JP3687184B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車に搭載される自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したものであるが、かかる変速動作のなかには、一つの摩擦要素を解放すると共に他の摩擦要素を締結するように動作させるものがある。
【0003】
特にこのような変速がスロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウンシフトの変速である場合等には、例えば特開昭62−261747号公報に開示されているように、まず解放側の摩擦要素の解放動作を先行させて該摩擦要素をスリップさせ、このときタービン回転数が変速動作中の目標回転数に一致するように解放側摩擦要素の締結力をフィードバック制御し、タービン回転数が変速後の回転数の近くまで上昇した時点で締結側摩擦要素を締結させると共に、解放側摩擦要素を完全に解放させて目的の変速段を達成するようにしている。
【0004】
ところで、この種の自動変速機には各摩擦要素の油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路が備えられ、上記変速時においては、この油圧制御回路で生成された作動圧を締結側摩擦要素の油圧室に供給することにより該摩擦要素を締結させることになる。しかし、例えば変速前において、当該締結側摩擦要素の油圧室に至る油路内には作動油がドレンされて存在していないような場合であると、変速指令の出力後、直ちに作動圧を生成してこの締結側摩擦要素の油圧室に供給するようにしても、当初は油路内に作動油が存在していないのであるから油圧室内では油圧が直ちに上昇せず、締結動作が遅れるといった問題が生じる。
【0005】
そこで、変速指令が出力されたときに、当該摩擦要素に対する作動圧の供給を制御するデューティソレノイドバルブ等の油圧制御バルブを所定時間だけ全開状態とし、該摩擦要素の油圧室に至る油路に作動油を速やかに充満させるプリチャージ制御を行うことが知られている。これにより、締結側摩擦要素が速やかに締結直前の状態に準備されて締結動作の遅れが解消されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、油圧制御回路の構成上、摩擦要素の油圧室に至る油路が長く設定されていたり、又は作動油の温度が低く粘度が高いとき等は、油路に作動油を充満させるのに要するプリチャージ期間が長くなるため、タービン回転数が変速後の回転数の近くまで上昇して解放側摩擦要素が完全に解放される時点においても、未だ締結側摩擦要素においてはプリチャージ期間中で締結直前の状態に準備されておらず、その結果、この締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されて動力伝達経路が中立状態となり、エンジンが吹き上がる等の不具合が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、一つの摩擦要素を解放すると共に他の摩擦要素を締結する変速時における上記問題に対処するもので、その変速動作を常に良好に行わせることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は次のように特定される。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明(以下「第1発明」という。)は、変速歯車機構と、作動圧の給排により選択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える複数の摩擦要素と、これらの摩擦要素に対する作動圧の給排を制御することにより複数の変速段を達成する変速制御手段と、第1の摩擦要素を解放して第2の摩擦要素を締結する変速時には、該変速動作中におけるタービン回転数が所定の目標回転数と一致するように上記第1の摩擦要素の締結力を制御する解放要素制御手段とを有する自動変速機の制御装置であって、第2の摩擦要素の締結準備の完了を判定する締結準備判定手段と、該判定手段による締結準備の完了の判定まで、第1の摩擦要素の締結力が所定値以下とならないように上記解放要素制御手段の制御を規制する解放規制手段とが備えられていることを特徴とする。
【0010】
この第1発明によれば、第1の摩擦要素を解放して第2の摩擦要素を締結する変速時には、該変速動作中におけるタービン回転数が所定の目標回転数と一致するように、解放側摩擦要素である第1の摩擦要素の締結力の制御が行なわれる場合に、締結側摩擦要素である第2の摩擦要素の締結準備が判定されるまで、上記第1の摩擦要素の締結力が所定値以下となることが規制されるので、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避され、その結果、変速動作中に動力伝達経路が中立状態となってエンジンが吹き上がる等の不具合が解消されることになる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明(以下「第2発明」という。)は、上記第1発明において、締結準備判定手段は、第2の摩擦要素に至る油路が作動油で充満されているときに、該摩擦要素の締結準備の完了を判定することを特徴とする。
【0012】
この第2発明によれば、プリチャージ期間が終了して締結側摩擦要素が締結直前の状態となっていることをもって該摩擦要素の締結準備が判定されることになる。
【0013】
そして、請求項3に記載の発明(以下「第3発明」という。)は、上記第1発明又は第2発明において、解放規制手段は、タービン回転数が変速後の回転数と一致したときは、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、第1の摩擦要素の締結力が一定に保持されるように上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とし、また、請求項4に記載の発明(以下「第4発明」という。)は、同じく上記第1発明又は第2発明において、解放規制手段は、タービン回転数が変速後の回転数と一致したときは、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、該タービン回転数が一定に保持されるように上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とする。
【0014】
これらの第3発明又は第4発明によれば、解放側摩擦要素の締結力の制御によりタービン回転数が変速後の回転数と一致した場合には、締結側摩擦要素の締結準備が判定されるまで、解放側摩擦要素の締結力がそれ以上は低下されないので、これにより、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避されることになる。
【0015】
一方、請求項5に記載の発明(以下「第5発明」という。)は、同じく上記第1発明又は第2発明において解放規制手段は、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、上記解放要素制御手段の制御を禁止することを特徴とする。
【0016】
この第5発明によれば、締結側摩擦要素の締結準備が判定されるまで、解放側摩擦要素の解放動作が行なわれないので、これにより、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避されることになる。
【0017】
そして、請求項6に記載の発明(以下「第6発明」という。)は、上記第1発明ないし第5発明のいずれかにおいて、作動油の温度を検出する油温検出手段が設けられ、解放規制手段は、上記検出手段で検出される油温が所定温度以下のときに、上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とする。
【0018】
この第6発明によれば、低温時に限って解放側摩擦要素の締結力の制御が規制されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、機械的構成、油圧制御回路、及び変速制御動作にわけて説明する。
【0020】
機械的構成
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
【0021】
この自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0022】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0023】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0024】
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,44とで構成されている。
【0025】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0026】
さらに、第1遊星歯車機構30のリングギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリングギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0027】
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置70を介して左右の車軸73,74が駆動されるようになっている。
【0028】
ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0029】
なお、上記の骨子図に示す自動変速機10の変速歯車機構の部分は、具体的には図2に示すように構成されているが、この図に示すように、変速機ケース11には後述する制御で用いられるタービン回転センサ305が取り付けられている。このセンサ305は、先端部がタービンシャフト27と一体的に回転するフォワードクラッチ51のドラム51aの外周面に対向するように取り付けられ、該ドラム外周面に設けられたスプラインによって生じる磁場の周期的変化を検知することにより、上記タービンシャフト27の回転数を検出するようになっている。
【0030】
【表1】
Figure 0003687184
油圧制御回路
次に、図1、図2に示す各摩擦要素51〜55に設けられた油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路の構成を図3により説明する。
【0031】
なお、上記各摩擦要素のうち、バンドブレーキでなる2−4ブレーキ54は、作動圧が供給される油圧室として締結室54aと解放室54bとを有し、締結室54aのみに作動圧が供給されているときに当該2−4ブレーキ54が締結され、解放室54bのみに作動圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動圧が供給されていないとき、及び両室54a,54bとも作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ54が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要素51〜53,55は単一の油圧室を有し、該油圧室に作動圧が供給されているときに当該摩擦要素が締結される。
【0032】
図3に示すように、この油圧制御回路100には、主たる構成要素として、オイルポンプの吐出圧を調整して所定のライン圧を生成するレギュレータバルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動して各摩擦要素51〜55に通じる油路を切り換えるローリバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4シフトバルブ105及びロックアップコントロールバルブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させるための第1、第2ON−OFFソレノイドバルブ(以下、「第1、第2SV」と記す)111,112と、第1SV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノイドリレーバルブ(以下、「リレーバルブ」と記す)107と、各摩擦要素51〜55の油圧室に供給される作動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デューティソレノイドバルブ(以下、「第1〜第3DSV」と記す)121,122,123等が備えられている。
【0033】
ここで、上記第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断されるので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出することがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減される。
【0034】
なお、第1、第2SV111,112はONのときに上、下流側の油路を連通させる。また、第1〜第3DSV121〜123はOFFのとき、即ちデューティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が100%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路をドレン状態とすると共に、その中間のデューティ率では、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューティ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになっている。
【0035】
上記レギュレータバルブ101によって調整されるライン圧は、メインライン200を介して上記マニュアルバルブ102に供給されると共に、ソレノイドレデューシングバルブ(以下、「レデューシングバルブ」と記す)108と3−4シフトバルブ105とに供給される。
【0036】
このレデューシングバルブ108に供給されたライン圧は、該バルブ108によって減圧されて一定圧とされた上で、ライン201,202を介して第1、第2SV111,112に供給される。
【0037】
そして、この一定圧は、第1SV111がONのときには、ライン203を介して上記リレーバルブ107に供給されると共に、該リレーバルブ107のスプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該バイパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。また、リレーバルブ107のスプールが左側に位置するときは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢する。
【0038】
また、第2SV112がONのときには、上記レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライン206を介してバイパスバルブ104に供給されると共に、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置するときは、さらにライン207を介してロックアップコントロールバルブ106の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該コントロールバルブ106のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ104のスプールが左側に位置するときは、ライン208を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0039】
