JPH09265304A - 制御装置および情報記録再生装置 - Google Patents

制御装置および情報記録再生装置

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JPH09265304A
JPH09265304A JP8135562A JP13556296A JPH09265304A JP H09265304 A JPH09265304 A JP H09265304A JP 8135562 A JP8135562 A JP 8135562A JP 13556296 A JP13556296 A JP 13556296A JP H09265304 A JPH09265304 A JP H09265304A
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博明 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性を保持したまま、追従精度の向上と広
帯域化との双方を満足させる制御装置を提供する。 【解決手段】 アクチュエータ2は、与えられた操作量
Sdに基づいて、信号再生素子1を移動させる。誤差検
出器3は、所望のトラックと該信号再生素子1との相対
位置誤差を検出する。駆動回路4は、誤差検出器3の出
力から、アクチュエータ2への操作量を算出し、加算器
5へ伝える。一方、アクチュエータ2の特性を電気的に
模擬するアクチュエータ模擬回路6は、上記操作量Sd
から、アクチュエータ2の位置を推定する。さらに、追
従目標推定器7は、上記アクチュエータ模擬回路6およ
び誤差検出器3の出力から、トラック曲がりを推定し、
フィードフォワードゲイン8を介して、加算器5へフィ
ードフォワードする。加算器5は、この結果、算出され
た操作量Sdをアクチュエータ2へ与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広帯域で高精度な
制御を可能とする制御装置、および、例えば、磁気記録
再生装置など、この制御装置を備えた情報記録再生装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の情報記録再生装置においては、高
密度化が著しく、トラック幅の狭小化が進んでいる。狭
小化したトラックから信号を再生する場合、信号再生素
子の中心がトラックの中心からずれるトラッキングずれ
の影響が顕著に現れ、十分な再生出力が得られなくなる
虞れがある。このトラッキングずれの原因の一つとし
て、記録媒体上のトラックが、理想的な形状からずれて
いることが挙げられる。
【0003】例えば、回転ヘッド型磁気テープ装置にお
いては、トラック幅の中心線は、理想的には、直線であ
るべきだが、信号記録時における回転ドラムの偏心、磁
気テープの走行状態、固定ドラムのリードの直線性など
の影響により、実際の中心線は、直線から、ずれた形状
をしている。また、セクタサーボ方式の磁気ディスク装
置においては、ディスク上の位置情報が予めサーボトラ
ックライタによって記録される。ところが、サーボトラ
ックライタの振動やディスクの振動などの影響によっ
て、実際には、ディスクに記録された位置情報は、正確
な円を描いていない。したがって、該位置情報に基づい
て記録されたトラックもトラック幅の中心線が真円か
ら、ずれた形状をしている。さらに、磁気信号や光信号
がプリフォーマットされたディスクを用いたディスク装
置では、装置へのディスクの取付けの影響により、トラ
ック幅の中心線は、偏心成分を持つ。以下では、記録媒
体の種類や形状に関わらず、理想的な形状に対するトラ
ック幅の中心線のずれをトラック曲がりと総称する。
【0004】また、一般に、トラック曲がりは、通常基
本周波数ftrを持っており、この周波数成分の寄与が最
も大きい。上記基本周波数ftrは、例えば、回転ヘッド
型磁気テープ装置では、磁気テープへの磁気ヘッドの突
入から退出までの時間間隔に相当し、プリフォーマット
されたディスクを用いたディスク装置においては、ディ
スクの回転周波数に相当する。
【0005】ここで、トラック曲がりの一例として、図
47に、回転ヘッド型磁気テープ装置によって記録され
たトラックを示す。図中、一点鎖線で示すように、トラ
ックの中心線は、蛇行しており、図中、実線で示す理想
的な形状から外れている。したがって、磁気ヘッドのト
ラック走査時刻t1からt5におけるトラック曲がりT
rは、図48のように示される。
【0006】トラック幅が狭くなるにつれて、許容され
るトラッキング誤差の範囲は狭くなるので、要求される
トラッキング精度を確保するために、信号再生素子をト
ラック幅方向に変位可能なアクチュエータに搭載し、信
号再生素子をトラックに追従させるダイナミックトラッ
キング技術が従来より用いられている。
【0007】図49の制御ブロック図に示すように、ダ
イナミックトラッキング技術を適用した従来の情報記録
再生装置において、誤差検出器101は、信号再生素子
102の再生信号から、該信号再生素子102の中心線
とトラックの中心線との相対位置誤差を検出し、誤差信
号Errとして出力する。
【0008】この誤差検出器101は、等価的に、信号
再生素子102の位置Xとトラック曲がりTrとを比較
する比較器101aと、比較結果である相対位置誤差X
errを電圧レベルに変換する誤差検出ゲイン101b
とで表現できる。なお、実際には、上記誤差検出器10
1は、両回路101a・101bを備えているわけでは
なく、例えば、ディスク装置におけるセクタサーボ方式
などを用いて、信号再生素子102の再生信号から上記
誤差信号Errを直接検出している。したがって、誤差
検出器101は、トラック曲がりTrおよび位置Xをそ
れぞれ単独には検出できない。
【0009】さらに、駆動回路103は、上記誤差信号
Errに基づいて、操作信号Sd1をアクチュエータ1
04へ指示し、アクチュエータ104は、信号再生素子
102をトラック幅方向へ変位させる。これにより、信
号再生素子102は、その中心線とトラックの中心線と
が一致する位置へと導かれる。
【0010】また、図50に示すように、特に回転ヘッ
ド型磁気テープ装置などでは、図49に示す誤差検出器
101と駆動回路103との間に、スイッチ105が加
えられている。これにより、磁気ヘッドの走査/非走査
が切り換えられ、非走査期間においては、0レベルの信
号が駆動回路103へ入力される。
【0011】図49および図50の構成は、走査期間中
においては、共通であるため、以下では、図49に示す
情報記録再生装置を中心にして説明する。該情報記録再
生装置の制御装置は、図51に示すような伝達関数のブ
ロックで表現される。
【0012】したがって、制御装置の開ループ伝達関数
Gopenは、次式(1)のように、 Gopen=Ke ・G1(s)・GA (s) ・・・(1) で表される。なお、上式中、sは、ラプラス演算子であ
る。また、一般に、アクチュエータ104は、共振点を
有する2次遅れ要素であり、その伝達関数は、sの関数
A (s)で表されるように、周波数に依存している。
【0013】通常、共振点を有するアクチュエータ10
4を用いた制御装置においては、ノッチフィルタなどに
より、共振点の影響を除去し、制御帯域(開ループ伝達
特性のゲイン交点周波数)を共振周波数fr より低く設
定するのが一般的である。
【0014】ところが、近年の情報記録再生装置は、ト
ラック曲がりTrの基本周波数ftrがかなり高く、ま
た、ダイナミックトラッキング制御の際には、この基本
周波数ftr成分、および、その高次成分に対しても、信
号再生素子102を高精度に追従させることが要求され
ている。したがって、上記共振周波数fr を十分に高く
設定する必要がある。しかし、アクチュエータ104の
バネ定数を高く設定して、共振周波数fr を上昇させた
場合、消費電力の増大につながるため、実現が困難であ
る。
【0015】したがって、上記アクチュエータ104の
共振周波数fr は、トラック曲がりTrの基本周波数f
trよりも少し高い値に設定せざるを得ない。この結果、
ノッチフィルタなどによって共振点の影響を除去する場
合には、十分な制御帯域が得られない。
【0016】そこで、上記課題を解決するために、制御
帯域をアクチュエータ104の共振周波数fr よりも高
く設定できる制御方式が知られており、この制御方式を
採用した制御装置が広く用いられている。以下では、こ
の制御方式を突き抜けサーボ方式と称する。この制御方
式は、図52に示すように開ループ伝達関数のベクトル
軌跡において、位相が−180°付近であるときのゲイ
ンを十分に高く設定している。さらに、その後のベクト
ル軌跡においては、−1を左に見ながら、0に収束して
いく様に、制御装置を構成する各要素を設定する。制御
工学において、開ループ伝達関数のベクトル軌跡が−1
を左に見ながら通過する条件は、安定条件であるから、
上記突き抜けサーボ方式は、安定性を確保しながら、広
帯域化を図ることができる有効な制御方式といえる。
【0017】図51の制御装置では、駆動回路103を
構成するゲイン、位相補償回路、ローパスフィルタの定
数を調節して、突き抜けサーボ方式を適用している。な
お、このローパスフィルタは、アクチュエータ104の
高次の共振点の影響を除去するために設けられている。
この場合でも、制御装置の開ループ伝達関数Gopenは、
上述の式(1)より算出できる。
【0018】ここで、突き抜けサーボ方式を適用した制
御装置の開ループ伝達特性Gopenの一例を図53に示
す。この制御装置は、安定条件を満たしており、かつ、
ゲイン交点周波数fC は、アクチュエータ104の共振
周波数fr よりもかなり高く設定される。したがって、
信号再生素子102は、トラック曲がりTrの高次成分
にも追従することができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記突
き抜けサーボを適用した制御装置では、トラック曲がり
Trへの追従周波数帯域が広域化されている一方で、突
き抜けサーボの条件を満たす際に用いられる位相補償に
より、トラック曲がりTrの基本周波数ftrにおける開
ループゲインが制限されるという問題を生じている。つ
まり、トラック曲がりTrの基本周波数ftr成分に対す
る信号再生素子102の追従精度が良くなかった。
【0020】トラック曲がりTrは、基本周波数ftr
分の寄与が最も大きいため、特にトラック幅が狭い場合
には、十分な再生出力を得ることが困難になり、情報記
録再生装置の仕様を満足できない虞れがある。
【0021】したがって、制御可能な周波数帯域を保持
したまま、開ループゲインの向上が切望されている。な
お、突き抜けサーボは、アクチュエータ104の共振周
波数fr 以上の周波数帯域において、位相進み補償の効
果によって、最低限の位相余裕を確保しているため、上
記課題を解決するために、何らかの開ループゲイン改善
手段を講じる場合においても、位相余裕が少なくなるこ
とは許されない。
【0022】また、上記の情報記録再生装置において、
例えば、回転ヘッド型磁気テープ装置における誤差検出
器101は、誤差の検出方法として、2周波パイロット
信号方式や、4周波パイロット信号方式、ウォブリング
方式などを採用しており、ディスク装置においては、セ
クタサーボ方式、磁気信号プリフォーマットサーボ方
式、光信号プリフォーマットサーボ方式などを採用して
いる。これらの誤差検出方法は、いずれも、信号再生素
子102と所望のトラックとの相対位置誤差を示す誤差
信号Errを直接検出している。したがって、誤差検出
器101は、信号再生素子102の変位Xおよびトラッ
ク曲がりTrをそれぞれ単独には検出できない。
【0023】上記問題点を解決するために、例えば、特
開平3−71415号公報などには、制御ループ内に学
習制御部を備えた回転ヘッド型磁気テープ装置が記載さ
れている。該磁気テープ装置が採用した学習制御方式
は、目標値が周期的な繰り返し波形である場合に、残留
偏差を極めて小さくすることができる。上記磁気テープ
装置のトラック曲がりTrは、トラック毎に強い相関が
あるため、繰り返し学習制御を行うことによって、上記
磁気テープ装置における磁気ヘッドは、トラック曲がり
Trへ高精度に追従できる。
【0024】しかしながら、学習制御部は、無駄時間要
素を含む正帰還ループで構成されており、無限の極が存
在する。この結果、学習制御部を導入すると、導入前に
比べて、制御装置が不安定になりやすい。一方、上述の
突き抜けサーボ方式を適用した制御装置では、最低限の
位相余裕しか確保していないため、該制御装置に、学習
制御部を導入することは困難である。さらに、学習制御
では、繰り返し周期以外の周期を持つ目標値に対して、
逆に残留偏差が大きくなるという問題も新たに生ずる。
したがって、学習制御部を導入しても、上記問題の解決
にはならない。
【0025】また、上記問題を解決するための他の手段
として、特開平7−114781号公報では、予めトラ
ック曲がりTrを測定して記憶すると共に、信号再生時
に、これをフィードフォワードする方法が提案されてい
る。しかしながら、この方法では、トラック曲がりTr
を測定するための特別な機構や時間が必要になるという
問題が、新たに生ずる。
【0026】さらに、上記問題点の直接的な解決策では
ないが、特開平6−52563号公報などには、外乱オ
ブザーバを適用して制御能力を向上した情報記録再生装
置が開示されている。上記情報記録再生装置には、図5
4に示すように、図49に示す情報記録再生装置の構成
に加え、外乱オブザーバ106が設けられている。な
