JPH09268411A

JPH09268411A - 模造樹木

Info

Publication number: JPH09268411A
Application number: JP8074387A
Authority: JP
Inventors: Yasuo Usui; 保夫臼井
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-03-28
Filing date: 1996-03-28
Publication date: 1997-10-14
Anticipated expiration: 2016-03-28
Also published as: JP2866343B2; US5962088A

Abstract

(57)【要約】【課題】形状の変更が自在にでき、製作する楽しみを
味わえると共に、果実や花等の装飾用素材を容易かつ美
麗に枝に取り付けることができる模造樹木を提供する。【解決手段】複数本の金属撚線１を束ねて幹３、大枝
４、小枝５、孫枝６を形成し、かつ、孫枝６を形成する
金属撚線の中の１本乃至複数本の金属素線を撚りほぐ
し、この金属素線にビーズを取り付けたる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人工的な材料を用
いて幹や枝や根等が模造された樹木に関し、特に形状の
変更が自在にできると共に、果実や花等の装飾用素材を
容易かつ美麗に枝に取り付けることができる模造樹木に
関する。

【０００２】

【従来の技術】模造樹木は、一般にワイヤ、紙、布、プ
ラスチック、合成樹脂等からなる材料を用い、これらを
自然の樹木に似せて製作するものであり、屋内用の置物
や装飾物として利用され、また、創作性のある趣味とし
て従来から親しまれてきた。

【０００３】その製作手段は、例えば、実開昭５７−８
２３６４号のマイクロフィルムに記載される如く、単線
のワイヤに色テープを巻き付けて、この単線ワイヤを複
数本揃えて幹や枝を作製し、さらに、各枝に好みの装飾
用素材、例えば果実や花を取り付けて所望の形状、色彩
に仕上げていた。

【０００４】また、樹木全体または部分の型をあらかじ
め製作しておき、この型に溶かした合成樹脂や鋳鉄を流
し込んで成形を行う手段もある（例えば、特開平７−１
０８３４４号公報）。

【０００５】そして、これらの模造樹木は、剪定や水や
り等の手入れの必要がないので、特に屋内用の置物や飾
りに適しているというものであった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の模造樹
木にもそれぞれ欠点がある。

【０００７】まず、前者の模造樹木に使用するワイヤは
通常直径１mm前後の単線であり、単に補強用の芯材とし
て用いられるものであって、ワイヤ自体に美感がないた
め、ワイヤに色テープ等を巻き付ける必要がある。その
ため、手間がかかると共に仕上がりも凹凸のあるものに
なり、大味な表現しかできない。また、自然の樹木の肌
目の繊細さを表現することが難しく、見栄えも悪くなり
がちである。これは、製作者ばかりでなく、鑑賞者にと
っても甚だ興趣をそがれる要因となる。

【０００８】また、後者の模造樹木は、型の製造時点で
樹姿や枝ぶりが決定されてしまい、この型を変更しない
限り模造樹木の形状を変更することができず、そして、
型の変更には少なからぬ費用が必要であり、何回も型を
変更することは実際には困難である。また、合成樹脂や
鋳鉄は塑性変形性に劣るため、成形後の形状や枝ぶりの
人為的な変更が難しい。

【０００９】しかし、本来この種の模造樹木は、製作者
の個性により、一つ一つが異なる形状、枝ぶりに製作さ
れることに意義がある。従って、上記の如き形状の変更
ができない（あるいは困難な）模造樹木は、製作者や鑑
賞者から見て甚だ興を失う結果となる。

【００１０】また、上記いずれの模造樹木においても、
個々の枝に果実、花等の装飾用素材を取り付ける場合
に、結束線や接着剤等の装着手段により、果実や花の一
つ一つを枝に取り付ける必要がある。しかし、この作業
は細かい作業であるので、非常に煩雑であると共に、結
束線の結び目や接着剤の跡が美感を損なう。この種の模
造樹木において、このような美感を損なう欠点は作品価
値を極端に低下させるので忌み嫌われるものである。

【００１１】本発明は、上記従来の模造樹木の種々の問
題を解決するために成されたものであり、形状の変更が
自在にでき、製作する楽しみを味わえると共に、果実や
花等の装飾用素材を容易かつ美麗に枝に取り付けること
ができる模造樹木を提供することを課題とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の模造樹木は、主材料として金属撚線を用
い、この金属撚線の複数本を用いて幹や枝や根を形成す
る。そして、果実や花に見立てた装飾用素材としてビー
ズを用い、枝を形成する金属撚線の中の１本乃至複数本
の金属素線を撚りほぐし、該金属素線にビーズを取り付
ける手段を採用したのである。

