業であ
る。この時の撹拌ガス流量は、ノルマル換算での表示
(Nm3/hr)では、本発明に定める羽口1本当りの底吹き
ガス流量の上限を越えているが、炉内圧力を補正した流
量(標準状態換算:Q)では、本発明の操業条件内に入る
操業である。実施例3では、鉄浴内の炭素と反応して一
酸化炭素となり、容積が2倍となる炭酸ガスを撹拌ガス
として吹き込んだ場合の操業結果である。
これらの実施例はいずれも、二次燃焼率が43〜46%と
比較的高位であり、かつ、着熱効率も90%以上となって
いる。鉄ダストの発生量は生成溶銑当り3%以下であ
り、また、炭材ダストの発生量も約5〜7%と低位に止
まっている。この様に二次燃焼、ダスト発生ともに良好
な操業が実施できたことから、石炭原単位も1000kg/t以
下となっている。
比較的高位であり、かつ、着熱効率も90%以上となって
いる。鉄ダストの発生量は生成溶銑当り3%以下であ
り、また、炭材ダストの発生量も約5〜7%と低位に止
まっている。この様に二次燃焼、ダスト発生ともに良好
な操業が実施できたことから、石炭原単位も1000kg/t以
下となっている。
これに対して、従来法による操業である比較例1で
は、羽口1本当りの撹拌ガス流量が650Nm3/hrと多いこ
とから、鉄ダスト量が85.4kg/tと多くなっており、鉄歩
留が悪いことから、石炭原単位も1000kg/tを越えてい
る。
は、羽口1本当りの撹拌ガス流量が650Nm3/hrと多いこ
とから、鉄ダスト量が85.4kg/tと多くなっており、鉄歩
留が悪いことから、石炭原単位も1000kg/tを越えてい
る。
また、比較例2では、炉内圧力を2気圧に加圧状態に
した操業結果であり、圧力を補正しても羽口1本あたり
の標準状態換算のガス流量(Q)が、本発明の範囲であ
る450Nm3/hrを越えていることから、鉄ダストの発生量
が、98.7kg/tと多く、また、石炭原単位も悪かった。
した操業結果であり、圧力を補正しても羽口1本あたり
の標準状態換算のガス流量(Q)が、本発明の範囲であ
る450Nm3/hrを越えていることから、鉄ダストの発生量
が、98.7kg/tと多く、また、石炭原単位も悪かった。
次に、鉄浴内で反応して容積が2倍になる炭酸ガスを
吹き込んだ場合の比較例3は、鉄浴内での反応を考慮し
なかった場合には、羽口1本当りのガス流量は本発明範
囲に入るが、反応を考慮した場合には、Qが上限を越え
る操業での結果を示している。この比較例3の操業にお
いても、鉄ダスト量は、100kg/t以上と多く、石炭原単
位も1100kg/t以上であった。この操業結果から底吹きガ
ス流量の上限としては、鉄浴内での反応による容積の変
化を考慮に入れなければならないことが判る。
吹き込んだ場合の比較例3は、鉄浴内での反応を考慮し
なかった場合には、羽口1本当りのガス流量は本発明範
囲に入るが、反応を考慮した場合には、Qが上限を越え
る操業での結果を示している。この比較例3の操業にお
いても、鉄ダスト量は、100kg/t以上と多く、石炭原単
位も1100kg/t以上であった。この操業結果から底吹きガ
ス流量の上限としては、鉄浴内での反応による容積の変
化を考慮に入れなければならないことが判る。
次に、撹拌力が弱く、二次燃焼の着熱効率が悪化した
操業として比較例4を示す。この試験操業においては、
鉄浴の撹拌力は、0.8kW/tと弱く、本発明の操業範囲で
ある1kW/tよりも少なくなっている。本比較例では、着
熱効率が79%と他の操業例に比べて低い操業しかできな
かった結果、石炭原単位が1295kg/tと非常に多い結果と
なり、経済的な溶銑製造法とは言えなかった。
操業として比較例4を示す。この試験操業においては、
鉄浴の撹拌力は、0.8kW/tと弱く、本発明の操業範囲で
ある1kW/tよりも少なくなっている。本比較例では、着
熱効率が79%と他の操業例に比べて低い操業しかできな
かった結果、石炭原単位が1295kg/tと非常に多い結果と
なり、経済的な溶銑製造法とは言えなかった。
比較例5では、羽口1本当りのガス流量については本
発明の条件を満たしているが、羽口数が6本と多いこと
から、鉄浴の撹拌力は6kW/t超であった。この結果、鉄
ダスト発生量は約120kg/tと多い操業となった。
発明の条件を満たしているが、羽口数が6本と多いこと
から、鉄浴の撹拌力は6kW/t超であった。この結果、鉄
ダスト発生量は約120kg/tと多い操業となった。
比較例6では、上吹き酸素ジェットが形成するスラグ
の凹みが、撹拌のために吹き込まれる底吹きガスにより
形成されるスラグ下部の粒鉄の多い層の厚み(T)の範
囲に到達してしまった操業の例である。この操業では、
酸素と粒鉄が接触して、粒鉄を発生ガス中に吹き散らす
と同時に上吹き酸素と鉄浴から発生した一酸化炭素ガス
が燃焼して生成した二酸化炭素と粒鉄中の炭素が反応し
て、一酸化炭素に戻ってしまった。この結果、鉄ダスト
発生量が多いとともに、二次燃焼率が低下しており、鉄
ダスト発生量は、約100kg/tであり、石炭原単位も1251k
g/tと多かった。
の凹みが、撹拌のために吹き込まれる底吹きガスにより
形成されるスラグ下部の粒鉄の多い層の厚み(T)の範
囲に到達してしまった操業の例である。この操業では、
酸素と粒鉄が接触して、粒鉄を発生ガス中に吹き散らす
と同時に上吹き酸素と鉄浴から発生した一酸化炭素ガス