さらに、レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバルブ101の制御ポート101aにも供給される。その場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられたリニアソレノイドバルブ131により例えばエンジンのスロットル開度等に応じて調整され、したがって、レギュレータバルブ101により、ライン圧がスロットル開度等に応じて調整されることになる。
【0040】
なお、上記3−4シフトバルブ105に導かれたメインライン200は、該バルブ105のスプールが右側に位置するときに、ライン210を介して第1アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141にライン圧を導入する。
【0041】
一方、上記メインライン200からマニュアルバルブ102に供給されたライン圧は、D,S,Lの各前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及び第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出力ライン213にそれぞれ導入される。
【0042】
そして、上記第1出力ライン211は第1DSV121に導かれて、該第1DSV121に制御元圧としてライン圧を供給する。この第1DSV121の下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置するときには、さらにライン(サーボアプライライン)215を介して2−4ブレーキ54の締結室54aに導かれる。また、上記ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置するときには、さらにライン(ローリバースブレーキライン)216を介してローリバースブレーキ55の油圧室に導かれる。
【0043】
ここで、上記ライン214からはライン217が分岐されて、第2アキュムレータ142に導かれている。
【0044】
また、上記第2出力ライン212は、第2DSV122及び第3DSV123に導かれて、これらのDSV122,123に制御元圧としてライン圧をそれぞれ供給すると共に、3−4シフトバルブ105にも導かれている。
【0045】
この3−4シフトバルブ105に導かれたライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、ライン218を介してロックアップコントロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが左側に位置するときに、さらにライン(フォワードクラッチライン)219を介してフォワードクラッチ51の油圧室に導かれる。
【0046】
ここで、上記フォワードクラッチライン219から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、前述のライン210を介して第1アキュムレータ141に通じると共に、該バルブ105のスプールが右側に位置するときには、ライン(サーボリリースライン)221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる。
【0047】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第2DSV122の下流側は、ライン222を介して上記リレーバルブ107の一端の制御ポートに導かれて該ポートにパイロット圧を供給することにより、該リレーバルブ107のスプールを左側に付勢する。また、上記ライン222から分岐されたライン223はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置するときに、さらにライン224に通じる。
【0048】
このライン224からは、オリフィス151を介してライン225が分岐されていると共に、この分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置するときに、前述のサーボリリースライン221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに導かれる。
【0049】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からは、さらにライン226が分岐されていると共に、このライン226はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、ライン(3−4クラッチライン)227を介して3−4クラッチ53の油圧室に導かれる。
【0050】
さらに、上記ライン224は直接バイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左側に位置するときに、上記ライン226を介してライン225に通じる。つまり、ライン224とライン225とが上記オリフィス151をバイパスして通じることになる。
【0051】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第3DSV123の下流側は、ライン228を介してロックアップコントロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するときに、上記フォワードクラッチライン219に連通する。また、該ロックアップコントロールバルブ106のスプールが左側に位置するときには、ライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じる。
【0052】
さらに、マニュアルバルブ102からの第3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に導かれて、該バルブ103にライン圧を供給する。そして、該バルブ103のスプールが左側に位置するときに、ライン(リバースクラッチライン)230を介してリバースクラッチ52の油圧室に導かれる。
【0053】
また、第3出力ライン213から分岐されたライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述のライン208を介してローリバースバルブ103の制御ポートにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0054】
以上の構成に加えて、この油圧制御回路100には、コンバータリリーフバルブ109が備えられている。このバルブ109は、レギュレータバルブ101からライン232を介して供給される作動圧を一定圧に調圧した上で、この一定圧をライン233を介してロックアップコントロールバルブ106に供給する。そして、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ106のスプールが右側に位置するときには、前述のライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに供給され、また、該バルブ106のスプールが左側に位置するときには、該一定圧はライン234を介してリヤ室26bに供給されるようになっている。
【0055】
このロックアップクラッチ26は、フロント室26aに上記一定圧が供給されたときに解放されると共に、上記ロックアップコントロールバルブ106のスプールが左側に位置して、第3DSV123で生成された作動圧がフロント室26aに供給されたときには、その作動圧に応じたスリップ状態に制御されるようになっている。
【0056】
また、上記マニュアルバルブ102からは、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に通じるライン235が導かれて、レギュレータバルブ101の減圧ポート101bに接続されており、上記の各レンジで該減圧ポート101bにライン圧が導入されることにより、これらのレンジで、他のレンジ、即ちRレンジよりもライン圧の調圧値が低くなるようになっている。
【0057】
ここで、上記2−4ブレーキ54の油圧アクチュエータの具体的構造を説明すると、図4に示すように、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と該ケース11に固着されたカバー部材54cとで構成されたサーボシリンダ54d内にピストン54eを嵌合し、その両側に前述の締結室54aと解放室54bとを形成した構成とされている。また、上記ピストン54eにはバンド締め付け用ステム54fが取り付けられていると共に、被制動部材(図示せず)に巻き掛けられたブレーキバンド54gの一端側に上記ステム54fが係合され、また、該バンド54gの他端側はケース11に設けられた固定用ステム54hに係合されており、さらに、上記解放室54b内にはピストン54eを締結室54a側、即ちブレーキバンド54gの緩め側に付勢するスプリング54iが収納されている。
【0058】
そして、上記油圧制御回路100を構成するコントロールバルブユニットから油孔(図示せず)を介して締結室54aと解放室54bとに作動圧が供給され、その供給状態に応じてブレーキバンド54gを締め付けもしくは緩めることにより、2−4ブレーキ54を締結もしくは解放するようになっていると共に、特に、この油圧アクチュエータにおいては、上記ピストン54eの締結室54a側および解放室54b側の受圧面積がほぼ等しくされ、したがって、例えば両室54a,54bに等しい圧力の作動圧を供給すると、これらの圧力は互いに打ち消し合い、スプリング54iの付勢力のみが解放側に作用することになる。
【0059】
一方、当該自動変速機10には、図5に示すように、油圧制御回路100における上記第1、第2SV111,112、第1〜第3DSV121〜123及びリニアソレノイドバルブ131を制御するコントローラ300が備えられていると共に、このコントローラ300には、当該車両の車速を検出する車速センサ301、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ303、運転者によって選択されたシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置センサ304、トルクコンバータ20におけるタービン23の回転数を検出するタービン回転センサ305、作動油の油温を検出する油温センサ306等からの信号が入力され、これらのセンサ301〜306からの信号が示す当該車両ないしエンジンの運転状態等に応じて上記各ソレノイドバルブ111,112,121〜123,131の作動を制御するようになっている。なお、上記タービン回転センサ305については、図2にその取り付け状態が示されている。
【0060】
次に、この第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩擦要素51〜55の油圧室に対する作動圧の給排状態の関係を変速段ごとに説明する。
【0061】
ここで、第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123の各変速段ごとの作動状態の組合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に示すように設定されている。
【0062】
この表2中、(○)は、第1、第2SV111,112についてはON、第1〜第3DSV121〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流側に供給する状態を示す。また、(×)は、第1、第2SV111,112についてはOFF、第1〜第3DSV121〜123についてはONであって、いずれも、上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた状態を示す。
【0063】
【表2】
Figure 0003687184
まず、1速(Lレンジの1速を除く)においては、表2及び図6に示すように、第3DSV123のみが作動して、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介してロックアップコントロールバルブ106に供給される。そして、この時点では該ロックアップコントロールバルブ106のスプールが右側に位置することにより、上記作動圧は、さらにフォワードクラッチライン219を介してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワードクラッチ圧として供給され、これにより該フォワードクラッチ51が締結される。
【0064】
ここで、上記フォワードクラッチライン219から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ105及びライン210を介して第1アキュムレータ141に通じていることにより、上記フォワードクラッチ圧の供給が緩やかに行われる。
【0065】
次に、2速の状態では、表2及び図7に示すように、上記の1速の状態に加えて、第1DSV121も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン214を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では、該ローリバースバルブ103のスプールが右側に位置することにより、さらにサーボリリースライン215に導入され、2−4ブレーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、上記フォワードクラッチ51に加えて、2−4ブレーキ54が締結される。
【0066】
なお、上記ライン214はライン217を介して第2アキュムレータ142に通じているから、上記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ54の締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速への変速に際してローリバースバルブ103のスプールが左側に移動したときに、ローリバースブレーキライン216からローリバースブレーキ55の油圧室にプリチャージされる。
【0067】
また、3速の状態では、表2及び図8に示すように、上記の2速の状態に加えて、さらに第2DSV122も作動し、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン222及びライン223を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では、該バルブ103のスプールが同じく右側に位置することにより、さらにライン224に導入される。
【0068】
そして、この作動圧は、ライン224からオリフィス151を介してライン225に導入されて、3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置することにより、さらにサーボリリースライン221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリース圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ54が解放される。
