JPH09266758A - 加熱溶き卵様食品の製造法及び加熱溶き卵様食品用素材 - Google Patents

加熱溶き卵様食品の製造法及び加熱溶き卵様食品用素材

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JPH09266758A
JPH09266758A JP8075526A JP7552696A JPH09266758A JP H09266758 A JPH09266758 A JP H09266758A JP 8075526 A JP8075526 A JP 8075526A JP 7552696 A JP7552696 A JP 7552696A JP H09266758 A JPH09266758 A JP H09266758A
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JP
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food
egg
weight
beaten
heated
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Application number
JP8075526A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Nakamori
俊宏 中森
Nozomi Harada
望 原田
Hideo Sugano
秀夫 菅野
Toshiaki Saito
俊明 西東
Motohiko Hirotsuka
元彦 廣塚
Masaya Watanabe
正弥 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Oil Co Ltd
Original Assignee
Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低コレステロールかつカルシウムを含む植物性
の丼物のトッピング、茶碗蒸し、卵焼き等の溶き卵を加
熱した様な食品を目的とした。 【解決手段】(1)アルカリ土類金属存在下に加熱され
た大豆蛋白溶液に多糖類を加えて溶液乃至分散液となし
凍結することを特徴とする加熱溶き卵様食品の製造法。
(2)大豆蛋白0.1〜35重量%、粗蛋白に対してカ
ルシウムを0.01〜5重量%及び海藻由来の多糖類及
びガム質の内から選ばれた1種又は2種以上を0.1重
量%〜1.8重量%、水分40〜95重量%及び残余の
食品添加物を含み、凍結されていることを特徴とする加
熱溶き卵様食品用素材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、卵を利用した丼も
のとか、卵焼きのような溶き卵を加熱して製造した食品
様のものを大豆蛋白質を用いて提供するものである。
【0002】
【従来の技術】卵は広範囲に渡り食品に利用されてい
る。例えば。親子丼等に具材を包んたり、卵焼き等に卵
独特のテクスチャーが利用されている。
【0003】しかし。卵は卵白のみならす卵黄も含み、
卵黄はコレステロールを含み近年の低コレステロール食
品の要望にはそぐわない。又、卵白も卵黄もカルシウム
を含まないことは牛乳等に比べてカルシウムを摂取でき
る食品としては適していない。
【0004】一方、大豆蛋白を用いて丼物のトッピング
や卵焼き等の卵加熱様食品を製造することは知られてい
ない。
【0005】
【発明が解決する課題】そこで、本発明者等は低コレス
テロールかつカルシウムを含む植物性の丼物のトッピン
グ、茶碗蒸し、卵焼き等の溶き卵を加熱した様な食品を
目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、大豆蛋白とカルシウムのよ
うなアルカリ土類金属とキサンタンガムのようなガム質
やカラギーナン等の海藻由来の多糖類等を含む多糖類を
用い凍結組織化し、必要により加熱したものが目的の丼
物の具材を包んだ玉丼のような物性とか卵焼きのような
物性を示す知見を得て本発明を完成する到った。
【0007】即ち、本発明は、アルカリ土類金属存在下
に加熱された大豆蛋白溶液に多糖類を加えて溶液乃至分
散液となし凍結することを特徴とする加熱溶き卵様食品
の製造法である。又、本発明は、大豆蛋白0.1〜35
重量%、粗蛋白に対してカルシウムを0.01〜5重量
%及び海藻由来の多糖類及びガム質の内から選ばれた1