お、図において、Dは、アクチュエータ104に作用す
る外乱、106bは、信号再生素子102の位置Xを検
出する位置検出器である。
【0027】この外乱オブザーバ106において、アク
チュエータ模擬回路106aは、アクチュエータ104
の特性を電気的に模擬しており、アクチュエータ104
へ加えられる操作量Sdから信号再生素子102の位置
Xを推定する。一方、位置検出器106bは、信号再生
素子102の位置Xを検出している。比較器106c
は、アクチュエータ模擬回路106aの出力と、位置検
出器106bの出力とを比較して外乱Dを推定する。こ
の推定外乱Dハットは、アクチュエータ104の逆特性
を模擬する逆特性模擬回路106dを介して、駆動信号
へフィードフォワードされる。これにより、上記外乱オ
ブザーバ106は、アクチュエータ104へ加えられた
外乱Dを打ち消している。
【0028】したがって、従来の情報記録再生装置のよ
うに、トラック幅が比較的広いためにトラック曲がりT
rの影響が比較的小さく、ダイナミックトラッキング制
御の制御性阻害要因が主に外乱である場合、すなわち、
上記制御が定値制御と見なせる場合には、上記外乱オブ
ザーバ106は、非常に効果的である。
【0029】しかしながら、近年の情報記録再生装置で
は、高密度化(狭トラック化)が進み、従来は問題にな
らなかったような微小なトラック曲がりTrに対しても
高精度かつ広帯域に信号再生素子102を追従させるこ
とが要求されている。ところが、上記外乱オブザーバ1
06は、アクチュエータ104へ作用する外乱Dを抑制
するものであって、目標値に対する追従性を改善するも
のではない。したがって、このような場合には、外乱オ
ブザーバ106を用いても、効果が得られない。
【0030】以上のように、いかなる従来技術を用いて
も、誤差検出器101により、トラックと信号再生素子
102との相対位置誤差のみを検出する情報記録再生装
置において、高精度かつ広帯域に信号再生素子102を
トラック曲がりTrへ追従させるという課題を解決する
に至っておらず、特に、突き抜けサーボを適用した制御
装置において、重要な問題となっている。
【0031】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、安定性を保持したまま、追従
精度の向上や広帯域化を満足させる制御装置、および、
これを用いることにより、信号記録再生部素子の目標値
に対する追従性を向上させた情報記録再生装置を提供す
ることにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る制
御装置は、上記課題を解決するために、指示された操作
量に基づいて、機械的動作を行う制御対象と、該制御対
象の制御量と目標値との相対誤差を検出する誤差検出手
段と、上記相対誤差に基づいて、上記制御対象に指示す
る操作量を調節する操作手段とを有する制御装置におい
て、以下の手段を講じたことを特徴としている。
【0033】すなわち、上記制御対象の特性を模擬して
おり、上記操作量に基づいて、推定した制御量を示す、
制御量推定信号を出力する制御対象模擬手段と、上記相
対誤差および制御量推定信号に基づいて、推定した、制
御量の追従目標値を示す、追従目標推定信号を出力する
追従目標推定手段と、上記制御対象の逆特性を模擬する
逆特性模擬部およびゲイン部を含み、上記操作手段の入
力側または出力側へ上記追従目標推定信号をフィードフ
ォワードするフィードフォワードゲインとを備えてい
る。
【0034】上記構成において、制御対象は、与えられ
た操作量に基づいて、機械的動作を行い、誤差検出手段
は、制御対象の制御量と目標値との相対誤差を検出す
る。操作手段は、この相対誤差に基づいて、制御対象の
操作量を調節する。
【0035】一方、制御対象模擬手段は、制御対象へ与
えられる操作量から、例えば、位置などの制御量を推定
し、制御量推定信号を出力する。また、追従目標推定手
段は、上記相対誤差および制御量推定信号とから、制御
量の追従目標を推定し、追従目標推定信号を出力する。
なお、追従目標は、例えば、トラック曲がりなどに対応
する。さらに、上記追従目標推定信号は、逆特性模擬部
およびゲイン部からなるフィードフォワードゲインを介
して、操作手段の入力側、あるいは、出力側へフィード
フォワードされる。この結果、フィードフォワードルー
プにより補正された操作量が、制御対象へ与えられる。
【0036】それゆえ、追従目標を単独に検出できない
場合であっても、上記追従目標推定手段が追従目標をリ
アルタイムに推定し、制御対象への操作量へ推定した結
果をリアルタイムにフィードフォワードできる。したが
って、従来の制御装置に比べて、安定性を保持したま
ま、高精度かつ広帯域に制御対象を目標値へ追従させる
ことができる。
【0037】また、請求項2の発明に係る制御装置は、
請求項1記載の発明の構成において、上記ゲイン部は、
例えば、ローパスフィルタやバンドパスフィルタなどの
フィルタを備えていることを特徴としている。
【0038】上記構成では、フィードフォワードループ
において、フィルタが、例えば、高周波数帯域など、所
定の帯域の周波数成分を除去する。したがって、低域側
など、特定の帯域において、制御装置の追従精度を向上
させると共に、高域側など、上記特定の帯域以外におい
て、制御装置の特性を従来と同様に保つことができる。
これにより、例えば、回路遅延などに起因する無駄時間
や制御対象の高次共振の影響などによって位相が変化し
た場合でも、制御装置は、制御対象を安定して制御でき
る。この結果、制御装置の安定性をさらに向上できる。
【0039】一方、請求項3の発明に係る制御装置は、
請求項2記載の発明の構成において、上記フィルタは、
上記制御対象の追従目標の基本周波数と等しい周波数の
成分を通過させるバンドパスフィルタであることを特徴
としている。
【0040】上記構成では、フィードフォワードループ
において、バンドパスフィルタが、上記追従目標の基本
周波数から離れた遮断帯域の周波数成分を除去する。し
たがって、上記基本周波数において、追従精度を向上さ
せると共に、上記遮断帯域における制御装置の特性を従
来と同様に保つことができる。この結果、例えば、突き
抜けサーボを適用した制御装置など、上記基本周波数か
ら離れた帯域で、位相余裕が少ない制御装置において
も、安定性を確保しながら追従精度を向上できる。
【0041】加えて、上記遮断帯域では、フィードフォ
ワードループの特性が制御装置の特性に影響を及ぼさな
い。したがって、基本周波数における特性に基づいて、
フィードフォワードループを構成する各要素の特性を設
定できる。この結果、上記各要素の特性設定時の自由度
が増す。
【0042】さらに、請求項4の発明に係る制御装置
は、請求項3記載の発明の構成において、上記制御対象
模擬手段あるいは逆特性模擬部の少なくとも一方は、上
記バンドパスフィルタの通過帯域における、上記制御対
象の特性、あるいは、その逆特性を模擬していることを
特徴としている。
【0043】上記構成では、制御対象模擬手段あるいは
逆特性模擬部は、バンドパスフィルタの通過帯域におい
て、制御対象の特性あるいは逆特性を模擬する。また、
模擬する帯域が限定されているため、制御対象模擬手段
あるいは逆特性模擬部は、例えば、比例要素のゲインな
どの簡単な回路で実現できる。したがって、請求項3記
載の制御装置と略同様の効果を持ったまま、制御装置の
構成をさらに簡略にできる。
【0044】また、請求項5の発明に係る制御装置は、
請求項1、2、または3記載の発明の構成において、上
記制御対象模擬手段および逆特性模擬部は、それぞれ、
上記制御対象の特性のうち、少なくとも最高次の積分特
性、および、少なくとも最高次の積分特性の逆特性を模
擬していることを特徴としている。
【0045】上記構成では、制御対象模擬手段および逆
特性模擬部は、全ての特性を模擬しているわけではない
ので、制御対象模擬手段および逆特性模擬部の構成を簡
略にすることができる。したがって、請求項1、2、3
記載の制御装置と略同様の効果を持ったまま、制御装置
の構成をさらに簡略にできる。
【0046】一方、請求項6の発明に係る制御装置は、
指示された操作量に基づいて、機械的動作を行う制御対
象と、該制御対象の制御量と目標値との相対誤差を検出
する誤差検出手段と、上記相対誤差に基づいて、上記制
御対象へ操作量を指示する操作手段とを有する制御装置
において、上記操作手段は、フィルタを介した正帰還ル
ープを備えていることを特徴としている。
【0047】上記構成では、正帰還ループを備えた操作
手段は、誤差検出手段の検出した相対誤差に基づいて、
制御対象へ操作量を指示する。この結果、安定性を確保
したまま、制御装置の開ループゲインを向上できる。ま
た、上記正帰還ループは、請求項2記載のフィードフォ
ワードループに比べて、構成が簡単である。この結果、
請求項2記載の発明の構成に比べて簡単な構成でありな
がら、安定性を保ったまま、高精度に、制御対象を目標
に対して追従させることができる。
【0048】さらに、請求項7の発明に係る制御装置
は、請求項6に記載の発明の構成において、上記フィル
タは、上記制御対象の追従目標の基本周波数と等しい周
波数の成分を通過させるバンドパスフィルタであること
を特徴としている。
【0049】上記構成において、上記正帰還ループは、
基本周波数における開ループゲインを増大させる。ま
た、基本周波数から離れた帯域では、制御装置の特性
は、従来と同様に保たれる。したがって、例えば、突き
抜けサーボを適用した制御装置のように、位相余裕が少
ない制御装置であっても、制御装置の安定性を保ったま
ま、基本周波数における追従精度を向上できる。
【0050】請求項8の発明に係る制御装置は、請求項
3、4または7記載の発明の構成において、上記制御対
象は、共振点を有する2次遅れ要素であり、上記操作手
段は、上記制御対象の共振周波数より高い周波数帯域に
て、位相進み補償を行う位相補償部を備えていることを
特徴としている。
【0051】上記構成では、位相補償部が、制御対象の
共振周波数より高い周波数帯域において、位相進み補償
を行うため、制御対象の共振周波数を高く設定すること
なく、制御装置の制御帯域を広げることができる。
【0052】それゆえ、従来の制御装置に比べて、制御
対象の消費電力を増加させることなく、広帯域かつ高精
度に、制御対象を目標値に追従させることができる。
【0053】請求項9の発明に係る情報記録再生装置
は、請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記
載の制御装置を備え、上記制御装置の制御対象には、ト
ラックが設けられた記録媒体に対して、記録あるいは再
生のうち、少なくとも一方を行う信号記録再生部と、上
記信号記録再生部を移動させるアクチュエータとが設け
られていることを特徴としている。
【0054】上記構成では、アクチュエータへ操作量が
指示される。これにより、アクチュエータは、例えば、
フォーカス制御、トラッキング制御などを行い、信号記
録再生部を移動させる。したがって、上記信号記録再生
部は、安定性を保ったまま、高精度かつ広帯域に追従目
標値へ追従できる。この結果、記録媒体の記録密度を向
上でき、記録容量を増大できる。
【0055】請求項10の発明に係る情報記録再生装置
では、請求項9記載の発明の構成において、上記アクチ
ュエータは、上記信号記録再生部をトラックの幅方向に
移動させ、上記誤差検出手段は、上記信号記録再生部と
所望のトラックとの相対位置誤差を検出することを特徴
としている。
【0056】それゆえ、情報記録再生装置は、従来問題
にならなかったような微小なトラック曲がりに対して
も、信号記録再生部を、高精度かつ広帯域に追従させる
ことができる。したがって、記録媒体に設けられるトラ
ックの幅をさらに狭く設定できる。この結果、記録媒体
の記録密度と記録容量とをさらに向上できる。
【0057】請求項11の発明に係る情報記録再生装置
は、トラックが設けられた記録媒体に対して、記録ある
いは再生のうち、少なくとも一方を行う信号記録再生部
と、指示された操作量に基づいて、上記信号記録再生部
を移動させるアクチュエータと、上記アクチュエータに
指示する操作量を調節する操作手段とを有する情報記録
再生装置において、以下の手段を講じたことを特徴とし
ている。
【0058】すなわち、上記アクチュエータの特性を模
擬しており、上記操作量に基づいて、上記信号記録再生
部の位置を推定し、推定位置信号を出力するアクチュエ
ータ模擬手段と、上記信号記録再生部の所望の位置を示
す目標値と上記の推定位置信号との差信号を、上記操作
手段へ入力する比較手段とを備えている。
【0059】上記構成では、アクチュエータ模擬手段
は、アクチュエータの操作量に基づいて、信号記録再生
部の位置を推定する。さらに、比較手段は、目標値と推
定位置信号との差信号を操作手段へ入力する。
【0060】したがって、目標値と推定位置信号との差
に応じて、アクチュエータは、信号記録再生部を移動で
きる。この結果、信号記録再生部の位置を検出すること
なく、情報記録再生装置は、信号記録再生部を所望の位
置へ案内できる。それゆえ、情報記録再生装置は、例え
ば、信号記録再生部の速度に応じた速度制御を行うこと
なく、該信号記録再生部を目標のトラックへ高速に案内
できる。
【0061】また、請求項12の発明に係る制御装置
は、上記課題を解決するために、指示された操作量に基
づいて、機械的動作を行う制御対象と、上記制御対象の
制御量と目標値との相対誤差を検出する誤差検出手段
と、与えられた入力に基づいて、上記制御対象へ指示す
る操作量を調節する操作手段とを有し、上記制御対象の
