JPH09269051A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
自動変速機の制御装置Info
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- JPH09269051A JPH09269051A JP8103875A JP10387596A JPH09269051A JP H09269051 A JPH09269051 A JP H09269051A JP 8103875 A JP8103875 A JP 8103875A JP 10387596 A JP10387596 A JP 10387596A JP H09269051 A JPH09269051 A JP H09269051A
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- pressure
- speed
- shift
- turbine
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 摩擦要素に対する作動圧を制御することによ
り、タービン回転数をフィードバック制御する場合に、
該フィードバック制御を良好に行なうことを課題とす
る。 【解決手段】 タービン回転数が変化し始めた時点で、
目標油圧と実油圧との偏差に基づいて摩擦要素に対する
作動圧を補正するコントローラ300を備える。
り、タービン回転数をフィードバック制御する場合に、
該フィードバック制御を良好に行なうことを課題とす
る。 【解決手段】 タービン回転数が変化し始めた時点で、
目標油圧と実油圧との偏差に基づいて摩擦要素に対する
作動圧を補正するコントローラ300を備える。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車に搭載される
自動変速機の制御装置に関する。
自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車に搭載される自動変速機
は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、
この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ
等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所
定の変速段に自動的に変速するように構成したものであ
るが、変速前後でタービン回転数が変速機のギア比の変
化に伴ってアップシフト変速では低下し、逆にダウンシ
フト変速では上昇するので、この種の自動変速機におい
ては、例えば特開平6−11029号公報に開示されて
いるように、変速動作中に、締結又は解放される摩擦要
素に対する作動圧を制御することにより、タービン回転
数を所定の目標回転数に一致させ、あるいはタービン回
転変化率を所定の目標変化率に一致させながら、タービ
ン回転数を変速後の回転数に滑らかに移行させるフィー
ドバック制御が行なわれる。
は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、
この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ
等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所
定の変速段に自動的に変速するように構成したものであ
るが、変速前後でタービン回転数が変速機のギア比の変
化に伴ってアップシフト変速では低下し、逆にダウンシ
フト変速では上昇するので、この種の自動変速機におい
ては、例えば特開平6−11029号公報に開示されて
いるように、変速動作中に、締結又は解放される摩擦要
素に対する作動圧を制御することにより、タービン回転
数を所定の目標回転数に一致させ、あるいはタービン回
転変化率を所定の目標変化率に一致させながら、タービ
ン回転数を変速後の回転数に滑らかに移行させるフィー
ドバック制御が行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、このター
ビン回転のフィードバック制御中においては、摩擦要素
に対する作動圧が所定の目標値となるようにデューティ
ソレノイドバルブ等によりその給排が制御されることに
なるが、該フィードバック制御開始時点における作動圧
の初期値が適切に設定されていないと、その後の制御が
良好に行なわれなくなる場合が生じる。
ビン回転のフィードバック制御中においては、摩擦要素
に対する作動圧が所定の目標値となるようにデューティ
ソレノイドバルブ等によりその給排が制御されることに
なるが、該フィードバック制御開始時点における作動圧
の初期値が適切に設定されていないと、その後の制御が
良好に行なわれなくなる場合が生じる。
【0004】例えば、ダウンシフト変速時に解放側摩擦
要素に対する作動圧を制御して、タービン回転数をフィ
ードバック制御する場合に、上記作動圧の初期値が高す
ぎたときには、フィードバック制御の開始時における作
動圧を低くする方向の動作の遅れのために、イナーシャ
フェーズ初期の作動圧も高くなって、該解放側摩擦要素
の解放動作が遅れてイナーシャフェーズの時間が長くな
り、逆に、上記初期値が低すぎたときには、フィードバ
ック制御の開始時における作動圧を高くする方向の動作
の遅れのために、イナーシャフェーズ初期の作動圧も低
くなって、該解放側摩擦要素が急激に解放されることに
なり、その結果、いずれの場合にも良好な変速フィーリ
ングが得られないのである。
要素に対する作動圧を制御して、タービン回転数をフィ
ードバック制御する場合に、上記作動圧の初期値が高す
ぎたときには、フィードバック制御の開始時における作
動圧を低くする方向の動作の遅れのために、イナーシャ
フェーズ初期の作動圧も高くなって、該解放側摩擦要素
の解放動作が遅れてイナーシャフェーズの時間が長くな
り、逆に、上記初期値が低すぎたときには、フィードバ
ック制御の開始時における作動圧を高くする方向の動作
の遅れのために、イナーシャフェーズ初期の作動圧も低
くなって、該解放側摩擦要素が急激に解放されることに
なり、その結果、いずれの場合にも良好な変速フィーリ
ングが得られないのである。
【0005】一方、アップシフト変速時に例えば締結側
摩擦要素に対する作動圧を制御して、タービン回転数を
フィードバック制御する場合に、上記作動圧の初期値が
高すぎたときには、フィードバック制御の開始時におけ
る作動圧を低くする方向の動作の遅れのために、イナー
シャフェーズ初期の作動圧も高くなって、該締結側摩擦
要素が急激に締結されることになり、逆に、上記初期値
が低すぎたときには、フィードバック制御の開始時にお
ける作動圧を高くする方向の動作の遅れのために、イナ
ーシャフェーズ初期の作動圧も低くなって、該締結側摩
擦要素の締結動作が遅れてイナーシャフェーズの時間が
長くなり、その結果、いずれの場合にも良好な変速フィ
ーリングが得られないのである。
摩擦要素に対する作動圧を制御して、タービン回転数を
フィードバック制御する場合に、上記作動圧の初期値が
高すぎたときには、フィードバック制御の開始時におけ
る作動圧を低くする方向の動作の遅れのために、イナー
シャフェーズ初期の作動圧も高くなって、該締結側摩擦
要素が急激に締結されることになり、逆に、上記初期値
が低すぎたときには、フィードバック制御の開始時にお
ける作動圧を高くする方向の動作の遅れのために、イナ
ーシャフェーズ初期の作動圧も低くなって、該締結側摩
擦要素の締結動作が遅れてイナーシャフェーズの時間が
長くなり、その結果、いずれの場合にも良好な変速フィ
ーリングが得られないのである。
【0006】そこで、本発明は、タービン回転のフィー
ドバック制御中に、摩擦要素に対する作動圧を補正し
て、それ以後のフィードバック制御を良好に行わせるこ
とを課題とする。
ドバック制御中に、摩擦要素に対する作動圧を補正し
て、それ以後のフィードバック制御を良好に行わせるこ
とを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は次のように特定される。
に本発明は次のように特定される。
【0008】まず、請求項1に記載の発明(以下「第1
発明」という。)は、変速歯車機構と、作動圧の給排に
より選択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経
路を切り換える複数の摩擦要素と、所定の変速時に締結
又は解放動作させる摩擦要素に対する作動圧を制御する
ことにより、該変速動作中におけるタービン回転数を所
定の目標回転数に一致させ、又はタービン回転変化率を
所定の目標変化率に一致させるようにフィードバック制
御する変速制御手段とを有する自動変速機の制御装置で
あって、上記摩擦要素に対して作動している作動圧の実
際値を検出する実油圧検出手段と、上記フィードバック
制御中に、上記摩擦要素に対する作動圧の目標値に関す
る値と、上記検出手段で検出された作動圧の実際値に関
する値とに基づいて、該摩擦要素に対する作動圧を補正
する補正手段とが備えられていることを特徴とする。
発明」という。)は、変速歯車機構と、作動圧の給排に
より選択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経
路を切り換える複数の摩擦要素と、所定の変速時に締結
又は解放動作させる摩擦要素に対する作動圧を制御する
ことにより、該変速動作中におけるタービン回転数を所
定の目標回転数に一致させ、又はタービン回転変化率を
所定の目標変化率に一致させるようにフィードバック制
御する変速制御手段とを有する自動変速機の制御装置で
あって、上記摩擦要素に対して作動している作動圧の実
際値を検出する実油圧検出手段と、上記フィードバック
制御中に、上記摩擦要素に対する作動圧の目標値に関す
る値と、上記検出手段で検出された作動圧の実際値に関
する値とに基づいて、該摩擦要素に対する作動圧を補正
する補正手段とが備えられていることを特徴とする。
【0009】この第1発明によれば、タービン回転のフ
ィードバック制御中に、摩擦要素に対する作動圧の目標
値に関する値と、該摩擦要素に実際に作動している作動
圧の実際値に関する値とに基づいて、作動圧が補正され
るので、その後のフィードバック制御において、タービ
ン回転数又はタービン回転変化率が応答性よく速やかに
目標回転数又は目標変化率に収束することになる。
ィードバック制御中に、摩擦要素に対する作動圧の目標
値に関する値と、該摩擦要素に実際に作動している作動
圧の実際値に関する値とに基づいて、作動圧が補正され
るので、その後のフィードバック制御において、タービ
ン回転数又はタービン回転変化率が応答性よく速やかに
目標回転数又は目標変化率に収束することになる。
【0010】また、請求項2に記載の発明(以下「第2
発明」という。)は、上記第1発明において、実油圧検
出手段は、出力した作動圧の目標値と、摩擦要素に実際
に作動する油圧の実績値とから求められた両値の関係を
表すモデルを用いて作動圧の実際値を推定し、補正手段
は、この推定値を用いて作動圧の補正を行なうことを特
徴とする。
発明」という。)は、上記第1発明において、実油圧検
出手段は、出力した作動圧の目標値と、摩擦要素に実際
に作動する油圧の実績値とから求められた両値の関係を
表すモデルを用いて作動圧の実際値を推定し、補正手段
は、この推定値を用いて作動圧の補正を行なうことを特
徴とする。
【0011】この第2発明によれば、予め実験等により
構築したモデルを用いて作動圧の実際値が推定されるの
で、実油圧を検出するために油圧センサ等の装置を設け
る必要がない。
構築したモデルを用いて作動圧の実際値が推定されるの
で、実油圧を検出するために油圧センサ等の装置を設け
る必要がない。
【0012】また、請求項3に記載の発明(以下「第3
発明」という。)は、同じく上記第1発明において、補
正手段は、タービン回転が変化した時点で作動圧の補正
を行なうことを特徴とする。
発明」という。)は、同じく上記第1発明において、補
正手段は、タービン回転が変化した時点で作動圧の補正
を行なうことを特徴とする。
【0013】この第3発明によれば、タービン回転が変
化した時点、つまりタービン回転数が上昇もしくは下降
し始めた時点、又はタービン回転変化率が増大もしくは
減少し始めた時点のイナーシャフェーズ開始時におい
て、摩擦要素に対する作動圧が補正されるので、それ以
後のフィードバック制御が当初から良好に行なわれるこ
とになる。
化した時点、つまりタービン回転数が上昇もしくは下降
し始めた時点、又はタービン回転変化率が増大もしくは
減少し始めた時点のイナーシャフェーズ開始時におい
て、摩擦要素に対する作動圧が補正されるので、それ以
後のフィードバック制御が当初から良好に行なわれるこ
とになる。
【0014】また、請求項4に記載の発明(以下「第4
発明」という。)は、上記第3発明において、補正手段
は、タービン回転が実際に変化した時点からその変化を
検出するまでのタービン回転数変化量に基づくトルクに
対応する油圧に基づいて作動圧の補正を行なうことを特
徴とする請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
発明」という。)は、上記第3発明において、補正手段
は、タービン回転が実際に変化した時点からその変化を
検出するまでのタービン回転数変化量に基づくトルクに
対応する油圧に基づいて作動圧の補正を行なうことを特
徴とする請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
【0015】この第4発明によれば、イナーシャフェー
ズ開始時に作動圧の補正を行なう場合に、その開始時点
であるタービン回転の実変化時点を遅れて検出しても、
その検出遅れの間にすでに変化したイナーシャトルクに
対応する油圧に基づいて作動圧の増減補正がなされるの
で、該作動圧がより適正な値に補正されることになる。
ズ開始時に作動圧の補正を行なう場合に、その開始時点
であるタービン回転の実変化時点を遅れて検出しても、
その検出遅れの間にすでに変化したイナーシャトルクに
対応する油圧に基づいて作動圧の増減補正がなされるの
で、該作動圧がより適正な値に補正されることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、機
械的構成、油圧制御回路、及び変速制御動作にわけて説
明する。
械的構成、油圧制御回路、及び変速制御動作にわけて説
明する。
【0017】機械的構成 まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速
機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
【0018】この自動変速機10は、主たる構成要素と
して、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出
力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された
第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯
車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラ
ッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワン
ウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジに
おける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレン
ジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得
られるようになっている。
して、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出
力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された
第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯
車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラ
ッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワン
ウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジに
おける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレン
ジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得
られるようになっている。
【0019】上記トルクコンバータ20は、エンジン出
力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ2
2と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22
により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポ
ンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速
機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持さ
れてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース
21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を
介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロ
ックアップクラッチ26とで構成されている。そして、
上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介し
て遊星歯車機構30,40側に出力されるようになって
いる。
力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ2
2と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22
により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポ
ンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速
機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持さ
れてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース
21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を
介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロ
ックアップクラッチ26とで構成されている。そして、
上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介し
て遊星歯車機構30,40側に出力されるようになって
いる。
【0020】ここで、このトルクコンバータ20の反エ
ンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を
介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12
が配置されている。
ンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を
介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12
が配置されている。
【0021】一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,
40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギ
ヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,
42…42と、これらのピニオン32…32,42…4
2を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン
32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,
44とで構成されている。
40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギ
ヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,
42…42と、これらのピニオン32…32,42…4
2を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン
32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,
44とで構成されている。
【0022】そして、上記タービンシャフト27と第1
遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードク
ラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星
歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ
52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機
構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ
53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機
構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が
備えられている。
遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードク
ラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星
歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ
52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機
構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ
53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機
構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が
備えられている。
【0023】さらに、第1遊星歯車機構30のリングギ
ヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43
とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にロ
ーリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが
並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30の
ピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリング
ギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続
されている。
ヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43
とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にロ
ーリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが
並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30の
ピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリング
ギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続
されている。
【0024】そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機
構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギ
ヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフ
ト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ
71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差
動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置7
0を介して左右の車軸73,74が駆動されるようにな
っている。
構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギ
ヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフ
ト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ
71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差
動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置7
0を介して左右の車軸73,74が駆動されるようにな
っている。
【0025】ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩
擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状
態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すよう
になる。
擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状
態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すよう
になる。
【0026】なお、上記の骨子図に示す自動変速機10
の変速歯車機構の部分は、具体的には図2に示すように
構成されているが、この図に示すように、変速機ケース
11には後述する制御で用いられるタービン回転センサ
305が取り付けられている。
の変速歯車機構の部分は、具体的には図2に示すように
構成されているが、この図に示すように、変速機ケース
11には後述する制御で用いられるタービン回転センサ
305が取り付けられている。
【0027】
【表1】 油圧制御回路 次に、図1、図2に示す各摩擦要素51〜55に設けら
れた油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路の構
成を図3により説明する。
れた油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路の構
成を図3により説明する。
【0028】なお、上記各摩擦要素のうち、バンドブレ
ーキでなる2−4ブレーキ54は、作動圧が供給される
油圧室として締結室54aと解放室54bとを有し、締
結室54aのみに作動圧が供給されているときに当該2
−4ブレーキ54が締結され、解放室54bのみに作動
圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動
圧が供給されていないとき、及び両室54a,54bと
も作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ54
が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要
素51〜53,55は単一の油圧室を有し、該油圧室に
作動圧が供給されているときに当該摩擦要素が締結され
る。
ーキでなる2−4ブレーキ54は、作動圧が供給される
油圧室として締結室54aと解放室54bとを有し、締
結室54aのみに作動圧が供給されているときに当該2
−4ブレーキ54が締結され、解放室54bのみに作動
圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動
圧が供給されていないとき、及び両室54a,54bと
も作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ54
が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要
素51〜53,55は単一の油圧室を有し、該油圧室に
作動圧が供給されているときに当該摩擦要素が締結され
る。
【0029】図3に示すように、この油圧制御回路10
0には、主たる構成要素として、オイルポンプ12の吐
出圧を調整して所定のライン圧を生成するレギュレータ
バルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを
行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動し
て各摩擦要素51〜55に通じる油路を切り換えるロー
リバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4
シフトバルブ105及びロックアップコントロールバル
ブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させ
るための第1、第2ON−OFFソレノイドバルブ(以
下、「第1、第2SV」と記す)111,112と、第
1SV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノ
イドリレーバルブ(以下、「リレーバルブ」と記す)1
07と、各摩擦要素51〜55の油圧室に供給される作
動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デュ
ーティソレノイドバルブ(以下、「第1〜第3DSV」
と記す)121,122,123等が備えられている。
0には、主たる構成要素として、オイルポンプ12の吐
出圧を調整して所定のライン圧を生成するレギュレータ
バルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを
行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動し
て各摩擦要素51〜55に通じる油路を切り換えるロー
リバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4
シフトバルブ105及びロックアップコントロールバル
ブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させ
るための第1、第2ON−OFFソレノイドバルブ(以
下、「第1、第2SV」と記す)111,112と、第
1SV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノ
イドリレーバルブ(以下、「リレーバルブ」と記す)1
07と、各摩擦要素51〜55の油圧室に供給される作
動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デュ
ーティソレノイドバルブ(以下、「第1〜第3DSV」
と記す)121,122,123等が備えられている。
【0030】ここで、上記第1、第2SV111,11
2及び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方
弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下
流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっ
ている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断され
るので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出す
ることがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減され
る。
2及び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方
弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下
流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっ
ている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断され
るので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出す
ることがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減され
る。
【0031】なお、第1、第2SV111,112はO
Nのときに上、下流側の油路を連通させる。また、第1
〜第3DSV121〜123はOFFのとき、即ちデュ
ーティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比
率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を
完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が10
0%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路を
ドレン状態とすると共に、その中間のデューティ率で
は、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューテ
ィ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになって
いる。
Nのときに上、下流側の油路を連通させる。また、第1
〜第3DSV121〜123はOFFのとき、即ちデュ
ーティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比
率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を
完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が10
0%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路を
ドレン状態とすると共に、その中間のデューティ率で
は、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューテ
ィ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになって
いる。
【0032】上記レギュレータバルブ101によって生
成されるライン圧は、メインライン200を介して上記
マニュアルバルブ102に供給されると共に、ソレノイ
ドレデューシングバルブ(以下、「レデューシングバル
ブ」と記す)108と3−4シフトバルブ105とに供
給される。
成されるライン圧は、メインライン200を介して上記
マニュアルバルブ102に供給されると共に、ソレノイ
ドレデューシングバルブ(以下、「レデューシングバル
ブ」と記す)108と3−4シフトバルブ105とに供
給される。
【0033】このレデューシングバルブ108に供給さ
れたライン圧は、該バルブ108によって減圧されて一
定圧とされた上で、ライン201,202を介して第
1、第2SV111,112に供給される。
れたライン圧は、該バルブ108によって減圧されて一
定圧とされた上で、ライン201,202を介して第
1、第2SV111,112に供給される。
【0034】そして、この一定圧は、第1SV111が
ONのときには、ライン203を介して上記リレーバル
ブ107に供給されると共に、該リレーバルブ107の
スプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、
さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一
端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該バ
イパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。ま
た、リレーバルブ107のスプールが左側に位置すると
きは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105
の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、
該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢す
る。
ONのときには、ライン203を介して上記リレーバル
ブ107に供給されると共に、該リレーバルブ107の
スプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、
さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一
端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該バ
イパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。ま
た、リレーバルブ107のスプールが左側に位置すると
きは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105
の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、
該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢す
る。
【0035】また、第2SV112がONのときには、
上記レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライ
ン206を介してバイパスバルブ104に供給されると
共に、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置
するときは、さらにライン207を介してロックアップ
コントロールバルブ106の一端の制御ポートにパイロ
ット圧として供給されて、該コントロールバルブ106
のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ1
04のスプールが左側に位置するときは、ライン208
を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポート
にパイロット圧として供給されて、該ローリバースバル
ブ103のスプールを左側に付勢する。
上記レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライ
ン206を介してバイパスバルブ104に供給されると
共に、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置
するときは、さらにライン207を介してロックアップ
コントロールバルブ106の一端の制御ポートにパイロ
ット圧として供給されて、該コントロールバルブ106
のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ1
04のスプールが左側に位置するときは、ライン208
を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポート
にパイロット圧として供給されて、該ローリバースバル
ブ103のスプールを左側に付勢する。
【0036】さらに、レデューシングバルブ108から
の一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバ
ルブ101の制御ポート101aにも供給される。その
場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられた
リニアソレノイドバルブ131により例えばエンジンの
スロットル開度等に応じて調整され、したがって、レギ
ュレータバルブ101により、ライン圧がスロットル開
度等に応じて調整されることになる。
の一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバ
ルブ101の制御ポート101aにも供給される。その
場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられた
リニアソレノイドバルブ131により例えばエンジンの
スロットル開度等に応じて調整され、したがって、レギ
ュレータバルブ101により、ライン圧がスロットル開
度等に応じて調整されることになる。
【0037】なお、上記3−4シフトバルブ105に導
かれたメインライン200は、該バルブ105のスプー
ルが右側に位置するときに、ライン210を介して第1
アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141
にライン圧を導入する。
かれたメインライン200は、該バルブ105のスプー
ルが右側に位置するときに、ライン210を介して第1
アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141
にライン圧を導入する。
【0038】一方、上記メインライン200からマニュ
アルバルブ102に供給されたライン圧は、D,S,L
の各前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力
ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及
び第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出
力ライン213にそれぞれ導入される。
アルバルブ102に供給されたライン圧は、D,S,L
の各前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力
ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及
び第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出
力ライン213にそれぞれ導入される。
【0039】そして、上記第1出力ライン211は第1
DSV121に導かれて、該第1DSV121に制御元
圧としてライン圧を供給する。この第1DSV121の
下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ1
03に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置
するときには、さらにライン(サーボアプライライン)
215を介して2−4ブレーキ54の締結室54aに導
かれる。また、上記ローリバースバルブ103のスプー
ルが左側に位置するときには、さらにライン(ローリバ
ースブレーキライン)216を介してローリバースブレ
ーキ55の油圧室に導かれる。ここで、上記ライン21
4からはライン217が分岐されて、第2アキュムレー
タ142に導かれている。
DSV121に導かれて、該第1DSV121に制御元
圧としてライン圧を供給する。この第1DSV121の
下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ1
03に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置
するときには、さらにライン(サーボアプライライン)
215を介して2−4ブレーキ54の締結室54aに導
かれる。また、上記ローリバースバルブ103のスプー
ルが左側に位置するときには、さらにライン(ローリバ
ースブレーキライン)216を介してローリバースブレ
ーキ55の油圧室に導かれる。ここで、上記ライン21
4からはライン217が分岐されて、第2アキュムレー
タ142に導かれている。
【0040】また、上記第2出力ライン212は、第2
DSV122及び第3DSV123に導かれて、これら
のDSV122,123に制御元圧としてライン圧をそ
れぞれ供給すると共に、3−4シフトバルブ105にも
導かれている。
DSV122及び第3DSV123に導かれて、これら
のDSV122,123に制御元圧としてライン圧をそ
れぞれ供給すると共に、3−4シフトバルブ105にも
導かれている。
【0041】この3−4シフトバルブ105に導かれた
ライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、ライン218を介してロックアップコン
トロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプ
ールが左側に位置するときに、さらにライン(フォワー
ドクラッチライン)219を介してフォワードクラッチ
51の油圧室に導かれる。
ライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、ライン218を介してロックアップコン
トロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプ
ールが左側に位置するときに、さらにライン(フォワー
ドクラッチライン)219を介してフォワードクラッチ
51の油圧室に導かれる。
【0042】ここで、上記フォワードクラッチライン2
19から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ
105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、前述のライン210を介して第1アキュ
ムレータ141に通じると共に、該バルブ105のスプ
ールが右側に位置するときには、ライン(サーボリリー
スライン)221を介して2−4ブレーキ54の解放室
54bに通じる。
19から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ
105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、前述のライン210を介して第1アキュ
ムレータ141に通じると共に、該バルブ105のスプ
ールが右側に位置するときには、ライン(サーボリリー
スライン)221を介して2−4ブレーキ54の解放室
54bに通じる。
【0043】また、第2出力ライン212から制御元圧
が供給される第2DSV122の下流側は、ライン22
2を介して上記リレーバルブ107の一端の制御ポート
に導かれて該ポートにパイロット圧を供給することによ
り、該リレーバルブ107のスプールを左側に付勢す
る。また、上記ライン222から分岐されたライン22
3はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ10
3のスプールが右側に位置するときに、さらにライン2
24に通じる。
が供給される第2DSV122の下流側は、ライン22
2を介して上記リレーバルブ107の一端の制御ポート
に導かれて該ポートにパイロット圧を供給することによ
り、該リレーバルブ107のスプールを左側に付勢す
る。また、上記ライン222から分岐されたライン22
3はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ10
3のスプールが右側に位置するときに、さらにライン2
24に通じる。
【0044】このライン224からは、オリフィス15
1を介してライン225が分岐されていると共に、この
分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に
導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側
に位置するときに、前述のサーボリリースライン221
を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに導かれ
る。
1を介してライン225が分岐されていると共に、この
分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に
導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側
に位置するときに、前述のサーボリリースライン221
を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに導かれ
る。
【0045】また、上記ライン224からオリフィス1
51を介して分岐されたライン225からは、さらにラ
イン226が分岐されていると共に、このライン226
はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のス
プールが右側に位置するときに、ライン(3−4クラッ
チライン)227を介して3−4クラッチ53の油圧室
に導かれる。
51を介して分岐されたライン225からは、さらにラ
イン226が分岐されていると共に、このライン226
はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のス
プールが右側に位置するときに、ライン(3−4クラッ
チライン)227を介して3−4クラッチ53の油圧室
に導かれる。
【0046】さらに、上記ライン224は直接バイパス
バルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左
側に位置するときに、上記ライン226を介してライン
225に通じる。つまり、ライン224とライン225
