JP2018013192A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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友宏 珍部
典弘 塚本
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典弘 塚本
圭祐 太田
Keisuke Ota
圭祐 太田
友弘 浅見
Tomohiro Asami
友弘 浅見
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Abstract

【課題】摩擦係合要素の耐久性の低下を抑制しながら、変速レスポンスの向上を図ることが可能な自動変速機の制御装置を提供する。【解決手段】ECUは、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上のときにダウンシフトを継続し、速度差が所定値未満のときにアップシフトを実行するように構成されている。【選択図】図7

Description

本発明は、自動変速機の制御装置に関する。
従来、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段を成立させる自動変速機を制御する自動変速機の制御装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された自動変速機の制御装置は、アクセルペダルの踏み込みによるダウンシフトの実行中に、アクセルペダルの踏み戻しによりアップシフト判断がされた場合に、ダウンシフトを中止してアップシフトを実行するように構成されている。たとえば、第4速から第2速へのダウンシフト中に、第4速が目標変速段として設定された場合に、第2速へのダウンシフトを中止して第4速に戻る変速に移行されるようになっている。これにより、ダウンシフトが完了されることによるエンジンブレーキの増大を回避するとともに、変速レスポンスの向上を図ることが可能である。
特開平11−108178号公報
しかしながら、上記した従来の自動変速機の制御装置では、ダウンシフトを中止してアップシフトを実行する場合に、アップシフトの際に係合する摩擦係合要素の負荷(摩擦負荷)が大きくなり、摩擦係合要素の耐久性が低下するおそれがある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、摩擦係合要素の耐久性の低下を抑制しながら、変速レスポンスの向上を図ることが可能な自動変速機の制御装置を提供することである。
本発明による自動変速機の制御装置は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段を成立させる自動変速機に適用されるものである。自動変速機の制御装置は、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上のときにダウンシフトを継続し、速度差が所定値未満のときにアップシフトを実行するように構成されている。
このように構成することによって、速度差が所定値以上であり、アップシフトを行うと摩擦係合要素の負荷が大きくなる場合に、アップシフトに切り替えることなくダウンシフトを継続することにより、摩擦係合要素に大きな負荷がかかるのを抑制することができる。また、速度差が所定値未満であり、アップシフトを行っても摩擦係合要素の負荷が大きくならない場合に、ダウンシフトを中止してアップシフトを実行することにより、変速レスポンスの向上を図ることができる。
本発明の自動変速機の制御装置によれば、摩擦係合要素の耐久性の低下を抑制しながら、変速レスポンスの向上を図ることができる。
本発明の一実施形態によるECUを備える車両の概略構成を示した図である。 図1のトルクコンバータおよび自動変速機の構成を示したスケルトン図である。 図2の自動変速機における変速段毎の第1クラッチ〜第4クラッチ、第1ブレーキおよび第2ブレーキの係合状態を示した係合表である。 図1のECUを示したブロック図である。 ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合において、現在の入力軸回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値未満であった場合の一例を示したタイミングチャートである。 ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合において、現在の入力軸回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上であった場合の一例を示したタイミングチャートである。 ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の制御を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態によるECU5を備える車両100について説明する。
車両100は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3と、油圧制御装置4と、ECU5とを備えている。この車両100は、たとえばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式であり、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2および自動変速機3を介してデファレンシャル装置6に伝達され、左右の駆動輪(前輪)7に分配されるようになっている。
