JPH09268016A - 非水電解液電池活物質用ニッケル−コバルト水酸化物 - Google Patents
非水電解液電池活物質用ニッケル−コバルト水酸化物Info
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Abstract
る正極活物質リチウム複合ニッケル−コバルト酸化物を
得るための原料ニッケル−コバルト水酸化物を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 NivCow(OH)2(0.7≦v≦0.
9、v+w=1)で表され、CuKα線を線源とするX
線回折における(101)面のピークの半価幅が1.0
゜以下に制御されたニッケル−コバルト水酸化物。
Description
池の正極活物質のLixNiyCozO2(0.90≦x≦
1.05、0.7≦y≦0.9、y+z=1)で表され
るリチウム複合ニッケルーコバルト酸化物の合成に原材
料として用いるニッケル−コバルト水酸化物に関するも
のである。
コードレス化が急激に進んでいる。現在、これら電子機
器の駆動用電源としての役割を、ニッケルーカドミウム
蓄電池あるいは密閉型小型鉛蓄電池が担っているが、ポ
ータブル化、コードレス化が進展し、定着するにしたが
い、駆動用電源となる二次電池の高エネルギー密度化、
小型軽量化の要望が強くなっている。また、近年二次電
池は、携帯電話用の電源として注目されており、急速な
市場の拡大と共に、通話時間の長期化、サイクル寿命の
改善への要望は非常に大きいものとなっている。
すリチウム複合遷移金属酸化物、例えばLiCoO
2(例えば特開昭63−59507号公報)や、さらに
高容量を目指したLiNiO2(例えば米国特許第43
02518号)が報告されている。特にLiNiO
2は、LiCoO2に比べ高エネルギー密度が期待され、
各方面で開発が進められている。しかし、LiNiO2
は、充電時の分極が大きく、Liが十分取り出せないう
ちに電解液の酸化分解電圧に達してしまうため、期待さ
れる大きい容量が得られなかった。
元素の一部をコバルトで置換したものを正極活物質に用
い、リチウムイオンの挿入・離脱を利用した非水電解液
二次電池が提案されている。例えば、特開昭62−25
6371号公報では、炭酸リチウムと炭酸コバルト、炭
酸ニッケルを混合し900℃で焼成することによってリ
チウム複合ニッケル−コバルト酸化物を合成している。
また、特開昭63−299056号公報では、リチウム
とコバルト、ニッケルの水酸化物、酸化物を混合する方
法が報告されている。さらに、特開平1−294364
号公報には、ニッケルイオンとコバルトイオンを含む水
溶液中から炭酸塩としてニッケルイオンとコバルトイオ
ンを共沈させ、その後炭酸リチウムと混合し、リチウム
複合ニッケル−コバルト酸化物の合成を行った例が報告
されている。
されているようなLixNiyCozO2(0.90≦x≦
1.05、0.7≦y≦0.9、y+z=1)で表され
るリチウム複合ニッケル−コバルト酸化物では、置換C
o量(z値)が大きくなるにつれて放電容量は徐々に大
きくなるものの、充放電容量は理論容量である275m
Ah/gに比べてかなり小さく、十分なものではなかっ
た。
物質の放電容量が小さくなる要因として以下のことが原
因であることが解った。すなわち、LiNiO2は、電
池の充放電にともない、その格子定数が変化することが
報告されており(W.Li,J.N.Reimers
and J.R.Dahn, Solid State
Ionics,67,123(1993))、Liを
脱離するに伴い結晶相が六方晶(Hexagonal)から単斜
晶(Monoclinic)、さらに第2六方晶(Hexagonal)、
第3六方晶(Hexagonal)へと変化していくことが報告
されている。このような結晶相変化は可逆性に乏しく、
充放電反応を繰り返すうちにLiを挿入・脱離できるサ
イトが徐々に失われてしまうことが原因と考えられる。
