JPH09268758A - 移動式ゴンドラ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステージ上方の照明器具の調整が容易かつ効
率よく行えるとともに、ステージ上方に広い空間を作
り、ステージ上方の活用範囲を広げ得る移動式ゴンドラ
装置を提供する。 【解決手段】 ステージ１上方の照明バトン４に沿って
設けたレール２と、このレール２に沿って移動するゴン
ドラ３とを備え、レール２に沿って張られたチェーン１
６にかみ合うスプロケット１５を、ゴンドラ３内に設け
られ手動により回転可能なハンドル２２と連動させて回
転させることにより、ゴンドラ３をレール２に沿って駆
動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、劇場等の照明器具
の位置合わせに使用できる移動式ゴンドラ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】劇場等では、ステージまたは客席を照ら
す照明器具の取り付け角度を、公演内容に合わせて調整
する必要がある。

【０００３】このようなステージ上方に設けられた照明
器具の調整は、天井から吊り下げられたバトン（例えば
長い金属パイプ）先端に取り付けられた照明器具を、作
業員が長尺の介錯棒を使って動かして行われていた。

【０００４】また他の方法としては、図５に示すよう
に、バトン５１先端の照明器具５２の側方に、ステージ
の上手から下手にかけて（横方向に）延びるギャラリー
（廊下）５３を設け、このギャラリー５３上を作業員が
移動しながら調整作業をしたり、また、図６に示すよう
に、天井から吊り下げられたライトブリッジ５５に取り
付けられた照明器具５６を、作業員がライトブリッジ５
５内に乗り込んで調整したりしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような介錯棒による調整では、作業員の手元から遠く離
れた介錯棒の先端で調整を行わなければならないので、
照明器具の微調整を正確に行うことが難しい。また、ラ
イトブリッジ内に乗り込んでの作業は、ライトブリッジ
内が狭いため作業効率が悪い。

【０００６】これに対して、照明器具側方にギャラリー
を延設する方法によれば、調整作業は行いやすいもの
の、ステージ上方がギャラリー設置分だけ狭くなり、特
に多目的ホールの場合など、公演内容によってステージ
上方の空間を広く活用したい場合には、ギャラリーが邪
魔になり、舞台演出を制限してしまうこともある。

【０００７】本発明は、このような問題点に着目し、ス
テージ上方の照明器具の調整が容易かつ効率よく行える
とともに、ステージ上方に広い空間を作り、ステージ上
方の活用範囲を広げ得る移動式ゴンドラ装置を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、ステージ
上方の照明器具に沿って設けたレールと、このレールに
沿って移動するゴンドラと、このゴンドラを駆動する駆
動手段とを備えた。

【０００９】第２の発明は、前記駆動手段は、前記レー
ルに沿って張られたチェーンと、このチェーンにかみ合
うスプロケットと、前記ゴンドラ内に設けられ手動によ
り回転可能なハンドルと、このハンドルの回転と連動さ
せて前記スプロケットを回転させる手段である。

【００１０】第３の発明は、前記レールをステージ上方
の道具バトンに着脱自在に取り付けた。

【００１１】

【作用】第１の発明では、照明器具の角度調整をすると
きには、作業員が乗り込んだゴンドラを駆動手段により
レール上を移動させることにより、レール側方の照明器
具に順次アクセスして行くことができ、照明器具の角度
調整が容易かつ確実に行い得て、作業効率が著しく向上
する。また、照明器具の角度調整が終わり、ステージを
使用するときには、ゴンドラを移動させて、ステージ上
方からゴンドラを撤去することができるので、ステージ
上方の空間を広く有効利用することができ、舞台の演出
効果が高められる。

【００１２】第２の発明では、作業員がゴンドラ内でハ
ンドル操作を行うことにより、レール上をこのレールに
かみ合うスプロケットが移動することによって、ゴンド
ラはレール上の任意の位置へと自由に移動するが、この
とき作業員は、照明器具の調整を行い易い位置へとゴン
ドラの位置決めを手動により自由に行えるので、照明器
具の調整の効率が著しく高められる。

【００１３】第３の発明では、道具バトンに着脱自在に
取り付けられたレールに沿ってゴンドラを移動させて照
明器具の調整を行うので、道具バトンに隣接する照明器
具にゴンドラが容易にアクセスできるが、調整作業終了
後は、道具バトンからレールを外してしまうことができ
るので、ステージ上方には舞台演出に必要な照明と道具
バトンのみが残り、ステージ上方の空間が有効に利用で
きる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態について説明する。

【００１５】図１に示すように、ステージ１上方には、
ステージ１の上手（右端）側から下手（左端）側にわた
って、互いに平行に天井５上に延設された一対のレール
２と、これらのレール２の間に配設され、レール２に沿
って移動するゴンドラ（吊り籠）３とから構成される移
動式ゴンドラ装置が設けられている。なお、レール２の
両側方には、レール２にすぐ近接して照明器具を吊り下
げる複数のバトン４（図２参照）が天井５から吊り下げ
られ、レール２に沿って並んでいる。