−エンジン−
エンジン(内燃機関)1は、走行用の駆動力源であり、たとえば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1は、スロットルバルブのスロットル開度(吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期などにより運転状態を制御可能に構成されている。
−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、図2に示すように、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト1aに連結されたポンプインペラ21と、自動変速機3に連結されたタービンランナ22と、トルク増幅機能を有するステータ23と、エンジン1と自動変速機3とを直結するためのロックアップクラッチ24とを含んでいる。なお、図2では、トルクコンバータ2および自動変速機3の回転中心軸に対して、下側半分を省略して上側半分のみを模式的に示している。
−自動変速機−
自動変速機3は、エンジン1と駆動輪7との間の動力伝達経路に設けられ、入力軸3aの回転を変速して出力軸3bに出力するように構成されている。この自動変速機3では、入力軸3aがトルクコンバータ2のタービンランナ22に連結され、出力軸3bがデファレンシャル装置6などを介して駆動輪7に連結されている。
自動変速機3は、第1遊星歯車装置31aを主体として構成される第1変速部(フロントプラネタリ)31、第2遊星歯車装置32aと第3遊星歯車装置32bとを主体として構成される第2変速部(リアプラネタリ)32、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2などによって構成されている。
第1変速部31を構成する第1遊星歯車装置31aは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1と、これらピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアCA1と、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1とを備えている。
プラネタリキャリアCA1は、入力軸3aに連結され、その入力軸3aと一体的に回転するようになっている。サンギヤS1は、トランスミッションケース30に固定され、回転不能である。リングギヤR1は、中間出力部材として機能し、入力軸3aに対して減速されてその減速回転を第2変速部32に伝達する。
第2変速部32を構成する第2遊星歯車装置32aは、シングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS2と、ピニオンギヤP2と、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤRRとを備えている。
また、第2変速部32を構成する第3遊星歯車装置32bは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3と、それらピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤRRとを備えている。なお、プラネタリキャリアRCAおよびリングギヤRRは、第2遊星歯車装置32aおよび第3遊星歯車装置32bで共用されている。
サンギヤS2は、第1ブレーキB1によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、サンギヤS2は、第3クラッチC3を介してリングギヤR1に選択的に連結される。さらに、サンギヤS2は、第4クラッチC4を介してプラネタリキャリアCA1に選択的に連結される。サンギヤS3は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に選択的に連結される。プラネタリキャリアRCAは、第2ブレーキB2によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、プラネタリキャリアRCAは、第2クラッチC2を介して入力軸3aに選択的に連結される。リングギヤRRは、出力軸3bに連結され、その出力軸3bと一体的に回転するようになっている。
第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2は、いずれも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる摩擦係合要素であり、油圧制御装置4およびECU5によって制御される。
図3は、変速段(ギヤ段)毎の第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2の係合状態または解放状態を示した係合表である。なお、図3の係合表において、○印は「係合状態」を示し、空白は「解放状態」を示している。