とが上記オリフィス151をバイパスして通じることに
なる。
バルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左
側に位置するときに、上記ライン226を介してライン
225に通じる。つまり、ライン224とライン225
とが上記オリフィス151をバイパスして通じることに
なる。
【0047】また、第2出力ライン212から制御元圧
が供給される第3DSV123の下流側は、ライン22
8を介してロックアップコントロールバルブ106に導
かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するとき
に、上記フォワードクラッチライン219に連通する。
また、該ロックアップコントロールバルブ106のスプ
ールが左側に位置するときには、ライン229を介して
ロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じ
る。
が供給される第3DSV123の下流側は、ライン22
8を介してロックアップコントロールバルブ106に導
かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するとき
に、上記フォワードクラッチライン219に連通する。
また、該ロックアップコントロールバルブ106のスプ
ールが左側に位置するときには、ライン229を介して
ロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じ
る。
【0048】さらに、マニュアルバルブ102からの第
3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に導
かれて、該バルブ103にライン圧を供給する。そし
て、該バルブ103のスプールが左側に位置するとき
に、ライン(リバースクラッチライン)230を介して
リバースクラッチ52の油圧室に導かれる。
3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に導
かれて、該バルブ103にライン圧を供給する。そし
て、該バルブ103のスプールが左側に位置するとき
に、ライン(リバースクラッチライン)230を介して
リバースクラッチ52の油圧室に導かれる。
【0049】また、第3出力ライン213から分岐され
たライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バ
ルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述の
ライン208を介してローリバースバルブ103の制御
ポートにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ロー
リバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
たライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バ
ルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述の
ライン208を介してローリバースバルブ103の制御
ポートにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ロー
リバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0050】以上の構成に加えて、この油圧制御回路1
00には、コンバータリリーフバルブ109が備えられ
ている。このバルブ109は、レギュレータバルブ10
1からライン232を介して供給される作動圧を一定圧
に調圧した上で、この一定圧をライン233を介してロ
ックアップコントロールバルブ106に供給する。そし
て、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ1
06のスプールが右側に位置するときには、前述のライ
ン229を介してロックアップクラッチ26のフロント
室26aに供給され、また、該バルブ106のスプール
が左側に位置するときには、該一定圧はライン234を
介してリヤ室26bに供給されるようになっている。
00には、コンバータリリーフバルブ109が備えられ
ている。このバルブ109は、レギュレータバルブ10
1からライン232を介して供給される作動圧を一定圧
に調圧した上で、この一定圧をライン233を介してロ
ックアップコントロールバルブ106に供給する。そし
て、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ1
06のスプールが右側に位置するときには、前述のライ
ン229を介してロックアップクラッチ26のフロント
室26aに供給され、また、該バルブ106のスプール
が左側に位置するときには、該一定圧はライン234を
介してリヤ室26bに供給されるようになっている。
【0051】このロックアップクラッチ26は、フロン
ト室26aに上記一定圧が供給されたときに解放される
と共に、上記ロックアップコントロールバルブ106の
スプールが左側に位置して、第3DSV123で生成さ
れた作動圧がフロント室26aに供給されたときには、
その作動圧に応じたスリップ状態に制御されるようにな
っている。
ト室26aに上記一定圧が供給されたときに解放される
と共に、上記ロックアップコントロールバルブ106の
スプールが左側に位置して、第3DSV123で生成さ
れた作動圧がフロント室26aに供給されたときには、
その作動圧に応じたスリップ状態に制御されるようにな
っている。
【0052】また、上記マニュアルバルブ102から
は、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に
通じるライン235が導かれて、レギュレータバルブ1
01の減圧ポート101bに接続されており、上記の各
レンジで該減圧ポート101bにライン圧が導入される
ことにより、これらのレンジで、他のレンジ、即ちRレ
ンジよりもライン圧の調圧値が低くなるようになってい
る。
は、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に
通じるライン235が導かれて、レギュレータバルブ1
01の減圧ポート101bに接続されており、上記の各
レンジで該減圧ポート101bにライン圧が導入される
ことにより、これらのレンジで、他のレンジ、即ちRレ
ンジよりもライン圧の調圧値が低くなるようになってい
る。
【0053】ここで、上記2−4ブレーキ54の油圧ア
クチュエータの具体的構造を説明すると、図4に示すよ
うに、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と
該ケース11に固着されたカバー部材54cとで構成さ
れたサーボシリンダ54d内にピストン54eを嵌合
し、その両側に前述の締結室54aと解放室54bとを
形成した構成とされている。また、上記ピストン54e
にはバンド締め付け用ステム54fが取り付けられてい
ると共に、被制動部材(図示せず)に巻き掛けられたブ
レーキバンド54gの一端側に上記ステム54fが係合
され、また、該バンド54gの他端側はケース11に設
けられた固定用ステム54hに係合されており、さら
に、上記解放室54b内にはピストン54eを締結室5
4a側、即ちブレーキバンド54gの緩め側に付勢する
スプリング54iが収納されている。
クチュエータの具体的構造を説明すると、図4に示すよ
うに、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と
該ケース11に固着されたカバー部材54cとで構成さ
れたサーボシリンダ54d内にピストン54eを嵌合
し、その両側に前述の締結室54aと解放室54bとを
形成した構成とされている。また、上記ピストン54e
にはバンド締め付け用ステム54fが取り付けられてい
ると共に、被制動部材(図示せず)に巻き掛けられたブ
レーキバンド54gの一端側に上記ステム54fが係合
され、また、該バンド54gの他端側はケース11に設
けられた固定用ステム54hに係合されており、さら
に、上記解放室54b内にはピストン54eを締結室5
4a側、即ちブレーキバンド54gの緩め側に付勢する
スプリング54iが収納されている。
【0054】そして、上記油圧制御回路100を構成す
るコントロールバルブユニットから油孔(図示せず)を
介して締結室54aと解放室54bとに作動圧が供給さ
れ、その供給状態に応じてブレーキバンド54gを締め
付けもしくは緩めることにより、2−4ブレーキ54を
締結もしくは解放するようになっていると共に、特に、
この油圧アクチュエータにおいては、上記ピストン54
eの締結室54a側および解放室54b側の受圧面積が
ほぼ等しくされ、したがって、例えば両室54a,54
bに等しい圧力の作動圧を供給すると、これらの圧力は
互いに打ち消し合い、スプリング54iの付勢力のみが
解放側に作用することになる。
るコントロールバルブユニットから油孔(図示せず)を
介して締結室54aと解放室54bとに作動圧が供給さ
れ、その供給状態に応じてブレーキバンド54gを締め
付けもしくは緩めることにより、2−4ブレーキ54を
締結もしくは解放するようになっていると共に、特に、
この油圧アクチュエータにおいては、上記ピストン54
eの締結室54a側および解放室54b側の受圧面積が
ほぼ等しくされ、したがって、例えば両室54a,54
bに等しい圧力の作動圧を供給すると、これらの圧力は
互いに打ち消し合い、スプリング54iの付勢力のみが
解放側に作用することになる。
【0055】一方、当該自動変速機10には、図5に示
すように、油圧制御回路100における上記第1、第2
SV111,112、第1〜第3DSV121〜123
及びリニアソレノイドバルブ131を制御するコントロ
ーラ300が備えられていると共に、このコントローラ
300には、当該車両の車速を検出する車速センサ30
1、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開
度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回
転センサ303、運転者によって選択されたシフト位置
(レンジ)を検出するシフト位置センサ304、トルク
コンバータ20におけるタービン23の回転数を検出す
るタービン回転センサ305、作動油の油温を検出する
油温センサ306等からの信号が入力され、これらのセ
ンサ301〜306からの信号が示す当該車両ないしエ
ンジンの運転状態等に応じて上記各ソレノイドバルブ1
11,112,121〜123,131の作動を制御す
るようになっている。なお、上記タービン回転センサ3
05については、図2にその取り付け状態が示されてい
る。
すように、油圧制御回路100における上記第1、第2
SV111,112、第1〜第3DSV121〜123
及びリニアソレノイドバルブ131を制御するコントロ
ーラ300が備えられていると共に、このコントローラ
300には、当該車両の車速を検出する車速センサ30
1、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開
度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回
転センサ303、運転者によって選択されたシフト位置
(レンジ)を検出するシフト位置センサ304、トルク
コンバータ20におけるタービン23の回転数を検出す
るタービン回転センサ305、作動油の油温を検出する
油温センサ306等からの信号が入力され、これらのセ
ンサ301〜306からの信号が示す当該車両ないしエ
ンジンの運転状態等に応じて上記各ソレノイドバルブ1
11,112,121〜123,131の作動を制御す
るようになっている。なお、上記タービン回転センサ3
05については、図2にその取り付け状態が示されてい
る。
【0056】次に、この第1、第2SV111,112
及び第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩
擦要素51〜55の油圧室に対する作動圧の給排状態の
関係を変速段ごとに説明する。
及び第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩
擦要素51〜55の油圧室に対する作動圧の給排状態の
関係を変速段ごとに説明する。
【0057】ここで、第1、第2SV111,112及
び第1〜第3DSV121〜123の各変速段ごとの作
動状態の組合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に
示すように設定されている。
び第1〜第3DSV121〜123の各変速段ごとの作
動状態の組合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に
示すように設定されている。
【0058】この表2中、(○)は、第1、第2SV1
11,112についてはON、第1〜第3DSV121
〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側
の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流
側に供給する状態を示す。また、(×)は、第1、第2
SV111,112についてはOFF、第1〜第3DS
V121〜123についてはONであって、いずれも、
上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた
状態を示す。
11,112についてはON、第1〜第3DSV121
〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側
の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流
側に供給する状態を示す。また、(×)は、第1、第2
SV111,112についてはOFF、第1〜第3DS
V121〜123についてはONであって、いずれも、
上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた
状態を示す。
【0059】
【表2】 まず、1速(Lレンジの1速を除く)においては、表2
及び図6に示すように、第3DSV123のみが作動し
て、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として
作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介
してロックアップコントロールバルブ106に供給され
る。そして、この時点では該ロックアップコントロール
バルブ106のスプールが右側に位置することにより、
上記作動圧は、さらにフォワードクラッチライン219
を介してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワード
クラッチ圧として供給され、これにより該フォワードク
ラッチ51が締結される。
及び図6に示すように、第3DSV123のみが作動し
て、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として
作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介
してロックアップコントロールバルブ106に供給され
る。そして、この時点では該ロックアップコントロール
バルブ106のスプールが右側に位置することにより、
上記作動圧は、さらにフォワードクラッチライン219
を介してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワード
クラッチ圧として供給され、これにより該フォワードク
ラッチ51が締結される。
【0060】ここで、上記フォワードクラッチライン2
19から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ
105及びライン210を介して第1アキュムレータ1
41に通じていることにより、上記フォワードクラッチ
圧の供給が緩やかに行われる。
19から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ
105及びライン210を介して第1アキュムレータ1
41に通じていることにより、上記フォワードクラッチ
圧の供給が緩やかに行われる。
【0061】次に、2速の状態では、表2及び図7に示
すように、上記の1速の状態に加えて、第1DSV12
1も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元
圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン21
4を介してローリバースバルブ103に供給されるが、
この時点では該ローリバースバルブ103のスプールが
右側に位置することにより、さらにサーボリリースライ
ン215に導入され、2−4ブレーキ54の締結室54
aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、
上記フォワードクラッチ51に加えて、2−4ブレーキ
54が締結される。
すように、上記の1速の状態に加えて、第1DSV12
1も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元
圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン21
4を介してローリバースバルブ103に供給されるが、
この時点では該ローリバースバルブ103のスプールが
右側に位置することにより、さらにサーボリリースライ
ン215に導入され、2−4ブレーキ54の締結室54
aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、
上記フォワードクラッチ51に加えて、2−4ブレーキ
54が締結される。
【0062】なお、上記ライン214はライン217を
介して第2アキュムレータ142に通じているから、上
記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ54の
締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ
142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速
への変速に際してローリバースバルブ103のスプール
が左側に移動したときに、ローリバースブレーキライン
216からローリバースブレーキ55の油圧室にプリチ
ャージされる。
介して第2アキュムレータ142に通じているから、上
記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ54の
締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ
142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速
への変速に際してローリバースバルブ103のスプール
が左側に移動したときに、ローリバースブレーキライン
216からローリバースブレーキ55の油圧室にプリチ
ャージされる。
【0063】また、3速の状態では、表2及び図8に示
すように、上記の2速の状態に加えて、さらに第2DS
V122も作動し、第2出力ライン212からのライン
圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライ
ン222及びライン223を介してローリバースバルブ
103に供給されるが、この時点では該バルブ103の
スプールが右側に位置することにより、さらにライン2
24に導入される。
すように、上記の2速の状態に加えて、さらに第2DS
V122も作動し、第2出力ライン212からのライン
圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライ
ン222及びライン223を介してローリバースバルブ
103に供給されるが、この時点では該バルブ103の
スプールが右側に位置することにより、さらにライン2
24に導入される。
【0064】そして、この作動圧は、ライン224から
オリフィス151を介してライン225に導入されて、
3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では
該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置す
ることにより、さらにサーボリリースライン221を介
して2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリー
ス圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ5
4が解放される。
オリフィス151を介してライン225に導入されて、
3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では
該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置す
ることにより、さらにサーボリリースライン221を介
して2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリー
ス圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ5
4が解放される。
【0065】また、上記ライン224からオリフィス1
51を介して分岐されたライン225からはライン22
6が分岐されており、上記作動圧は該ライン226によ
りバイパスバルブ104に導かれると共に、この時点で
は該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置する
ことにより、さらに3−4クラッチライン227を介し
て3−4クラッチ53の油圧室に3−4クラッチ圧とし
て供給される。したがって、この3速では、フォワード
クラッチ51と3−4クラッチ53とが締結される一
方、2−4ブレーキ54は解放されることになる。
51を介して分岐されたライン225からはライン22
6が分岐されており、上記作動圧は該ライン226によ
りバイパスバルブ104に導かれると共に、この時点で
は該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置する
ことにより、さらに3−4クラッチライン227を介し
て3−4クラッチ53の油圧室に3−4クラッチ圧とし
て供給される。したがって、この3速では、フォワード
クラッチ51と3−4クラッチ53とが締結される一
方、2−4ブレーキ54は解放されることになる。
【0066】なお、この3速の状態では、上記のように
第2DSV122が作動圧を生成し、これがライン22
2を介してリレーバルブ107の制御ポート107aに
供給されることにより、該リレーバルブ107のスプー
ルが左側に移動する。
第2DSV122が作動圧を生成し、これがライン22
2を介してリレーバルブ107の制御ポート107aに
供給されることにより、該リレーバルブ107のスプー
ルが左側に移動する。
【0067】さらに、4速の状態では、表2及び図9に
示すように、3速の状態に対して、第3DSV123が
作動圧の生成を停止する一方、第1SV111が作動す
る。
示すように、3速の状態に対して、第3DSV123が
作動圧の生成を停止する一方、第1SV111が作動す
る。
【0068】この第1SV111の作動により、ライン
201からの一定圧がライン203を介してリレーバル
ブ107に供給されることになるが、上記のように、こ
のリレーバルブ107のスプールは3速時に左側に移動
しているから、上記一定圧がライン205を介して3−
4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給され
ることになり、該バルブ105のスプールをが右側に移
動する。そのため、サーボリリースライン221がフォ
ワードクラッチライン219から分岐されたライン22
0に接続され、2−4ブレーキ54の解放室54bとフ
ォワードクラッチ51の油圧室とが連通する。
201からの一定圧がライン203を介してリレーバル
ブ107に供給されることになるが、上記のように、こ
のリレーバルブ107のスプールは3速時に左側に移動
しているから、上記一定圧がライン205を介して3−
4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給され
ることになり、該バルブ105のスプールをが右側に移
動する。そのため、サーボリリースライン221がフォ
ワードクラッチライン219から分岐されたライン22
0に接続され、2−4ブレーキ54の解放室54bとフ
ォワードクラッチ51の油圧室とが連通する。
【0069】そして、上記のように第3DSV123が
作動圧の生成を停止して、下流側をドレン状態とするこ
とにより、上記2−4ブレーキ54の解放室54b内の
サーボリリース圧とフォワードクラッチ51の油圧室内
のフォワードクラッチ圧とが、ロックアップコントロー
ルバルブ106及びライン228を介して該第3DSV
123でドレンされることになり、これにより、2−4
ブレーキ54が再び締結されると共に、フォワードクラ
ッチ51が解放される。
作動圧の生成を停止して、下流側をドレン状態とするこ
とにより、上記2−4ブレーキ54の解放室54b内の
サーボリリース圧とフォワードクラッチ51の油圧室内
のフォワードクラッチ圧とが、ロックアップコントロー
ルバルブ106及びライン228を介して該第3DSV
123でドレンされることになり、これにより、2−4
ブレーキ54が再び締結されると共に、フォワードクラ
ッチ51が解放される。
【0070】一方、Lレンジの1速では、表2及び図1
0に示すように、第1、第2SV111,112及び第
1、第3DSV121,123が作動し、この第3DS
V123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1
速と同様に、ライン228、ロックアップコントロール
バルブ106及びフォワードクラッチライン219を介
してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワードクラ
ッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ51が締
結される。また、このとき、ライン220、3−4シフ
トバルブ105及びライン210を介して第1アキュム
レータ141に作動圧が導入されることにより、上記フ
ォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われるように
なっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
0に示すように、第1、第2SV111,112及び第
1、第3DSV121,123が作動し、この第3DS
V123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1
速と同様に、ライン228、ロックアップコントロール
バルブ106及びフォワードクラッチライン219を介
してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワードクラ
ッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ51が締
結される。また、このとき、ライン220、3−4シフ
トバルブ105及びライン210を介して第1アキュム
レータ141に作動圧が導入されることにより、上記フ
ォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われるように
なっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
【0071】また、第1SV111の作動により、ライ
ン203、リレーバルブ107、ライン204を介して
バイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロッ
ト圧が供給されて、該バルブ104のスプールを左側に
移動させる。そして、これに伴って、第2SV112か
らの作動圧がライン206及び該バイパスバルブ104
を介してライン208に導入され、さらにローリバース
バルブ103の制御ポート103aに供給されて、該バ
ルブ103のスプールを左側に移動させる。
ン203、リレーバルブ107、ライン204を介して
バイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロッ
ト圧が供給されて、該バルブ104のスプールを左側に
移動させる。そして、これに伴って、第2SV112か
らの作動圧がライン206及び該バイパスバルブ104
を介してライン208に導入され、さらにローリバース
バルブ103の制御ポート103aに供給されて、該バ
ルブ103のスプールを左側に移動させる。
【0072】したがって、第1DSV121で生成され
た作動圧がライン214、ローリバースバルブ103及
びローリバースブレーキライン216を介してローリバ
ースブレーキ55の油圧室にローリバースブレーキ圧と
して供給され、これにより、フォワードクラッチ51に
加えてローリバースブレーキ55が締結されて、エンジ
ンブレーキが作動する1速が得られる。
た作動圧がライン214、ローリバースバルブ103及
びローリバースブレーキライン216を介してローリバ
ースブレーキ55の油圧室にローリバースブレーキ圧と
して供給され、これにより、フォワードクラッチ51に
加えてローリバースブレーキ55が締結されて、エンジ
ンブレーキが作動する1速が得られる。
【0073】さらに、Rレンジでは、表2及び図11に
示すように、第1、第2SV111,112及び第1〜
第3DSV121〜123が作動する。ただし、第2、
第3DSV122,123については、第2出力ライン
212からの元圧の供給が停止されているから作動圧を
生成することはない。
示すように、第1、第2SV111,112及び第1〜
第3DSV121〜123が作動する。ただし、第2、
第3DSV122,123については、第2出力ライン
212からの元圧の供給が停止されているから作動圧を
生成することはない。
【0074】このRレンジでは、上記のように、第1、
第2SV111,112が作動するから、前述のLレン
ジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプ
ールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ
103のスプールも左側に移動する。そして、この状態
で第1DSV121で作動圧が生成されることにより、
これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレ
ーキ55の油圧室に供給される。
第2SV111,112が作動するから、前述のLレン
ジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプ
ールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ
103のスプールも左側に移動する。そして、この状態
で第1DSV121で作動圧が生成されることにより、
これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレ
ーキ55の油圧室に供給される。
【0075】一方、Rレンジでは、マニュアルバルブ1
02から第3出力ライン213にライン圧が導入され、
このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動し
たローリバースバルブ103、及びリバースクラッチラ
イン230を介してリバースクラッチ52の油圧室にリ
バースクラッチ圧として供給される。したがって、上記
リバースクラッチ52とローリバースブレーキ55とが
締結されることになる。
02から第3出力ライン213にライン圧が導入され、
このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動し
たローリバースバルブ103、及びリバースクラッチラ
イン230を介してリバースクラッチ52の油圧室にリ
バースクラッチ圧として供給される。したがって、上記
リバースクラッチ52とローリバースブレーキ55とが
締結されることになる。
【0076】なお、上記第3出力ライン213には、N
レンジでもマニュアルバルブ102からライン圧が導入
されるので、ローリバースバルブ103のスプールが左
側に位置するときは、Nレンジでリバースクラッチ52
が締結される。
レンジでもマニュアルバルブ102からライン圧が導入
されるので、ローリバースバルブ103のスプールが左
側に位置するときは、Nレンジでリバースクラッチ52
が締結される。
【0077】制御動作 次に、前述のコントローラ300によるこの自動変速機
10の各種制御動作について説明する。
10の各種制御動作について説明する。
【0078】(A)アップシフト変速 まず、アップシフト変速に関する特徴的な制御動作につ
いて説明する。
いて説明する。
【0079】一般に、アップシフト変速の制御は、図1
2に示すように、タービン回転数Ntの低下時における
変化率dNtが目標の変化率dNt0に一致するよう
に、主として締結側の摩擦要素に対する作動圧の供給を
フィードバック制御することにより行われる。このター
ビン回転変化率dNt は、図13に示すように、イナー
シャフェーズ、すなわち変速によりタービン回転数が変
化する期間における変速機出力トルクToの変速終了後
におけるトルクに対する高さΔToに対応するもので、
これが変速前のトルクより高くなると変速ショックが大
きくなり、また、低くすぎると変速時間が長くなる。そ
こで、図示のように、変速前の高さにほぼ等しくなるよ
うに、この高さΔToに対応する目標タービン回転変化
率dNt0を設定するのである。
2に示すように、タービン回転数Ntの低下時における
変化率dNtが目標の変化率dNt0に一致するよう
に、主として締結側の摩擦要素に対する作動圧の供給を
フィードバック制御することにより行われる。このター
ビン回転変化率dNt は、図13に示すように、イナー
シャフェーズ、すなわち変速によりタービン回転数が変
化する期間における変速機出力トルクToの変速終了後
におけるトルクに対する高さΔToに対応するもので、
これが変速前のトルクより高くなると変速ショックが大
きくなり、また、低くすぎると変速時間が長くなる。そ
こで、図示のように、変速前の高さにほぼ等しくなるよ
うに、この高さΔToに対応する目標タービン回転変化
率dNt0を設定するのである。
【0080】(1)1−2変速制御 まず、アップシフト変速の全般的動作について、1−2
変速を例に取って説明する。
変速を例に取って説明する。
【0081】1−2変速は、図6、図7から明らかなよ
うに、第3DSV123で生成された作動圧がフォワー
ドクラッチ51の油圧室に供給されて該クラッチ51が
締結されている状態で、第1DSV121によってサー
ボアプライ圧を生成し、これを2−4ブレーキ54の締
結室54aに供給することによって行われる。その場合
に、この第1DSV121によるサーボアプライ圧のフ
ィードバック制御が行われる。
うに、第3DSV123で生成された作動圧がフォワー
ドクラッチ51の油圧室に供給されて該クラッチ51が
締結されている状態で、第1DSV121によってサー
ボアプライ圧を生成し、これを2−4ブレーキ54の締
結室54aに供給することによって行われる。その場合
に、この第1DSV121によるサーボアプライ圧のフ
ィードバック制御が行われる。
【0082】ここで、前述のように、第1〜第3DSV
121〜123は、デューティ率100%で作動圧が発
生しないドレン状態、0%で作動圧が元圧に等しくなる
全開状態となり、その中間のデューティ率で作動圧の制
御が行われる。
121〜123は、デューティ率100%で作動圧が発
生しないドレン状態、0%で作動圧が元圧に等しくなる
全開状態となり、その中間のデューティ率で作動圧の制
御が行われる。
【0083】1−2変速時における第1DSV121に
よるサーボアプライ圧の制御は、図14に示すプログラ
ムに従って行われ、1−2変速指令が出力されたとき
に、まず、ステップS1〜S3で、ベース油圧Pb、フ
ィードバック油圧Pfb、及び学習油圧Padを算出す
る。そして、ステップS4で、これらの油圧Pb,Pf
b,Padを加算して、算出油圧Psを求める。
よるサーボアプライ圧の制御は、図14に示すプログラ
ムに従って行われ、1−2変速指令が出力されたとき
に、まず、ステップS1〜S3で、ベース油圧Pb、フ
ィードバック油圧Pfb、及び学習油圧Padを算出す
る。そして、ステップS4で、これらの油圧Pb,Pf
b,Padを加算して、算出油圧Psを求める。
【0084】ここで、図15に示すように、上記ベース
油圧Pbは、変速指令の出力後、タービン回転数が低下
し始めた時点、即ち符号アで示すイナーシャフェーズの
開始時まで、一定の初期値Pb′に保持されると共に、
イナーシャフェーズの開始時から一定割合で上昇するよ
うに設定されるが、その具体的設定動作については後述
する。
油圧Pbは、変速指令の出力後、タービン回転数が低下
し始めた時点、即ち符号アで示すイナーシャフェーズの
開始時まで、一定の初期値Pb′に保持されると共に、
イナーシャフェーズの開始時から一定割合で上昇するよ
うに設定されるが、その具体的設定動作については後述
する。
【0085】また、フィードバック油圧Pfbは、イナ
ーシャフェーズ開始時から所定時間T1が経過した時点
から該イナーシャフェーズ中におけるタービン回転変化
率dNtを目標変化率dNt0に一致させるように設定
されるが、このフィードバック油圧Pfbの計算につい
ても、後に詳しく説明する。なお、イナーシャフェーズ
が開始されても所定時間T1が経過するまではフィード
バック油圧Pfbの算出を行わないのは、イナーシャフ
ェーズ開始時にはフィードバック油圧算出の基礎となる
タービン回転変化率dNtが正確に求められないからで
ある。
ーシャフェーズ開始時から所定時間T1が経過した時点
から該イナーシャフェーズ中におけるタービン回転変化
率dNtを目標変化率dNt0に一致させるように設定
されるが、このフィードバック油圧Pfbの計算につい
ても、後に詳しく説明する。なお、イナーシャフェーズ
が開始されても所定時間T1が経過するまではフィード
バック油圧Pfbの算出を行わないのは、イナーシャフ
ェーズ開始時にはフィードバック油圧算出の基礎となる
タービン回転変化率dNtが正確に求められないからで
ある。
【0086】さらに、学習油圧Padは、前回の1−2
変速時の変速動作の終了後に、そのときのイナーシャフ
ェーズの状態に基づいて設定されて、今回の変速時に用
いられるものであるが、この学習油圧Padの計算につ
いても後に詳しく説明する。
変速時の変速動作の終了後に、そのときのイナーシャフ
ェーズの状態に基づいて設定されて、今回の変速時に用
いられるものであるが、この学習油圧Padの計算につ
いても後に詳しく説明する。
【0087】次に、上記プログラムのステップS5で、
変速指令出力時に行われるプリチャージの制御期間中で
あるか否かを、プリチャージフラグFpの値に基づいて
判定する。
変速指令出力時に行われるプリチャージの制御期間中で
あるか否かを、プリチャージフラグFpの値に基づいて
判定する。
【0088】このプリチャージ制御は、変速開始時に2
−4ブレーキ54の締結室54aに至る油路に作動油を
速やかに充満させて、変速動作の応答性を向上させるた
めのもので、Fp=1のとき、すなわち、後述するプロ
グラムによって設定されたプリチャージ期間中、ステッ
プS6で、第1DSV121にデューティ率0%の信号
を出力し、該第1DSV121を全開状態とする。
−4ブレーキ54の締結室54aに至る油路に作動油を
速やかに充満させて、変速動作の応答性を向上させるた
めのもので、Fp=1のとき、すなわち、後述するプロ
グラムによって設定されたプリチャージ期間中、ステッ
プS6で、第1DSV121にデューティ率0%の信号
を出力し、該第1DSV121を全開状態とする。
【0089】そして、Fp=0となったとき、即ちプリ
チャージ期間が終了すれば、さらに、ステップS7で当
該1−2変速が終了したか否かを判定する。この変速終
了の判定は、タービン回転変化率dNtがマイナスから
プラスに転じたこと、タービン回転変化率dNtの絶対
値が変速中の値の半分以下に減少したこと、タービン回
転数Ntが変速開始時の回転数から算出される変速終了
時の回転数まで低下したこと、のいずれか1つが成立す
ることによって行われる。
チャージ期間が終了すれば、さらに、ステップS7で当
該1−2変速が終了したか否かを判定する。この変速終
了の判定は、タービン回転変化率dNtがマイナスから
プラスに転じたこと、タービン回転変化率dNtの絶対
値が変速中の値の半分以下に減少したこと、タービン回
転数Ntが変速開始時の回転数から算出される変速終了
時の回転数まで低下したこと、のいずれか1つが成立す
ることによって行われる。
【0090】そして、変速終了前、即ちプリチャージ制
御の終了後、変速終了までの間に、ステップS8で、上
記のようにして求めた算出油圧Psに対応したデューテ
ィ率の信号を第1DSV121に出力し、該第1DSV
121により上記デューティ率、即ち上記算出油圧Ps
に応じたサーボアプライ圧を生成して、2−4ブレーキ
54の締結室54aに供給する。また、変速終了後に
は、ステップS9,S10で、デューティ率が0%にな
るまで、該デューティ率を一定割合で減少させながら出
力する。
御の終了後、変速終了までの間に、ステップS8で、上
記のようにして求めた算出油圧Psに対応したデューテ
ィ率の信号を第1DSV121に出力し、該第1DSV
121により上記デューティ率、即ち上記算出油圧Ps
に応じたサーボアプライ圧を生成して、2−4ブレーキ
54の締結室54aに供給する。また、変速終了後に
は、ステップS9,S10で、デューティ率が0%にな
るまで、該デューティ率を一定割合で減少させながら出
力する。
【0091】これにより、図15に示すようなサーボア
プライ圧が得られ、イナーシャフェーズ中におけるター
ビン回転変化率dNtが目標変化率dNt0に一致する
ように制御される。
プライ圧が得られ、イナーシャフェーズ中におけるター
ビン回転変化率dNtが目標変化率dNt0に一致する
ように制御される。
【0092】(2)ベース油圧の計算 上記算出油圧Psを構成する各油圧のうち、ベース油圧
Pbの計算は、図16に示すプログラムに従って次のよ
うに行われる。
Pbの計算は、図16に示すプログラムに従って次のよ
うに行われる。
【0093】まず、ステップS11で、変速中の目標タ
ービン回転変化率dNt0を算出し、次いで、ステップ
S12で、この目標タービン回転変化率dNt0に対応
する油圧Piをマップに基づいて算出する。このマップ
は図17に示すように、目標タービン回転変化率dNt
0が小さくなるほど(絶対値が大きくなるほど)大きな
値になるように設定されている。
ービン回転変化率dNt0を算出し、次いで、ステップ
S12で、この目標タービン回転変化率dNt0に対応
する油圧Piをマップに基づいて算出する。このマップ
は図17に示すように、目標タービン回転変化率dNt
0が小さくなるほど(絶対値が大きくなるほど)大きな
値になるように設定されている。
【0094】また、ステップS13,S14で、変速時
の目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptと、この
目標タービントルクTt0の2乗に応じた油圧Pt2と
を、それぞれ図18、図19に示すように設定されたマ
ップに基づいて算出し、ステップS15で、これらの油
圧Pt,Pt2を上記の目標タービン回転変化率dNt
0に対応する油圧Piに加算することにより、ベース油
圧の初期値Pb′を算出する。
の目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptと、この
目標タービントルクTt0の2乗に応じた油圧Pt2と
を、それぞれ図18、図19に示すように設定されたマ
ップに基づいて算出し、ステップS15で、これらの油
圧Pt,Pt2を上記の目標タービン回転変化率dNt
0に対応する油圧Piに加算することにより、ベース油
圧の初期値Pb′を算出する。
【0095】ここで、目標タービントルクTt0は、変
速前のタービントルクに変速中におけるエンジン出力ト
ルクのダウン率を掛けたものであり、これに対応する油
圧Pt,Pt2で、目標タービン回転変化率dNt0に
対応する油圧Piを補正することにより、変速中の変速
機出力トルクの変動がさらに抑制されることになる。
速前のタービントルクに変速中におけるエンジン出力ト
ルクのダウン率を掛けたものであり、これに対応する油
圧Pt,Pt2で、目標タービン回転変化率dNt0に
対応する油圧Piを補正することにより、変速中の変速
機出力トルクの変動がさらに抑制されることになる。
【0096】そして、ステップS16で実際のタービン
回転変化率dNtが所定値K1より小さくなったか否か
を判定する。これは、イナーシャフェーズの開始により
タービン回転数が低下し始めた時期(図15の符号ア参
照)を判定するものであり、dNt<K1となるまで
は、ステップS17でベース油圧Pbを上記の初期値P
b′に保持し、dNt<K1となれば、ステップS18
で、その時点からの経過時間tに所定値K2を掛けた値
を初期値Pb′に加算して、ベース油圧Pbを一定割合
で上昇させる。これにより、図15に示すようなベース
油圧Pbが得られる。
回転変化率dNtが所定値K1より小さくなったか否か
を判定する。これは、イナーシャフェーズの開始により
タービン回転数が低下し始めた時期(図15の符号ア参
照)を判定するものであり、dNt<K1となるまで
は、ステップS17でベース油圧Pbを上記の初期値P
b′に保持し、dNt<K1となれば、ステップS18
で、その時点からの経過時間tに所定値K2を掛けた値
を初期値Pb′に加算して、ベース油圧Pbを一定割合
で上昇させる。これにより、図15に示すようなベース
油圧Pbが得られる。
【0097】(3)フィードバック油圧の計算 また、上記のような作動圧のフィードバック制御におい
て、フィードバック油圧Pfbは、図20に示すプログ
ラムに従って次のように算出される。なお、このフィー
ドバック油圧Pfbは、タービン回転数Nt等の運転状
態よってフィードバック制御系の動特性が異なることに
対処するため、ファジー制御の手法を用いて算出され
る。
て、フィードバック油圧Pfbは、図20に示すプログ
ラムに従って次のように算出される。なお、このフィー
ドバック油圧Pfbは、タービン回転数Nt等の運転状
態よってフィードバック制御系の動特性が異なることに
対処するため、ファジー制御の手法を用いて算出され
る。
【0098】まず、ステップS21で、タービン回転変
化率dNtの目標変化率dNt0に対する偏差Ed
(t)を算出する一方、ステップS22で、タービン回
転数Ntについての領域を複数の領域にファジー層別
し、これらの層によって0から1までの間で異なるグレ
ード値をとる3つのメンバーシップ関数Mn1,Mn
2,Mn3を設定する。
化率dNtの目標変化率dNt0に対する偏差Ed
(t)を算出する一方、ステップS22で、タービン回
転数Ntについての領域を複数の領域にファジー層別
し、これらの層によって0から1までの間で異なるグレ
ード値をとる3つのメンバーシップ関数Mn1,Mn
2,Mn3を設定する。
【0099】ここで、添字(t)は今回の制御サイクル
で得られた値を示す。また、上記のメンバーシップ関数
Mn1,Mn2,Mn3は、それぞれ式1〜式3に示す
ように定義され、図示すれば図21のようになる。
で得られた値を示す。また、上記のメンバーシップ関数
Mn1,Mn2,Mn3は、それぞれ式1〜式3に示す
ように定義され、図示すれば図21のようになる。
【0100】
【式1】
【0101】
【式2】
【0102】
【式3】 次に、ステップS23で、動特性が異なるタービン回転
数Ntの3つの領域にそれぞれ対応するように係数等を
設定した3つの計算式を用い、上記ステップS1で求め
た偏差Ed(t)等に応じたフィードバック操作量Fb
1(t),Fb2(t),Fb3(t)をそれぞれ算出
する。
数Ntの3つの領域にそれぞれ対応するように係数等を
設定した3つの計算式を用い、上記ステップS1で求め
た偏差Ed(t)等に応じたフィードバック操作量Fb
1(t),Fb2(t),Fb3(t)をそれぞれ算出
する。
【0103】ここで、3つの計算式は、一般形として、
次の式4〜式6に示すような関数F1,F2,F3で表
現される。なお、添字(t−i)はi回前の制御サイク
ルで得られた値を示す。
次の式4〜式6に示すような関数F1,F2,F3で表
現される。なお、添字(t−i)はi回前の制御サイク
ルで得られた値を示す。
【0104】
【式4】
【0105】
【式5】
【0106】
【式6】 これらの式は、今回の制御サイクル及び前回以前の各制
御サイクルで得られた偏差Ed(t),Ed(t−i)
と、当該式で前回以前の制御サイクルで得られたフィー
ドバック操作量Fb1(t−i)〜Fb3(t−i)と
を所定の関数に代入することにより、今回のフィードバ
ック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)が得られるよう
にしたものである。
御サイクルで得られた偏差Ed(t),Ed(t−i)
と、当該式で前回以前の制御サイクルで得られたフィー
ドバック操作量Fb1(t−i)〜Fb3(t−i)と
を所定の関数に代入することにより、今回のフィードバ
ック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)が得られるよう
にしたものである。
【0107】そして、ステップS24で、これらのフィ
ードバック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)を、前述
のメンバーシップ関数Mn1,Mn2,Mn3の現時点
のタービン回転数Ntでのグレード値Mn1(Nt),
Mn2(Nt),Mn3(Nt)を用いて、次式7に従
ってファジー合成することにより、最終フィードバック
操作量Fb(t)を算出する。
ードバック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)を、前述
のメンバーシップ関数Mn1,Mn2,Mn3の現時点
のタービン回転数Ntでのグレード値Mn1(Nt),
Mn2(Nt),Mn3(Nt)を用いて、次式7に従
ってファジー合成することにより、最終フィードバック
操作量Fb(t)を算出する。
【0108】