【００１６】ゴンドラ３は、図２、図３に示すように、
作業員が乗り込める程度の大きさの長方形の床部１１の
上方に棒状部材を枠組みして形成されたもので、床部１
１の４隅からは４本の縦フレーム１２が上方に向かって
延設され、隣り合う縦フレーム１２の各間には、所定の
高さで２本の横フレーム１３が平行に配設されている。
これにより、ゴンドラ３内に乗り込んだ作業員は、手摺
り状の横フレーム１２により落下を防止されるととも
に、これらの縦フレーム１２および横フレーム１３の間
から外部の照明器具を操作できるようになっている。

【００１７】なお、ゴンドラ３の上手側および下手側の
側面の横フレーム１３ａは、図２に示すように、隣接す
る一方の縦フレーム１２（図２では右側の縦フレーム１
２）に回動可能に支持されるとともに、他方（図中左
側）の縦フレーム１２には係脱自在とされている。そし
て、作業員が上手側あるいは下手側からゴンドラ３の内
部へと乗り込むときには、図の左側の縦フレーム１２へ
の横フレーム１３の係止を解き、横フレーム１２を、図
の右側の縦フレーム１２の位置（図に想像線で示した位
置）まで回動させれば、横フレーム１３が邪魔にならな
いようになっている。

【００１８】ゴンドラ３の最上部の枠組みには、回転軸
１４がレール２と直角方向に、かつ回動自在に支持され
ている。この回転軸１４の中央にはスプロケット１５が
固設されており、このスプロケット１５は、天井５の一
対のレール２の中央にレール２と平行に延設されたチェ
ーン１６にかみ合いながら回転して、チェーン１６に沿
って移動するようになっている。

【００１９】この回転軸１４の両端付近にはスプロケッ
ト１７が固設されているが、このスプロケット１７は、
ゴンドラ３の中程の高さに設けられた支持部材２１にハ
ンドル２２と一体に回転するように取り付けられたスプ
ロケット１８に、チェーン１９を介して連結されている
ので、ハンドル２２を手動により回転させれば、この回
転がスプロケット１７へと伝達されて、回転軸１４およ
びスプロケット１５が回転することにより、ゴンドラ３
がチェーン１６に沿って駆動されるようになっている。

【００２０】また、レール２の相対する側面には、ゴン
ドラ３の４本の縦フレーム１２の各上端部に突出して設
けられた車輪２５が、左右２個ずつレール２の内側へと
嵌まり込むようになっており、ゴンドラ３はこれらの車
輪１０を介して一対のレール２の間に支持されるととも
に、ハンドル２２の回転によるゴンドラ３の駆動時に
は、レール２内で車輪２５が回転することにより、ゴン
ドラ３はレール２に沿って抵抗なく移動し得るようにな
っている。

【００２１】ゴンドラ３はこのようにレール２に沿って
動くようになっているが、上手側および下手側のレール
２の両端付近には、それぞれ作業員が歩けるような廊下
である固定ギャラリー２６が設けられる。ステージ１の
上手または下手においては、ゴンドラ３はこれらの固定
ギャラリー２６の上方に格納されるようになっており、
作業員は、固定ギャラリー２６とゴンドラ３の間で乗り
降りできるようになっている。

【００２２】なお、このような移動式ゴンドラ装置は、
ステージ１上方に複数個設けることもでき、そうすれ
ば、照明器具が２列以上の複数列にわたって設けられて
いる場合にも、各移動式ゴンドラ装置をこれらの照明器
具の間に適切に配置して、各照明器具へとアクセス可能
とすることができる。

【００２３】つぎに作用を説明する。

【００２４】ステージ１上方の照明バトン４から吊され
た照明器具の角度調整をするときには、作業員はステー
ジ１の上手または下手の固定ギャラリー２６から、この
固定ギャラリー２６上方に格納されているゴンドラ３へ
と乗り込んだ後、ゴンドラ３内のハンドル２２を手動に
より回転させて、ゴンドラ３を調整したい照明器具の側
方まで移動させて、その照明器具の角度調整を行う。こ
のように作業員は、ゴンドラ３に乗ったままで手動によ
り自由に移動距離を調整しながら、調整すべき照明器具
付近へとゴンドラ３を次々と移動して行くことができ、
照明器具を順次調整しながら、反対側の固定ギャラリー
２６へと至ることができる。

【００２５】この場合、ゴンドラ３自体が照明器具に沿
って移動して行くため、作業員は調整すべき照明器具と
同じ高さで、各照明器具のすぐ近くまでやって来ること
ができるので、照明器具の角度調整は作業員自らの手で
容易に、また確実に行うことができ、作業効率が著しく
向上する。また、このために、ステージ１上方にギャラ
リーやライトブリッジを設ける必要がない。