図3に示すように、この例の自動変速機3では、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合されることにより、変速比(入力軸3aの回転速度/出力軸3bの回転速度)が最も大きい第1変速段(1st)が成立する。第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合されることにより第2変速段(2nd)が成立する。
第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合されることにより第3変速段(3rd)が成立し、第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合されることにより第4変速段(4th)が成立する。第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合されることにより第5変速段(5th)が成立し、第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合されることにより第6変速段(6th)が成立する。第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合されることにより第7変速段(7th)が成立し、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合されることにより第8変速段(8th)が成立する。なお、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合されることにより後進段(Rev)が成立する。
−油圧制御装置−
油圧制御装置4は、自動変速機3の摩擦係合要素の状態(係合状態または解放状態)を制御するために設けられている。なお、油圧制御装置4は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ24を制御する機能も有する。
−ECU−
ECU5は、エンジン1の運転制御および自動変速機3の変速制御などを行うように構成されている。具体的には、ECU5は、図4に示すように、CPU51と、ROM52と、RAM53と、バックアップRAM54と、入力インターフェース55と、出力インターフェース56とを含んでいる。なお、ECU5は、本発明の「自動変速機の制御装置」の一例である。
CPU51は、ROM52に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。ROM52には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。RAM53は、CPU51による演算結果や各センサの検出結果などを一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM54は、イグニッションをオフする際に保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。
入力インターフェース55には、クランクポジションセンサ81、入力軸回転速度センサ82、出力軸回転速度センサ83、アクセル開度センサ84およびスロットル開度センサ85などが接続されている。
クランクポジションセンサ81は、エンジン1の回転速度(角速度)を算出するために設けられている。入力軸回転速度センサ82は、自動変速機3の入力軸3aの回転速度(タービン回転速度)を算出するために設けられている。出力軸回転速度センサ83は、自動変速機3の出力軸3bの回転速度を算出するために設けられている。アクセル開度センサ84は、アクセルペダルの踏込量(操作量)であるアクセル開度を検出するために設けられている。スロットル開度センサ85は、スロットルバルブのスロットル開度を検出するために設けられている。
出力インターフェース56には、インジェクタ91、イグナイタ92、スロットルモータ93および油圧制御装置4などが接続されている。インジェクタ91は、燃料噴射弁であり、燃料噴射量を調整可能である。イグナイタ92は、点火プラグによる点火時期を調整するために設けられている。スロットルモータ93は、スロットルバルブのスロットル開度を調整するために設けられている。
そして、ECU5は、各センサの検出結果などに基づいて、スロットル開度、燃料噴射量および点火時期などを制御することにより、エンジン1の運転状態を制御可能に構成されている。また、ECU5は、油圧制御装置4を制御することにより、自動変速機3の変速制御およびトルクコンバータ2のロックアップクラッチ24の制御を実行可能に構成されている。
ECU5による変速制御では、たとえば、車速およびアクセル開度をパラメータとする変速マップに基づいて目標変速段が設定され、実際の変速段が目標変速段になるように油圧制御装置4が制御される。すなわち、ECU5は、変速マップに基づいて変速判断を行い、変速を実行すべきと判断した場合に目標変速段が得られるように変速制御を実行する。なお、変速マップに基づいてダウンシフトを実行すべきと判断することをダウンシフト判断といい、変速マップに基づいてアップシフトを実行すべきと判断することをアップシフト判断という。
なお、この変速制御では、1つの摩擦係合要素の解放と1つの摩擦係合要素の係合とにより成立する変速段への切り替えが許可され、2つの摩擦係合要素の解放と2つの摩擦係合要素の係合とが必要な変速段への切り替えが禁止されている。また、現在の変速段から2段以上離れた変速段に切り替え可能である。
−自動変速機の変速制御−