によって、このような結晶相の変化は著しく緩和され
る。これはコバルトの酸素との結合力がニッケルに比べ
強いため、結晶構造がより安定化したためと考えられ、
Co置換しない(z=0)場合のような結晶相の変化が
起こらなくなる。このため、Co置換量(z値)が大き
くなるほど結晶相がより安定化し、放電容量、サイクル
特性ともに改善されると考えられる。しかし、実際には
特開昭62−256371号公報や特開昭63−299
056号公報で報告されているようなコバルト、ニッケ
ルの炭酸塩、水酸化物、酸化物等のそれぞれの化合物を
混合することによって合成されたリチウム複合ニッケル
−コバルト酸化物は、Co置換量(z値)が大きくなる
と(z≧0.1)実際にはニッケルとコバルトが均一に
分散されておらず、部分的にLiNiO2とLiCoO2
の混合物になっていることが明らかになった。
量はある程度大きいものの、放電容量として満足できる
ものではなく、また、充放電を繰り返すと、Coが十分
置換されていない部分において前述の結晶相変化により
結晶構造が破壊され、放電容量が低下し、電池活物質と
して十分なものではなかった。また、特開平1−294
364号公報のようにニッケルイオンとコバルトイオン
を炭酸塩として共沈させた場合、ニッケルとコバルトが
均一に分散するため良好なサイクル特性が確保された。
しかし、この場合、塩基性炭酸塩として析出するため、
実際には不定含量のNi(OH)2を含む複塩NiCO3
・xNi(OH)2となっており、リチウムとの合成過
程が均一でない。また、炭酸塩では結晶性が低く、放電
容量が小さいという問題があった。
する問題点の解決を図ることであり、充放電特性の優れ
た非水電解液二次電池を与える正極活物質リチウム複合
ニッケル−コバルト酸化物を合成するための、物性の制
御されたニッケル−コバルト水酸化物を提供することで
ある。
な問題を解決するために、正極活物質の原料であるニッ
ケル、コバルト源として、共沈によって生成した水酸化
物を用いると共に、その物性について鋭意検討を行い、
特にその結晶構造を制御することにより、放電容量の大
きい活物質を得ることに成功した。LiNiO2は、通
常、原材料としてニッケル水酸化物とリチウム塩、例え
ば、硝酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウムを混
合し、熱処理を行うことで合成される。これらの反応過
程は、原材料双方の熱分解の後、ニッケル化合物にリチ
ウムが侵入する形で進行する。本発明者らは、原料を混
合し、温度上昇させながらX線構造を測定するHTーX
RD法を用いて検討を行った結果、特にニッケル水酸化
物を原料とした場合に、原料−中間生成物−反応生成物
の間に結晶学的な相関関係が得られることが明らかとな
った。このような現象は、トポタキシーと呼ばれ、トポ
反応では結晶の形態が維持されたままで反応が進行す
る。
自由エネルギーを小さくし、反応をより容易に進行させ
るためには、LiNiO2の結晶格子により近い構造を
持つ原料を用いることが望ましい。従って、例えばNi
−Ni原子間距離が2.878オングストロームである
LiNiO2を合成するためには、Ni−Ni原子間距
離が4.609オングストロームである炭酸ニッケルを
用いるよりも、Ni−Ni原子間距離が3.126オン
グストロームであるニッケル水酸化物を用いる方が望ま
しいといえる。Niの一部をCoで置換したニッケル−
コバルト水酸化物についても、結晶構造が異なると、合
成過程において中間的に生成する中間生成物の結晶構造
(この場合の生成過程である500〜600℃付近での
結晶構造)も異なることが明らかとなり、更にこれが電
池活物質の放電容量と相関があることが見いだされた。
に相関関係が得られるのは、六方晶の層状構造を有する
LixNiyCozO2(0.90≦x≦1.05、0.7
≦y≦0.9、y+z=1)において、例えばLi原子
層にNiもしくはCo原子が紛れ込むと、充放電反応の
際にLi原子の拡散を阻害し、結果として分極が大きく