種又は2種以上を0.1重量%〜1.8重量%、水分40
〜95重量%及び残余の食品添加物を含み、凍結されて
いることを特徴とする加熱溶き卵様食品用素材である。
【0008】
【発明の実施の形態】先ず、加熱溶き卵様食品の製造法
について説明する。
【0009】本発明に用いる大豆蛋白溶液は大豆, 脱脂
大豆等から抽出した大豆蛋白(豆乳、酸沈殿蛋白, 濃縮
大豆蛋白, 分離大豆蛋白等)を溶液にしたものである。
溶液とは、大豆蛋白が沈澱を生じてない状態をいい、溶
液状態、分散状態或いは高濃度の場合はペースト状態の
ものも含む意味である。
【0010】本発明に用いる大豆蛋白溶液は予め40℃
以上の予備加熱を受けていることが必要である。後にア
ルカリ土類金属を加えて加熱して凍結して組織化する際
に、この予備加熱をしていると加熱溶き卵様食品の食感
や組織を醸し出すのに好適である。市販の分離大豆蛋白
等のように粉末状のものは製造工程で殺菌等の加熱処理
を受けているのでそのまま利用することが出来るが、生
の大豆から実験的に抽出した分離大豆蛋白溶液では加熱
処理を受けていないので、アルカリ土類金属や多糖類を
添加する前に予め40℃以上の加熱処理委を行う必要が
ある。
【0011】本発明の大豆蛋白溶液は0.1%〜35重
量%の濃度となすことが出来る。濃度が低いと次工程で
凍結しても目的とする加熱溶き卵様食品の組織や食感を
形成することが困難であり、高すぎるち大豆蛋白溶液を
たとえスラリー状にしても流動状に保つことが困難とな
り丼物の卵様等の卵加熱食品の物性或いは組織を形成す
ることが困難である。
【0012】本発明に用いるアルカリ土類金属は水系下
でイオンに解離するアルカリ土類金属塩として用いるこ
とが出来る。アルカリ土類金属としてはカルシウム、マ
グネシウム等のアルカリ土類金属を用いることが出来
る。これらアルカリ土類金属は1種又は複数種組み合わ
せて用いることが出来る。実用的観点及び風味等の観点
からカルシウムが好ましい。カルシウムは, 塩化カルシ
ウム, 水酸化カルシウム, 硫酸カルシウム等カルシウム
化合物であればいずれのカルシウムでも用いることがで
きる。また、これらのカルシウムの数種を併用すること
もできる。また、前述のようにカルシウム以外のアルカ
リ土類金属イオンと併用することができる。
【0013】本発明の大豆蛋白溶液は、粗蛋白に対し
0.01〜5.0重量%、好ましくは0.1〜1.5重
量%、更に好ましくは0.2〜1.0重量%のアルカリ
土類金属を含むことが出来る。アルカリ土類金属の量が
少なすぎると本発明の加熱溶き卵様食品を解凍したとき
ペースト状に溶けて保形性がなくなる。又、多すぎると
硬くなりすぎて高野豆腐のようになる。このように、ア
ルカリ土類金属の量によって本発明の加熱溶き卵様食品
の物性の強度を調節することができる。
【0014】本発明に用いる多糖類は吸水性と保形性を
与えるものであって、寒天、アルギン酸ソーダ、カラギ
ーナン等の海藻関連物質、各種ペクチン、ビスコース、
メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロ
ース関連物質、ファ−セレラン、グァーガム、ローカス
トビーンガム、タマリンド種子多糖類、タラガム、アラ
ビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、キ
サンタンガム、プルラン、ジェランガム、トロロアロイ
ー、コンニャク、ムコ多糖類、カードラン等のガム質、
その他トレハロース等の内から選ばれた1種又は2種以
上を併用することが出来る。例えば、海藻関連物質やガ
ム質が吸水性と保形性に優れ適当である。
【0015】多糖類は、大豆蛋白溶液中、通常0,1重
量%以上用いることが出来る。例えば、海藻関連物質や
ガム質を用いた場合、大豆蛋白溶液に対して通常0.1
重量%〜1.8重量%、好ましくは0.2重量%〜1.2
重量%用いることが出来る。多糖類は、大豆蛋白溶液の
濃度が低いほど多く必要であり、大豆蛋白溶液の濃度が
高いほど少なくて済む。
【0016】多糖類の添加量が少ないと凍結組織化した
後解凍すると固い食感になり、喉通りの良い滑らかさが
失われ、離水が生ずる。多糖類の添加量が増加するにつ
れ離水はなくなり保形性に優れるものとなる。又、多糖
類の添加量が多すぎると凍結組織化された組織が層状或
いは繊維状であるものがだんだん組織化が細かくなり豆
腐のような状態になる傾向にあるので通常大豆蛋白溶液