【００２６】また、照明器具の調整が終わった後では、
ゴンドラ３は固定ギャラリー２６へと格納しておく。こ
のため、ステージ１を使用するときには、ステージ１上
方には照明器具以外は存在せず、ステージ１上方の広い
空間を有効に利用することができる。

【００２７】図４は本発明の他の実施の形態を示すもの
である。

【００２８】ここでは、照明器具３０を吊した照明バト
ン３１の間を通るように、複数の道具バトン３２が、ス
テージ１の上手から下手にわたって所定の間隔で、天井
５から２列をなして吊り下げられている。

【００２９】この２列の道具バトン３２には、各道具バ
トン３２へと着脱自在の連結装置３３およびこの連結装
置３３が固設された取り付け部材３４を介して、一対の
断面コの字型のレール３５が互いに平行に、かつ着脱自
在に取り付けられ、このレール３５がステージ１の上手
側から下手側にわたって延びるようになっている。この
レール３５の内側には、ラック３６が延設されており、
このラック３６に、軽量のゴンドラ３７の上方から突設
するピニオン３８が嵌合しながら回転することにより、
ゴンドラ３７がレール３５に沿って移動しうるようにな
っている。

【００３０】なお、このピニオン３８の回動は、図１か
ら図３に示した実施の形態と同様に、ゴンドラ３７内に
設けられた図示しない手動式の駆動機構によってなされ
る。

【００３１】また、２列の道具バトン３２は、互いに連
動しながら図４の左右方向に移動しうるようになってい
るので（図には想像線により道具バトン３２を右方向に
移動した状態を示した）、この道具バトン３２の左右方
向への移動により、ゴンドラ３７を左右いずれの照明器
具３０に近づけることができるようになっている。

【００３２】このように、本実施の形態においても、ゴ
ンドラ４６に乗り込んだ作業員は角度調整を行いたい任
意の照明器具４０に容易に近づいて作業が行える。ま
た、レール３５は、照明器具３０の調整時にのみ道具バ
トン３２に取り付けるようにすればよいので、ステージ
１上方を舞台演出で必要な照明バトン４１と道具バトン
４２だけで構成でき、ステージ１上方の空間を有効利用
することができる。

【００３３】

【発明の効果】第１の発明によれば、照明器具の角度調
整をするときには、作業員が乗り込んだゴンドラを駆動
手段によりレール上を移動させることにより、レール側
方の照明器具に順次アクセスして行くことができ、照明
器具の角度調整が容易かつ確実に行い得て、作業効率が
著しく向上する。また、照明器具の角度調整が終わり、
ステージを使用するときには、ゴンドラを移動させて、
ステージ上方からゴンドラを撤去することができるの
で、ステージ上方の空間を広く有効利用することがで
き、舞台の演出効果が高められる。

【００３４】第２の発明によれば、作業員がゴンドラ内
でハンドル操作を行うことにより、レール上をこのレー
ルにかみ合うスプロケットが移動することによって、ゴ
ンドラはレール上の任意の位置へと自由に移動するが、
このとき作業員は、照明器具の調整を行い易い位置へと
ゴンドラの位置決めを手動により自由に行い得るので、
照明器具の調整の効率が著しく高められる。

【００３５】第３の発明によれば、道具バトンに着脱自
在に取り付けられたレールに沿ってゴンドラを移動させ
て照明器具の調整を行うので、道具バトンに隣接する照
明器具にゴンドラが容易にアクセスできるが、調整作業
終了後は、道具バトンからレールを外してしまうことが
できるので、ステージ上方には舞台演出に必要な照明と
道具バトンのみが残り、ステージ上方の空間が有効に利
用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す正面図である。

【図２】同じく側面図である。

【図３】同じく正面図である。

【図４】同じく他の実施の形態を示す側面図である。

【図５】従来のステージ上方を示す側面図である。

【図６】同じく側面図である。

【符号の説明】

１ ステージ ２ レール ３ ゴンドラ ４ 照明バトン ５ 天井 １４ 回転軸 １５ スプロケット １６ チェーン １７ スプロケット １８ スプロケット １９ チェーン ２２ ハンドル ３０ 照明器具 ３２ 道具バトン ３３ 連結装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ステージ上方の照明器具に沿って設けたレ
   ールと、 このレールに沿って移動するゴンドラと、 このゴンドラを駆動する駆動手段と、 を備えたことを特徴とする移動式ゴンドラ装置。
2. 【請求項２】前記駆動手段は、前記レールに沿って張ら
   れたチェーンと、このチェーンにかみ合うスプロケット
   と、前記ゴンドラ内に設けられ手動により回転可能なハ
   ンドルと、このハンドルの回転と連動させて前記スプロ
   ケットを回転させる手段であることを特徴とする請求項
   １に記載の移動式ゴンドラ装置。
3. 【請求項３】前記レールをステージ上方の道具バトンに
   着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項１に記載
   の移動式ゴンドラ装置。