なり、放電容量が小さくなることが考えられる。通常、
LixNiyCozO2(0.90≦x≦1.05、0.7
≦y≦0.9、y+z=1)は、650〜850℃で結
晶化を進行させて活物質として取り出すため、最終的に
は非常に結晶化が進行した状態となり、中間生成物の時
に現れた結晶構造の違いはほとんど区別できなくなって
しまう。このため単にLixNiyCo zO2(0.90≦
x≦1.05、0.7≦y≦0.9、y+z=1)の結
晶構造を調べるだけでは活物質の放電容量が小さい原因
を明らかにすることができなかった。
活物質リチウム複合ニッケル−コバルト酸化物、Lix
NiyCozO2(0.90≦x≦1.05、0.7≦y
≦0.9、y+z=1)を合成するためのニッケル−コ
バルト水酸化物は、NivCow(OH)2(0.7≦v≦
0.9、v+w=1)で表され、CuKα線を線源とす
るX線回折における(101)面のピークの半価幅が
1.0゜以下である。さらに、このニッケル−コバルト
水酸化物は、CuKα線を線源とするX線回折における
(101)面のピークと(001)面のピークの積分強
度比(101)/(001)が0.9〜1.2の範囲と
するものである。
H、温度を調整した槽内にニッケル塩水溶液、コバルト
塩水溶液、およびか性アルカリ水溶液をその濃度、流量
を制御しながら連続的に供給し、連続的に槽からオーバ
ーフローする液から生成物を採取することによって物性
を制御することができる。このような、ニッケルとコバ
ルトを水酸化物として共沈させる方法は、ニッケルーカ
ドミウム蓄電池用正極に使用される水酸化ニッケルの製
法として報告がなされている。例えば、特開昭63−1
6556号公報、特開昭63−211563号公報、特
開昭64−42330号公報では、水酸化ニッケルの製
造方法としてpH、温度を調整した槽内にニッケル塩水
溶液、コバルト塩水溶液およびか性アルカリ水溶液をそ
の濃度、流量を制御しながら連続的に供給、採取する方
法が報告されている。
報、特開平5−41212号公報、特開平7−7387
7号公報では、反応槽内にCoを含む多種の金属元素を
共沈法により水酸化ニッケル中に固溶させる方法が報告
されている。しかし、これらの発明におけるCoの添加
は、いずれも水溶液系のニッケルーカドミウム電池もし
くはニッケルー水素吸蔵合金電池等のアルカリ蓄電池の
特性改良が目的であり、以下の理由によって行われてい
る。
iOOHの生成を抑制させる。(例えば M.Oshitani,
K.Takashima, and Y.Matsumara,Proceedings of the S
ymp.on Nickel Hydroxide Electrodes, Volume 90-4 /T
he Electrochemical Soc.,197 (1989) 、特開平5−4
1212号公報) 水酸化ニッケル表面における水素のイオン化速度や、
水酸化ニッケル中のプロトン伝導の促進による利用率、
高率充放電効率の向上。(例えばI.Matsumoto,M.Ikeyam
a,T.Iwaki,Y.Umeo and Y.Ogawa,Denkikagaku,54,159〜1
64 (1986)等)
の役割は、いずれも触媒的作用を目的としており、水酸
化ニッケル結晶マトリックス内での活物質として添加さ
れているわけではない。このため、あまりCo添加量が
増すと逆に活物質の利用率が小さくなるため、通常添加
される量はNivCow(OH)2(v+w=1)において
w≦0.1である場合がほとんどである。また、ニッケ
ル水酸化物のX線構造についても例えば、特開平4−3
28257号公報、特開平5−41213号公報に報告
されているが、基本的にはCoを含まないか含んでいて
も共晶しないCoを添加した例であり、これらの発明は
いずれもアルカリ電池におけるプロトンの移動度の向上
を目的として発明されたものであって、本発明の目的と
は本質的に異なるものである。
的としたものであり、活物質LixNiyCozO2(0.
