JPH09272108A - 成形体の変色防止方法 - Google Patents

成形体の変色防止方法

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JPH09272108A JP8277896A JP8277896A JPH09272108A JP H09272108 A JPH09272108 A JP H09272108A JP 8277896 A JP8277896 A JP 8277896A JP 8277896 A JP8277896 A JP 8277896A JP H09272108 A JPH09272108 A JP H09272108A
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純 細川
Hiroshi Kabetani
洋 壁谷
Tadatomi Ri
忠富 李
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CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 葉緑体を含有する非木質植物廃棄物と合成樹
脂からなる成形体の製造工程における褐変を防止して、
葉緑体由来の緑色を呈した成形体を得るための成形体の
変色防止方法を提供する。 【解決手段】 本発明の成形体の変色防止方法は、葉緑
体を含有する非木質植物廃棄物を乾燥および粉砕した
後、熱可塑性樹脂およびパラフィンと混合し、加熱圧縮
成形することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物体または藻類
を、二酸化炭素の放出なしに有効利用する方法に関し、
特に非木質植物廃棄物を用いた成形体の変色防止方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】藁などの農業廃棄物や、森林の残材など
の林業廃棄物として生じる植物廃棄物のうち、リグニン
を多く含む木質植物廃棄物は比較的利用しやすいもの
の、非木質植物廃棄物は有効利用しにくいため、焼却処
理などの方法で廃棄されるか、あるいは地上または地中
に放置され、自然界の微生物によって分解されることが
多い。このような焼却処理や分解により、植物によって
光合成反応により固定化した二酸化炭素が再び大気中に
放出されることになる。二酸化炭素の増加は、地球温暖
化をもたらす原因であり、こうした二酸化炭素の再放出
は望ましくない。一方、二酸化炭素は、植物や藻類の光
合成反応を利用して固定化補集することができ、微細藻
類を大量培養して二酸化炭素を固定する研究が進められ
ている。ところが、培養後に得られる藻体のうち、食
用、家畜の飼料等に利用されない余剰培養藻体も、有効
利用されないまま、焼却処理などの方法で廃棄される
か、あるいは地上または地中に放置され、自然界の微生
物によって分解されることになる。これらの余剰の非木
質植物廃棄物や藻類(以下、非木質植物廃棄物という)
を焼却処理すると、光合成反応により固定化した二酸化
炭素が大気中に放出されることになる。また他の生物に
よる分解を受けて二酸化炭素の生成源となる。この余剰
の藻類を廃棄物として焼却処理すると、光合成反応によ
り固定化した二酸化炭素が大気中に放出されることにな
る。また藻類が微生物による分解を受けて二酸化炭素の
生成源となる。本発明らは、これらの非木質植物廃棄物
を有効利用しつつ、二酸化炭素を発生させない処理方法
として、非木質植物廃棄物を乾燥および粉砕した後、合
成樹脂と混合し、加熱圧縮成形して成形体を得る成形体
の製造方法を発明し、別途特許出願している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記成形体の製造方法
においては、前記非木質植物廃棄物として、植物葉茎
部、緑藻類などの葉緑体含有植物廃棄物を用いても、加
熱圧縮成形の条件によっては、葉緑体由来の緑色が失わ
れ褐変してしまうことがある。したがって、成形体の強
度、成形性などの機能としては全く問題がないものの、
成形体の美観上は、葉緑体由来の緑色をより活かすこと
が望まれる。本発明は、葉緑体を含有する非木質植物廃
棄物と合成樹脂からなる成形体の製造工程における褐変