【式7】 この最終フィードバック操作量Fb(t)は、図14の
プログラムにおけるフィードバック油圧Pfbであり、
このように、フィードバック油圧Pfbが、フィードバ
ック制御系の動特性が異なるタービン回転数Ntの3つ
の領域にそれぞれ対応した計算式を用いて求められたフ
ィードバック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)をター
ビン回転数Ntの領域に応じて重み付けして合成するこ
とにより算出されるので、このフィードバック油圧Pf
bを用いることにより、例えば作動圧に対するタービン
回転数の変化の特性やデューティ率に対する作動圧の特
性等のフィードバック制御系の動特性がタービン回転数
Ntの領域によって異なる場合にも、常にその領域での
動特性のもとでフィードバック制御が行われることにな
る。
プログラムにおけるフィードバック油圧Pfbであり、
このように、フィードバック油圧Pfbが、フィードバ
ック制御系の動特性が異なるタービン回転数Ntの3つ
の領域にそれぞれ対応した計算式を用いて求められたフ
ィードバック操作量Fb1(t)〜Fb3(t)をター
ビン回転数Ntの領域に応じて重み付けして合成するこ
とにより算出されるので、このフィードバック油圧Pf
bを用いることにより、例えば作動圧に対するタービン
回転数の変化の特性やデューティ率に対する作動圧の特
性等のフィードバック制御系の動特性がタービン回転数
Ntの領域によって異なる場合にも、常にその領域での
動特性のもとでフィードバック制御が行われることにな
る。
【0109】なお、上記式4〜式6として一般形で表現
されたフィードバック操作量Fb1(t)〜Fb3
(t)の3つの計算式としては、具体的には、次のよう
な式が用いられる。
されたフィードバック操作量Fb1(t)〜Fb3
(t)の3つの計算式としては、具体的には、次のよう
な式が用いられる。
【0110】
【式8】
【0111】
【式9】
【0112】
【式10】 この式8〜式10は、フィードバック操作量Fb1
(t)〜Fb3(t)を所謂伝達関数形式で求めるもの
であり、これらの式中、A10〜A16,B11〜B16,
A20〜A26,B21〜B26,A30〜A36,B31〜
B36は、伝達関数としての係数であって、これらの係
数のセットが3つの領域における動特性にそれぞれ対応
するように、それぞれ異なる値に設定されるのである。
(t)〜Fb3(t)を所謂伝達関数形式で求めるもの
であり、これらの式中、A10〜A16,B11〜B16,
A20〜A26,B21〜B26,A30〜A36,B31〜
B36は、伝達関数としての係数であって、これらの係
数のセットが3つの領域における動特性にそれぞれ対応
するように、それぞれ異なる値に設定されるのである。
【0113】また、次の式11〜式13は、所謂I−P
D制御形式でフィードバック操作量Fb1(t)〜Fb
3(t)を求めるものである。
D制御形式でフィードバック操作量Fb1(t)〜Fb
3(t)を求めるものである。
【0114】
【式11】
【0115】
【式12】
【0116】
【式13】 ここで、C11〜C13,C21〜C23,C31〜C33は
各式で用いられる係数のセットであって、上記式8〜式
10の場合と同様に、各式でそれぞれ異なる値に設定さ
れる。
各式で用いられる係数のセットであって、上記式8〜式
10の場合と同様に、各式でそれぞれ異なる値に設定さ
れる。
【0117】次に、フィードバック制御系の動特性に応
じて、運転領域をタービン回転数Ntの領域とタービン
トルクTtの領域とにファジー層別し、これらの層にそ
れぞれ対応した計算式を用いて最終フィードバック操作
量Fb(t)をファジー合成で算出する例について説明
する。
じて、運転領域をタービン回転数Ntの領域とタービン
トルクTtの領域とにファジー層別し、これらの層にそ
れぞれ対応した計算式を用いて最終フィードバック操作
量Fb(t)をファジー合成で算出する例について説明
する。
【0118】この例においては、まず、タービン回転数
Ntをパラメータとするメンバーシップ関数Mn1,M
n2と、タービントルクTtをパラメータとするメンバ
ーシップ関数Mt1,Mt2とを、式14〜式17に示
すように定義する。なお、これらのメンバーシップ関数
Mn1,Mn2,Mt1,Mt2は、図示すれば図2
2、図23に示すようになる。
Ntをパラメータとするメンバーシップ関数Mn1,M
n2と、タービントルクTtをパラメータとするメンバ
ーシップ関数Mt1,Mt2とを、式14〜式17に示
すように定義する。なお、これらのメンバーシップ関数
Mn1,Mn2,Mt1,Mt2は、図示すれば図2
2、図23に示すようになる。
【0119】
【式14】
【0120】
【式15】
【0121】
【式16】
【0122】
【式17】 次に、図24に示すタービン回転数Ntとタービントル
クTtをパラメータとする4つの領域Z11,Z12,
Z21,Z22に応じてそれぞれ設定された式18〜式
21に示す4つの計算式を用い、これらの式に偏差Ed
(t)やタービン回転変化率dNt(t)等を代入し
て、それぞれの式からフィードバック操作量Fb11
(t),Fb12(t),Fb21(t),Fb22
(t)を算出する。
クTtをパラメータとする4つの領域Z11,Z12,
Z21,Z22に応じてそれぞれ設定された式18〜式
21に示す4つの計算式を用い、これらの式に偏差Ed
(t)やタービン回転変化率dNt(t)等を代入し
て、それぞれの式からフィードバック操作量Fb11
(t),Fb12(t),Fb21(t),Fb22
(t)を算出する。
【0123】
【式18】
【0124】
【式19】
【0125】
【式20】
【0126】
【式21】 なお、これらの式における係数D11〜D13,D21〜
D23,D31〜D33,D41〜D43も、それぞれの領
域Z11,Z12,Z21,Z22におけるフィードバ
ック制御系の動特性に応じて、フィードバック操作量F
b11(t),Fb12(t),Fb21(t),Fb
22(t)が算出されるように設定されたものである。
D23,D31〜D33,D41〜D43も、それぞれの領
域Z11,Z12,Z21,Z22におけるフィードバ
ック制御系の動特性に応じて、フィードバック操作量F
b11(t),Fb12(t),Fb21(t),Fb
22(t)が算出されるように設定されたものである。
【0127】そして、これらの計算式で求められたフィ
ードバック操作量Fb11(t),Fb12(t),F
b21(t),Fb22(t)を、前述のメンバーシッ
プ関数Mn1,Mn2の現時点のタービン回転数Ntで
のグレード値Mn1(Nt),Mn2(Nt)、及びメ
ンバーシップ関数Mt1,Mt2の現時点のタービント
ルクTtでのグレード値Mt1(Tt),Mt2(T
t)を用いて、次式22に従ってファジー合成すること
により、最終フィードバック操作量Fb(t)を算出す
る。
ードバック操作量Fb11(t),Fb12(t),F
b21(t),Fb22(t)を、前述のメンバーシッ
プ関数Mn1,Mn2の現時点のタービン回転数Ntで
のグレード値Mn1(Nt),Mn2(Nt)、及びメ
ンバーシップ関数Mt1,Mt2の現時点のタービント
ルクTtでのグレード値Mt1(Tt),Mt2(T
t)を用いて、次式22に従ってファジー合成すること
により、最終フィードバック操作量Fb(t)を算出す
る。
【0128】
【式22】 この例によれば、最終フィードバック操作量Fb(t)
は、タービン回転数Ntの領域及びタービントルクTt
の領域による動特性の相違を考慮して設定されることに
なるので、運転状態がタービン回転数Nt及びタービン
トルクTtのいずれの領域にあっても、それぞれの運転
状態に適合して、フィードバック制御が行われることに
なる。
は、タービン回転数Ntの領域及びタービントルクTt
の領域による動特性の相違を考慮して設定されることに
なるので、運転状態がタービン回転数Nt及びタービン
トルクTtのいずれの領域にあっても、それぞれの運転
状態に適合して、フィードバック制御が行われることに
なる。
【0129】(4)学習油圧の計算 1−2変速の変速開始時には、2−4ブレーキ54の締
結室54aに対して、プリチャージの終了後にベース油
圧Pbの初期値Pb′が供給され、これによってトルク
フェーズが実現されることになるが、実際には、図14
のプログラムのステップS3,S4に示すように、この
ベース油圧Pbに、前回の1−2変速時に算出された学
習油圧Padが加算された作動圧が供給される。
結室54aに対して、プリチャージの終了後にベース油
圧Pbの初期値Pb′が供給され、これによってトルク
フェーズが実現されることになるが、実際には、図14
のプログラムのステップS3,S4に示すように、この
ベース油圧Pbに、前回の1−2変速時に算出された学
習油圧Padが加算された作動圧が供給される。
【0130】この学習油圧Padは、変速動作が終了し
たときに、その変速動作のイナーシャフェーズ中、どの
ようにフィードバック制御が行われたかを検出し、その
フィードバック制御の状態に応じて設定されるようにな
っており、具体的には図25に示すプログラムに従って
設定される。
たときに、その変速動作のイナーシャフェーズ中、どの
ようにフィードバック制御が行われたかを検出し、その
フィードバック制御の状態に応じて設定されるようにな
っており、具体的には図25に示すプログラムに従って
設定される。
【0131】まず、ステップS31で変速が終了したか
否かを判定し、終了したときに、ステップS32で、図
26に示すように定義されるイナーシャフェーズで最初
に発生したタービン回転変化率dNtのピークの大きさ
(絶対値)dNtpと、その発生時期Tpとを検出す
る。
否かを判定し、終了したときに、ステップS32で、図
26に示すように定義されるイナーシャフェーズで最初
に発生したタービン回転変化率dNtのピークの大きさ
(絶対値)dNtpと、その発生時期Tpとを検出す
る。
【0132】また、ステップS33で、ピーク発生時期
Tpをパラメータとするメンバーシップ関数Mp1,M
p2を式23、式24に従って設定する。
Tpをパラメータとするメンバーシップ関数Mp1,M
p2を式23、式24に従って設定する。
【0133】
【式23】
【0134】
【式24】 ここで、ピーク発生時期Tpの値はイナーシャフェーズ
開始時からの制御サイクル数を示す。また、これらのメ
ンバーシップ関数Mp1,Mp2を図示すると、図27
のようになる。
開始時からの制御サイクル数を示す。また、これらのメ
ンバーシップ関数Mp1,Mp2を図示すると、図27
のようになる。
【0135】そして、ステップS34で、ピーク発生時
期Tpに応じて補正量Pxp1,Pxp2を算出する式
25、式26を用い、これらの式にピークの大きさdN
tpを代入して補正量Pxp1,Pxp2を算出する。
期Tpに応じて補正量Pxp1,Pxp2を算出する式
25、式26を用い、これらの式にピークの大きさdN
tpを代入して補正量Pxp1,Pxp2を算出する。
【0136】
【式25】
【0137】
【式26】 これらの式は、タービン回転変化率dNtのピークの大
きさdNtpと目標変化率dNt0との差に比例した補
正量Pxp1,Pxp2を求めるようにしたもので、係
数E1,E2はピーク発生時期Tpに応じた補正量Px
p1,Pxp2が得られるように異なる値に設定されて
いる。
きさdNtpと目標変化率dNt0との差に比例した補
正量Pxp1,Pxp2を求めるようにしたもので、係
数E1,E2はピーク発生時期Tpに応じた補正量Px
p1,Pxp2が得られるように異なる値に設定されて
いる。
【0138】次に、ステップS35で、イナーシャフェ
ーズ中におけるフィードバック操作量(フィードバック
油圧Pfb)の平均値Mfbを算出すると共に、ステッ
プS36で、その平均値Mfbをパラメータとするメン
バーシップ関数Mf1,Mf2,Mf3を式27〜式2
9に示すように設定する。
ーズ中におけるフィードバック操作量(フィードバック
油圧Pfb)の平均値Mfbを算出すると共に、ステッ
プS36で、その平均値Mfbをパラメータとするメン
バーシップ関数Mf1,Mf2,Mf3を式27〜式2
9に示すように設定する。
【0139】
【式27】
【0140】
【式28】
【0141】
【式29】 なお、これらのメンバーシップ関数Mf1〜Mf3を図
示すれば、図28に示すようになる。
示すれば、図28に示すようになる。
【0142】そして、ステップS37で、上記フィード
バック操作量の平均値Mfbに応じて補正量Pxf1,
Pxf2,Pxf3を算出する式30〜式32を用い、
これらの式に上記平均値Mfbを代入して、この平均値
Mfbに応じた補正量Pxf1,Pxf2,Pxf3を
算出する。
バック操作量の平均値Mfbに応じて補正量Pxf1,
Pxf2,Pxf3を算出する式30〜式32を用い、
これらの式に上記平均値Mfbを代入して、この平均値
Mfbに応じた補正量Pxf1,Pxf2,Pxf3を
算出する。
【0143】
【式30】
【0144】
【式31】
【0145】
【式32】 これらの式は、フィードバック操作量の平均値Mfbに
比例した補正量Pxf1,Pxf2を求めるようにした
もので、係数F1,F2は上記平均値Mfbに応じた補
正量Pxf1,Pxf2が得られるように異なる値に設
定されている。なお、補正量Pxf3は常に0とされ
る。
比例した補正量Pxf1,Pxf2を求めるようにした
もので、係数F1,F2は上記平均値Mfbに応じた補
正量Pxf1,Pxf2が得られるように異なる値に設
定されている。なお、補正量Pxf3は常に0とされ
る。
【0146】さらに、ステップS38で、イナーシャフ
ェーズ中におけるタービン回転変化率dNtの目標変化
率dNt0に対する偏差Edの平均値Medを算出する
と共に、ステップS39で、その平均値Medをパラメ
ータとするメンバーシップ関数Me1,Me2,Me3
を式33〜式35に従って設定する。
ェーズ中におけるタービン回転変化率dNtの目標変化
率dNt0に対する偏差Edの平均値Medを算出する
と共に、ステップS39で、その平均値Medをパラメ
ータとするメンバーシップ関数Me1,Me2,Me3
を式33〜式35に従って設定する。
【0147】
【式33】
【0148】
【式34】
【0149】
【式35】 なお、これらのメンバーシップ関数Me1〜Me3を図
示すれば、図29のようになる。
示すれば、図29のようになる。
【0150】そして、ステップS40で、上記偏差の平
均値Medに応じて補正量Pxe1,Pxe2,Pxe
3を算出する式30、式36〜式38を用い、これらの
式に上記平均値Medを代入して、この平均値Medに
応じた補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3を算出す
る。
均値Medに応じて補正量Pxe1,Pxe2,Pxe
3を算出する式30、式36〜式38を用い、これらの
式に上記平均値Medを代入して、この平均値Medに
応じた補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3を算出す
る。
【0151】
【式36】
【0152】
【式37】
【0153】
【式38】 これらの式は、イナーシャフェーズ中におけるタービン
回転変化率dNtと目標変化率dNt0との偏差Edの
平均値Medと、上記目標変化率dNtoとに比例した
補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3を求めるようにし
たもので、係数G1,G2の値と符号とが、上記平均値
Medに応じた補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3が
得られるように異なる値に設定されている。なお、補正
量Pxe3は常に0とされる。
回転変化率dNtと目標変化率dNt0との偏差Edの
平均値Medと、上記目標変化率dNtoとに比例した
補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3を求めるようにし
たもので、係数G1,G2の値と符号とが、上記平均値
Medに応じた補正量Pxe1,Pxe2,Pxe3が
得られるように異なる値に設定されている。なお、補正
量Pxe3は常に0とされる。
【0154】そして、以上の各式で求められた補正量P
xp1,Pxp2,Pxf1〜Pxf3,Pxe1〜P
xe3を、これらに対応するメンバーシップ関数Mp
1,Mp2,Mf1〜Mf3,Me1〜Me3のそれぞ
れのパラメータの値でのグレード値を用いて、次式39
に従ってファジー合成することにより、最終補正量Pa
dを算出する。
xp1,Pxp2,Pxf1〜Pxf3,Pxe1〜P
xe3を、これらに対応するメンバーシップ関数Mp
1,Mp2,Mf1〜Mf3,Me1〜Me3のそれぞ
れのパラメータの値でのグレード値を用いて、次式39
に従ってファジー合成することにより、最終補正量Pa
dを算出する。
【0155】
【式39】 このようにして、最終補正量として学習油圧Padが算
出され、これが次回の同種の変速時にベース油圧Pbに
加算されて、トルクフェーズにおける作動圧が設定され
ることになる。その場合に、この学習油圧Padは、上
記のようにして前回の同種の変速時におけるイナーシャ
フェーズでのフィードバック制御の状態、具体的には、
イナーシャフェーズで最初に発生したタービン回転変化
率dNtのピークの大きさdNtpとその発生時期T
p、イナーシャフェーズ中におけるフィードバック操作
量(フィードバック油圧Pfb)の平均値Mfb、及び
同じくイナーシャフェーズ中におけるタービン回転変化
率dNtの目標変化率dNt0に対する偏差Edの平均
値Medに基づいてそれぞれ算出された補正量を、ファ
ジー合成することにより求めたものであるから、次回の
同種の変速時に、トルクフェーズでの作動圧として、こ
の学習油圧Padをベース油圧Pbに加算した作動圧を
供給することにより、次回の同種の変速時におけるイナ
ーシャフェーズのフィードバック制御が良好に行われ
て、タービン回転変化率dNtのピークを小さくした
り、上記フィードバック油圧Pfbや偏差Edを小さく
したりすることが可能となる。もって、イナーシャフェ
ーズ中、タービン回転変化率dNtが目標変化率dNt
0によく一致することになる。
出され、これが次回の同種の変速時にベース油圧Pbに
加算されて、トルクフェーズにおける作動圧が設定され
ることになる。その場合に、この学習油圧Padは、上
記のようにして前回の同種の変速時におけるイナーシャ
フェーズでのフィードバック制御の状態、具体的には、
イナーシャフェーズで最初に発生したタービン回転変化
率dNtのピークの大きさdNtpとその発生時期T
p、イナーシャフェーズ中におけるフィードバック操作
量(フィードバック油圧Pfb)の平均値Mfb、及び
同じくイナーシャフェーズ中におけるタービン回転変化
率dNtの目標変化率dNt0に対する偏差Edの平均
値Medに基づいてそれぞれ算出された補正量を、ファ
ジー合成することにより求めたものであるから、次回の
同種の変速時に、トルクフェーズでの作動圧として、こ
の学習油圧Padをベース油圧Pbに加算した作動圧を
供給することにより、次回の同種の変速時におけるイナ
ーシャフェーズのフィードバック制御が良好に行われ
て、タービン回転変化率dNtのピークを小さくした
り、上記フィードバック油圧Pfbや偏差Edを小さく
したりすることが可能となる。もって、イナーシャフェ
ーズ中、タービン回転変化率dNtが目標変化率dNt
0によく一致することになる。
【0156】なお、この学習油圧Padは、変速の種類
毎に算出されて次の同種の変速時に用いられるものであ
るが、同種の変速であってもタービントルクの大きさに
よって区別して記憶し、次の同種の変速であって、ター
ビントルクがほぼ等しい変速時にのみ利用することによ
り、トルクフェーズの作動圧の制御、ひいてはイナーシ
ャフェーズにおけるフィードバック制御を一層精度よく
行わせることが可能となる。
毎に算出されて次の同種の変速時に用いられるものであ
るが、同種の変速であってもタービントルクの大きさに
よって区別して記憶し、次の同種の変速であって、ター
ビントルクがほぼ等しい変速時にのみ利用することによ
り、トルクフェーズの作動圧の制御、ひいてはイナーシ
ャフェーズにおけるフィードバック制御を一層精度よく
行わせることが可能となる。
【0157】なお、以上のベース油圧Pbの計算、フィ
ードバック油圧Pfbの計算及び学習油圧Padの計算
は、1−2変速以外の他の変速時にも同様に行なわれ
る。
ードバック油圧Pfbの計算及び学習油圧Padの計算
は、1−2変速以外の他の変速時にも同様に行なわれ
る。
【0158】(5)イナーシャフェーズ初期の作動圧補
正制御 1−2変速時のイナーシャフェーズにおいては、上記の
ようにして算出されたフィードバック操作量を用いて作
動圧をフィードバック制御することにより、タービン回
転変化率dNtを目標変化率dNt0に一致させなが
ら、該回転数Ntを変速終了後の回転数まで低下させる
のであるが、例えばトルクフェーズにおける作動圧、即
ち図15に示すベース油圧Pbの初期値Pb′が適切で
なかったため、イナーシャフェーズに移行してからのフ
ィードバック制御が良好に行われない場合がある。
正制御 1−2変速時のイナーシャフェーズにおいては、上記の
ようにして算出されたフィードバック操作量を用いて作
動圧をフィードバック制御することにより、タービン回
転変化率dNtを目標変化率dNt0に一致させなが
ら、該回転数Ntを変速終了後の回転数まで低下させる
のであるが、例えばトルクフェーズにおける作動圧、即
ち図15に示すベース油圧Pbの初期値Pb′が適切で
なかったため、イナーシャフェーズに移行してからのフ
ィードバック制御が良好に行われない場合がある。
【0159】例えば、この初期値Pb′が高すぎた場合
には、フィードバック制御の開始時における作動圧を低
くする方向の動作の遅れのために、イナーシャフェーズ
初期の作動圧も高くなって、2−4ブレーキ54が急激
に締結されることになり、逆に、上記初期値Pb′が低
すぎた場合には、フィードバック制御の開始時における
作動圧を高くする方向の動作の遅れのために、イナーシ
ャフェーズの時間が長くなり、その結果、いずれの場合
にも良好な変速フィーリングが得られないのである。
には、フィードバック制御の開始時における作動圧を低
くする方向の動作の遅れのために、イナーシャフェーズ
初期の作動圧も高くなって、2−4ブレーキ54が急激
に締結されることになり、逆に、上記初期値Pb′が低
すぎた場合には、フィードバック制御の開始時における
作動圧を高くする方向の動作の遅れのために、イナーシ
ャフェーズの時間が長くなり、その結果、いずれの場合
にも良好な変速フィーリングが得られないのである。
【0160】そこで、この実施の形態においては、イナ
ーシャフェーズの開始時におけるフィードバック制御の
状態を検出し、その状態に応じた補正制御を行うことに
より、それ以後のイナーシャフェーズにおけるフィード
バック制御を良好に行わせるようになっている。
ーシャフェーズの開始時におけるフィードバック制御の
状態を検出し、その状態に応じた補正制御を行うことに
より、それ以後のイナーシャフェーズにおけるフィード
バック制御を良好に行わせるようになっている。
【0161】このイナーシャフェーズ初期の補正制御は
図30に示すプログラムに従って次のように行われる。
なお、このプログラムは、1−2変速時については、図
14のプログラムと並行して実行され、このプログラム
のステップS2で算出されるフィードバック油圧Pfb
を補正するものである。
図30に示すプログラムに従って次のように行われる。
なお、このプログラムは、1−2変速時については、図
14のプログラムと並行して実行され、このプログラム
のステップS2で算出されるフィードバック油圧Pfb
を補正するものである。
【0162】まず、1−2変速指令が出力されたとき
に、ステップS51で、イニシャライズとして、タービ
ン回転変化率dNtの積分値Sdnt、及び目標変化率
dNt0の積分値Sdnt0をクリアする。そして、次に
ステップS52でトルクフェーズが終了したか否かを判
定する。この判定は、タービン回転変化率dNtが正の
値から負の値に変化する時点(図31の符号ア参照)を
検出することにより行われる。
に、ステップS51で、イニシャライズとして、タービ
ン回転変化率dNtの積分値Sdnt、及び目標変化率
dNt0の積分値Sdnt0をクリアする。そして、次に
ステップS52でトルクフェーズが終了したか否かを判
定する。この判定は、タービン回転変化率dNtが正の
値から負の値に変化する時点(図31の符号ア参照)を
検出することにより行われる。
【0163】次に、トルクフェーズが終了してイナーシ
ャフェーズに移行すれば、ステップS53〜S55に従
って、その時点から所定時間T2(例えば1制御サイク
ルが25msの場合に、75ms:図31参照)が経過
するまで、タービン回転変化率dNtと目標変化率dN
t0を積分し、それぞれの積分値Sdnt(=Sdnt
+dNt),Sdnt0(=Sdnt0+dNt0)を算
出する。
ャフェーズに移行すれば、ステップS53〜S55に従
って、その時点から所定時間T2(例えば1制御サイク
ルが25msの場合に、75ms:図31参照)が経過
するまで、タービン回転変化率dNtと目標変化率dN
t0を積分し、それぞれの積分値Sdnt(=Sdnt
+dNt),Sdnt0(=Sdnt0+dNt0)を算
出する。
【0164】また、上記所定時間T2が経過すれば、ス
テップS56で、タービン回転変化率dNtの積分値S
dntの目標変化率dNt0の積分値Sdnt0に対する
偏差Es(=Sdnt −Sdnt0)を算出し、ステッ
プS57で、この偏差Esの絶対値が所定値K3より大
きいか否かを判定する。ここで、偏差Esの絶対値は、
図31に斜線部で示す面積に相当する。
テップS56で、タービン回転変化率dNtの積分値S
dntの目標変化率dNt0の積分値Sdnt0に対する
偏差Es(=Sdnt −Sdnt0)を算出し、ステッ
プS57で、この偏差Esの絶対値が所定値K3より大
きいか否かを判定する。ここで、偏差Esの絶対値は、
図31に斜線部で示す面積に相当する。
【0165】そして、上記偏差Esの絶対値が所定値K
3より大きいとき、換言すれば、タービン回転変化率d
Ntの目標変化率dNt0に対するずれが大きく、以後
のフィードバック制御が良好に行われる可能性が少ない
と考えられるときは、ステップS58で、その偏差Es
に応じた補正量Px(=Es×K4:K4は定数)を算
出し、ステップS59でこの補正量Pxを用いて、図1
4のプログラムのステップS2、もしくは図20のプロ
グラムのステップS24におけるフィードバック油圧P
fbを補正する(Pfb=Pfb+Px)。
3より大きいとき、換言すれば、タービン回転変化率d
Ntの目標変化率dNt0に対するずれが大きく、以後
のフィードバック制御が良好に行われる可能性が少ない
と考えられるときは、ステップS58で、その偏差Es
に応じた補正量Px(=Es×K4:K4は定数)を算
出し、ステップS59でこの補正量Pxを用いて、図1
4のプログラムのステップS2、もしくは図20のプロ
グラムのステップS24におけるフィードバック油圧P
fbを補正する(Pfb=Pfb+Px)。
【0166】ここで、図31に示す場合のように積分値
の偏差Esがマイナスの値となる場合は作動圧が高すぎ
る場合であって、この場合は図に鎖線イで示すように、
タービン回転変化率dNtの絶対値が目標変化率dNt
0の絶対値より大きくなり、タービン回転数Ntが急激
に低下することになるが、このとき、マイナスの補正量
Pxがフィードバック油圧Pfbに加算されることによ
り、該フィードバック油圧Pfbが、図31に符号ウで
示すように、一時的かつ強制的に低下されることにな
る。これにより、次にフィードバック制御が再開された
ときに、実線エで示すように、タービン回転変化率dN
tが目標変化率dNt0に速やかに収束することにな
る。なお、上記偏差Esがプラスの値の場合も、同様に
してタービン回転変化率dNtが目標変化率dNt0に
速やかに収束することになる。
の偏差Esがマイナスの値となる場合は作動圧が高すぎ
る場合であって、この場合は図に鎖線イで示すように、
タービン回転変化率dNtの絶対値が目標変化率dNt
0の絶対値より大きくなり、タービン回転数Ntが急激
に低下することになるが、このとき、マイナスの補正量
Pxがフィードバック油圧Pfbに加算されることによ
り、該フィードバック油圧Pfbが、図31に符号ウで
示すように、一時的かつ強制的に低下されることにな
る。これにより、次にフィードバック制御が再開された
ときに、実線エで示すように、タービン回転変化率dN
tが目標変化率dNt0に速やかに収束することにな
る。なお、上記偏差Esがプラスの値の場合も、同様に
してタービン回転変化率dNtが目標変化率dNt0に
速やかに収束することになる。
【0167】なお、このイナーシャフェーズ初期の補正
制御も、1−2変速以外の他の変速時に、必要に応じて
同様に行われる。
制御も、1−2変速以外の他の変速時に、必要に応じて
同様に行われる。
【0168】(6)プリチャージ期間の設定 次に、図14のプログラムのステップS5で値が判定さ
れるプリチャージフラグFpの設定、即ち変速開始時に
おけるプリチャージ期間の設定制御について説明する。
れるプリチャージフラグFpの設定、即ち変速開始時に
おけるプリチャージ期間の設定制御について説明する。
【0169】この制御は図32のプログラムに従って行
われるが、このプログラムは、変速指令が出力されたと
きに図14に示す第1DSV121の制御プログラムと
並行して実行されるものであり、まず、ステップS61
で、イニシャライズとしてトータル流量Qtを0とし、
次いで、ステップS62で、図33に示すように設定さ
れたマップに基づいて、その時点のライン圧から第1D
SV121を全開(デューティ率0%)としたときのバ
ルブ通過流量、即ちベース流量Qを求める。
われるが、このプログラムは、変速指令が出力されたと
きに図14に示す第1DSV121の制御プログラムと
並行して実行されるものであり、まず、ステップS61
で、イニシャライズとしてトータル流量Qtを0とし、
次いで、ステップS62で、図33に示すように設定さ
れたマップに基づいて、その時点のライン圧から第1D
SV121を全開(デューティ率0%)としたときのバ
ルブ通過流量、即ちベース流量Qを求める。
【0170】その場合に、上記マップでは、ライン圧が
高いほどベース流量Qが多くなるように設定されている
が、これは、第1DSV121が全開であっても、これ
を通過する作動油の流量Qはそのときのライン圧によっ
て変化し、ライン圧が高いほど流量Qも多くなるからで
ある。
高いほどベース流量Qが多くなるように設定されている
が、これは、第1DSV121が全開であっても、これ
を通過する作動油の流量Qはそのときのライン圧によっ
て変化し、ライン圧が高いほど流量Qも多くなるからで
ある。
【0171】次に、ステップS63で、図34に示すよ
うに設定されたマップから油温補正係数K5を読み取
る。この油温補正係数のマップでは、作動油の温度が低
くなるに従って補正係数K5が1より小さくなるように
設定されている。そして、ステップS64で、上記ベー
ス流量Qに補正係数K5を掛けることにより流量の補正
値Qx(=Q×K5)を算出する。
うに設定されたマップから油温補正係数K5を読み取
る。この油温補正係数のマップでは、作動油の温度が低
くなるに従って補正係数K5が1より小さくなるように
設定されている。そして、ステップS64で、上記ベー
ス流量Qに補正係数K5を掛けることにより流量の補正
値Qx(=Q×K5)を算出する。
【0172】これにより、作動油の温度が低く、従って
粘度が高いために、同じライン圧であってもバルブ通過
流量が標準的な状態よりも減少する場合に、その実情に
合せて算出される流量も減少され、常に実際の流量に適
合したベース流量Q(補正流量Qx)が算出されること
になる。
粘度が高いために、同じライン圧であってもバルブ通過
流量が標準的な状態よりも減少する場合に、その実情に
合せて算出される流量も減少され、常に実際の流量に適
合したベース流量Q(補正流量Qx)が算出されること
になる。
【0173】さらに、ステップS65で、この補正流量
Qxを次式40に従って積算し、制御開始時から現時点
までのトータル流量Qtを算出する。ここで、添字(t
−1)は、前回の制御サイクルで得られた値であること
を示す。
Qxを次式40に従って積算し、制御開始時から現時点
までのトータル流量Qtを算出する。ここで、添字(t
−1)は、前回の制御サイクルで得られた値であること
を示す。
【0174】
【式40】 次に、ステップS66で、このトータル流量Qtが所定
値K6を超えたか否かを判定し、この所定値K6を超え
るまでは、ステップS67でプリチャージフラグFpを
1にセットすると共に、所定値K6を超えた時点で、ス
テップS68で該フラグFpを0にセットする。
値K6を超えたか否かを判定し、この所定値K6を超え
るまでは、ステップS67でプリチャージフラグFpを
1にセットすると共に、所定値K6を超えた時点で、ス
テップS68で該フラグFpを0にセットする。
【0175】その場合に、上記所定値K6は、油圧制御
回路100における当該バルブから当該摩擦要素の油圧
室に至る油路、即ち1−2変速時にあっては、第1DS
V121から2−4ブレーキ54の締結室54aに至る
油路の容積に対応した値に設定されている。したがっ
て、Q>K6となった時点で上記油路が作動油で充満さ
れたことになり、この時点でプリチャージ制御を終了さ
せるために上記フラグFpを0にするのである。
回路100における当該バルブから当該摩擦要素の油圧
室に至る油路、即ち1−2変速時にあっては、第1DS
V121から2−4ブレーキ54の締結室54aに至る
油路の容積に対応した値に設定されている。したがっ
て、Q>K6となった時点で上記油路が作動油で充満さ
れたことになり、この時点でプリチャージ制御を終了さ
せるために上記フラグFpを0にするのである。
【0176】そして、このようにして設定されたプリチ
ャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、図14の
プログラムのステップS6で、第1DSV121のデュ
ーティ率を0%にする制御が行われることにより、2−
4ブレーキ54の締結室54aに至る油路が作動油で速
やかに充満されることになる。
ャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、図14の
プログラムのステップS6で、第1DSV121のデュ
ーティ率を0%にする制御が行われることにより、2−
4ブレーキ54の締結室54aに至る油路が作動油で速
やかに充満されることになる。
【0177】なお、このプリチャージ制御も、1−2変
速時に限らず、他の変速時にも必要に応じて行われる。
速時に限らず、他の変速時にも必要に応じて行われる。
【0178】(7)2−3変速制御 次に、アップシフト変速の他の例として、2−3変速時
の制御について説明する。
の制御について説明する。
【0179】2−3変速は、基本的には、2速の状態に
加えて、第2DSV122によって3−4クラッチ圧及
びサーボリリース圧を生成し、これを3−4クラッチ5
3の油圧室と2−4ブレーキ54の解放室54bとに供
給して、3−4クラッチ53を締結すると同時に、2−
4ブレーキ54を解放することにより行われる。このと
き、3−4クラッチ53の締結中のイナーシャフェーズ
における油圧、即ち棚圧の高さをフィードバック制御し
て、該3−4クラッチ53を適度にスリップさせること
により、タービン回転変化率dNtを目標回転変化率d
Nt0に一致させることが行われるが、この棚圧制御
は、3−4クラッチ圧を生成する第2DSV122によ
ってではなく、前述の第1DSV121によるサーボア
プライ圧の制御によって行われる。
加えて、第2DSV122によって3−4クラッチ圧及
びサーボリリース圧を生成し、これを3−4クラッチ5
3の油圧室と2−4ブレーキ54の解放室54bとに供
給して、3−4クラッチ53を締結すると同時に、2−
4ブレーキ54を解放することにより行われる。このと
き、3−4クラッチ53の締結中のイナーシャフェーズ
における油圧、即ち棚圧の高さをフィードバック制御し
て、該3−4クラッチ53を適度にスリップさせること
により、タービン回転変化率dNtを目標回転変化率d
Nt0に一致させることが行われるが、この棚圧制御
は、3−4クラッチ圧を生成する第2DSV122によ
ってではなく、前述の第1DSV121によるサーボア
プライ圧の制御によって行われる。
【0180】つまり、油圧制御回路100においては、
図3に示すように、サーボリリースライン221に通じ
るライン225と、3−4クラッチライン227に通じ
るライン226とは、いずれも第2DSV122から導
かれたライン224に連通しているが、その連通部には
オリフィス151が設けられているので、作動油の給排
が行われているときには、上記サーボリリースライン2
21と3−4クラッチライン227とは、油圧的には上
流側の第2DSV122から切り離された状態にある。
図3に示すように、サーボリリースライン221に通じ
るライン225と、3−4クラッチライン227に通じ
るライン226とは、いずれも第2DSV122から導
かれたライン224に連通しているが、その連通部には
オリフィス151が設けられているので、作動油の給排
が行われているときには、上記サーボリリースライン2
21と3−4クラッチライン227とは、油圧的には上
流側の第2DSV122から切り離された状態にある。
【0181】一方、2−4ブレーキ54の解放室54b
へのサーボリリース圧の供給により、図4に示すピスト
ン54eがシリンダ54d内でストロークしている間
は、該解放室54bに連通している3−4クラッチ53
の油圧室内の油圧の制御が困難となるが、同図に示すよ
うに、2−4ブレーキ54の締結室54aと解放室54
bとは上記ピストン54eによって仕切られた構成であ
るから、解放室54b内の油圧は締結室54a内の油圧
に直接的に影響を受けることになり、したがって、この
解放室54bに連通している3−4クラッチ53の油圧
室内の作動圧、即ち3−4クラッチ圧を、第1DSV1
21によるサーボアプライ圧の制御によって制御するこ
とが可能となる。
へのサーボリリース圧の供給により、図4に示すピスト
ン54eがシリンダ54d内でストロークしている間
は、該解放室54bに連通している3−4クラッチ53
の油圧室内の油圧の制御が困難となるが、同図に示すよ
うに、2−4ブレーキ54の締結室54aと解放室54
bとは上記ピストン54eによって仕切られた構成であ
るから、解放室54b内の油圧は締結室54a内の油圧
に直接的に影響を受けることになり、したがって、この
解放室54bに連通している3−4クラッチ53の油圧
室内の作動圧、即ち3−4クラッチ圧を、第1DSV1
21によるサーボアプライ圧の制御によって制御するこ
とが可能となる。
【0182】そして、第2DSV122は、上記オリフ
ィス151を介して、3−4クラッチ53の油圧室と2
−4ブレーキ54の解放室54bとに供給される作動油
の流量を調整することになり、これにより、3−4クラ
ッチ53の締結時のイナーシャフェーズにおける棚圧の
保持時間が制御されるのである。
ィス151を介して、3−4クラッチ53の油圧室と2
−4ブレーキ54の解放室54bとに供給される作動油
の流量を調整することになり、これにより、3−4クラ
ッチ53の締結時のイナーシャフェーズにおける棚圧の
保持時間が制御されるのである。
【0183】したがって、この2−3変速制御において
は、第1DSV121によって3−4クラッチ53の締
結時における棚圧の高さが制御されると共に、その棚圧
の保持時間が第2DSV122によって制御されること
になり、次に、第1、第2DSV121,122の具体
的制御動作を説明する。
は、第1DSV121によって3−4クラッチ53の締
結時における棚圧の高さが制御されると共に、その棚圧
の保持時間が第2DSV122によって制御されること
になり、次に、第1、第2DSV121,122の具体
的制御動作を説明する。
【0184】2−3変速時における第1DSV121に
よるサーボアプライ圧の制御動作は、図35に示すプロ
グラムに従って行われるが、このプログラムにおけるス
テップS71〜S74は、図14に示す1−2変速時の
第1DSV121の制御を示すプログラムのステップS
1〜S4と動作としては同じであり、ベース油圧Pb、
フィードバック油圧Pfb、及び学習油圧Pabを前述
の各プログラムと同様のプログラムに従ってそれぞれ計
算した上で、これらを加算して算出油圧Psを求める。
よるサーボアプライ圧の制御動作は、図35に示すプロ
グラムに従って行われるが、このプログラムにおけるス
テップS71〜S74は、図14に示す1−2変速時の
第1DSV121の制御を示すプログラムのステップS
1〜S4と動作としては同じであり、ベース油圧Pb、
フィードバック油圧Pfb、及び学習油圧Pabを前述
の各プログラムと同様のプログラムに従ってそれぞれ計
算した上で、これらを加算して算出油圧Psを求める。
【0185】次に、ステップS75で、タービントルク
Ttに応じた下限油圧Pgを図36に示すように予め設
定されたマップから読み取って設定する。そして、ステ
ップS76で、変速動作が終了したか否かを判定し、変
速動作が終了するまでは、ステップS77で、上記のよ
うにして設定した算出油圧Psと下限油圧Psとを比較
し、算出油圧Psが下限油圧Pgより高いときは、ステ
ップS78で算出油圧Psに対応するデューティ率を出
力し、算出油圧Psが下限油圧Pgより低いときは,ス
テップS79で下限油圧Pgに対応するデューティ率を
出力する。
Ttに応じた下限油圧Pgを図36に示すように予め設
定されたマップから読み取って設定する。そして、ステ
ップS76で、変速動作が終了したか否かを判定し、変
速動作が終了するまでは、ステップS77で、上記のよ
うにして設定した算出油圧Psと下限油圧Psとを比較
し、算出油圧Psが下限油圧Pgより高いときは、ステ
ップS78で算出油圧Psに対応するデューティ率を出
力し、算出油圧Psが下限油圧Pgより低いときは,ス
テップS79で下限油圧Pgに対応するデューティ率を
出力する。
【0186】なお、この2−3変速時における変速前の
第1DSV121のデューティ率は0%であって、サー
ボアプライ圧が供給されている状態にあるから、プリチ
ャージ制御は行われない。
第1DSV121のデューティ率は0%であって、サー
ボアプライ圧が供給されている状態にあるから、プリチ
ャージ制御は行われない。
【0187】そして、変速動作が終了すれば、ステップ
S80,S81に従ってデューティ率を一定割合で減少
させ、これが0%となった時点で制御を終了する。
S80,S81に従ってデューティ率を一定割合で減少
させ、これが0%となった時点で制御を終了する。
【0188】これにより、図38に示すように変化する
デューティ率の信号が出力され、これに伴って、同図に
示すように、所定値から一旦低下し、棚圧状態を経由し
て再び所定値まで上昇するサーボアプライ圧が得られる
ことになる。そして、このサーボアプライ圧が棚圧状態
にある間、3−4クラッチ圧及びサーボリリース圧が、
同図に符号オで示すように、サーボアプライ圧に対応す
る圧力の棚圧状態に制御されることになるのである。
デューティ率の信号が出力され、これに伴って、同図に
示すように、所定値から一旦低下し、棚圧状態を経由し
て再び所定値まで上昇するサーボアプライ圧が得られる
ことになる。そして、このサーボアプライ圧が棚圧状態
にある間、3−4クラッチ圧及びサーボリリース圧が、
同図に符号オで示すように、サーボアプライ圧に対応す
る圧力の棚圧状態に制御されることになるのである。
【0189】なお、変速指令の出力直後におけるサーボ
アプライ圧の低下により該圧力が下限油圧Pg以下に低
下することになるときは、図38に符号カで示すよう
に、該サーボアプライ圧は下限油圧Pgに設定されるこ
とになるが、この点については後に詳しく説明する。
アプライ圧の低下により該圧力が下限油圧Pg以下に低
下することになるときは、図38に符号カで示すよう
に、該サーボアプライ圧は下限油圧Pgに設定されるこ
とになるが、この点については後に詳しく説明する。
【0190】一方、第2DSV122の制御は、図37
に示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS9
1で、タイマのカウント値Trに初期値として所定時間
Tr0をセットし、次いで、ステップS92でこのタイ
マカウント値Trを1づつ減算する。そして、ステップ
S93で、図32に示すプラグラムと同様のプログラム
で設定されたプリチャージフラグFpが1であるか否
か、または、上記タイマカウント値Trが0より大きい
か否か、即ち変速指令の出力後、上記所定時間Tr0の
経過前であるか否かを判定し、プリチャージ期間中であ
るとき(Fp=1)、または、所定時間Tr0の経過前
であるときは、ステップS94で第2DSV122のデ
ューティ率を0%として、3−4クラッチ53の油圧室
及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に作
動油を速やかに充満させるプリチャージ制御を行う。
に示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS9
1で、タイマのカウント値Trに初期値として所定時間
Tr0をセットし、次いで、ステップS92でこのタイ
マカウント値Trを1づつ減算する。そして、ステップ
S93で、図32に示すプラグラムと同様のプログラム
で設定されたプリチャージフラグFpが1であるか否
か、または、上記タイマカウント値Trが0より大きい
か否か、即ち変速指令の出力後、上記所定時間Tr0の
経過前であるか否かを判定し、プリチャージ期間中であ
るとき(Fp=1)、または、所定時間Tr0の経過前
であるときは、ステップS94で第2DSV122のデ
ューティ率を0%として、3−4クラッチ53の油圧室
及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に作
動油を速やかに充満させるプリチャージ制御を行う。
【0191】その後、プリチャージ期間が経過し(Fp
=0)、かつ、上記所定時間Tr0が経過してタイマカ
ウント値Trが0になれば、ステップS95で、図35
のプログラムのステップS78で出力される第1DSV
121のデューティ率と同じデューティ率の信号を当該
第2DSV122に出力する。これにより、オリフィス
151を通って3−4クラッチ53の油圧室及び2−4
ブレーキ54の解放室54bに供給される作動油の流量
がプリチャージ制御中よりも減量され、所定量に抑制さ
れることになる。
=0)、かつ、上記所定時間Tr0が経過してタイマカ
ウント値Trが0になれば、ステップS95で、図35
のプログラムのステップS78で出力される第1DSV
121のデューティ率と同じデューティ率の信号を当該
第2DSV122に出力する。これにより、オリフィス
151を通って3−4クラッチ53の油圧室及び2−4
ブレーキ54の解放室54bに供給される作動油の流量
がプリチャージ制御中よりも減量され、所定量に抑制さ
れることになる。
【0192】ここで、プリチャージ制御の終了を、プリ
チャージフラグFpの値だけでなく、変速指令の開始時
からの経過時間によっても判断するようになっている点
については、後に詳しく説明する。
チャージフラグFpの値だけでなく、変速指令の開始時
からの経過時間によっても判断するようになっている点
については、後に詳しく説明する。
【0193】そして、特に、この第2DSV122のデ
ューティ率が第1DSV121のデューティ率と同じと
されることにより、2−4ブレーキ54の締結室54a
と解放室54bとには同一油圧のサーボアプライ圧とサ
ーボリリース圧とがぞれぞれ供給されることになる。そ
の場合に、図4に示すように、上記両室54a,54b
におけるピストン54eの受圧面積はほぼ等しくされて
いるから、該ピストン54eはスプリング54iによる
付勢力のみで解放方向にストロークすることになり、そ
の移動が比較的長い時間をかけて行われる。その後、ス
テップS96で、第1DSV121の制御が終了したこ
とを判定すれば、第2DSV122の制御も終了する。
ューティ率が第1DSV121のデューティ率と同じと
されることにより、2−4ブレーキ54の締結室54a
と解放室54bとには同一油圧のサーボアプライ圧とサ
ーボリリース圧とがぞれぞれ供給されることになる。そ
の場合に、図4に示すように、上記両室54a,54b
におけるピストン54eの受圧面積はほぼ等しくされて
いるから、該ピストン54eはスプリング54iによる
付勢力のみで解放方向にストロークすることになり、そ
の移動が比較的長い時間をかけて行われる。その後、ス
テップS96で、第1DSV121の制御が終了したこ
とを判定すれば、第2DSV122の制御も終了する。
【0194】これにより、3−4クラッチ53の締結中
の棚圧時間が十分確保され、その間にイナーシャフェー
ズが確実に完了することになって、例えばイナーシャフ
ェーズの完了前に棚圧期間が終了して作動圧が急激に上
昇することによる大きな変速ショックの発生が回避され
る。
の棚圧時間が十分確保され、その間にイナーシャフェー
ズが確実に完了することになって、例えばイナーシャフ
ェーズの完了前に棚圧期間が終了して作動圧が急激に上
昇することによる大きな変速ショックの発生が回避され
る。
【0195】(8)2−3変速時の作動圧低下規制制御 上記のように、2−3変速時には、サーボアプライ圧に
より3−4クラッチ圧を間接的に制御することが行われ
るが、このとき、イナーシャフェーズにおける3−4ク
ラッチ圧の制御が円滑に開始されるように、変速指令の
出力時に、2速状態で供給されていた比較的高い圧力の
サーボアプライ圧を一旦低下させ、この状態でトルクフ
ェーズを実現することになる。
より3−4クラッチ圧を間接的に制御することが行われ
るが、このとき、イナーシャフェーズにおける3−4ク
ラッチ圧の制御が円滑に開始されるように、変速指令の
出力時に、2速状態で供給されていた比較的高い圧力の
サーボアプライ圧を一旦低下させ、この状態でトルクフ
ェーズを実現することになる。
【0196】その場合に、このトルクフェーズでの算出
油圧Psは、学習油圧Padで補正したベース油圧Pb
の初期値Pb′となり、イナーシャフェーズが開始され
れば、この初期値Pb′を基準としてサーボアプライ圧
のフィードバック制御が開始されることになるが、この
初期値Pb′は、1−2変速について説明したように、
目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧Pi
を、目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptと、こ
の目標タービントルクTt0の2乗に応じた油圧Pt2
とで補正することにより求められる。
油圧Psは、学習油圧Padで補正したベース油圧Pb
の初期値Pb′となり、イナーシャフェーズが開始され
れば、この初期値Pb′を基準としてサーボアプライ圧
のフィードバック制御が開始されることになるが、この