目標値は、間欠的に発生しており、目標値が発生してい
ると共に上記誤差検出手段が相対誤差を検出できる検出
期間と、目標値が発生していないため上記誤差検出手段
が相対誤差を検出できない非検出期間とが交互に設けら
れており、上記操作手段には、上記検出期間中、誤差検
出手段の検出した相対誤差が入力される制御装置におい
て、以下の手段を講じたことを特徴としている。
【0062】すなわち、上記制御対象の特性を模擬して
おり、上記操作量に基づいて、推定した制御量を示す、
制御量推定信号を出力する制御対象模擬手段と、上記相
対誤差および上記制御量推定信号に基づいて、推定し
た、制御量の追従目標値を示す、追従目標推定信号を出
力する追従目標推定手段と、上記検出期間における上記
追従目標推定信号に基づいて、上記非検出期間における
制御量の追従目標を示す、待機目標信号を作成する待機
目標発生手段と、上記非検出期間中、上記待機目標信号
と上記制御量推定信号との差信号を、上記操作手段へ入
力する比較手段とを備えている。
【0063】なお、上記目標値は、例えば、回転ヘッド
型の磁気テープ装置においては、磁気テープのトラック
曲がりなどである。この場合は、磁気ヘッドが磁気テー
プのトラックを走査しているトラック走査期間が検出期
間に対応し、回転により、磁気ヘッドが磁気テープを走
査していない期間が、非検出期間に対応する。
【0064】上記構成では、検出期間中、操作手段は、
誤差検出手段が検出した相対誤差に基づいて、例えば、
磁気ヘッドを駆動するアクチュエータなど、制御対象に
指示する操作量を調整している。一方、制御対象模擬手
段は、制御対象へ与えられる操作量から、例えば、制御
対象の位置などの制御量を推定し、制御量推定信号を生
成する。さらに、追従目標推定手段は、当該制御量推定
信号および相対誤差から、追従目標推定信号を作成して
いる。
【0065】一方、非検出期間中、制御対象模擬手段
は、検出期間と変わらず、制御量推定信号を生成してい
る。また、待機目標発生手段は、例えば、次の検出期間
の開始時における追従目標を推定するなどして、該期間
における制御量の追従目標を示す待機目標信号を生成す
る。比較手段は、制御量推定信号と待機目標信号との差
信号を操作手段へ入力する。さらに、操作手段は、制御
対象の操作量を調節して、待機目標信号が示す追従目標
へ制御対象を追従させる。
【0066】ところで、従来は、非検出期間中、相対誤
差が検出できないため、不所望に振動するという問題が
発生している。したがって、検出期間の開始時には、相
対誤差が極めて大きくなる場合がある。この結果、検出
期間の開始時には、制御対象が目標値に追従するまでの
所要時間が長くなり、追従精度が低下する。
【0067】ところが、上記構成では、制御装置は、非
検出期間において、誤差検出手段が相対誤差を検出でき
ない場合でも、制御対象を制御することができる。した
がって、非検出期間における上記振動を防止できる。こ
の結果、制御対象は、次の検出期間の開始時から即座に
目標値へ追従できる。これにより、検出期間の開始時に
おける追従精度を向上できる。
【0068】また、請求項13の発明に係る制御装置
は、請求項12記載の発明の構成において、上記制御対
象の制御量の追従目標値が、上記検出期間の開始毎に、
互いに相関を有しており、上記待機目標発生手段は、上
記非検出期間の終了時において、その直前の検出期間の
開始時における追従目標推定信号の値と一致する、待機
目標信号を作成することを特徴としている。
【0069】上記構成では、非検出期間の終了時におい
て、待機目標発生手段は、直前の検出期間の開始時にお
ける追従目標推定信号の値と等しい値の待機目標信号を
作成する。これにより、制御装置は、非検出期間の終了
時、すなわち、次の検出期間の開始時において、直前の
検出期間の開始時における追従目標へ制御対象を導くこ
とができる。一方、制御対象の制御量の追従目標値は、
検出期間の開始毎に、互いに相関を有している。この結
果、制御装置は、各検出期間の開始時において、追従目
標値近傍に制御対象を確実に案内できる。それゆえ、制
御対象は、各検出期間の開始時から、目標値へ即座に追
従でき、検出期間の開始時における追従精度をさらに向
上できる。
【0070】さらに、請求項14の発明に係る制御装置
は、請求項13記載の発明の構成において、上記待機目
標発生手段は、上記検出期間の開始時における、上記追
従目標推定信号を保持すると共に、次の非検出期間中、
待機目標信号として、保持した値を出力する記憶手段を
備えていることを特徴としている。
【0071】上記構成では、各検出期間の開始時におい
て、記憶手段は、追従目標推定信号を保持する。さら
に、記憶手段は、次の非検出期間中、保持した追従目標
推定信号を待機目標信号として出力する。これにより、
非検出期間中、制御装置は、当該追従目標推定信号が示
す追従目標へ制御対象を案内する。一方、非検出期間が
終了し、次の検出期間が始まると、記憶手段は、新た
に、開始時の追従目標推定信号を記憶する。上記各動作
を繰り返すことによって、制御装置は、各検出期間の開
始時において、前回の検出期間の開始時における追従目
標の近傍へ制御対象を案内できる。
【0072】それゆえ、制御対象は、各検出期間の開始
時において、即座に目標値へ追従できる。この結果、検
出期間の開始時における追従精度を向上できる。加え
て、上記記憶手段は、例えば、サンプルホールド回路や
フリップフロップなどを用いることによって、簡単な構
成で実現できる。
【0073】一方、請求項15の発明に係る制御装置
は、請求項13記載の発明の構成において、上記待機目
標発生手段は、上記非検出期間の終了時における信号の
値が、上記検出期間の開始時における追従目標推定信号
の値と一致し、かつ、その信号波形が直流成分を持たな
い待機目標信号を作成することを特徴としている。
【0074】上記構成では、非検出期間中、制御装置
は、待機目標信号に制御量推定信号が一致するように、
制御対象の制御量を制御している。該期間中には、待機
目標信号が直流成分を持っていないため、制御対象の制
御量には、DCオフセットが発生しない。ところで、非
検出期間において、制御対象の制御量がDCオフセット
を有していると、その後の検出期間において、誤差検出
手段が検出する相対誤差にオフセットが発生する。この
結果、制御装置の追従精度が不所望に低下する。ところ
が、上記構成では、非検出期間において、オフセットの
発生が防止できるので、検出期間における追従精度をさ
らに向上できる。
【0075】一方、非検出期間の終了時には、制御装置
は、直前の検出期間の開始時における追従目標へ制御対
象を案内する。この結果、制御対象は、検出期間の開始
時において、即座に目標値へ追従できる。したがって、
制御装置において、各検出期間の開始時における追従精
度を向上できる。
【0076】請求項16の発明に係る制御装置は、請求
項12、13、14、または15に記載の発明の構成に
加えて、上記制御対象の逆特性を模擬する逆特性模擬部
およびゲイン部を含み、上記操作手段の入力側または出
力側へ上記追従目標推定信号をフィードフォワードする
フィードフォワードゲインを備えていることを特徴とし
ている。
【0077】それゆえ、請求項1と同様に、検出期間に
おいて、安定性を保ったまま、高精度かつ広帯域に信号
記録再生部を目標値へ追従させることができる。また、
請求項12ないし15と同様に、検出期間の開始時にお
いて、信号記録再生部の追従精度を向上できる。さら
に、制御対象模擬手段および追従目標推定手段を共用で
きる。この結果、上記請求項1に記載の発明と、請求項
12ないし15に記載の発明との双方を、それぞれ別に
適用した場合に比べて、簡単な構成で、双方の効果を得
ることができる。
【0078】請求項17の発明に係る情報記録再生装置
は、請求項12、13、14、15、または16に記載
の制御装置と、磁気テープが、予め定める巻付け角で外
周面に巻き付けられた回転ドラムとを含み、上記制御対
象には、回転ドラムの外周面に配置される磁気ヘッド
と、上記磁気テープに設けられた所望のトラックへ磁気
ヘッドを案内するアクチュエータとが設けられているこ
とを特徴としている。
【0079】上記構成において、磁気テープに記録され
た信号を再生する際、該磁気テープは、回転するドラム
の外周面に、予め定める巻付け角で巻き付けられる。磁
気ヘッドは、この磁気テープの進行方向に対して、斜め
に走査する。また、1トラックを走査した後、次のトラ
ックの走査を開始するまでの期間、磁気ヘッドは、トラ
ックを走査していない。さらに、情報記録再生装置は、
少なくとも非走査期間の終了時において、直前のトラッ
ク走査開始時における追従目標位置に磁気ヘッドを待機
させる。したがって、磁気ヘッドは、次のトラック走査
開始時における追従目標位置の近傍で待機できる。
【0080】この結果、トラック走査開始時において、
磁気ヘッドは、トラック曲がりへ即座に追従できる。し
たがって、従来に比べて、トラック走査開始時における
追従精度を向上させることができる。
【0081】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕本発明の一実施形態について図1な
いし図6に基づいて説明すると以下の通りである。
【0082】本実施形態に係る制御装置は、例えば、回
転ヘッド型磁気テープ装置、磁気ディスク装置、あるい
は光ディスク装置などの情報記録再生装置に供され、例
えば、磁気ヘッドや光ピックアップなどの信号再生素子
をトラック幅方向に変位させるアクチュエータを制御対
象としている。
【0083】図1に示すように、上記制御装置は、記録
媒体上に形成されたトラックから信号を再生する信号再
生素子(信号記録再生部)1と、該信号再生素子1を移
動させるアクチュエータ(制御対象)2と、トラック曲
がりTrと該信号再生素子1の位置Xとの相対位置誤差
Xerrに対応する相対位置誤差信号Err(以下で
は、単に誤差信号Errと称する)を検出する誤差検出
器(誤差検出手段)3と、該誤差信号Errに基づい
て、アクチュエータ2に指示する操作量を調節する駆動
回路(操作手段)4とを備えている。
【0084】ここで、上記情報記録再生装置の一例とし
て、特開平6−68623号公報に記載の磁気ディスク
装置の要部構成について簡単に説明する。図2に示すよ
うに、上記磁気ディスク装置は、スピンドルシャフト2
1を軸として回転可能に設けられた複数のディスク22
と、該ディスク22へデータを読み書きする際、上記各
ディスク22の信号記録再生面に配される複数の磁気ヘ
ッド(図示せず)を有するアクチュエータアーム組立体
(以下では、単に組立体と略称する)23と、アクチュ
エータシャフト23aを介して、当該組立体23を回動
可能に支持するハウジング24とを備えている。
【0085】上記組立体23のディスク側の端部には、
複数のアーム23bが設けられている。各アーム23b
の先端(ディスク側端部)には、ロードスプリング23
cを介して、スライダ23dが取り付けられる。さら
に、該スライダ23dは、上記磁気ヘッドを担持してい
る。また、上記組立体23の他端には、アクチュエータ
シャフト23aを中心にして、該組立体23を回動させ
るボイスコイル23eが設けられている。一方、ハウジ
ング24には、永久磁石24aが配される。
【0086】ボイスコイル23eに通電すると、永久磁
石24aとの間に電磁力が発生し、組立体23は、アク
チュエータシャフト23aの回りに回転する。この結
果、上記磁気ヘッドとディスク22との位置関係は変化
する。したがって、ボイスコイル23eに供給する電流
により、ディスク22に対する磁気ヘッドの位置を制御
できる。
【0087】なお、上記の例では、磁気ヘッドが、図1
に示す信号再生素子1に対応し、ボイスコイル23eを
含む組立体23がアクチュエータ2に対応している。ま
た、信号再生素子1およびアクチュエータ2は、図2に
示した構成に限定されるものではなく、他の構成であっ
てもよい。
【0088】図3に示すように、図1を伝達関数で表記
した場合、上記アクチュエータ2は、駆動信号Sdを駆
動力Tに変換する第1のブロック2aと、駆動力Tに対
するアクチュエータ2の応答(変位X)を示す第2のブ
ロック2bとに分けて表され、アクチュエータ2の伝達
関数GA (s)は、双方の伝達関数の積となる。したが
って、アクチュエータ2において、可動部の質量をM、
逆起電力の影響込みの粘性定数をC、バネ定数をK、駆
動コイルの電気抵抗をR、力定数(駆動力/電流の係
数)をKtとすると、下式(2)のように、 GA (s)=(Kt/R)/(M・s2 +C・s+K) ・・・(2) で表される。上式(2)から判るように、本実施形態に
係るアクチュエータ2は、共振点を有する2次遅れ要素
である。なお、sは、ラプラス演算子であり、sで表現
される要素GA (s)は、周波数に依存する。
【0089】例えば、図4に示すように、本実施形態に
係るアクチュエータ2は、消費電力等を考慮して、その
共振周波数fr を、トラック曲がりTrの基本周波数f
trより、やや高い程度に設定している。
【0090】また、誤差検出器3は、信号再生素子1の
位置Xと、追従目標であるトラック曲がりTrとの相対
位置誤差に対応する信号を出力するものであり、等価的
には、信号再生素子1の位置Xとトラック曲がりTrと
を比較する比較器31と、比較結果である相対位置誤差
Xerrを電圧レベルに変換する誤差検出ゲイン32と
で表される。誤差検出ゲイン32の係数Keは、信号再
生素子1の再生感度に依存している。なお、本実施形態
に係る誤差検出器3は、上記トラック曲がりTrおよび