を防止して、葉緑体由来の緑色を呈した成形体を得るた
めの成形体の変色防止方法を提供することを目的として
いる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の成形体の変色防
止方法は、葉緑体を含有する非木質植物廃棄物を乾燥お
よび粉砕した後、合成樹脂およびパラフィンと混合し、
加熱圧縮成形することを特徴としている。前記非木質植
物廃棄物としては、植物葉茎部、緑藻類などを用いてよ
く、特に微細藻類を用いてよい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の成形体の変色防止方法で
用いられる非木質植物廃棄物は、葉緑体を含有するもの
であって、農業廃棄物、林業廃棄物、および余剰培養藻
体などの植物廃棄物のうちの葉緑体を葉緑体を含有する
部分が用いられ、あるいは大量培養したクロレラの余剰
藻体などを好適に用いることができる。これらの非木質
植物廃棄物は、乾燥および粉砕により、水分含量10重
量%以下の乾燥粉末として調製する。
【0006】一方混和剤として用いられる熱可塑性樹脂
(以下混和剤という)としては、用途に応じて適宜用い
る樹脂を決めればよい。しかしながら、非木質植物廃棄
物添加率を上げると引張強度が低下するので、引張強度
の高い樹脂を混和剤として用いることが好ましい。また
透明度の高いものを用いると葉緑体由来の緑色を活かす
ことができるので好ましい。具体的には、広くハウジン
グ材等に用いられる熱可塑性樹脂を用いればよく、例え
ば、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、高密度ポリエチレ
ン、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、不飽
和ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
ウレタンなどを用いることができる。特に、パネル、壁
材、建材、タイルとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レンなどを用いることができる。また目的とする成形体
の用途によっては、耐燃焼性の高い合成樹脂を用いるこ
とが好ましい。
【0007】本発明の成形体の変色防止方法において
は、葉緑体を含有する非木質植物廃棄物と混和剤を混合
する工程において、パラフィンを添加することを特徴と
している。パラフィンとしては、通常合成樹脂の滑剤と
して用いられる流動パラフィン、パラフィンワックス等
が好ましく用いられる。パラフィンの添加量は、添加混
和剤に対して0.05〜5.0重量%程度、好ましくは
0.1〜3.0重量%とする。この範囲の添加量であれ
ば、パラフィン添加による成形体の強度低下はおこらな
い。本発明におけるパラフィンの葉緑体の緑色保持作用
は、成形体内部における摩擦熱減少効果や耐熱性向上効
果によるものと考えられる。
【0008】ここで混和剤が粉末樹脂の場合は、非木質
植物廃棄物の粉末と容易に混合することができるので好
ましいが、粉末樹脂に代えて溶融樹脂の中に非木質植物
廃棄物を入れて混練してもよい。非木質植物廃棄物と混
和剤との混合において、非木質植物廃棄物の含有量は、
5〜70重量%程度とすることが好ましい。非木質植物
廃棄物の含有量が低すぎると、非木質植物廃棄物を有効
利用することができず、また非木質植物廃棄物の含有量
が高すぎると、成形体の強度および成形性が低下するの
で好ましくない。またこの混合の際に、必要に応じて添
加剤、例えば、熱安定剤、光安定剤(紫外線吸収剤)、
酸化防止剤、難燃剤、強化充填剤、帯電防止剤、滑剤、
結晶核剤、離型剤、防菌・防カビ剤などを添加すること
ができる。また、可塑剤は必ずしも添加する必要はな
い。
【0009】ついで、混合した非木質植物廃棄物と混和
剤の混合物を金型内に導入し、成形する。成形の方法
は、圧縮成形、押し出し成形、射出成形など周知の成形
方法を用いることができるが、加熱圧縮成形が好まし
い。ここで、上記混合物が粉末状の場合は、粉末状態の
まま金型内に入れて金型内で加熱圧縮する粉末成形法を
用いることができる。成形温度は、用いた混和剤の種類
に応じて適宜設定するが、220℃以下、好ましくは2