90≦x≦1.05、0.7≦y≦0.9、y+z=
1)で表されるリチウム複合ニッケル−コバルト酸化物
の合成に原材料として用いるニッケル−コバルト水酸化
物NivCow(OH)2(0.7≦v≦0.9、v+w=
1)の物性を制御したものである。当然のことながらC
oは、活物質の結晶マトリックス中に固溶しており、活
物質として作用するため、前述のアルカリ蓄電池の特性
改善とは全く異なるものである。
ることによりニッケル塩の結晶中にリチウム原子が拡散
する形で進行し、LiNiO2が合成される。本発明にお
けるニッケル−コバルト水酸化物は、ニッケル塩濃度、
コバルト塩濃度、槽温度、攪拌速度、pH等を制御する
ことにより、槽内で生成した微細な結晶が成長する形で
ニッケルーコバルト水酸化物粒子を形成するため、Co
置換量(w値)が0.1以上と大きくても、ニッケルと
コバルトが原子レベルで固溶すると共に、結晶性を制御
することが可能となる。しかも、結晶構造がLixNiy
CozO2と同じ六方晶であるため、リチウム塩と混合し
合成を行っても、原子の配列は維持される。なお、Co
置換量(w値)が0.3を越えると、結晶成長が困難と
なり、多結晶のNivCow(OH)2が生成してしまう。
このためCo置換量は0.1≦w≦0.3であることが
望ましい。また、Co添加方法として合成時に酸化コバ
ルトや炭酸コバルト、水酸化コバルトを添加した場合、
共沈法で得られるような原子レベルでの固溶は実現でき
ず、部分的にLiNiO2やLiCoO2として存在する
ことになるため、容量低下の原因となる。
面のピークの半価幅が1.0゜以下と結晶性が大きいも
のを合成の原材料として用いた場合、この結晶を基本構
造として合成が進行するため、中間生成物における結晶
性も大きく、結果として非常に結晶の乱れの少ない活物
質が容易に合成でき、放電容量の大きい活物質を実現す
ることができる。ただし、NivCow(OH)2(v+w
=1)で表されるニッケル−コバルト水酸化物のCoの
置換量(w値)が0.1以上と大きいものでは、結晶性
を大きくするのは困難であり、(101)面のピークの
半価幅が0.3゜以下のものを製造しようとすると、そ
の生産性が著しく低下する。このため電池用活物質の原
料としてのニッケル−コバルト水酸化物は、本発明の様
にX線回折における(101)面のピークの半価幅が
0.3〜1.0゜の範囲であることが望ましい。
ピークと(001)面のピークの積分強度比(101)
/(001)が0.9〜1.2の範囲であることが望ま
しい。このような本発明のニッケル−コバルト水酸化物
を原料として用いた場合、結晶性が大きく、結晶粒界の
非常に少ないLixNiyCozO2の合成が可能となる。
このような構造を持つNivCow(OH)2(0.7≦v
≦0.9、v+w=1)を合成の原材料としたLixN
iyCozO2(0.90≦x≦1.05、0.7≦y≦
0.9、y+z=1)を用いて二次電池を構成し、充放
電を行った場合、Coを添加することによって結晶の安
定性が向上し、充放電に伴う結晶相の転移がなくなると
共に、結晶のLi層におけるNi原子の混入を激減させ
ることができる。その結果、電池活物質として大きい放
電容量を実現することができる。
に沿って説明する。 《実施例1》図1に本実施例および比較例でニッケル−
コバルト水酸化物を原料として合成した非水電解液二次
電池用活物質の評価に用いた円筒形電池の縦断面図を示
す。耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工した電池ケ
ース1内には、正極板5と負極板6とをセパレータ7を
介して渦巻状に巻回した極板群4が上下に絶縁板8、9
を配して収納されている。電池ケース1の開口部は、安