【0069】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からはライン226が分岐されており、上記作動圧は該ライン226によりバイパスバルブ104に導かれると共に、この時点では、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置することにより、さらに3−4クラッチライン227を介して3−4クラッチ53の油圧室に3−4クラッチ圧として供給される。したがって、この3速では、フォワードクラッチ51と3−4クラッチ53とが締結される一方、2−4ブレーキ54は解放されることになる。
【0070】
なお、この3速の状態では、上記のように第2DSV122が作動圧を生成し、これがライン222を介してリレーバルブ107の制御ポート107aに供給されることにより、該リレーバルブ107のスプールが左側に移動する。
【0071】
さらに、4速の状態では、表2及び図9に示すように、3速の状態に対して、第3DSV123が作動圧の生成を停止する一方、第1SV111が作動する。
【0072】
この第1SV111の作動により、ライン201からの一定圧がライン203を介してリレーバルブ107に供給されることになるが、上記のように、このリレーバルブ107のスプールは3速時に左側に移動しているから、上記一定圧がライン205を介して3−4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給されることになり、該バルブ105のスプールをが右側に移動する。そのため、サーボリリースライン221がフォワードクラッチライン219から分岐されたライン220に接続され、2−4ブレーキ54の解放室54bとフォワードクラッチ51の油圧室とが連通する。
【0073】
そして、上記のように第3DSV123が作動圧の生成を停止して、下流側をドレン状態とすることにより、上記2−4ブレーキ54の解放室54b内のサーボリリース圧とフォワードクラッチ51の油圧室内のフォワードクラッチ圧とが、ロックアップコントロールバルブ106及びライン228を介して該第3DSV123でドレンされることになり、これにより、2−4ブレーキ54が再び締結されると共に、フォワードクラッチ51が解放される。
【0074】
一方、Lレンジの1速では、表2及び図10に示すように、第1、第2SV111,112及び第1、第3DSV121,123が作動し、この第3DSV123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1速と同様に、ライン228、ロックアップコントロールバルブ106及びフォワードクラッチライン219を介してフォワードクラッチ51の油圧室にフォワードクラッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ51が締結される。また、このとき、ライン220、3−4シフトバルブ105及びライン210を介して第1アキュムレータ141に作動圧が導入されることにより、上記フォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われるようになっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
【0075】
また、第1SV111の作動により、ライン203、リレーバルブ107、ライン204を介してバイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロット圧が供給されて、該バルブ104のスプールを左側に移動させる。そして、これに伴って、第2SV112からの作動圧がライン206及び該バイパスバルブ104を介してライン208に導入され、さらにローリバースバルブ103の制御ポート103aに供給されて、該バルブ103のスプールを左側に移動させる。
【0076】
したがって、第1DSV121で生成された作動圧がライン214、ローリバースバルブ103及びローリバースブレーキライン216を介してローリバースブレーキ55の油圧室にローリバースブレーキ圧として供給され、これにより、フォワードクラッチ51に加えてローリバースブレーキ55が締結されて、エンジンブレーキが作動する1速が得られる。
【0077】
さらに、Rレンジでは、表2及び図11に示すように、第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123が作動する。ただし、第2、第3DSV122,123については、第2出力ライン212からの元圧の供給が停止されているから作動圧を生成することはない。
【0078】
このRレンジでは、上記のように、第1、第2SV111,112が作動するから、前述のLレンジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ103のスプールも左側に移動する。そして、この状態で第1DSV121で作動圧が生成されることにより、これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレーキ55の油圧室に供給される。
【0079】
一方、Rレンジでは、マニュアルバルブ102から第3出力ライン213にライン圧が導入され、このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動したローリバースバルブ103、及びリバースクラッチライン230を介してリバースクラッチ52の油圧室にリバースクラッチ圧として供給される。したがって、上記リバースクラッチ52とローリバースブレーキ55とが締結されることになる。
【0080】
なお、上記第3出力ライン213には、Nレンジでもマニュアルバルブ102からライン圧が導入されるので、ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置するときは、Nレンジでリバースクラッチ52が締結される。
【0081】
制御動作
次に、前述のコントローラ300による変速制御、特に主としてダウンシフト変速であって摩擦要素の掛け替え動作、つまり摩擦要素の締結動作と解放動作との二つの動作を伴う場合の特徴的な制御動作について説明する。
【0082】
一般に、ダウンシフト変速は、エンジンのスロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウンシフト変速と、これとは逆に、スロットル開度が全閉状態で行なわれるダウンシフト変速、すなわちマニュアル操作によるマニュアルダウン変速や車速の低下によるコーストダウン変速との二つに分類され、それぞれ異なる変速制御が要求される。まず、前者のトルクディマンド変速から説明する。
【0083】
(A)トルクディマンドのダウンシフト変速
トルクディマンド変速では、まず解放側摩擦要素の解放動作を先行させて該摩擦要素をスリップさせることにより、タービン回転数をエンジン回転の増大に伴わせて上昇させると共に、これが予め算出された変速後のタービン回転数の近くまで上昇した時点で締結側摩擦要素を締結させ、かつ解放側摩擦要素を完全に解放して目的の変速段を達成する。そして、その場合に、解放側摩擦要素に対する作動圧、すなわち該摩擦要素の締結力ないしスリップ量を制御することにより、上昇するタービン回転数をフィードバック制御して、図12に示すように、該回転数Ntを各制御サイクル毎の目標回転数Nti0(鎖線)に一致させながら、変速応答性の向上を図るために速やかに変速後の回転数Nti0まで上昇させる。次に、このトルクディマンドのダウンシフト変速の全般的動作について、4−3変速を例に取って説明する。
【0084】
(1)4−3変速制御
4−3変速では、前述の表2及び図8、図9から明らかなように、第1SV111、第1DSV121及び第2DSV122がONで、3−4クラッチ53と2−4ブレーキ54とが締結された状態から、第1SV111がOFFとなり、代わって第3DSV123がONとなって、3−4クラッチ53とフォワードクラッチ51とが締結された状態に移行する。つまり、2−4ブレーキ54を解放してフォワードクラッチ51を締結する摩擦要素の掛け替え動作を伴う変速である。
【0085】
そして、この実施の形態においては、第1SV111が変速動作中はONのまま維持されて、その結果、3−4シフトバルブ105のスプールが右に位置してサーボリリースライン221とフォワードクラッチライン219とが連通された状態に保たれ、この状態で第3DSV123によってそれぞれサーボリリース圧及びフォワードクラッチ圧が供給されることにより、2−4ブレーキ54を解放してフォワードクラッチ51を締結する上記の掛け替え動作が行われる。
【0086】
一方、これに先立って第1DSV121によるタービン回転数のフィードバック制御が行われる。すなわち、該第1DSV121のデューティ率を制御してサーボアプライ圧を低下させ、これにより2−4ブレーキ54を所定量スリップさせると共に、そのスリップ量を制御することによりタービン回転数を所定の目標回転数に一致させながら速やかに変速後の回転数まで上昇させるのである。そして、タービン回転数が変速後回転数の近くまで上昇した時点で上記の摩擦要素の掛け替え動作を行なって、4速から3速への変速を達成する。
【0087】
ここで、前述したように、各DSV121〜123は、デューティ率100%で作動圧が発生しないドレン状態、0%で作動圧が元圧に等しくなる全開状態となり、その中間のデューティ率で作動圧の制御が行なわれる。
【0088】
なお、第1SV111は、この4−3変速動作の終了時には最終的にOFFとされ、これにより、3−4シフトバルブ105のスプールが左に位置してサーボリリースライン221とフォワードクラッチライン219との連通状態が遮断されることになるが、フォワードクラッチ51には引き続き第3DSV123によってフォワードクラッチ圧が供給され、一方、2−4ブレーキ54の解放室54bにはライン225を介して3−4クラッチ圧がサーボリリース圧となって供給される。
【0089】
また、第1DSV121のデューティ率は、この4−3変速動作の終了時には最終的に0%に戻され、これにより、タービン回転数のフィードバック制御中にいったん低下されたサーボアプライ圧が再び上昇して2−4ブレーキ54の解放室54bに供給されることになるが、このとき解放室54bにはサーボリリース圧が供給されているので、結果的にこの2−4ブレーキ54は解放される。このサーボアプライ圧の再供給は、当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能性の大きい3−2変速もしくは3−4変速時に、再びこの2−4ブレーキ54が締結されることを考慮して、該2−4ブレーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧を供給した状態に存置しておくものである。
【0090】
(1−1)第1DSV121の制御
タービン回転数をフィードバック制御する第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御は図13に示すプログラムに従って行われる。これを図14に示すタイムチャートを参照しながら説明すると、まず、4−3変速指令が出力されたときに、ステップS1で作動油の温度(油温)が所定の温度Kより高いか否かを判定する。この所定温度Kとしては、例えばマイナス30℃等の極く低い温度が設定される。
【0091】
そして、油温がこのような極低温のときは、ステップS2に進んで、変速指令出力中に行なわれるフォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧のプリチャージの制御期間中であるか否かを、プリチャージフラグFpの値に基づいて判定する。
【0092】
このプリチャージ制御は、後の(1−6)で説明するように、変速開始時にフォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路に予め作動油を速やかに充満させておいて、これによりフォワードクラッチ51の締結動作ないし2−4ブレーキ54の解放動作の遅れを回避するために行なわれるもので、上記制御によってプリチャージ期間中であると判定されたときは、プリチャージフラグFpが1にセットされ、一方、プリチャージ期間が終了すれば0にリセットされるようになっている。そして、該フラグFpが0となるまで次のステップS3以下に進まず、したがって、この第1DSV121の実体的な制御が変速指令の出力後すぐには行なわれず遅延されることになるが、この意義については後の(1−7)で説明することとし、いまは、油温がこのように低くない場合、すなわち標準的な常温時であるとして説明を進める。
【0093】
上記ステップS1で常温時であると判定されると、次にステップS3,S4でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算出すると共に、ステップS5でこれらの油圧Pb、Pfbを加算して算出油圧Psを求める。なお、上記ベース油圧Pb及びフィードバック油圧Pfbの算出動作については後の(1−2)及び(1−3)で説明する。
【0094】
次に、ステップS6で、変速指令の出力後、所定の時間T1が経過したか否かを判定し、この所定時間T1が経過するまでは、ステップS7で、第1DSV121のデューティ率を0%の状態に保持して、2−4ブレーキ54の解放動作をまだ開始しないようにする。これは、トルクディマンド変速の場合は、スロットル開度の増大に伴ってライン圧が急上昇するので、その安定を待ってから該2−4ブレーキ54に対する作動圧の制御を行うためである。
【0095】
そして、上記時間T1が経過すれば、ステップS8で、タービン回転数Ntが変速後の回転数Nt0よりもごく小さな所定の回転数ΔNtだけ低い回転数(以下「変速終了直前回転数」と記す。)まで上昇したのちさらに所定時間T2が経過したか否かを判定し、その経過前までは、ステップS9で、上記のようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力してサーボアプライ圧を制御する。一方、上記時間T2が経過すれば、ステップS10,S11で、デューティ率を再び一定割合で0%に戻してサーボアプライ圧を上昇させる。
【0096】
ここで、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数(Nt0−ΔNt)まで上昇したのちさらに所定時間T2が経過するまでサーボアプライ圧の制御、つまりタービン回転数のフィードバック制御を続行する理由は、後の(1−4)で説明するように、フォワードクラッチ圧及びサーボリリース圧がもう一方の第3DSV123の制御によってタービン回転数Ntがこの変速終了直前回転数まで上昇した時点で先に供給されるので、これによってフォワードクラッチ51が完全に締結し、また2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリース圧が完全に供給されるまで、該2−4ブレーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧を再供給しない、つまりこの2−4ブレーキ54を締結状態とさせないためである。
【0097】
(1−2)ベース油圧Pbの計算
図13のプログラムのステップS3におけるベース油圧Pbの計算は、図15に示すプログラムに従って次のように行われる。
【0098】
まず、ステップS21で、変速中の目標タービン回転変化率dNt0を算出し、次いでステップS22で、この目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧Piを図16に示すマップに基づいて算出する。図示したように、このマップは、目標タービン回転変化率dNt0が大きくなるほど油圧Piが小さな値になるように設定されている。
【0099】