ここで、一般的な変速制御としては、例えば変速ショックや変速時間等が適切であるか否かを実車にて評価しつつ適合により予め定められた制御マップに基づいて、変速時の各摩擦係合要素(前記クラッチおよびブレーキ)のトルク容量(或いは油圧指令値)を決定して変速を実行する手法がある。この制御マップを用いる手法では、パワーオンダウンシフトやパワーオフアップシフト等の変速パターンおよび変速前後の変速段の組み合わせに応じて、多数の制御マップを作成しておく必要がある。そのため、自動変速機の変速段が多段化されるほど、適合作業に多くの労力が必要となってしまう。
そこで、本実施形態では、変速制御として、前記制御マップを用いる手法に代えて、変速目標値を実現させる制御操作量を決定する変速モデルを用いて変速を実行する手法を採用している。前記変速目標値は、変速時に実現したい変化態様を定める要素(例えば変速時間、駆動力等)の目標値である。前記制御操作量は、制御対象に対して操作する要素(エンジントルク、クラッチトルク等)の要求値である。
以下、変速モデルを用いた変速制御について説明する。変速中における運動方程式は、下記の式(1)および式(2)で表される。
Figure 2018013192
この式(1)および式(2)は、自動変速機3を構成する相互に連結された各回転要素毎の運動方程式、および、自動変速機3を構成する遊星歯車装置における関係式から導き出されたものである。前記各回転要素毎の運動方程式は、各回転要素におけるイナーシャと回転速度時間変化率との積で表されるトルクを、遊星歯車装置の3つの部材、および摩擦係合要素の両側の部材のうち各回転要素に関与する部材に作用するトルクにて規定した運動方程式である。また、遊星歯車装置における関係式は、遊星歯車装置の歯車比を用いて、その遊星歯車装置の3つの部材におけるトルクの関係と回転速度時間変化率の関係とを各々規定した関係式である。
式(1)および式(2)において、dωt/dtは、タービン回転速度ωt(すなわち変速機入力軸回転速度ωi)の時間微分すなわち時間変化率であり、入力軸3a側の回転部材の速度変化量としての入力軸3aの加速度(以下、入力軸加速度という)を表している。dωo/dtは、変速機出力軸回転速度ωoの時間変化率であり、出力軸加速度を表している。Ttは、入力軸3a側の回転部材上のトルクとしての入力軸3a上のトルクであるタービントルクすなわち変速機入力トルクTiを表している。このタービントルクTtは、トルクコンバータ2のトルク比tを考慮すればエンジントルクTe(=Tt/t)と同意である。Toは、出力軸3b側の回転部材上のトルクとしての出力軸3b上のトルクである変速機出力トルクを表している。Tcaplは、変速時に係合動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、係合側クラッチトルクという)である。Tcdrnは、変速時に解放動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、解放側クラッチトルクという)である。a1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2はそれぞれ、前記式(1)および式(2)を導き出した際に定数としたものであり、前記各回転要素におけるイナーシャおよび前記遊星歯車装置の歯車比から設計的に定められる係数である。この定数の具体的な数値は、例えば変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速段の組み合わせ)毎に異なる。従って、前記運動方程式としては1つの所定のものであるが、自動変速機3の変速には、変速の種類毎に異なる定数とされたそれぞれの変速の種類に対応する運動方程式が用いられる。
前記式(1)および式(2)は、変速目標値と制御操作量との関係を定式化した自動変速機3のギヤトレーン運動方程式である。変速目標値は、変速時間および駆動力の各目標値を表現でき、ギヤトレーン運動方程式上で取り扱えるものである。本実施形態では、変速時間を表現できる物理量の一例として、入力軸加速度dωt/dtを用いている。また、駆動力を表現できる物理量の一例として、変速機出力トルクToを用いている。つまり、本実施形態では、変速目標値を、入力軸加速度dωt/dtと、変速機出力トルクToとの2つの値で設定している。
一方、本実施形態では、前記変速目標値を成立させる制御操作量を、タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)と、係合側クラッチトルクTcaplと、解放側クラッチトルクTcdrnとの3つの値で設定している。そうすると、運動方程式が前記式(1)および式(2)の2式で構成されることに対して制御操作量が3つあるため、2つの変速目標値を成立させる制御操作量を一意に解くことはできない。尚、各式中の出力軸加速度dωo/dtは、前記出力軸回転速度センサ83の検出値である変速機出力軸回転速度ωoから算出される。