【００１３】

【発明の実施の形態】すなわち、本発明の模造樹木は、
複数本の金属素線を撚り合わせたものからなる金属撚線
の複数本を用いて幹、枝、根を形成し、かつ、上記枝を
形成する金属撚線の中の１本乃至複数本の金属素線を撚
りほぐし、該金属素線にビーズを取り付けたことを特徴
としている。

【００１４】上記金属撚線は同種または異種の金属素線
を複数本撚り合わせたものであるが、係る金属撚線はバ
ンチャー型やチューブラー型の撚線機を用いて得ること
ができる。しかし、この種の撚線機に限らず、撚りの模
様が周期的に規則正しく作れるならば、どのような装置
を用いてもよい。

【００１５】また、金属撚線の撚り構造は単層撚りでも
複層撚りでもよいが、金属撚線のコード径は０．５〜
２．０mm程度が扱いやすい。もちろん、２．０mm以上
（例えば、３mmや５mm）でも可能であるが、この場合は
金属撚線の切断や曲げにかなりの力が必要になる。単層
撚りの場合の撚り構成は、一般式１×ｎ（ｎは２以上の
自然数）で表現できるが、代表的な撚り構成として、１
×５、１×７、１×１２等がある。また、複層撚りの場
合の撚り構成は、一般式１＋ｎ、ｍ＋ｎ、ｍ×ｎ、ｍ＋
ｎ＋ｐ等（ｍ、ｎ、ｐは２以上の自然数）で表現できる
が、代表的な撚り構成として、１＋６、３＋６、３＋
９、４×４、７×４、３＋９＋１５等がある。この際、
金属撚線を構成する各金属素線の線径を適宜変えること
もできる。例えば、撚り構成１＋６の金属撚線におい
て、芯の１本の金属素線の線径を側素線より太くするこ
とが考えられる。

【００１６】また、金属撚線を構成する各金属素線の材
質を変えることもできる。例えば、撚り構成が３＋９＋
１５の金属撚線の芯の３本を銅線、そのまわりの９本を
鋼線、さらに側素線の１５本を真鍮線にして構成するこ
ともできる。そして、模造樹木の作製時に、例えば上記
金属撚線の先端部の撚りをほぐすことにより、それぞれ
の金属の色彩や光沢の違いを楽しむことができる。

【００１７】また、本発明に係る金属素線の線径は、後
記する理由により、０．１０〜０．４０mmの範囲が好ま
しい。

【００１８】また、金属素線の材料として、以下に詳細
に説明するように、鉄または鉄合金、銅または銅合金、
アルミまたはアルミ合金、および貴金属の中の少なくと
も１種以上の金属を用いると、それぞれの金属の特徴を
活かすことができる。なお、鉄合金とは純鉄に他の合金
元素を添加したものであり、例えば、ステンレス、炭素
鋼等があり、また、銅合金とは軟銅、硬銅、真鍮等を意
味する。また、アルミ合金とは、アルミにＣｕ、Ｓｉ、
Ｍｇ等の元素を添加したものである。

【００１９】また、金属撚線の少なくとも一部に焼なま
し処理を施すことにより、柔軟性をさらに増すことがで
き、変形加工をより簡単に行える。特に、通常強度や靱
性の高い鉄または鉄合金に焼なまし処理を施すと、効果
が顕著である。

【００２０】さらに、金属素線にメッキ、着色、つや出
し、つや消し、蛍光塗料塗布等の表面処理を施すことに
より、色調を豊かにでき、ワイヤアートの創作性を増す
こともできる。例えば、鉄や鉄合金に真鍮メッキを施し
てもよいし、着色スプレーでいろいろな色調にすること
も自由である。これらの表面処理は、材料の金属の特徴
を損なわないよう注意して行うことが大事であるが、や
り方によっては美術工芸品としての価値を高めることが
でき、さらに錆の発生を防止できるので有効である。

【００２１】そして、金属素線に真直加工を施して、撚
線の曲がりやうねりを矯正することにより、ワイヤアー
トの見栄えが良くなり、作品価値を高めることができ
る。例えば、金属撚線の多数本を束にして幹を形成した
場合に、金属撚線同士が平行に整然と並ぶので、たいへ
ん見栄えが良い。上記真直加工は、矯正ローラやロータ
リー矯正による方法を採用すればよいが、真直性を高め
るためには、ロータリー矯正がより好ましい。