全弁を設けた組立封口板2および絶縁パッキング3によ
り密封されている。そして、上記正極板5からはアルミ
製正極リード5aが引き出されて封口板2に接続され、
負極板6からはニッケル製負極リード6aが引き出され
て電池ケース1の底部に接続されている。
説明する。負極板6は、黒鉛粉100重量部に、フッ素
樹脂系結着剤10重量部を混合し、カルボキシメチルセ
ルロース水溶液に懸濁させてペースト状にした。そし
て、このペーストを厚さ0.015mmの銅箔の表面に
塗着し、乾燥した後、厚さ0.2mmに圧延し、幅37
mm、長さ280mmの大きさに切り出して負極板とし
た。電解液には、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの等容積
混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム1モル/リットル
(L)の割合で溶解した溶液を用いて極板群4に注入し
た後、電池を密封口し、試験電池とした。
物を用いたリチウム複合ニッケル−コバルト酸化物の製
造法について詳しく説明する。コバルト水酸化物を製造
する析出槽として、容積50Lのタンクを用いた。ニッ
ケル塩水溶液として、金属ニッケル量が40〜60g/
L相当の硫酸ニッケル水溶液を用い、これに、コバルト
がニッケルに対しモル比で5、10、20、30、40
%になるように硫酸コバルトを添加、溶解して硫酸ニッ
ケル−コバルト混合水溶液を調製した。また、か性アル
カリ水溶液として、25重量%の水酸化ナトリウム水溶
液を用いた。
混合水溶液を2〜5L/hの一定流量で導入し、十分攪
拌しながら、水酸化ナトリウム溶液を導入し、生成する
ニッケル−コバルト水酸化物のX線回折における(10
1)面のピークの半価幅が0.75゜になるように反応
槽のpH値、塩濃度、流量を制御した。得られたニッケ
ル−コバルト水酸化物は、水中で水洗し、80℃で乾燥
した。なお、X線回折の測定は、乾燥後の試料をX線回
折分析装置(株式会社リガクのRINT2000型)に
CuKα管球およびグラファイト製モノクロメーターを
使用し、管電圧40V、管電流150A、発散スリット
0.5deg、散乱スリット0.5deg、受光スリッ
ト0.15mm、走査速度1.00deg/min、サ
ンプリングピッチ0.010degの条件で測定を行っ
た。
X線回折図を示した。半価幅の算出は、図3に示したよ
うに、ピークの最大強度の1/2の点を通る直線の幅に
対応する2θ値で算出した。また、ピークの積分強度
は、回折図のバックグラウンドをSonneveldとVisserの
方法によって除去した後、ピークの面積を算出すること
によって算出した(Sonneveld,E.J. and Visser, J.W.
J.Appl. Cryst.8, 1(1975).参照)。また、原子吸光分
析によりA〜Fのニッケル−コバルト水酸化物中に含ま
れるCo量を分析した。以上の条件で作製したニッケル
−コバルト水酸化物の物性を表1に示す。
いて説明する。上記の方法で作製したニッケル−コバル
ト水酸化物A〜Fを、水酸化リチウムと(ニッケル+コ
バルト)が原子比で1.05対1になるように混合し、
酸化雰囲気下において700℃で10時間焼成して活物
質LixNiyCozO2(y+z=1)を合成した。ニッ
ケル−コバルト水酸化物A〜Fから得られた活物質をそ
れぞれ活物質A〜Fとする。合成されたLixNiyCo
zO2は、比較的ほぐれやすい凝集塊状物として得られた
ので、乳鉢を用いて粉砕した。
ず、正極活物質であるLixNiyCozO2(y+z=
1)の粉末100重量部に、アセチレンブラック3重量
部、およびフッ素樹脂系結着剤5重量部を混合し、この
混合物を前記結着剤の溶媒N−メチルー2ーピロリドン