に対して2%未満とすることが出来る。
【0017】本発明の多糖類には澱粉は含まない。しか
し、澱粉を併用することができ、特に加工澱粉の併用は
好ましい。
【0018】本発明の加熱処理は大豆蛋白溶液の凍結組
織化による加熱溶き卵様食品の食感或いは組織の形成を
促進させる為少なくともアルカリ土類金属存在下に予め
60℃以上で1秒間以上、好ましくは80℃〜160℃
で1秒間以上加熱することが適当である。
【0019】又、凍結の前に人参、葱の野菜類、椎茸等
の茸類 ひじき等の海藻類 蟹 海老等の魚介類 その
他食用の具を混合することが出来る。具の変化により加
熱溶き卵様食品のバライティー化を図ることが出来る。
調味料、着色料、着香料、その他の食品添加物を用いる
ことも自由である。
【0020】又、油脂を用いて大豆蛋白溶液を大豆蛋白
エマルジョンとすることも出来る。油脂は動植物由来の
油脂、これらの水添油脂、分別油脂、エステル交換油脂
等特に制限しない。
【0021】その他グルコノデルタラクトン等を添加し
て硬さを調節することも出来る。本発明の凍結は、大豆
蛋白溶液を凍結することにより一見ゲル状の保形性を有
し薄膜が幾重にも重なったような組織化を促進して加熱
溶き卵様食品の食感を醸し出すものである。
【0022】凍結の態様は緩慢凍結乃至急速凍結を利用
出来、緩慢凍結や急速凍結を利用することにより加熱溶
き卵様食品の食感や組織を変化させることが出来る。
【0023】凍結する際に、大豆蛋白溶液は溶液状態で
あること、換言すれば豆腐のような不溶状態でないこと
が重要である。従って、豆腐のようにカード状の不溶化
した「ご」や豆腐を凍結しても網目状の組織にはなって
も本願のような丼物の卵を加熱したような滑らかで喉通
りの良い加熱溶き卵様食品或いは卵焼きのような加熱溶
き卵様食品にはならない。但し、椎茸や野菜類のような
添加物が溶液状態である必要はない。
【0024】以上のように凍結したままで流通・販売
し、消費者が電子レンジ等で加熱・解凍して食すること
が出来る。
【0025】凍結品の解凍は、前記のように凍結して保
形性を持たせた後に解凍することをいう。
【0026】解凍は解凍出来る温度に放置したり、恒温
庫内に放置する等緩慢解凍する場合は低温で、急速解凍
するときは高温下やマイクロウエーブ等の高エネルギー
を与えて解凍することができる。
【0027】前述したように多糖類を含むことにより解
凍しても離水がなく保形性に優れるのでこのまま加熱し
続け組織を更に強固にすると同時に味等を固定すること
が出来る。又、多糖類の利用により滑らかさを加熱溶き
卵様食品に与えるだけでなく、高水分でも離水せず保水
性に富むのでよりいっそうの滑らかな加熱溶き卵様食品
を可能にした。
【0028】本発明の加熱は、単に冷凍状態から解除す
るとともに、過剰の熱を加えることで組織の熱変性を誘
導し、より保形性の強いものとする事が出来る。加熱温
度は形成された組織が固定する程度(通常は80℃以
上)で充分である。例えば、丼物の卵であれば100℃
前後の煮沸で、卵焼きであれば100℃以上の焼成を利
用することができる。マイクロ波加熱の場合は照射時間
で加熱の程度を調節することが出来る。但し、解凍後に
プレス脱水等して水分を少なくして加熱すると組織が強
固になりすぎて肉様の食感になるのでプレス脱水は避け
るほうが良い。
【0029】以上のように凍結され、解凍され、調味さ
れて再度凍結された状態で流通、販売することが出来、
食する際に電子レンジ等で加熱解凍して利用することが
出来る。
【0030】しかし、通常、前記凍結したもの、即ち解
凍・加熱しない状態のものを加熱溶き卵様食品用素材と
して流通・販売することも出来、利用者が食する際に電
子レンジやオーブンレンジ等で加熱・調理することによ
り加熱溶き卵様食品とすることが出来る。
【0031】かかる加熱溶き卵様食品用素材について以
下説明する。即ち、本発明は、大豆蛋白0.1〜35重
量%、粗蛋白に対してカルシウムを0.01〜5重量%
及び海藻由来の多糖類及びガム質の内から選ばれた1種
又は2種以上を0.1重量%〜1.8重量%、水分40〜
95重量%及び残余の食品添加物を含み、凍結されてい
ることを特徴とする加熱溶き卵様食品用素材、である。
【0032】本発明の加熱溶き卵様食品用素材は大豆蛋
白を0.1〜35重量%、好ましくは10重量%〜20
重量%含むことが適当である。解凍・加熱されて加熱溶
き卵様食品の組織を形成する為に必要である。