初期値Pb′は、1−2変速について説明したように、
目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧Pi
を、目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptと、こ
の目標タービントルクTt0の2乗に応じた油圧Pt2
とで補正することにより求められる。
【0197】したがって、例えば運転者によるマニュア
ル操作等により、低回転領域で2−3変速が行われたと
きには、上記油圧Piが低いことに伴って初期値P
b′、即ちトルクフェーズにおけるサーボアプライ圧も
比較的低いものとなるが、このような変速がスロットル
開度が大きい高負荷状態で行われると、2−4ブレーキ
54への入力トルクに対してサーボアプライ圧が不足す
ることになり、そのため、イナーシャフェーズにおける
3−4クラッチ53の締結動作の開始前に2−4ブレー
キ54の滑りが生じ、エンジンの空吹き現象が発生する
のである。
ル操作等により、低回転領域で2−3変速が行われたと
きには、上記油圧Piが低いことに伴って初期値P
b′、即ちトルクフェーズにおけるサーボアプライ圧も
比較的低いものとなるが、このような変速がスロットル
開度が大きい高負荷状態で行われると、2−4ブレーキ
54への入力トルクに対してサーボアプライ圧が不足す
ることになり、そのため、イナーシャフェーズにおける
3−4クラッチ53の締結動作の開始前に2−4ブレー
キ54の滑りが生じ、エンジンの空吹き現象が発生する
のである。
【0198】そこで、前述のように、図35のプログラ
ムのステップS75で、変速歯車機構への入力トルクで
あるタービントルクTtに応じた下限油圧Pgを設定
し、算出油圧Psがこの下限油圧Pg以下となる場合に
は、上記プログラムのステップS79で、算出油圧Ps
に代えて、この下限油圧Pgに対応するデューティ率の
信号を第1DSV121に出力するのである。
ムのステップS75で、変速歯車機構への入力トルクで
あるタービントルクTtに応じた下限油圧Pgを設定
し、算出油圧Psがこの下限油圧Pg以下となる場合に
は、上記プログラムのステップS79で、算出油圧Ps
に代えて、この下限油圧Pgに対応するデューティ率の
信号を第1DSV121に出力するのである。
【0199】これにより、トルクフェーズにおけるサー
ボアプライ圧が、そのときの2−4ブレーキ54への入
力トルクに対応する圧力以下に低下することが阻止さ
れ、該2−4ブレーキ54が3−4クラッチ53の締結
動作の開始前に滑ることによるエンジンの空吹き現象が
防止されることになる。
ボアプライ圧が、そのときの2−4ブレーキ54への入
力トルクに対応する圧力以下に低下することが阻止さ
れ、該2−4ブレーキ54が3−4クラッチ53の締結
動作の開始前に滑ることによるエンジンの空吹き現象が
防止されることになる。
【0200】なお、変速指令の出力時にサーボアプライ
圧を低下させる場合、上記のように、その圧力をイナー
シャフェーズでのフィードバック制御の基準となる圧力
に等しくなるようにして、トルクフェーズからイナーシ
ャフェーズに移行した際のフィードバック制御の開始が
円滑に行われるようにすることが望ましいが、図39に
符号キで示すように、変速前の圧力とイナーシャフェー
ズでの圧力の中間の圧力まで低下させてもよく、また、
図40に符号クで示すように、変速前の圧力からイナー
シャフェーズの開始時まで徐々に低下させるようにする
ことも考えられる。
圧を低下させる場合、上記のように、その圧力をイナー
シャフェーズでのフィードバック制御の基準となる圧力
に等しくなるようにして、トルクフェーズからイナーシ
ャフェーズに移行した際のフィードバック制御の開始が
円滑に行われるようにすることが望ましいが、図39に
符号キで示すように、変速前の圧力とイナーシャフェー
ズでの圧力の中間の圧力まで低下させてもよく、また、
図40に符号クで示すように、変速前の圧力からイナー
シャフェーズの開始時まで徐々に低下させるようにする
ことも考えられる。
【0201】そして、いずれの場合にも、このトルクフ
ェーズ中のサーボアプライ圧が、タービントルクTtに
応じた下限油圧Pg以下に低下することになるときに
は、その下限油圧Pg以下への低下を阻止することによ
り、2−4ブレーキ54の滑りによるエンジンの空吹き
現象を防止することになる。
ェーズ中のサーボアプライ圧が、タービントルクTtに
応じた下限油圧Pg以下に低下することになるときに
は、その下限油圧Pg以下への低下を阻止することによ
り、2−4ブレーキ54の滑りによるエンジンの空吹き
現象を防止することになる。
【0202】(9)2−3変速時のプリチャージ制御 また、2−3変速時には、前述のように、第2DSV1
22による2−4ブレーキ54の解放室54b及び3−
4クラッチ53の油圧室に対するプリチャージの期間
を、図32のプログラムによって決定されるプリチャー
ジフラグFpの値だけでなく、変速指令の開始時からの
経過時間によっても判断するようになっており、この点
で、1−2変速時における2−4ブレーキ54の締結室
54a等に対するプリチャージ制御とは異なっている。
22による2−4ブレーキ54の解放室54b及び3−
4クラッチ53の油圧室に対するプリチャージの期間
を、図32のプログラムによって決定されるプリチャー
ジフラグFpの値だけでなく、変速指令の開始時からの
経過時間によっても判断するようになっており、この点
で、1−2変速時における2−4ブレーキ54の締結室
54a等に対するプリチャージ制御とは異なっている。
【0203】次に、この2−3変速時における2−4ブ
レーキ54の解放室54b及び3−4クラッチ53の油
圧室に対するプリチャージ制御について説明する。
レーキ54の解放室54b及び3−4クラッチ53の油
圧室に対するプリチャージ制御について説明する。
【0204】一般に、アップシフト変速時には、図41
に示すように、被締結摩擦要素の油圧室に3−4クラッ
チ圧等の作動圧を供給したときに、ピストンが所定量ス
トロークした時点で、符号ケで示すように作動圧が上昇
してトルクフェーズが開始されるが、このとき、符号コ
で示すように、出力トルクToが一時的に低下するトル
クの引き込み現象が発生する。そして、入力トルクが大
きいときに、この現象が変速ショックを大きくする一因
となるのである。
に示すように、被締結摩擦要素の油圧室に3−4クラッ
チ圧等の作動圧を供給したときに、ピストンが所定量ス
トロークした時点で、符号ケで示すように作動圧が上昇
してトルクフェーズが開始されるが、このとき、符号コ
で示すように、出力トルクToが一時的に低下するトル
クの引き込み現象が発生する。そして、入力トルクが大
きいときに、この現象が変速ショックを大きくする一因
となるのである。
【0205】この問題に対しては、上記の引き込み現象
の時間もしくはこの現象が生じるトルクフェーズの時間
を短くし、或はトルクフェーズにおける作動圧の上昇率
を大きくすることにより結果として該トルクフェーズの
時間を短くすることにより、引き込み現象の変速フィー
リングに与える悪影響を低減することが考えられる。そ
こで、この実施の形態においては、上記のプリチャージ
制御を適切に制御することにより、トルクフェーズの時
間の短縮等を図っているのである。
の時間もしくはこの現象が生じるトルクフェーズの時間
を短くし、或はトルクフェーズにおける作動圧の上昇率
を大きくすることにより結果として該トルクフェーズの
時間を短くすることにより、引き込み現象の変速フィー
リングに与える悪影響を低減することが考えられる。そ
こで、この実施の形態においては、上記のプリチャージ
制御を適切に制御することにより、トルクフェーズの時
間の短縮等を図っているのである。
【0206】つまり、前述のように、図37のプログラ
ムのステップS91で、タイマのカウント値Trに初期
値として所定時間Tr0をセットし、次いで、ステップ
S92で、このタイマカウント値Trを1づつ減算する
と共に、ステップS93で、プリチャージフラグFpが
1であるか否か、またはタイマカウント値Trが0より
大きいか否かを判定する。そして、プリチャージフラグ
Fpが0となり、かつ、タイマカウント値Trが0とな
って、変速指令の出力後、所定時間Tr0が経過した時
点で、初めてプリチャージ制御を終了し、第2DSV1
22による算出油圧Psの供給制御に移行するのであ
る。
ムのステップS91で、タイマのカウント値Trに初期
値として所定時間Tr0をセットし、次いで、ステップ
S92で、このタイマカウント値Trを1づつ減算する
と共に、ステップS93で、プリチャージフラグFpが
1であるか否か、またはタイマカウント値Trが0より
大きいか否かを判定する。そして、プリチャージフラグ
Fpが0となり、かつ、タイマカウント値Trが0とな
って、変速指令の出力後、所定時間Tr0が経過した時
点で、初めてプリチャージ制御を終了し、第2DSV1
22による算出油圧Psの供給制御に移行するのであ
る。
【0207】その場合に、上記タイマカウント値Trの
初期値としての所定時間Tr0は、図42に示すよう
に、エンジンのスロットル開度θが大きいほど長くなる
ように設定されており、したがって、エンジンからの入
力トルクが大きい時には、プリチャージが、当該油路に
作動油が充満されてトルクフェーズに移行した後も行わ
れ、例えば図41に符号サで示すように、符号アで示す
イナーシャフェーズへの移行時まで行われることになる
のである。
初期値としての所定時間Tr0は、図42に示すよう
に、エンジンのスロットル開度θが大きいほど長くなる
ように設定されており、したがって、エンジンからの入
力トルクが大きい時には、プリチャージが、当該油路に
作動油が充満されてトルクフェーズに移行した後も行わ
れ、例えば図41に符号サで示すように、符号アで示す
イナーシャフェーズへの移行時まで行われることになる
のである。
【0208】これにより、図41に符号ケで示すトルク
フェーズにおける作動圧の上昇率が大きくなり、それに
伴ってトルクフェーズの時間もしくはこのトルクフェー
ズにおけるトルクの引き込み現象の時間が短くなって、
この現象による変速フィーリングに与える悪影響、即ち
変速ショックが低減されることになるのである。
フェーズにおける作動圧の上昇率が大きくなり、それに
伴ってトルクフェーズの時間もしくはこのトルクフェー
ズにおけるトルクの引き込み現象の時間が短くなって、
この現象による変速フィーリングに与える悪影響、即ち
変速ショックが低減されることになるのである。
【0209】そして、この2−3変速時は、前述のよう
に、締結側の摩擦要素である3−4クラッチ53の締結
時の棚圧の制御は、第1DSV121により2−4ブレ
ーキ54の締結室54aに供給されているサーボアプラ
イ圧を制御することによって行われるから、第2DSV
122によって上記のようにイナーシャフェーズの開始
時までプリチャージ制御を行っても、このイナーシャフ
ェーズの制御、即ちタービン回転変化率dNtを目標変
化率dNt0に一値させながらタービン回転数Ntを低
下させる制御に影響を及ぼすことがなく、良好なイナー
シャフェーズの制御を維持しながら、トルクフェーズに
おける変速ショックが抑制されることになるのである。
に、締結側の摩擦要素である3−4クラッチ53の締結
時の棚圧の制御は、第1DSV121により2−4ブレ
ーキ54の締結室54aに供給されているサーボアプラ
イ圧を制御することによって行われるから、第2DSV
122によって上記のようにイナーシャフェーズの開始
時までプリチャージ制御を行っても、このイナーシャフ
ェーズの制御、即ちタービン回転変化率dNtを目標変
化率dNt0に一値させながらタービン回転数Ntを低
下させる制御に影響を及ぼすことがなく、良好なイナー
シャフェーズの制御を維持しながら、トルクフェーズに
おける変速ショックが抑制されることになるのである。
【0210】なお、図42に示すように、スロットル開
度θが所定値θ0以下では,上記所定時間Tr0は0とさ
れているので、入力トルクが小さい領域では、他の変速
時と同様に、プリチャージフラグFpの値のみでプリチ
ャージの終了時が判定される。したがって、入力トルク
が小さく、図43に示すように、もともとトルクの引き
込み現象や、その直後のトルクフェーズからイナーシャ
フェーズへの移行時に生じるトルクの突き上げ現象が顕
著ではなく、出力トルクToがなだらかに変化する変速
時には、このなだらかに変化する状態が維持されて、作
動圧の上昇率を高くすることによる新たな変速ショック
の発生が回避されることになる。
度θが所定値θ0以下では,上記所定時間Tr0は0とさ
れているので、入力トルクが小さい領域では、他の変速
時と同様に、プリチャージフラグFpの値のみでプリチ
ャージの終了時が判定される。したがって、入力トルク
が小さく、図43に示すように、もともとトルクの引き
込み現象や、その直後のトルクフェーズからイナーシャ
フェーズへの移行時に生じるトルクの突き上げ現象が顕
著ではなく、出力トルクToがなだらかに変化する変速
時には、このなだらかに変化する状態が維持されて、作
動圧の上昇率を高くすることによる新たな変速ショック
の発生が回避されることになる。
【0211】ここで、以上の説明では、プリチャージ制
御を変速指令の出力時から行うようにしたが、例えばト
ルクセンサ等により出力トルクToを検出し、この出力
トルクToが低下し始めるトルクフェーズの開始時から
プリチャージを行うようにすることもできる。
御を変速指令の出力時から行うようにしたが、例えばト
ルクセンサ等により出力トルクToを検出し、この出力
トルクToが低下し始めるトルクフェーズの開始時から
プリチャージを行うようにすることもできる。
【0212】また、図44に示すように、プリチャージ
時間を一定とし、入力トルクが大きいときには、当該第
2DSV122のデューティ率を0%とする一方、入力
トルクが小さいときには、デューティ率を0より大きな
値とすることにより、入力トルクが大きくなるほど、小
さいときよりも第2DSV122を通過する作動油の単
位時間当たりの流量を多くするようにしてもよく、さら
に、プリチャージの時間と流量(デューティ率)の両者
を入力トルクに応じて変更するようにしてもよい。
時間を一定とし、入力トルクが大きいときには、当該第
2DSV122のデューティ率を0%とする一方、入力
トルクが小さいときには、デューティ率を0より大きな
値とすることにより、入力トルクが大きくなるほど、小
さいときよりも第2DSV122を通過する作動油の単
位時間当たりの流量を多くするようにしてもよく、さら
に、プリチャージの時間と流量(デューティ率)の両者
を入力トルクに応じて変更するようにしてもよい。
【0213】(B)ダウンシフト変速 次に、ダウンシフト変速、主として摩擦要素の掛け替え
動作、つまり摩擦要素の締結動作と解放動作との二つの
動作を伴う場合の特徴的な制御動作について説明する。
動作、つまり摩擦要素の締結動作と解放動作との二つの
動作を伴う場合の特徴的な制御動作について説明する。
【0214】一般に、ダウンシフト変速は、エンジンの
スロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウン
シフト変速と、これとは逆に、スロットル開度が全閉状
態で行なわれるダウンシフト変速、すなわちマニュアル
操作によるマニュアルダウン変速や車速の低下によるコ
ーストダウン変速との二つに分類され、それぞれ異なる
変速制御が要求される。まず、前者のトルクディマンド
変速から説明する。
スロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウン
シフト変速と、これとは逆に、スロットル開度が全閉状
態で行なわれるダウンシフト変速、すなわちマニュアル
操作によるマニュアルダウン変速や車速の低下によるコ
ーストダウン変速との二つに分類され、それぞれ異なる
変速制御が要求される。まず、前者のトルクディマンド
変速から説明する。
【0215】(B1)トルクディマンドのダウンシフト
変速 トルクディマンド変速では、まず解放側摩擦要素の解放
動作を先行させて該摩擦要素をスリップさせることによ
り、タービン回転数をエンジン回転の増大に伴わせて上
昇させると共に、これが予め算出された変速後のタービ
ン回転数の近くまで上昇した時点で締結側摩擦要素を締
結させ、かつ解放側摩擦要素を完全に解放して目的の変
速段を達成する。そして、その場合に、解放側摩擦要素
に対する作動圧、すなわち該摩擦要素の締結力ないしス
リップ量を制御することにより、上昇するタービン回転
数をフィードバック制御して、図45に示すように、該
回転数Ntを各制御サイクル毎の目標回転数Nti
0(鎖線)に一致させながら、変速応答性の向上を図る
ために速やかに変速後の回転数Nti0まで上昇させ
る。次に、このトルクディマンドのダウンシフト変速の
全般的動作について、4−3変速を例に取って説明す
る。
変速 トルクディマンド変速では、まず解放側摩擦要素の解放
動作を先行させて該摩擦要素をスリップさせることによ
り、タービン回転数をエンジン回転の増大に伴わせて上
昇させると共に、これが予め算出された変速後のタービ
ン回転数の近くまで上昇した時点で締結側摩擦要素を締
結させ、かつ解放側摩擦要素を完全に解放して目的の変
速段を達成する。そして、その場合に、解放側摩擦要素
に対する作動圧、すなわち該摩擦要素の締結力ないしス
リップ量を制御することにより、上昇するタービン回転
数をフィードバック制御して、図45に示すように、該
回転数Ntを各制御サイクル毎の目標回転数Nti
0(鎖線)に一致させながら、変速応答性の向上を図る
ために速やかに変速後の回転数Nti0まで上昇させ
る。次に、このトルクディマンドのダウンシフト変速の
全般的動作について、4−3変速を例に取って説明す
る。
【0216】(1)4−3変速制御 4−3変速では、前述の表2及び図8、図9から明らか
なように、第1SV111、第1DSV121及び第2
DSV122がONで、3−4クラッチ53と2−4ブ
レーキ54とが締結された状態から、第1SV111が
OFFとなり、代わって第3DSV123がONとなっ
て、3−4クラッチ53とフォワードクラッチ51とが
締結された状態に移行する。つまり、2−4ブレーキ5
4を解放してフォワードクラッチ51を締結する摩擦要
素の掛け替え動作を伴う変速である。
なように、第1SV111、第1DSV121及び第2
DSV122がONで、3−4クラッチ53と2−4ブ
レーキ54とが締結された状態から、第1SV111が
OFFとなり、代わって第3DSV123がONとなっ
て、3−4クラッチ53とフォワードクラッチ51とが
締結された状態に移行する。つまり、2−4ブレーキ5
4を解放してフォワードクラッチ51を締結する摩擦要
素の掛け替え動作を伴う変速である。
【0217】そして、この実施の形態においては、第1
SV111が変速動作中はONのまま維持されて、その
結果、3−4シフトバルブ105のスプールが右に位置
してサーボリリースライン221とフォワードクラッチ
ライン219とが連通された状態に保たれ、この状態で
第3DSV123によってそれぞれサーボリリース圧及
びフォワードクラッチ圧が供給されることにより、2−
4ブレーキ54を解放してフォワードクラッチ51を締
結する上記の掛け替え動作が行われる。
SV111が変速動作中はONのまま維持されて、その
結果、3−4シフトバルブ105のスプールが右に位置
してサーボリリースライン221とフォワードクラッチ
ライン219とが連通された状態に保たれ、この状態で
第3DSV123によってそれぞれサーボリリース圧及
びフォワードクラッチ圧が供給されることにより、2−
4ブレーキ54を解放してフォワードクラッチ51を締
結する上記の掛け替え動作が行われる。
【0218】一方、これに先立って第1DSV121に
よるタービン回転数のフィードバック制御が行われる。
すなわち、該第1DSV121のデューティ率を制御し
てサーボアプライ圧を低下させ、これにより2−4ブレ
ーキ54を所定量スリップさせると共に、そのスリップ
量を制御することによりタービン回転数を所定の目標回
転数に一致させながら速やかに変速後の回転数まで上昇
させるのである。そして、タービン回転数が変速後回転
数の近くまで上昇した時点で上記の摩擦要素の掛け替え
動作を行なって、4速から3速への変速を達成する。
よるタービン回転数のフィードバック制御が行われる。
すなわち、該第1DSV121のデューティ率を制御し
てサーボアプライ圧を低下させ、これにより2−4ブレ
ーキ54を所定量スリップさせると共に、そのスリップ
量を制御することによりタービン回転数を所定の目標回
転数に一致させながら速やかに変速後の回転数まで上昇
させるのである。そして、タービン回転数が変速後回転
数の近くまで上昇した時点で上記の摩擦要素の掛け替え
動作を行なって、4速から3速への変速を達成する。
【0219】ここで、前述したように、各DSV121
〜123は、デューティ率100%で作動圧が発生しな
いドレン状態、0%で作動圧が元圧に等しくなる全開状
態となり、その中間のデューティ率で作動圧の制御が行
なわれる。
〜123は、デューティ率100%で作動圧が発生しな
いドレン状態、0%で作動圧が元圧に等しくなる全開状
態となり、その中間のデューティ率で作動圧の制御が行
なわれる。
【0220】なお、第1SV111は、この4−3変速
動作の終了時には最終的にOFFとされ、これにより、
3−4シフトバルブ105のスプールが左に位置してサ
ーボリリースライン221とフォワードクラッチライン
219との連通状態が遮断されることになるが、フォワ
ードクラッチ51には引き続き第3DSV123によっ
てフォワードクラッチ圧が供給され、一方、2−4ブレ
ーキ54の解放室54bにはライン225を介して3−
4クラッチ圧がサーボリリース圧となって供給される。
動作の終了時には最終的にOFFとされ、これにより、
3−4シフトバルブ105のスプールが左に位置してサ
ーボリリースライン221とフォワードクラッチライン
219との連通状態が遮断されることになるが、フォワ
ードクラッチ51には引き続き第3DSV123によっ
てフォワードクラッチ圧が供給され、一方、2−4ブレ
ーキ54の解放室54bにはライン225を介して3−
4クラッチ圧がサーボリリース圧となって供給される。
【0221】また、第1DSV121のデューティ率
は、この4−3変速動作の終了時には最終的に0%に戻
され、これにより、タービン回転数のフィードバック制
御中にいったん低下されたサーボアプライ圧が再び上昇
して2−4ブレーキ54の解放室54bに供給されるこ
とになるが、このとき解放室54bにはサーボリリース
圧が供給されているので、結果的にこの2−4ブレーキ
54は解放される。このサーボアプライ圧の再供給は、
当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能性の大きい
3−2変速もしくは3−4変速時に、再びこの2−4ブ
レーキ54が締結されることを考慮して、該2−4ブレ
ーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧を供給した
状態に存置しておくものである。
は、この4−3変速動作の終了時には最終的に0%に戻
され、これにより、タービン回転数のフィードバック制
御中にいったん低下されたサーボアプライ圧が再び上昇
して2−4ブレーキ54の解放室54bに供給されるこ
とになるが、このとき解放室54bにはサーボリリース
圧が供給されているので、結果的にこの2−4ブレーキ
54は解放される。このサーボアプライ圧の再供給は、
当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能性の大きい
3−2変速もしくは3−4変速時に、再びこの2−4ブ
レーキ54が締結されることを考慮して、該2−4ブレ
ーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧を供給した
状態に存置しておくものである。
【0222】(1−1)第1DSV121の制御 タービン回転数をフィードバック制御する第1DSV1
21によるサーボアプライ圧の制御は図46に示すプロ
グラムに従って行われる。これを図47に示すタイムチ
ャートを参照しながら説明すると、まず、4−3変速指
令が出力されたときに、ステップS101で作動油の温
度(油温)が所定の温度K11より高いか否かを判定す
る。この所定温度K11としては、例えばマイナス30
℃等の極く低い温度が設定される。
21によるサーボアプライ圧の制御は図46に示すプロ
グラムに従って行われる。これを図47に示すタイムチ
ャートを参照しながら説明すると、まず、4−3変速指
令が出力されたときに、ステップS101で作動油の温
度(油温)が所定の温度K11より高いか否かを判定す
る。この所定温度K11としては、例えばマイナス30
℃等の極く低い温度が設定される。
【0223】そして、油温がこのような極低温のとき
は、ステップS102に進んで、変速指令出力中に行な
われるフォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧の
プリチャージの制御期間中であるか否かを、プリチャー
ジフラグFpの値に基づいて判定する。
は、ステップS102に進んで、変速指令出力中に行な
われるフォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧の
プリチャージの制御期間中であるか否かを、プリチャー
ジフラグFpの値に基づいて判定する。
【0224】このプリチャージ制御については、すでに
アップシフトの項で説明したが、このダウンシフトの項
においても後の(1−6)でさらに追加説明するよう
に、変速開始時にフォワードクラッチ51の油圧室及び
2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路に予め
作動油を速やかに充満させておいて、これによりフォワ
ードクラッチ51の締結動作ないし2−4ブレーキ54
の解放動作の遅れを回避するために行なわれるもので、
上記制御によってプリチャージ期間中であると判定され
たときは、プリチャージフラグFpが1にセットされ、
一方、プリチャージ期間が終了すれば0にリセットされ
るようになっている。そして、該フラグFpが0となる
まで次のステップS103以下に進まず、したがって、
この第1DSV121の実体的な制御が変速指令の出力
後すぐには行なわれず遅延されることになるが、この意
義については後の(1−7)で説明することとし、いま
は、油温がこのように低くない場合、すなわち標準的な
常温時であるとして説明を進める。
アップシフトの項で説明したが、このダウンシフトの項
においても後の(1−6)でさらに追加説明するよう
に、変速開始時にフォワードクラッチ51の油圧室及び
2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路に予め
作動油を速やかに充満させておいて、これによりフォワ
ードクラッチ51の締結動作ないし2−4ブレーキ54
の解放動作の遅れを回避するために行なわれるもので、
上記制御によってプリチャージ期間中であると判定され
たときは、プリチャージフラグFpが1にセットされ、
一方、プリチャージ期間が終了すれば0にリセットされ
るようになっている。そして、該フラグFpが0となる
まで次のステップS103以下に進まず、したがって、
この第1DSV121の実体的な制御が変速指令の出力
後すぐには行なわれず遅延されることになるが、この意
義については後の(1−7)で説明することとし、いま
は、油温がこのように低くない場合、すなわち標準的な
常温時であるとして説明を進める。
【0225】上記ステップS101で常温時であると判
定されると、次にステップS103,S104でベース
油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算出すると
共に、ステップS105でこれらの油圧Pb、Pfbを
加算して算出油圧Psを求める。なお、上記ベース油圧
Pb及びフィードバック油圧Pfbの算出動作について
は後の(1−2)及び(1−3)で説明する。
定されると、次にステップS103,S104でベース
油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算出すると
共に、ステップS105でこれらの油圧Pb、Pfbを
加算して算出油圧Psを求める。なお、上記ベース油圧
Pb及びフィードバック油圧Pfbの算出動作について
は後の(1−2)及び(1−3)で説明する。
【0226】次に、ステップS106で、変速指令の出
力後、所定の時間T11が経過したか否かを判定し、こ
の所定時間T11が経過するまでは、ステップS107
で、第1DSV121のデューティ率を0%の状態に保
持して、2−4ブレーキ54の解放動作をまだ開始しな
いようにする。これは、トルクディマンド変速の場合
は、スロットル開度の増大に伴ってライン圧が急上昇す
るので、その安定を待ってから該2−4ブレーキ54に
対する作動圧の制御を行うためである。
力後、所定の時間T11が経過したか否かを判定し、こ
の所定時間T11が経過するまでは、ステップS107
で、第1DSV121のデューティ率を0%の状態に保
持して、2−4ブレーキ54の解放動作をまだ開始しな
いようにする。これは、トルクディマンド変速の場合
は、スロットル開度の増大に伴ってライン圧が急上昇す
るので、その安定を待ってから該2−4ブレーキ54に
対する作動圧の制御を行うためである。
【0227】そして、上記時間T11が経過すれば、ス
テップS108で、タービン回転数Ntが変速後の回転
数Nt0よりもごく小さな所定の回転数ΔNtだけ低い
回転数(以下「変速終了直前回転数」と記す。)まで上
昇したのちさらに所定時間T12が経過したか否かを判
定し、その経過前までは、ステップS109で、上記の
ようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ率
の信号を第1DSV121に出力してサーボアプライ圧
を制御する。一方、上記時間T12が経過すれば、ステ
ップS110,S111で、デューティ率を再び一定割
合で0%に戻してサーボアプライ圧を上昇させる。
テップS108で、タービン回転数Ntが変速後の回転
数Nt0よりもごく小さな所定の回転数ΔNtだけ低い
回転数(以下「変速終了直前回転数」と記す。)まで上
昇したのちさらに所定時間T12が経過したか否かを判
定し、その経過前までは、ステップS109で、上記の
ようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ率
の信号を第1DSV121に出力してサーボアプライ圧
を制御する。一方、上記時間T12が経過すれば、ステ
ップS110,S111で、デューティ率を再び一定割
合で0%に戻してサーボアプライ圧を上昇させる。
【0228】ここで、タービン回転数Ntが変速終了直
前回転数(Nt0−ΔNt)まで上昇したのちさらに所
定時間T12が経過するまでサーボアプライ圧の制御、
つまりタービン回転数のフィードバック制御を続行する
理由は、後の(1−4)で説明するように、フォワード
クラッチ圧及びサーボリリース圧がもう一方の第3DS
V123の制御によってタービン回転数Ntがこの変速
終了直前回転数まで上昇した時点で先に供給されるの
で、これによってフォワードクラッチ51が完全に締結
し、また2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリ
リース圧が完全に供給されるまで、該2−4ブレーキ5
4の締結室54aにサーボアプライ圧を再供給しない、
つまりこの2−4ブレーキ54を締結状態とさせないた
めである。
前回転数(Nt0−ΔNt)まで上昇したのちさらに所
定時間T12が経過するまでサーボアプライ圧の制御、
つまりタービン回転数のフィードバック制御を続行する
理由は、後の(1−4)で説明するように、フォワード
クラッチ圧及びサーボリリース圧がもう一方の第3DS
V123の制御によってタービン回転数Ntがこの変速
終了直前回転数まで上昇した時点で先に供給されるの
で、これによってフォワードクラッチ51が完全に締結
し、また2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリ
リース圧が完全に供給されるまで、該2−4ブレーキ5
4の締結室54aにサーボアプライ圧を再供給しない、
つまりこの2−4ブレーキ54を締結状態とさせないた
めである。
【0229】(1−2)ベース油圧Pbの計算 図46のプログラムのステップS103におけるベース
油圧Pbの計算は、図48に示すプログラムに従って次
のように行われる。
油圧Pbの計算は、図48に示すプログラムに従って次
のように行われる。
【0230】まず、ステップS121で、変速中の目標
タービン回転変化率dNt0を算出し、次いでステップ
S122で、この目標タービン回転変化率dNt0に対
応する油圧Piを図49に示すマップに基づいて算出す
る。図示したように、このマップは、目標タービン回転
変化率dNt0が大きくなるほど油圧Piが小さな値に
なるように設定されている。
タービン回転変化率dNt0を算出し、次いでステップ
S122で、この目標タービン回転変化率dNt0に対
応する油圧Piを図49に示すマップに基づいて算出す
る。図示したように、このマップは、目標タービン回転
変化率dNt0が大きくなるほど油圧Piが小さな値に
なるように設定されている。
【0231】また、ステップS123で、変速時の目標
タービントルクTt0に応じた油圧Ptを図50に示す
マップに基づいて算出する。図示したように、このマッ
プは、目標タービントルクTt0が大きくなるほど油圧
Ptが大きな値になるように設定されている。
タービントルクTt0に応じた油圧Ptを図50に示す
マップに基づいて算出する。図示したように、このマッ
プは、目標タービントルクTt0が大きくなるほど油圧
Ptが大きな値になるように設定されている。
【0232】そして、ステップS124で、これらの油
圧Pi,Ptを加算することによりベース油圧Pbを求
め、このベース油圧Pbが、図47の符号タで示すよう
に、サーボアプライ圧の制御中、基本的に一定値で用い
られる。
圧Pi,Ptを加算することによりベース油圧Pbを求
め、このベース油圧Pbが、図47の符号タで示すよう
に、サーボアプライ圧の制御中、基本的に一定値で用い
られる。
【0233】(1−3)フィードバック油圧Pfbの計
算 図46のプログラムのステップS104におけるフィー
ドバック油圧Pfbの計算は、図51に示すプログラム
に従って次のように行われる。
算 図46のプログラムのステップS104におけるフィー
ドバック油圧Pfbの計算は、図51に示すプログラム
に従って次のように行われる。
【0234】まず、ステップS131で、後の(1−
5)で説明するフィードバック制御の開始条件が成立し
たか否かを示すフィードバックフラグFfの値を判定す
る。そして、この条件が成立して上記フラグFfが1と
なるまでは、ステップS132で、フィードバック油圧
Pfbを0とする。
5)で説明するフィードバック制御の開始条件が成立し
たか否かを示すフィードバックフラグFfの値を判定す
る。そして、この条件が成立して上記フラグFfが1と
なるまでは、ステップS132で、フィードバック油圧
Pfbを0とする。
【0235】また、上記条件が成立してフラグFfが1
となれば、ステップS133で、現時点の目標タービン
回転数Nti0を計算する。この計算は、変速前後の回
転数の差と、予め設定されている最適変速時間とに基づ
いて行われ、各制御サイクル毎にそのサイクルでの目標
タービン回転数Nti0が求められる。
となれば、ステップS133で、現時点の目標タービン
回転数Nti0を計算する。この計算は、変速前後の回
転数の差と、予め設定されている最適変速時間とに基づ
いて行われ、各制御サイクル毎にそのサイクルでの目標
タービン回転数Nti0が求められる。
【0236】そして、ステップS134で、この目標タ
ービン回転数Nti0に対する実タービン回転数Ntの
偏差Dn(Nt−Nti0)を求めると共に、ステップ
S135で、この偏差Dnに応じたフィードバック油圧
Pfbを図52に示すマップに基づいて算出する。
ービン回転数Nti0に対する実タービン回転数Ntの
偏差Dn(Nt−Nti0)を求めると共に、ステップ
S135で、この偏差Dnに応じたフィードバック油圧
Pfbを図52に示すマップに基づいて算出する。
【0237】ここで、このマップにおいては、フィード
バック油圧Pfbは、偏差Dnが正のときには正の値
に、偏差Dnが負のときには負の値とされると共に、そ
の大きさは、偏差Dnの絶対値が大きくなるほど大きく
なるように設定されている。
バック油圧Pfbは、偏差Dnが正のときには正の値
に、偏差Dnが負のときには負の値とされると共に、そ
の大きさは、偏差Dnの絶対値が大きくなるほど大きく
なるように設定されている。
【0238】以上のベース油圧Pbの計算及びフィード
バック油圧Pfbの計算により、図47に示すように、
第1DSV121は、変速指令が出力されて所定時間T
11が経過した時点でデューティ率0%の状態(全開状
態)からベース油圧Pbに相当する一定のデューティ率
での制御に移行する。これにより、2−4ブレーキに対
するサーボアプライ圧が低下されて該2−4ブレーキが
スリップをし始め、その結果、図中符号チで示すよう
に、タービン回転数Ntが上昇を開始した時点からフィ
ードバック制御に移行する。そして、タービン回転数N
tが変速終了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時
間T12が経過した時点で、デューティ率が再び0%に
戻されて、サーボアプライ圧が所定値まで上昇すること
になる。
バック油圧Pfbの計算により、図47に示すように、
第1DSV121は、変速指令が出力されて所定時間T
11が経過した時点でデューティ率0%の状態(全開状
態)からベース油圧Pbに相当する一定のデューティ率
での制御に移行する。これにより、2−4ブレーキに対
するサーボアプライ圧が低下されて該2−4ブレーキが
スリップをし始め、その結果、図中符号チで示すよう
に、タービン回転数Ntが上昇を開始した時点からフィ
ードバック制御に移行する。そして、タービン回転数N
tが変速終了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時
間T12が経過した時点で、デューティ率が再び0%に
戻されて、サーボアプライ圧が所定値まで上昇すること
になる。
【0239】なお、このフィードバック油圧Pfbを算
出するにあたり、制御の応答性を考慮して、所謂、H無
限大制御則によりフィードバックゲインを設定するよう
にしてもよい。その場合のフィードバック操作量mは、
次の式41に従って求められる。
出するにあたり、制御の応答性を考慮して、所謂、H無
限大制御則によりフィードバックゲインを設定するよう
にしてもよい。その場合のフィードバック操作量mは、
次の式41に従って求められる。
【0240】
【式41】 ここで、a,bは所定の係数、eは目標タービン回転数
と実タービン回転数との偏差であり、またiは0ないし
8である。
と実タービン回転数との偏差であり、またiは0ないし
8である。
【0241】(1−4)第3DSV123の制御 一方、第3DSV123によるフォワードクラッチ圧及
びサーボリリース圧の制御は図53に示すプログラムに
従って行われ、まず、4−3変速指令が出力されたとき
に、ステップS141で算出油圧Psを求める。このこ
とから明らかなように、この第3DSV123の制御に
おいては、上記の第1DSV121の制御とは異なり、
油温についての判定をせずに、常に変速指令の出力後直
ちに実体的制御が行なわれる。この意義についても後の
(1−7)で併せて説明する。
びサーボリリース圧の制御は図53に示すプログラムに
従って行われ、まず、4−3変速指令が出力されたとき
に、ステップS141で算出油圧Psを求める。このこ
とから明らかなように、この第3DSV123の制御に
おいては、上記の第1DSV121の制御とは異なり、
油温についての判定をせずに、常に変速指令の出力後直
ちに実体的制御が行なわれる。この意義についても後の
(1−7)で併せて説明する。
【0242】次に、ステップS142で、プリチャージ
フラグFpが1にセットされているか否かを判定して、
プリチャージフラグFpが1のとき、すなわち、プリチ
ャージ期間中であるときは、ステップS143で、第3
DSV123のデューティ率を0%として、フォワード
クラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の解放室
54bに通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
フラグFpが1にセットされているか否かを判定して、
プリチャージフラグFpが1のとき、すなわち、プリチ
ャージ期間中であるときは、ステップS143で、第3
DSV123のデューティ率を0%として、フォワード
クラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の解放室
54bに通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
【0243】また、プリチャージフラグFpが0にリセ
ットされているとき、すなわちプリチャージ期間が終了
すれば、さらに、ステップS144で、タービン回転数
Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定
し、この回転数まで上昇するまでの間は、ステップS1
45で、上記算出油圧Psに対応するデューティ率の信
号を第3DSV123に出力する。
ットされているとき、すなわちプリチャージ期間が終了
すれば、さらに、ステップS144で、タービン回転数
Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定
し、この回転数まで上昇するまでの間は、ステップS1
45で、上記算出油圧Psに対応するデューティ率の信
号を第3DSV123に出力する。
【0244】その場合に、この算出油圧Psは、フォワ
ードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧で
あって、この油圧がフォワードクラッチ51の油圧室に
供給された状態では、該クラッチ51のピストンが締結
直前の状態に保持されることになる。また、2−4ブレ
ーキ54の解放室54b内において油圧が直ちに立ち上
がる状態に保持されることになる。
ードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧で
あって、この油圧がフォワードクラッチ51の油圧室に
供給された状態では、該クラッチ51のピストンが締結
直前の状態に保持されることになる。また、2−4ブレ
ーキ54の解放室54b内において油圧が直ちに立ち上
がる状態に保持されることになる。
【0245】そして、タービン回転数Ntが変速終了直
前回転数まで上昇した時点で、ステップS146,14
7に従って、デューティ率を一定割合で0%まで減少さ
せる。これにより、フォワードクラッチ圧及びサーボリ
リース圧は、図47に符号ツで示すように、サーボアプ
ライ圧の制御中、フォワードクラッチ51を締結直前な
いし2−4ブレーキを解放直前の状態とする油圧に保持
されると共に、上記サーボアプライ圧の制御による2−
4ブレーキ54のスリップによってタービン回転数Nt
が変速後の回転数Nt0に近い値まで上昇した時点で、
この作動圧は所定値まで上昇されて、フォワードクラッ
チ51が締結し、かつ2−4ブレーキが完全に解放す
る。その場合に、該フォワードクラッチ圧及びサーボリ
リース圧は、予め締結直前あるいは解放直前の圧力まで
上昇されているから、フォワードクラッチ51及び2−
4ブレーキは、応答遅れを生ずることなく速やかに締結
又は解放されて摩擦要素の掛け替えが行なわれることに
なる。
前回転数まで上昇した時点で、ステップS146,14
7に従って、デューティ率を一定割合で0%まで減少さ
せる。これにより、フォワードクラッチ圧及びサーボリ
リース圧は、図47に符号ツで示すように、サーボアプ
ライ圧の制御中、フォワードクラッチ51を締結直前な
いし2−4ブレーキを解放直前の状態とする油圧に保持
されると共に、上記サーボアプライ圧の制御による2−
4ブレーキ54のスリップによってタービン回転数Nt
が変速後の回転数Nt0に近い値まで上昇した時点で、
この作動圧は所定値まで上昇されて、フォワードクラッ
チ51が締結し、かつ2−4ブレーキが完全に解放す
る。その場合に、該フォワードクラッチ圧及びサーボリ
リース圧は、予め締結直前あるいは解放直前の圧力まで
上昇されているから、フォワードクラッチ51及び2−
4ブレーキは、応答遅れを生ずることなく速やかに締結
又は解放されて摩擦要素の掛け替えが行なわれることに
なる。
【0246】ただし、このとき、フォワードクラッチ5
1及び2−4ブレーキがそれぞれ最終動作直前の状態に
保持されていたとしても、2−4ブレーキは、サーボリ
リース圧の僅かな立ち上がりで解放動作に入るのに対し
て、フォワードクラッチ51では、そのピストンが充分
にストロークしなければ締結できないので、上記ステッ
プS146,147で第3DSV123のデューティ率
を一定割合で0%まで減少させたときに、どうしても2
−4ブレーキの解放が先に行なわれて、エンジンの空吹
きが発生する場合がある。
1及び2−4ブレーキがそれぞれ最終動作直前の状態に
保持されていたとしても、2−4ブレーキは、サーボリ
リース圧の僅かな立ち上がりで解放動作に入るのに対し
て、フォワードクラッチ51では、そのピストンが充分
にストロークしなければ締結できないので、上記ステッ
プS146,147で第3DSV123のデューティ率
を一定割合で0%まで減少させたときに、どうしても2
−4ブレーキの解放が先に行なわれて、エンジンの空吹
きが発生する場合がある。
【0247】そこで、かかる不具合に対処するものとし
て、図54に示すように、ステップS144でYESの
場合は、まずステップS146a,S146bで、サー
ボリリース圧がサーボアプライ圧と等しくなるまで、該
サーボリリース圧(フォワードクラッチ圧)をいったん
急増させた後、ステップS146c,S147aで、サ
ーボリリース圧を緩やかに増加させるように第3DSV
123のデューティ率を制御すればよい。こうすること
により、フォワードクラッチ51のピストンが未だスト
ローク中に、2−4ブレーキが解放されることがなく、
フォワードクラッチ51が締結され始める時点と、2−
4ブレーキの解放時点とが略一致するようになる。
て、図54に示すように、ステップS144でYESの
場合は、まずステップS146a,S146bで、サー
ボリリース圧がサーボアプライ圧と等しくなるまで、該
サーボリリース圧(フォワードクラッチ圧)をいったん
急増させた後、ステップS146c,S147aで、サ
ーボリリース圧を緩やかに増加させるように第3DSV
123のデューティ率を制御すればよい。こうすること
により、フォワードクラッチ51のピストンが未だスト
ローク中に、2−4ブレーキが解放されることがなく、
フォワードクラッチ51が締結され始める時点と、2−
4ブレーキの解放時点とが略一致するようになる。
【0248】(1−5)タービン回転数のフィードバッ
ク制御の開始判定 前述したように、タービン回転数のフィードバック制御
は、2−4ブレーキに対するサーボアプライ圧が低下し
て該2−4ブレーキがスリップをし始め、その結果ター
ビン回転数Ntが上昇を開始した時点から行なわれる。
そして、一般に、このフィードバック制御を開始するた
めの判定は、前述のタービン回転センサ305でタービ
ン回転数Ntを検出して、その変化率dNtが所定値よ
り大きくなった時点を検出することにより行なわれる。
ク制御の開始判定 前述したように、タービン回転数のフィードバック制御
は、2−4ブレーキに対するサーボアプライ圧が低下し
て該2−4ブレーキがスリップをし始め、その結果ター
ビン回転数Ntが上昇を開始した時点から行なわれる。
そして、一般に、このフィードバック制御を開始するた
めの判定は、前述のタービン回転センサ305でタービ
ン回転数Ntを検出して、その変化率dNtが所定値よ
り大きくなった時点を検出することにより行なわれる。
【0249】しかし、このような判定方法だけでは、実
際に2−4ブレーキのスリップによってタービン回転数
Ntが上昇を開始したのか否かが判定できず、フィード
バック制御を誤った時期に開始して変速制御を混乱させ
ることが考えられる。
際に2−4ブレーキのスリップによってタービン回転数
Ntが上昇を開始したのか否かが判定できず、フィード
バック制御を誤った時期に開始して変速制御を混乱させ
ることが考えられる。
【0250】すなわち、図2に示すように、タービン回
転センサ305は変速機ケース11に取り付けられてい
るから、エンジンのスロットル開度を急激に増大させた
場合に、該エンジン及び変速機のローリングにより、タ
ービンシャフト27に対してその回転方向と逆方向に相
対回転することになる。したがって、該センサ305に
よって検出されるタービン回転数Ntは、実際のタービ
ンシャフト27の回転数に上記の相対回転の回転数を加
えた値となり、その結果、図55に符号テで示すよう
に、タービン回転数Ntが見掛けのうえで上昇し、ター
ビン回転変化率dNtが一時的に大きくなる。そして、
この現象が変速指令の出力直後に発生するため、図中符
号チで示すように、実際に2−4ブレーキのスリップに
よってタービン回転数Ntが上昇を開始する時期よりも
早い時期にタービン回転数Ntが上昇し始めたものと誤
って判定されることになるのである。
転センサ305は変速機ケース11に取り付けられてい
るから、エンジンのスロットル開度を急激に増大させた
場合に、該エンジン及び変速機のローリングにより、タ
ービンシャフト27に対してその回転方向と逆方向に相
対回転することになる。したがって、該センサ305に
よって検出されるタービン回転数Ntは、実際のタービ
ンシャフト27の回転数に上記の相対回転の回転数を加
えた値となり、その結果、図55に符号テで示すよう
に、タービン回転数Ntが見掛けのうえで上昇し、ター
ビン回転変化率dNtが一時的に大きくなる。そして、
この現象が変速指令の出力直後に発生するため、図中符
号チで示すように、実際に2−4ブレーキのスリップに
よってタービン回転数Ntが上昇を開始する時期よりも
早い時期にタービン回転数Ntが上昇し始めたものと誤
って判定されることになるのである。
【0251】そこで、この実施の形態においては、特に
この問題を回避してフィードバック制御の開始時期を正
確に判定するための制御が行われる。
この問題を回避してフィードバック制御の開始時期を正
確に判定するための制御が行われる。
【0252】この制御は図56にフローチャートを示す
プログラムに従って行われ、まず、ステップS151
で、タービン回転変化率dNtが所定値K12を超えた
か否かを判定する。この判定は、本来は、図55に符号
チで示すタービン回転数Ntの上昇開始時期を判定する
ためのものであるが、この判定だけでは、符号テで示す
見掛けのうえでのタービン回転数Ntの上昇を、2−4
ブレーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇の
開始と誤判定するおそれがある。
プログラムに従って行われ、まず、ステップS151
で、タービン回転変化率dNtが所定値K12を超えた
か否かを判定する。この判定は、本来は、図55に符号
チで示すタービン回転数Ntの上昇開始時期を判定する
ためのものであるが、この判定だけでは、符号テで示す
見掛けのうえでのタービン回転数Ntの上昇を、2−4
ブレーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇の
開始と誤判定するおそれがある。
【0253】そこで、dNt>K12と判定した場合、
次にステップS152で、変速指令の出力後、所定時間
T13が経過したか否かを判定する。そして、上記のよ
うな回転上昇の検出が、変速指令の出力後、所定時間T
13が経過してからのものである場合にのみ、2−4ブ
レーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇が開
始されたものとして、ステップS153で、フィードバ
ックフラグFfをフィードバック制御開始条件の成立を
示す1にセットする。これにより、図51のプログラム
におけるステップS135で、目標タービン回転数Nt
i0に対する実タービン回転数Ntの偏差Dnに応じた
フィードバック油圧Pfbが算出されて、上昇中のター
ビン回転数Ntを目標タービン回転数Nti0に一致さ
せるフィードバック制御が開始することになる。ここ
で、上記所定時間T13は、図47に示すサーボアプラ
イ圧の制御が開始されるまでの所定時間T11よりも長
い時間に設定される。
次にステップS152で、変速指令の出力後、所定時間
T13が経過したか否かを判定する。そして、上記のよ
うな回転上昇の検出が、変速指令の出力後、所定時間T
13が経過してからのものである場合にのみ、2−4ブ
レーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇が開
始されたものとして、ステップS153で、フィードバ
ックフラグFfをフィードバック制御開始条件の成立を
示す1にセットする。これにより、図51のプログラム
におけるステップS135で、目標タービン回転数Nt
i0に対する実タービン回転数Ntの偏差Dnに応じた
フィードバック油圧Pfbが算出されて、上昇中のター
ビン回転数Ntを目標タービン回転数Nti0に一致さ
せるフィードバック制御が開始することになる。ここ
で、上記所定時間T13は、図47に示すサーボアプラ
イ圧の制御が開始されるまでの所定時間T11よりも長
い時間に設定される。
【0254】これによって、変速指令の出力直後に発生
するエンジン及び変速機のローリングに伴うタービン回
転数Ntの見掛けのうえでの上昇をフィードバック制御
の開始条件が満足されたものとして誤判定することが回
避され、該フィードバック制御が正しい時期に開始され
ることになる。
するエンジン及び変速機のローリングに伴うタービン回
転数Ntの見掛けのうえでの上昇をフィードバック制御
の開始条件が満足されたものとして誤判定することが回
避され、該フィードバック制御が正しい時期に開始され
ることになる。
【0255】なお、上記ステップS151によるタービ
ン回転変化率dNtに関する条件、及びステップS15
2による変速指令出力後の経過時間に関する条件のいず
れか一方もしくは両方が成立していない場合は、ステッ
プS154で、変速指令の出力時にセットされたバック
アップタイマの設定時間T14が経過したか否かが判定
され、この設定時間T14が経過した場合には、上記ス
テップS153でフィードバックフラグFfを1にセッ
トする。
ン回転変化率dNtに関する条件、及びステップS15
2による変速指令出力後の経過時間に関する条件のいず
れか一方もしくは両方が成立していない場合は、ステッ
プS154で、変速指令の出力時にセットされたバック
アップタイマの設定時間T14が経過したか否かが判定
され、この設定時間T14が経過した場合には、上記ス
テップS153でフィードバックフラグFfを1にセッ
トする。
【0256】つまり、例えばこの4−3変速時の場合に
おいて、変速指令の出力後、所定時間T11が経過した
時点で供給されるサーボアプライ圧のベース油圧Pbが
高かったため、2−4ブレーキ54の解放動作が緩やか
すぎた場合等には、タービン回転変化率dNtが所定値
K12よりも大きくならないこともあり得るので、この
ような場合には、バックアップタイマで別に設定した時
間T14が経過すれば直ちにフィードバック制御を開始
するのである。
おいて、変速指令の出力後、所定時間T11が経過した
時点で供給されるサーボアプライ圧のベース油圧Pbが
高かったため、2−4ブレーキ54の解放動作が緩やか
すぎた場合等には、タービン回転変化率dNtが所定値
K12よりも大きくならないこともあり得るので、この
ような場合には、バックアップタイマで別に設定した時
間T14が経過すれば直ちにフィードバック制御を開始
するのである。
【0257】一方、ステップS151及びステップS1
52の少なくとも一方の条件が成立しておらず、かつ、
ステップS154の条件も成立していないときには、ス
テップS155で、上記フィードバックフラグFfが0
とされ、図51のプログラムにおけるステップS132
で、フィードバック油圧Pfbが0に保持されることに
なる。
52の少なくとも一方の条件が成立しておらず、かつ、
ステップS154の条件も成立していないときには、ス
テップS155で、上記フィードバックフラグFfが0
とされ、図51のプログラムにおけるステップS132
で、フィードバック油圧Pfbが0に保持されることに
なる。
【0258】(1−6)プリチャージ期間の設定 次に、図46のプログラムのステップS102、及び図
53(図54)のプログラムのステップS142でそれ
ぞれ値が判定されるプリチャージフラグFpの設定、す
なわちプリチャージ期間の設定制御について説明する。
53(図54)のプログラムのステップS142でそれ
ぞれ値が判定されるプリチャージフラグFpの設定、す
なわちプリチャージ期間の設定制御について説明する。
【0259】なお、この制御についてはすでにアップシ
フトの項で説明したが、このダウンシフトの4−3変速
の場合の動作を説明するため、前述の図32ないし図3
4を参照して追加説明することとする。
フトの項で説明したが、このダウンシフトの4−3変速
の場合の動作を説明するため、前述の図32ないし図3
4を参照して追加説明することとする。
【0260】この種の自動変速機において、変速時に油
圧制御回路で生成された作動圧を摩擦要素の油圧室ない
し締結室又は解放室に供給することにより該摩擦要素を
締結しもしくは解放する場合、変速指令の出力後、直ち
に作動圧を生成して当該摩擦要素の油圧室に供給するよ
うにしても、当初は油圧制御回路から摩擦要素の油圧室
に至る油路内に作動油が存在していないため、摩擦要素
の油圧室内では油圧が直ちに上昇せず、該摩擦要素の締
結動作もしくは解放動作が遅れるといった問題が生じ
る。
圧制御回路で生成された作動圧を摩擦要素の油圧室ない
し締結室又は解放室に供給することにより該摩擦要素を
締結しもしくは解放する場合、変速指令の出力後、直ち
に作動圧を生成して当該摩擦要素の油圧室に供給するよ
うにしても、当初は油圧制御回路から摩擦要素の油圧室
に至る油路内に作動油が存在していないため、摩擦要素
の油圧室内では油圧が直ちに上昇せず、該摩擦要素の締
結動作もしくは解放動作が遅れるといった問題が生じ
る。
【0261】そこで、変速指令が出力されたときに、当
該摩擦要素に対する作動圧の供給を制御するデューティ
ソレノイドバルブ等の油圧制御バルブを所定時間だけ全
開状態とし、該摩擦要素の油圧室に至る油路に作動油を
速やかに充填させる制御を行うことがあり、これをプリ
チャージ制御と称している。このような制御を行なうこ
とにより、変速動作の応答遅れが解消されることにな
る。
該摩擦要素に対する作動圧の供給を制御するデューティ
ソレノイドバルブ等の油圧制御バルブを所定時間だけ全
開状態とし、該摩擦要素の油圧室に至る油路に作動油を
速やかに充填させる制御を行うことがあり、これをプリ
チャージ制御と称している。このような制御を行なうこ
とにより、変速動作の応答遅れが解消されることにな
る。
【0262】この油圧制御回路100においては、プリ
チャージ期間の設定制御が上記コントローラ300によ
り図32のプログラムに従って行われる。このプログラ
ムは変速指令が出力されたときに図53の第3DSV1
23の制御プログラム等と並行して実行され、まず、ス
テップS61で、イニシャライズとしてトータル流量Q
tを0とし、次いで、ステップS62で、図33に示す
ように設定されたマップに基づいて、その時点のライン
圧から第3DSV123を全開(デューティ率0%)と
したときの該DSV123を通過するベース流量Qを求
める。その場合に、上記マップには、ライン圧が高いほ
どベース流量Qが多くなるように設定されているが、こ
れは、第3DSV123が全開であっても、これを通過
する作動油の流量Qはそのときのライン圧によって変化
し、ライン圧が高いほど該流量Qも多くなるからであ
る。
チャージ期間の設定制御が上記コントローラ300によ
り図32のプログラムに従って行われる。このプログラ
ムは変速指令が出力されたときに図53の第3DSV1
23の制御プログラム等と並行して実行され、まず、ス
テップS61で、イニシャライズとしてトータル流量Q
tを0とし、次いで、ステップS62で、図33に示す
ように設定されたマップに基づいて、その時点のライン
圧から第3DSV123を全開(デューティ率0%)と
したときの該DSV123を通過するベース流量Qを求
める。その場合に、上記マップには、ライン圧が高いほ
どベース流量Qが多くなるように設定されているが、こ
れは、第3DSV123が全開であっても、これを通過
する作動油の流量Qはそのときのライン圧によって変化
し、ライン圧が高いほど該流量Qも多くなるからであ
る。
【0263】次に、ステップS63で、図34に示すよ
うに設定されたマップから油温補正係数K5を読み取
る。この油温補正係数のマップでは、油温が低くなるに
従って補正係数K5が1より小さくなるように設定され
ている。そして、ステップS64で、上記ベース流量Q
に補正係数K5を乗算することにより流量の補正値Qx
(Q×K5)を求める。これにより、作動油の温度が低
く、従って粘度が高いために、同じライン圧であっても
バルブ通過流量が標準的な環境条件のときよりも減少す
る場合に、その実情に合せて算出される流量も減少さ
れ、常に実際の流量に適合したベース流量Q(補正流量
Qx)が算出されることになる。
うに設定されたマップから油温補正係数K5を読み取
る。この油温補正係数のマップでは、油温が低くなるに
従って補正係数K5が1より小さくなるように設定され
ている。そして、ステップS64で、上記ベース流量Q
に補正係数K5を乗算することにより流量の補正値Qx
(Q×K5)を求める。これにより、作動油の温度が低
く、従って粘度が高いために、同じライン圧であっても
バルブ通過流量が標準的な環境条件のときよりも減少す
る場合に、その実情に合せて算出される流量も減少さ
れ、常に実際の流量に適合したベース流量Q(補正流量
Qx)が算出されることになる。
【0264】さらに、ステップS65で、この補正流量
Qxを前述の式40に従って積算し、制御開始時から現
時点までのトータル流量Qtを算出する。
Qxを前述の式40に従って積算し、制御開始時から現
時点までのトータル流量Qtを算出する。
【0265】次に、ステップS66で、このトータル流
量Qtが所定値K6を超えたか否かを判定し、この所定
値K6を超えるまでは、ステップS67でプリチャージ
フラグFpを1にセットすると共に、所定値K6を超え
た時点で、ステップS68で該フラグFpを0にリセッ
トする。
量Qtが所定値K6を超えたか否かを判定し、この所定
値K6を超えるまでは、ステップS67でプリチャージ
フラグFpを1にセットすると共に、所定値K6を超え
た時点で、ステップS68で該フラグFpを0にリセッ
トする。
【0266】その場合に、上記所定値K6は、油圧制御
回路100における当該バルブから当該摩擦要素の油圧
室に至る油路(この4−3変速時にあっては、第3DS
V123からライン228、ロックアップコントロール
バルブ106を介してフォワードクラッチ51の油圧室
に至る油路、及びさらにライン220、3−4シフトバ
ルブ105を介して2−4ブレーキ54の解放室54b
に至る油路)の容積に対応した値に設定されている。し
たがって、Q>K6となった時点で上記油路が作動油で
充満されたことになり、この時点でプリチャージ制御を
終了させるために上記フラグFpを0にするのである。
回路100における当該バルブから当該摩擦要素の油圧
室に至る油路(この4−3変速時にあっては、第3DS
V123からライン228、ロックアップコントロール
バルブ106を介してフォワードクラッチ51の油圧室
に至る油路、及びさらにライン220、3−4シフトバ
ルブ105を介して2−4ブレーキ54の解放室54b
に至る油路)の容積に対応した値に設定されている。し
たがって、Q>K6となった時点で上記油路が作動油で
充満されたことになり、この時点でプリチャージ制御を
終了させるために上記フラグFpを0にするのである。
【0267】そして、このようにして設定されたプリチ
ャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、すなわち
プリチャージ期間の間は、図53のプログラムにおける
ステップS143で、第3DSV123のデューティ率
を0%にする制御が行われることにより、上記フォワー
ドクラッチ51の油圧室に至る油路、及び2−4ブレー
キ54の解放室54bに至る油路が作動油で速やかに充
満されることになる。
ャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、すなわち
プリチャージ期間の間は、図53のプログラムにおける
ステップS143で、第3DSV123のデューティ率
を0%にする制御が行われることにより、上記フォワー
ドクラッチ51の油圧室に至る油路、及び2−4ブレー
キ54の解放室54bに至る油路が作動油で速やかに充
満されることになる。
【0268】ここで、このプリチャージ期間の算出の基
礎となるベース流量Qは、前述のように、その時点のラ
イン圧に基づいて設定されるから、例えばライン圧が高
いため一定量の作動油が比較的短時間で供給される場合
や、これとは逆に、ライン圧が低いため、一定量の作動
油が供給されるのに要する時間が長くなる場合のいずれ
においても、常に、実際に油路が作動油で充満された時
期にプリチャージ制御が終了することになる。
礎となるベース流量Qは、前述のように、その時点のラ
イン圧に基づいて設定されるから、例えばライン圧が高
いため一定量の作動油が比較的短時間で供給される場合
や、これとは逆に、ライン圧が低いため、一定量の作動
油が供給されるのに要する時間が長くなる場合のいずれ
においても、常に、実際に油路が作動油で充満された時
期にプリチャージ制御が終了することになる。
【0269】また、油温が低いために常温時に比べて作
動油の充満に長い時間が費やされる場合においても、そ
れに応じた補正が行われるので、この場合も、プリチャ
ージ制御の終了時期が、実際に油路に作動油が充満され
た時期に精度よく対応することになる。
動油の充満に長い時間が費やされる場合においても、そ
れに応じた補正が行われるので、この場合も、プリチャ
ージ制御の終了時期が、実際に油路に作動油が充満され
た時期に精度よく対応することになる。
【0270】(1−7)低油温時における第1DSV1
21の制御開始の遅延 図32に示すプリチャージ期間の設定制御においては、
ステップS63で油温が低いほど1より小さい値の補正
係数K5が読み取られ、ステップS64でこの補正係数
K5の値がベース流量Qに乗算されて補正流量Qxが求
められ、そしてステップS65でこの補正流量Qxが1
制御サイクル毎に積算されてトータル流量Qtが算出さ
れるので、変速指令が出力されたときから同じ時間が経
過しても、低油温時はトータル流量Qtが少なく算出さ
れ、その結果として、ステップS66からS67に進ん
でプリチャージフラグFpが1とされるまでの時間、す
なわちプリチャージ期間が長くなる。
21の制御開始の遅延 図32に示すプリチャージ期間の設定制御においては、
ステップS63で油温が低いほど1より小さい値の補正
係数K5が読み取られ、ステップS64でこの補正係数
K5の値がベース流量Qに乗算されて補正流量Qxが求
められ、そしてステップS65でこの補正流量Qxが1
制御サイクル毎に積算されてトータル流量Qtが算出さ
れるので、変速指令が出力されたときから同じ時間が経
過しても、低油温時はトータル流量Qtが少なく算出さ
れ、その結果として、ステップS66からS67に進ん
でプリチャージフラグFpが1とされるまでの時間、す
なわちプリチャージ期間が長くなる。
【0271】これにより、低油温時で粘度が高く、作動
油の流動性が低くなって、常温時に比べて作動油の供給
に時間が長く費やされる場合であっても、第3DSV1
23からフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路、
及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確
実に作動油が充満されることになる。
油の流動性が低くなって、常温時に比べて作動油の供給
に時間が長く費やされる場合であっても、第3DSV1
23からフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路、
及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確
実に作動油が充満されることになる。
【0272】一方、図53(図54)に示す第3DSV
123の制御プログラムにおいては、フォワードクラッ
チ圧ないしサーボリリース圧は、このようなプリチャー
ジ期間の終了後に、一旦フォワードクラッチ51のスプ
リング相当圧に維持されて該クラッチ51を締結直前及
び2−4ブレーキ54を解放直前の状態で保持したの
ち、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇
した時点で所定値まで上昇されて、フォワードクラッチ
51を完全に締結させ、また2−4ブレーキ54を完全
に解放する。
123の制御プログラムにおいては、フォワードクラッ
チ圧ないしサーボリリース圧は、このようなプリチャー
ジ期間の終了後に、一旦フォワードクラッチ51のスプ
リング相当圧に維持されて該クラッチ51を締結直前及
び2−4ブレーキ54を解放直前の状態で保持したの
ち、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇
した時点で所定値まで上昇されて、フォワードクラッチ
51を完全に締結させ、また2−4ブレーキ54を完全
に解放する。
【0273】したがって、作動油の温度が極めて低く、
その結果としてプリチャージ期間が大幅に長くなり、例
えば図47においてタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇した後、所定時間T12が経過してもな
おプリチャージ期間中であるような場合には、先に第1
DSV121のデューティ率が0%に戻されて、2−4
ブレーキ54が再び締結状態に復帰し、ショックが発生
することになる。
その結果としてプリチャージ期間が大幅に長くなり、例
えば図47においてタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇した後、所定時間T12が経過してもな
おプリチャージ期間中であるような場合には、先に第1
DSV121のデューティ率が0%に戻されて、2−4
ブレーキ54が再び締結状態に復帰し、ショックが発生
することになる。
【0274】そこで、この実施の形態に係るコントロー
ラ300は、かかる不具合に対処するために、前述の図
46に示す第1DSV121の制御プログラムにおい
て、4−3変速指令が出力されたときにはまずステップ
S101で油温をチェックし、油温が標準的な常温時で
ある場合には、プリチャージ期間がそれ程大幅に長くな
らないのであるから直ちにステップS103以下に進ん
で、サーボアプライ圧の制御を開始する一方で、油温が
極めて低い場合には、ステップS102でプリチャージ
期間の終了を待ってから、サーボアプライ圧の制御を開
始するのである。そして、これに対して、前述の図53
に示す第3DSV123の制御プログラムにおいては、
4−3変速指令が出力されたときには、油温にかかわら
ず常に直ちにプリチャージを開始するのである。
ラ300は、かかる不具合に対処するために、前述の図
46に示す第1DSV121の制御プログラムにおい
て、4−3変速指令が出力されたときにはまずステップ
S101で油温をチェックし、油温が標準的な常温時で
ある場合には、プリチャージ期間がそれ程大幅に長くな
らないのであるから直ちにステップS103以下に進ん
で、サーボアプライ圧の制御を開始する一方で、油温が
極めて低い場合には、ステップS102でプリチャージ
期間の終了を待ってから、サーボアプライ圧の制御を開
始するのである。そして、これに対して、前述の図53
に示す第3DSV123の制御プログラムにおいては、
4−3変速指令が出力されたときには、油温にかかわら
ず常に直ちにプリチャージを開始するのである。
【0275】これにより、図57に示すように、低油温
時で、フォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧の
プリチャージの立ち上がりが遅く、プリチャージ期間が
大幅に長くなるような場合には、第1DSV121の制
御が、符号T15で示すようにこのプリチャージ期間中
は遅延され、該プリチャージ期間が終了してから、すな
わちフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路及び2
−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確実に作
動油が充満されて、フォワードクラッチ51が締結直前
の状態、ないし2−4ブレーキ54が解放直前の状態に
保持された時点から開始されるので、上記第1DSV1
21の制御によってタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇した時点には、必ずフォワードクラッチ
51が締結直前の状態、ないし2−4ブレーキ54が解
放直前の状態に保持されていることになり、2−4ブレ
ーキ54の締結室54aに対するサーボアプライ圧の上
昇よりも先に、フォワードクラッチ51が締結され、か
つ2−4ブレーキ54が解放されて、円滑に3速への変
速が行なわれることになる。
時で、フォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧の
プリチャージの立ち上がりが遅く、プリチャージ期間が
大幅に長くなるような場合には、第1DSV121の制
御が、符号T15で示すようにこのプリチャージ期間中
は遅延され、該プリチャージ期間が終了してから、すな
わちフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路及び2
−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確実に作
動油が充満されて、フォワードクラッチ51が締結直前
の状態、ないし2−4ブレーキ54が解放直前の状態に
保持された時点から開始されるので、上記第1DSV1
21の制御によってタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇した時点には、必ずフォワードクラッチ
51が締結直前の状態、ないし2−4ブレーキ54が解
放直前の状態に保持されていることになり、2−4ブレ
ーキ54の締結室54aに対するサーボアプライ圧の上
昇よりも先に、フォワードクラッチ51が締結され、か
つ2−4ブレーキ54が解放されて、円滑に3速への変
速が行なわれることになる。
【0276】なお、この実施の形態においては、前述し
たように、当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能
性の大きい3−2変速もしくは3−4変速時の動作を考
慮して、第1DSV121のデューティ率を最終的に0
%に戻し、サーボアプライ圧を2−4ブレーキ54の解
放室54bに供給した状態に存置しておくようになって
いるために、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長く
なったときには、該2−4ブレーキ54が先に締結状態
に復帰してショックが発生することになるのであるが、
単に、この4−3変速を達成するだけであれば、第1D
SV121のデューティ率を最終的に100%にしてサ
ーボアプライ圧をドレンしてもよいのである。この場合
には、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長くなった
ときには、フォワードクラッチ51の締結よりも先に2
−4ブレーキ54が解放されることになり、その結果エ
ンジンが吹き上がるという不具合が発生する。そして、
このとき第1DSV121の制御開始を遅延させること
によって、このエンジンの吹き上りの問題が解消される
ことになる。
たように、当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能
性の大きい3−2変速もしくは3−4変速時の動作を考
慮して、第1DSV121のデューティ率を最終的に0
%に戻し、サーボアプライ圧を2−4ブレーキ54の解
放室54bに供給した状態に存置しておくようになって
いるために、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長く
なったときには、該2−4ブレーキ54が先に締結状態
に復帰してショックが発生することになるのであるが、
単に、この4−3変速を達成するだけであれば、第1D
SV121のデューティ率を最終的に100%にしてサ
ーボアプライ圧をドレンしてもよいのである。この場合
には、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長くなった
ときには、フォワードクラッチ51の締結よりも先に2
−4ブレーキ54が解放されることになり、その結果エ
ンジンが吹き上がるという不具合が発生する。そして、
このとき第1DSV121の制御開始を遅延させること
によって、このエンジンの吹き上りの問題が解消される
ことになる。
【0277】また、この実施の形態においては、低油温
時には第1DSV121の制御全体を時間的に遅くずら
すようにしたが、この第1DSV121の制御を第3D
SV123の制御と同じく油温にかかわらず変速指令の
出力後に直ちに開始したうえで、該第1DSV121の
制御ゲインを油温に応じて変化させて低油温時にはター
ビン回転数Ntの上昇速度を緩やかにするようにしても
よい。
時には第1DSV121の制御全体を時間的に遅くずら
すようにしたが、この第1DSV121の制御を第3D
SV123の制御と同じく油温にかかわらず変速指令の
出力後に直ちに開始したうえで、該第1DSV121の
制御ゲインを油温に応じて変化させて低油温時にはター
ビン回転数Ntの上昇速度を緩やかにするようにしても
よい。
【0278】さらに、同じく、第1DSV121の制御
を油温にかかわらず変速指令の出力後に直ちに開始した
うえで、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数ある
いは変速後の回転数Nt0まで上昇した時点でプリチャ
ージフラグFpの値を判定して、該フラグFpが1のと
きは0にリセットされるまでタービン回転数Ntを上記
変速終了直前回転数あるいは変速後の回転数Nt0に保
持し、上記フラグFpが0にリセットされてから、もし
くはさらに所定時間T12が経過した後に、サーボアプ
ライ圧を供給またはドレンするようにしてもよい。
を油温にかかわらず変速指令の出力後に直ちに開始した
うえで、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数ある
いは変速後の回転数Nt0まで上昇した時点でプリチャ
ージフラグFpの値を判定して、該フラグFpが1のと
きは0にリセットされるまでタービン回転数Ntを上記
変速終了直前回転数あるいは変速後の回転数Nt0に保
持し、上記フラグFpが0にリセットされてから、もし
くはさらに所定時間T12が経過した後に、サーボアプ
ライ圧を供給またはドレンするようにしてもよい。
【0279】(1−8)フィードバック制御開始時にお
けるベース油圧Pbの補正 この4−3変速においては、変速動作中に第1DSV1
21でサーボアプライ圧を制御して、タービン回転数N
tを所定の目標回転数Nti0に一致させるようにフィ
ードバック制御するのであるが、このフィードバック制
御開始時点において目標となる算出油圧Psの初期値が
適切に設定されていないと、その後のフィードバック制
御が良好に行なわれなくなる場合が生じる。
けるベース油圧Pbの補正 この4−3変速においては、変速動作中に第1DSV1
21でサーボアプライ圧を制御して、タービン回転数N
tを所定の目標回転数Nti0に一致させるようにフィ
ードバック制御するのであるが、このフィードバック制
御開始時点において目標となる算出油圧Psの初期値が
適切に設定されていないと、その後のフィードバック制
御が良好に行なわれなくなる場合が生じる。
【0280】すなわち、前述したように、第1DSV1
21についての算出油圧Psはベース油圧Pbとフィー
ドバック油圧Pfbとを加算したものであり、この算出
油圧Psが実現するように第1DSV121のデューテ
ィ率が制御される。そして、その場合に、フィードバッ
ク制御が開始されるまではフィードバック油圧Pfbが
0とされるので、ベース油圧Pbに相当する一定値の算
出油圧Psが出力され、これにより2−4ブレーキ54
の解放動作が始まることになるが、上記ベース油圧Pb
は変動の激しいタービントルクを考慮して算出されるた
めにその設定に誤差が生じ易い。もちろん、この誤差
は、その後のタービン回転数Ntのフィードバック制御
中に打ち消されるのであるが、無視できない程度の誤差
も生じ得るのである。
21についての算出油圧Psはベース油圧Pbとフィー
ドバック油圧Pfbとを加算したものであり、この算出
油圧Psが実現するように第1DSV121のデューテ
ィ率が制御される。そして、その場合に、フィードバッ
ク制御が開始されるまではフィードバック油圧Pfbが
0とされるので、ベース油圧Pbに相当する一定値の算
出油圧Psが出力され、これにより2−4ブレーキ54
の解放動作が始まることになるが、上記ベース油圧Pb
は変動の激しいタービントルクを考慮して算出されるた
めにその設定に誤差が生じ易い。もちろん、この誤差
は、その後のタービン回転数Ntのフィードバック制御
中に打ち消されるのであるが、無視できない程度の誤差
も生じ得るのである。
【0281】その結果、(1−5)で指摘したように、
この4−3変速時の場合において、例えば、変速指令の
出力後、所定時間T11が経過した時点で出力される算
出油圧Ps、つまりベース油圧Pbが高すぎると、この
状態でフィードバック制御が開始されたときは、フィー
ドバック制御の開始時におけるこの算出油圧Psを低く
する方向の動作の遅れのために、2−4ブレーキ54の
解放動作が緩やかとなってイナーシャフェーズの時間が
長くなってしまい、良好な変速フィーリングが得られな
いのである。
この4−3変速時の場合において、例えば、変速指令の
出力後、所定時間T11が経過した時点で出力される算
出油圧Ps、つまりベース油圧Pbが高すぎると、この
状態でフィードバック制御が開始されたときは、フィー
ドバック制御の開始時におけるこの算出油圧Psを低く
する方向の動作の遅れのために、2−4ブレーキ54の
解放動作が緩やかとなってイナーシャフェーズの時間が
長くなってしまい、良好な変速フィーリングが得られな
いのである。
【0282】そこで、この実施の形態においては、なる
べく早い時期、すなわちフィードバック制御が開始して
タービン回転数が上昇し始めた時点で、その時の実油圧
と、設定した目標油圧、つまりベース油圧Pbとが一致
しているかどうかを検出し、一致していないときには、
その偏差によってベース油圧Pbを初期の段階で一回だ
け補正することにより、それ以後のフィードバック制御
を良好に行わせるようになっている。
べく早い時期、すなわちフィードバック制御が開始して
タービン回転数が上昇し始めた時点で、その時の実油圧
と、設定した目標油圧、つまりベース油圧Pbとが一致
しているかどうかを検出し、一致していないときには、
その偏差によってベース油圧Pbを初期の段階で一回だ
け補正することにより、それ以後のフィードバック制御
を良好に行わせるようになっている。
【0283】このフィードバック制御開始時におけるベ
ース油圧Pbの補正制御は図58に示すプログラムに従
って次のように行なわれる。なお、このプログラムは、
4−3変速指令が出力されて図46に示す第1DSV1
21の実体制御が開始したときに並行して実行され、該
プログラムのステップS103で算出されたベース油圧
Pbに補正量ofstを加えて補正するものである。こ
れにより、該ベース油圧Pbにフィードバック油圧Pf
bが加算されて求められる算出油圧Psが適正な値に是
正されることになる。
ース油圧Pbの補正制御は図58に示すプログラムに従
って次のように行なわれる。なお、このプログラムは、
4−3変速指令が出力されて図46に示す第1DSV1
21の実体制御が開始したときに並行して実行され、該
プログラムのステップS103で算出されたベース油圧
Pbに補正量ofstを加えて補正するものである。こ
れにより、該ベース油圧Pbにフィードバック油圧Pf
bが加算されて求められる算出油圧Psが適正な値に是
正されることになる。
【0284】まず、この制御は、ステップS171で実
油圧を推定することから始まる。すなわち、実際に2−
4ブレーキ54に対して作動しているサーボアプライ圧
の値を、例えば油圧センサ等を用いて検出することな
く、図46のプログラムにおける2回又は1回前の制御
サイクルで求められた算出油圧Ps[2],Ps
[1]、及びこの図58の補正プログラムにおける2回
又は1回前の制御サイクルで推定された油圧empo
[2],empo[1]から現在実際に供給されている
サーボアプライ圧empを精度よく推定するものであ
る。
油圧を推定することから始まる。すなわち、実際に2−
4ブレーキ54に対して作動しているサーボアプライ圧
の値を、例えば油圧センサ等を用いて検出することな
く、図46のプログラムにおける2回又は1回前の制御
サイクルで求められた算出油圧Ps[2],Ps
[1]、及びこの図58の補正プログラムにおける2回
又は1回前の制御サイクルで推定された油圧empo
[2],empo[1]から現在実際に供給されている
サーボアプライ圧empを精度よく推定するものであ
る。
【0285】この油圧の推定は、具体的には、次の式4
2から式45の順に、過去の算出油圧Ps[2],Ps
[1]、及び推定油圧empo[2],empo[1]
をそれぞれ更新したのち、これらの値から式46に従っ
て現在のサーボアプライ圧empを求める。
2から式45の順に、過去の算出油圧Ps[2],Ps
[1]、及び推定油圧empo[2],empo[1]
をそれぞれ更新したのち、これらの値から式46に従っ
て現在のサーボアプライ圧empを求める。
【0286】
【式42】
【0287】
【式43】
【0288】
【式44】
【0289】
【式45】
【0290】
【式46】 なお、ここで式46における各係数KN1,KN2,K
D1,KD2の値は、それぞれ、実際に油圧をセンシン
グして行なったモデル実験の結果から、得られる推定油
圧empが精度よく実油圧に一致するように設定された
ものである。
D1,KD2の値は、それぞれ、実際に油圧をセンシン
グして行なったモデル実験の結果から、得られる推定油
圧empが精度よく実油圧に一致するように設定された
ものである。
【0291】次いで、ステップS172で、4−3変速
指令が出力された後の1回目のサイクルであるか否かを
判定し、1回目であれば、ステップS173で、当該補
正プログラムにおける補正の進み状況を示すフラグFa
を0とする。
指令が出力された後の1回目のサイクルであるか否かを
判定し、1回目であれば、ステップS173で、当該補
正プログラムにおける補正の進み状況を示すフラグFa
を0とする。
【0292】因に、このように1回目の制御サイクルで
ある場合は、上記ステップS171で、推定油圧emp
は、KN1・Psと求められている。
ある場合は、上記ステップS171で、推定油圧emp
は、KN1・Psと求められている。
【0293】そして、次にステップS174で、上記状
況フラグFaが0か否かを判定し、0の場合は、ステッ
プS175で、補正量ofstを0にイニシャライズし
てからステップS176に進み、上記ステップS171
で求められた推定油圧empが、ベース油圧Pbに所定
の不感帯幅POを加算した値よりも小さいか否かを判定
する。また、ステップS177で、フィードバックフラ
グFfが1か否か、つまりタービン回転数Ntが上昇し
始めたか否かを判定する。その結果、両方の判定がいず
れもYESの場合は、次のステップS178で、上記状
況フラグFaを1としてからステップS179に進み、
一方、いずれかの判定がNOの場合にはリターンする。
すなわち、推定油圧empがベース油圧Pbよりも所定
量PO以上高く、あるいはまだタービン回転数Ntが上
昇を開始する前は、上記フラグFaが0のままで補正量
ofstが0に維持されることになる。
況フラグFaが0か否かを判定し、0の場合は、ステッ
プS175で、補正量ofstを0にイニシャライズし
てからステップS176に進み、上記ステップS171
で求められた推定油圧empが、ベース油圧Pbに所定
の不感帯幅POを加算した値よりも小さいか否かを判定
する。また、ステップS177で、フィードバックフラ
グFfが1か否か、つまりタービン回転数Ntが上昇し
始めたか否かを判定する。その結果、両方の判定がいず
れもYESの場合は、次のステップS178で、上記状
況フラグFaを1としてからステップS179に進み、
一方、いずれかの判定がNOの場合にはリターンする。
すなわち、推定油圧empがベース油圧Pbよりも所定
量PO以上高く、あるいはまだタービン回転数Ntが上
昇を開始する前は、上記フラグFaが0のままで補正量
ofstが0に維持されることになる。
【0294】そして、推定油圧empが低下して不感帯
幅POの範囲内でベース油圧Pbに近づき、かつタービ
ン回転数Ntが上昇を開始した後は、ステップS179
で、上記状況フラグFaが1か否かを判定し、1の場合
は、ステップS180で、該フラグFaを2にしたうえ
で次のステップS181に進み、推定油圧empがベー
ス油圧Pbよりも小さいか否かを判定し、その結果に応
じて、ステップS182又はステップS183で、補正
量ofstを求める。
幅POの範囲内でベース油圧Pbに近づき、かつタービ
ン回転数Ntが上昇を開始した後は、ステップS179
で、上記状況フラグFaが1か否かを判定し、1の場合
は、ステップS180で、該フラグFaを2にしたうえ
で次のステップS181に進み、推定油圧empがベー
ス油圧Pbよりも小さいか否かを判定し、その結果に応
じて、ステップS182又はステップS183で、補正
量ofstを求める。
【0295】なお、以降は、この状況フラグFaの値の
変更は行なわれず、2に維持されるので、次回から当該
プログラムに入った場合は、ステップS174からステ
ップS179を経てそのままリターンされる。つまり、
補正量ofstは、実油圧empがベース油圧Pb付近
まで低下した状態でタービン回転数Ntが上昇し始めた
直後、すなわちフィードバック制御開始直後に一度だけ
求められ、その結果、図46のステップS103で計算
されたベース油圧Pbが該補正量ofstで補正され、
ステップS105で求められる算出油圧Psが是正され
ることになる。
変更は行なわれず、2に維持されるので、次回から当該
プログラムに入った場合は、ステップS174からステ
ップS179を経てそのままリターンされる。つまり、
補正量ofstは、実油圧empがベース油圧Pb付近
まで低下した状態でタービン回転数Ntが上昇し始めた
直後、すなわちフィードバック制御開始直後に一度だけ
求められ、その結果、図46のステップS103で計算
されたベース油圧Pbが該補正量ofstで補正され、
ステップS105で求められる算出油圧Psが是正され
ることになる。
【0296】上記ステップS181における判定で、推
定油圧empがベース油圧Pbよりも小さい場合は、ス
テップS182に進んで、補正量ofstを次式47に
従って求める。
定油圧empがベース油圧Pbよりも小さい場合は、ス
テップS182に進んで、補正量ofstを次式47に
従って求める。
【0297】
【式47】 すなわち、この場合は、実際のサーボリリース圧emp
が、図46のステップS103で計算されて出力された
ベース油圧Pbよりも低い状態で2−4ブレーキ54が
スリップを開始したのであるから、換言すれば、ベース
油圧Pbが高い値に設定されていたのであるから、その
偏差分(emp−Pb)を補正して低くするのである。
が、図46のステップS103で計算されて出力された
ベース油圧Pbよりも低い状態で2−4ブレーキ54が
スリップを開始したのであるから、換言すれば、ベース
油圧Pbが高い値に設定されていたのであるから、その
偏差分(emp−Pb)を補正して低くするのである。
【0298】また、上記式47における項dNt・K1
4は次のような意味をもつ。すなわち、ベース油圧Pb
は2−4ブレーキ54を最初にスリップさせる油圧とし
て設定されるのであるから、この値Pbが適正に設定さ
れているかどうかをみるためには、該2−4ブレーキ5
4がスリップし始めた時点、換言すればタービン回転数
が上昇し始めた時点における実油圧と比較するのが本来
である。しかしながら、現実問題としては、タービン回
転数が上昇してからでないとそれを検出することができ
ないため、該タービン回転数の上昇を検出した時点にお
いては、油圧はすでにその間に低下しており、それを無
視して上記偏差(emp−Pb)だけを補正したのでは
実情に添わず、ベース油圧Pbを過剰に低く補正するこ
とになるのである。
4は次のような意味をもつ。すなわち、ベース油圧Pb
は2−4ブレーキ54を最初にスリップさせる油圧とし
て設定されるのであるから、この値Pbが適正に設定さ
れているかどうかをみるためには、該2−4ブレーキ5
4がスリップし始めた時点、換言すればタービン回転数
が上昇し始めた時点における実油圧と比較するのが本来
である。しかしながら、現実問題としては、タービン回
転数が上昇してからでないとそれを検出することができ
ないため、該タービン回転数の上昇を検出した時点にお
いては、油圧はすでにその間に低下しており、それを無
視して上記偏差(emp−Pb)だけを補正したのでは
実情に添わず、ベース油圧Pbを過剰に低く補正するこ
とになるのである。
【0299】そこで、この実施の形態においては、ター
ビン回転数が上昇し始めた時点における初期のタービン
回転変化率dNtに基づいて、検出までにすでに低下し
た油圧を算出し、この油圧分をベース油圧Pbに加える
ようにしているのである。これにより、ベース油圧Pb
はさらに適正な値に補正されて、以降のフィードバック
制御が良好に行なわれるようになる。
ビン回転数が上昇し始めた時点における初期のタービン
回転変化率dNtに基づいて、検出までにすでに低下し
た油圧を算出し、この油圧分をベース油圧Pbに加える
ようにしているのである。これにより、ベース油圧Pb
はさらに適正な値に補正されて、以降のフィードバック
制御が良好に行なわれるようになる。
【0300】なお、ここで、上記係数K14は、タービ
ン回転変化率dNtに対応するタービントルクを油圧に
換算する換算係数である。
ン回転変化率dNtに対応するタービントルクを油圧に
換算する換算係数である。
【0301】これに対し、上記ステップS181におけ
る判定で、推定油圧empがベース油圧Pbよりも小さ
くない場合、つまり一致しているか又は推定油圧emp
がベース油圧Pbよりも大きい場合は、ステップS18
3に進んで、補正量ofstを上記の検出遅れに基づく
油圧分dNt・K14だけとする。
る判定で、推定油圧empがベース油圧Pbよりも小さ
くない場合、つまり一致しているか又は推定油圧emp
がベース油圧Pbよりも大きい場合は、ステップS18
3に進んで、補正量ofstを上記の検出遅れに基づく
油圧分dNt・K14だけとする。
【0302】すなわち、推定油圧empとベース油圧P
bとが一致している場合であっても、上記のようにター
ビン回転数の上昇検出までの時間的なずれがあるので、
ベース油圧Pbに油圧分dNt・K14を加えて補正す
る。
bとが一致している場合であっても、上記のようにター
ビン回転数の上昇検出までの時間的なずれがあるので、
ベース油圧Pbに油圧分dNt・K14を加えて補正す
る。
【0303】一方、推定油圧empがベース油圧Pbよ
りも大きい場合、換言すれば、ベース油圧Pbが低い値
に設定されていた場合も、補正量ofstは上記油圧分
dNt・K14だけとし、偏差(emp−Pb)を加算
しない。これは、実油圧empの方が予測を超えて高か
ったのであるから、この状態でベース油圧Pbにさらに
偏差(emp−Pb)を加算すると、2−4ブレーキ5
4の解放動作が急となってショックが発生するからであ
る。
りも大きい場合、換言すれば、ベース油圧Pbが低い値
に設定されていた場合も、補正量ofstは上記油圧分
dNt・K14だけとし、偏差(emp−Pb)を加算
しない。これは、実油圧empの方が予測を超えて高か
ったのであるから、この状態でベース油圧Pbにさらに
偏差(emp−Pb)を加算すると、2−4ブレーキ5
4の解放動作が急となってショックが発生するからであ
る。
【0304】このような補正制御により、例えば図59
に符号ナで示すように、当初設定されたベース油圧Pb
が高く、この値のままであれば算出油圧Psが符号ニの
ように大きい値に求められ、その結果、タービン回転数
Ntの上昇が符号ヌのように緩やかとなって良好な変速
フィーリングが得られなくなるような場合に、タービン
回転数Ntが上昇を開始した符号チの時点の直後に、ベ
ース油圧Pbが符号ハのように低く補正されるので、算
出油圧Psも符号ヒのように小さい値に求められ、その
結果、タービン回転数Ntの上昇が符号フのように早く
なって良好な変速フィーリングが得られることになる。
に符号ナで示すように、当初設定されたベース油圧Pb
が高く、この値のままであれば算出油圧Psが符号ニの
ように大きい値に求められ、その結果、タービン回転数
Ntの上昇が符号ヌのように緩やかとなって良好な変速
フィーリングが得られなくなるような場合に、タービン
回転数Ntが上昇を開始した符号チの時点の直後に、ベ
ース油圧Pbが符号ハのように低く補正されるので、算
出油圧Psも符号ヒのように小さい値に求められ、その
結果、タービン回転数Ntの上昇が符号フのように早く
なって良好な変速フィーリングが得られることになる。
【0305】(2)再変速禁止制御 ところで、この種の自動変速機においては、1つ目の変
速指令が出力された直後に、例えばスロットル開度の急
変等により2つ目の変速指令が出力されることがある
が、この1つ目の指令に基づく変速動作が既に開始され
ている状態で、急遽2つ目の変速動作に移行すると、著
しい変速ショックが発生する場合がある。
速指令が出力された直後に、例えばスロットル開度の急
変等により2つ目の変速指令が出力されることがある
が、この1つ目の指令に基づく変速動作が既に開始され
ている状態で、急遽2つ目の変速動作に移行すると、著
しい変速ショックが発生する場合がある。
【0306】そこで、このような事態を回避するため
に、所定の条件のもとで2つ目の変速動作への移行を禁
止する制御が図60に示すプログラムに従って行われ
る。
に、所定の条件のもとで2つ目の変速動作への移行を禁
止する制御が図60に示すプログラムに従って行われ
る。
【0307】すなわち、まずステップS191で、1つ
目の変速指令が出力されれば、ステップS192で、そ
の出力時からの経過時間tを計測し、次いでステップS
193で、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了し
たか否かを判定し、終了すればこの制御を終了する。ま
た、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了するまで
は、ステップS194で、2つ目の変速指令が出力され
たか否かを判定し、この2つ目の変速指令が出力される
までは、上記ステップS192で経過時間tを計測しな
がら、ステップS193で、1つ目の変速指令に基づく
変速動作の終了を待つ。
目の変速指令が出力されれば、ステップS192で、そ
の出力時からの経過時間tを計測し、次いでステップS
193で、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了し
たか否かを判定し、終了すればこの制御を終了する。ま
た、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了するまで
は、ステップS194で、2つ目の変速指令が出力され
たか否かを判定し、この2つ目の変速指令が出力される
までは、上記ステップS192で経過時間tを計測しな
がら、ステップS193で、1つ目の変速指令に基づく
変速動作の終了を待つ。
【0308】一方、1つ目の変速指令に基づく変速動作
が終了する前に2つ目の変速指令が出力された場合に
は、ステップS195で、その時点における経過時間t
が所定時間T16を超えているか否かを判定する。
が終了する前に2つ目の変速指令が出力された場合に
は、ステップS195で、その時点における経過時間t
が所定時間T16を超えているか否かを判定する。
【0309】そして、この所定時間T16を超えていな
い場合は、いまだ1つ目の変速指令に基づく変速動作が
開始されていないものと判断されるので、ステップS1
96で、目標変速段を2つ目の変速指令によるものに直
ちに切り換え、この2つ目の変速指令に基づく変速動作
を開始する(図61の符号マ参照)。これにより、変速
指令に対応した変速動作が応答性よく行われることにな
る。
い場合は、いまだ1つ目の変速指令に基づく変速動作が
開始されていないものと判断されるので、ステップS1
96で、目標変速段を2つ目の変速指令によるものに直
ちに切り換え、この2つ目の変速指令に基づく変速動作
を開始する(図61の符号マ参照)。これにより、変速
指令に対応した変速動作が応答性よく行われることにな
る。
【0310】これに対して、1つ目の変速指令に基づく
変速動作が終了する前に2つ目の変速指令が出力された
場合において、その時点における1つ目の変速指令の出
力時からの経過時間tが所定時間T16を超えている場