また、ステップS23で、変速時の目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptを図17に示すマップに基づいて算出する。図示したように、このマップは、目標タービントルクTt0が大きくなるほど油圧Ptが大きな値になるように設定されている。
【0100】
そして、ステップS24で、これらの油圧Pi,Ptを加算することによりベース油圧Pbを求め、このベース油圧Pbが、図14の符号アで示すように、サーボアプライ圧の制御中において一定値として用いられる。
【0101】
(1−3)フィードバック油圧Pfbの計算
図13のプログラムのステップS4におけるフィードバック油圧Pfbの計算は、図18に示すプログラムに従って次のように行われる。
【0102】
まず、ステップS31で、後の(1−5)で説明するフィードバック制御の開始条件が成立したか否かを示すフィードバックフラグFfの値を判定する。そして、この条件が成立して上記フラグFfが1となるまでは、ステップS32で、フィードバック油圧Pfbを0とする。
【0103】
また、上記条件が成立してフラグFfが1となれば、ステップS33で、現時点の目標タービン回転数Nti0を計算する。この計算は、変速前後の回転数の差と、予め設定されている最適変速時間とに基づいて行われ、各制御サイクル毎にそのサイクルでの目標タービン回転数Nti0が求められる。
【0104】
そして、ステップS34で、この目標タービン回転数Nti0に対する実タービン回転数Ntの偏差Dn(Nt−Nti0)を求めると共に、ステップS35で、この偏差Dnに応じたフィードバック油圧Pfbを図19に示すマップに基づいて算出する。
【0105】
ここで、このマップにおいては、フィードバック油圧Pfbは、偏差Dnが正のときには正の値に、偏差Dnが負のときには負の値とされると共に、その大きさは、偏差Dnの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定されている。
【0106】
以上のベース油圧Pbの計算及びフィードバック油圧Pfbの計算により、図14に示すように、第1DSV121は、変速指令が出力されて所定時間T1が経過した時点でデューティ率0%の状態(全開状態)からベース油圧Pbに相当する一定のデューティ率での制御に移行する。これにより、2−4ブレーキに対するサーボアプライ圧が低下されて該2−4ブレーキがスリップをし始め、その結果、図中符号イで示すように、タービン回転数Ntが上昇を開始した時点からフィードバック制御に移行する。そして、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時間T2が経過した時点で、デューティ率が再び0%に戻されて、サーボアプライ圧が所定値まで上昇することになる。
【0107】
(1−4)第3DSV123の制御
一方、第3DSV123によるフォワードクラッチ圧及びサーボリリース圧の制御は図20に示すプログラムに従って行われ、まず、4−3変速指令が出力されたときに、ステップS41で算出油圧Psを求める。このことから明らかなように、この第3DSV123の制御においては、上記の第1DSV121の制御とは異なり、油温についての判定をせずに、常に変速指令の出力後直ちに実体的制御が行なわれる。この意義についても後の(1−7)で併せて説明する。
【0108】
次に、ステップS42で、プリチャージフラグFpが1にセットされているか否かを判定して、プリチャージフラグFpが1のとき、すなわち、プリチャージ期間中であるときは、ステップS43で、第3DSV123のデューティ率を0%として、フォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
【0109】
また、プリチャージフラグFpが0にリセットされているとき、すなわちプリチャージ期間が終了すれば、さらに、ステップS44で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定し、この回転数まで上昇するまでの間は、ステップS45で、上記算出油圧Psに対応するデューティ率の信号を第3DSV123に出力する。
【0110】
その場合に、この算出油圧Psは、フォワードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧であって、この油圧がフォワードクラッチ51の油圧室に供給された状態では、該クラッチ51のピストンが締結直前の状態に保持されることになる。また、2−4ブレーキ54の解放室54b内において油圧が直ちに立ち上がる状態に保持されることになる。
【0111】
そして、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時点で、ステップS46,47に従って、デューティ率を一定割合で0%まで減少させる。これにより、フォワードクラッチ圧及びサーボリリース圧は、図14に符号ウで示すように、サーボアプライ圧の制御中、フォワードクラッチ51を締結直前ないし2−4ブレーキを解放直前の状態とする油圧に保持されると共に、上記サーボアプライ圧の制御による2−4ブレーキ54のスリップによってタービン回転数Ntが変速後の回転数Nt0に近い値まで上昇した時点で、この作動圧は所定値まで上昇されて、フォワードクラッチ51が締結し、かつ2−4ブレーキが完全に解放する。その場合に、該フォワードクラッチ圧及びサーボリリース圧は、予め締結直前あるいは解放直前の圧力まで上昇されているから、フォワードクラッチ51及び2−4ブレーキは、応答遅れを生ずることなく速やかに締結又は解放されて摩擦要素の掛け替えが行なわれることになる。
【0112】
(1−5)タービン回転数のフィードバック制御の開始判定
前述したように、タービン回転数のフィードバック制御は、2−4ブレーキに対するサーボアプライ圧が低下して該2−4ブレーキがスリップをし始め、その結果タービン回転数Ntが上昇を開始した時点から行なわれる。そして、一般に、このフィードバック制御を開始するための判定は、前述のタービン回転センサ305でタービン回転数Ntを検出して、その変化率dNtが所定値より大きくなった時点を検出することにより行なわれる。
【0113】
しかし、このような判定方法だけでは、実際に2−4ブレーキのスリップによってタービン回転数Ntが上昇を開始したのか否かが判定できず、フィードバック制御を誤った時期に開始して変速制御を混乱させることが考えられる。
【0114】
すなわち、図2に示すように、タービン回転センサ305は変速機ケース11に取り付けられているから、エンジンのスロットル開度を急激に増大させた場合に、該エンジン及び変速機のローリングにより、タービンシャフト27に対してその回転方向と逆方向に相対回転することになる。したがって、該センサ305によって検出されるタービン回転数Ntは、実際のタービンシャフト27の回転数に上記の相対回転の回転数を加えた値となり、その結果、図21に符号エで示すように、タービン回転数Ntが見掛けのうえで上昇し、タービン回転変化率dNtが一時的に大きくなる。そして、この現象が変速指令の出力直後に発生するため、図中符号イで示すように、実際に2−4ブレーキのスリップによってタービン回転数Ntが上昇を開始する時期よりも早い時期にタービン回転数Ntが上昇し始めたものと誤って判定されることになるのである。
【0115】
そこで、この実施の形態においては、特にこの問題を回避してフィードバック制御の開始時期を正確に判定するための制御が行われる。
【0116】
この制御は図22にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS51で、タービン回転変化率dNtが所定値C1を超えたか否かを判定する。この判定は、本来は、図21に符号イで示すタービン回転数Ntの上昇開始時期を判定するためのものであるが、この判定だけでは、符号エで示す見掛けのうえでのタービン回転数Ntの上昇を、2−4ブレーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇の開始と誤判定するおそれがある。
【0117】
そこで、dNt>C1と判定した場合、次にステップS52で、変速指令の出力後、所定時間T3が経過したか否かを判定する。そして、上記のような回転上昇の検出が、変速指令の出力後、所定時間T3が経過してからのものである場合にのみ、2−4ブレーキのスリップによるタービン回転数Ntの上昇が開始されたものとして、ステップS53で、フィードバックフラグFfをフィードバック制御開始条件の成立を示す1にセットする。これにより、図18のプログラムにおけるステップS35で、目標タービン回転数Nti0に対する実タービン回転数Ntの偏差Dnに応じたフィードバック油圧Pfbが算出されて、上昇中のタービン回転数Ntを目標タービン回転数Nti0に一致させるフィードバック制御が開始することになる。ここで、上記所定時間T3は、図14に示すサーボアプライ圧の制御が開始されるまでの所定時間T1よりも長い時間に設定される。
【0118】
これによって、変速指令の出力直後に発生するエンジン及び変速機のローリングに伴うタービン回転数Ntの見掛けのうえでの上昇をフィードバック制御の開始条件が満足されたものとして誤判定することが回避され、該フィードバック制御が正しい時期に開始されることになる。
【0119】
なお、上記ステップS51によるタービン回転変化率dNtに関する条件、及びステップS52による変速指令出力後の経過時間に関する条件のいずれか一方もしくは両方が成立していない場合は、ステップS54で、変速指令の出力時にセットされたバックアップタイマの設定時間T4が経過したか否かが判定され、この設定時間T4が経過した場合には、上記ステップS53でフィードバックフラグFfを1にセットする。
【0120】
つまり、例えばこの4−3変速時の場合において、変速指令の出力後、所定時間T1が経過した時点で供給されるサーボアプライ圧のベース油圧Pbが高かったため、2−4ブレーキ54の解放動作が緩やかすぎた場合等には、タービン回転変化率dNtが所定値C1よりも大きくならないこともあり得るので、このような場合には、バックアップタイマで別に設定した時間T4が経過すれば直ちにフィードバック制御を開始するのである。
【0121】
一方、ステップS51及びステップS52の少なくとも一方の条件が成立しておらず、かつ、ステップS54の条件も成立していないときには、ステップS55で、上記フィードバックフラグFfが0とされ、図18のプログラムにおけるステップS32で、フィードバック油圧Pfbが0に保持されることになる。
【0122】
(1−6)プリチャージ期間の設定
次に、図13のプログラムのステップS2、及び図20のプログラムのステップS42でそれぞれ値が判定されるプリチャージフラグFpの設定、すなわちプリチャージ期間の設定制御について説明する。
【0123】
この種の自動変速機において、変速時に油圧制御回路で生成された作動圧を摩擦要素の油圧室ないし締結室又は解放室に供給することにより該摩擦要素を締結しもしくは解放する場合、変速指令の出力後、直ちに作動圧を生成して当該摩擦要素の油圧室に供給するようにしても、当初は油圧制御回路から摩擦要素の油圧室に至る油路内に作動油が存在していないため、摩擦要素の油圧室内では油圧が直ちに上昇せず、該摩擦要素の締結動作もしくは解放動作が遅れるといった問題が生じる。
【0124】
そこで、変速指令が出力されたときに、当該摩擦要素に対する作動圧の供給を制御するデューティソレノイドバルブ等の油圧制御バルブを所定時間だけ全開状態とし、該摩擦要素の油圧室に至る油路に作動油を速やかに充填させる制御を行うことがあり、これをプリチャージ制御と称している。このような制御を行なうことにより、変速動作の応答遅れが解消されることになる。
【0125】
この油圧制御回路100においては、プリチャージ期間の設定制御が上記コントローラ300により図23のプログラムに従って行われる。このプログラムは変速指令が出力されたときに図20の第3DSV123の制御プログラム等と並行して実行され、まず、ステップS61で、イニシャライズとしてトータル流量Qtを0とし、次いで、ステップS62で、図24に示すように設定されたマップに基づいて、その時点のライン圧から第3DSV123を全開(デューティ率0%)としたときの該DSV123を通過するベース流量Qを求める。その場合に、上記マップには、ライン圧が高いほどベース流量Qが多くなるように設定されているが、これは、第3DSV123が全開であっても、これを通過する作動油の流量Qはそのときのライン圧によって変化し、ライン圧が高いほど該流量Qも多くなるからである。
【0126】
次に、ステップS63で、図25に示すように設定されたマップから油温補正係数C2を読み取る。この油温補正係数のマップでは、油温が低くなるに従って補正係数C2が1より小さくなるように設定されている。そして、ステップS64で、上記ベース流量Qに補正係数C2を乗算することにより流量の補正値Q′(Q×C2)を求める。これにより、作動油の温度が低く、従って粘度が高いために、同じライン圧であってもバルブ通過流量が標準的な環境条件のときよりも減少する場合に、その実情に合せて算出される流量も減少され、常に実際の流量に適合したベース流量Q(補正流量Q′)が算出されることになる。
【0127】
さらに、ステップS65で、この補正流量Q′を次式1に従って積算し、制御開始時から現時点までのトータル流量Qtを算出する。
【0128】
【式1】
Figure 0003687184
次に、ステップS66で、このトータル流量Qtが所定値C3を超えたか否かを判定し、この所定値C3を超えるまでは、ステップS67でプリチャージフラグFpを1にセットすると共に、所定値C3を超えた時点で、ステップS68で該フラグFpを0にリセットする。
【0129】
その場合に、上記所定値C3は、油圧制御回路100における当該バルブから当該摩擦要素の油圧室に至る油路(この4−3変速時にあっては、第3DSV123からライン228、ロックアップコントロールバルブ106を介してフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路、及びさらにライン220、3−4シフトバルブ105を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路)の容積に対応した値に設定されている。したがって、Q>C3となった時点で上記油路が作動油で充満されたことになり、この時点でプリチャージ制御を終了させるために上記フラグFpを0にするのである。
【0130】
そして、このようにして設定されたプリチャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、すなわちプリチャージ期間の間は、図20のプログラムにおけるステップS43で、第3DSV123のデューティ率を0%にする制御が行われることにより、上記フォワードクラッチ51の油圧室に至る油路、及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路が作動油で速やかに充満されることになる。
【0131】
ここで、このプリチャージ期間の算出の基礎となるベース流量Qは、前述のように、その時点のライン圧に基づいて設定されるから、例えばライン圧が高いため一定量の作動油が比較的短時間で供給される場合や、これとは逆に、ライン圧が低いため、一定量の作動油が供給されるのに要する時間が長くなる場合のいずれにおいても、常に、実際に油路が作動油で充満された時期にプリチャージ制御が終了することになる。
【0132】
また、油温が低いために常温時に比べて作動油の充満に長い時間が費やされる場合においても、それに応じた補正が行われるので、この場合も、プリチャージ制御の終了時期が、実際に油路に作動油が充満された時期に精度よく対応することになる。