【００２２】上記のように構成される本発明の模造樹木
によれば、金属撚線の規則正しい撚りの模様を有効に利
用でき、独特の雰囲気を醸し出すことができる。すなわ
ち、金属撚線に光が当たった場合に、光が撚りの模様を
照らし、明るい部分と暗い部分とのコントラストが鮮や
かにかつ規則正しく浮かび上がり、美感を生み出す。さ
らに、撚りの模様と金属材料本来の色彩や金属光沢とが
相乗的効果を生み、従来の模造樹木では達成し得ない重
厚な雰囲気を醸し出す。

【００２３】また、本発明は、細い金属素線を撚り合わ
せて金属撚線としたので、金属の持つ強度と撚線の持つ
柔軟性をバランスよく利用できる。従って、模造樹木の
製作に適した抗折力と柔軟性を兼ね備えている。

【００２４】さらに、本発明は、金属撚線から撚りほぐ
した金属素線をビーズの穴に通した後、結束する手段を
採用したので、従来の模造樹木と違って、装飾用素材と
枝の接合に結束線を容易する必要がない。つまり、ビー
ズを取り付ける金属素線が模造樹木と一体になっている
ため、ビーズの穴に金属素線を通して簡単な結束をする
だけで、容易にビーズを枝に取り付けることができる。

【００２５】また、本発明の金属素線の線径を０．１０
〜０．４０mmとすることにより、係る線径の金属素線を
複数本束ねた金属撚線は柔軟性と抗折性のバランスがと
れたものとなる。この範囲を外れた場合、例えば、線径
が０．１０mm未満の場合には、金属撚線自体の強度を保
つために金属素線の本数を多くする必要が生じ、金属素
線を撚りほぐす作業が煩雑となる。また、金属素線があ
まりに細いため、陰影が細かくなりすぎ、その結果、メ
リハリのないものになってしまう。一方、線径が０．４
０mmを超えると、柔軟性に劣り、また、繊細な雰囲気を
表現し難したくなる。それと共に、ビーズを結束した場
合に、結束箇所が目立つようになり、美感を損なうこと
になる。

【００２６】さらに、本発明の金属素線の材料として鉄
や鉄合金を用いると、強度がある程度高くなり、銅また
は銅合金を用いると、表面に生じる「緑青」を活かすこ
とで重厚な雰囲気を得ることができる。また、アルミま
たはアルミ合金は軽量で扱いやすく、金や銀等の貴金属
は芸術的価値が高まり、後には骨董的価値も生じる。ま
た、上記各金属素線を適当に組み合わせると、各金属の
特徴を部分的に活かした風情のある模造樹木を楽しむこ
とができる。

【００２７】

【実施例】実施例について、図面を参照して説明する。
図１に示すように、線径ｄ＝０．３４mmの金属素線２を
７本撚り合わせて、撚り構成１×７の金属撚線１を製造
した。図１（ａ）は拡大側面図、図１（ｂ）は拡大断面
図である。また、金属素線２の材料としては高炭素鋼
（７０Ｃ材）を用い、撚線機はバンチャー型を使用し
た。なお、金属素線にはあらかじめ表面に真鍮メッキを
施した。

【００２８】次に、上記金属撚線を連続焼鈍炉を通して
光輝焼鈍処理し、その後ロータリー矯正機にかけて真直
加工を施し、定寸（５０cm）に切断した。

【００２９】次に、上記金属撚線１を用いて、模造樹木
の形状に仕上げる手順を図２に基づいて説明する。な
お、本実施例では「梅もどき」に見立てて模造樹木を製
作した。

【００３０】まず、金属撚線１を２００本束ねて幹３を
形成し、幹３から枝分かれさせた大枝４を大まかに形成
した。これらの形成時に型崩れ防止用のワイヤＷを金属
撚線の束の要所に巻き付けた。なお、ワイヤＷは、模造
樹木完成後に取り外すことができる。

【００３１】そして、大枝４から枝分かれさせた小枝
５、小枝５から枝分かれさせた孫枝６を順次形成し、こ
の作業を大略全ての枝に対して実施し、同時に根部（図
示せず）も形成した。そして、幹、大枝、小枝および孫
枝の曲がり具合や枝ぶりを調整し、図２に示すように模
造樹木の本体７を形成した。なお、それぞれの孫枝６は
金属撚線１本で形成した。

【００３２】これらの作業において、大枝４および小枝
５を構成する複数本の金属撚線は、適宜捻じり合わせる
ことにより、ばらけるのを防止した。

【００３３】次に、梅もどきの花に見立てた赤色のビー
ズを孫枝に取り付ける作業に移った。この作業手順を以
下に説明する。

【００３４】まず、図３に示すように、孫枝６を構成す
る１本の金属素線２を撚りの方向とは反対に回しなが
ら、孫枝６の根元近くまで撚りほぐし、次にビーズ８の
穴に撚りほぐした金属素線２を挿通してビーズ８が落ち
ない程度に簡単に結束し、余った金属素線２は切除し
た。