合は(図61の符号ミ)、既に1つ目の変速指令に基づ
く変速動作が開始されていると判断されるので、この場
合は、ステップS197で、その1つ目の変速指令に基
づく変速動作を完了させ、その後、目標変速段を2つ目
の変速指令によるものに切り換えて、この2つ目の変速
指令に基づく変速動作を開始する(図61の符号ム参
照)。
変速動作が終了する前に2つ目の変速指令が出力された
場合において、その時点における1つ目の変速指令の出
力時からの経過時間tが所定時間T16を超えている場
合は(図61の符号ミ)、既に1つ目の変速指令に基づ
く変速動作が開始されていると判断されるので、この場
合は、ステップS197で、その1つ目の変速指令に基
づく変速動作を完了させ、その後、目標変速段を2つ目
の変速指令によるものに切り換えて、この2つ目の変速
指令に基づく変速動作を開始する(図61の符号ム参
照)。
【0311】これにより、1つ目の変速動作の途中で急
遽2つ目の変速動作に移行することによる著しいショッ
クの発生が回避される。
遽2つ目の変速動作に移行することによる著しいショッ
クの発生が回避される。
【0312】(3)変速終了判定制御 このように、1つ目の変速指令が出力された後に別の変
速段への2つ目の変速指令が出力された場合には、先の
1つ目の変速動作が終了したときに、次の2つ目の変速
動作に移行することになる。したがって、この1つ目の
変速動作の終了を精度よく判定する必要が生じる。
速段への2つ目の変速指令が出力された場合には、先の
1つ目の変速動作が終了したときに、次の2つ目の変速
動作に移行することになる。したがって、この1つ目の
変速動作の終了を精度よく判定する必要が生じる。
【0313】従来より、一般に、この変速終了の判定
は、タービン回転数が変速後の回転数に略一致したとき
に、変速が終了したものと判定されていた。しかしなが
ら、すでに説明したように、摩擦要素の締結動作と解放
動作との二つの動作を伴うトルクディマンドのダウンシ
フト変速の場合には、解放側摩擦要素の解放動作の制御
によってタービン回転数が変速後の回転数にまで上昇し
てきたのであり、この時点でもう一方の締結側摩擦要素
の締結動作が完了しているとは限らず、この状態で変速
終了が判定されると、変速動作の途中で次の2つ目の変
速動作に移行することになり、変速ショックの問題が有
効に解消できないことになる。
は、タービン回転数が変速後の回転数に略一致したとき
に、変速が終了したものと判定されていた。しかしなが
ら、すでに説明したように、摩擦要素の締結動作と解放
動作との二つの動作を伴うトルクディマンドのダウンシ
フト変速の場合には、解放側摩擦要素の解放動作の制御
によってタービン回転数が変速後の回転数にまで上昇し
てきたのであり、この時点でもう一方の締結側摩擦要素
の締結動作が完了しているとは限らず、この状態で変速
終了が判定されると、変速動作の途中で次の2つ目の変
速動作に移行することになり、変速ショックの問題が有
効に解消できないことになる。
【0314】そこで、この実施の形態においては、上記
のような事態を回避するために、特にダウンシフト変速
の場合に精度よく変速終了を判定するための制御が図6
2に示すプログラムに従って行われる。
のような事態を回避するために、特にダウンシフト変速
の場合に精度よく変速終了を判定するための制御が図6
2に示すプログラムに従って行われる。
【0315】すなわち、まずステップS201で変速指
令が出力されると、ステップS202でシフトフラグF
sを1にセットし、次いでステップS203で変速終了
時のタービン回転数Ntoを演算する。
令が出力されると、ステップS202でシフトフラグF
sを1にセットし、次いでステップS203で変速終了
時のタービン回転数Ntoを演算する。
【0316】次に、ステップS204で、この変速終了
時のタービン回転数Ntoに基づいて中間タービン回転
数Thを求める。これを具体的に説明すると、例えば4
−3変速や3−2変速、あるいは1−2変速や2−3変
速等のように一段変速の場合であれば、次式48に従っ
て、変速前のタービン回転数Ntと変速終了時のタービ
ン回転数Ntoとの中間の回転数を求める。
時のタービン回転数Ntoに基づいて中間タービン回転
数Thを求める。これを具体的に説明すると、例えば4
−3変速や3−2変速、あるいは1−2変速や2−3変
速等のように一段変速の場合であれば、次式48に従っ
て、変速前のタービン回転数Ntと変速終了時のタービ
ン回転数Ntoとの中間の回転数を求める。
【0317】
【式48】 また、例えば4−1変速等のように飛び越し変速の場合
では、目的とする変速段の一つ手前の変速段(この設例
では2速)が達成されたときのタービン回転数Nto’
を求め、次式49に従って、この回転数Nto’と変速
終了時のタービン回転数Ntoとの中間の回転数を求め
る。
では、目的とする変速段の一つ手前の変速段(この設例
では2速)が達成されたときのタービン回転数Nto’
を求め、次式49に従って、この回転数Nto’と変速
終了時のタービン回転数Ntoとの中間の回転数を求め
る。
【0318】
【式49】 そして、次に、ステップS205で、ダウンシフト変速
か否かを判定し、ダウンシフト変速の場合は、ステップ
S206で、現時点でのタービン回転数Ntが上記中間
回転数Thよりも大きくなったことが判定されたとき
に、つまり変速動作が終了に近づいたときに、ステップ
S207に進んで、当該変速を主として支配するデュー
ティソレノイドバルブ、すなわち第1〜第3DSV12
1,122,123のいずれかのデューティ率が変速終
了時の状態になったか否かを判定する。この4−3変速
の場合であれば、フォワードクラッチ51を締結させる
第3DSV123が変速を主として支配するデューティ
ソレノイドバルブであり、該第3DSV123のデュー
ティ率が略0%になったかどうかを判定するのである。
か否かを判定し、ダウンシフト変速の場合は、ステップ
S206で、現時点でのタービン回転数Ntが上記中間
回転数Thよりも大きくなったことが判定されたとき
に、つまり変速動作が終了に近づいたときに、ステップ
S207に進んで、当該変速を主として支配するデュー
ティソレノイドバルブ、すなわち第1〜第3DSV12
1,122,123のいずれかのデューティ率が変速終
了時の状態になったか否かを判定する。この4−3変速
の場合であれば、フォワードクラッチ51を締結させる
第3DSV123が変速を主として支配するデューティ
ソレノイドバルブであり、該第3DSV123のデュー
ティ率が略0%になったかどうかを判定するのである。
【0319】そして、デューティ率がそのような変速終
了状態になっているときには、変速が終了したものと判
定して、ステップS208で、上記シフトフラグFsを
0にリセットする。つまり、解放側摩擦要素の解放動作
によって上昇してきたタービン回転数Ntが変速終了時
の状態になったことで変速が終了したものと判定するの
ではなく、実際に締結側摩擦要素の締結動作が完了した
ことをもって変速が終了したものと判定するのである。
これにより、変速終了の判定が誤って変速動作中に出さ
れることがなく、常に1つ目の変速動作が終了した後
に、次の2つ目の変速動作に移行することになる。
了状態になっているときには、変速が終了したものと判
定して、ステップS208で、上記シフトフラグFsを
0にリセットする。つまり、解放側摩擦要素の解放動作
によって上昇してきたタービン回転数Ntが変速終了時
の状態になったことで変速が終了したものと判定するの
ではなく、実際に締結側摩擦要素の締結動作が完了した
ことをもって変速が終了したものと判定するのである。
これにより、変速終了の判定が誤って変速動作中に出さ
れることがなく、常に1つ目の変速動作が終了した後
に、次の2つ目の変速動作に移行することになる。
【0320】一方、上記ステップS205で、アップシ
フト変速と判定された場合は、ステップS209に進ん
で、ダウンシフト変速の場合とは逆に、現時点でのター
ビン回転数Ntが上記中間回転数Thよりも小さくなっ
たことが判定されたときに、つまり変速動作が終了に近
づいたときに、ステップS210に進んで、アップシフ
ト時の変速判定基準に合致しているか否かを判定し、該
基準に合致した場合にステップS208でシフトフラグ
Fsを0にリセットする。
フト変速と判定された場合は、ステップS209に進ん
で、ダウンシフト変速の場合とは逆に、現時点でのター
ビン回転数Ntが上記中間回転数Thよりも小さくなっ
たことが判定されたときに、つまり変速動作が終了に近
づいたときに、ステップS210に進んで、アップシフ
ト時の変速判定基準に合致しているか否かを判定し、該
基準に合致した場合にステップS208でシフトフラグ
Fsを0にリセットする。
【0321】このアップシフト時の変速判定基準は、す
でにアップシフトの項で述べたように、タービン回転変
化率dNtがマイナスからプラスに転じたこと、タービ
ン回転変化率dNtの絶対値が変速中の値の半分以下に
減少したこと、タービン回転数Ntが変速開始時の回転
数から算出される変速終了時の回転数まで低下したこと
であり、このいずれか1つが成立することによって変速
終了と判定する。
でにアップシフトの項で述べたように、タービン回転変
化率dNtがマイナスからプラスに転じたこと、タービ
ン回転変化率dNtの絶対値が変速中の値の半分以下に
減少したこと、タービン回転数Ntが変速開始時の回転
数から算出される変速終了時の回転数まで低下したこと
であり、このいずれか1つが成立することによって変速
終了と判定する。
【0322】すなわち、アップシフト変速では、一般
に、ダウンシフト変速とは逆に、締結側摩擦要素の締結
動作の制御によってタービン回転数を変速終了時の回転
数に低下させるので、該タービン回転数あるいはその変
化率に基づいて締結側摩擦要素の締結動作の状態が判定
できるのである。
に、ダウンシフト変速とは逆に、締結側摩擦要素の締結
動作の制御によってタービン回転数を変速終了時の回転
数に低下させるので、該タービン回転数あるいはその変
化率に基づいて締結側摩擦要素の締結動作の状態が判定
できるのである。
【0323】なお、因に、この実施の形態における他の
ダウンシフト変速の場合の変速を主として支配するデュ
ーティソレノイドバルブ、及びその変速終了時のデュー
ティ率を列挙すると、4−2変速及び4−1変速では、
この4−3変速と同じく、第3DSV123のデューテ
ィ率が略0%になったこと、3−2変速及び3−1変速
では、第2DSV122のデューティ率が略100%に
なったこと、並びに2−1変速では、第1DSV121
のデューティ率が略100%になったこととなる。
ダウンシフト変速の場合の変速を主として支配するデュ
ーティソレノイドバルブ、及びその変速終了時のデュー
ティ率を列挙すると、4−2変速及び4−1変速では、
この4−3変速と同じく、第3DSV123のデューテ
ィ率が略0%になったこと、3−2変速及び3−1変速
では、第2DSV122のデューティ率が略100%に
なったこと、並びに2−1変速では、第1DSV121
のデューティ率が略100%になったこととなる。
【0324】(4)4−1変速制御 次に、トルクディマンドの4−1変速について説明す
る。この4−1変速は、2−4ブレーキ54及び3−4
クラッチ53の二つの摩擦要素を解放すると共に、フォ
ワードクラッチ51を締結することにより行われ、した
がって、第1DSV121によるサーボアプライ圧の排
出制御と、変速指令の出力後直ちに第1SV111をO
FFにすることにより、3−4シフトバルブ105によ
ってサーボリリースライン221と3−4クラッチライ
ン227とを連通させた状態での第2DSV122によ
る3−4クラッチ圧の排出制御と、第3DSV123に
よるフォワードクラッチ圧の供給制御とが行われる。こ
のとき、フォワードクラッチライン219とサーボリリ
ースライン221とは連通されていないから、フォワー
ドクラッチ圧の供給制御により、サーボリリース圧が供
給されることはない。
る。この4−1変速は、2−4ブレーキ54及び3−4
クラッチ53の二つの摩擦要素を解放すると共に、フォ
ワードクラッチ51を締結することにより行われ、した
がって、第1DSV121によるサーボアプライ圧の排
出制御と、変速指令の出力後直ちに第1SV111をO
FFにすることにより、3−4シフトバルブ105によ
ってサーボリリースライン221と3−4クラッチライ
ン227とを連通させた状態での第2DSV122によ
る3−4クラッチ圧の排出制御と、第3DSV123に
よるフォワードクラッチ圧の供給制御とが行われる。こ
のとき、フォワードクラッチライン219とサーボリリ
ースライン221とは連通されていないから、フォワー
ドクラッチ圧の供給制御により、サーボリリース圧が供
給されることはない。
【0325】そして、このスロットル開度の増大による
トルクディマンドの4−1変速においては、ワンウエイ
クラッチ56の作動によって変速が完了するので、いず
れの作動圧についてもフィードバック制御は行われな
い。
トルクディマンドの4−1変速においては、ワンウエイ
クラッチ56の作動によって変速が完了するので、いず
れの作動圧についてもフィードバック制御は行われな
い。
【0326】このように、この4−1変速では、上記の
ように3−4クラッチ53と2−4ブレーキ54との二
つの摩擦要素を解放するのであるが、その場合に、この
実施の形態における変速歯車機構としての第1、第2の
遊星歯車機構30,40にあっては、2−4ブレーキ5
4を先に解放して3−4クラッチ53を後で解放するよ
うに動作させると次のような問題が生じる。
ように3−4クラッチ53と2−4ブレーキ54との二
つの摩擦要素を解放するのであるが、その場合に、この
実施の形態における変速歯車機構としての第1、第2の
遊星歯車機構30,40にあっては、2−4ブレーキ5
4を先に解放して3−4クラッチ53を後で解放するよ
うに動作させると次のような問題が生じる。
【0327】すなわち、この4−1変速で締結されるフ
ォワードクラッチ51は、図2に示すように、タービン
シャフト27と一体的に回転するフォワードクラッチ5
1のドラム51aと、第1遊星歯車機構30のサンギヤ
31と一体的に回転するフォワードクラッチ51のハブ
51bとが、複数のクラッチ板を介して締結されること
により、締結されるのであるが、その場合に、3−4ク
ラッチ53を締結状態にしたままで2−4ブレーキ54
を先に解放すると、上記ドラム51aの角加速度の向き
と、ハブ51bの角加速度の向きとが逆になるのであ
る。
ォワードクラッチ51は、図2に示すように、タービン
シャフト27と一体的に回転するフォワードクラッチ5
1のドラム51aと、第1遊星歯車機構30のサンギヤ
31と一体的に回転するフォワードクラッチ51のハブ
51bとが、複数のクラッチ板を介して締結されること
により、締結されるのであるが、その場合に、3−4ク
ラッチ53を締結状態にしたままで2−4ブレーキ54
を先に解放すると、上記ドラム51aの角加速度の向き
と、ハブ51bの角加速度の向きとが逆になるのであ
る。
【0328】その結果、図63に示すように、変速前
は、ドラム51aの回転(タービン回転)よりも、ハブ
51bの回転sの方が高かったものが、3−4クラッチ
53を締結状態に残したままで2−4ブレーキ54を解
放した後は、時間の経過と共に、ドラム51aの回転が
上昇する一方で、ハブ51bの回転sが低下して、ドラ
ム51aの回転の方が高くなり、ついにはハブ51bが
ドラム51aの回転とは逆方向に回転するようになるの
である。したがって、これらのドラム51aとハブ51
bとを例えば時間tdにおいて締結させたときには、ハ
ブ51bの回転sが符号uのように急激に変化し、その
結果、変速歯車機構内部の回転に大きな変動が生じて、
これが大きなトルクの引き込みとなり、最終的にフォワ
ードクラッチ圧を完全に作動させて該クラッチ51を締
結したときのショックとあわせて二段ショックが生じる
のである。
は、ドラム51aの回転(タービン回転)よりも、ハブ
51bの回転sの方が高かったものが、3−4クラッチ
53を締結状態に残したままで2−4ブレーキ54を解
放した後は、時間の経過と共に、ドラム51aの回転が
上昇する一方で、ハブ51bの回転sが低下して、ドラ
ム51aの回転の方が高くなり、ついにはハブ51bが
ドラム51aの回転とは逆方向に回転するようになるの
である。したがって、これらのドラム51aとハブ51
bとを例えば時間tdにおいて締結させたときには、ハ
ブ51bの回転sが符号uのように急激に変化し、その
結果、変速歯車機構内部の回転に大きな変動が生じて、
これが大きなトルクの引き込みとなり、最終的にフォワ
ードクラッチ圧を完全に作動させて該クラッチ51を締
結したときのショックとあわせて二段ショックが生じる
のである。
【0329】一方、これに対して、逆に、2−4ブレー
キ54を締結状態にしたままで3−4クラッチ53を先
に解放した場合には、ハブ51bの回転tが殆ど変化せ
ず、ドラム51aと逆方向に回転するようなこともな
い。したがって、この実施の形態においては、4−1変
速時には、3−4クラッチ53を先に解放して2−4ブ
レーキ54を後で解放するように動作させるのである。
キ54を締結状態にしたままで3−4クラッチ53を先
に解放した場合には、ハブ51bの回転tが殆ど変化せ
ず、ドラム51aと逆方向に回転するようなこともな
い。したがって、この実施の形態においては、4−1変
速時には、3−4クラッチ53を先に解放して2−4ブ
レーキ54を後で解放するように動作させるのである。
【0330】なお、このようなドラム51a及びハブ5
1bの回転の現象は次のようにして説明できる。
1bの回転の現象は次のようにして説明できる。
【0331】すなわち、第1遊星歯車機構30のサンギ
ヤ31のピッチ半径をRfs及び回転数をNfs、リン
グギヤ34のピッチ半径をRfr及び回転数をNfr、
ピニオン32の回転数をNfcとし、一方、第2遊星歯
車機構40のサンギヤ41のピッチ半径をRrs及び回
転数をNrs、リングギヤ34のピッチ半径をRrr及
び回転数をNrr、ピニオン32の回転数をNrcとす
ると、次の遊星歯車の基礎式50及び51から、以下の
式52及び53が得られる。
ヤ31のピッチ半径をRfs及び回転数をNfs、リン
グギヤ34のピッチ半径をRfr及び回転数をNfr、
ピニオン32の回転数をNfcとし、一方、第2遊星歯
車機構40のサンギヤ41のピッチ半径をRrs及び回
転数をNrs、リングギヤ34のピッチ半径をRrr及
び回転数をNrr、ピニオン32の回転数をNrcとす
ると、次の遊星歯車の基礎式50及び51から、以下の
式52及び53が得られる。
【0332】
【式50】
【0333】
【式51】
【0334】
【式52】
【0335】
【式53】 ここで、この実施の形態における変速歯車機構のスケル
トン構造により、Nfc=Nrr、及びNfr=Nrc
であるから、次の式54,55及び56が得られる。
トン構造により、Nfc=Nrr、及びNfr=Nrc
であるから、次の式54,55及び56が得られる。
【0336】
【式54】
【0337】
【式55】
【0338】
【式56】 上記式55と式56を辺々足し、整理すると次の式57
が得られる。
が得られる。
【0339】
【式57】 3−4クラッチ53を解放して2−4ブレーキ54を締
結状態にしたときは、Nrs=0であるから、次の式5
8が得られ、これを整理すると式59が得られる。
結状態にしたときは、Nrs=0であるから、次の式5
8が得られ、これを整理すると式59が得られる。
【0340】
【式58】
【0341】
【式59】 したがって、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31と一
体回転するハブ51bの回転Nfsは、タービン回転に
は無関係である。
体回転するハブ51bの回転Nfsは、タービン回転に
は無関係である。
【0342】一方、2−4ブレーキ54を解放して3−
4クラッチ53を締結状態にしたときは、タービン回転
数をNtとすると、Nfr=Ntであるから、上記式5
2より次の式60、及び式61が得られる。
4クラッチ53を締結状態にしたときは、タービン回転
数をNtとすると、Nfr=Ntであるから、上記式5
2より次の式60、及び式61が得られる。
【0343】
【式60】
【0344】
【式61】 4速のときは、タービン回転数Nt=Nrc=Nfrで
あるから、上記式53より次の式62が得られる。
あるから、上記式53より次の式62が得られる。
【0345】
【式62】 また、1速のときは、Nfr=0、及びNfs=Ntで
あるから、上記式52より次の式63が得られる。
あるから、上記式52より次の式63が得られる。
【0346】
【式63】 このようにして求めた上記式59、式61、式62、式
63をグラフ表示したものが、それぞれ図63における
符号t、符号s、符号v、符号wである。
63をグラフ表示したものが、それぞれ図63における
符号t、符号s、符号v、符号wである。
【0347】なお、このとき、各ギアのピッチ半径を次
の表3のように設定し、かつ、変速中は車速の変化が無
いもの(Nfc=1)とした。
の表3のように設定し、かつ、変速中は車速の変化が無
いもの(Nfc=1)とした。
【0348】
【表3】 以下、各DSV121〜123の制御について説明す
る。
る。
【0349】(4−1)第2DSV122の制御 第2DSV121による3−4クラッチ圧及びサーボリ
リース圧の排出制御は図64に示すプログラムに従って
行われるが、この制御は、変速指令が出力されたとき
に、ステップS221,S222で、第2DSV122
に出力するデューティ率を0%から100%まで、一定
の割合で増加させるだけであり、これにより、図68に
示すように、3−4クラッチ圧が一定の勾配で比較的速
やかに排出される。
リース圧の排出制御は図64に示すプログラムに従って
行われるが、この制御は、変速指令が出力されたとき
に、ステップS221,S222で、第2DSV122
に出力するデューティ率を0%から100%まで、一定
の割合で増加させるだけであり、これにより、図68に
示すように、3−4クラッチ圧が一定の勾配で比較的速
やかに排出される。
【0350】(4−2)第1DSV121の制御 また、第1DSV121によるサーボアプライ圧の排出
制御は、図65に示すプログラムに従って行われ、ま
ず、ステップS231で算出油圧Psを求めると共に、
ステップS232でタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇したか否かを判定し、この回転数に上昇
するまでは、ステップS233で、上記算出油圧Psに
対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力
する。
制御は、図65に示すプログラムに従って行われ、ま
ず、ステップS231で算出油圧Psを求めると共に、
ステップS232でタービン回転数Ntが変速終了直前
回転数まで上昇したか否かを判定し、この回転数に上昇
するまでは、ステップS233で、上記算出油圧Psに
対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力
する。
【0351】その場合に、上記算出油圧Psは、図66
に示すように、変速前のタービン回転数Nt′が高いほ
ど低くなるように設定されたマップに基づいて算出さ
れ、この算出油圧Psに対応するデューティ率で図68
に示すように第1DSV121によるサーボアプライ圧
の制御が行われることにより、2−4ブレーキ54が適
度なスリップ状態に保たれる。つまり、3−4クラッチ
53を速やかに解放した上で、2−4ブレーキ54をス
リップさせることにより、タービン回転数Ntを円滑に
上昇させるのである。
に示すように、変速前のタービン回転数Nt′が高いほ
ど低くなるように設定されたマップに基づいて算出さ
れ、この算出油圧Psに対応するデューティ率で図68
に示すように第1DSV121によるサーボアプライ圧
の制御が行われることにより、2−4ブレーキ54が適
度なスリップ状態に保たれる。つまり、3−4クラッチ
53を速やかに解放した上で、2−4ブレーキ54をス
リップさせることにより、タービン回転数Ntを円滑に
上昇させるのである。
【0352】そして、このタービン回転数Ntが上記の
変速終了直前回転数まで上昇すれば、ステップS23
4,S235に従って、デューティ率を100%になる
まで一定割合で増加させる。これにより2−4ブレーキ
54が完全に解放される。
変速終了直前回転数まで上昇すれば、ステップS23
4,S235に従って、デューティ率を100%になる
まで一定割合で増加させる。これにより2−4ブレーキ
54が完全に解放される。
【0353】(4−3)第3DSV123の制御 一方、第3DSV123によるフォワードクラッチ圧の
供給制御は、図67に示すプログラムに従って行われ
る。
供給制御は、図67に示すプログラムに従って行われ
る。
【0354】まず、ステップS241で、算出油圧Ps
を求める一方、プリチャージ期間中(Fp=1)は、ス
テップS242,S243に従って、第3DSV123
のデューティ率を0%とし、フォワードクラッチ51の
油圧室に通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
を求める一方、プリチャージ期間中(Fp=1)は、ス
テップS242,S243に従って、第3DSV123
のデューティ率を0%とし、フォワードクラッチ51の
油圧室に通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
【0355】また、このプリチャージ期間が終了すれば
(Fp=0)、ステップS244で、タービン回転数N
tが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定し、
この回転数に上昇するまでの間、ステップS245で算
出油圧Psに対応するデューティ率を第3DSV123
に出力する。その場合に、この算出油圧Psがフォワー
ドクラッチ51を締結直前の状態に保持する油圧である
点は、4−3変速の場合と同様である。
(Fp=0)、ステップS244で、タービン回転数N
tが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定し、
この回転数に上昇するまでの間、ステップS245で算
出油圧Psに対応するデューティ率を第3DSV123
に出力する。その場合に、この算出油圧Psがフォワー
ドクラッチ51を締結直前の状態に保持する油圧である
点は、4−3変速の場合と同様である。
【0356】そして、タービン回転数Ntが上記変速終
了直前回転数まで上昇した時点で、ステップS246,
S247に従い、デューティ率を一定割合で0%まで減
少させる。
了直前回転数まで上昇した時点で、ステップS246,
S247に従い、デューティ率を一定割合で0%まで減
少させる。
【0357】これにより、フォワードクラッチ圧は、図
68に示すように、2−4ブレーキ54のスリップ制御
中は締結直前の状態となる油圧に保持されると共に、タ
ービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時
点で、速やかに上昇され、これに伴ってフォワードクラ
ッチ51が完全に締結される。
68に示すように、2−4ブレーキ54のスリップ制御
中は締結直前の状態となる油圧に保持されると共に、タ
ービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時
点で、速やかに上昇され、これに伴ってフォワードクラ
ッチ51が完全に締結される。
【0358】なお、上記ステップS244における判定
に代えて、図63の時間tc、すなわち、フォワードク
ラッチ51のドラム51aとハブ51bの回転が一致し
たときに、フォワードクラッチ51を締結させるように
してもよい。これによれば、フォワードクラッチ51の
締結が滑らかとなり、変速ショックがさらに抑制される
ことになる。
に代えて、図63の時間tc、すなわち、フォワードク
ラッチ51のドラム51aとハブ51bの回転が一致し
たときに、フォワードクラッチ51を締結させるように
してもよい。これによれば、フォワードクラッチ51の
締結が滑らかとなり、変速ショックがさらに抑制される
ことになる。
【0359】(B2)コーストダウン変速 次に、スロットル開度が全閉状態で行なわれるダウンシ
フト変速として、コーストダウンの4−3変速を例に取
って説明する。
フト変速として、コーストダウンの4−3変速を例に取
って説明する。
【0360】一般に、ダウンシフト変速としては、前述
のスロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウ
ンシフト変速とは別に、スロットル開度全閉の状態での
マニュアル操作もしくは車速の低下によるコーストダウ
ン変速があり、そのうち、特にフォワードクラッチ51
を締結させる4−3変速は、特殊な制御が要求される。
のスロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウ
ンシフト変速とは別に、スロットル開度全閉の状態での
マニュアル操作もしくは車速の低下によるコーストダウ
ン変速があり、そのうち、特にフォワードクラッチ51
を締結させる4−3変速は、特殊な制御が要求される。
【0361】つまり、トルクディマンドのダウンシフト
変速においては、解放側摩擦要素(4−3変速の場合に
は2−4ブレーキ54)の締結力を制御することによ
り、タービン回転数Ntを加速中のエンジン回転に伴わ
せて変速後の回転数Nt0に円滑に上昇させるのに対
し、コーストダウン変速では、締結側摩擦要素の締結動
作を制御することによって、タービン回転数Ntを車輪
側からの逆駆動の回転に引き摺らせて上昇させることに
なり、4−3変速の場合には、これをフォワードクラッ
チ51の締結制御で行うことになる。
変速においては、解放側摩擦要素(4−3変速の場合に
は2−4ブレーキ54)の締結力を制御することによ
り、タービン回転数Ntを加速中のエンジン回転に伴わ
せて変速後の回転数Nt0に円滑に上昇させるのに対
し、コーストダウン変速では、締結側摩擦要素の締結動
作を制御することによって、タービン回転数Ntを車輪
側からの逆駆動の回転に引き摺らせて上昇させることに
なり、4−3変速の場合には、これをフォワードクラッ
チ51の締結制御で行うことになる。
【0362】(1)コーストダウン4−3変速制御 このコーストダウン変速時の第3DSV123によるフ
ォワードクラッチ圧の供給制御は図69に示すプログラ
ムに従って行われ、まず、ステップS251,S252
でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算
出すると共に、ステップS253でこれらを加算して算
出油圧Psを求める。
ォワードクラッチ圧の供給制御は図69に示すプログラ
ムに従って行われ、まず、ステップS251,S252
でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算
出すると共に、ステップS253でこれらを加算して算
出油圧Psを求める。
【0363】次に、ステップS254,S255に従っ
て、Fp=1の間、プリチャージ制御を行い、その後、
Fp=0となれば、S256で、変速が終了し、もしく
はバックアップタイマの設定時間T17が経過したか否
かを判定し、それまでの間、ステップS257で、上記
のようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ
率の信号を第3DSV123に出力する。また、上記設
定時間T17が経過すれば、ステップS258,S25
9で、デューティ率が0%になるまで、該デューティ率
を一定割合で減算しながら出力する。
て、Fp=1の間、プリチャージ制御を行い、その後、
Fp=0となれば、S256で、変速が終了し、もしく
はバックアップタイマの設定時間T17が経過したか否
かを判定し、それまでの間、ステップS257で、上記
のようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ
率の信号を第3DSV123に出力する。また、上記設
定時間T17が経過すれば、ステップS258,S25
9で、デューティ率が0%になるまで、該デューティ率
を一定割合で減算しながら出力する。
【0364】ここで、上記ステップS251,S252
のベース油圧Pb及びフィードバック油圧Pfbの計算
は、トルクディマンドの4−3変速時における第1DS
V121によるサーボアプライ圧のフィードバック制御
時のプログラム(図48、図51参照)と同様のプログ
ラムに従って行われる。
のベース油圧Pb及びフィードバック油圧Pfbの計算
は、トルクディマンドの4−3変速時における第1DS
V121によるサーボアプライ圧のフィードバック制御
時のプログラム(図48、図51参照)と同様のプログ
ラムに従って行われる。
【0365】これにより、図70に示すように、フォワ
ードクラッチ圧が制御されて、その間にタービン回転数
Ntが車輪側からの逆駆動の回転に引き摺られて上昇す
ることになる。
ードクラッチ圧が制御されて、その間にタービン回転数
Ntが車輪側からの逆駆動の回転に引き摺られて上昇す
ることになる。
【0366】(2)低車速時のコーストダウン4−3変
速制御 前述したように、ダウンシフト変速時には、解放側又は
締結側の摩擦要素の締結力を制御することにより、ター
ビン回転数を変速後の回転数まで上昇させるのである
が、例えばこの4−3変速が低車速時に行なわれる場合
は、高車速時に行なわれる場合に比べて変速後のタービ
ン回転数が小さくなることになる。
速制御 前述したように、ダウンシフト変速時には、解放側又は
締結側の摩擦要素の締結力を制御することにより、ター
ビン回転数を変速後の回転数まで上昇させるのである
が、例えばこの4−3変速が低車速時に行なわれる場合
は、高車速時に行なわれる場合に比べて変速後のタービ
ン回転数が小さくなることになる。
【0367】一方、この実施の形態においては、エンジ
ンの吸気系にバイパス通路が配設され、このバイパス通
路に、アクセルペダルと連動するスロットル弁とは別に
バイパスバルブが設けられて、該バイパスバルブの開度
をスロットル開度の全閉時には自動制御することによ
り、エンジンのアイドル回転数を負荷に応じて増減制御
するエンジンのISC制御が行なわれるようになってい
る。これにより、例えばキャビン内でエアコン等がオン
されると、その電気負荷の増大に伴ってアイドル回転数
が上昇するようになる。
ンの吸気系にバイパス通路が配設され、このバイパス通
路に、アクセルペダルと連動するスロットル弁とは別に
バイパスバルブが設けられて、該バイパスバルブの開度
をスロットル開度の全閉時には自動制御することによ
り、エンジンのアイドル回転数を負荷に応じて増減制御
するエンジンのISC制御が行なわれるようになってい
る。これにより、例えばキャビン内でエアコン等がオン
されると、その電気負荷の増大に伴ってアイドル回転数
が上昇するようになる。
【0368】その結果、このコーストダウン4−3変速
が低車速時に行なわれ、かつ、上記のようなISC制御
が実行中であると、該ISC制御で増大されたエンジン
のアイドル回転数よりも、変速後のタービン回転数が小
さくなる場合が生じる。
が低車速時に行なわれ、かつ、上記のようなISC制御
が実行中であると、該ISC制御で増大されたエンジン
のアイドル回転数よりも、変速後のタービン回転数が小
さくなる場合が生じる。
【0369】さらに、低車速時は、車輪側からの逆駆動
の回転数も小さくなっているので、この車輪側からの回
転に引き摺らせてタービン回転数を上昇させることより
も、トルクディマンドの変速時の場合のように、エンジ
ン回転に伴わせて上昇させる方が合理的であり、燃費性
能の向上が図れる。
の回転数も小さくなっているので、この車輪側からの回
転に引き摺らせてタービン回転数を上昇させることより
も、トルクディマンドの変速時の場合のように、エンジ
ン回転に伴わせて上昇させる方が合理的であり、燃費性
能の向上が図れる。
【0370】そこで、この実施の形態においては、4−
3変速指令が出力されたときに、まず図71に示すプロ
グラムに従って、ステップS261で、スロットル開度
が所定値K15以下か否かを判定し、NOの場合、つま
りアクセルペダルが踏み込まれている場合は、ステップ
S262に進んで前述のトルクディマンドの4−3変速
制御を行ない、YESの場合、つまりアクセルペダルが
略全閉の状態であるときは、ステップS263で、車速
Vが所定値K16以下か否かを判定する。
3変速指令が出力されたときに、まず図71に示すプロ
グラムに従って、ステップS261で、スロットル開度
が所定値K15以下か否かを判定し、NOの場合、つま
りアクセルペダルが踏み込まれている場合は、ステップ
S262に進んで前述のトルクディマンドの4−3変速
制御を行ない、YESの場合、つまりアクセルペダルが
略全閉の状態であるときは、ステップS263で、車速
Vが所定値K16以下か否かを判定する。
【0371】そして、NOの場合、つまり高車速時は、
ステップS264に進んで上記(1)の一般的なコース
トダウン4−3変速制御を行なう一方で、YESの場
合、すなわち低車速時で、変速後のタービン回転数が、
エンジンのISC制御による目標アイドル回転数よりも
小さくなるような場合には、ステップS265に進ん
で、トルクディマンドの4−3変速制御に似た仕様でこ
の4−3変速を実行するようになっている。以下、この
低車速時のコーストダウン4−3変速制御について説明
する。
ステップS264に進んで上記(1)の一般的なコース
トダウン4−3変速制御を行なう一方で、YESの場
合、すなわち低車速時で、変速後のタービン回転数が、
エンジンのISC制御による目標アイドル回転数よりも
小さくなるような場合には、ステップS265に進ん
で、トルクディマンドの4−3変速制御に似た仕様でこ
の4−3変速を実行するようになっている。以下、この
低車速時のコーストダウン4−3変速制御について説明
する。
【0372】(2−1)第1DSV121の制御 スロットル開度が全閉状態であっても、低車速時には、
第1DSV121でサーボアプライ圧を制御することに
よって2−4ブレーキの解放動作を制御し、車輪側から
の逆駆動の回転ではなく、エンジンのアイドル回転に伴
わせてタービン回転数を上昇させる。
第1DSV121でサーボアプライ圧を制御することに
よって2−4ブレーキの解放動作を制御し、車輪側から
の逆駆動の回転ではなく、エンジンのアイドル回転に伴
わせてタービン回転数を上昇させる。
【0373】この第1DSV121の制御は、図46の
トルクディマンドの場合の制御と略同様であり、図72
に示すプログラムに従って、まずステップS271,S
272でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pf
bを算出すると共に、ステップS273でこれらの油圧
Pb、Pfbを加算して算出油圧Psを求める。
トルクディマンドの場合の制御と略同様であり、図72
に示すプログラムに従って、まずステップS271,S
272でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pf
bを算出すると共に、ステップS273でこれらの油圧
Pb、Pfbを加算して算出油圧Psを求める。
【0374】なお、この場合、上記ベース油圧Pbにつ
いては、トルクディマンドの場合のようにタービントル
ク等に応じて求めるのではなく、図73に示すように、
車速Vに応じて算出される。このとき、車速Vが低くな
るほど算出されるベース油圧Pbは大きくなるように設
定されている。これは、車速Vが低くなるほど、タービ
ン回転数とエンジン回転数との差が大きくなり、したが
ってタービン回転を持ち上げようと作用する力の程度が
大きくなるので、これに抗して2−4ブレーキ54を良
好にスリップさせ始めるためである。
いては、トルクディマンドの場合のようにタービントル
ク等に応じて求めるのではなく、図73に示すように、
車速Vに応じて算出される。このとき、車速Vが低くな
るほど算出されるベース油圧Pbは大きくなるように設
定されている。これは、車速Vが低くなるほど、タービ
ン回転数とエンジン回転数との差が大きくなり、したが
ってタービン回転を持ち上げようと作用する力の程度が
大きくなるので、これに抗して2−4ブレーキ54を良
好にスリップさせ始めるためである。
【0375】また、フィードバック油圧Pfbは、フィ
ードバックフラグFfが1にセットから実体的な値が算
出されるのであるが、このコーストダウン変速時におけ
るフィードバック制御の開始判定制御、換言すれば上記
フィードバックフラグFfの値を求める制御は、トルク
ディマンドの場合の図56に示すプログラムとは異な
り、図74に示すプログラムに従って行なわれる。すな
わち、コーストダウン変速では、スロットル開度が全閉
の状態であり、したがって、図75に符号メで示すよう
に、エンジン及び変速機のローリングによってタービン
回転数Ntが見掛けのうえで上昇することがないので、
ステップS281で、タービン回転変化率dNtが所定
値K12を超えたとき(図75の符号モ)、あるいはス
テップS283で、変速指令の出力時にセットされたバ
ックアップタイマの設定時間T14が経過したときに
は、直ちにステップS282でフィードバックフラグF
fを1にセットするのである。
ードバックフラグFfが1にセットから実体的な値が算
出されるのであるが、このコーストダウン変速時におけ
るフィードバック制御の開始判定制御、換言すれば上記
フィードバックフラグFfの値を求める制御は、トルク
ディマンドの場合の図56に示すプログラムとは異な
り、図74に示すプログラムに従って行なわれる。すな
わち、コーストダウン変速では、スロットル開度が全閉
の状態であり、したがって、図75に符号メで示すよう
に、エンジン及び変速機のローリングによってタービン
回転数Ntが見掛けのうえで上昇することがないので、
ステップS281で、タービン回転変化率dNtが所定
値K12を超えたとき(図75の符号モ)、あるいはス
テップS283で、変速指令の出力時にセットされたバ
ックアップタイマの設定時間T14が経過したときに
は、直ちにステップS282でフィードバックフラグF
fを1にセットするのである。
【0376】そして、図72のステップS274,S2
75で、変速指令の出力後、所定の時間T18が経過す
るまで、第1DSV121のデューティ率を0%の状態
に保持し、所定時間T18が経過すれば、今度はステッ
プS276,S277で、タービン回転数Ntが変速終
了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時間T19が
経過するまで、上記算出油圧Psに対応するデューティ
率を第1DSV121に出力する。そして、上記時間T
19が経過すれば、ステップS278,S279で、デ
ューティ率を再び一定割合で0%に戻すのである。
75で、変速指令の出力後、所定の時間T18が経過す
るまで、第1DSV121のデューティ率を0%の状態
に保持し、所定時間T18が経過すれば、今度はステッ
プS276,S277で、タービン回転数Ntが変速終
了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時間T19が
経過するまで、上記算出油圧Psに対応するデューティ
率を第1DSV121に出力する。そして、上記時間T
19が経過すれば、ステップS278,S279で、デ
ューティ率を再び一定割合で0%に戻すのである。
【0377】(2−2)第3DSV123の制御 一方、低車速時のコーストダウン4−3変速では、第3
DSV123のフォワードクラッチ圧制御でタービン回
転数をフィードバック制御することは行なわない。
DSV123のフォワードクラッチ圧制御でタービン回
転数をフィードバック制御することは行なわない。
【0378】この第3DSV123の制御は、図53の
トルクディマンドの場合の制御と略同様の流れであり、
図76に示すプログラムに従って、まずステップS29
1で保持油圧Phを算出したのち、ステップS292,
S293で、プリチャージフラグFpが1にセットされ
るまで、第3DSV123のデューティ率を0%とし
て、フォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレー
キ54の解放室54bに通じる油路のプリチャージを行
なう。
トルクディマンドの場合の制御と略同様の流れであり、
図76に示すプログラムに従って、まずステップS29
1で保持油圧Phを算出したのち、ステップS292,
S293で、プリチャージフラグFpが1にセットされ
るまで、第3DSV123のデューティ率を0%とし
て、フォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレー
キ54の解放室54bに通じる油路のプリチャージを行
なう。
【0379】なお、この場合の上記保持油圧Phとは、
トルクディマンドの場合の算出油圧Psと同様、フォワ
ードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧で
あって、この油圧Phがフォワードクラッチ51の油圧
室に供給された状態では、該クラッチ51のピストンが
締結直前の状態に保持されることになる。
トルクディマンドの場合の算出油圧Psと同様、フォワ
ードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧で
あって、この油圧Phがフォワードクラッチ51の油圧
室に供給された状態では、該クラッチ51のピストンが
締結直前の状態に保持されることになる。
【0380】そして、プリチャージフラグFpが0にリ
セットされると、ステップS294で、第1に、タービ
ン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否
か、第2に、フィードバックフラグFfが1になった時
(図74のステップS282)にセットされたバックア
ップタイマの設定時間T21が経過したか否か、又は、
第3に、タービン回転変化率dNtが所定値K17を超
えたか否かを判定し、これら3つの条件のうちの少なく
ともいずれか一つが満足されるまでは、ステップS29
5で、上記保持油圧Phに対応するデューティ率の信号
を第3DSV123に出力する。そして、上記条件の少
なくともいずれか一つが満足された時点で、ステップS
296,297に従って、デューティ率を一定割合で0
%まで減少させるのである。
セットされると、ステップS294で、第1に、タービ
ン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否
か、第2に、フィードバックフラグFfが1になった時
(図74のステップS282)にセットされたバックア
ップタイマの設定時間T21が経過したか否か、又は、
第3に、タービン回転変化率dNtが所定値K17を超
えたか否かを判定し、これら3つの条件のうちの少なく
ともいずれか一つが満足されるまでは、ステップS29
5で、上記保持油圧Phに対応するデューティ率の信号
を第3DSV123に出力する。そして、上記条件の少
なくともいずれか一つが満足された時点で、ステップS
296,297に従って、デューティ率を一定割合で0
%まで減少させるのである。
【0381】ここで、上記ステップS294における各
判定条件の意義について図77のタイムチャートを参照
しながら説明する。
判定条件の意義について図77のタイムチャートを参照
しながら説明する。
【0382】まず、第1の条件は、図53のステップS
144に示すトルクディマンドの場合と同様、タービン
回転数Ntが実際に変速終了時の回転数Ntoに近づい
たときにフォワードクラッチ51を締結させるものであ
り、この場合は、図77において、フォワードクラッチ
圧Fwは符号Xの時点で立ち上がる。
144に示すトルクディマンドの場合と同様、タービン
回転数Ntが実際に変速終了時の回転数Ntoに近づい
たときにフォワードクラッチ51を締結させるものであ
り、この場合は、図77において、フォワードクラッチ
圧Fwは符号Xの時点で立ち上がる。
【0383】一方、第2の条件は、タービン回転数Nt
が上昇を開始してから設定時間T21経過後には、必ず
フォワードクラッチ51の締結動作を開始させるもので
あり、この場合は、図77において、フォワードクラッ
チ圧Fwは例えば符号Yの時点で立ち上がる。
が上昇を開始してから設定時間T21経過後には、必ず
フォワードクラッチ51の締結動作を開始させるもので
あり、この場合は、図77において、フォワードクラッ
チ圧Fwは例えば符号Yの時点で立ち上がる。
【0384】なお、このとき、車速Vが低いときほど、
また、急激なブレーキングの結果、車速Vの変化率、つ
まり減速度が大きいときほど、図77に鎖線mで示すよ
うに、変速後のタービン回転数Ntoが小さくなって、
変速時間が短くなるので、上記時間T21は、変速指令
の出力時の車速Vが低いほど、またその減速度が大きい
ほど、図中に鎖線で示すように短くなるように設定す
る。これにより、フォワードクラッチ51の締結動作の
遅れが回避されることになる。
また、急激なブレーキングの結果、車速Vの変化率、つ
まり減速度が大きいときほど、図77に鎖線mで示すよ
うに、変速後のタービン回転数Ntoが小さくなって、
変速時間が短くなるので、上記時間T21は、変速指令
の出力時の車速Vが低いほど、またその減速度が大きい
ほど、図中に鎖線で示すように短くなるように設定す
る。これにより、フォワードクラッチ51の締結動作の
遅れが回避されることになる。
【0385】そして、第3の条件は、このような急激な
ブレーキングの結果、変速時間が極端に短くなって、上
記の変速終了直前回転数やバックアップタイマが意味を
なさず、有効に機能を果たすことができなくなった場合
に対処するものであり、タービン回転数Ntが符号モで
示すように上昇を開始した時と殆ど同時にフォワードク
ラッチ51を締結し始めるものである。
ブレーキングの結果、変速時間が極端に短くなって、上
記の変速終了直前回転数やバックアップタイマが意味を
なさず、有効に機能を果たすことができなくなった場合
に対処するものであり、タービン回転数Ntが符号モで
示すように上昇を開始した時と殆ど同時にフォワードク
ラッチ51を締結し始めるものである。
【0386】したがって、この図76のプログラムのよ
うに、常にこれら3つの判定条件のいずれか一つが満足
したときに、フォワードクラッチ圧Fwを立ち上げるよ
うにしてもよく、あるいは、車速Vもしくは減速度に応
じて条件を選択するようにしてもよい。
うに、常にこれら3つの判定条件のいずれか一つが満足
したときに、フォワードクラッチ圧Fwを立ち上げるよ
うにしてもよく、あるいは、車速Vもしくは減速度に応
じて条件を選択するようにしてもよい。
【0387】また、このコーストダウン変速制御の趣旨
から、図71におけるステップS263の所定値K16
は、変速後のタービン回転数Ntoがエンジン回転数N
eよりも低くなるような車速に設定されるのであるが、
この場合のエンジン回転数Neは、変速直前のエンジン
回転数、変速中のエンジン回転数、もしくは変速後のエ
ンジン回転数のいずれと比較してもよい。
から、図71におけるステップS263の所定値K16
は、変速後のタービン回転数Ntoがエンジン回転数N