【0133】
(1−7)低油温時における第1DSV121の制御開始の遅延
図23に示すプリチャージ期間の設定制御においては、ステップS63で油温が低いほど1より小さい値の補正係数C2が読み取られ、ステップS64でこの補正係数C2の値がベース流量Qに乗算されて補正流量Q′が求められ、そしてステップS65でこの補正流量Q′が1制御サイクル毎に積算されてトータル流量Qtが算出されるので、変速指令が出力されたときから同じ時間が経過しても、低油温時はトータル流量Qtが少なく算出され、その結果として、ステップS66からS67に進んでプリチャージフラグFpが1とされるまでの時間、すなわちプリチャージ期間が長くなる。
【0134】
これにより、低油温時で粘度が高く、作動油の流動性が低くなって、常温時に比べて作動油の供給に時間が長く費やされる場合であっても、第3DSV123からフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路、及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確実に作動油が充満されるという効果が得られることになる。
【0135】
一方、図20に示す第3DSV123の制御プログラムにおいては、フォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧は、このようなプリチャージ期間の終了後に、一旦フォワードクラッチ51のスプリング相当圧に維持されて該クラッチ51を締結直前及び2−4ブレーキ54を解放直前の状態で保持したのち、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時点で所定値まで上昇されて、フォワードクラッチ51を完全に締結させ、また2−4ブレーキ54を完全に解放する。
【0136】
したがって、作動油の温度が極めて低く、その結果としてプリチャージ期間が大幅に長くなり、例えば図14においてタービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した後、所定時間T2が経過してもなおプリチャージ期間中であるような場合には、先に第1DSV121のデューティ率が0%に戻されて、2−4ブレーキ54が再び締結状態に復帰し、ショックが発生することになる。
【0137】
そこで、この実施の形態に係るコントローラ300は、かかる不具合に対処するために、前述の図13に示す第1DSV121の制御プログラムにおいて、4−3変速指令が出力されたときにはまずステップS1で油温をチェックし、油温が標準的な常温時である場合には、プリチャージ期間がそれ程大幅に長くならないのであるから直ちにステップS3以下に進んで、サーボアプライ圧の制御を開始する一方で、油温が極めて低い場合には、ステップS2でプリチャージ期間の終了を待ってから、サーボアプライ圧の制御を開始するのである。そして、これに対して、前述の図20に示す第3DSV123の制御プログラムにおいては、4−3変速指令が出力されたときには、油温にかかわらず常に直ちにプリチャージを開始するのである。
【0138】
これにより、図26に示すように、低油温時で、フォワードクラッチ圧ないしサーボリリース圧のプリチャージの立上がりが遅く、プリチャージ期間が大幅に長くなるような場合には、第1DSV121の制御が、符号T5で示すようにこのプリチャージ期間中は遅延され、該プリチャージ期間が終了してから、すなわちフォワードクラッチ51の油圧室に至る油路及び2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に確実に作動油が充満されて、フォワードクラッチ51が締結直前の状態、ないし2−4ブレーキ54が解放直前の状態に保持された時点から開始されるので、上記第1DSV121の制御によってタービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時点には、必ずフォワードクラッチ51が締結直前の状態、ないし2−4ブレーキ54が解放直前の状態に保持されていることになり、2−4ブレーキ54の締結室aに対するサーボアプライ圧の上昇よりも先に、フォワードクラッチ51が締結され、かつ2−4ブレーキ54が解放されて、円滑に3速への変速が行なわれることになる。
【0139】
なお、この実施の形態においては、前述したように、当該4−3変速に引き続いて行なわれる可能性の大きい3−2変速もしくは3−4変速時の動作を考慮して、第1DSV121のデューティ率を最終的に0%に戻し、サーボアプライ圧を2−4ブレーキ54の解放室54bに供給した状態に存置しておくようになっているために、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長くなったときは、該2−4ブレーキ54が先に締結状態に復帰してショックが発生することになるのであるが、単に、この4−3変速を達成するだけであれば、第1DSV121のデューティ率を最終的に100%にしてサーボアプライ圧をドレンしてもよいのである。この場合には、低油温時でプリチャージ期間が大幅に長くなったときには、フォワードクラッチ51の締結よりも先に2−4ブレーキ54が解放されることになり、その結果エンジンが吹き上がるという不具合が発生する。そして、このとき第1DSV121の制御開始を遅延させることによって、このエンジンの吹き上りの問題が解消されることになる。
【0140】
また、この実施の形態においては、低油温時には第1DSV121の制御全体を時間的に遅くずらすようにしたが、この第1DSV121の制御を第3DSV123の制御と同じく油温にかかわらず変速指令の出力後に直ちに開始したうえで、該第1DSV121の制御ゲインを油温に応じて変化させて低油温時にはタービン回転数Ntの上昇速度を緩やかにするようにしてもよい。
【0141】
さらに、同じく、第1DSV121の制御を油温にかかわらず変速指令の出力後に直ちに開始したうえで、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数あるいは変速後の回転数Nt0まで上昇した時点でプリチャージフラグFpの値を判定して、該フラグFpが1のときは0にリセットされるまでタービン回転数Ntを上記変速終了直前回転数あるいは変速後の回転数Nt0に保持し、上記フラグFpが0にリセットされてから、もしくはさらに所定時間T2が経過した後に、サーボアプライ圧を供給またはドレンするようにしてもよい。
【0142】
(1−8)フィードバック制御開始時におけるベース油圧Pbの補正
この4−3変速においては、変速動作中に第1DSV121でサーボアプライ圧を制御して、タービン回転数Ntを所定の目標回転数Nti0に一致させるようにフィードバック制御するのであるが、このフィードバック制御開始時点において目標となる算出油圧Psの初期値が適切に設定されていないと、その後のフィードバック制御が良好に行なわれなくなる場合が生じる。
【0143】
すなわち、前述したように、第1DSV121についての算出油圧Psはベース油圧Pbとフィードバック油圧Pfbとを加算したものであり、この算出油圧Psが実現するように第1DSV121のデューティ率が制御される。そして、その場合に、フィードバック制御が開始されるまではフィードバック油圧Pfbが0とされるので、ベース油圧Pbに相当する一定値の算出油圧Psが出力され、これにより2−4ブレーキ54の解放動作が始まることになるが、上記ベース油圧Pbは変動の激しいタービントルクを考慮して算出されるためにその設定誤差が生じ易い。もちろん、この誤差は、その後のタービン回転数Ntのフィードバック制御中に打ち消されるのであるが、無視できない程度の誤差も生じ得るのである。
【0144】
その結果、(1−5)で指摘したように、この4−3変速時の場合において、例えば、変速指令の出力後、所定時間T1が経過した時点で出力される算出油圧Ps、つまりベース油圧Pbが高すぎると、この状態でフィードバック制御が開始されたときは、フィードバック制御の開始時におけるこの算出油圧Psを低くする方向の動作の遅れのために、2−4ブレーキ54の解放動作が緩やかとなってイナーシャフェーズの時間が長くなってしまい、良好な変速フィーリングが得られないのである。
【0145】
そこで、この実施の形態においては、なるべく早い時期、すなわちフィードバック制御が開始してタービン回転数が上昇し始めた時点で、その時の実油圧と、設定した目標油圧、つまりベース油圧Pbとが一致しているかどうかを検出し、一致していないときには、その偏差によってベース油圧Pbを初期の段階で一回だけ補正することにより、それ以後のフィードバック制御を良好に行わせるようになっている。
【0146】
このフィードバック制御開始時におけるベース油圧Pbの補正制御は図27に示すプログラムに従って次のように行なわれる。なお、このプログラムは、4−3変速指令が出力されて図13に示す第1DSV121の実体制御が開始したときに並行して実行され、該プログラムのステップS3で算出されたベース油圧Pbに補正量ofstを加えて補正するものである。これにより、該ベース油圧Pbにフィードバック油圧Pfbが加算されて求められる算出油圧Psが適正な値に是正されることになる。
【0147】
まず、この制御は、ステップS71で実油圧を推定することから始まる。すなわち、実際に2−4ブレーキ54に対して作動しているサーボアプライ圧の値を、例えば油圧センサ等を用いて検出することなく、図13のプログラムにおける2回又は1回前の制御サイクルで求められた算出油圧Ps[2],Ps[1]、及びこの図27の補正プログラムにおける2回又は1回前の制御サイクルで推定された油圧empo[2],empo[1]から現在実際に供給されているサーボアプライ圧empを精度よく推定するものである。
【0148】
この油圧の推定は、具体的には、次の式2から式5の順に、過去の算出油圧Ps[2],Ps[1]、及び推定油圧empo[2],empo[1]をそれぞれ更新したのち、これらの値から式6に従って現在のサーボアプライ圧empを求める。
【0149】
【式2】
Figure 0003687184
【0150】
【式3】
Figure 0003687184
【0151】
【式4】
Figure 0003687184
【0152】
【式5】
Figure 0003687184
【0153】
【式6】
Figure 0003687184
なお、ここで式6における各係数KN1,KN2,KD1,KD2の値は、それぞれ、実際に油圧をセンシングして行なったモデル実験の結果から、得られる推定油圧empが精度よく実油圧に一致するように設定されたものである。
【0154】
次いで、ステップS72で、4−3変速指令が出力された後の1回目のサイクルであるか否かを判定し、1回目であれば、ステップS73で、当該補正プログラムにおける補正の進み状況を示すフラグFaを0とする。
【0155】
因に、このように1回目の制御サイクルである場合は、上記ステップS71で、推定油圧empは、KN1・Psと求められている。
【0156】
そして、次にステップS74で、上記状況フラグFaが0か否かを判定し、0の場合は、ステップS75で、補正量ofstを0にイニシャライズしてからステップS76に進み、上記ステップS71で求められた推定油圧empが、ベース油圧Pbに所定の不感帯幅POを加算した値よりも小さいか否かを判定する。また、ステップS77で、フィードバックフラグFfが1か否か、つまりタービン回転数Ntが上昇し始めたか否かを判定する。その結果、両方の判定がいずれもYESの場合は、次のステップS78で、上記状況フラグFaを1としてからステップS79に進み、一方、いずれかの判定がNOの場合にはリターンする。すなわち、推定油圧empがベース油圧Pbよりも所定量PO以上高く、あるいはまだタービン回転数Ntが上昇を開始する前は、上記フラグFaが0のままで補正量ofstが0に維持されることになる。
【0157】
そして、推定油圧empが低下して不感帯幅POの範囲内でベース油圧Pbに近づき、かつタービン回転数Ntが上昇を開始した後は、ステップS79で、上記状況フラグFaが1か否かを判定し、1の場合は、ステップS80で、該フラグFaを2にしたうえで次のステップS81に進み、推定油圧empがベース油圧Pbよりも小さいか否かを判定し、その結果に応じて、ステップS82又はステップS83で、補正量ofstを求める。
【0158】
なお、以降は、この状況フラグFaの値の変更は行なわれず、2に維持されるので、次回から当該プログラムに入った場合は、ステップS74からステップS79を経てそのままリターンされる。つまり、補正量ofstは、実油圧empがベース油圧Pb付近まで低下した状態でタービン回転数Ntが上昇し始めた直後、すなわちフィードバック制御開始直後に一度だけ求められ、その結果、図13のステップS3で計算されたベース油圧Pbが該補正量ofstで補正され、ステップS5で求められる算出油圧Psが是正されることになる。
【0159】
上記ステップS81における判定で、推定油圧empがベース油圧Pbよりも小さい場合は、ステップS82に進んで、補正量ofstを次式7に従って求める。
【0160】
【式7】
Figure 0003687184
すなわち、この場合は、実際のサーボリリース圧empが、図13のステップS3で計算されて出力されたベース油圧Pbよりも低い状態で2−4ブレーキ54がスリップを開始したのであるから、換言すれば、ベース油圧Pbが高い値に設定されていたのであるから、その偏差分(emp−Pb)を補正して低くするのである。
【0161】
また、上記式7における項dNt・C4は次のような意味をもつ。すなわち、ベース油圧Pbは2−4ブレーキ54を最初にスリップさせる油圧として設定されるのであるから、この値Pbが適正に設定されているかどうかをみるためには、該2−4ブレーキ54がスリップし始めた時点、換言すればタービン回転数が上昇し始めた時点における実油圧と比較するのが本来である。しかしながら、現実問題としては、タービン回転数が上昇してからでないとそれを検出することができないため、該タービン回転数の上昇を検出した時点においては、油圧はすでにその間に低下しており、それを無視して上記偏差(emp−Pb)だけを補正したのでは実情に添わず、ベース油圧Pbを過剰に低く補正することになるのである。
【0162】
そこで、この実施の形態においては、タービン回転数が上昇し始めた時点における初期のタービン回転変化率dNtに基づいて、検出までにすでに低下した油圧を算出し、この油圧分をベース油圧Pbに加えるようにしているのである。これにより、ベース油圧Pbはさらに適正な値に補正されて、以降のフィードバック制御が良好に行なわれるようになる。
【0163】
なお、ここで、上記係数C4は、タービン回転変化率dNtに対応するタービントルクを油圧に換算する換算係数である。
【0164】
これに対し、上記ステップS81における判定で、推定油圧empがベース油圧Pbよりも小さくない場合、つまり一致しているか又は推定油圧empがベース油圧Pbよりも大きい場合は、ステップS83に進んで、補正量ofstを上記の検出遅れに基づく油圧分dNt・C4だけとする。
【0165】
すなわち、推定油圧empとベース油圧Pbとが一致している場合であっても、上記のようにタービン回転数の上昇検出までの時間的なずれがあるので、ベース油圧Pbに油圧分dNt・C4を加えて補正する。
【0166】
一方、推定油圧empがベース油圧Pbよりも大きい場合、換言すれば、ベース油圧Pbが低い値に設定されていた場合も、補正量ofstは上記油圧分dNt・C4だけとし、偏差(emp−Pb)を加算しない。これは、実油圧empの方が予測を超えて高かったのであるから、この状態でベース油圧Pbにさらに偏差(emp−Pb)を加算すると、2−4ブレーキ54の解放動作が急となってショックが発生するからである。