が燃焼して生成した二酸化炭素と粒鉄中の炭素が反応し
て、一酸化炭素に戻ってしまった。この結果、鉄ダスト
発生量が多いとともに、二次燃焼率が低下しており、鉄
ダスト発生量は、約100kg/tであり、石炭原単位も1251k
g/tと多かった。
比較例7は、スラグ量の少ない操業の例である。この
操業では、二次燃焼および鉄ダストについては、良好で
あったが、スラグが1200kg/m2と本発明の範囲の下限で
ある1500kg/m2よりも少なかったことから、炭材ダスト
の発生量が投入石炭の15%にもなってしまい、この結
果、石炭のロスが多く、石炭原単位が1150kg/tと多かっ
た。また、石炭原単位の悪化に加えて、スラグに懸濁す
る炭材が飛散ロスにより減少してしまったことから、ス
ラグが異常フォーミングによるスロッピングを生じ、操
業が続行できなかった。
操業では、二次燃焼および鉄ダストについては、良好で
あったが、スラグが1200kg/m2と本発明の範囲の下限で
ある1500kg/m2よりも少なかったことから、炭材ダスト
の発生量が投入石炭の15%にもなってしまい、この結
果、石炭のロスが多く、石炭原単位が1150kg/tと多かっ
た。また、石炭原単位の悪化に加えて、スラグに懸濁す
る炭材が飛散ロスにより減少してしまったことから、ス
ラグが異常フォーミングによるスロッピングを生じ、操
業が続行できなかった。
この様に、本発明に示す操業範囲から逸脱する操業に
おいては、いずれも、二次燃焼率が低下する、着熱効率
が低下する、鉄ダストが増加する、および炭材ダストが
増加するといった操業コストの悪化をもたらす事態を生
じて、経済的な溶銑の製造ができなかったのに対し、本
発明の操業範囲内である実施例1〜3においては、鉄お
よび炭材ダスト発生量が少なく、かつ、二次燃焼率、着
熱効率も良好な効率的な溶融還元法の操業が実施でき
た。
おいては、いずれも、二次燃焼率が低下する、着熱効率
が低下する、鉄ダストが増加する、および炭材ダストが
増加するといった操業コストの悪化をもたらす事態を生
じて、経済的な溶銑の製造ができなかったのに対し、本
発明の操業範囲内である実施例1〜3においては、鉄お
よび炭材ダスト発生量が少なく、かつ、二次燃焼率、着
熱効率も良好な効率的な溶融還元法の操業が実施でき
た。
〔発明の効果〕 本発明の実施により、溶融還元の操業中に発生する発
生ガスへの鉄ダストおよび炭材ダストの発生量を減少さ
せるとともに、二次燃焼率および着熱効率が高い操業を
実施することができ、鉄歩留が良好であると共に、石炭
原単位、酸素原単位の少ない操業が可能となり、安価な
製造コストで溶銑を製造できることに加えて、生産性も
向上できる。
生ガスへの鉄ダストおよび炭材ダストの発生量を減少さ
せるとともに、二次燃焼率および着熱効率が高い操業を
実施することができ、鉄歩留が良好であると共に、石炭
原単位、酸素原単位の少ない操業が可能となり、安価な
製造コストで溶銑を製造できることに加えて、生産性も
向上できる。
第1図は、本発明に基づく溶融還元法の操業を説明する
ためのものであり、周知の鉄浴式の溶融還元炉の構成
図、第2図は、溶融還元炉内の詳細図であり、スラグ厚
み、酸素ジェットによるスラグ凹み、粒鉄の多いスラグ
層の関係を示す図、第3図は、溶融還元法の操業におけ
るスラグ中の粒鉄とスラグの重量比の関係の調査結果の
一例を示す図、第4図は、スラグ内の垂直方向の粒鉄分
布の調査結果の一例を示す図、第5図は、羽口1本当り
のガス流量と鉄ダスト発生量の関係の調査結果の一例を
示す図、第6図は、鉄浴の撹拌力と鉄ダスト発生量の関
係と鉄浴の撹拌力と着熱効率の関係の調査結果の一例を
示す図、第7図は、羽口1本当りの底吹きガス流量とス
ラグ層下部の粒鉄の多い層の厚みの関係の調査結果の一
例を示す図、第8図は、酸素ジェットの到達高さと鉄ダ
スト発生量および二次燃焼率の関係の調査結果の一例を
示す図、第9図は、スラグ重量と炭材のダスト発生量の
関係の調査結果の一例を示す図、第10図は、上吹き酸素
ジェットによる到達高さLの計算に使用するノズル係数
(k)とノズル角度とランスの孔数の関係を示す図であ
る。
ためのものであり、周知の鉄浴式の溶融還元炉の構成
図、第2図は、溶融還元炉内の詳細図であり、スラグ厚
み、酸素ジェットによるスラグ凹み、粒鉄の多いスラグ
層の関係を示す図、第3図は、溶融還元法の操業におけ
るスラグ中の粒鉄とスラグの重量比の関係の調査結果の
一例を示す図、第4図は、スラグ内の垂直方向の粒鉄分
布の調査結果の一例を示す図、第5図は、羽口1本当り
のガス流量と鉄ダスト発生量の関係の調査結果の一例を
示す図、第6図は、鉄浴の撹拌力と鉄ダスト発生量の関
係と鉄浴の撹拌力と着熱効率の関係の調査結果の一例を
示す図、第7図は、羽口1本当りの底吹きガス流量とス
ラグ層下部の粒鉄の多い層の厚みの関係の調査結果の一
例を示す図、第8図は、酸素ジェットの到達高さと鉄ダ
スト発生量および二次燃焼率の関係の調査結果の一例を
示す図、第9図は、スラグ重量と炭材のダスト発生量の
関係の調査結果の一例を示す図、第10図は、上吹き酸素
ジェットによる到達高さLの計算に使用するノズル係数
(k)とノズル角度とランスの孔数の関係を示す図であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】上吹きランスから酸素を、浴面下の複数の