eよりも低くなるような車速に設定されるのであるが、
この場合のエンジン回転数Neは、変速直前のエンジン
回転数、変速中のエンジン回転数、もしくは変速後のエ
ンジン回転数のいずれと比較してもよい。
【0388】ただし、変速前のエンジン回転数を比較に
用いる場合であって、特に減速度が大きいときは、スロ
ットル開度が全閉となってから変速指令が出力されるま
での間に、該エンジン回転数も比較的大きく低下してい
るので、その減速度に応じて上記エンジン回転数を補正
することが好ましい。これにより、このコーストダウン
変速制御がさらに良好に行なわれることになる。
用いる場合であって、特に減速度が大きいときは、スロ
ットル開度が全閉となってから変速指令が出力されるま
での間に、該エンジン回転数も比較的大きく低下してい
るので、その減速度に応じて上記エンジン回転数を補正
することが好ましい。これにより、このコーストダウン
変速制御がさらに良好に行なわれることになる。
【0389】したがって、この(2)の項の冒頭でも述
べたように、一般に、ダウンシフト変速時にはタービン
回転数を変速後の回転数まで上昇させる制御を行なうの
であるが、摩擦要素の掛け替え動作を伴う場合におけ
る、上記制御を解放側摩擦要素の解放動作で行なうのか
又は締結側摩擦要素の締結動作で行なうのかの判断は、
上記図71のプログラムのようにスロットル開度及び車
速で判定する以外にも、変速後のタービン回転数とエン
ジン回転数とを直接比較することによっても判定するこ
とができる。
べたように、一般に、ダウンシフト変速時にはタービン
回転数を変速後の回転数まで上昇させる制御を行なうの
であるが、摩擦要素の掛け替え動作を伴う場合におけ
る、上記制御を解放側摩擦要素の解放動作で行なうのか
又は締結側摩擦要素の締結動作で行なうのかの判断は、
上記図71のプログラムのようにスロットル開度及び車
速で判定する以外にも、変速後のタービン回転数とエン
ジン回転数とを直接比較することによっても判定するこ
とができる。
【0390】次に、この場合の制御動作を図78に示す
フローチャートに従って説明する。まず、4−3変速指
令が出力されたときに、ステップS301,S302,
S303で、それぞれエンジン回転数Ne、変速後のタ
ービン回転数Nt、及び減速度Gを検出したのち、ステ
ップS304で、この減速度Gが例えば急激なブレーキ
ング等が行なわれて所定値K18より大きいか否かを判
定する。
フローチャートに従って説明する。まず、4−3変速指
令が出力されたときに、ステップS301,S302,
S303で、それぞれエンジン回転数Ne、変速後のタ
ービン回転数Nt、及び減速度Gを検出したのち、ステ
ップS304で、この減速度Gが例えば急激なブレーキ
ング等が行なわれて所定値K18より大きいか否かを判
定する。
【0391】そして、減速度Gが所定値K18より大き
いときは、ステップS305で、エンジンのアイドル回
転数をエンジン回転数Neとしたうえで、ステップS3
06で、変速後タービン回転数Ntがこのエンジン回転
数Neより小さいか否かを判定する。一方、減速度Gが
所定値K18以下のときには、上記ステップS301で
検出したエンジン回転数NeをそのままこのステップS
306の比較に用いる。
いときは、ステップS305で、エンジンのアイドル回
転数をエンジン回転数Neとしたうえで、ステップS3
06で、変速後タービン回転数Ntがこのエンジン回転
数Neより小さいか否かを判定する。一方、減速度Gが
所定値K18以下のときには、上記ステップS301で
検出したエンジン回転数NeをそのままこのステップS
306の比較に用いる。
【0392】その結果、変速後のタービン回転数Ntが
エンジン回転数Ne以上の場合には、ステップS307
でトルクディマンドの変速制御を行ない、逆に変速後の
タービン回転数Ntがエンジン回転数Ne未満の場合に
は、ステップS308で一般のコーストダウンの変速制
御を行なうことになる。
エンジン回転数Ne以上の場合には、ステップS307
でトルクディマンドの変速制御を行ない、逆に変速後の
タービン回転数Ntがエンジン回転数Ne未満の場合に
は、ステップS308で一般のコーストダウンの変速制
御を行なうことになる。
【0393】(C)変速後タービン回転数の補正制御 以上説明したように、ダウンシフトの変速制御において
は、変速動作の終了直前におけるイナーシャフェーズか
らトルクフェーズへの移行時期を、タービン回転数Nt
が変速後の回転数Nt0より所定値ΔNt低い回転数
(変速終了直前回転数)まで上昇した時点に設定してい
るが、このように、変速終了後の回転数Nt0を制御に
用いる場合、これをどのように設定するかが問題とな
る。
は、変速動作の終了直前におけるイナーシャフェーズか
らトルクフェーズへの移行時期を、タービン回転数Nt
が変速後の回転数Nt0より所定値ΔNt低い回転数
(変速終了直前回転数)まで上昇した時点に設定してい
るが、このように、変速終了後の回転数Nt0を制御に
用いる場合、これをどのように設定するかが問題とな
る。
【0394】つまり、変速動作中、車速即ち変速機の出
力回転数が一定であれば、変速前のタービン回転数をN
ti、変速前のギヤ比をGi、変速後のギヤ比をGfと
したとき、変速後のタービン回転数Ntf(=Nt0)
は、次式64で求められるが、トルクディマンドのダウ
ンシフト変速時のように、変速動作が加速状態のもとで
行われる場合、この変速中の車速の増加分を考慮して変
速終了後のタービン回転数を補正する必要があるのであ
る。
力回転数が一定であれば、変速前のタービン回転数をN
ti、変速前のギヤ比をGi、変速後のギヤ比をGfと
したとき、変速後のタービン回転数Ntf(=Nt0)
は、次式64で求められるが、トルクディマンドのダウ
ンシフト変速時のように、変速動作が加速状態のもとで
行われる場合、この変速中の車速の増加分を考慮して変
速終了後のタービン回転数を補正する必要があるのであ
る。
【0395】
【式64】Ntf=Nti×(Gf/Gi) この加速による変速後タービン回転数Ntfの補正は、
変速直前のタービン回転変化率dNt0に応じた増加分
Ntf1と、変速動作中におけるタービントルクTtの
増加に応じた増加分Ntf2とに分けて考えることがで
き、それぞれ式65、式66で求められる。
変速直前のタービン回転変化率dNt0に応じた増加分
Ntf1と、変速動作中におけるタービントルクTtの
増加に応じた増加分Ntf2とに分けて考えることがで
き、それぞれ式65、式66で求められる。
【0396】
【式65】Ntf1=dNt0×t×(Gf/Gi)
【0397】
【式66】Ntf2=[∫{(Tt−Tti)−I×
(dNt−dNti)}dt]×C ここで、式65におけるtはタービン回転変化率dNt
が所定値dNtxを超えた時点(変速動作の開始時点)
から現時点までの経過時間である。また、式66におけ
るTtiは変速直前のタービントルク、dNtiは変速
直前のタービン回転変化率であり、また、係数Iはター
ビンの慣性質量、係数CはタービントルクTtをタービ
ン回転変化率dNtに換算する係数であって、次式67
で示されるものである。
(dNt−dNti)}dt]×C ここで、式65におけるtはタービン回転変化率dNt
が所定値dNtxを超えた時点(変速動作の開始時点)
から現時点までの経過時間である。また、式66におけ
るTtiは変速直前のタービントルク、dNtiは変速
直前のタービン回転変化率であり、また、係数Iはター
ビンの慣性質量、係数CはタービントルクTtをタービ
ン回転変化率dNtに換算する係数であって、次式67
で示されるものである。
【0398】
【式67】 C=(60×Gi×Gf×GF2)/(2πR2×M) ここで、GFは当該車両の終減速比、Rは有効タイヤ半
径、Mは車両重量である。
径、Mは車両重量である。
【0399】上記式65は、変速によるギヤ比の変化が
ないものとしたときに、変速直前のタービン回転変化率
dNt0により変速動作の開始時から現時点までに増加
するタービン回転数(dNt0×t)を、変速前後のギ
ヤ比Gi,Gfの比を用いて変速後の回転数の増加分に
換算したものである。
ないものとしたときに、変速直前のタービン回転変化率
dNt0により変速動作の開始時から現時点までに増加
するタービン回転数(dNt0×t)を、変速前後のギ
ヤ比Gi,Gfの比を用いて変速後の回転数の増加分に
換算したものである。
【0400】また、式66は、変速動作の開始時のター
ビントルクTtiに対する現時点のタービントルクの増
加分[Tt−Tti]から、タービンの回転変化に費や
された分[I×(dNt−dNti)]を差し引き、そ
の残りのトルクが車速の増加に寄与したものとして、こ
の車速の増加分からタービン回転数の増加分を求めるも
のである。
ビントルクTtiに対する現時点のタービントルクの増
加分[Tt−Tti]から、タービンの回転変化に費や
された分[I×(dNt−dNti)]を差し引き、そ
の残りのトルクが車速の増加に寄与したものとして、こ
の車速の増加分からタービン回転数の増加分を求めるも
のである。
【0401】そして、次式68に示すように、式64で
算出した変速後のタービン回転数Ntfをベース回転数
Ntf0とし、これを上記の各タービン回転数増加分N
tf1,Ntf2を用いて補正することにより、変速後
のタービン回転数Ntfを求めるのである。
算出した変速後のタービン回転数Ntfをベース回転数
Ntf0とし、これを上記の各タービン回転数増加分N
tf1,Ntf2を用いて補正することにより、変速後
のタービン回転数Ntfを求めるのである。
【0402】
【式68】Ntf=Ntf0+Ntf2+Ntf2 次に、この変速後タービン回転数の補正制御の具体的動
作を図79に示すプログラムにしたがって説明する。
作を図79に示すプログラムにしたがって説明する。
【0403】まず、変速指令が出力された後に、初めて
このプログラムに入ったときは、ステップS311から
S312に移って、イニシャライズとして、カウンタi
をリセットすると共に、その時点のタービン回転数Nt
及びタービントルクTtを、変速前のそれぞれの値Nt
i,Ntiとしてセットし、また、その変速前タービン
回転数Ntiから変速後のベースタービン回転数Ntf
0を算出する。
このプログラムに入ったときは、ステップS311から
S312に移って、イニシャライズとして、カウンタi
をリセットすると共に、その時点のタービン回転数Nt
及びタービントルクTtを、変速前のそれぞれの値Nt
i,Ntiとしてセットし、また、その変速前タービン
回転数Ntiから変速後のベースタービン回転数Ntf
0を算出する。
【0404】次に、ステップS313で、上記カウンタ
iに1を加算すると共に、ステップS314で、該カウ
ンタ値iが所定値i0より大きくなったか否かを判定す
る。つまり、変速指令の出力後、所定時間が経過したか
否かを判定するのである。
iに1を加算すると共に、ステップS314で、該カウ
ンタ値iが所定値i0より大きくなったか否かを判定す
る。つまり、変速指令の出力後、所定時間が経過したか
否かを判定するのである。
【0405】そして、この所定時間が経過する前は、さ
らにステップS315で、タービン回転変化率dNtが
所定値dNtxより大きくなったか否か、即ち、変速動
作が開始されてタービン回転数Ntの上昇が開始された
か否かを判定し、その開始前は、ステップS316で、
その時点のタービン回転変化率dNtを変速直前変化率
dNtiに設定すると共に、第1、第2補正量、即ち前
述の式65、式66で求められるタービン回転数の増加
分Ntf1,Ntf2をいずれも0とする。
らにステップS315で、タービン回転変化率dNtが
所定値dNtxより大きくなったか否か、即ち、変速動
作が開始されてタービン回転数Ntの上昇が開始された
か否かを判定し、その開始前は、ステップS316で、
その時点のタービン回転変化率dNtを変速直前変化率
dNtiに設定すると共に、第1、第2補正量、即ち前
述の式65、式66で求められるタービン回転数の増加
分Ntf1,Ntf2をいずれも0とする。
【0406】その後、変速指令の出力後、所定時間が経
過し、又はタービン回転変化率dNtが所定値dNtx
より大きくなると、ステップS317に進んで、現時点
で算出される変速後のタービン回転数の補正量Ntf
1,Ntf2を算出する。なお、図中、このステップS
317において、Tsとは当該プログラムの制御サイク
ルである。そして、次にステップS318でこの補正量
Ntf1,Ntf2を変速後のベースタービン回転数N
tf0に加算することにより、変速後のタービン回転数
Ntfが求められることになる。
過し、又はタービン回転変化率dNtが所定値dNtx
より大きくなると、ステップS317に進んで、現時点
で算出される変速後のタービン回転数の補正量Ntf
1,Ntf2を算出する。なお、図中、このステップS
317において、Tsとは当該プログラムの制御サイク
ルである。そして、次にステップS318でこの補正量
Ntf1,Ntf2を変速後のベースタービン回転数N
tf0に加算することにより、変速後のタービン回転数
Ntfが求められることになる。
【0407】なお、このようにして求められた変速後の
タービン回転数は、例えば前記図78のステップS30
2等において用いられることになる。
タービン回転数は、例えば前記図78のステップS30
2等において用いられることになる。
【0408】(D)フェールセーフ機能 次に、この実施の形態に係る自動変速機10のフェール
セーフ機能について説明する。
セーフ機能について説明する。
【0409】(1)シフトバルブ又はソレノイドバルブ
の作動不具合に関するフェールセーフ機能 図1の骨子図に示すトルクコンバータ20は、具体的に
は図80に示すように構成されており、これを詳しく説
明すると、このトルクコンバータ20は、エンジン出力
軸1に取り付けられたケース21内の反エンジン側の半
部に該ケース21に一体的に設けられた多数の羽根でな
るポンプ22と、ケース21内のエンジン側の半部に該
ケース21に対して回転自在にかつ上記ポンプ22に対
向させて配置された同じく多数の羽根でなるタービン2
3と、該ポンプ22とタービン23との間の内周部に配
置されて、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24
を介して支持されて所定方向にのみ回転可能とされた同
じく多数の羽根でなるステータ25とを有する。そし
て、上記タービン23のボス23aがタービンシャフト
27にスプライン結合され、該タービンシャフト27を
介してタービン23の回転が反エンジン側に取り出され
るようになっている。
の作動不具合に関するフェールセーフ機能 図1の骨子図に示すトルクコンバータ20は、具体的に
は図80に示すように構成されており、これを詳しく説
明すると、このトルクコンバータ20は、エンジン出力
軸1に取り付けられたケース21内の反エンジン側の半
部に該ケース21に一体的に設けられた多数の羽根でな
るポンプ22と、ケース21内のエンジン側の半部に該
ケース21に対して回転自在にかつ上記ポンプ22に対
向させて配置された同じく多数の羽根でなるタービン2
3と、該ポンプ22とタービン23との間の内周部に配
置されて、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24
を介して支持されて所定方向にのみ回転可能とされた同
じく多数の羽根でなるステータ25とを有する。そし
て、上記タービン23のボス23aがタービンシャフト
27にスプライン結合され、該タービンシャフト27を
介してタービン23の回転が反エンジン側に取り出され
るようになっている。
【0410】また、ケース21内には、上記タービン2
3と一体回転し、かつ、該タービン23に対して軸方向
にスライド可能となるようにロックアップクラッチ26
が内蔵されている。このロックアップクラッチ26は、
ケース21のエンジン側の平面部21aに対向するよう
に配置されており、該ロックアップクラッチ26が上記
ケース平面部21aに締結されたときに、該ケース21
を介してエンジン出力軸1とタービンシャフト27とが
結合されるようになっている。
3と一体回転し、かつ、該タービン23に対して軸方向
にスライド可能となるようにロックアップクラッチ26
が内蔵されている。このロックアップクラッチ26は、
ケース21のエンジン側の平面部21aに対向するよう
に配置されており、該ロックアップクラッチ26が上記
ケース平面部21aに締結されたときに、該ケース21
を介してエンジン出力軸1とタービンシャフト27とが
結合されるようになっている。
【0411】そして、エンジン出力軸1によりケース2
1を介してポンプ22が駆動されたときに、該ポンプ2
2側の作動油が遠心力により外周側に押し流されると共
に、矢印Aで示すように、この作動油がタービン23に
外周側から内周側に向けて流入することにより、該ター
ビン23に駆動力が与えられる。その場合に、タービン
回転数Ntのポンプ回転数(即ちエンジン回転数Ne)
に対する比、即ち速度比e(=Nt/Ne)が所定値以
下のときには、上記ステータ25がワンウェイクラッチ
24によってロックされて作動油の流れに反力を与える
ことにより、ポンプ22側のトルクを増大してタービン
23に伝達するようになっている。
1を介してポンプ22が駆動されたときに、該ポンプ2
2側の作動油が遠心力により外周側に押し流されると共
に、矢印Aで示すように、この作動油がタービン23に
外周側から内周側に向けて流入することにより、該ター
ビン23に駆動力が与えられる。その場合に、タービン
回転数Ntのポンプ回転数(即ちエンジン回転数Ne)
に対する比、即ち速度比e(=Nt/Ne)が所定値以
下のときには、上記ステータ25がワンウェイクラッチ
24によってロックされて作動油の流れに反力を与える
ことにより、ポンプ22側のトルクを増大してタービン
23に伝達するようになっている。
【0412】また、上記ロックアップクラッチ26は、
ケース21内における該クラッチ26の背部の室、即ち
リヤ室26a内の作動油の圧力によりケース平面部21
aに対して締結方向に付勢されていると共に、該ロック
アップクラッチ26とケース平面部21aとの間に設け
られた室、即ちフロント室26bに供給される作動圧に
より解放され、また、このフロント室26bに供給され
る作動圧を調整することにより、スリップ状態に制御さ
れるようになっている。
ケース21内における該クラッチ26の背部の室、即ち
リヤ室26a内の作動油の圧力によりケース平面部21
aに対して締結方向に付勢されていると共に、該ロック
アップクラッチ26とケース平面部21aとの間に設け
られた室、即ちフロント室26bに供給される作動圧に
より解放され、また、このフロント室26bに供給され
る作動圧を調整することにより、スリップ状態に制御さ
れるようになっている。
【0413】そして、この実施の形態においては、3速
及び4速で、このロックアップクラッチ26が締結され
るようになっており、これら3速ロックアップ時(3L
U)及び4速ロックアップ時(4LU)を含めた第1、
第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜
123の各変速段ごとの作動状態の組合せ(ソレノイド
パターン)を改めて示すと、次の表4のようになる。
及び4速で、このロックアップクラッチ26が締結され
るようになっており、これら3速ロックアップ時(3L
U)及び4速ロックアップ時(4LU)を含めた第1、
第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜
123の各変速段ごとの作動状態の組合せ(ソレノイド
パターン)を改めて示すと、次の表4のようになる。
【0414】なお、この表4において、3速ロックアッ
プ時及び4速ロックアップ時の第3DSV123につい
ての(□)は、所定の中間デューティ率により上流側の
油圧を元圧として調整した油圧を下流側に供給している
状態を示す。
プ時及び4速ロックアップ時の第3DSV123につい
ての(□)は、所定の中間デューティ率により上流側の
油圧を元圧として調整した油圧を下流側に供給している
状態を示す。
【0415】
【表4】 なお、すでに説明した1〜4速では、いずれの場合もロ
ックアップコントロールバルブ106のスプールが右側
に位置していることにより、コンバータリリーフバルブ
109からライン233を介して供給される一定圧は、
ライン229を介してロックアップクラッチ26のフロ
ント室26bに供給され、該ロックアップクラッチ26
は解放された状態にある。
ックアップコントロールバルブ106のスプールが右側
に位置していることにより、コンバータリリーフバルブ
109からライン233を介して供給される一定圧は、
ライン229を介してロックアップクラッチ26のフロ
ント室26bに供給され、該ロックアップクラッチ26
は解放された状態にある。
【0416】そして、これが3速ロックアップ時及び4
速ロックアップ時には、ロックアップコントロールバル
ブ106のスプールが左側に移動することにより、コン
バータリリーフバルブ109からライン233を介して
供給される上記一定圧がライン234を介してロックア
ップクラッチ26のリア室26aに供給されるようにな
る。
速ロックアップ時には、ロックアップコントロールバル
ブ106のスプールが左側に移動することにより、コン
バータリリーフバルブ109からライン233を介して
供給される上記一定圧がライン234を介してロックア
ップクラッチ26のリア室26aに供給されるようにな
る。
【0417】まず3速ロックアップの状態から説明する
と、表4及び図81に示すように、この3速ロックアッ
プ時には、上記の3速の状態に加えてさらに第2SV1
12が作動すると共に、第3DSV123がデューティ
率0%(OFF)の状態から所定のデューティ率に制御
される状態となる。すなわち、第2出力ライン212か
らのライン圧をそのままライン228を介して下流側に
供給するのではなく、該ライン圧を元圧として所定の中
間デューティ率で調整した油圧を下流側に供給するよう
になる。
と、表4及び図81に示すように、この3速ロックアッ
プ時には、上記の3速の状態に加えてさらに第2SV1
12が作動すると共に、第3DSV123がデューティ
率0%(OFF)の状態から所定のデューティ率に制御
される状態となる。すなわち、第2出力ライン212か
らのライン圧をそのままライン228を介して下流側に
供給するのではなく、該ライン圧を元圧として所定の中
間デューティ率で調整した油圧を下流側に供給するよう
になる。
【0418】そして、第2SV112が作動することに
より、ライン202(レデューシングバルブ108)か
らの一定圧を元圧とする作動圧が生成され、この作動圧
がライン206、バイパスバルブ104、ライン207
を介してロックアップコントロールバルブ106の制御
ポート106aに供給されて、該バルブ106のスプー
ルが左側に移動することになる。
より、ライン202(レデューシングバルブ108)か
らの一定圧を元圧とする作動圧が生成され、この作動圧
がライン206、バイパスバルブ104、ライン207
を介してロックアップコントロールバルブ106の制御
ポート106aに供給されて、該バルブ106のスプー
ルが左側に移動することになる。
【0419】このスプールの移動により、コンバータリ
リーフバルブ109からライン233を介して供給され
る上記一定圧の油路が切り換わり、ライン229を介し
てロックアップクラッチ26のフロント室26bに供給
されていたものが、ライン234を介して該クラッチ2
6のリア室26aに供給されるようになる。
リーフバルブ109からライン233を介して供給され
る上記一定圧の油路が切り換わり、ライン229を介し
てロックアップクラッチ26のフロント室26bに供給
されていたものが、ライン234を介して該クラッチ2
6のリア室26aに供給されるようになる。
【0420】さらに、同じくこのスプールの移動によ
り、第3DSV123からライン228を介して供給さ
れる作動圧の油路も切り換わり、フォワードクラッチラ
イン219を介してフォワードクラッチ51に供給され
ていたものが、ライン229を介してロックアップクラ
ッチ26のフロント室26bに供給されるようになる。
そして、この場合に、上記のように第3DSV123の
デューティ率が0%ではなく所定の中間デューティ率に
制御されるので、ロックアップクラッチ26のフロント
室26bには、この第3DSV123で所定の油圧に調
整された制御圧が供給されることになって、これによ
り、上記ロックアップクラッチ26が締結又はスリップ
状態に制御されることになる。
り、第3DSV123からライン228を介して供給さ
れる作動圧の油路も切り換わり、フォワードクラッチラ
イン219を介してフォワードクラッチ51に供給され
ていたものが、ライン229を介してロックアップクラ
ッチ26のフロント室26bに供給されるようになる。
そして、この場合に、上記のように第3DSV123の
デューティ率が0%ではなく所定の中間デューティ率に
制御されるので、ロックアップクラッチ26のフロント
室26bには、この第3DSV123で所定の油圧に調
整された制御圧が供給されることになって、これによ
り、上記ロックアップクラッチ26が締結又はスリップ
状態に制御されることになる。
【0421】一方、同じくロックアップコントロールバ
ルブ106のスプールの移動により、フォワードクラッ
チ51にフォワードクラッチライン219を介して供給
されるフォワードクラッチ圧の油路も切り換わり、第2
出力ライン212から第3DSV123、ライン22
8、ロックアップコントロールバルブ106を介して供
給されていたものが、第2出力ライン212から3−4
シフトバルブ105、ライン218、ロックアップコン
トロールバルブ106を経て供給されるようになる。こ
れにより、3速の変速段が維持される。
ルブ106のスプールの移動により、フォワードクラッ
チ51にフォワードクラッチライン219を介して供給
されるフォワードクラッチ圧の油路も切り換わり、第2
出力ライン212から第3DSV123、ライン22
8、ロックアップコントロールバルブ106を介して供
給されていたものが、第2出力ライン212から3−4
シフトバルブ105、ライン218、ロックアップコン
トロールバルブ106を経て供給されるようになる。こ
れにより、3速の変速段が維持される。
【0422】また4速ロックアップ時には、同様に、表
4及び図82に示すように、上記の4速の状態に加えて
さらに第2SV112が作動すると共に、第3DSV1
23がデューティ制御状態で作動する。これにより、3
速ロックアップ時と同様、ロックアップコントロールバ
ルブ106のスプールが左側に移動し、その結果、コン
バータリリーフバルブ109からライン233を介して
供給される上記一定圧がライン234を介してロックア
ップクラッチ26のリア室26aに供給され、また第3
DSV123で調整された制御圧がライン228、ロッ
クアップコントロールバルブ106、ライン229を介
してロックアップクラッチ26のフロント室26bに供
給されて、4速の変速段が維持されたまま、上記ロック
アップクラッチ26が締結又はスリップ状態に制御され
ることになる。
4及び図82に示すように、上記の4速の状態に加えて
さらに第2SV112が作動すると共に、第3DSV1
23がデューティ制御状態で作動する。これにより、3
速ロックアップ時と同様、ロックアップコントロールバ
ルブ106のスプールが左側に移動し、その結果、コン
バータリリーフバルブ109からライン233を介して
供給される上記一定圧がライン234を介してロックア
ップクラッチ26のリア室26aに供給され、また第3
DSV123で調整された制御圧がライン228、ロッ
クアップコントロールバルブ106、ライン229を介
してロックアップクラッチ26のフロント室26bに供
給されて、4速の変速段が維持されたまま、上記ロック
アップクラッチ26が締結又はスリップ状態に制御され
ることになる。
【0423】ここで、上記各バルブ103〜107のス
プールはそれぞれスプリングにより制御ポート103a
〜107aの方向に付勢されている。これらの各バルブ
の変速段ごとのスプールの位置(作動パターン)をスプ
リングの状態で表すと次の表5のようになる。なお、表
中、(伸)はスプールの位置がスプリングの伸び側、す
なわち3−4シフトバルブ105においては左側、他は
右側であることを示し、(縮)はスプールの位置がスプ
リングの縮み側、すなわち3−4シフトバルブ105に
おいては右側、他は左側であることを示す。
プールはそれぞれスプリングにより制御ポート103a
〜107aの方向に付勢されている。これらの各バルブ
の変速段ごとのスプールの位置(作動パターン)をスプ
リングの状態で表すと次の表5のようになる。なお、表
中、(伸)はスプールの位置がスプリングの伸び側、す
なわち3−4シフトバルブ105においては左側、他は
右側であることを示し、(縮)はスプールの位置がスプ
リングの縮み側、すなわち3−4シフトバルブ105に
おいては右側、他は左側であることを示す。
【0424】
【表5】 ところで、上記各バルブ103〜107(以下、これら
を適宜「シフトバルブ」と総称する。)のスプールが引
っ掛かりを起こしたり、又はスプリングがこじれたり損
傷して移動不能となると、指令された変速段が実現しな
くなる場合がある。
を適宜「シフトバルブ」と総称する。)のスプールが引
っ掛かりを起こしたり、又はスプリングがこじれたり損
傷して移動不能となると、指令された変速段が実現しな
くなる場合がある。
【0425】例えば、4速においては、第1SV111
の作動により、ライン201からの一定圧がライン20
3、リレーバルブ107、ライン205を介して3−4
シフトバルブ105の制御ポート105aに供給され
て、該3−4シフトバルブ105のスプールは縮み側
(右側)に移動していなければならないが、これが何等
かの理由で伸び側(左側)にスティックすると、図83
に示すように、2−4ブレーキ54の解放室54bにサ
ーボリリース圧が供給されることになって、該2−4ブ
レーキ54が解放され、3−4クラッチ53だけが締結
した状態となり走行できない。
の作動により、ライン201からの一定圧がライン20
3、リレーバルブ107、ライン205を介して3−4
シフトバルブ105の制御ポート105aに供給され
て、該3−4シフトバルブ105のスプールは縮み側
(右側)に移動していなければならないが、これが何等
かの理由で伸び側(左側)にスティックすると、図83
に示すように、2−4ブレーキ54の解放室54bにサ
ーボリリース圧が供給されることになって、該2−4ブ
レーキ54が解放され、3−4クラッチ53だけが締結
した状態となり走行できない。
【0426】また、同じく4速において、バイパスバル
ブ104のスプールは伸び側(右側)に移動していなけ
ればならないが、これが縮み側(左側)にスティックす
ると、図84に示すように、3−4クラッチ圧が3−4
クラッチライン227を介してドレンされることになっ
て、該3−4クラッチ53が解放され、2−4ブレーキ
54だけが締結した状態となりやはり走行できない。
ブ104のスプールは伸び側(右側)に移動していなけ
ればならないが、これが縮み側(左側)にスティックす
ると、図84に示すように、3−4クラッチ圧が3−4
クラッチライン227を介してドレンされることになっ
て、該3−4クラッチ53が解放され、2−4ブレーキ
54だけが締結した状態となりやはり走行できない。
【0427】特に、このようなシフトバルブのスティッ
クによって、高速変速段への変速が指令されたときに、
エンジンブレーキが作動するローリバースブレーキ55
が締結されたりすると、出力軸回転数が著しく変動し、
車速が急減すると共に大きなショックが生じる。
クによって、高速変速段への変速が指令されたときに、
エンジンブレーキが作動するローリバースブレーキ55
が締結されたりすると、出力軸回転数が著しく変動し、
車速が急減すると共に大きなショックが生じる。
【0428】そこで、この実施の形態に係る自動変速機
10においては、次の表6、表7に示すように、上記各
バルブ103〜107のスプールがスプリングの伸び側
又は縮み側にスティックした場合に実現する摩擦要素の
作動状態(実変速段)と各指令変速段との対応関係がコ
ントローラ300にメモリされており、該コントローラ
300は指令した変速段と実変速段との一致、又は不一
致からシフトバルブ103〜107のスティック状態を
検出し、その検出結果に応じて、上記のように不具合の
発生する変速段への変速指令を禁止するようになってい
る。なお、表中の数字は実現する変速段を示し、「0」
は中立状態で走行不能を示す。また、「1LU」は、1
速でのロックアップ状態であることを示す。
10においては、次の表6、表7に示すように、上記各
バルブ103〜107のスプールがスプリングの伸び側
又は縮み側にスティックした場合に実現する摩擦要素の
作動状態(実変速段)と各指令変速段との対応関係がコ
ントローラ300にメモリされており、該コントローラ
300は指令した変速段と実変速段との一致、又は不一
致からシフトバルブ103〜107のスティック状態を
検出し、その検出結果に応じて、上記のように不具合の
発生する変速段への変速指令を禁止するようになってい
る。なお、表中の数字は実現する変速段を示し、「0」
は中立状態で走行不能を示す。また、「1LU」は、1
速でのロックアップ状態であることを示す。
【0429】
【表6】
【0430】
【表7】 表示したように、この自動変速機10においては、1〜
3速への変速指令時に各シフトバルブ103〜107が
スプリング伸び側にスティックしても該1〜3速が得ら
れ問題はない。また、1〜3速への変速指令時に各シフ
トバルブ103〜107がスプリング縮み側にスティッ
クした場合は、2速、3速で1速が得られることもある
が走行不能とはならず、非常時においては許容し得る。
しかし、4速、及び3速、4速ロックアップ時に、シフ
トバルブ103〜107がスティックすると、中立状
態、又は1速でのロックアップ状態となる場合が生じ
て、走行不能、又は急激にエンジンブレーキが作動して
特に問題となる。そこで、コントローラ300は、図8
5に示すフローチャートに従ってバルブスティック時の
変速禁止制御を行なう。
3速への変速指令時に各シフトバルブ103〜107が
スプリング伸び側にスティックしても該1〜3速が得ら
れ問題はない。また、1〜3速への変速指令時に各シフ
トバルブ103〜107がスプリング縮み側にスティッ
クした場合は、2速、3速で1速が得られることもある
が走行不能とはならず、非常時においては許容し得る。
しかし、4速、及び3速、4速ロックアップ時に、シフ
トバルブ103〜107がスティックすると、中立状
態、又は1速でのロックアップ状態となる場合が生じ
て、走行不能、又は急激にエンジンブレーキが作動して
特に問題となる。そこで、コントローラ300は、図8
5に示すフローチャートに従ってバルブスティック時の
変速禁止制御を行なう。
【0431】まずコントローラ300は、ステップS3
21で実測の変速ギア比(実変速段の変速ギア比)Gm
を次の式69に従って算出する。
21で実測の変速ギア比(実変速段の変速ギア比)Gm
を次の式69に従って算出する。
【0432】
【式69】 ここで、Ntはタービン回転センサ305で検出された
タービンシャフト27の回転数(タービン回転数)、G
fは作動装置70のギア比(ファイナルギア比)、Xは
車輪のタイヤ円周長である。
タービンシャフト27の回転数(タービン回転数)、G
fは作動装置70のギア比(ファイナルギア比)、Xは
車輪のタイヤ円周長である。
【0433】次にコントローラ300は、ステップS3
22で、最後に指令を出した変速段が3速であるか否か
を判定し、YESの場合は、ステップS323で、上記
の実変速ギア比Gmが3速の場合の変速ギア比と異なっ
ている状態が3秒以上継続しているか否かの判定を行な
って、YESの場合、つまり指令変速段と実変速段とが
一致していないときは、ステップS324、S325に
進んで4速への変速、及びロックアップを禁止する。こ
れにより、表7に示したように、例えばバイパスバルブ
104がスプリング縮み側にスティックした場合に、4
速の変速指令が出されて中立状態となり走行不能となる
ことが回避されることになる。
22で、最後に指令を出した変速段が3速であるか否か
を判定し、YESの場合は、ステップS323で、上記
の実変速ギア比Gmが3速の場合の変速ギア比と異なっ
ている状態が3秒以上継続しているか否かの判定を行な
って、YESの場合、つまり指令変速段と実変速段とが
一致していないときは、ステップS324、S325に
進んで4速への変速、及びロックアップを禁止する。こ
れにより、表7に示したように、例えばバイパスバルブ
104がスプリング縮み側にスティックした場合に、4
速の変速指令が出されて中立状態となり走行不能となる
ことが回避されることになる。
【0434】一方、コントローラ300は、ステップS
322で指令変速段が3速でないときは、ステップS3
26で、指令変速段が4速であるか否かを判定し、YE
Sの場合は、ステップS327で、実変速ギア比Gmが
4速の場合の変速ギア比と異なっている状態が3秒以上
継続しているか否かの判定を行なって、YESの場合、
つまり指令変速段と実変速段とが一致していないとき
は、上記のステップS324、S325に進んで同じく
4速への変速、及びロックアップを禁止する。より具体
的には、前回の変速段に戻すことになる。これにより、
表6に示したように、例えば3−4シフトバルブ105
もしくはリレーバルブ107がスプリング伸び側にステ
ィックした場合、又は表7に示したように、例えばロー
リバースバルブ103もしくはバイパスバルブ104が
スプリング縮み側にスティックした場合に、4速の変速
指令が出されて中立状態となり走行不能となることが回
避されることになる。
322で指令変速段が3速でないときは、ステップS3
26で、指令変速段が4速であるか否かを判定し、YE
Sの場合は、ステップS327で、実変速ギア比Gmが
4速の場合の変速ギア比と異なっている状態が3秒以上
継続しているか否かの判定を行なって、YESの場合、
つまり指令変速段と実変速段とが一致していないとき
は、上記のステップS324、S325に進んで同じく
4速への変速、及びロックアップを禁止する。より具体
的には、前回の変速段に戻すことになる。これにより、
表6に示したように、例えば3−4シフトバルブ105
もしくはリレーバルブ107がスプリング伸び側にステ
ィックした場合、又は表7に示したように、例えばロー
リバースバルブ103もしくはバイパスバルブ104が
スプリング縮み側にスティックした場合に、4速の変速
指令が出されて中立状態となり走行不能となることが回
避されることになる。
【0435】すなわち、コントローラ300は、一般的
制御動作として、指令変速段と実変速段とが一致してい
るかどうかを判定し、一致していないときは、その実変
速段を上記表6又は表7のバルブ作動パターンに当ては
めることにより、シフトバルブ103〜107のスティ
ック部位、つまり上記各バルブ103〜107のうちの
どのバルブがいずれの位置にスティックしているかを検
出することができる。そして、その検出されたスティッ
ク部位の状態において、指令変速段と、実現され得る変
速段とが異なることになる変速段を特定し、該特定変速
段への変速を禁止するのである。これにより、最大限自
動変速機としての機能を維持しながら、バルブスティッ
クというトラブルに対応することが可能となると共に、
走行安定性を損なわず保持することができる。
制御動作として、指令変速段と実変速段とが一致してい
るかどうかを判定し、一致していないときは、その実変
速段を上記表6又は表7のバルブ作動パターンに当ては
めることにより、シフトバルブ103〜107のスティ
ック部位、つまり上記各バルブ103〜107のうちの
どのバルブがいずれの位置にスティックしているかを検
出することができる。そして、その検出されたスティッ
ク部位の状態において、指令変速段と、実現され得る変
速段とが異なることになる変速段を特定し、該特定変速
段への変速を禁止するのである。これにより、最大限自
動変速機としての機能を維持しながら、バルブスティッ
クというトラブルに対応することが可能となると共に、
走行安定性を損なわず保持することができる。
【0436】なお、この場合における実変速段と指令変
速段との不一致は、上記フローチャートのステップS3
23に示したように両者の変速ギア比が異なることから
判定することもできるが、スロットル開度センサ302
で検出されたスロットル開度の変化率に対するタービン
回転数Ntの変化率から判定することもできる。これに
よれば、特に中立状態となった場合のエンジンの吹き上
がりから実変速段と指令変速段との不一致を効果的に検
出できることになる。
速段との不一致は、上記フローチャートのステップS3
23に示したように両者の変速ギア比が異なることから
判定することもできるが、スロットル開度センサ302
で検出されたスロットル開度の変化率に対するタービン
回転数Ntの変化率から判定することもできる。これに
よれば、特に中立状態となった場合のエンジンの吹き上
がりから実変速段と指令変速段との不一致を効果的に検
出できることになる。
【0437】ところで一方、上記第1、第2SV11
1,112、又は第1〜第3DSV121〜123のう
ち、いずれかが例えば駆動電気回路の断線等により作動
を停止してOFF状態となると、シフトバルブ103〜
107の位置が切り換わらず、これによっても所定の指
令変速段が得られなくなる場合がある。このようなトラ
ブルに対処するものとして、従来より、例えば特開昭6
2−177342号公報に開示されているように、この
ような状態を検知したときには全てのソレノイドバルブ
111,112,121〜123をOFF状態にして3
速を実現するようにしている(表4及び図8参照)。し
かしながら、例えば駆動電気回路がショート等を起こし
ていると、そのソレノイドバルブをOFF状態にするこ
とができなくなり、変速段が3速に切り換えられない場
合も生じ得る。
1,112、又は第1〜第3DSV121〜123のう
ち、いずれかが例えば駆動電気回路の断線等により作動
を停止してOFF状態となると、シフトバルブ103〜
107の位置が切り換わらず、これによっても所定の指
令変速段が得られなくなる場合がある。このようなトラ
ブルに対処するものとして、従来より、例えば特開昭6
2−177342号公報に開示されているように、この
ような状態を検知したときには全てのソレノイドバルブ
111,112,121〜123をOFF状態にして3
速を実現するようにしている(表4及び図8参照)。し
かしながら、例えば駆動電気回路がショート等を起こし
ていると、そのソレノイドバルブをOFF状態にするこ
とができなくなり、変速段が3速に切り換えられない場
合も生じ得る。
【0438】そこで、この実施の形態に係る自動変速機
10においては、図86に示すように、上記各ソレノイ
ドバルブ111,112,121〜123のオンオフ状
態と、そのとき実現する摩擦要素の作動状態(実変速
段)との対応関係がコントローラ300にメモリされて
おり、該コントローラ300は、指令した変速段と実変
速段との一致、又は不一致からソレノイドバルブ11
1,112,121〜123の作動異常を検出し、その
検出結果に応じて、走行可能な変速段を実現するソレノ
イドパターンを見出して、そのソレノイドパターンとな
るように各ソレノイドバルブ111,112,121〜
123を制御するようになっている。
10においては、図86に示すように、上記各ソレノイ
ドバルブ111,112,121〜123のオンオフ状
態と、そのとき実現する摩擦要素の作動状態(実変速
段)との対応関係がコントローラ300にメモリされて
おり、該コントローラ300は、指令した変速段と実変
速段との一致、又は不一致からソレノイドバルブ11
1,112,121〜123の作動異常を検出し、その
検出結果に応じて、走行可能な変速段を実現するソレノ
イドパターンを見出して、そのソレノイドパターンとな
るように各ソレノイドバルブ111,112,121〜
123を制御するようになっている。
【0439】なお、図中、「SOL1」、「SOL2」
はそれぞれ第1SV111、第2SV112を示し、
「DUTY1」〜「DUTY3」はそれぞれ第1DSV
121〜第3DSV123を示す。また、「0」は中立
状態で走行不能となることを示す。そして、第1、第2
SV111,112のオン(on)オフ(off)の組
み合わせからなる4つの各事象において、第1〜第3D
SV121〜123のオンオフの組み合わせからなる8
つの実現し得る変速段が示されている。
はそれぞれ第1SV111、第2SV112を示し、
「DUTY1」〜「DUTY3」はそれぞれ第1DSV
121〜第3DSV123を示す。また、「0」は中立
状態で走行不能となることを示す。そして、第1、第2
SV111,112のオン(on)オフ(off)の組
み合わせからなる4つの各事象において、第1〜第3D
SV121〜123のオンオフの組み合わせからなる8
つの実現し得る変速段が示されている。
【0440】図示したように、この自動変速機10にお
いては、全てのソレノイドバルブ111,112,12
1〜123をOFF状態とすると3速が実現する(符号
ア)。このとき、駆動回路のショート等により、第1、
第2SV111,112がON状態に留まっても、同様
に3速が得られる(符号イ、ウ)。また、第2、第3D
SV122,123がON状態に留まった場合もそれぞ
れ2速、3速が得られて走行を続けることができる(符
号エ、オ)。これに対し、第1DSV121がON状態
に留まった場合は(符号カ)、中立状態となって走行不
能となるため、問題となる。そこで、コントローラ30
0は、図87に示すフローチャートに従ってソレノイド
パターンを制御する。
いては、全てのソレノイドバルブ111,112,12
1〜123をOFF状態とすると3速が実現する(符号
ア)。このとき、駆動回路のショート等により、第1、
第2SV111,112がON状態に留まっても、同様
に3速が得られる(符号イ、ウ)。また、第2、第3D
SV122,123がON状態に留まった場合もそれぞ
れ2速、3速が得られて走行を続けることができる(符
号エ、オ)。これに対し、第1DSV121がON状態
に留まった場合は(符号カ)、中立状態となって走行不
能となるため、問題となる。そこで、コントローラ30
0は、図87に示すフローチャートに従ってソレノイド
パターンを制御する。
【0441】まずコントローラ300は、ステップS3
31で、上記第1、第2SV111,112、又は第1
〜第3DSV121〜123の駆動回路に異常が生じて
いるか否かを判定し、NOの場合はステップS332で
ソレノイドフェールモードを0としたうえで、通常時の
ソレノイドパターンで各ソレノイドバルブ111,11
2,121〜123を制御する(ステップS333)。
31で、上記第1、第2SV111,112、又は第1
〜第3DSV121〜123の駆動回路に異常が生じて
いるか否かを判定し、NOの場合はステップS332で
ソレノイドフェールモードを0としたうえで、通常時の
ソレノイドパターンで各ソレノイドバルブ111,11
2,121〜123を制御する(ステップS333)。
【0442】一方、駆動回路に異常が発生している場合
はステップS334でソレノイドフェールモードが2で
あるか否かを判定し、NOのときにはさらにステップS
335で車速が略0か否かの判定を行なう。そして、N
Oの場合、つまり走行中は、ステップS336に進んで
ソレノイドフェールモードを1としたうえで、全てのソ
レノイドバルブ111,112,121〜123をOF
F状態とする(ステップS337)。これにより、3速
の変速段が得られて走行を続けることができる(図86
の符号アの状態)。
はステップS334でソレノイドフェールモードが2で
あるか否かを判定し、NOのときにはさらにステップS
335で車速が略0か否かの判定を行なう。そして、N
Oの場合、つまり走行中は、ステップS336に進んで
ソレノイドフェールモードを1としたうえで、全てのソ
レノイドバルブ111,112,121〜123をOF
F状態とする(ステップS337)。これにより、3速
の変速段が得られて走行を続けることができる(図86
の符号アの状態)。
【0443】一方、上記ステップS335で車速が略0
と判定された場合には、ステップS338、S339に
進んで、走行レンジで5秒以上が経過し、かつタービン
回転数Ntが1,000rpm以上か否かを判定し、ど
ちらもYESのときにステップS340でソレノイドフ
ェールモードを2としたうえで、第1SV111のみを
ON状態とする。
と判定された場合には、ステップS338、S339に
進んで、走行レンジで5秒以上が経過し、かつタービン
回転数Ntが1,000rpm以上か否かを判定し、ど
ちらもYESのときにステップS340でソレノイドフ
ェールモードを2としたうえで、第1SV111のみを
ON状態とする。
【0444】つまり、ソレノイドバルブの駆動回路の異
常を検知して、全てのソレノイドバルブ111,11
2,121〜123をOFF状態とする異常時ソレノイ
ドパターン1としても、3速が得られずに中立状態とな
って走行不能となった場合には(図86の符号カの状
態)、第1SV111のみをON状態とするのである。
これにより、図86における符号キの状態となり、その
結果、4速の変速段が実現して走行可能な状態が得られ
る。
常を検知して、全てのソレノイドバルブ111,11
2,121〜123をOFF状態とする異常時ソレノイ
ドパターン1としても、3速が得られずに中立状態とな
って走行不能となった場合には(図86の符号カの状
態)、第1SV111のみをON状態とするのである。
これにより、図86における符号キの状態となり、その
結果、4速の変速段が実現して走行可能な状態が得られ
る。
【0445】このとき、符号カの状態から、他のソレノ
イドバルブ、例えば第2SV112をON状態とする
と、符号クの状態となり3速ロックアップが得られる。
しかし、ロックアップ状態では、エンジン側とタービン
側ないし変速機構側とが直結しているので再び発進する
ことは困難で好ましくない。また、第2、第3DSV1
22,123をON状態とすると、符号ケ又はコの状態
となって中立状態のままとなる。これに対して、符号カ
の状態から、第1SV111のみをON状態とする異常
時ソレノイドパターン2とすることにより、符号キの状
態が得られて4速で走行できるのである。
イドバルブ、例えば第2SV112をON状態とする
と、符号クの状態となり3速ロックアップが得られる。
しかし、ロックアップ状態では、エンジン側とタービン
側ないし変速機構側とが直結しているので再び発進する
ことは困難で好ましくない。また、第2、第3DSV1
22,123をON状態とすると、符号ケ又はコの状態
となって中立状態のままとなる。これに対して、符号カ
の状態から、第1SV111のみをON状態とする異常
時ソレノイドパターン2とすることにより、符号キの状
態が得られて4速で走行できるのである。
【0446】(2)タービン回転数の誤検出に関するフ
ェールセーフ機能 前述の油圧制御回路100におけるレギュレータバルブ
101を中心とするライン圧生成部の構成を詳しく説明
すると、図88に示すように、このレギュレータバルブ
101においては、スプール101cの一端側に、前述
のリニアソレノイドバルブ131からの制御圧が導入さ