位置Xをそれぞれ単独で検出せず、例えば、セクタサー
ボ方式などを用いて、信号再生素子1の再生結果から、
両者の相対位置誤差Xerrに対応する誤差信号Err
を直接検出している。この誤差信号Errは、下式
(3)で示すように、 Err=Ke ・(Tr−X) ・・・(3) で表される。
【0091】なお、検出方法は、例えば、回転ヘッド型
磁気テープ装置においては、2周波パイロット信号方式
や、4周波パイロット信号方式、ウォブリング方式など
が採用されており、ディスク装置においては、セクタサ
ーボ方式、磁気信号プリフォーマットサーボ方式、光信
号プリフォーマットサーボ方式などが採用されている。
信号再生素子1の位置Xとトラック曲がりTrとの相対
位置誤差を検出できるのであれば、上記の例に限らず、
種々の検出方法を適用することができる。
【0092】また、上記駆動回路4は、ゲイン、位相補
償、および、ローパスフィルタなどを備えており、これ
ら各要素は、前に述べた突き抜けサーボの条件に適合す
るように設定されている。なお、当該駆動回路4全体の
伝達関数は、G1(s)で表現される。
【0093】加えて、図1および図3に示すように、本
実施形態に係る制御装置には、駆動回路4とアクチュエ
ータ2との間に設けられた加算器5と、アクチュエータ
2へ与えられる操作量Sdから信号再生素子1の位置X
を推定し、推定位置信号Xハットを出力するアクチュエ
ータ模擬回路6(伝達関数:GA0(s))と、誤差検出
器3およびアクチュエータ模擬回路6の出力から、信号
再生素子1の追従目標であるトラック曲がりTrを推定
する追従目標推定器7と、当該追従目標推定器7が出力
した追従目標推定信号Trハットを所定のゲイン(伝達
関数:F(s))で上記加算器5へフィードフォワード
するフィードフォワードゲイン8とが設けられており、
これらによって、フィードフォワードループが形成され
ている。この結果、アクチュエータ2が受け取る操作量
Sdは、駆動回路4が指定する操作量Sd1に、追従目
標推定信号Trハットをフィードフォワード加算した値
となる。なお、上記アクチュエータ模擬回路6、およ
び、追従目標推定器7は、特許請求の範囲に記載の制御
対象模擬手段、および、追従目標推定手段にそれぞれ対
応している。
【0094】上記追従目標推定器7は、加算器71と、
係数Ke0の第1ゲイン72と、係数1/Ke0の第2ゲイ
ン73とを備えており、アクチュエータ模擬回路6から
の推定位置信号Xハットを第1ゲイン72を介して受け
取り、加算器71が誤差検出器3からの誤差信号Err
に加算した後、第2ゲイン73を介して、フィードフォ
ワードゲイン8へ出力する構成である。上記係数K
e0は、好ましくは、誤差検出ゲイン32の係数Ke と等
しくなるように設定される。
【0095】ここで、上記構成の制御装置における信号
再生素子1の変位Xおよび開ループ伝達関数Gopen1
は、以下のようにして求められる。
【0096】すなわち、アクチュエータ2は、操作量S
dに基づき信号再生素子1を変位させる。したがって、
信号再生素子1の実際の位置Xは、下式(4)のよう
に、 X=GA (s)・Sd ・・・(4) となる。
【0097】一方、フィードフォワードループにおい
て、アクチュエータ模擬回路6が出力する推定位置信号
Xハットは、下式(5)のように、 Xハット=GA0(s)・Sd ・・・(5) となる。さらに、追従目標推定器7は、推定位置信号X
ハットと誤差信号Errとから、次式(6)に示すよう
に表現される追従目標推定信号Trハットを出力する。 Trハット=(Err+Ke0・Xハット)/Ke0 ・・・(6) この式(6)は、上式(3)によって、下式(7)のよ
うに表せる。 Trハット=(Ke /Ke0)・Tr +(Ke0・Xハット−Ke ・X)/Ke0 ・・・(7) このTrハットは、フィードフォワードゲイン8を介し
て、加算器5へ伝えられる。
【0098】加算器5は、駆動回路4の出力Sd1に、
該Trハットをフィードフォワード加算するので、出力
する操作量Sdは、次式(8)のように、 Sd=G1(s)・Err+F(s)・Trハット ・・・(8) となる。さらに、上式(5)、(6)、(8)式より、 Sd=〔{G1(s)+F(s)/Ke0} /{1−GA0(s)・F(s)}〕・Err ・・・(9) となる。
【0099】したがって、上式(3)、(4)および
(8)から、信号再生素子1の変位Xは、下式(10)
のように、 X=〔Ke ・G1(s)・GA (s)・Tr +GA (s)・F(s)・Trハット〕 /(1+Ke ・G1(s)・GA (s)) ・・・(10) で表される。
【0100】また、誤差信号Errに対する操作量Sd
の応答は、上式(9)で与えられるから、本実施形態に
係る制御装置の開ループ伝達関数Gopen1は、下式のよ
うに、 Gopen1=Ke ・GA (s)・〔(G1(s)+F(s)/Ke0) /(1−GA0(s)・F(s))〕 =〔Gopen+(Ke /Ke0)・GA (s)・F(s)〕 /〔1−GA0(s)・F(s)〕 ・・・(11) となる。なお、Gopenは、上述した式(1)に示す従来
の構成の開ループ伝達関数、すなわち、フィードフォワ
ードループを加える前の開ループ伝達関数である。
【0101】以下では、本実施形態に係るアクチュエー
タ模擬回路6(伝達関数:GA0(s))は、図5に示す
ように、特に参照符号6aを付し、その伝達関数は、G
A01(s)で表す。
【0102】さらに、本実施形態に係るフィードフォワ
ードゲイン8は、アクチュエータ2の逆特性を電気的に
模擬する逆特性模擬回路81a(伝達関数:1/GA01
(s))と、フィードフォワードゲイン部82(伝達関
数:GF (s))とを備えている。なお、上記逆特性模
擬回路81aおよびフィードフォワードゲイン部82
が、特許請求の範囲に記載の逆特性模擬部およびゲイン
部に対応する。
【0103】したがって、フィードフォワードゲイン8
の伝達関数F(s)は、 F(s)=GF (s)/GA01 (s) ・・・(12) となり、上式(11)へ代入して、 Gopen1=〔Gopen +GF (s)・(Ke ・GA (s))/(Ke0・GA01 (s))〕 /(1−GF (s)) ・・・(13) を得る。
【0104】一方、本実施形態に係るアクチュエータ模
擬回路6aは、その伝達関数GA01(s)が次式(1
4)のように設定されている。 GA01 (s)=(Kt0 /R0 ) /(M0 ・s2 +C0 ・s+K0 ) ・・・(14) なお、Kt0 、R0 、M0 、C0 、および、K0 は、ア
クチュエータ2の各要素Kt、R、M、C、およびKを
それぞれ模擬しており、好ましくは、アクチュエータ2
の各要素と等しくなるように設定される。したがって、
この場合には、以下に示すように、 GA01 (s)=GA (s) ・・・(15) が成立する。また、第1ゲイン72(係数:Ke0)およ
び第2ゲイン73(係数:1/Ke0)において、好まし
くは、下式(16)のように、 Ke0=Ke ・・・(16) となるように設定される。
【0105】したがって、上述の式(4)および(5)
から、 Xハット=X ・・・(17) となる。また、上述の式(7)および(17)より、 Trハット=Tr ・・・(18) が成立する。
【0106】これにより、追従目標推定器7は、信号再
生素子1の追従目標であるトラック曲がりTrを略完全
に推定することができる。なお、当然のことであるが、
X、Trの単位は〔m〕であり、XハットおよびTrハ
ットの単位は、〔V〕である。
【0107】この場合、式(10)、(12)および
(18)より、 X=〔(Ke ・G1(s)・GA (s)+GF (s)) /(Ke ・G1(s)・GA (s)+1)〕・Tr ・・・(19) が導かれる。
【0108】また、制御装置の開ループ伝達関数Gopen
1は、式(11)および(12)より、次式のように、 Gopen1=〔Gopen+GF (s)〕/〔1−GF (s)〕 ・・・(20) となる。
【0109】この結果、必要な周波数帯域において、フ
ィードフォワードゲイン部82の伝達関数GF (s)
を、次式(21)に示すように、 GF (s)≒1 ・・・(21) に設定すれば、X≒Tr、かつ、Gopen1≒∞となり、
信号再生素子1は、トラック曲がりTrに、完全に追従
することができる。
【0110】なお、上式(20)から次式(22)、
(23)に示すように、|Gopen|>>|GF (s)|
のとき、 Gopen1≒Gopen/〔1−GF (s)〕 ・・・(22) |Gopen|<<|GF (s)|のとき、 Gopen1≒GF (s)/〔1−GF (s)〕 ・・・(23) が得られる。
【0111】本実施形態に係るフィードフォワードゲイ
ン部82aは、係数KF の比例要素から構成される。し
たがって、上記GF (s)は、次式のように、 GF (s)=KF ・・・(24) となる。
【0112】図6は、例えば、KF =0.8に設定した
場合における制御装置の開ループ伝達特性Gopen1a
を、従来の開ループ伝達特性Gopenと共に示した図であ
る。図6、および、上式(22)、(23)から明らか
なように、本実施形態の開ループゲインは、低域側で、
従来の1/(1−KF )倍となっており、14dB増加
している。また、高域側では、開ループゲインは、KF
/(1−KF )となり、12dBに保たれている。一
方、位相遅れは、高域側で0°となるため、制御装置
は、安定である。
【0113】これにより、本実施形態に係る制御装置で
は、安定性を確保したまま、全周波数帯域において、開
ループゲインを増大できる。この結果、信号再生素子1
のトラック曲がりTrに対する追従精度が向上すると共
に、その追従周波数を高くすることができる。
【0114】したがって、上記制御装置は、従来の制御
装置に比べて、より微小なトラック曲がりTrに対して
も、信号再生素子1を高精度、広帯域に安定して追従さ
せることができる。この結果、本実施形態に係る情報記
録再生装置において、記録媒体のトラック幅をさらに狭
くできる。したがって、記録媒体の記録密度をより向上
でき、記録媒体の記録容量を向上できる。
【0115】〔第2の実施形態〕上記第1の実施形態で
は、図6に示すように、開ループゲインが高域において
も、0dB以上となっている。したがって、回路遅延な
どに起因する無駄時間や、アクチュエータ2の高次共振
などの影響によって、位相変化が発生した場合、制御系
が不安定になる虞れがある。
【0116】そこで、本実施形態では、図5に示すフィ
ードフォワードゲイン部82を、ローパスフィルタで構
成することによって、安定性を確保している。
【0117】すなわち、本実施形態に係るフィードフォ
ワードゲイン部82bの伝達係数GF (s)は、次式に
示すように、 GF (s)=GLPF 1(s) ・・・(25) となる。
【0118】上記フィードフォワードゲイン部82b
は、例えば、図7に示すように、DCゲインが−2dB
の2次のローパスフィルタから構成されている。また、
上記GLPF 1(s)の遮断周波数fL は、従来技術の開
ループ伝達特性(Gopen)のゲイン交点周波数fC より
高く設定されている。なお、その他の部分は、第1の実
施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0119】これにより、図8に示すように、本実施形
態に係る制御装置の開ループ伝達関数Gopen1bは、|
Gopen|>>|GLPF 1(s)|、すなわち、周波数f
が、f<<fC の場合、上式(22)の特性の影響を強
く受ける。また、|Gopen|<<|GLPF 1(s)|、
すなわち、f>>fC の場合、Gopen1bには、上述の
式(23)の特性が現れる。
【0120】したがって、図9に示すように、本実施形
態に係るGopen1bのゲインは、従来のGopenに比べ、
f<<fC において、1/{1−GLPF 1(s)}倍増
加する。さらに、f>>fC におけるGopen1bは、概
ね、GLPF 1(s)/(1−GLPF 1(s))となって
おり、上記制御装置では、ゲイン交点周波数fC1は、従
来のゲイン交点周波数fC に比べてかなり高く、かつ、
十分な位相余裕を確保している。これにより、安定して
制御可能な帯域が、さらに広くなっている。
【0121】また、第1の実施形態におけるGopen1a
(図6参照)と比較した場合、本実施形態におけるGop
en1bのゲインは、低域側で同等のゲイン増大効果を得
ながら、高域側で0dB以下となっている。これによ
り、例えば、回路遅延や、アクチュエータ2の高次共振
の影響などによる位相変化が発生した場合でも、制御装
置は、第1の実施形態に比べ、信号再生素子1を安定し
て制御できる。
【0122】この結果、本実施形態に係る情報記録再生
装置において、記録媒体のトラック幅をさらに狭くでき
る。したがって、記録媒体の記録密度をより向上でき、
記録媒体の記録容量を向上できる。
【0123】〔第3の実施形態〕上記第2の実施形態で
は、ゲイン交点周波数fC1は、従来のゲイン交点周波数
C に比べ、かなり高くなっている。これは、制御装置
の広帯域化の面で非常に有効である。一方、回路遅延や
アクチュエータ2の高次共振などの影響による位相変化
が、第2の実施形態で想定したよりも低域側に存在し、
この影響を避けるために、従来と同等の制御帯域(ゲイ
ン交点周波数)のままで開ループゲインを増大する必要
がある場合も考えられる。
【0124】このような場合に備えて、本実施形態で
は、図5に示すフィードフォワードゲイン部82を、第
2の実施形態とは異なる特性を持つローパスフィルタ