【００３５】上記作業を他の孫枝にも実施し、図４に示
すような「梅もどき」の模造樹木９を完成した。

【００３６】ビーズの結束形態には、図５、図６、図７
および図８に示すような各種のものが考えられる。いず
れの形態も、金属素線の線径が０．３４mmと細く、しか
も結束箇所に大きな結び目がないので、模造樹木の美感
を損ねることはない。

【００３７】本実施例では、図７の如く撚りほぐした１
本の金属素線２を利用して、複数個のビーズ８を取り付
けることができる。従って、作業が格段にやさしく、ま
た、美感を損なうこともない。

【００３８】

【発明の効果】本発明は上記のとおり構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。模造樹木は幹や枝や根
が金属撚線で形成されており、十分な強度と適度の柔軟
性を兼ね備えている。また、各人の好みに合わせて樹木
や枝ぶりを自由に変更できると共に、金属撚線の規則正
しい撚りの模様や金属材料本来の色彩や金属光沢が相乗
的効果を生み出し、従来の模造樹木には無い独特の雰囲
気を醸し出すので、興趣が格段に増す。

【００３９】また、金属撚線自体に美感を有するので、
従来の模造樹木のように色テープ等を巻き付ける作業が
必要ない。また、装飾用素材としてビーズを採用し、金
属撚線を構成する金属素線を撚りほぐして、ビーズの穴
に通した後、ビーズを取り付ける構成だから、従来の結
束線を用いる模造樹木に比べてはるかに作りやすく、美
感を損ねることもない。

【００４０】また、金属素線の線径として、０．１０〜
０．４０mmの範囲とすれば、柔軟性と抗折性のバランス
のとれた金属撚線が得られる。

【００４１】また、本発明の模造樹木は、金属素線の材
料として、鉄または鉄合金、銅または銅合金、アルミま
たはアルミ合金、および貴金属を自在に使い分けること
により、各金属の特徴を活かすことができる。

【００４２】さらに、金属撚線または金属素線に焼なま
し処理を施すことにより、柔軟性をさらに増すことがで
き、模造樹木の成形加工をより簡単に行える。

【００４３】そして、幹や枝にメッキ、着色、つや出
し、つや消し、蛍光塗料塗布等の表面処理を施すことに
より、色調を豊かにでき、錆や色調の変化を防止できる
ので、模造樹木の趣を増すことができると共に、工芸品
としての価値を増すことができる。

【００４４】また、金属撚線にロータリー矯正等の真直
加工を施すと、見栄えがよくなり、興趣が増すと共に作
品価値が格段に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の模造樹木を構成する金属撚線を示し、
図１（ａ）は拡大側面図、図１（ｂ）は拡大断面図であ
る。

【図２】本発明の模造樹木の製作過程の説明図である。

【図３】金属撚線から金属素線を撚りほぐした状態の説
明図である。

【図４】本発明の模造樹木の一実施例の概略図である。

【図５】ビーズの取付手段の説明図である。

【図６】ビーズの取付手段の他の説明図である。

【図７】図６とは異なるビーズの取付手段の説明図であ
る。

【図８】図７とは異なるビーズの取付手段の説明図であ
る。

【符号の説明】

１…金属撚線２…金属素線３…幹４…大枝５…小枝６…孫枝７…模造樹木の本体８…ビーズ９…模造樹木

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】複数本の金属素線を撚り合わせたものか
らなる金属撚線の複数本を用いて幹、枝、根を形成し、
かつ、上記枝を形成する金属撚線の中の１本乃至複数本
の金属素線を撚りほぐし、該金属素線にビーズを取り付
けたことを特徴とする模造樹木。
【請求項２】金属素線の線径が０．１０〜０．４０mm
である請求項１記載の模造樹木。
【請求項３】金属素線が鉄または鉄合金、銅または銅
合金、アルミまたはアルミ合金、および貴金属の中の少
なくとも１種以上の金属からなる請求項１または２記載
の模造樹木。
【請求項４】金属撚線の少なくとも一部に焼なまし処
理を施した請求項１、２または３記載の模造樹木。
【請求項５】金属素線の少なくとも１本にメッキ、着
色、つや出し、つや消し、蛍光塗料塗布等の表面処理が
施された請求項１、２、３または４記載の模造樹木。
【請求項６】金属撚線に真直加工が施された請求項
１、２、３、４または５記載の模造樹木。