00℃以下とすればよい。成形圧力は特に限定されない
が、0.3〜1MPa程度とする。こうして金型内で賦
形した後、金型を冷却して固化させる。得られた成形体
は必要に応じて再加圧あるいは他の二次加工を行う。す
なわち用いた合成樹脂の成形に通常用いられる周知の方
法で、成形体を作製することができる。こうして得られ
た緑色の成形体は、広い用途に用いることができ、例え
ば、タイル、建材、壁材、パネルなどの建築用品、家
具、食器、文具、雑貨などの日用品、パイプ、シート、
板、工芸品などに用いることが可能である。
【0010】
【実施例】以下、葉緑体を含有する非木質植物廃棄物と
して微細藻類の藻体を、混和剤としてポリ塩化ビニル
(PVC)を用いた実施例に基づいて、本発明を詳しく
説明する。まず、微細藻類の藻体、ポリ塩化ビニル、パ
ラフィン、必要に応じて安定剤を混合する。ポリ塩化ビ
ニルとして、粉末状のものを用いると、混合が容易であ
って好ましい。上記混合において、藻体の含有量は5〜
70重量%程度、好ましくは10〜60重量%、さらに
好ましくは10〜50重量%とする。藻体の含有量が1
0〜60重量%の範囲であれば少なくとも軟質ポリ塩化
ビニルと同等の強度の成形体を得ることができる。さら
にポリ塩化ビニルの劣化防止のために通常用いられる安
定剤を添加することが好ましい。このような安定剤とし
ては、三塩基性硫酸鉛(TC)、二塩基性ステアリン酸
鉛(DBL)、カドミウム・バリウム・鉛脂肪酸塩、バ
リウム・亜鉛脂肪酸などが挙げられる。また可塑剤は添
加する必要はなく、通常ポリ塩化ビニルの成形に必須で
ある可塑剤を省略することができる。上記パラフィンと
しては、通常合成樹脂の滑剤として用いられる流動パラ
フィン、パラフィンワックス等が好ましく用いられる。
パラフィンの添加量は、添加ポリ塩化ビニルに対して
0.05〜5.0重量%程度、好ましくは0.1〜3.
0重量%とする。この範囲の添加量であれば、パラフィ
ン添加による成形体の強度低下はおこらない。
【0011】藻体、ポリ塩化ビニル、パラフィンを混合
した後、秤量し、金型内に導入し、加熱する。成形温度
は、180〜220℃以下、好ましくは180〜200
℃以下、成形圧力は特に限定されないが、0.3〜1M
Pa程度とする。この加熱加圧状態で、1〜7分保持し
て成形体の賦形を行う。賦形終了後、金型を冷却して固
化させる。ついで、再加圧を行い、研磨して製品とす
る。すなわちPVCの成形に通常用いられる周知の方法
で、成形体を作製することができる。こうして得られた
藻体とポリ塩化ビニルからなる緑色の成形体は、広い用
途に用いることができ、例えば、タイル、建材、壁材、
パネルなどの建築用品、家具、食器、文具、雑貨などの
日用品、パイプ、シート、板、工芸品などに用いること
が可能である。
【0012】(実施例)実験材料として、市販のクロレ
ラ乾燥物(水分3.4%、グルコース含量4.9%)お
よびポリ塩化ビニル(PVC、和光純薬、重合度約11
00)を用いた。藻体は使用前に50℃で48時間以上
減圧乾燥処理した。安定剤として、二塩基性ステアリン
酸鉛(DBL、東亜理化)、バリウム・亜鉛脂肪酸(P
SE−227、栄伸化成)および流動パラフィンを使用
した。成型体の作製には、40×140×7mmのアル
ミ板の中央を20×120mmの矩形に切り欠いたもの
と、切り欠き部と同じ大きさのパンチとを組み合わせた
金型を用いた。これにクロレラとPVCの混合物約8g
を充填し、圧縮成形機(神藤金属工業所、NSF−37
型)による成形体の試作を行った。加熱、加圧によって
得られた成形体を金型とともに冷水中に投入して冷却し
た後、金型から成形体を剥離して、成形体を得た。
【0013】(実施例1) クロレラ:PVC比を20:80とし、パラフィンの添
加量と成形時間を変化させて成形体を作製し、褐変の有
無を調べた。安定剤としてPVCに対して3重量%のP
SE227を添加したものに、0〜3.0重量%の範囲
のパラフィンを添加し、成形温度180℃、成形圧力
0.3MPaで、1.5、2、3、5、7分の成形時間
後の、成形体の色の変化をみた。その結果を表1に示
す。
【0014】
【表1】
【0015】表1に示したように、パラフィンを0.0
5重量%以上添加すれば、緑色の保持効果が現れ、0.