そこで、前記式(1)および式(2)の運動方程式に、拘束条件を追加して制御操作量を一意に解くことについて検討した。そして、本実施形態では、変速中のトルクの受け渡しを表現したり制御したりするのに適しており、また、何れの変速パターンにも対応することができる拘束条件として、解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ伝達トルクのトルク分担率を用いることとしている。つまり、変速中のトルクの受け渡しを運動方程式に組み込むことができ、且つ制御操作量を一意に解くことができる、伝達トルクのトルク分担率を拘束条件として設定することとしている。前記トルク分担率は、自動変速機3の変速時に解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ必要がある合計の伝達トルク(合計伝達トルク)を、例えば入力軸3a上のトルク(入力軸上合計伝達トルク)に置き換えたときに、その入力軸上合計伝達トルクに対して両摩擦係合要素が各々分担する伝達トルクの割合である。本実施形態では、係合側クラッチのトルク分担率を「xapl」とし、解放側クラッチのトルク分担率を「xdrn」として、それぞれのトルク分担率を、変速中のトルクの受け渡しを反映するように時系列で変化するトルク分担率x(例えば0≦x≦1)を用いて次式(3)および次式(4)のように定義する。
xapl=x …(3)
xdrn=1−x …(4)
係合側クラッチトルクTcaplと解放側クラッチトルクTcdrnとの関係式は、入力軸3a上のトルクに置き換えた「Tcapl」および「Tcdrn」と、前記式(3)および式(4)とに基づいて、「x」(=xapl)と「1−x」(=xdrn)とを用いて定義することができる。そして、前記式(1)、前記式(2)、および、「Tcapl」と「Tcdrn」との関係式から、制御操作量である、タービントルクTt、係合側クラッチトルクTcapl、および、解放側クラッチトルクTcdrnを算出する関係式が導き出される。タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)は、「x」(=xapl)、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、係合側クラッチトルクTcaplは、「x」(=xapl)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、解放側クラッチトルクTcdrnは、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。
つまり、本実施形態の変速モデルは、前記変速目標値と前記制御操作量とを含む自動変速機3の運動方程式(前記式(1),(2))と、前記トルク分担率を表す関係(前記式(3),(4))とを用いて、前記変速目標値に基づいて前記制御操作量を算出するものである。このように、本実施形態では、前記式(1),(2)に、トルク分担率xにて設定した拘束条件を追加することで、変速モデルを用いて自動変速機3の変速を実行する。よって、2つの変速目標値に対して3つの制御操作量があったとしても、前記変速モデルを用いて3つの制御操作量を適切に決定することができる。この変速モデルとしては1つの所定のものであるが、上述したように変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速段の組み合わせ)毎に異なる定数とされたギヤトレーン運動方程式が用いられるので、自動変速機3の変速には、それぞれの変速の種類に対応する変速モデルが用いられることになる。
−ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の制御−
次に、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の制御について説明する。
ここで、アクセルペダルが踏み込まれることによりダウンシフト判断がされ、そのダウンシフトの実行中に、アクセルペダルの踏み戻しによってアップシフト判断がされた場合に、ダウンシフトを中止してアップシフトを実行すると、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差(以下、単に「速度差」ともいう)が大きい場合に、アップシフトの際に係合する摩擦係合要素の負荷(摩擦負荷)が大きくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、ECU5は、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、速度差が所定値以上のときにダウンシフトを継続し、速度差が所定値未満のときにアップシフトを実行するように構成されている。なお、所定値は、ダウンシフトを継続するかダウンシフトを中止してアップシフトを実行するかを判定するための閾値であり、たとえば、各摩擦係合要素の耐久性を考慮して摩擦係合要素毎に予め設定されている。
図5および図6は、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の一例を示したタイミングチャートである。次に、図5および図6を参照して、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の動作例について説明する。なお、図5は、速度差が所定値未満である場合を示し、図6は、速度差が所定値以上である場合を示した。
[速度差が所定値未満の場合]
まず、図5に示すように、自動変速機3が第7変速段である状態から、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度が大きくなると、時点t1において、ECU5が変速マップに基づいて第3変速段へのダウンシフト判断を行う。このため、目標変速段として第3変速段が設定され、第3変速段に向けて変速制御が開始される。