に懸濁させてペースト状にした。このペーストを厚さ
0.020mmのアルミ箔の両面に塗着し、乾燥した
後、厚み0.130mm、幅35mm、長さ270mm
の正極板を作製した。そして正極板と負極板を、セパレ
ータを介して渦巻き状に巻回し、直径13.8mm、高
さ50mmの電池ケース内に収納した。電解液には、炭
酸エチレンと炭酸ジエチルの等容積混合溶媒に、六フッ
化リン酸リチウム1モル/Lの割合で溶解した溶液を用
い、極板群4に注入した後、電池を密封口し、試験電池
とした。上記の活物質A〜Fを用いた電池をそれぞれ電
池A〜Fとする。
を行った。20℃の環境下で120mAの電流で4.2
Vまで充電した後、1時間休止し、その後同様に120
mAの電流で3Vまで放電した。この方法で充放電を3
回繰り返し、3回目の放電容量を電池内に含有されるリ
チウム複合ニッケル−コバルト酸化物の重量で割ること
により活物質の比容量(mAh/g)を算出した。表2
に、電池A〜Fの活物質の比容量を示す。
いない活物質を用いた電池AやCo置換量の少ない活物
質を用いた電池Bは、充放電の際に前述したような結晶
相変化が観察され、分極が大きくなり活物質の比容量が
著しく小さいことがわかった。これに対し電池C〜Eの
リチウム複合ニッケル−コバルト酸化物は、いずれも利
用率が170mAh/g以上を示し、良好な結果が得ら
れた。これはNiの一部をCoで置換することによっ
て、結晶相の変化が著しく緩和されたためである。
る活物質を用いた電池Fでは、Coが安定にニッケル−
コバルト水酸化物の結晶層内に存在することが困難とな
り、表1に示したように(101)面の半価幅が1.0
゜より大きくなり、結晶性が小さくなった。そして、合
成されたリチウム複合ニッケル−コバルト酸化物におい
て、Li層にNi原子が混入し比容量が低下すると共
に、さらにはこのような共沈法を用いてもニッケルとコ
バルトが均一に分散されておらず、部分的にLiNiO
2とLiCoO2の混合物になっているものと考えられ
る。このため、Coが十分置換されていない部分におい
て、前述の結晶相変化により結晶構造が破壊され、放電
容量が低下したものと考えられる。以上の結果より、リ
チウム複合ニッケル−コバルト酸化物の原料としてのニ
ッケル−コバルト水酸化物は、NivCow(OH)
2(0.7≦v≦0.9、v+w=1)で表されるニッ
ケル−コバルト水酸化物を用いた場合に、放電容量の大
きい非水電解液二次電池が得られる。
ケルに対するコバルトがモル比で20%になるように硫
酸コバルトを添加、溶解して硫酸ニッケル−コバルト混
合水溶液を調製した。この硫酸ニッケル−コバルト混合
水溶液を容積50Lの析出槽へ一定流量で導入し、槽内
温度を50℃に保ち、十分攪拌しながら、25重量%の
水酸化ナトリウム水溶液を導入し、反応槽のpH値、流
量を制御し、表3に示す種々の(101)面の半価幅の
値を持つニッケル−コバルト水酸化物を生成させ、水
洗、乾燥した。得られたニッケル−コバルト水酸化物の
Co含量はほぼw=0.2であった。こうして作製した
ニッケル−コバルト水酸化物の物性を表3に示す。
としてリチウム複合ニッケル−コバルト酸化物を合成す
る他は全て実施例1と同様にして電池を作製した。ニッ
ケル−コバルト水酸化物G〜Kを原料とした酸化物を用
いた電池をそれぞれ電池G〜Kとする。表4に、電池G
〜Kの活物質の比容量を調べた結果を示す。
化物のX線回折における(101)面のピークの半価幅
と、(101)面のピークと(001)面のピークの積
分強度比(101)/(001)は相関関係があり、ど
ちらも物性を評価する基準として重要であることがわか
る。(101)面ピークの半価幅が1.0゜よりも大き
く、ピークの積分強度比(101)/(001)が0.