【0167】
このような補正制御により、例えば図28に符号カで示すように、当初設定されたベース油圧Pbが高く、この値のままであれば算出油圧Psが符号キのように大きい値に求められ、その結果、タービン回転数Ntの上昇が符号クのように緩やかとなって良好な変速フィーリングが得られなくなるような場合に、タービン回転数Ntが上昇を開始した符号イの時点の直後に、ベース油圧Pbが符号サのように低く補正されるので、算出油圧Psも符号シのように小さい値に求められ、その結果、タービン回転数Ntの上昇が符号スのように早くなって良好な変速フィーリングが得られることになる。
【0168】
(2)再変速禁止制御
ところで、この種の自動変速機においては、1つ目の変速指令が出力された直後に、例えばスロットル開度の急変等により2つ目の変速指令が出力されることがあるが、この1つ目の指令に基づく変速動作が既に開始されている状態で、急遽2つ目の変速動作に移行すると、著しい変速ショックが発生する場合がある。
【0169】
そこで、このような事態を回避するために、所定の条件のもとで2つ目の変速動作への移行を禁止する制御が図29に示すプログラムに従って行われる。
【0170】
すなわち、まずステップS91で、1つ目の変速指令が出力されれば、ステップS92で、その出力時からの経過時間tを計測し、次いでステップS93で、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了したか否かを判定し、終了すればこの制御を終了する。また、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了するまでは、ステップS94で、2つ目の変速指令が出力されたか否かを判定し、この2つ目の変速指令が出力されるまでは、上記ステップS92で経過時間tを計測しながら、ステップS93で、1つ目の変速指令に基づく変速動作の終了を待つ。
【0171】
一方、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了する前に2つ目の変速指令が出力された場合には、ステップS95で、その時点における経過時間tが所定時間T6を超えているか否かを判定する。
【0172】
そして、この所定時間T6を超えていない場合は、いまだ1つ目の変速指令に基づく変速動作が開始されていないものと判断されるので、ステップS96で、目標変速段を2つ目の変速指令によるものに直ちに切り換え、この2つ目の変速指令に基づく変速動作を開始する(図30の符号タ参照)。これにより、変速指令に対応した変速動作が応答性よく行われることになる。
【0173】
これに対して、1つ目の変速指令に基づく変速動作が終了する前に2つ目の変速指令が出力された場合において、その時点における1つ目の変速指令の出力時からの経過時間tが所定時間T6を超えている場合は(図30の符号チ)、既に1つ目の変速指令に基づく変速動作が開始されていると判断されるので、この場合は、ステップS97で、その1つ目の変速指令に基づく変速動作を完了させ、その後、目標変速段を2つ目の変速指令によるものに切り換えて、この2つ目の変速指令に基づく変速動作を開始する(図30の符号ツ参照)。
【0174】
これにより、1つ目の変速動作の途中で急遽2つ目の変速動作に移行することによる著しいショックの発生が回避される。
【0175】
(3)変速終了判定制御
このように、1つ目の変速指令が出力された後に別の変速段への2つ目の変速指令が出力された場合には、先の1つ目の変速動作が終了したときに、次の2つ目の変速動作に移行することになる。したがって、この1つ目の変速動作の終了を精度よく判定する必要が生じる。
【0176】
従来より、一般に、この変速終了の判定は、タービン回転数が変速後の回転数に略一致したときに、変速が終了したものと判定されていた。しかしながら、すでに説明したように、摩擦要素の締結動作と解放動作との二つの動作を伴うトルクディマンドのダウンシフト変速の場合には、解放側摩擦要素の解放動作の制御によってタービン回転数が変速後の回転数にまで上昇してきたのであり、この時点でもう一方の締結側摩擦要素の締結動作が完了しているとは限らず、この状態で変速終了が判定されると、変速動作の途中で次の2つ目の変速動作に移行することになり、変速ショックの問題が有効に解消できないことになる。
【0177】
そこで、この実施の形態においては、上記のような事態を回避するために、特にダウンシフト変速の場合に精度よく変速終了を判定するための制御が図31に示すプログラムに従って行われる。
【0178】
すなわち、まずステップS101で変速指令が出力されると、ステップS102でシフトフラグFsを1にセットし、次いでステップS103で変速終了時のタービン回転数Ntoを演算する。
【0179】
次に、ステップS104で、この変速終了時のタービン回転数Ntoに基づいて中間タービン回転数Thを求める。これを具体的に説明すると、例えば4−3変速や3−2変速、あるいは1−2変速や2−3変速等のように一段変速の場合であれば、次式8に従って、変速前のタービン回転数Ntと変速終了時のタービン回転数Ntoとの中間の回転数を求める。
【0180】
【式8】
Figure 0003687184
また、例えば4−1変速等のように飛び越し変速の場合では、目的とする変速段の一つ手前の変速段(この設例では2速)が達成されたときのタービン回転数Nto’を求め、次式9に従って、この回転数Nto’と変速終了時のタービン回転数Ntoとの中間の回転数を求める。
【0181】
【式9】
Figure 0003687184
そして、次に、ステップS105で、ダウンシフト変速か否かを判定し、ダウンシフト変速の場合は、ステップS106で、現時点でのタービン回転数Ntが上記中間回転数Thよりも大きくなったことが判定されたときに、つまり変速動作が終了に近づいたときに、ステップS107に進んで、当該変速を主として支配するデューティソレノイドバルブ、すなわち第1〜第3DSV121,122,123のいずれかのデューティ率が変速終了時の状態になったか否かを判定する。この4−3変速の場合であれば、フォワードクラッチ51を締結させる第3DSV123が変速を主として支配するデューティソレノイドバルブであり、該第3DSV123のデューティ率が略0%になったかどうかを判定するのである。
【0182】
そして、デューティ率がそのような変速終了状態になっているときには、変速が終了したものと判定して、ステップS108で、上記シフトフラグFsを0にリセットする。つまり、解放側摩擦要素の解放動作によって上昇してきたタービン回転数Ntが変速終了時の状態になったことで変速が終了したものと判定するのではなく、実際に締結側摩擦要素の締結動作が完了したことをもって変速が終了したものと判定するのである。これにより、変速終了の判定が誤って変速動作中に出されることがなく、常に1つ目の変速動作が終了した後に、次の2つ目の変速動作に移行することになる。
【0183】
一方、上記ステップS105で、アップシフト変速と判定された場合は、ステップS109に進んで、ダウンシフト変速の場合とは逆に、現時点でのタービン回転数Ntが上記中間回転数Thよりも小さくなったことが判定されたときに、つまり変速動作が終了に近づいたときに、ステップS110に進んで、アップシフト時の変速判定基準に合致しているか否かを判定し、該基準に合致した場合にステップS108でシフトフラグFsを0にリセットする。
【0184】
このアップシフト時の変速判定基準は、タービン回転変化率dNtがマイナスからプラスに転じたこと、タービン回転変化率dNtの絶対値が変速中の値の半分以下に減少したこと、タービン回転数Ntが変速開始時の回転数から算出される変速終了時の回転数まで低下したことであり、このいずれか1つが成立することによって変速終了と判定する。
【0185】
すなわち、アップシフト変速では、一般に、ダウンシフト変速とは逆に、締結側摩擦要素の締結動作の制御によってタービン回転数を変速終了時の回転数に低下させるので、該タービン回転数あるいはその変化率に基づいて締結側摩擦要素の締結動作の状態が判定できるのである。
【0186】
なお、因に、この実施の形態における他のダウンシフト変速の場合の変速を主として支配するデューティソレノイドバルブ、及びその変速終了時のデューティ率を列挙すると、4−2変速及び4−1変速では、この4−3変速と同じく、第3DSV123のデューティ率が略0%になったこと、3−2変速及び3−1変速では、第2DSV122のデューティ率が略100%になったこと、並びに2−1変速では、第1DSV121のデューティ率が略100%になったこととなる。
【0187】
(4)4−1変速制御
次に、トルクディマンドの4−1変速について説明する。この4−1変速は、2−4ブレーキ54及び3−4クラッチ53の二つの摩擦要素を解放すると共に、フォワードクラッチ51を締結することにより行われ、したがって、第1DSV121によるサーボアプライ圧の排出制御と、変速指令の出力後直ちに第1SV111をOFFにすることにより、3−4シフトバルブ105によってサーボリリースライン221と3−4クラッチライン227とを連通させた状態での第2DSV122による3−4クラッチ圧の排出制御と、第3DSV123によるフォワードクラッチ圧の供給制御とが行われる。このとき、フォワードクラッチライン219とサーボリリースライン221とは連通されていないから、フォワードクラッチ圧の供給制御により、サーボリリース圧が供給されることはない。
【0188】
そして、このスロットル開度の増大によるトルクディマンドの4−1変速においては、ワンウエイクラッチ56の作動によって変速が完了するので、いずれの作動圧についてもフィードバック制御は行われない。
【0189】
このように、この4−1変速では、上記のように3−4クラッチ53と2−4ブレーキ54との二つの摩擦要素を解放するのであるが、その場合に、この実施の形態における変速歯車機構としての第1、第2の遊星歯車機構30,40にあっては、2−4ブレーキ54を先に解放して3−4クラッチ53を後で解放するように動作させると次のような問題が生じる。
【0190】
すなわち、この4−1変速で締結されるフォワードクラッチ51は、図2に示すように、タービンシャフト27と一体的に回転するフォワードクラッチ51のドラム51aと、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31と一体的に回転するフォワードクラッチ51のハブ51bとが、複数のクラッチ板を介して締結されることにより、締結されるのであるが、その場合に、3−4クラッチ53を締結状態にしたままで2−4ブレーキ54を先に解放すると、上記ドラム51aの角加速度の向きと、ハブ51bの角加速度の向きとが逆になるのである。
【0191】
その結果、図32に示すように、変速前は、ドラム51aの回転(タービン回転)よりも、ハブ51bの回転sの方が高かったものが、3−4クラッチ53を締結状態に残したままで2−4ブレーキ54を解放した後は、時間の経過と共に、ドラム51aの回転が上昇する一方で、ハブ51bの回転sが低下して、ドラム51aの回転の方が高くなり、ついにはハブ51bがドラム51aの回転とは逆方向に回転するようになるのである。したがって、これらのドラム51aとハブ51bとを例えば時間tdにおいて締結させたときには、ハブ51bの回転sが符号uのように急激に変化し、その結果、変速歯車機構内部の回転に大きな変動が生じて、これが大きなトルクの引き込みとなり、最終的にフォワードクラッチ圧を完全に作動させて該クラッチ51を締結したときのショックとあわせて二段ショックが生じるのである。
【0192】
一方、これに対して、逆に、2−4ブレーキ54を締結状態にしたままで3−4クラッチ53を先に解放した場合には、ハブ51bの回転tが殆ど変化せず、ドラム51aと逆方向に回転するようなこともない。したがって、この実施の形態においては、4−1変速時には、3−4クラッチ53を先に解放して2−4ブレーキ54を後で解放するように動作させるのである。
【0193】
なお、このようなドラム51a及びハブ51bの回転の現象は次のようにして説明できる。
【0194】
すなわち、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31のピッチ半径をRfs及び回転数をNfs、リングギヤ34のピッチ半径をRfr及び回転数をNfr、ピニオン32の回転数をNfcとし、一方、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41のピッチ半径をRrs及び回転数をNrs、リングギヤ34のピッチ半径をRrr及び回転数をNrr、ピニオン32の回転数をNrcとすると、次の遊星歯車の基礎式10及び11から、以下の式12及び13が得られる。
【0195】
【式10】
Figure 0003687184
【0196】
【式11】
Figure 0003687184
【0197】
【式12】
Figure 0003687184
【0198】
【式13】
Figure 0003687184
ここで、この実施の形態における変速歯車機構のスケルトン構造により、Nfc=Nrr、及びNfr=Nrcであるから、次の式14,15及び16が得られる。
【0199】
【式14】
Figure 0003687184
【0200】
【式15】
Figure 0003687184
【0201】
【式16】
Figure 0003687184
上記式15と式16を辺々足し、整理すると次の式17が得られる。
【0202】
【式17】
Figure 0003687184
3−4クラッチ53を解放して2−4ブレーキ54を締結状態にしたときは、Nrs=0であるから、次の式18が得られ、これを整理すると式19が得られる。
【0203】
【式18】
Figure 0003687184
【0204】
【式19】
Figure 0003687184
したがって、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31と一体回転するハブ51bの回転Nfsは、タービン回転には無関係である。
【0205】
一方、2−4ブレーキ54を解放して3−4クラッチ53を締結状態にしたときは、タービン回転数をNtとすると、Nfr=Ntであるから、上記式12より次の式20、及び式21が得られる。
【0206】
【式20】
Figure 0003687184
【0207】
【式21】
Figure 0003687184
4速のときは、タービン回転数Nt=Nrc=Nfrであるから、上記式13より次の式22が得られる。
【0208】
【式22】
Figure 0003687184
また、1速のときは、Nfr=0、及びNfs=Ntであるから、上記式12より次の式23が得られる。
【0209】
【式23】
Figure 0003687184
このようにして求めた上記式19、式21、式22、式23をグラフ表示したものが、それぞれ図32における符号t、符号s、符号v、符号wである。
【0210】
なお、このとき、各ギアのピッチ半径を次の表3のように設定し、かつ、変速中は車速の変化が無いもの(Nfc=1)とした。
【0211】
【表3】
Figure 0003687184
以下、各DSV121〜123の制御について説明する。
【0212】
(4−1)第2DSV122の制御
第2DSV121による3−4クラッチ圧及びサーボリリース圧の排出制御は図33に示すプログラムに従って行われるが、この制御は、変速指令が出力されたときに、ステップS121,S122で、第2DSV122に出力するデューティ率を0%から100%まで、一定の割合で増加させるだけであり、これにより、図37に示すように、3−4クラッチ圧が一定の勾配で比較的速やかに排出される。