具体的には、ECU5により上記した変速モデルを用いた変速制御が実行される。すなわち、変速目標値である入力軸加速度dωt/dtおよび変速機出力トルクToが算出されるとともに、トルク分担率(x、xapl、xdrn)が算出される。そして、その変速目標値およびトルク分担率に基づいて、制御操作量としてのタービントルクTt、係合側クラッチトルクTcaplおよび解放側クラッチトルクTcdrnが算出される。ECU5は、算出されたタービントルクTtが得られるようにエンジン1を制御し、算出された係合側クラッチトルクTcaplおよび解放側クラッチトルクTcdrnが得られるように油圧制御装置4を制御する。
そして、第7変速段から第3変速段へと切り替えられるパワーオンダウンシフト時には、第2クラッチC2が解放されることにより、入力軸3aの回転速度がダウンシフト後の同期回転速度(3速同期回転速度)に向けて上昇される。なお、変速後の同期回転速度は、変速後の変速比と出力軸3bの回転速度とに基づいて算出される。
その後、アクセルペダルの踏み戻しにより、アクセル開度が小さくなると、時点t2において、ECU5が変速マップに基づいて第7変速段へのアップシフト判断を行う。このため、目標変速段として第7変速段が設定される。
ここで、本実施形態では、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度(7速同期回転速度)との速度差を算出する。そして、その速度差が所定値未満である場合には、アップシフトを行っても第2クラッチC2の負荷が大きくならないため、第3変速段へのダウンシフトを中止して、第7変速段へのアップシフトが実行される。このため、第3変速段に向かう変速制御が中止され、第7変速段に向けて変速制御が開始される。したがって、第2クラッチC2が係合されることにより、入力軸3aの回転速度がアップシフト後の同期回転速度(7速同期回転速度)に向けて低下される。
その後、時点t3において、入力軸3aの回転速度がアップシフト後の同期回転速度に到達し、第2クラッチC2が完全に係合されることにより、第7変速段が成立してアップシフトが完了される。なお、アップシフトしているとき(第7変速段に向かう変速制御中)に、必要に応じてエンジン1のトルクダウン制御を行うようにしてもよい。
[速度差が所定値以上の場合]
次に、図6に示すように、自動変速機3が第7変速段である状態から、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度が大きくなると、時点t11において、ECU5が変速マップに基づいて第3変速段へのダウンシフト判断を行う。このため、目標変速段として第3変速段が設定され、第3変速段に向けて変速制御が開始される。
そして、第7変速段から第3変速段へと切り替えられるパワーオンダウンシフト時には、第2クラッチC2が解放されることにより、入力軸3aの回転速度がダウンシフト後の同期回転速度(3速同期回転速度)に向けて上昇される。
その後、アクセルペダルの踏み戻しにより、アクセル開度が小さくなると、時点t12において、ECU5が変速マップに基づいて第7変速段へのアップシフト判断を行う。このため、目標変速段として第7変速段が設定される。
ここで、本実施形態では、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度(7速同期回転速度)との速度差を算出する。そして、その速度差が所定値以上である場合には、アップシフトを行うと第2クラッチC2の負荷が大きくなるため、第3変速段へのダウンシフトが完了してから、第7変速段に向けてアップシフトが実行される。このため、第3変速段に向かう変速制御が継続される。
その後、入力軸3aの回転速度がダウンシフト後の同期回転速度に到達し、第2クラッチC2が完全に解放されるとともに、第1クラッチC1が完全に係合されることにより、第3変速段が成立する。そして、時点t13から、目標変速段である第7変速段に向けて1段ずつアップシフトが実行される。
図7は、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の制御を説明するためのフローチャートである。次に、図7を参照して、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合の制御について説明する。なお、以下の各ステップはECU5により実行される。
まず、図7のステップST1において、パワーオンダウンシフトが行われるか否かが判断される。具体的には、アクセルペダルが踏み込まれてダウンシフト判断がされた場合に、パワーオンダウンシフトが行われると判断される。そして、パワーオンダウンシフトが行われると判断された場合には、ステップST2に移る。その一方、パワーオンダウンシフトが行われないと判断された場合には、リターンに移る。
次に、ステップST2において、パワーオンダウンシフト時の変速制御が実行される。具体的には、自動変速機3の変速段をステップST1で設定された目標変速段に切り替えるために、上記した変速モデルを用いた変速制御が実行される。
次に、ステップST3において、パワーオンダウンシフトが完了されたか否かが判断される。すなわち、ステップST1で設定された目標変速段への切り替えが完了されたか否かが判断される。そして、パワーオンダウンシフトが完了されていないと判断された場合には、ステップST4に移る。その一方、パワーオンダウンシフトが完了されたと判断された場合には、リターンに移る。