9よりも小さいものを原料とした活物質を用いた電池G
は、出発原材料であるニッケル−コバルト水酸化物の結
晶性が小さいため、反応過程で生成する中間生成物の結
晶性も同様に低く、結果として得られた活物質の比容量
も160mAh/g以下と小さくなった。
ークの半価幅が0.3〜1.0゜の範囲にあるものを原
料とした活物質を用いた電池H〜Jでは、活物質の比容
量が170mAh/g以上と良好な特性が得られた。
(101)面のピークの半価幅が0.3よりも小さい電
池Kは、放電比容量が168mAh/gと活物質として
は十分な性能を示した。しかし、このように半価幅を小
さくするためには、ニッケル−コバルト水酸化物の生成
速度をかなり小さくすることが必要となるため、工業的
には不向きであった。よって半価幅が0.3以上である
ことが望ましい。同様にX線回折における(101)面
のピークと(001)面のピークの積分強度比(10
1)/(001)が0.9〜1.2の範囲であることが
望ましい。
ト水酸化物を生成する方法として、硫酸塩水溶液を用い
たが、他の塩、例えば塩化物などを用いたり、アンモニ
ウム塩などの錯化剤等を添加しても、得られるニッケル
−コバルト水酸化物の物性が同様であれば同様の効果が
得られる。また、上記実施例においては、円筒型の電池
を用いて評価したが、角型やコイン型など電池形状が異
なっても同様の効果が得られる。さらに、上記実施例に
おいて、負極には炭素質材料を用いたが、本発明におけ
る効果は正極板において作用するため、リチウム金属
や、リチウム合金、Fe2O3、WO2、WO3等の酸化物
など、他の負極材料を用いても同様の効果が得られる。
六フッ化リン酸リチウムを使用したが、他のリチウム含
有塩、例えば過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウ
ム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、六フッ化
ヒ酸リチウムなどでも同様の効果が得られる。さらに、
上記実施例では、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの混合溶
媒を用いたが、他の非水溶媒例えば、プロピレンカーボ
ネートなどの環状エステル、テトラヒドロフランなどの
環状エーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル、
プロピオン酸メチルなどの鎖状エステルなどの非水溶媒
や、これらの多元系混合溶媒を用いても同様の効果が得
られる。
によるX線回折による結晶性を制御したニッケル−コバ
ルト水酸化物は、放電容量の大きい優れた非水電解液二
次電池を与える正極活物質リチウム複合ニッケル−コバ
ルト酸化物を提供することができる。
である。
酸化物のX線回折図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 非水電解液電池活物質LixNiyCoz
O2(0.90≦x≦1.05、0.7≦y≦0.9、y
+z=1)で表されるリチウム複合ニッケルーコバルト
酸化物の合成に原材料として用いるニッケル−コバルト
水酸化物であって、NivCow(OH)2(0.7≦v≦
0.9、v+w=1)で表され、CuKα線を線源とす
るX線回折における(101)面のピークの半価幅が
1.0゜以下であることを特徴とする非水電解液電池活
物質用ニッケルーコバルト水酸化物。 - 【請求項2】 ニッケル−コバルト水酸化物は、CuK
α線を線源とするX線回折における(101)面のピー
クの半価幅が0.3〜1.0゜の範囲である請求項1記
載の非水電解液電池活物質用ニッケルーコバルト水酸化
物。 - 【請求項3】 ニッケル−コバルト水酸化物は、CuK
α線を線源とするX線回折における(101)面のピー
クと(001)面のピークの積分強度比(101)/
(001)が0.9〜1.2の範囲にある請求項1記載
の非水電解液電池活物質用ニッケルーコバルト水酸化
物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US11365130B2 (en) | 2016-10-31 | 2022-06-21 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Positive electrode active material precursor for lithium secondary battery, and method for manufacturing positive electrode active material for lithium secondary battery |
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- 1996-04-01 JP JP07911596A patent/JP3954668B2/ja not_active Expired - Lifetime
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