(伝達関数:GLPF 2(s))で構成している。
【0125】上記フィードフォワードゲイン部82c
は、図10に示すように、その遮断周波数fL が、従来
技術の開ループ伝達特性(Gopen)のゲイン交点周波数
C よりも低く設定されている。なお、その他の構成
は、第2の実施形態と同様であるため、説明を省略す
る。
【0126】上記構成では、フィードフォワードゲイン
部82cの遮断周波数fL は、Gopenのゲイン交点周波
数fC よりも低く設定されているので、かなり高域を除
いて、|Gopen|>>|GLPF 2(s)|となってい
る。したがって、本実施形態における開ループ伝達特性
Gopen1cは、略全域に渡って、上述の式(22)の特
性を持っている。
【0127】これにより、本実施形態に係る制御装置で
は、図11に示すように、低域側において、第1および
第2の実施形態と略同等の開ループゲイン増大効果を得
ながら、高域側において、従来技術と略同等の開ループ
特性を備えている。また、上記Gopen1cは、従来技術
のGopenよりも大きな位相変化を伴っているが、ローパ
スフィルタの周波数特性の選定によって、従来技術と同
等の安定性を確保することができる。この結果、本実施
形態では、従来と同等のゲイン余裕および位相余裕を確
保している。
【0128】したがって、本実施形態に係る制御装置で
は、十分な安定性を確保しながら、信号再生素子1のト
ラック曲がり追従精度を向上できる。さらに、制御装置
の制御帯域が変化しないので、回路遅延やアクチュエー
タ2の高次共振などが、第2の実施形態よりも低域側で
生じた場合でも、安定して信号再生素子1を制御でき
る。
【0129】この結果、本実施形態に係る情報記録再生
装置において、記録媒体のトラック幅をさらに狭くでき
る。したがって、記録媒体の記録密度をより向上でき、
記録媒体の記録容量を向上できる。
【0130】〔第4の実施形態〕上記第3の実施形態で
は、従来技術と同等の制御帯域において、安定性を確保
するために、上記フィードフォワードゲイン部82cを
構成するローパスフィルタの周波数特性は、制限を受け
る。したがって、トラック曲がりTrの基本周波数ftr
において、第3の実施形態の開ループゲイン|Gopen1
c|は、従来技術の|Gopen|よりは大きく改善されて
いるが、第1および第2の実施形態の開ループゲインよ
りは小さくなっている。
【0131】これに対して、第4の実施形態に係るフィ
ードフォワードゲイン部82dは、中心周波数が上記基
本周波数ftrに設定されたバンドパスフィルタを備えて
いる。したがって、上記フィードフォワードゲイン部8
2dのGF (s)は、次式のように、 GF (s)=GBPF (s) ・・・(26) となる。
【0132】本実施形態では、上記バンドパスフィルタ
の一例として、図12に示すように、中心周波数におけ
るゲインが−2dBの2次のバンドパスフィルタが用い
られている。なお、その他の構成は、第3の実施形態と
同様であるため、説明を省略する。
【0133】上記構成では、かなり高域を除いて、|G
open|>>|GBPF (s)|となり、本実施形態におけ
る開ループ伝達特性Gopen1dには、前述の式(22)
の特性が強く現れる。したがって、このGopen1dは、
図13に示すように、トラック曲がりTrの基本周波数
tr付近において、第1および第2の実施形態と同等の
開ループゲイン増大効果を有すると共に、高域側におい
て、従来技術と略同等の開ループ特性を備えている。な
お、本実施形態に係る制御装置の位相特性は、バンドパ
スフィルタの中心周波数ftr付近を除いては、従来技術
と略同様である。
【0134】この結果、本実施形態に係る制御装置で
は、従来の制御装置に比べて、トラック曲がりTrの基
本周波数ftrの成分に対し、開ループゲインを増加でき
る。したがって、十分な安定性を確保しながら、信号再
生素子1のトラック曲がりTrに対する追従精度を向上
できる。また、上記第3の実施形態に係る制御装置に比
べても、トラック曲がりTrの基本周波数ftr成分に対
する追従精度は向上している。
【0135】この結果、本実施形態に係る情報記録再生
装置において、記録媒体のトラック幅をさらに狭くでき
る。したがって、記録媒体の記録密度をより向上でき、
記録媒体の記録容量を向上できる。
【0136】加えて、本実施形態に係る制御装置の開ル
ープ特性は、トラック曲がりTrの基本周波数ftrから
離れた周波数に対しては、従来と略同様である。したが
って、突き抜けサーボを適用した制御装置のように、ア
クチュエータ2の共振周波数fr 以上の周波数帯域にお
いて、最低限の位相余裕しか確保していない場合でも、
位相余裕を維持しながら、信号再生素子1を高精度に安
定して制御できる。したがって、制御装置の安定性の確
保と、信号再生素子1の追従精度の向上との双方を実現
できる。
【0137】〔第5の実施形態〕上記第1ないし第4の
実施形態では、図5に示すように、アクチュエータ模擬
回路6aは、アクチュエータ2の特性(GA (s))を
全て模擬している。したがって、当該アクチュエータ模
擬回路6aおよび逆特性模擬回路81aの構成が複雑に
なりがちである。これに対して、図14に示すように、
本実施形態に係るアクチュエータ模擬回路6bは、アク
チュエータ2の特性(GA (s))のうち、2回積分の
特性のみを模擬している。したがって、アクチュエータ
模擬回路6bの伝達関数GA02 (s)は、次式のよう
に、 GA02 (s)=(Kt0/R0 )/(M0 ・s2 ) ・・・(27) となる。また、逆特性模擬回路81bは、アクチュエー
タ模擬回路6bの逆特性を持つように設定されており、
伝達関数は、1/GA02 (s)である。なお、アクチュ
エータ模擬回路6bおよび逆特性模擬回路81b以外の
構成は、上述の第1ないし第4の実施形態と同様である
ため、説明を省略する。
【0138】この場合の開ループ伝達関数Gopen2も上
述の式(13)と同様に導出され、次式のように、 Gopen2=〔Gopen +GF (s)・(Ke ・GA (s))/(Ke0・GA02 (s))〕 /(1−GF (s)) ・・・(28) となる。なお、上式におけるGA02 (s)は、式(1
3)のGA01 (s)に比べて、簡略になっている。
【0139】ここで、第1ないし第4の実施形態と同様
に、Ke0=Ke なる設定を行うと、 Gopen2=〔Gopen+GF (s)・{GA (s)/GA02 (s)}〕 /〔1−GF (s)〕 ・・・(29) となる。
【0140】本実施形態では、アクチュエータ模擬回路
6bがアクチュエータ2を完全には模擬していないた
め、第1ないし第4の実施形態の場合(式(20)参
照)とは異なり、GA (s)/GA02 (s)の項が残っ
ている。
【0141】ここで、上式(29)中に現れるG
A (s)/GA02 (s)の項とGopenの項との特性を図
15に示す。したがって、以下に示すように、(a)|
Gopen|>>1のとき、 |GA (s)/GA02 (s)|<<|Gopen| ・・・(30) (b)上記(a)以外のとき、 |GA (s)/GA02 (s)|≒1 ・・・(31) が、概ね成立する。
【0142】さらに、GF (s)は、第1ないし第4の
実施形態に示したように、そのゲインの最大値|G
F (s)|max が略1となるように設定されているか
ら、上式(30)は、(a)|Gopen|>>|G
F (s)|のとき、 |GF (s)・GA (s)/GA02 (s)|<<|Gopen| ・・・(32) となり、さらに、式(29)より、 Gopen2≒Gopen/〔1−GF (s)〕 ・・・(33) となる。
【0143】一方、上式(29)と式(31)とより、
(b)上記(a)以外のとき、 Gopen2≒〔Gopen+GF (s)〕/〔1−GF (s)〕 ・・・(34) となる。
【0144】ここで、式(34)へ(a)の条件を適用
すると上式(33)になることから、概ね、以下の式
(35)が常に成立する。
【0145】 Gopen2≒〔Gopen+GF (s)〕/〔1−GF (s)〕 ・・・(35) したがって、本実施形態における開ループ伝達関数Gop
en2は、第1ないし第4実施形態の開ループ伝達関数G
open1(式(20)参照)と略一致する。
【0146】ここで、本実施形態の開ループ伝達関数G
open2の一例を図16に示す。なお、アクチュエータ模
擬回路6bおよび逆特性模擬回路81b以外の構成は、
第2の実施形態と同一に設定している。図9と図16と
を比較しても判るように、本実施形態に係る制御装置で
は、第2の実施形態と略同等の効果が得られている。
【0147】なお、図16では、第2の実施形態と同様
の構成の場合についてのみ図示しているが、これに限る
ものではない。上式(35)から判るように、本実施形
態に係る制御装置は、フィードフォワードゲイン部82
の構成を第1ないし第4の実施形態と同様に設定した場
合においても、対応する実施形態と同様の開ループ伝達
関数を持つ。これにより、対応する実施形態と同様に、
信号再生素子1のトラック曲がり追従精度および追従周
波数を向上できる。
【0148】さらに、本実施形態に係るアクチュエータ
模擬回路6bは、アクチュエータ2の特性のうち2回積
分の特性のみを模擬している。したがって、特性を完全
に模擬する前述の実施形態に比べて、アクチュエータ模
擬回路6および逆特性模擬回路81の回路構成を簡略に
でき、その調整も容易になる。この結果、制御装置に要
するコストを低減できる。
【0149】なお、本実施形態では、アクチュエータ模
擬回路6bがアクチュエータ2の2回積分特性のみを模
擬している場合について説明しているが、これに限るも
のではない。例えば、アクチュエータ模擬回路6bは、
2次のローパスフィルタを備えていてもよい。アクチュ
エータ模擬回路6bが少なくとも2回積分特性を模擬し
ていれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0150】〔第6の実施形態〕上記第5の実施形態で
は、図1に示すアクチュエータ模擬回路6がアクチュエ
ータ2の2回積分特性を模擬することによって、アクチ
ュエータ模擬回路6および逆特性模擬回路81を簡略化
している。これに対して、本実施形態では、特定の周波
数帯域におけるアクチュエータ2の特性を模擬すること
によって、両模擬回路6・81の構成を簡略にする。
【0151】図17に示すように、本実施形態に係る制
御装置は、第4の実施形態(図5参照)に係るアクチュ
エータ模擬回路6aに代えて、トラック曲がりTrの基
本周波数ftr付近におけるアクチュエータ2の特性を模
擬するアクチュエータ模擬回路6cを備えている。この
アクチュエータ模擬回路6cは、例えば、比例要素のゲ
インなどから構成されている。
【0152】これに合わせて、逆特性模擬回路81c
は、アクチュエータ模擬回路6cの逆特性を持つように
設定される。また、フィードフォワードゲイン部82d
は、第4の実施形態と同様に、伝達関数がGBPF (s)
のバンドパスフィルタを備えている。なお、アクチュエ
ータ模擬回路6cおよび逆特性模擬回路81c以外の構
成は、上記第4の実施形態と同様であるため、説明の便
宜上、同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記
してその説明を省略する。
【0153】本実施形態に係るアクチュエータ模擬回路
6cは、トラック曲がりTrの基本周波数ftrでのゲイ
ンを模擬している。したがって、本実施形態に係るアク
チュエータ模擬回路6cの伝達関数GA03 (s)は、 GA03 (s)=gtr=|GA (j・(2π・ftr))| ・・・(36) となる。また、これに伴い、逆特性模擬回路81cの伝
達特性は、1/gtrに設定される。なお、上式(36)
において、jは虚数である。
【0154】ここで、図18に、本実施形態に係る開ル
ープ伝達関数Gopen3の一例を示す。なお、アクチュエ
ータ模擬回路6cおよび逆特性模擬回路81cの特性を
除く他の構成は、上記第4の実施形態(図5参照)と同
一に設定している。図13と図18とを比較すると判る
ように、本実施形態の開ループ伝達特性Gopen3は、か
なり高域を除いて、第4の実施形態の開ループ伝達特性
Gopen1dと同等である。
【0155】したがって、本実施形態に係る制御装置
は、第4の実施形態と略同様に、従来技術と同等の安定
性を確保しながら、信号再生素子1のトラック曲がりT
rに対する追従精度を向上できる。さらに、アクチュエ
ータ模擬回路6cおよび逆特性模擬回路81cは、アク
チュエータ2の特性および逆特性を完全には模擬してい
ない。例えば、両模擬回路6c・81cを比例要素のゲ
インなどで構成することができる。この結果、これらの
回路構成を大幅に簡略化できると共に、その調整は、さ
らに容易になる。この結果、制御装置に要するコストを
低減できる。
【0156】なお、上記の説明では、両模擬回路6・8
1の双方が、例えば、ゲインによって構成されている
が、これに限るものではない。例えば、図19に示すよ
うに、逆特性模擬回路81のみがゲインにより構成され
た逆特性模擬回路81cであってもよい。いずれか一方
がゲインにより構成されていれば、本実施形態と略同様
の効果が得られる。
【0157】〔変形例1〕上記第1ないし第6の実施形
態では、図1に示すように、追従目標推定信号Trハッ
トを操作量Sdへフィードフォワードする場合につい
て、説明しているが、これに限るものではない。図20
に示すように、駆動回路4の入力側へフィードフォワー