羽口より撹拌ガスを底吹きする鉄浴式の溶融還元炉にお
いて、前記撹拌ガスによる鉄浴の撹拌力を1〜6kW/tの
範囲とし、かつ、前記羽口1本当りのガス流量を標準状
態換算で70〜450Nm3/hrの範囲で制御して操業すること
を特徴とする金属の溶融還元法 - 【請求項2】上吹き酸素のスラグに対する凹み深さ
(L)とスラグ厚み(L0)の関係が下記式を満足するよ
うに、撹拌ガス流量、ランス高さ、送酸流量、上吹きラ
ンスのノズル形状のいずれか、もしくは2以上を制御す
ることを特徴とする請求項1記載の金属の溶融還元法。 L0−L<35(α・q/p)1/2 ただし、q:羽口1本当りのガス流量(Nm3/hr) α:撹拌ガスの鉄浴内での反応によるガス容積の変化率
(−) p:炉内圧力(ata.) - 【請求項3】溶融還元炉内の浴面積当りのスラグ量を15
00kg/m2以上として操業することを特徴とする請求項1
または2記載の金属の溶融還元法。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28045989A JP2736555B2 (ja) | 1989-10-27 | 1989-10-27 | 金属の溶融還元法 |
ZA906892A ZA906892B (en) | 1989-09-04 | 1990-08-29 | Method of operating in-bath smelting reduction furnace |
CA002024466A CA2024466C (en) | 1989-09-04 | 1990-08-31 | Method of operating in-bath smelting reduction furnace |
DE69015077T DE69015077T2 (de) | 1989-09-04 | 1990-09-03 | Verfahren zum Betreiben eines Schmelzreduktionsofens. |
AU62121/90A AU629681B2 (en) | 1989-09-04 | 1990-09-03 | Method of operating in-bath smelting reduction furnace |
ES90116879T ES2068298T3 (es) | 1989-09-04 | 1990-09-03 | Metodo de operacion de un horno de reduccion por funcion en el baño. |
EP90116879A EP0418627B1 (en) | 1989-09-04 | 1990-09-03 | Method of operating in-bath smelting reduction furnace |
US07/578,010 US5078785A (en) | 1989-09-04 | 1990-09-04 | Method of operating in-bath smelting reduction furnace |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28045989A JP2736555B2 (ja) | 1989-10-27 | 1989-10-27 | 金属の溶融還元法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03140405A JPH03140405A (ja) | 1991-06-14 |
JP2736555B2 true JP2736555B2 (ja) | 1998-04-02 |
Family
ID=17625358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28045989A Expired - Fee Related JP2736555B2 (ja) | 1989-09-04 | 1989-10-27 | 金属の溶融還元法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2736555B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2725466B2 (ja) * | 1991-03-26 | 1998-03-11 | 住友金属工業株式会社 | 溶融還元製鉄法 |
JP4650226B2 (ja) * | 2005-11-16 | 2011-03-16 | Jfeスチール株式会社 | 溶融還元方法 |
US8475561B2 (en) * | 2008-03-25 | 2013-07-02 | Kobe Steel, Ltd. | Method for producing molten iron |
-
1989
- 1989-10-27 JP JP28045989A patent/JP2736555B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03140405A (ja) | 1991-06-14 |
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