1重量%以上の添加で成形時間7分としても褐変がおこ
らないことがわかった。
【0016】(実施例2) クロレラ:PVC比を20:80とし、パラフィンの添
加量と成形時間を変化させて成形体を作製し、その引張
強さを測定した。安定剤としてPVCに対して3重量%
のPSE227を添加したものに、PVCに対して0〜
3.0重量%の範囲のパラフィンを添加し、成形温度1
80℃、成形圧力0.3MPaで、1.5、2、3、
5、7分の成形時間で作製した成形体の引張強さを、J
IS K6740−1976(硬質塩化ビニルコンパウ
ンド)に基づき、万能試験機(島津製作所、オートグラ
フAG−100A型)を用いて測定した。その結果を表
2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】表1で説明したように、パラフィンを0.
05重量%以上添加すれば、緑色の保持効果が現れ、
0.1重量%以上の添加で成形時間7分としても褐変が
おこらないことがわかった。表2は成形体の引張強さに
対するパラフィン添加の影響を示すものであるが、パラ
フィンをPVCに対して0〜3重量%添加しても成形体
の引張強さに大きな変化はなく特に0〜2重量%添加す
る条件下では安定した引張強さを示す成形体を得ること
が出来た。
【0019】以上、葉緑体を含有する非木質植物廃棄物
に微細藻類、混和剤にポリ塩化ビニルを用いて、本発明
の成形体の製造方法を説明したが、葉緑体を含有する非
木質植物廃棄物および合成樹脂の種類を変えても、周知
の合成樹脂の成形方法と組み合わせることにより本発明
の成形体の製造方法を実施できる。また例えば、本発明
の変色防止方法は、例えば紅葉した葉、または花弁など
を用いた成形体へも応用することができ、パラフィン添
加により各々の植物廃棄物由来の色を保持した成形体を
得ることが可能になる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、葉緑体を含有する非木
質植物廃棄物と合成樹脂からなる成形体の製造工程にお
ける褐変を防止して、葉緑体由来の緑色を呈した成形体
を得ることができる。したがって、成形体の美観を向上
させ、タイル、建材、壁材、パネルなどの建築用品、家
具、食器、文具、雑貨などの日用品、パイプ、シート、
板、工芸品などの用途に適した材料を提供することがで
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 99/00 LSX B09B 3/00 ZAB 101/00 LSY 301Z (72)発明者 山下 正忠 東京都港区西新橋2丁目8番11号 財団法 人 地球環境産業技術研究機構内 (72)発明者 大月 利 東京都港区西新橋2丁目8番11号 財団法 人 地球環境産業技術研究機構内 (72)発明者 細川 純 香川県高松市林町2217番14 工業技術院 四国工業技術研究所内 (72)発明者 壁谷 洋 香川県高松市林町2217番14 工業技術院 四国工業技術研究所内 (72)発明者 李 忠富 東京都港区西新橋2丁目8番11号 財団法 人 地球環境産業技術研究機構内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 葉緑体を含有する非木質植物廃棄物を乾
    燥および粉砕した後、熱可塑性樹脂およびパラフィンと
    混合し、加熱圧縮成形することを特徴とする成形体の変
    色防止方法。
  2. 【請求項2】 前記非木質植物廃棄物が、植物葉茎部、
    緑藻類からなる群から選択されることを特徴とする請求
    項1記載の成形体の変色防止方法。
  3. 【請求項3】 前記非木質植物廃棄物が、微細藻類であ
    ることを特徴とする請求項2記載の成形体の変色防止方
    法。
  4. 【請求項4】 微細藻類の藻体5〜70重量部を、熱可
    塑性樹脂とパラフィンとの混合物A95〜30重量部と
    混合し、かつ、該混合物A中の前記パラフィンの重量比
    が前記熱可塑性樹脂に対して0.05〜5%であること
    を特徴とする成形体の変色防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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