【0213】
(4−2)第1DSV121の制御
また、第1DSV121によるサーボアプライ圧の排出制御は、図34に示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS131で算出油圧Psを求めると共に、ステップS132でタービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定し、この回転数に上昇するまでは、ステップS133で、上記算出油圧Psに対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力する。
【0214】
その場合に、上記算出油圧Psは、図35に示すように、変速前のタービン回転数Nt′が高いほど低くなるように設定されたマップに基づいて算出され、この算出油圧Psに対応するデューティ率で図37に示すように第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御が行われることにより、2−4ブレーキ54が適度なスリップ状態に保たれる。つまり、3−4クラッチ53を速やかに解放した上で、2−4ブレーキ54をスリップさせることにより、タービン回転数Ntを円滑に上昇させるのである。
【0215】
そして、このタービン回転数Ntが上記の変速終了直前回転数まで上昇すれば、ステップS134,S135に従って、デューティ率を100%になるまで一定割合で増加させる。これにより2−4ブレーキ54が完全に解放される。
【0216】
(4−3)第3DSV123の制御
一方、第3DSV123によるフォワードクラッチ圧の供給制御は、図36に示すプログラムに従って行われる。
【0217】
まず、ステップS141で、算出油圧Psを求める一方、プリチャージ期間中(Fp=1)は、ステップS142,S143に従って、第3DSV123のデューティ率を0%とし、フォワードクラッチ51の油圧室に通じる油路に作動油を速やかに充満させる。
【0218】
また、このプリチャージ期間が終了すれば(Fp=0)、ステップS144で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否かを判定し、この回転数に上昇するまでの間、ステップS145で算出油圧Psに対応するデューティ率を第3DSV123に出力する。その場合に、この算出油圧Psがフォワードクラッチ51を締結直前の状態に保持する油圧である点は、4−3変速の場合と同様である。
【0219】
そして、タービン回転数Ntが上記変速終了直前回転数まで上昇した時点で、ステップS146,S147に従い、デューティ率を一定割合で0%まで減少させる。
【0220】
これにより、フォワードクラッチ圧は、図37に示すように、2−4ブレーキ54のスリップ制御中は締結直前の状態となる油圧に保持されると共に、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時点で、速やかに上昇され、これに伴ってフォワードクラッチ51が完全に締結される。
【0221】
なお、上記ステップS144における判定に代えて、図32の時間tc、すなわち、フォワードクラッチ51のドラム51aとハブ51bの回転が一致したときに、フォワードクラッチ51を締結させるようにしてもよい。これによれば、フォワードクラッチ51の締結が滑らかとなり、変速ショックがさらに抑制されることになる。
【0222】
(B)コーストダウン変速
次に、スロットル開度が全閉状態で行なわれるダウンシフト変速として、コーストダウンの4−3変速を例に取って説明する。
【0223】
一般に、ダウンシフト変速としては、前述のスロットル開度の増大に伴うトルクディマンドのダウンシフト変速とは別に、スロットル開度全閉の状態でのマニュアル操作もしくは車速の低下によるコーストダウン変速があり、そのうち、特にフォワードクラッチ51を締結させる4−3変速は、特殊な制御が要求される。
【0224】
つまり、トルクディマンドのダウンシフト変速においては、解放側摩擦要素(4−3変速の場合には2−4ブレーキ54)の締結力を制御することにより、タービン回転数Ntを加速中のエンジン回転に伴わせて変速後の回転数Nt0に円滑に上昇させるのに対し、コーストダウン変速では、締結側摩擦要素の締結動作を制御することによって、タービン回転数Ntを車輪側からの逆駆動の回転に引き摺らせて上昇させることになり、4−3変速の場合には、これをフォワードクラッチ51の締結制御で行うことになる。
【0225】
(1)コーストダウン4−3変速制御
このコーストダウン変速時の第3DSV123によるフォワードクラッチ圧の供給制御は図38に示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS151,S152でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算出すると共に、ステップS153でこれらを加算して算出油圧Psを求める。
【0226】
次に、ステップS154,S155に従って、Fp=1の間、プリチャージ制御を行い、その後、Fp=0となれば、S156で、変速が終了し、もしくはバックアップタイマの設定時間T7が経過したか否かを判定し、それまでの間、ステップS157で、上記のようにして求めた算出油圧Psに対応するデューティ率の信号を第3DSV123に出力する。また、上記設定時間T7が経過すれば、ステップS158,S159で、デューティ率が0%になるまで、該デューティ率を一定割合で減算しながら出力する。
【0227】
ここで、上記ステップS151,S152のベース油圧Pb及びフィードバック油圧Pfbの計算は、トルクディマンドの4−3変速時における第1DSV121によるサーボアプライ圧のフィードバック制御時のプログラム(図15、図18参照)と同様のプログラムに従って行われる。
【0228】
これにより、図39に示すように、フォワードクラッチ圧が制御されて、その間にタービン回転数Ntが車輪側からの逆駆動の回転に引き摺られて上昇することになる。
【0229】
(2)低車速時のコーストダウン4−3変速制御
前述したように、ダウンシフト変速時には、解放側又は締結側の摩擦要素の締結力を制御することにより、タービン回転数を変速後の回転数まで上昇させるのであるが、例えばこの4−3変速が低車速時に行なわれる場合は、高車速時に行なわれる場合に比べて変速後のタービン回転数が小さくなることになる。
【0230】
一方、この実施の形態においては、エンジンの吸気系にバイパス通路が配設され、このバイパス通路に、アクセルペダルと連動するスロットル弁とは別にバイパスバルブが設けられて、該バイパスバルブの開度をスロットル開度の全閉時には自動制御することにより、エンジンのアイドル回転数を負荷に応じて増減制御するエンジンのISC制御が行なわれるようになっている。これにより、例えばキャビン内でエアコン等がオンされると、その電気負荷の増大に伴ってアイドル回転数が上昇するようになる。
【0231】
その結果、このコーストダウン4−3変速が低車速時に行なわれ、かつ、上記のようなISC制御が実行中であると、該ISC制御で増大されたエンジンのアイドル回転数よりも、変速後のタービン回転数が小さくなる場合が生じる。
【0232】
さらに、低車速時は、車輪側からの逆駆動の回転数も小さくなっているので、この車輪側からの回転に引き摺らせてタービン回転数を上昇させることよりも、トルクディマンドの変速時の場合のように、エンジン回転に伴わせて上昇させる方が合理的であり、燃費性能の向上が図れる。
【0233】
そこで、この実施の形態においては、4−3変速指令が出力されたときに、まず図40に示すプログラムに従って、ステップS161で、スロットル開度が所定値C5以下か否かを判定し、NOの場合、つまりアクセルペダルが踏み込まれている場合は、ステップS162に進んで前述のトルクディマンドの4−3変速制御を行ない、YESの場合、つまりアクセルペダルが略全閉の状態であるときは、ステップS163で、車速Vが所定値C6以下か否かを判定する。
【0234】
そして、NOの場合、つまり高車速時は、ステップS164に進んで上記(1)の一般的なコーストダウン4−3変速制御を行なう一方で、YESの場合、すなわち低車速時で、変速後のタービン回転数が、エンジンのISC制御による目標アイドル回転数よりも小さくなるような場合には、ステップS165に進んで、トルクディマンドの4−3変速制御に似た仕様でこの4−3変速を実行するようになっている。以下、この低車速時のコーストダウン4−3変速制御について説明する。
【0235】
(2−1)第1DSV121の制御
スロットル開度が全閉状態であっても、低車速時には、第1DSV121でサーボアプライ圧を制御することによって2−4ブレーキの解放動作を制御し、車輪側からの逆駆動の回転ではなく、エンジンのアイドル回転に伴わせてタービン回転数を上昇させる。
【0236】
この第1DSV121の制御は、図13のトルクディマンドの場合の制御と基本的に略同様であり、図41に示すプログラムに従って、まずステップS171,S172でベース油圧Pb、及びフィードバック油圧Pfbを算出すると共に、ステップS173でこれらの油圧Pb、Pfbを加算して算出油圧Psを求める。
【0237】
なお、この場合、上記ベース油圧Pbについては、トルクディマンドの場合のようにタービントルク等に応じて求めるのではなく、図42に示すように、車速Vに応じて算出される。このとき、車速Vが低くなるほど算出されるベース油圧Pbは大きくなるように設定されている。これは、車速Vが低くなるほど、タービン回転数とエンジン回転数との差が大きくなり、したがってタービン回転を持ち上げようと作用する力の程度が大きくなるので、これに抗して2−4ブレーキ54を良好にスリップさせ始めるためである。
【0238】
また、フィードバック油圧Pfbは、フィードバックフラグFfが1にセットから実体的な値が算出されるのであるが、このコーストダウン変速時におけるフィードバック制御の開始判定制御、換言すれば上記フィードバックフラグFfの値を求める制御は、トルクディマンドの場合の図22に示すプログラムとは異なり、図43に示すプログラムに従って行なわれる。すなわち、コーストダウン変速では、スロットル開度が全閉の状態であり、したがって、図44に符号テで示すように、エンジン及び変速機のローリングによってタービン回転数Ntが見掛けのうえで上昇する虞が比較的少ないので、ステップS181で、タービン回転変化率dNtが所定値C1を超えたとき(図44の符号ト)、あるいはステップS183で、変速指令の出力時にセットされたバックアップタイマの設定時間T4が経過したときには、直ちにステップS182でフィードバックフラグFfを1にセットするのである。
【0239】
そして、図41のステップS174,S175で、変速指令の出力後、所定の時間T8が経過するまで、第1DSV121のデューティ率を0%の状態に保持し、所定時間T8が経過すれば、今度はステップS176,S177で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したのちさらに所定時間T9が経過するまで、上記算出油圧Psに対応するデューティ率を第1DSV121に出力する。そして、上記時間T9が経過すれば、ステップS178,S179で、デューティ率を再び一定割合で0%に戻すのである。
【0240】
(2−2)第3DSV123の制御
一方、低車速時のコーストダウン4−3変速では、第3DSV123のフォワードクラッチ圧制御でタービン回転数をフィードバック制御することは行なわない。
【0241】
この第3DSV123の制御は、図20のトルクディマンドの場合の制御と基本的に略同様の流れであり、図45に示すプログラムに従って、まずステップS191で保持油圧Phを算出したのち、ステップS192,S193で、プリチャージフラグFpが1にセットされるまで、第3DSV123のデューティ率を0%として、フォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路のプリチャージを行なう。
【0242】
なお、この場合の上記保持油圧Phとは、トルクディマンドの場合の算出油圧Psと同様、フォワードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧であって、この油圧Phがフォワードクラッチ51の油圧室に供給された状態では、該クラッチ51のピストンが締結直前の状態に保持されることになる。
【0243】
そして、プリチャージフラグFpが0にリセットされると、ステップS194で、第1に、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇したか否か、第2に、フィードバックフラグFfが1になった時(図43のステップS182)にセットされたバックアップタイマの設定時間T11が経過したか否か、又は、第3に、タービン回転変化率dNtが所定値C7を超えたか否かを判定し、これら3つの条件のうちの少なくともいずれか一つが満足されるまでは、ステップS195で、上記保持油圧Phに対応するデューティ率の信号を第3DSV123に出力する。そして、上記条件の少なくともいずれか一つが満足された時点で、ステップS196,197に従って、デューティ率を一定割合で0%まで減少させるのである。
【0244】
ここで、上記ステップS194における各判定条件の意義について図46のタイムチャートを参照しながら説明する。
【0245】
まず、第1の条件は、図20のステップS44に示すトルクディマンドの場合と同様、タービン回転数Ntが実際に変速終了時の回転数Ntoに近づいたときにフォワードクラッチ51を締結させるものであり、この場合は、図46において、フォワードクラッチ圧Fwは符号Xの時点で立ち上がる。
【0246】
一方、第2の条件は、タービン回転数Ntが上昇を開始してから設定時間T11経過後には、必ずフォワードクラッチ51の締結動作を開始させるものであり、この場合は、図46において、フォワードクラッチ圧Fwは例えば符号Yの時点で立ち上がる。
【0247】
なお、このとき、車速Vが低いときほど、また、急激なブレーキングの結果、車速Vの変化率、つまり減速度が大きいときほど、図46に鎖線mで示すように、変速後のタービン回転数Ntoが小さくなって、変速時間が短くなるので、上記時間T11は、変速指令の出力時の車速Vが低いほど、またその減速度が大きいほど、図中に鎖線で示すように短くなるように設定する。これにより、フォワードクラッチ51の締結動作の遅れが回避されることになる。
【0248】
そして、第3の条件は、このような急激なブレーキングの結果、変速時間が極端に短くなって、上記の変速終了直前回転数やバックアップタイマが意味をなさず、有効に機能を果たすことができなくなった場合に対処するものであり、タービン回転数Ntが符号トで示すように上昇を開始した時と殆ど同時にフォワードクラッチ51を締結し始めるものである。
【0249】
したがって、この図45のプログラムのように、常にこれら3つの判定条件のいずれか一つが満足したときに、フォワードクラッチ圧Fwを立ち上げるようにしてもよく、あるいは、車速Vもしくは減速度に応じて条件を選択するようにしてもよい。
【0250】
また、このコーストダウン変速制御の趣旨から、図40におけるステップS163の所定値C6は、変速後のタービン回転数Ntoがエンジン回転数Neよりも低くなるような車速に設定されるのであるが、この場合のエンジン回転数Neは、変速直前のエンジン回転数、変速中のエンジン回転数、もしくは変速後のエンジン回転数のいずれと比較してもよい。
【0251】