ドしても、同じ効果が得られる。この場合は、図1に示
す加算器5に代えて、加算器5aが駆動回路4の前段に
設けられる。これに伴って、図21におけるフィードフ
ォワードゲイン8aの伝達関数F(s)は、フィードフ
ォワード加算の箇所が異なる分だけ、図3に示すF
(s)とは、異なる特性に設定され、フィードフォワー
ドゲイン8aには、逆特性模擬回路81およびフィード
フォワードゲイン部82に加えて、例えば、駆動回路4
の逆特性を模擬する回路などが加えられる。
【0158】以上で説明したように、第1ないし第6の
実施形態に係る制御装置は、記録媒体に設けられたトラ
ックへ案内される信号再生素子1と、該信号再生素子1
を移動させるアクチュエータ2と、信号再生素子1とト
ラックとの相対位置誤差を検出する誤差検出器3と、誤
差検出器3の出力に基づいて、アクチュエータ2に指示
する操作量を調節する駆動回路4とを備えている。さら
に、アクチュエータ模擬回路6、追従目標推定器7、逆
特性模擬回路81およびフィードフォワードゲイン部8
2からなるフィードフォワードゲイン8によって、フィ
ードフォワードループが形成されており、駆動回路4の
出力側あるいは入力側へフィードフォワードする構成で
ある。
【0159】上記構成では、アクチュエータ2は、与え
られた操作量Sdに基づいて、信号再生素子1を移動さ
せる。誤差検出器3は、トラックと信号再生素子1との
相対位置誤差を検出して、誤差信号Errを出力する。
駆動回路4は、誤差信号Errに基づいて、アクチュエ
ータ2の操作量Sd1を出力する。
【0160】一方、アクチュエータ模擬回路6は、アク
チュエータ2に与えられる操作量Sdから、信号再生素
子1の位置Xを推定する。また、追従目標推定器7は、
誤差検出器3およびアクチュエータ模擬回路6の出力か
ら、信号再生素子1の追従目標であるトラック曲がりT
rを推定する。さらに、追従目標推定器7が出力した追
従目標推定信号Trハットは、フィードフォワードゲイ
ン8を介して加算器5へ伝えられ、駆動回路4の出力側
あるいは入力側へフィードフォワード加算される。これ
により、トラック曲がりTrの推定信号を用いて補正し
た操作量Sdがアクチュエータ2へ与えられる。
【0161】なお、特許請求の範囲に記載の操作量は、
アクチュエータ2へ加えられる操作量Sdに対応してお
り、図1に記載の制御装置では、駆動回路4が、誤差信
号Errに基づいて操作量Sd1を出力して、上記操作
量Sdを調節する。
【0162】上記のように、第1ないし第6の実施形態
に係る制御装置は、単独に検出することのできないトラ
ック曲がりTrをリアルタイムに推定し、フィードフォ
ワードゲイン8を介して、この推定信号をリアルタイム
にフィードフォワードしているので、従来の制御装置に
比べて、安定性を保持したまま、高精度かつ広帯域に信
号再生素子1をトラック曲がりTrへ追従させることが
できる。
【0163】上記フィードフォワードゲイン8を、アク
チュエータ2の逆特性を模擬する逆特性模擬回路81と
フィードフォワードゲイン部82とに分けて考えた場
合、フィードフォワードゲイン部82には、種々の構成
を適用することができる。
【0164】例えば、第1の実施形態では、上記フィー
ドフォワードゲイン部82は、伝達関数GF (s)が一
定のゲインを備えている。この構成によると、全ての周
波数帯域において、開ループゲインを向上できる。この
結果、従来の制御装置に比べて、安定性を保持したま
ま、高精度かつ広帯域に信号再生素子1をトラック曲が
りTrへ追従させることができる。
【0165】また、第2および第3の実施形態では、上
記フィードフォワードゲイン部82は、ローパスフィル
タを備えている。この構成によると、フィードフォワー
ドループにおいて、ローパスフィルタによって、高周波
成分が除去される。したがって、制御装置の開ループゲ
インは、高域において0dB以下に抑えられる。この結
果、回路遅延などに起因する無駄時間やアクチュエータ
2の高次共振の影響などによって、高域において位相変
化が発生しても、制御装置は、トラック曲がりTrに対
して、信号再生素子1を安定して高精度に追従させるこ
とができる。
【0166】さらに、第3の実施形態に示すように、上
記ローパスフィルタの遮断周波数fL は、フィードフォ
ワードループを付加する前のゲイン交点周波数fC より
低く設定されていてもよい。この場合は、ローパスフィ
ルタの通過帯域である低域側において、制御装置の開ル
ープゲインは、増大する。また、上記ゲイン交点周波数
C 付近において、制御装置の開ループ特性は、従来と
略同じである。これにより、従来の制御装置に比べて、
制御帯域を変化させることなく、開ループゲインを増大
させることができる。したがって、回路遅延やアクチュ
エータ2の高次共振の影響などによって、制御帯域を変
更できない制御装置においても、追従精度の向上を実現
できる。
【0167】また、第4の実施形態に示すように、上記
フィードフォワードゲイン部82は、バンドパスフィル
タを備えていてもよい。このバンドパスフィルタの中心
周波数は、トラック曲がりTrの基本周波数ftrに設定
される。
【0168】この構成では、フィードフォワードループ
において、上記中心周波数付近の成分のみが、フィード
フォワード加算される。したがって、従来の制御装置に
比べて、中心周波数付近における開ループゲインが増大
する。したがって、トラック曲がりTrの基本周波数f
tr付近において、制御装置は、トラック曲がりTrに対
する追従精度を著しく向上できる。さらに、中心周波数
から離れた帯域において、開ループ伝達特性は、従来の
制御装置と略同等である。したがって、従来の制御装置
と同様の安定性を確保できる。この結果、例えば、突き
抜けサーボ方式を採用した制御装置のように、フィード
フォワードループを付加する前の制御装置において、最
低限の位相余裕しか確保していない場合であっても、そ
の安定性を確保したまま、その開ループゲインを増大で
きる。
【0169】加えて、中心周波数から離れた帯域では、
アクチュエータ模擬回路6などからなるフィードフォワ
ードループの特性が制御装置の開ループ伝達特性に影響
しない。したがって、上記中心周波数付近の特性に基づ
いて、フィードフォワードの特性を設定できる。この結
果、特性設定時の自由度が向上する。
【0170】一方、上記アクチュエータ模擬回路6およ
び逆特性模擬回路81に対しても、種々の構成を適用で
きる。第1ないし第4の実施形態では、両模擬回路6a
・81aが、アクチュエータ2の特性および逆特性を全
て模擬している。したがって、追従目標推定器7は、ト
ラック曲がりTrを正確に推定できるので、トラック曲
がり追従精度や制御帯域の面から、最も効果が大きい。
【0171】これに対して、第5の実施形態では、アク
チュエータ2の特性のうち、少なくとも、最も高次の積
分特性、および、その逆特性を模擬している。なお、上
述の実施形態では、アクチュエータ2が共振点を有する
2次遅れ要素で表現されているので、両模擬回路6b・
81bは、2回積分、および、その逆特性のみを模擬し
ている。したがって、この実施形態では、全ての特性を
模擬する第1ないし第4の実施形態に比べて、両模擬回
路6b・81bの構成を簡略にできる。この結果、上記
第1ないし第4の実施形態と同等の効果を、より簡単な
構成で実現できる。したがって、両模擬回路6b・81
bを有する制御装置の製造コストを削減できる。加え
て、構成が容易なため、その調整も容易である。
【0172】さらに、第6の実施形態では、フィードフ
ォワードゲイン部82に、トラック曲がりTrの基本周
波数ftr付近の成分を通過させるバンドパスフィルタが
設けられると共に、両模擬回路6c・81cが、少なく
とも通過帯域において、アクチュエータ2の特性、およ
び、その逆特性と略同一の特性を持つ要素により構成さ
れている。
【0173】これにより、上記通過帯域において、追従
目標推定器7は、トラック曲がりTrを正確に推定でき
る。したがって、従来の制御装置に比べて、上記帯域に
おける追従精度を向上できる。また、模擬する帯域が限
定されているため、両模擬回路6c・81cは、例え
ば、周波数特性を持たないゲインなど、アクチュエータ
2の特性および逆特性を全ての周波数帯域において模擬
する場合に比べて、簡単な構成で実現できる。この結
果、両模擬回路6c・81cの構成をさらに簡略にでき
る。したがって、上記第4の実施形態と同様の効果をよ
り簡単な構成で実現できる。なお、バンドパスフィルタ
が設けられているので、上記通過帯域から外れた帯域に
おいて、両模擬回路6c・81cの特性と、アクチュエ
ータ2の特性あるいは逆特性とが異なっていても、何ら
支障を生じない。
【0174】なお、第4および第6の実施形態に示すよ
うに、フィードフォワードゲイン部82として、2次の
バンドパスフィルタ(GBPF (s))を用いた場合に
は、特に、逆特性模擬回路81aとフィードフォワード
ゲイン部82dとからなるフィードフォワードゲイン8
の伝達関数F(s)において、分子のsの次数が分母よ
りも大きくなり、高域ノイズに対して、当該フィードフ
ォワードゲイン8の出力が飽和してしまう可能性があ
る。このような場合には、フィードフォワードゲイン部
82に、さらに高域ノイズを遮断するローパスフィルタ
を備えればよい。すなわち、このローパスフィルタの伝
達特性をGLPF5(s)とすれば、フィードフォワードゲ
イン部82の伝達関数GF (s)は、下式(37)のよ
うに、 GF (s)=GBPF (s)・GLPF5(s) ・・・(37) となるように設定すればよい。
【0175】例えば、このローパスフィルタを2次のロ
ーパスフィルタとすれば、フィードフォワードゲイン8
の伝達関数におけるsの次数は、分子の方が分母よりも
小さくなり、高域ノイズが混入しても、制御装置は、安
定して動作する。
【0176】なお、該ローパスフィルタは、高域ノイズ
を遮断するために、その遮断周波数は、トラック曲がり
Trの基本周波数ftrよりもかなり高く設定される。し
たがって、このローパスフィルタを用いても、制御装置
の動作は、これを用いない上記実施形態と同等である。
また、この高域ノイズ遮断のためのローパスフィルタ
は、上記第4および第6の実施形態のみならず、他の実
施形態に適用してもよい。いずれの場合でも、制御装置
の動作を同等に保ったまま、高域ノイズを遮断できる。
【0177】〔第7の実施形態〕上記第3および第4の
実施形態では、図10および図12に示すように、かな
り高域を除いて、 |Gopen|>>|GF (s)| ・・・(38) が成立することから、かなり高域を除いては、概ね、次
式(39)に示すように、 Gopen1≒Gopen/{1−GF (s)} ・・・(39) なる特性を得ている。これにより、低域側または特定周
波数帯域におけるGopen1を増大させている。
【0178】これに対して、本実施形態に係る制御装置
では、図1に示す加算器5、アクチュエータ模擬回路
6、追従目標推定器7、フィードフォワードゲイン8か
らなるフィードフォワードループに代えて、図22およ
び図23に示すように、駆動回路4とアクチュエータ2
との間に設けられた加算器9と、アクチュエータ2への
操作量Sdを正帰還させるフィルタ10(伝達関数:G
F (s))とを備えている。したがって、この正帰還ル
ープの伝達関数GL (s)は、 GL (s)=1/{1−GF (s)} ・・・(40) となる。
【0179】この結果、この制御装置の開ループ伝達関
数Gopen4は、 Gopen4=Ke ・G1(s)・GL (s)・GA (s) =Gopen/{1−GF (s)} ・・・(41) となる。上式(41)は、上述の式(39)と略一致す
る。
【0180】本実施形態に係るフィルタ10aは、第3
の実施形態と同一のローパスフィルタ(GLPF
(s))を使用している(図10参照)。本実施形態に
係る正帰還ループの伝達特性GL (s)は、図24に示
すように、正帰還ループを付加する前のゲイン交点周波
数fC (従来技術のゲイン交点周波数fC )以上の帯域
において、ゲインが0dBであり、位相遅れは0°であ
る。また、低域側において、14dBと高いゲインが得
られている。
【0181】この結果、本実施形態に係る開ループ伝達
特性Gopen4aは、図25に示すように、上記ゲイン交
点周波数fC における位相余裕が、従来に比べて減少し
ていない。また、低域側の開ループゲインは、増大して
いる。これは、第3の実施形態の開ループ特性(図11
参照)と略同等である。ただし、ゲイン交点周波数fC
に比べて、かなり高域の特性は、若干異なっている。し
たがって、本実施形態に係る制御装置では、第3の実施
形態と同様に、十分な安定性を確保しながら、信号再生
素子1のトラック曲がりTrに対する追従精度を向上で
きる。
【0182】さらに、上記本実施形態に係る正帰還ルー
プは、フィルタ10などによって構成されており、第3
の実施形態の制御装置におけるフィードフォワードルー
プに比べて、構成が大幅に簡単になっている。したがっ
て、回路構成を大幅に簡略化でき、制御装置に要するコ
ストを低減できる。
【0183】〔第8の実施形態〕上記第7の実施形態で
は、第3の実施形態と同じように、従来技術と同等の安
定性を得るためにローパスフィルタの周波数特性が制限
を受ける。したがって、トラック曲がりTrの基本周波
数ftrにおける開ループゲインをあまり高くできない。
【0184】これに対して、第8の実施形態では、図2
2および図23に示すフィルタ10として、トラック曲
がりTrの基本周波数ftrを中心周波数とするバンドパ
スフィルタを用いている。なお、フィルタ10以外の構