れて、該スプール101cを増圧側に付勢する制御ポー
ト101aが、他端側に、メインライン200からライ
ン圧が導入されて、該スプール101cを減圧側に付勢
するフィードバックポート101dがそれぞれ設けられ
ていると共に、このフィードバックポート101dに隣
接させて、該フィードバックポート101dと同様に減
圧方向にスプール101cを付勢する減圧ポート101
bが設けられている。そして、上記のように、この減圧
ポート101bに、マニュアルバルブ102から導かれ
て、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に
通じるライン235が接続されている。
ェールセーフ機能 前述の油圧制御回路100におけるレギュレータバルブ
101を中心とするライン圧生成部の構成を詳しく説明
すると、図88に示すように、このレギュレータバルブ
101においては、スプール101cの一端側に、前述
のリニアソレノイドバルブ131からの制御圧が導入さ
れて、該スプール101cを増圧側に付勢する制御ポー
ト101aが、他端側に、メインライン200からライ
ン圧が導入されて、該スプール101cを減圧側に付勢
するフィードバックポート101dがそれぞれ設けられ
ていると共に、このフィードバックポート101dに隣
接させて、該フィードバックポート101dと同様に減
圧方向にスプール101cを付勢する減圧ポート101
bが設けられている。そして、上記のように、この減圧
ポート101bに、マニュアルバルブ102から導かれ
て、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に
通じるライン235が接続されている。
【0447】したがって、このレギュレータバルブ10
1によれば、D,S,L,Nの各レンジでは、メインラ
イン200からマニュアルバルブ102およびライン2
35を介して該レギュレータバルブ101の減圧ポート
101bにライン圧が導入され、このライン圧と、メイ
ンライン200からフィードバックポート101dに直
接導入されたライン圧とが、制御ポート101aに導入
されているリニアソレノイドバルブ131からの制御圧
に対抗することになるから、該レギュレータバルブ10
1で調整されるライン圧の圧力値は、減圧ポート101
bにライン圧が導入された分だけ低くなる。
1によれば、D,S,L,Nの各レンジでは、メインラ
イン200からマニュアルバルブ102およびライン2
35を介して該レギュレータバルブ101の減圧ポート
101bにライン圧が導入され、このライン圧と、メイ
ンライン200からフィードバックポート101dに直
接導入されたライン圧とが、制御ポート101aに導入
されているリニアソレノイドバルブ131からの制御圧
に対抗することになるから、該レギュレータバルブ10
1で調整されるライン圧の圧力値は、減圧ポート101
bにライン圧が導入された分だけ低くなる。
【0448】これに対して、Rレンジでは、マニュアル
バルブ102からレギュレータバルブ101の減圧ポー
ト101bへのライン圧の導入がなく、したがって、フ
ィードバックポート101dに直接導入されたライン圧
のみが制御ポート101aに導入されているリニアソレ
ノイドバルブ131からの制御圧に対抗することにな
る。したがって、上記のようなライン圧の減圧作用がな
く、Dレンジ等よりも高いライン圧が得られる。
バルブ102からレギュレータバルブ101の減圧ポー
ト101bへのライン圧の導入がなく、したがって、フ
ィードバックポート101dに直接導入されたライン圧
のみが制御ポート101aに導入されているリニアソレ
ノイドバルブ131からの制御圧に対抗することにな
る。したがって、上記のようなライン圧の減圧作用がな
く、Dレンジ等よりも高いライン圧が得られる。
【0449】次に、上記コントローラ300によるリニ
アソレノイドバルブ131の制御、即ちライン圧制御の
具体的動作について説明すると、この制御は図89に示
すプログラムに従って行われ、まずステップS351〜
S353で、タービントルクTtに応じたライン圧P
1、スロットル開度θに応じたライン圧P2、及び当該
自動車の車速Vに応じたライン圧P3をそれぞれ計算す
る。
アソレノイドバルブ131の制御、即ちライン圧制御の
具体的動作について説明すると、この制御は図89に示
すプログラムに従って行われ、まずステップS351〜
S353で、タービントルクTtに応じたライン圧P
1、スロットル開度θに応じたライン圧P2、及び当該
自動車の車速Vに応じたライン圧P3をそれぞれ計算す
る。
【0450】すなわち、ステップS351においては、
後述するタービントルク算出制御で求められるタービン
トルクTtに応じた油圧P1′を、図90に示すように
予め設定されたマップから読み取る。また、ステップS
352においては、スロットル開度センサ302によっ
て検出されるスロットル開度θに応じた油圧P2′を、
図91に示すように予め設定されたマップから読み取
る。さらに、ステップS353においては、車速センサ
301によって検出される車速Vに応じた油圧P3′
を、図92に示すように予め設定されたマップから読み
取る。
後述するタービントルク算出制御で求められるタービン
トルクTtに応じた油圧P1′を、図90に示すように
予め設定されたマップから読み取る。また、ステップS
352においては、スロットル開度センサ302によっ
て検出されるスロットル開度θに応じた油圧P2′を、
図91に示すように予め設定されたマップから読み取
る。さらに、ステップS353においては、車速センサ
301によって検出される車速Vに応じた油圧P3′
を、図92に示すように予め設定されたマップから読み
取る。
【0451】そして、これらの油圧P1′,P2′,P
3′に、その時点の変速段とレンジとに応じた係数K2
1,K22,K23をそれぞれ乗算することにより、上
記各ライン圧P1,P2,P3を求めるのである。
3′に、その時点の変速段とレンジとに応じた係数K2
1,K22,K23をそれぞれ乗算することにより、上
記各ライン圧P1,P2,P3を求めるのである。
【0452】また、ステップS354で、ロックアップ
クラッチ26のスリップ制御中であるか否かに応じたラ
イン圧P4を求める。このライン圧P4は、上記スリッ
プ制御中には高い油圧P4′に、非制御中には低い油圧
P4″に設定される。
クラッチ26のスリップ制御中であるか否かに応じたラ
イン圧P4を求める。このライン圧P4は、上記スリッ
プ制御中には高い油圧P4′に、非制御中には低い油圧
P4″に設定される。
【0453】そして、ステップS355で、上記各ライ
ン圧P1,P2,P3,P4のうちから最も高いものを
選択し、これを定常走行時における目標ライン圧P0に
設定すると共に、この目標ライン圧P0が得られるよう
に、リニアソレノイドバルブ131に制御信号を出力す
るのである。
ン圧P1,P2,P3,P4のうちから最も高いものを
選択し、これを定常走行時における目標ライン圧P0に
設定すると共に、この目標ライン圧P0が得られるよう
に、リニアソレノイドバルブ131に制御信号を出力す
るのである。
【0454】次に、上記ステップS351における油圧
P1′ないしライン圧P1の設定の基礎となるタービン
トルクTtの算出について説明する。
P1′ないしライン圧P1の設定の基礎となるタービン
トルクTtの算出について説明する。
【0455】一般に、タービントルクTtは、次式70
に示すように、エンジンの出力トルクTeにトルクコン
バータのトルク比Rtを乗算することにより算出され
る。
に示すように、エンジンの出力トルクTeにトルクコン
バータのトルク比Rtを乗算することにより算出され
る。
【0456】
【式70】 その場合に、エンジントルクTeは、スロットル開度θ
や、吸入空気量、エンジンの点火時期等から、エンジン
の出力特性に基づき周知の方法で算定される。
や、吸入空気量、エンジンの点火時期等から、エンジン
の出力特性に基づき周知の方法で算定される。
【0457】一方、トルクコンバータのトルク比Rt
は、エンジン回転センサ303で検出されたエンジン回
転数Neと、タービン回転センサ305で検出されたタ
ービン回転数Ntとからトルクコンバータの速度比Γ
(タービン回転数Nt/エンジン回転数Ne)を算出
し、この速度比Γを図93に示すトルクコンバータのト
ルク比Rtの特性マップに当てはめることにより求めら
れる。
は、エンジン回転センサ303で検出されたエンジン回
転数Neと、タービン回転センサ305で検出されたタ
ービン回転数Ntとからトルクコンバータの速度比Γ
(タービン回転数Nt/エンジン回転数Ne)を算出
し、この速度比Γを図93に示すトルクコンバータのト
ルク比Rtの特性マップに当てはめることにより求めら
れる。
【0458】その場合に、図示したように、速度比Γが
小さくなるとトルク比Rtが大きくなり、速度比Γが0
のときに、その最大値、つまり最大トルク比Rt(Ma
x)が得られるようになっている。したがって、タービ
ン回転数Ntがタービン回転センサ305によって小さ
い値に検出された場合は、トルク比Rtが大きく設定さ
れ、その結果、タービントルクTtが上記式70により
大きく算出されて油圧P1′ないしライン圧P1が高い
値に求められることになる。これにより、低車速時でタ
ービン回転数Ntが小さいとき、特に、発進時における
入力トルクの大きいときに、摩擦要素に高い作動圧が供
給されて滑りが防止されることになる。
小さくなるとトルク比Rtが大きくなり、速度比Γが0
のときに、その最大値、つまり最大トルク比Rt(Ma
x)が得られるようになっている。したがって、タービ
ン回転数Ntがタービン回転センサ305によって小さ
い値に検出された場合は、トルク比Rtが大きく設定さ
れ、その結果、タービントルクTtが上記式70により
大きく算出されて油圧P1′ないしライン圧P1が高い
値に求められることになる。これにより、低車速時でタ
ービン回転数Ntが小さいとき、特に、発進時における
入力トルクの大きいときに、摩擦要素に高い作動圧が供
給されて滑りが防止されることになる。
【0459】しかしながら、このようなタービン回転数
Ntが小さい低車速時は、タービン回転センサ305に
よる該タービン回転数Ntの検出誤差が生じ易くなる。
そして、タービン回転数Ntが実際よりも大きい値に検
出されると、トルク比Rtが小さく設定され、その結
果、タービントルクTtが小さく算出されて油圧P1′
ないしライン圧P1が低い値に求められ、摩擦要素が滑
りを起こしてトルク伝達が確実に行なわれなくなってし
まう。
Ntが小さい低車速時は、タービン回転センサ305に
よる該タービン回転数Ntの検出誤差が生じ易くなる。
そして、タービン回転数Ntが実際よりも大きい値に検
出されると、トルク比Rtが小さく設定され、その結
果、タービントルクTtが小さく算出されて油圧P1′
ないしライン圧P1が低い値に求められ、摩擦要素が滑
りを起こしてトルク伝達が確実に行なわれなくなってし
まう。
【0460】そこで、この実施の形態における上記コン
トローラ300は、図94に示すフローチャートに従っ
てタービントルクTtを算出する。
トローラ300は、図94に示すフローチャートに従っ
てタービントルクTtを算出する。
【0461】すなわち、コントローラ300は、まずス
テップS361で、タービン回転センサ305で検出さ
れたタービン回転数Ntが所定値αより大きいか否かを
判定する。この所定値αは、具体的には例えば1,00
0rpm等に設定される。
テップS361で、タービン回転センサ305で検出さ
れたタービン回転数Ntが所定値αより大きいか否かを
判定する。この所定値αは、具体的には例えば1,00
0rpm等に設定される。
【0462】そして、タービン回転数Ntが所定値αよ
り大きい場合は、次にステップS362で、エンジン回
転センサ303で検出されたエンジン回転数Neが0で
ないことを確認したのち、ステップS363で、これら
の二つの値から前述したようにトルクコンバータの速度
比Γを算出する。
り大きい場合は、次にステップS362で、エンジン回
転センサ303で検出されたエンジン回転数Neが0で
ないことを確認したのち、ステップS363で、これら
の二つの値から前述したようにトルクコンバータの速度
比Γを算出する。
【0463】次いで、コントローラ300は、ステップ
S364に進んで、この算出した速度比Γを、図93に
示す特性マップに当てはめてトルク比Rtを読み取り、
得られたトルク比Rtの値をステップS365で上記式
70に示したようにエンジントルクTeに乗算すること
によりタービントルクTtを算出する。
S364に進んで、この算出した速度比Γを、図93に
示す特性マップに当てはめてトルク比Rtを読み取り、
得られたトルク比Rtの値をステップS365で上記式
70に示したようにエンジントルクTeに乗算すること
によりタービントルクTtを算出する。
【0464】一方、これに対して、コントローラ300
は、上記ステップS361において、タービン回転セン
サ305で検出されたタービン回転数Ntが所定値α以
下であると判定した場合には、ステップS366に進ん
で、速度比Γを上記のようにタービン回転数Ntとエン
ジン回転数Neとから算出することをせずに、0とする
のである。これにより、次のステップS364におい
て、この速度比Γ0を図93に示す特性マップに当ては
めたときに最大トルク比Rt(Max)が得られ、次い
でステップS365でタービントルクTtを算出したと
きに大きい値のタービントルクTtが算出されることに
なる。
は、上記ステップS361において、タービン回転セン
サ305で検出されたタービン回転数Ntが所定値α以
下であると判定した場合には、ステップS366に進ん
で、速度比Γを上記のようにタービン回転数Ntとエン
ジン回転数Neとから算出することをせずに、0とする
のである。これにより、次のステップS364におい
て、この速度比Γ0を図93に示す特性マップに当ては
めたときに最大トルク比Rt(Max)が得られ、次い
でステップS365でタービントルクTtを算出したと
きに大きい値のタービントルクTtが算出されることに
なる。
【0465】その結果、前述の図89に示すステップS
351において、油圧P1′ないしライン圧P1が高い
値に設定されることになり、これにより、タービン回転
数Ntが所定値α以下に小さい低車速時で、該タービン
回転数Ntの検出精度が低下するため、実情に合致しな
い低いライン圧が設定されるような虞のある場合であっ
ても、摩擦要素の滑りが生じず、発進時における大きな
入力トルクの伝達が確実に行なわれることになる。
351において、油圧P1′ないしライン圧P1が高い
値に設定されることになり、これにより、タービン回転
数Ntが所定値α以下に小さい低車速時で、該タービン
回転数Ntの検出精度が低下するため、実情に合致しな
い低いライン圧が設定されるような虞のある場合であっ
ても、摩擦要素の滑りが生じず、発進時における大きな
入力トルクの伝達が確実に行なわれることになる。
【0466】なお、ステップS362においてエンジン
回転数Neが0と検出されたときも、ステップS366
に進んで速度比Γを0とする。これにより、次のステッ
プS363で速度比Γを算出したときに有効な数値が得
られることになり、また、エンジン回転数Neが0と検
出された場合は、これに伴ってタービン回転数Ntも余
程小さいはずであるから、低車速時でタービン回転数N
tが小さいことの確認ともなっている。
回転数Neが0と検出されたときも、ステップS366
に進んで速度比Γを0とする。これにより、次のステッ
プS363で速度比Γを算出したときに有効な数値が得
られることになり、また、エンジン回転数Neが0と検
出された場合は、これに伴ってタービン回転数Ntも余
程小さいはずであるから、低車速時でタービン回転数N
tが小さいことの確認ともなっている。
【0467】また、以上の説明においては、速度比Γと
トルク比Rtとの関係が、図93に示すように、速度比
Γが0のときに最大トルク比Rt(Max)が得られる
ような特性であったが、この他に、例えば図95に示す
ように、最大トルク比Rt(Max)が、速度比Γが0
以外のときに現れる場合がある。
トルク比Rtとの関係が、図93に示すように、速度比
Γが0のときに最大トルク比Rt(Max)が得られる
ような特性であったが、この他に、例えば図95に示す
ように、最大トルク比Rt(Max)が、速度比Γが0
以外のときに現れる場合がある。
【0468】このような場合には、図96に示すフロー
チャートに従ってタービントルクTtを算出することに
なる。すなわち、タービン回転センサ305で検出され
たタービン回転数Ntが所定値αより大きく、かつエン
ジン回転センサ303で検出されたエンジン回転数Ne
が0でない場合には、前述の算出制御1におけるステッ
プS361〜S365と同様に、速度比Γを算出し、該
図95に示す特性マップからトルク比Rtを読み取り、
上記式70に従って通常のタービントルクの算出を行な
う(ステップS371〜S375)。
チャートに従ってタービントルクTtを算出することに
なる。すなわち、タービン回転センサ305で検出され
たタービン回転数Ntが所定値αより大きく、かつエン
ジン回転センサ303で検出されたエンジン回転数Ne
が0でない場合には、前述の算出制御1におけるステッ
プS361〜S365と同様に、速度比Γを算出し、該
図95に示す特性マップからトルク比Rtを読み取り、
上記式70に従って通常のタービントルクの算出を行な
う(ステップS371〜S375)。
【0469】一方、タービン回転数Ntが所定値α以
下、もしくはエンジン回転数Neが0のときには、ステ
ップS371もしくはステップS372からステップS
376に進んで、速度比Γを求めることなく、トルク比
Rtを最大トルク比Rt(Max)とするのである。こ
れにより、次のステップS375でタービントルクTt
を算出したときに大きい値のタービントルクTtが算出
され、結果として、ライン圧P1が高い値に設定される
ことになる。
下、もしくはエンジン回転数Neが0のときには、ステ
ップS371もしくはステップS372からステップS
376に進んで、速度比Γを求めることなく、トルク比
Rtを最大トルク比Rt(Max)とするのである。こ
れにより、次のステップS375でタービントルクTt
を算出したときに大きい値のタービントルクTtが算出
され、結果として、ライン圧P1が高い値に設定される
ことになる。
【0470】(3)車速センサの故障時に関するフェー
ルセーフ機能 次に、車速センサ301の故障時にコントローラ300
が行なう車速の生成制御について説明する。この車速生
成制御は図97に示すフローチャートに従って行なわ
れ、まず、コントローラ300は、車速センサ301が
故障か否かを判定する(ステップS381)。この判定
は、コントローラ300自身が受け取った車速信号から
異常を検知して判定してもよく、又は、例えば該車速セ
ンサ301の異常や信号出力回路等の異常を検知する検
知器を設けて、該検知器からの異常検知信号の有無によ
り判定してもよい。そして、車速センサ301に異常が
なければ、その車速信号(変速機の出力軸の回転数N
p)と、作動装置70のファイナルギア比Gfと、車輪
のタイヤ円周長Xとを次式71に代入することにより通
常の車速計算を行なう(ステップS382)。
ルセーフ機能 次に、車速センサ301の故障時にコントローラ300
が行なう車速の生成制御について説明する。この車速生
成制御は図97に示すフローチャートに従って行なわ
れ、まず、コントローラ300は、車速センサ301が
故障か否かを判定する(ステップS381)。この判定
は、コントローラ300自身が受け取った車速信号から
異常を検知して判定してもよく、又は、例えば該車速セ
ンサ301の異常や信号出力回路等の異常を検知する検
知器を設けて、該検知器からの異常検知信号の有無によ
り判定してもよい。そして、車速センサ301に異常が
なければ、その車速信号(変速機の出力軸の回転数N
p)と、作動装置70のファイナルギア比Gfと、車輪
のタイヤ円周長Xとを次式71に代入することにより通
常の車速計算を行なう(ステップS382)。
【0471】
【式71】 一方、車速センサ301が故障の場合は、上記出力軸回
転数Npの代わりにエンジン回転数Ne又はタービン回
転数Ntを用いて車速を算出するのであるが、その前に
まず変速中か否かの判定を行なう(ステップS38
3)。これは、変速中、つまり変速機内部における動力
伝達経路の切換時には、該変速機をはさんで、エンジン
側のタービン軸27ないしエンジン出力軸1と、駆動輪
側の変速機出力軸とが所定の変速ギア比で一体回転する
状態になく、特にエンジン側のタービン回転数Ntない
しエンジン回転数Neが著しく変動して適正な車速が得
られないので、まずこのような問題を回避するために変
速中でないことを確認するのである。
転数Npの代わりにエンジン回転数Ne又はタービン回
転数Ntを用いて車速を算出するのであるが、その前に
まず変速中か否かの判定を行なう(ステップS38
3)。これは、変速中、つまり変速機内部における動力
伝達経路の切換時には、該変速機をはさんで、エンジン
側のタービン軸27ないしエンジン出力軸1と、駆動輪
側の変速機出力軸とが所定の変速ギア比で一体回転する
状態になく、特にエンジン側のタービン回転数Ntない
しエンジン回転数Neが著しく変動して適正な車速が得
られないので、まずこのような問題を回避するために変
速中でないことを確認するのである。
【0472】そして変速中の場合は、今回は新たな車速
の算出を行なわず、後述するステップS388に進んで
車速の前回値を今回の車速とし、逆に変速中でないとき
には、次のステップS384に進んでさらにタービン回
転センサ305が故障か否かを判定して、ここでタービ
ン回転センサ305に異常がなければ、そのタービン回
転数Ntと、現在の変速段のギア比(変速ギア比)Gm
と、ファイナルギア比Gfと、タイヤ円周長Xとを次式
72に代入することにより車速を算出する一方で(ステ
ップS385)、タービン回転センサ305にも異常が
あれば、次式73によりエンジン回転数Neに基づく車
速計算を行なう(ステップS387)。
の算出を行なわず、後述するステップS388に進んで
車速の前回値を今回の車速とし、逆に変速中でないとき
には、次のステップS384に進んでさらにタービン回
転センサ305が故障か否かを判定して、ここでタービ
ン回転センサ305に異常がなければ、そのタービン回
転数Ntと、現在の変速段のギア比(変速ギア比)Gm
と、ファイナルギア比Gfと、タイヤ円周長Xとを次式
72に代入することにより車速を算出する一方で(ステ
ップS385)、タービン回転センサ305にも異常が
あれば、次式73によりエンジン回転数Neに基づく車
速計算を行なう(ステップS387)。
【0473】
【式72】
【0474】
【式73】 そしてこのとき、ステップS387における車速計算の
前に、エンジンの運転状態が車速を更新することの可能
な運転領域にあるか否かを判定して(ステップS38
6)、エンジンの運転状態がそのような車速更新可能領
域にあるときにのみ、エンジン回転センサ303で検出
されたエンジン回転数Neと、現在の変速段のギア比G
mと、ファイナルギア比Gfと、タイヤ円周長Xとを上
記式73に代入することにより車速を算出するのであ
る。
前に、エンジンの運転状態が車速を更新することの可能
な運転領域にあるか否かを判定して(ステップS38
6)、エンジンの運転状態がそのような車速更新可能領
域にあるときにのみ、エンジン回転センサ303で検出
されたエンジン回転数Neと、現在の変速段のギア比G
mと、ファイナルギア比Gfと、タイヤ円周長Xとを上
記式73に代入することにより車速を算出するのであ
る。
【0475】このステップS386における運転状態の
判定は、具体的には、次のようにして行なわれる。すな
わち、このコントローラ300には、図98に示すよう
に、エンジン回転数とスロットル開度とをパラメータと
して予め設定されたマップがメモリされていて、コント
ローラ300は、このマップに、エンジン回転センサ3
03で検出されたエンジン回転数と、スロットル開度セ
ンサ302で検出されたスロットル開度とを当てはめ
て、エンジンの運転状態が、図中Aで示す領域(斜線部
分)にあるときに、車速の更新が可能であると判定し、
そのエンジン回転数から車速を算出する。
判定は、具体的には、次のようにして行なわれる。すな
わち、このコントローラ300には、図98に示すよう
に、エンジン回転数とスロットル開度とをパラメータと
して予め設定されたマップがメモリされていて、コント
ローラ300は、このマップに、エンジン回転センサ3
03で検出されたエンジン回転数と、スロットル開度セ
ンサ302で検出されたスロットル開度とを当てはめ
て、エンジンの運転状態が、図中Aで示す領域(斜線部
分)にあるときに、車速の更新が可能であると判定し、
そのエンジン回転数から車速を算出する。
【0476】一方、エンジンの運転状態が、図中Bで示
す領域又はCで示す領域にあるときは、前述した変速中
の場合と同様、今回は新たな車速の算出を行なわず、ス
テップS388に進んで車速の前回値を今回の車速とす
る。すなわち、車速の更新をせずに、今までに、上記ス
テップS382で車速信号に基づいて算出された車速、
上記ステップS385でタービン回転数に基づいて算出
された車速、あるいは上記ステップS387でエンジン
回転数に基づいて算出された車速をそのまま保持するの
である。
す領域又はCで示す領域にあるときは、前述した変速中
の場合と同様、今回は新たな車速の算出を行なわず、ス
テップS388に進んで車速の前回値を今回の車速とす
る。すなわち、車速の更新をせずに、今までに、上記ス
テップS382で車速信号に基づいて算出された車速、
上記ステップS385でタービン回転数に基づいて算出
された車速、あるいは上記ステップS387でエンジン
回転数に基づいて算出された車速をそのまま保持するの
である。
【0477】これは、B領域が発進時や急加速時等の急
激な正駆動状態、つまりスロットル開度が比較的大きい
にも拘らず、エンジン回転数が比較的低い状態であり、
また、C領域が高速走行中にアクセルペダルの踏込みを
急止した場合等の急激な逆駆動状態、つまりスロットル
開度が比較的小さいにも拘らず、エンジン回転数が比較
的高い状態であって、このような運転状態のときには、
トルクコンバータ20における入力軸(エンジン出力
軸)1の回転数(エンジン回転数)と、タービン軸27
の回転数(車速)との間の対応関係が一定とはならず、
トルクコンバータ20の回転比が大幅に変動しているの
で、かかる状態でエンジン回転数から車速を算出しても
適正な値が得られず、却って速度表示や変速制御に支障
が生じてしまうからである。
激な正駆動状態、つまりスロットル開度が比較的大きい
にも拘らず、エンジン回転数が比較的低い状態であり、
また、C領域が高速走行中にアクセルペダルの踏込みを
急止した場合等の急激な逆駆動状態、つまりスロットル
開度が比較的小さいにも拘らず、エンジン回転数が比較
的高い状態であって、このような運転状態のときには、
トルクコンバータ20における入力軸(エンジン出力
軸)1の回転数(エンジン回転数)と、タービン軸27
の回転数(車速)との間の対応関係が一定とはならず、
トルクコンバータ20の回転比が大幅に変動しているの
で、かかる状態でエンジン回転数から車速を算出しても
適正な値が得られず、却って速度表示や変速制御に支障
が生じてしまうからである。
【0478】これに対して、車速更新可能領域Aは、ト
ルクコンバータ20の回転比が略一対一に維持される運
転領域であって、その結果、エンジン回転数と車速とが
一定の対応関係にあり、このときのエンジン回転数は車
速を適正に反映するので、該エンジン回転数を用いて車
速を更新することが許容されるのである。
ルクコンバータ20の回転比が略一対一に維持される運
転領域であって、その結果、エンジン回転数と車速とが
一定の対応関係にあり、このときのエンジン回転数は車
速を適正に反映するので、該エンジン回転数を用いて車
速を更新することが許容されるのである。
【0479】なお、この実施の形態においては、領域A
と領域Cとは、所謂ノーロードラインLによって区分さ
れている。すなわち、図98において、図面上、このノ
ーロードラインLより下の領域Cでは、エンジンが車輪
側から逆駆動される状態にあり、したがって車速は殆ど
変化しなくとも、エンジン回転数はアイドル状態まで低
下するからである。
と領域Cとは、所謂ノーロードラインLによって区分さ
れている。すなわち、図98において、図面上、このノ
ーロードラインLより下の領域Cでは、エンジンが車輪
側から逆駆動される状態にあり、したがって車速は殆ど
変化しなくとも、エンジン回転数はアイドル状態まで低
下するからである。
【0480】さらに、領域Aと領域Bとは、エンジン回
転数に対するトルクコンバータ特性に基づいて区分され
ている。つまり、エンジン回転が低い領域Bでは、該エ
ンジン回転の変動に対するトルク変動が大きく、したが
ってトルクコンバータが滑り易いからである。
転数に対するトルクコンバータ特性に基づいて区分され
ている。つまり、エンジン回転が低い領域Bでは、該エ
ンジン回転の変動に対するトルク変動が大きく、したが
ってトルクコンバータが滑り易いからである。
【0481】以上のようにして、車両の走行状態が、エ
ンジン回転数と車速とが所定の対応関係を有する領域に
ないとき、つまりステップS383で変速中と判定され
た場合、又はステップS386でトルクコンバータ20
の回転比が変動していると判定された場合には、ステッ
プS388に進んで車速の更新をしないことにより、変
速制御や速度表示の誤作動を抑制することができること
になる。
ンジン回転数と車速とが所定の対応関係を有する領域に
ないとき、つまりステップS383で変速中と判定され
た場合、又はステップS386でトルクコンバータ20
の回転比が変動していると判定された場合には、ステッ
プS388に進んで車速の更新をしないことにより、変
速制御や速度表示の誤作動を抑制することができること
になる。
【0482】なお、上記の実施の形態では、車速センサ
301の故障時に、まず、タービン回転センサ305か
らの信号に基づいて車速を算出すると共に、このタービ
ン回転センサ305も故障しているときに、エンジン回
転数に基づいて車速を算出するようにしたが、車速セン
サ301の故障時に、直ちにエンジン回転数に基づいて
車速を算出するようにしてもよい。
301の故障時に、まず、タービン回転センサ305か
らの信号に基づいて車速を算出すると共に、このタービ
ン回転センサ305も故障しているときに、エンジン回
転数に基づいて車速を算出するようにしたが、車速セン
サ301の故障時に、直ちにエンジン回転数に基づいて
車速を算出するようにしてもよい。
【0483】この場合の制御動作を図99に示すプログ
ラムに従って説明すると、ステップS391で車速セン
サ301が故障したか否かを判定し、故障していない場
合には、ステップS392で通常の車速計算を行う。
ラムに従って説明すると、ステップS391で車速セン
サ301が故障したか否かを判定し、故障していない場
合には、ステップS392で通常の車速計算を行う。
【0484】一方、車速センサ301が故障したときに
は、次にステップS393で変速中であるか否かを判定
し、変速中でない場合には、さらにステップS394で
現在の運転状態が車速更新可能領域にあるか否かを判定
する。そして、この領域にあればステップS395を実
行し、エンジン回転数に基づいて車速を計算する。
は、次にステップS393で変速中であるか否かを判定
し、変速中でない場合には、さらにステップS394で
現在の運転状態が車速更新可能領域にあるか否かを判定
する。そして、この領域にあればステップS395を実
行し、エンジン回転数に基づいて車速を計算する。
【0485】なお、変速中であるとき、及び運転状態が
車速更新可能領域にないときは、上記のようなエンジン
回転数に基づく車速の計算を行なうことができないの
で、ステップS396で車速の前回値を今回値として用
いる。
車速更新可能領域にないときは、上記のようなエンジン
回転数に基づく車速の計算を行なうことができないの
で、ステップS396で車速の前回値を今回値として用
いる。
【0486】
【発明の効果】以上のように、本願の第1発明によれ
ば、タービン回転のフィードバック制御中に、摩擦要素
に対する作動圧の目標値に関する値と、該摩擦要素に実
際に作動している作動圧の実際値に関する値とに基づい
て、作動圧が補正されるので、その後のフィードバック
制御において、タービン回転数又はタービン回転変化率
が応答性よく速やかに目標回転数又は目標変化率に収束
することになる。
ば、タービン回転のフィードバック制御中に、摩擦要素
に対する作動圧の目標値に関する値と、該摩擦要素に実
際に作動している作動圧の実際値に関する値とに基づい
て、作動圧が補正されるので、その後のフィードバック
制御において、タービン回転数又はタービン回転変化率
が応答性よく速やかに目標回転数又は目標変化率に収束
することになる。
【0487】また、第2発明によれば、予め実験等によ
り構築したモデルを用いて作動圧の実際値が推定される
ので、実油圧を検出する装置等を設ける必要がない。
り構築したモデルを用いて作動圧の実際値が推定される
ので、実油圧を検出する装置等を設ける必要がない。
【0488】また、第3発明によれば、タービン回転が
変化した時点、つまりタービン回転数が上昇もしくは下
降し始めた時点、又はタービン回転変化率が増大もしく
は減少し始めた時点のイナーシャフェーズ開始時におい
て、摩擦要素に対する作動圧が補正されるので、それ以
後のフィードバック制御が当初から良好に行なわれるこ
とになる。
変化した時点、つまりタービン回転数が上昇もしくは下
降し始めた時点、又はタービン回転変化率が増大もしく
は減少し始めた時点のイナーシャフェーズ開始時におい
て、摩擦要素に対する作動圧が補正されるので、それ以
後のフィードバック制御が当初から良好に行なわれるこ
とになる。
【0489】また、第4発明によれば、イナーシャフェ
ーズ開始時に作動圧の補正を行なう場合に、その開始を
示す時点であるタービン回転の実変化時点を遅れて検出
しても、その検出遅れの間にすでに変化したイナーシャ
トルクに対応する油圧が考慮されて作動圧の増減補正が
なされるので、該作動圧がより適正な値に補正されるこ
とになる。
ーズ開始時に作動圧の補正を行なう場合に、その開始を
示す時点であるタービン回転の実変化時点を遅れて検出
しても、その検出遅れの間にすでに変化したイナーシャ
トルクに対応する油圧が考慮されて作動圧の増減補正が
なされるので、該作動圧がより適正な値に補正されるこ
とになる。
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の機械
的構成を示す骨子図である。
的構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の変速歯車機構部の構成を示す
断面図である。
断面図である。
【図3】 油圧制御回路の回路図である。
【図4】 2−4ブレーキの油圧アクチュエータの構成
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図5】 同油圧制御回路における各ソレノイドバルブ
に対する制御システム図である。
に対する制御システム図である。
【図6】 図3の油圧制御回路の1速の状態を示す要部
拡大回路図である。
拡大回路図である。
【図7】 同じく2速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
る。
【図8】 同じく3速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
る。
【図9】 同じく4速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
る。
【図10】 同じくLレンジ1速の状態を示す要部拡大
回路図である。
回路図である。
【図11】 同じく後退速の状態を示す要部拡大回路図
である。
である。
【図12】 アップシフト時の制御目標としてのタービ
ン回転変化率の説明図である。
ン回転変化率の説明図である。
【図13】 アップシフト時のトルク波形の説明図であ
る。
る。
【図14】 1−2変速時における第1DSVの動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図15】 同変速時における各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図16】 同じくベース油圧の計算動作を示すフロー
チャートである。
チャートである。
【図17】 同計算動作で用いられる目標タービン回転
変化率に応じた油圧のマップである。
変化率に応じた油圧のマップである。
【図18】 同じく目標タービントルクに応じた油圧の
マップである。
マップである。
【図19】 同じく目標タービントルクの2乗に応じた
油圧のマップである。
油圧のマップである。
【図20】 1−2変速時におけるフィードバック油圧
の計算動作を示すフローチャートである。
の計算動作を示すフローチャートである。
【図21】 同計算動作で用いられるメンバーシップ関
数の説明図である。
数の説明図である。
【図22】 同計算動作の他の例で用いられるタービン
回転数に関するメンバーシップ関数の説明図である。
回転数に関するメンバーシップ関数の説明図である。
【図23】 同じくタービントルクに関するメンバーシ
ップ関数の説明図である。
ップ関数の説明図である。
【図24】 同じくファジー層別した領域の説明図であ
る。
る。
【図25】 1−2変速時における学習油圧の計算動作
を示すフローチャートである。
を示すフローチャートである。
【図26】 同計算動作で用いるデータの説明図であ
る。
る。
【図27】 同計算動作で用いられるタービン回転変化
率のピークに関するメンバーシップ関数の説明図であ
る。
率のピークに関するメンバーシップ関数の説明図であ
る。
【図28】 同じくフィードバック操作量の平均値に関
するメンバーシップ関数の説明図である。
するメンバーシップ関数の説明図である。
【図29】 同じく偏差の平均値に関するメンバーシッ
プ関数の説明図である。
プ関数の説明図である。
【図30】 1−2変速時におけるイナーシャフェーズ
の初期作動圧補正制御の動作を示すフローチャートであ
る。
の初期作動圧補正制御の動作を示すフローチャートであ
る。
【図31】 同制御動作による各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図32】 1−2変速時におけるプリチャージ制御の
動作を示すフローチャートである。
動作を示すフローチャートである。
【図33】 同制御動作で用いられるベース流量のマッ
プである。
プである。
【図34】 同じく油温係数のマップである。
【図35】 2−3変速時における第1DSVの動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図36】 同変速時に用いられる下限油圧のマップで
ある。
ある。
【図37】 同変速時における第2DSVの動作を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図38】 同変速時における各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図39】 同変速時におけるサーボアプライ圧の制御
の他の例を示すタイムチャートである。
の他の例を示すタイムチャートである。
【図40】 同じくさらに他の例を示すタイムチャート
である。
である。
【図41】 2−3変速時のプリチャージ制御の説明の
ためのタイムチャートである。
ためのタイムチャートである。
【図42】 同制御で用いられるマップの説明図であ
る。
る。
【図43】 同制御における入力トルクが小さいときの
出力トルクの変化を示すタイムチャートである。
出力トルクの変化を示すタイムチャートである。
【図44】 2−3変速時のプリチャージ制御の他の例
を示すタイムチャートである。
を示すタイムチャートである。
【図45】 ダウンシフト時のタービン回転数のフィー
ドバック制御の説明図である。
ドバック制御の説明図である。
【図46】 4−3変速時における第1DSVの動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図47】 同変速動作による各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図48】 同変速時におけるベース油圧の計算の動作
を示すフローチャートである。
を示すフローチャートである。
【図49】 上記計算動作に用いられるマップ図であ
る。
る。
【図50】 同じく上記計算動作に用いられるマップ図
である。
である。
【図51】 同変速時におけるフィードバック油圧の計
算の動作を示すフローチャートである。
算の動作を示すフローチャートである。
【図52】 上記計算動作に用いられるマップ図であ
る。
る。
【図53】 4−3変速時における第3DSVの動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図54】 同変速時における第3DSVの別の動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図55】 同変速時におけるフィードバック制御の開
始を判定する際の問題点の説明図である。
始を判定する際の問題点の説明図である。
【図56】 同変速時におけるフィードバック制御の開
始を判定するフローチャートである。
始を判定するフローチャートである。
【図57】 同変速動作による各データの別の変化を示
すタイムチャートである。
すタイムチャートである。
【図58】 同変速時における算出油圧の補正制御のフ
ローチャートである。
ローチャートである。
【図59】 上記補正制御の作用の説明図である。
【図60】 再変速禁止制御のフローチャートである。
【図61】 上記禁止制御の作用の説明図である。
【図62】 変速終了判定制御のフローチャートであ
る。
る。
【図63】 4−1変速時の問題点の説明図である。
【図64】 4−1変速時における第2DSVの動作を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図65】 同変速時における第1DSVの動作を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図66】 同変速時におけるベース油圧の計算に用い
られるマップ図である。
られるマップ図である。
【図67】 同変速時における第3DSVの動作を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図68】 同変速動作による各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図69】 コーストダウン4−3変速時における第3
DSVの動作を示すフローチャートである。
DSVの動作を示すフローチャートである。
【図70】 同変速動作による各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図71】 4−3変速指令出力時の制御モード選択動
作のフローチャートである。
作のフローチャートである。
【図72】 低車速時コーストダウン4−3変速時にお
ける第1DSVの動作を示すフローチャートである。
ける第1DSVの動作を示すフローチャートである。
【図73】 同変速時におけるベース油圧の計算に用い
られるマップ図である。
られるマップ図である。
【図74】 同変速時におけるフィードバック制御の開
始判定動作を示すフローチャートである。
始判定動作を示すフローチャートである。
【図75】 上記判定動作の説明図である。
【図76】 同変速時における第3DSVの動作を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図77】 同変速動作による各データの変化を示すタ
イムチャートである。
イムチャートである。
【図78】 4−3変速指令出力時の別の制御モード選
択動作のフローチャートである。
択動作のフローチャートである。
【図79】 ダウンシフト変速後のタービン回転数の計
算の動作を示すフローチャートである。
算の動作を示すフローチャートである。
【図80】 トルクコンバータ部の構成を示す断面図で
ある。
ある。
【図81】 同じく3速ロックアップ時の状態を示す要
部拡大回路図である。
部拡大回路図である。
【図82】 同じく4速ロックアップ時の状態を示す要
部拡大回路図である。
部拡大回路図である。
【図83】 4速で3−4シフトバルブがスティックし
た場合の状態を示す要部拡大回路図である。
た場合の状態を示す要部拡大回路図である。
【図84】 同じく4速でバイパスバルブがスティック
した場合の状態を示す要部拡大回路図である。
した場合の状態を示す要部拡大回路図である。
【図85】 コントローラが行なうバルブスティク時の
変速禁止制御のフローチャートである。
変速禁止制御のフローチャートである。
【図86】 ソレノイドパターンと実現する変速段との
関係図である。
関係図である。
【図87】 コントローラがソレノイド駆動回路異常時
に行なう制御のフローチャートである。
に行なう制御のフローチャートである。
【図88】 油圧制御回路におけるレギュレータバルブ
周辺の構成を示す要部回路図である。
周辺の構成を示す要部回路図である。
【図89】 定常時のライン圧制御の動作を示すフロー
チャートである。
チャートである。
【図90】 同制御動作で用いられるタービントルクに
応じた油圧のマップである。
応じた油圧のマップである。
【図91】 同じくスロットル開度に応じた油圧のマッ
プである。
プである。
【図92】 同じく車速に応じた油圧のマップである。
【図93】 トルクコンバータの速度比とトルク比との
関係を示す特性図である。
関係を示す特性図である。
【図94】 同特性図を用いる場合におけるタービント
ルクの算出制御の動作を示すフローチャートである。
ルクの算出制御の動作を示すフローチャートである。
【図95】 トルクコンバータの速度比とトルク比との
関係を示す別の特性図である。
関係を示す別の特性図である。
【図96】 同特性図を用いる場合におけるタービント
ルクの算出制御の動作を示すフローチャートである。
ルクの算出制御の動作を示すフローチャートである。
【図97】 車速生成制御のフローチャーである。
【図98】 上記制御で用いられるマップの概念図であ
る。
る。
【図99】 別の車速生成制御のフローチャートであ
る。
る。
10 自動変速機 30,40 変速歯車機構 51〜55 摩擦要素 100 油圧制御回路 121〜123 デューティソレノイドバルブ 300 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 昼田 秀司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 変速歯車機構と、作動圧の給排により選
択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経路を切
り換える複数の摩擦要素と、所定の変速時に締結又は解
放動作させる摩擦要素に対する作動圧を制御することに
より、該変速動作中におけるタービン回転数を所定の目
標回転数に一致させ、又はタービン回転変化率を所定の
目標変化率に一致させるようにフィードバック制御する
変速制御手段とを有する自動変速機の制御装置であっ
て、上記摩擦要素に対して作動している作動圧の実際値
を検出する実油圧検出手段と、上記フィードバック制御
中に、上記摩擦要素に対する作動圧の目標値に関する値
と、上記検出手段で検出された作動圧の実際値に関する
値とに基づいて、該摩擦要素に対する作動圧を補正する
補正手段とが備えられていることを特徴とする自動変速
機の制御装置。 - 【請求項2】 実油圧検出手段は、出力した作動圧の目
標値と、摩擦要素に実際に作動する油圧の実績値とから
求められた両値の関係を表すモデルを用いて作動圧の実
際値を推定し、補正手段は、この推定値を用いて作動圧
の補正を行なうことを特徴とする請求項1に記載の自動
変速機の制御装置。 - 【請求項3】 補正手段は、タービン回転が変化した時
点で作動圧の補正を行なうことを特徴とする請求項1に
記載の自動変速機の制御装置。 - 【請求項4】 補正手段は、タービン回転が実際に変化
した時点からその変化を検出するまでのタービン回転数
変化量に基づくトルクに対応する油圧に基づいて作動圧
の補正を行なうことを特徴とする請求項3に記載の自動
変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8103875A JPH09269051A (ja) | 1996-03-31 | 1996-03-31 | 自動変速機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8103875A JPH09269051A (ja) | 1996-03-31 | 1996-03-31 | 自動変速機の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09269051A true JPH09269051A (ja) | 1997-10-14 |
Family
ID=14365619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8103875A Pending JPH09269051A (ja) | 1996-03-31 | 1996-03-31 | 自動変速機の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09269051A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002310280A (ja) * | 2001-04-13 | 2002-10-23 | Aisin Aw Co Ltd | 自動変速機の変速制御装置 |
JP2014034991A (ja) * | 2012-08-07 | 2014-02-24 | Toyota Motor Corp | 車両の変速制御装置 |
-
1996
- 1996-03-31 JP JP8103875A patent/JPH09269051A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002310280A (ja) * | 2001-04-13 | 2002-10-23 | Aisin Aw Co Ltd | 自動変速機の変速制御装置 |
JP4560985B2 (ja) * | 2001-04-13 | 2010-10-13 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | 自動変速機の変速制御装置 |
JP2014034991A (ja) * | 2012-08-07 | 2014-02-24 | Toyota Motor Corp | 車両の変速制御装置 |
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