【0033】大豆蛋白の種類は前述のものを利用するこ
とができる。本発明の加熱溶き卵様食品用素材は粗蛋白
に対してカルシウムを0.01〜5重量%、好ましくは
0.2〜1重量%含むことが適当である。解凍・加熱さ
れて加熱溶き卵様食品の溶き卵加熱様の食感や組織を形
成する為に必要である。
【0034】カルシウムの種類は前述のものを利用する
ことができる。本発明の加熱溶き卵様食品用素材は海藻
由来の多糖類及びガム質の内から選ばれた1種又は2種
以上を0.1重量%〜1.8重量%、好ましくは0.2〜
1.2重量%含むことが適当である。解凍・加熱されて
加熱溶き卵様食品の溶き卵加熱様の食感や組織を形成す
る為に必要である。
【0035】多糖類の種類は前述のものを利用すること
ができる。又、海藻由来の多糖類やガム質の種類により
加熱溶き卵様食品の組織や食感を変化させることが出来
る。例えば、丼物のトッピングや茶碗蒸しの食感を醸し
出すにはキサンタンガム等のガム質が適しており、卵焼
きの食感を醸し出すにはカラギーナン等の海藻由来の多
糖類が適していると云った具合である。
【0036】キサンタンガム等のガム質やカラギーナン
等の海藻由来の多糖類少ないと離水することが有り、多
すぎると豆腐に似た食感となり滑らかさが失われる傾向
にある。
【0037】残余は水分や調味液、その他の食品添加物
或いは必要により野菜等の具材とすることが出来る。目
的とする加熱溶き卵様食品により残余の調味料や野菜等
の具材を選択することが出来る。本発明の加熱溶き卵様
食品用素材中の水分は水分40〜95重量%とすること
が出来る。水分が少な過ぎると滑らかさを醸し出すこと
が困難であり、多すぎても離水することなどがあり商品
価値が損なわれる。
【0038】本発明の加熱溶き卵様食品用素材は凍結品
として流通販売することが出来、前述のように家庭等で
消費者が加熱して加熱溶き卵様食品となして食すること
が出来る。
【0039】以上のようにして得られる加熱溶き卵様食
品は、植物性であり卵のようにコレステロールを含ま
ず、又、カルシウムも含むのでヘルシーな食品とするこ
とが出来るものである。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施態様を説明
する。 実施例1 (ガム質の配合比率と食感)脱脂大豆をその12倍(重
量比)の水で抽出して得られた豆乳に塩酸を加え、pH
を4.5に調整して酸沈殿大豆蛋白を得た。次いで、水
を加えて蛋白濃度12重量%に調整した酸沈殿大豆蛋白
水溶液に、1.56%の水酸化カルシウム,0.4%塩
化カルシウムを加え、水酸化ナトリウムでpH6.5に
中和し粗蛋白10%の大豆蛋白溶液を得た。
【0041】粗蛋白100重量%に対し、大豆油を50
重量%、更に加工澱粉「サームフロー」(王子ナショナ
ル(製)製)を5重量%加え、常法により乳化しこれを
140℃で15秒間加熱し蛋白溶液(以下、「Ca蛋白
溶液」という)を得た。
【0042】得られたCa蛋白溶液を品温10℃以下に
冷却し、調味料(砂糖,醤油等)5%をCa蛋白溶液に
対し加えた。人参、椎茸、蟹肉、ねぎ等も適量加えた。
【0043】更に、Ca蛋白溶液に対しキサンタンガム
を表1の量だけ加え、次いでグルコノデルタラクトン
(以下、「GDL」という)を0.3重量%加えた溶液
を直径70mmの円形ポリエチレン容器に30g流し込
んだ。
【0044】
【表1】 ------------------------------------------- No. キサンタンガムの添加量(重量%) ------------------------------------------- 1. 0 2. 0.2 3. 0.4 4. 0.8 5. 1.2 6. 1.5 7. 2.0 ------------------------------------------- 次いで、−25℃で5時間かけて凍結した。
【0045】解凍し加熱(80℃で30分間)したもの
の保形性,離水,食感を表2に示す。
【0046】
【表2】 ------------------------------------------- No. 離水 保形性 食感 ------------------------------------------- 1. 有り ブヨブヨ 卵状 2. 若干有り ブヨブヨ 卵状 3. 無し 良好 卵状 4. 無し 良好 卵状 5. 無し 良好 卵状 6. 無し 良好 卵状 7. 無し 良好 豆腐様 ------------------------------------------- 卵状食感は一見卵丼のトッピング部分の食感を呈し、よ