成は、第7の実施形態と同じであるので、説明を省略す
る。
【0185】ここで、本実施形態における正帰還ループ
の伝達特性GL (s)の一例を図26に示す。なお、こ
こで用いたフィルタ10bは、第4の実施形態と同一の
バンドパスフィルタ(GBPF (s):図12参照)であ
る。
【0186】同図に示すように、上記正帰還ループの伝
達特性GL (s)は、トラック曲がりTrの基本周波数
trにおいて、14dBと高いゲインが得られている。
また、その位相特性は、バンドパスフィルタの中心周波
数ftr付近を除いて、0°となっている。
【0187】したがって、本実施形態における開ループ
伝達特性Gopen4bのゲインは、図27に示すように、
トラック曲がりTrの基本周波数ftrにおいて、従来の
開ループ伝達特性Gopenに比べて、14dB高くなって
いる。また、位相特性は、バンドパスフィルタの中心周
波数ftr付近を除いて、従来の開ループ伝達特性Gopen
と同等である。これは、第4の実施形態の開ループ特性
(図13参照)と略同等である。ただし、ゲイン交点周
波数fC に比べて、かなり高域の特性は、若干異なって
いる。
【0188】この結果、第4の実施形態と同様に、本実
施形態に係る制御装置では、十分な安定性を確保しなが
ら、信号再生素子1のトラック曲がりTrに対する追従
精度を向上できる。したがって、突き抜けサーボ方式を
採用した制御装置においても、安定性を損なうことな
く、トラック曲がりTrに対して、信号再生素子1を高
精度に追従させることができる。
【0189】さらに、本実施形態に係る制御装置は、第
4の実施形態に係る制御装置に比べて、構成を大幅に簡
略にできる。この結果、回路構成を簡略化でき、製造コ
ストを低減できる。
【0190】〔第9の実施形態〕上記第1ないし第8の
実施形態は、上述したように、磁気テープ装置、磁気デ
ィスク装置、光ディスク装置などの情報記録再生装置に
おいて、信号再生素子1を目標トラックのトラック曲が
りTrに追従させるものであった。これに対して、本実
施形態に係る制御装置は、例えば、回転ヘッド型磁気テ
ープ装置など、信号再生素子1がトラックを走査しない
非走査期間が設けられており、かつ、信号再生素子1が
ダイナミックトラッキング動作に入る前に、適正な位置
で待機する必要がある装置に供されている。以下では、
情報記録再生装置が回転ヘッド型磁気テープ装置である
場合について説明する。この場合、信号再生素子1は、
磁気ヘッドとなる。
【0191】図28に示すように、本実施形態に係る制
御装置は、図1に示す第1の実施形態の構成に加えて、
フィードフォワードゲイン8の出力Strを加算器5へ
伝えるか否かを選択する第1スイッチ11を備えてい
る。また、追従目標推定器7aが出力する追従目標推定
信号Trハットを入力として、待機時の追従目標信号を
示す待機目標信号Srefを出力する待機目標発生回路
(待機目標発生手段)12と、該待機目標信号Sref
とアクチュエータ模擬回路6の出力とを比較する比較器
(比較手段)13とを備えている。さらに、誤差検出器
3と駆動回路4との間には、上記比較器13が出力する
ヘッド待機信号Sa、あるいは、誤差検出器3の出力す
る誤差信号Errの何れか一方を選択して、駆動回路4
および追従目標推定器7aへ供給する第2スイッチ14
が設けられている。
【0192】また、本実施形態に係る追従目標推定器7
aには、図1に示す追従目標推定器7の構成に加えて、
フィードフォワードゲイン8および上記待機目標発生回
路12へ、第2ゲイン73の出力を伝えるか否かを選択
する第3スイッチ74が設けられている。なお、該第3
スイッチ74が、どちらを選択している場合であって
も、第3スイッチ74の出力、すなわち、追従目標推定
器7aの出力を追従目標推定信号Trハットと称する。
【0193】なお、説明の便宜上、第1の実施形態の図
面に記載した部材と同一の機能を有する部材には、同一
の参照記号を付して説明を省略する。また、本実施形態
では、第1ないし第4の実施形態と同様に、上述の式
(15)および式(16)が成立するように、各部材の
伝達関数が設定されているのが好ましい。
【0194】上記第1ないし第3スイッチ11・14・
74は、磁気ヘッド(信号再生素子1)が磁気テープ走
査期間中か否かを示すヘッド切替え信号HSWによって
制御される。当該ヘッド切替え信号HSWに基づいて、
第1スイッチ11は、走査期間中、フィードフォワード
ゲイン8の出力を加算器5へ伝えると共に、非走査期間
中には、0レベルの信号を出力する。また、第2スイッ
チ14は、走査期間中、誤差信号Errを出力してい
る。一方、非走査期間には、該第2スイッチ14は、ヘ
ッド待機信号Saを駆動回路4などへ伝えている。さら
に、第3スイッチ74は、走査期間中、第2ゲイン73
の出力を追従目標推定信号Trハットとして、フィード
フォワードゲイン8および待機目標発生回路12へ伝え
ると共に、非走査期間中には、0レベルの信号を出力す
る。
【0195】また、本実施形態に係る待機目標発生回路
12(12aで示す)は、具体的には、図29に示すよ
うに、走査期間開始時を示すタイミングパルスTPに基
づいて、追従目標推定信号Trハットをサンプルホール
ドするサンプルホールド回路(記憶手段)91と、サン
プルホールド回路91の出力信号Trtハットを比較器
13へ伝えるか否かを選択する第4スイッチ92とを備
えている。この第4スイッチ92は、上記各スイッチ1
1・14・74と同様に、ヘッド切替え信号HSWによ
って制御され、走査期間中には、0レベルの信号を出力
すると共に、非走査期間中には、サンプルホールド回路
91の出力信号Trtハットを比較器13へ伝えること
ができる。なお、図28以降の各図では、上記各スイッ
チ11・14・74・92において、走査期間中に選択
する側をT、非走査期間中に選択する側をUで示してい
る。また、図中では、サンプルホールド回路91をS・
Hと表記している。
【0196】ここで、本実施形態に係る信号再生素子1
(磁気ヘッド26)およびアクチュエータ2の構成例と
して、特公平5−8486などに記載されている型式の
回転ヘッド型磁気テープ装置のドラム装置について、簡
単に説明する。このドラム装置は、ムービングマグネッ
ト方式のダイナミックトラッキング機構を搭載してい
る。
【0197】図30および図31に示すように、上記ド
ラム装置は、回転軸25aと一体に回転する回転ドラム
25と、磁気ヘッド26と、可動部27と、高さ方向
(軸方向)Xへ変位可能に該可動部27を回転ドラム2
5へ支持する平行板バネ機構28と、上記回転軸25a
を回転可能に支持する固定ドラム29とを備えている。
【0198】上記平行板バネ機構28は、リング状の2
枚の板バネ28a・28aと、固定部材28bとを備え
ており、両板バネ28a・28aは、固定部材28bに
よって、回転ドラム25へ固定される。また、上記両板
バネ28a・28aは、可動部27を挟持している。こ
れにより、可動部27は、高さ方向Xへ変位可能に支持
される。
【0199】また、上記磁気ヘッド26は、2つの磁気
ヘッド26a・26bを備えており、両磁気ヘッド26
a・26bは、高さ方向Xに1トラックピッチ分の段差
を持つように配されている。両磁気ヘッド26a・26
bは、同一のヘッドベースを介して、可動部27へ取り
付けられる。
【0200】さらに、上記可動部27は、永久磁石27
aを備えており、固定ドラム29には、駆動コイル29
aが巻装された固定子29bが固定されている。上記永
久磁石27aによる磁束は、駆動コイル29aと鎖交す
る。
【0201】これにより、駆動コイル29aに通電する
と、フレミングの左手の法則によって、永久磁石27a
へ高さ方向Xの駆動力が発生する。したがって、可動部
27は、該駆動力と平行板バネ機構28の反力とが釣り
合う位置まで移動する。この結果、駆動コイル29aへ
制御電流を与えることによって、可動部27へ取り付け
られた磁気ヘッド26の高さを制御できる。
【0202】上記の構成例では、磁気ヘッド26が信号
再生素子1に対応し、可動部27、平行板バネ機構2
8、および駆動コイル29aが、アクチュエータ2に対
応している。この場合、アクチュエータ2の入力部は、
駆動コイル29aの入力部に相当する。すなわち、アク
チュエータ2へ駆動電圧を印加することによって、信号
再生素子1は変位する。
【0203】信号の記録再生時には、図示しない磁気テ
ープが、上記ドラム装置の外周面に180°巻き付けら
れる。したがって、磁気ヘッド26を高さ方向Xに変位
させると、磁気ヘッド26は、磁気テープ上に形成され
たトラックの幅方向Xへ変位できる。
【0204】図32に示すように、磁気テープには、テ
ープの進行方向に対して斜めに複数のトラックが形成さ
れている。上記のように、ドラム装置への磁気テープの
巻付け角は、180°であるから、磁気ヘッド26が回
転して、磁気ヘッド26a・26bが同時に、それぞれ
のトラックを1トラック分走査した後、次のトラックを
走査するまでの間、すなわち、磁気ヘッド26と磁気テ
ープとが再び接触するまでの間、磁気ヘッド26は、待
機している。なお、以下では、磁気ヘッド26が磁気テ
ープ上を走査する期間を走査期間、磁気ヘッド26が磁
気テープ上を走査せず、待機している期間を非走査期間
と称する。
【0205】続いて、誤差検出器3が行っている相対位
置誤差の検出方法の一例として、上記の回転ヘッド型磁
気テープ装置が採用した2周波パイロット信号方式につ
いて、簡単に説明する。
【0206】2周波パイロット信号方式では、互いに異
なる周波数のパイロット信号f1、f2が主信号に重畳
された形で、記録されている。パイロット信号f1を記
録したトラックと、パイロット信号f2を記録したトラ
ックとは、パイロット信号が記録されていないトラック
(図中では、f0と表記)を間に挟んで、交互に配置さ
れる。磁気ヘッド26aが、パイロット信号が記録され
ていないトラックA上を走査している場合、磁気ヘッド
26aは、上記パイロット信号f1・f2を、隣接した
トラックB0およびBから、クロストーク成分として再
生する。再生した両パイロット信号f1・f2のレベル
は、磁気ヘッド26aとトラックAとの相対位置関係に
よって変化する。したがって、両者のレベルを比較する
ことにより、磁気ヘッド26aとトラックAとの相対位
置誤差を検出できる。なお、本実施形態に係る磁気ヘッ
ド26a・26bは、トラック幅の方向に、1トラック
ピッチ分の距離を置いて配されている。また、両磁気ヘ
ッド26a・26bは、同一のアクチュエータ2に搭載
されており、両磁気ヘッド26a・26bの位置関係
は、変化しない。したがって、検出した相対位置誤差に
基づいて、磁気ヘッド26aをあるトラックへ追従させ
ると、磁気ヘッド26bは、自動的に隣接するトラック
へ追従する。
【0207】なお、信号再生素子1およびアクチュエー
タ2は、上記構成に限定されず、他の構成を取ってもよ
い。さらに、以下では、磁気ヘッド26の場合を例にし
て説明しているが、当然のことながら、光ヘッドなど他
の構成の信号再生素子1にも適用可能である。また、誤
差検出器3における相対位置誤差の検出方法も様々な方
法を適用できる。
【0208】次に、上記構成の制御装置において、走査
期間および非走査期間における各部の動作について、図
33ないし図36に示すタイミングチャートを参照して
説明すると以下の通りである。
【0209】図33に示すように、図28に示す第1な
いし第3スイッチ11・14・74および図29に示す
第4スイッチ92には、走査期間と非走査期間とでレベ
ルの異なるヘッド切替え信号HSWが印加されている。
また、サンプルホールド回路91(図29参照)には、
走査期間の開始毎に信号レベルが立ち上がるタイミング
パルスTPが供給されている。
【0210】上記磁気ヘッド26による磁気テープの走
査期間、すなわち、ヘッド切替え信号HSWがTのレベ
ルにある期間には、上記各スイッチ11・14・74・
92は、T側を選択している。したがって、本実施形態
に係る制御装置は、第1ないし第4の実施形態と同様に
動作しており、図34に示すように、トラック曲がりT
rに対して、追従目標推定信号Trハットを出力してい
る(Tu1からTd1までの期間)。これにより、図35に
示すように、本実施形態に係る磁気ヘッド26は、トラ
ック曲がりTrに追従している。なお、この期間中、上
記制御装置において、第1ないし第4の実施形態と異な
る部分は、該スイッチ11・14・74・92によって
切り離されている。したがって、当該制御装置の動作
は、上記各実施形態に記載の通りとなるため説明を省略
する。
【0211】また、本実施形態に係るサンプルホールド
回路91は、タイミングパルスTPの立ち上がり毎に、
追従目標推定信号Trハットをサンプルホールドしてい
る(Tu1の時点)。したがって、次の走査期間の開始時
までの期間(Tu1からTu2までの期間)、サンプルホー
ルド回路91の出力信号Trtハットは、磁気テープ走
査開始時(Tu1の時点)における磁気ヘッド26の追従
目標推定信号Trハットとなる。ただし、走査期間中、
第4スイッチ92がT側を選択しているため、図34に
示すように、待機目標発生回路12aは、待機目標信号
Srefとして、0レベルの信号を出力している(Tu1
からTd1までの期間)。
【0212】非走査期間(Td1からTu2までの期間)に
なると、上記各スイッチ11・14・74・92は、ヘ
ッド切替え信号HSWに基づいて、U側を選択する。し
たがって、第4スイッチ92は、待機目標信号Sref
として、上記出力信号Trtハットを比較器13へ出力
している。この期間中、サンプルホールド回路91は、