ただし、変速前のエンジン回転数を比較に用いる場合であって、特に減速度が大きいときは、スロットル開度が全閉となってから変速指令が出力されるまでの間に、該エンジン回転数も比較的大きく低下しているので、その減速度に応じて上記エンジン回転数を補正することが好ましい。これにより、このコーストダウン変速制御がさらに良好に行なわれることになる。
【0252】
したがって、この(2)の項の冒頭でも述べたように、一般に、ダウンシフト変速時にはタービン回転数を変速後の回転数まで上昇させる制御を行なうのであるが、摩擦要素の掛け替え動作を伴う場合における、上記制御を解放側摩擦要素の解放動作で行なうのか又は締結側摩擦要素の締結動作で行なうのかの判断は、上記図40のプログラムのようにスロットル開度及び車速で判定する以外にも、変速後のタービン回転数とエンジン回転数とを直接比較することによっても判定することができる。
【0253】
次に、この場合の制御動作を図47に示すフローチャートに従って説明する。まず、4−3変速指令が出力されたときに、ステップS201,S202,S203で、それぞれエンジン回転数Ne、変速後のタービン回転数Nt、及び減速度Gを検出したのち、ステップS204で、この減速度Gが例えば急激なブレーキング等が行なわれて所定値C8より大きいか否かを判定する。
【0254】
そして、減速度Gが所定値C8より大きいときは、ステップS205で、エンジンのアイドル回転数をエンジン回転数Neとしたうえで、ステップS206で、変速後タービン回転数Ntがこのエンジン回転数Neより小さいか否かを判定する。一方、減速度Gが所定値C8以下のときには、上記ステップS201で検出したエンジン回転数NeをそのままこのステップS206の比較に用いる。
【0255】
その結果、変速後のタービン回転数Ntがエンジン回転数Ne以上の場合には、ステップS207でトルクディマンドの変速制御を行ない、逆に変速後のタービン回転数Ntがエンジン回転数Ne未満の場合には、ステップS208で一般のコーストダウンの変速制御を行なうことになる。
【0256】
(C)変速後タービン回転数の補正制御
以上説明したように、ダウンシフトの変速制御においては、変速動作の終了直前におけるイナーシャフェーズからトルクフェーズへの移行時期を、タービン回転数Ntが変速後の回転数Nt0より所定値ΔNt低い回転数(変速終了直前回転数)まで上昇した時点に設定しているが、このように、変速終了後の回転数Nt0を制御に用いる場合、これをどのように設定するかが問題となる。
【0257】
つまり、変速動作中、車速即ち変速機の出力回転数が一定であれば、変速前のタービン回転数をNti、変速前のギヤ比をGi、変速後のギヤ比をGfとしたとき、変速後のタービン回転数Ntf(=Nt0)は、次式24で求められるが、トルクディマンドのダウンシフト変速時のように、変速動作が加速状態のもとで行われる場合、この変速中の車速の増加分を考慮して変速終了後のタービン回転数を補正する必要があるのである。
【0258】
【式24】
Ntf=Nti×(Gf/Gi)
この加速による変速後タービン回転数Ntfの補正は、変速直前のタービン回転変化率dNt0に応じた増加分Ntf1と、変速動作中におけるタービントルクTtの増加に応じた増加分Ntf2とに分けて考えることができ、それぞれ式25、式26で求められる。
【0259】
【式25】
Ntf1=dNt0×t×(Gf/Gi)
【0260】
【式26】
Ntf2=[∫{(Tt−Tti)−I×(dNt−dNti)}dt]×C
ここで、式25におけるtはタービン回転変化率dNtが所定値dNtxを超えた時点(変速動作の開始時点)から現時点までの経過時間である。また、式26におけるTtiは変速直前のタービントルク、dNtiは変速直前のタービン回転変化率であり、また、係数Iはタービンの慣性質量、係数CはタービントルクTtをタービン回転変化率dNtに換算する係数であって、次式27で示されるものである。
【0261】
【式27】
C=(60×Gi×Gf×GF2)/(2πR2×M)
ここで、GFは当該車両の終減速比、Rは有効タイヤ半径、Mは車両重量である。
【0262】
上記式25は、変速によるギヤ比の変化がないものとしたときに、変速直前のタービン回転変化率dNt0により変速動作の開始時から現時点までに増加するタービン回転数(dNt0×t)を、変速前後のギヤ比Gi,Gfの比を用いて変速後の回転数の増加分に換算したものである。
【0263】
また、式26は、変速動作の開始時のタービントルクTtiに対する現時点のタービントルクの増加分[Tt−Tti]から、タービンの回転変化に費やされた分[I×(dNt−dNti)]を差し引き、その残りのトルクが車速の増加に寄与したものとして、この車速の増加分からタービン回転数の増加分を求めるものである。
【0264】
そして、次式28に示すように、式1で算出した変速後のタービン回転数Ntfをベース回転数Ntf0とし、これを上記の各タービン回転数増加分Ntf1,Ntf2を用いて補正することにより、変速後のタービン回転数Ntfを求めのである。
【0265】
【式28】
Ntf=Ntf0+Ntf2+Ntf2
次に、この変速後タービン回転数の補正制御の具体的動作を図48に示すプログラムにしたがって説明する。
【0266】
まず、変速指令が出力された後に、初めてこのプログラムに入ったときは、ステップS211からS212に移って、イニシャライズとして、カウンタiをリセットすると共に、その時点のタービン回転数Nt及びタービントルクTtを、変速前のそれぞれの値Nti,Ntiとしてセットし、また、その変速前タービン回転数Ntiから変速後のベースタービン回転数Ntf0を算出する。
【0267】
次に、ステップS213で、上記カウンタiに1を加算すると共に、ステップS214で、該カウンタ値iが所定値i0より大きくなったか否かを判定する。つまり、変速指令の出力後、所定時間が経過したか否かを判定するのである。
【0268】
そして、この所定時間が経過する前は、さらにステップS215で、タービン回転変化率dNtが所定値dNtxより大きくなったか否か、即ち、変速動作が開始されてタービン回転数Ntの上昇が開始されたか否かを判定し、その開始前は、ステップS216で、その時点のタービン回転変化率dNtを変速直前変化率dNtiに設定すると共に、第1、第2補正量、即ち前述の式25、式26で求められるタービン回転数の増加分Ntf1,Ntf2をいずれも0とする。
【0269】
その後、変速指令の出力後、所定時間が経過し、又はタービン回転変化率dNtが所定値dNtxより大きくなると、ステップS217に進んで、現時点で算出される変速後のタービン回転数の補正量Ntf1,Ntf2を算出する。なお、図中、このステップS217において、Tsとは当該プログラムの制御サイクルである。そして、次にステップS218でこの補正量Ntf1,Ntf2を変速後のベースタービン回転数Ntf0に加算することにより、変速後のタービン回転数Ntfが求められることになる。
【0270】
なお、このようにして求められた変速後のタービン回転数は、例えば前記図47のステップS202等において用いられることになる。
【0271】
【発明の効果】
以上のように、本願の第1発明によれば、第1の摩擦要素を解放して第2の摩擦要素を締結する変速時には、該変速動作中におけるタービン回転数が所定の目標回転数と一致するように、解放側摩擦要素である第1の摩擦要素の締結力の制御が行なわれる場合に、締結側摩擦要素である第2の摩擦要素の締結準備が判定されるまで、上記第1の摩擦要素の締結力が所定値以下となることが規制されるので、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避され、その結果、変速動作中に動力伝達経路が中立状態となってエンジンが吹き上がる等の不具合が解消されることになる。
【0272】
また、第2発明によれば、プリチャージ期間が終了して締結側摩擦要素が締結直前の状態となっていることをもって該摩擦要素の締結準備が判定されることになる。
【0273】
また、第3発明又は第4発明によれば、解放側摩擦要素の締結力の制御によりタービン回転数が変速後の回転数と一致した場合には、締結側摩擦要素の締結準備が判定されるまで、解放側摩擦要素の締結力がそれ以上は低下されないので、これにより、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避されることになる。
【0274】
また、第5発明によれば、締結側摩擦要素の締結準備が判定されるまで、解放側摩擦要素の解放動作が行なわれないので、これにより、締結側摩擦要素が締結される前に解放側摩擦要素が解放されることが回避されることになる。
【0275】
また、第6発明によれば、低温時に限って解放側摩擦要素の締結力の制御が規制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の変速歯車機構部の構成を示す断面図である。
【図3】 油圧制御回路の回路図である。
【図4】 2−4ブレーキの油圧アクチュエータの構成を示す断面図である。
【図5】 同油圧制御回路における各ソレノイドバルブに対する制御システム図である。
【図6】 図3の油圧制御回路の1速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図7】 同じく2速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図8】 同じく3速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図9】 同じく4速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図10】 同じくLレンジ1速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図11】 同じく後退速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図12】 ダウンシフト時のタービン回転数のフィードバック制御の説明図である。
【図13】 4−3変速時における第1DSVの動作を示すフローチャートである。
【図14】 同変速動作による各データの変化を示すタイムチャートである。
【図15】 同変速時におけるベース油圧の計算の動作を示すフローチャートである。
【図16】 上記計算動作に用いられるマップ図である。
【図17】 同じく上記計算動作に用いられるマップ図である。
【図18】 同変速時におけるフィードバック油圧の計算の動作を示すフローチャートである。
【図19】 上記計算動作に用いられるマップ図である。
【図20】 4−3変速時における第3DSVの動作を示すフローチャートである。
【図21】 同変速時におけるフィードバック制御の開始を判定する際の問題点の説明図である。
【図22】 同変速時におけるフィードバック制御の開始を判定するフローチャートである。
【図23】 同変速時におけるプリチャージ制御の動作を示すフローチャートである。
【図24】 上記プリチャージ制御に用いられるマップ図である。
【図25】 同じく上記プリチャージ制御に用いられるマップ図である。
【図26】 同変速動作による各データの別の変化を示すタイムチャートである。
【図27】 同変速時における算出油圧の補正制御のフローチャートである。
【図28】 上記補正制御の作用を説明するタイムチャートである。
【図29】 再変速禁止制御のフローチャートである。
【図30】 上記禁止制御の作用を説明するタイムチャートである。
【図31】 変速終了判定制御のフローチャートである。
【図32】 4−1変速時の問題点を説明するタイムチャートである。
【図33】 4−1変速時における第2DSVの動作を示すフローチャートである。
【図34】 同変速時における第1DSVの動作を示すフローチャートである。
【図35】 同変速時におけるベース油圧の計算に用いられるマップ図である。
【図36】 同変速時における第3DSVの動作を示すフローチャートである。
【図37】 同変速動作による各データの変化を示すタイムチャートである。
【図38】 コーストダウン4−3変速時における第3DSVの動作を示すフローチャートである。
【図39】 同変速動作による各データの変化を示すタイムチャートである。
【図40】 4−3変速指令出力時の制御モード選択動作のフローチャートである。
【図41】 低車速時コーストダウン4−3変速時における第1DSVの動作を示すフローチャートである。
【図42】 同変速時におけるベース油圧の計算に用いられるマップ図である。
【図43】 同変速時におけるフィードバック制御の開始判定動作を示すフローチャートである。
【図44】 上記判定動作の説明図である。
【図45】 同変速時における第3DSVの動作を示すフローチャートである。
【図46】 同変速動作による各データの変化を示すタイムチャートである。
【図47】 4−3変速指令出力時の別の制御モード選択動作のフローチャートである。
【図48】 ダウンシフト変速後のタービン回転数の計算の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 自動変速機
30,40 変速歯車機構
51〜55 摩擦要素
300 コントローラ

Claims (6)

  1. 変速歯車機構と、作動圧の給排により選択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える複数の摩擦要素と、これらの摩擦要素に対する作動圧の給排を制御することにより複数の変速段を達成する変速制御手段と、第1の摩擦要素を解放して第2の摩擦要素を締結する変速時には、該変速動作中におけるタービン回転数が所定の目標回転数と一致するように上記第1の摩擦要素の締結力を制御する解放要素制御手段とを有する自動変速機の制御装置であって、第2の摩擦要素の締結準備の完了を判定する締結準備判定手段と、該判定手段による締結準備の完了の判定まで、第1の摩擦要素の締結力が所定値以下とならないように上記解放要素制御手段の制御を規制する解放規制手段とが備えられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 締結準備判定手段は、第2の摩擦要素に至る油路が作動油で充満されているときに、該摩擦要素の締結準備の完了を判定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 解放規制手段は、タービン回転数が変速後の回転数と一致したときは、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、第1の摩擦要素の締結力が一定に保持されるように上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 解放規制手段は、タービン回転数が変速後の回転数と一致したときは、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、該タービン回転数が一定に保持されるように上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 解放規制手段は、第2の摩擦要素の締結準備の完了の判定まで、上記解放要素制御手段の制御を禁止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 作動油の温度を検出する油温検出手段が設けられ、解放規制手段は、上記検出手段で検出される油温が所定温度以下のときに、上記解放要素制御手段の制御を規制することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
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