そして、ステップST4において、アップシフトが行われるか否かが判断される。具体的には、アクセルペダルの踏み戻しによってアップシフト判断がされた場合に、アップシフトが行われると判断される。すなわち、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされたか否かが判断される。そして、アップシフトが行われると判断された場合には、ステップST5に移る。その一方、アップシフトが行われないと判断された場合には、ステップST2に戻る。
次に、ステップST5において、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上であるか否かが判断される。なお、アップシフト後の同期回転速度は、ステップST4でアップシフト判断された際の目標変速段の同期回転速度である。そして、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上ではないと判断された場合(速度差が所定値未満である場合)には、アップシフトを行っても摩擦係合要素の負荷が大きくならないことから、ステップST6に移る。その一方、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上であると判断された場合には、アップシフトを行うと摩擦係合要素の負荷が大きくなることから、ステップST7に移る。
そして、ステップST6では、ダウンシフトが中止され、アップシフトが実行される。すなわち、ステップST1でダウンシフト判断された際の目標変速段に向けての変速制御が中止され、ステップST4でアップシフト判断された際の目標変速段に向けての変速制御が開始される。なお、アップシフトしているときに、必要に応じてエンジン1のトルクダウン制御を行うようにしてもよい。その後、アップシフトが完了されると、リターンに移る。
また、ステップST7では、ダウンシフトが継続される。すなわち、ステップST1でダウンシフト判断された際の目標変速段に向けての変速制御が継続される。その後、ダウンシフトが完了される。そして、ステップST8において、ダウンシフトの完了後に1段ずつアップシフトが実行される。つまり、ステップST1でダウンシフト判断された際の目標変速段に切り替えられた後に、ステップST4でアップシフト判断された際の目標変速段に向けて1段ずつアップシフトされる。その後、ステップST4でアップシフト判断された際の目標変速段に切り替えられ、アップシフトが完了されると、リターンに移る。
−効果−
本実施形態では、上記のように、ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸3aの回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上のときにダウンシフトを継続し、速度差が所定値未満のときにアップシフトを実行するように構成されている。このように構成することによって、速度差が所定値以上であり、アップシフトを行うと摩擦係合要素の負荷が大きくなる場合に、アップシフトに切り替えることなくダウンシフトを継続することにより、摩擦係合要素に大きな負荷がかかるのを抑制することができる。また、速度差が所定値未満であり、アップシフトを行っても摩擦係合要素の負荷が大きくならない場合に、ダウンシフトを中止してアップシフトを実行することにより、変速レスポンスの向上を図ることができる。その結果、摩擦係合要素の耐久性の低下を抑制しながら、変速レスポンスの向上を図ることができる。
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、本実施形態では、車両100がFFである例を示したが、これに限らず、車両が、FR(フロントエンジン・リアドライブ)であってもよいし、4輪駆動であってもよい。
また、本実施形態では、エンジン1が多気筒ガソリンエンジンである例を示したが、これに限らず、エンジンがディーゼルエンジンなどであってもよい。
また、本実施形態において、ECU5が複数のECUにより構成されていてもよい。
本発明は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段を成立させる自動変速機を制御する自動変速機の制御装置に利用可能である。
3 自動変速機
5 ECU(自動変速機の制御装置)
C1 第1クラッチ(摩擦係合要素)
C2 第2クラッチ(摩擦係合要素)
C3 第3クラッチ(摩擦係合要素)
C4 第4クラッチ(摩擦係合要素)
B1 第1ブレーキ(摩擦係合要素)
B2 第2ブレーキ(摩擦係合要素)

Claims (1)

  1. 複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段を成立させる自動変速機に適用される自動変速機の制御装置であって、
    ダウンシフトの実行中にアップシフト判断がされた場合に、現在の入力軸回転速度とアップシフト後の同期回転速度との速度差が所定値以上のときにダウンシフトを継続し、前記速度差が所定値未満のときにアップシフトを実行するように構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021089044A (ja) * 2019-12-05 2021-06-10 トヨタ自動車株式会社 変速制御装置

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