く見ると薄い膜状のものが幾重にも重なったような積層
状構造を有していた。
【0047】キサンタンガムが少ない場合は、解凍後に
離水が発生し、保形性が弱くなった。また、キサンタン
ガムが多すぎると豆腐ゲル様に近い構造になった。
【0048】更に、表2のNo.2〜No.6の凍結品をごは
ん(130g程度)に載せ、適当なだし液を添加し家庭
用電子レンジで5〜6分間加熱すると丼状の食品が出来
上がった。これは卵の様にほぐれ、卵丼を感じさせる口
溶け及び喉通りの良好なものであった。卵のようにほぐ
れるのは前述の薄い膜状のもののような積層状構造が積
層のある部位で剥がれるようにほぐれることによると思
われる。 実施例2 (カルシウムの添加量と物性)脱脂大豆をその12倍
(重量比)の水で抽出して得られた豆乳に塩酸を加え、
pHを4.5に調整して酸沈殿大豆蛋白を得た。次い
で、水を加えて蛋白濃度12重量%に調整した酸沈殿大
豆蛋白水溶液に、表3のごとくCaを加え、水酸化ナト
リウムでpH6.5に中和し粗蛋白10%の大豆蛋白溶
液を得た。
【0049】粗蛋白100重量%に対し、大豆油を50
重量%、更に加工澱粉「サームフロー」(王子ナショナ
ル(製)製)を5重量%加え、常法により乳化しこれを
140℃15秒間加熱しCa蛋白蛋白溶液を得た。
【0050】得られたCa蛋白溶液を品温10℃以下に
冷却し、調味料(砂糖,醤油等)5%をCa蛋白溶液に
対し加えた。人参、椎茸、蟹肉、ねぎ等も適量加えた。
【0051】更に、Ca蛋白溶液に対しキサンタンガム
を0.8%重量だけ加え、次いでグルコノデルタラクト
ン(以下、「GDL」という)を0.3重量%加えた溶
液を直径70mmの円形ポリエチレン容器に30g流し
込んだ。
【0052】
【表3】 ------------------------------------------------ No. Caの添加量(重量%) ------------------------------------------------ 1. 0.05%塩化Ca+0.2%水酸化Ca 2. 0.1%塩化Ca+0.4%水酸化Ca 3. 0.2%塩化Ca+0.8%水酸化Ca 4. 0.4%塩化Ca+1.6%水酸化Ca 5. 0.8%塩化Ca+3.2%水酸化Ca 6. 1.2%塩化Ca+4.8%水酸化Ca ------------------------------------------------ 次いで、−25℃で5時間かけて凍結した。
【0053】解凍し加熱(80℃で30分間)したもの
の保形性,離水,組織状態を表4に示す。
【0054】
【表4】 --------------------------------------------- No. 離水 保形性 組織状態 --------------------------------------------- 1. 無し ブヨブヨ 丼の卵状 2. 無し ブヨブヨ 丼の卵状 3. 無し 良好 丼の卵状 4. 無し 良好 丼の卵状 5. 無し やや固い 丼の卵状 5. 若干離水有り 固い スポンジ状 --------------------------------------------- 丼の卵状とは前述のように加熱した溶き卵のように滑ら
かで弱い層状構造であって丼の卵状の部分の食感を有す
るものを云い、決して肉様の硬くしっかりした組織とは
異なる組織である。スポンジ状とは高野豆腐のような状
態の組織をいう。
【0055】Caが少ない場合は、解凍後に保形性が弱
くなった。また、Caが多すぎると高野豆腐に近い構造
になった。
【0056】更に、この凍結品をごはん(130g程
度)に載せ、適当なだし液を添加し家庭用電子レンジで
5〜6分間加熱するこで丼状の食品が出来上がった。こ
れは溶き卵の加熱物の様にほぐれ、卵丼を感じさせる口
溶け及び喉通りの良好なものであった。 実施例3 (粉末状大豆蛋白を原料にした場合の製造方法)粉末状
大豆蛋白「サンラバー10」(不二製油(株)製)を
4.9重量%、同「サンラバー50」(不二製油(株)
製)を0.7重量%、同「プロリーナ300」(不二製
油(株)製)を3.3重量%に市販パーム油を1.0重量
%添加し、常法により乳化しこれを90℃で5分間加熱
し、ついで硫酸Ca0.175重量%添加しCa蛋白溶
液を得た。
【0057】得られたCa蛋白溶液を品温10℃以下に
冷却し、調味料(砂糖,醤油等)5%をCa蛋白溶液に
対し加えた。人参、椎茸、蟹肉、ねぎ等も適量加えた。
【0058】更に、Ca蛋白溶液に対しキサンタンガム
を0.8%重量だけ加えた溶液を直径70mmの円形ポ
リエチレン容器に30g流し込んだ。
【0059】次いで、−25℃で5時間かけて凍結し
た。更に、この凍結品をごはん(130g程度)に載
せ、適当なだし液を添加し家庭用電子レンジで5〜6分
間加熱するこで丼状の食品が出来上がった。これは卵の
様にほぐれ、卵丼を感じさせる口溶け及び喉通りの良好
なものであった。 実施例4 (玉子焼き様食品の製造法)実施例1と同様にして得ら
れたCa蛋白溶液を品温10℃以下に冷却し、実施例1
のキサンタンガムに代えて、カラギーナンを0.8重量
%用い、調味料(砂糖,醤油等)5%をCa蛋白溶液に
対し加えた。さらに、ツナ,玉ネギ,マヨネーズ等を適
量加えた。これにGDLを添加し実施例1と同じ様にし
て凍結した。これを直接、バターを敷いたフライパンで
約3分間加熱した後、レタスなどといっしょにハンバー
グ用のパンにはさんだ。これを食すると食感は柔らかい
卵焼きを感じさせるものであり喉通りの良好なものであ
った。 実施例5 (ピザ用植物性フィリングの製造方法)実施例2と同様
にして得られた冷凍食品をピザ生地にのせ、オープンで
5〜6分間焼くことでピザ様のフィリングとなった。こ
の食感は卵焼きを感じさせるものであり喉通りの良好な
ものであった。 実施例6 (茶碗蒸し様食品の製造方法)実施例1と同様にして得
られたCa蛋白溶液を品温10℃以下に冷却し、実施例
1と同様にキサンタンガム0.8重量%添加し、さらに
卵黄色をだすためクチナシ色素(三栄源エフエフアイ
(株)サンエローNo.1732)を0.25重量%添加し、GD
Lを0.3重量%添加した。これに調味料(砂糖,醤油
等)5%をCa蛋白溶液に対し加え、最後に椎茸、海
老、ぎんなん、かまぼこ、とりのささ身等を適量添加し
た。こうして得られた溶液を茶碗蒸し容器に150g流
し込んで、−25℃で5時間かけて凍結した。これを蒸
し器で80℃30分間加熱すると玉子様の食感をもつ食
品が出来上がった。
【0060】
【効果】本発明によりコレステロールが極めて低くかつ
カルシウム等のアルカリ土類金属を含む植物性の加熱溶
き卵様食品(丼物のトッピング、茶碗蒸し、卵焼き等)
が可能になったものである。本発明の加熱溶き卵様食品
はカルシウム等のアルカリ土類金属を含んで凍結処理を
受けているにも拘わらず豆腐や凍豆腐のような荒い食感
ではなく卵のような滑らかで喉通りの良い食感を有する
ものである。又、本発明の加熱溶き卵様食品用素材は冷
凍品として流通・販売でき、家庭等で電子レンジやオー
ブンレンジ等で加熱するだけで丼物、茶碗蒸し、卵焼き
等の加熱溶き卵様食品となすことが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西東 俊明 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南工場内 (72)発明者 廣塚 元彦 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南工場内 (72)発明者 渡辺 正弥 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ土類金属存在下に加熱された大豆
    蛋白溶液に多糖類を加えて溶液乃至分散液となし凍結す
    ることを特徴とする加熱溶き卵様食品の製造法。
  2. 【請求項2】大豆蛋白溶液の粗蛋白に対してカルシウム
    を0.01重量%〜5重量%加える請求項1の製造法。
  3. 【請求項3】大豆蛋白溶液に対して海藻由来の多糖類及
    びガム質の内から選ばれた1種又は2種以上を0.1重
    量%〜1.8重量%添加する請求項1又は請求項2の製
    造法。
  4. 【請求項4】大豆蛋白0.1〜35重量%、粗蛋白に対
    してカルシウムを0.01〜5重量%及び海藻由来の多
    糖類及びガム質の内から選ばれた1種又は2種以上を
    0.1重量%〜1.8重量%、水分40〜95重量%及び
    残余の食品添加物を含み、凍結されていることを特徴と
    する加熱溶き卵様食品用素材。
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