これまでの出力信号Trtハットを保持しているので、
待機目標信号Srefは、直前の走査期間開始時におけ
る追従目標推定信号Trハットである。なお、図34以
降の図では、サンプルする時点を、追従目標推定信号T
rハットの波形上に黒点で表記しており、各サンプルと
待機目標信号Srefとの関係を矢印で示している。
【0213】該待機目標信号Srefは、比較器13に
よって、アクチュエータ模擬回路6が出力する推定位置
信号Xハットと比較される。そして、両者の差信号であ
るヘッド待機信号Saが第2スイッチ14から出力され
る。一方、当該期間中、第1スイッチ11は、0レベル
の信号を出力している。したがって、ヘッド待機信号S
aを入力として、駆動回路4が出力した駆動信号Sd1
は、そのまま、操作量Sdとして、アクチュエータ2へ
与えられる。また、アクチュエータ模擬回路6は、該操
作量Sdに基づいて、推定位置信号Xハットを生成し、
比較器13にて、新たに生成した推定位置信号Xハット
と、待機目標信号Sref(保持された追従目標推定信
号Trハット)とは、再び比較される。
【0214】これにより、本実施形態に係る制御装置
は、推定位置信号Xハットが待機目標信号Srefと一
致するように閉ループ制御される。したがって、本実施
形態に係る非走査期間(Td1からTu2までの期間)にお
ける磁気ヘッド26は、上述した式(17)および(1
8)の関係により、図35に示すように、その直前の走
査期間の開始時(Tu1の時点)における追従目標位置に
導かれる。
【0215】一般に、回転ヘッド型磁気テープ装置にお
いて、トラック曲がりTrは、その近傍のトラック曲が
りTrと略同等であることが知られている。したがっ
て、直前の走査期間の開始時と次の走査期間の開始時と
では、磁気ヘッド26の追従目標位置が略同等である。
本実施形態に係る磁気ヘッド26は、非走査期間におい
て、直前の走査開始時における追従目標位置で待機する
ことによって、次の走査開始時における追従目標位置近
傍で待機できる。
【0216】続いて、次の走査期間が開始されると(T
u2の時点)、サンプルホールド回路91は、新たに、追
従目標推定信号Trハットをサンプルホールドし、出力
信号Trtハットを更新する。また、走査期間中は、第
4スイッチ92がT側を選択するので、待機目標信号S
refは、0レベルとなる(図34に示すTu2からTd2
までの期間)。
【0217】以後は、同様の動作が繰り返され、制御装
置は、走査期間中、トラック曲がりTrに磁気ヘッド2
6を追従させると共に、非走査期間中において、磁気ヘ
ッド26は、その直前の走査期間の開始時における追従
目標位置、すなわち、次の走査期間開始時における追従
目標位置近傍で待機できる。
【0218】これにより、本実施形態に係る磁気ヘッド
26は、図35に示すように、従来技術のように振動す
ることなく適正な位置で待機し、トラック走査開始時か
ら即座にトラック曲がりTrに追従できる。また、図3
6に示すように、トラック走査開始時において、本実施
形態に係る誤差信号Err9 は、従来の誤差信号Err
0 に比べて、その絶対値が非常に小さい値となってい
る。なお、図35および図36では、従来技術として、
図50に示す構成の制御装置を用いている。
【0219】〔変形例1〕ところで、図28に示す待機
目標発生回路12が、図29に示す構成の待機目標発生
回路12aである場合、図28に示す第3スイッチ7
4、および、図29に示す第4スイッチ92は必ずしも
必要ではない。すなわち、非走査期間中は、タイミング
パルスTPが立ち上がらないので、サンプルホールド回
路91の出力は、追従目標推定信号Trハットが、どの
様に変化しても影響を受けない。また、走査期間中、第
2スイッチ14が、比較器13側を選択していない。し
たがって、待機目標発生回路12が出力する待機目標信
号Srefに基づいて、比較器13の出力するヘッド待
機信号Saが、どのように変化しても、その後の信号に
影響を与えない。したがって、図37に示すように、図
28に示す追従目標推定器7aに代えて、第3スイッチ
74を省いた追従目標推定器7を用いると共に、図29
に示す待機目標発生回路12aに代えて、第4スイッチ
92を省いた待機目標発生回路12bを用いてもよい。
この変形例1では、図28および図29に示す制御装置
と同様の効果を、より簡単な構成で得ることができる。
【0220】〔変形例2〕上述の第9の実施形態、およ
び、その変形例1では、第1ないし第4の実施形態に、
第1スイッチ11などを追加して待機処理を行う場合に
ついて説明しているが、これに限るものではない。例え
ば、図38に示すように、第7および第8の実施形態
へ、待機処理を行う構成を付加してもよい。なお、ここ
では、待機処理用の部材として、例えば、図37に示す
待機目標発生回路12b(サンプルホールド回路91)
などを付加した場合について説明する。
【0221】上記第7および第8の実施形態では、第1
ないし第4の実施形態とは異なり、アクチュエータ模擬
回路6および追従目標推定器7を備えたフィードフォワ
ードループが形成されていない。したがって、該変形例
2では、第7あるいは第8の実施形態の構成にアクチュ
エータ模擬回路6および追従目標推定器7を付加してい
る。さらに、図37と同様に、待機目標発生回路12
b、比較器13、および第2スイッチ14が追加されて
いる。なお、該変形例2では、フィードフォワードルー
プが存在しないために、フィードフォワード加算するか
否かを選択する第1スイッチ11は付加されていない。
また、該変形例2に用いている部材は、いずれも、第
7、第8、あるいは第9の実施形態(変形例1)に示し
た部材であるため、同じ機能を有する部材には、同じ参
照符号を付して、説明を省略する。
【0222】該変形例2においても、上記第9の実施形
態と同様に、非走査期間において、信号再生素子1(磁
気ヘッド26)は、次のトラック走査開始時における追
従目標位置付近で待機できる。したがって、信号再生素
子1は、トラック走査開始時から即座に、トラック曲が
りTrへ追従できる。
【0223】なお、当該変形例2の構成に限らず、他の
構成の制御装置に対しても、アクチュエータ模擬回路
6、追従目標推定器7を追加すると共に、待機目標発生
回路12、および比較器13などを付加することによっ
て、本実施形態と同様の効果が得られる。ただし、図2
8、図29あるいは図37に示すように、第1ないし第
4の実施形態に係る制御装置に上記各部材を付加して待
機処理を行った場合は、走査期間における追従制御と、
非走査期間における待機処理とで、アクチュエータ模擬
回路6および追従目標推定器7を共用できる。なお、追
従目標推定器7aを用いた場合でも、第1ゲイン72な
ど、追従目標推定器7中で、第3スイッチ74以外の部
材を共用できる。したがって、簡単な構成で、走査期間
の開始時および走査期間中の双方で、制御装置の追従精
度を向上できる。
【0224】〔第10の実施形態〕上記第9の実施形態
は、非走査期間中の磁気ヘッド26(信号再生素子1)
が振動することなく、適正な位置で待機できるため、非
常に有効である。ところが、図36に示すように、誤差
信号Err9 の絶対値は、走査開始時において、非常に
小さい値となっている一方で、走査期間中には、従来の
誤差信号Err0 よりも大きくなっている部分が存在す
る。したがって、第1ないし第4の実施形態で得られた
トラッキング精度を向上する効果(誤差信号Errの絶
対値を小さくする効果)は、一部阻害されている。
【0225】この問題は、非走査期間中の待機目標信号
Srefが、直流(DC)信号であることに起因してい
る。すなわち、磁気ヘッド26(信号再生素子1)が、
非走査期間中において、略一定の位置で待機するため、
その後の走査期間において、トラック曲がりTrが等価
的にDCオフセットを持ってしまう。この結果、走査期
間中の誤差信号ErrもDCオフセットを持ち、その絶
対値が部分的に大きくなる。
【0226】本実施形態に係る制御装置は、走査期間に
おいて、第1ないし第4の実施形態と同様のトラッキン
グ精度を持ちながら、非走査期間において、適切な待機
処理を行うために、図28に示す待機目標発生回路12
として、非走査期間中、以下の2つの条件を満たす待機
目標信号Srefを出力する待機目標発生回路12cを
備えている。
【0227】2つの条件のうち、第1の条件は、直流成
分を持たない信号波形であることである。また、第2の
条件は、非走査期間の終了時における信号レベルが、そ
の直前の走査開始時における追従目標推定信号Trハッ
トのレベルと等しいことである。
【0228】なお、以下では、上記両条件を満足させる
代表的な信号波形として、cos波形を例にして説明す
る。また、待機目標発生回路12c以外の構成は、第9
の実施形態と同様であるため、本実施形態においても、
全体の構成は、図28を参照して説明する。
【0229】続いて、上記信号波形を発生させる待機目
標発生回路12cの構成例について、図39に基づいて
詳細に説明すると以下の通りである。すなわち、待機目
標発生回路12cは、所定の振幅のcos波形を生成す
る基準波形生成部93と、追従目標推定信号Trハット
のレベルに基づいて、該cos波形の振幅を変更するレ
ベル変更部94とを備えている。さらに、待機目標信号
Srefとして、レベル変更部94の出力を出力するか
否かを選択する第4スイッチ92が設けられている。
【0230】上記基準波形生成部93は、1に規格化さ
れたcos波形のデータ列を記憶したROM( Read-On
ly Memory )93aと、所定の周期のクロック信号CK
に同期して、ROM93aへ、現在読み出すデータを指
示するカウンタ93bとを備えている。また、当該基準
波形生成部93が生成するcos波形の周期は、本実施
形態に係る制御装置の非走査期間の長さに併せて設定さ
れている。さらに、上記カウンタ93bは、非走査期間
の開始を示すタイミングパルスTP2の立ち上がりタイ
ミングでリセットされる。これにより、基準波形生成部
93は、非走査期間の開始タイミングに同期し、1周期
が非走査期間の時間間隔と同じで、かつ、振幅が1のc
os波形を示すデータ列を、クロック信号CKに同期し
て、順次出力できる。
【0231】また、レベル変更部94は、図28に示す
追従目標推定器7aより与えられる追従目標推定信号T
rハットをデジタル信号に変換するアナログ−デジタル
変換器(ADC)94aと、タイミングパルスTPに基
づいて、走査期間開始時のデジタル信号を保持するD型
フリップフロップ(D−FF)94bと、上記基準波形
生成部93から順次与えられるcos波形のデータ列
に、保持したデジタル信号を乗ずる乗算器94cと、乗
算器94cが出力するデジタル信号をアナログ信号に変
換するデジタル−アナログ変換器(DAC)94dとを
備えている。これにより、レベル変更部94は、基準波
形生成部93からのcos波形の振幅を、直前の走査期
間開始時における追従目標推定信号Trハットのレベル
へと変換できる。
【0232】また、レベル変更部94の出力は、第4ス
イッチ92を介して、待機目標信号Srefとして出力
される。なお、本実施形態に係る第4スイッチ92は、
図29に示す第4スイッチ92と同様の機能および構成
を有するため、説明を省略する。
【0233】ここで、本実施形態に係る制御装置全体の
動作を説明する前に、上述の構成の待機目標発生回路1
2cの動作について説明する。すなわち、図40に示す
ように、第4スイッチ92およびD−FF94bには、
上述の第9の実施形態と同様の、ヘッド切替え信号HS
WおよびタイミングパルスTPが、それぞれ与えられて
いる。また、カウンタ93bには、非走査期間の開始毎
に立ち上がるタイミングパルスTP2、および、所定の
周期のクロック信号CKが加えられている。さらに、A
DC94aは、図28に示す追従目標推定器7aから与
えられる追従目標推定信号Trハットをデジタル信号に
変換し、順次、D−FF94bへ与えている。
【0234】走査期間の開始時(図中、Tu1の時点)に
は、タイミングパルスTPが立ち上がる。D−FF94
bは、これに基づいて、ADC94aから該時点に与え
られているデジタル信号を記憶し、次にタイミングパル
スTPが立ち上がるまで(Tu2になるまで)保持する。
また、走査期間中、第9の実施形態と同様に、第4スイ
ッチ92は、T側を選択している。この結果、待機目標
発生回路12cは、基準波形生成部93およびレベル変
更部94の状態に関わらず、待機目標信号Srefとし
て、0レベルの信号を出力している(図41に示すTu1
からTd1までの期間)。
【0235】図40に示すように、非走査期間になると
(Td1の時点)、ヘッド切替え信号HSWのレベルが変
化し、第4スイッチ92は、U側を選択する。これによ
り、待機目標信号Srefは、レベル変更部94の出力
となる。また、この時点には、タイミングパルスTP2
が立ち上がる。カウンタ93bは、これに基づいて、カ
ウント値を0クリアし、その後、周期的に入力されるク
ロック信号CKに同期して、カウントを始める。ROM
93aは、カウンタ93bから順次与えられるカウント
値に応じて、cos波形を示すデータ列を順次読み出
す。乗算器94cは、データ列を構成する各デジタル信
号に、D−FF94bが保持している値を乗ずる。さら
に、DAC94dは、乗算器94cから順次与えられる
デジタル信号をアナログ信号に変換し、第4スイッチ9
2を介して出力する。これにより、図41に示すよう
に、非走査期間中(Td1からTu2までの期間)、待機目
標発生回路12cは、待機目標信号Srefとして、c
os波形を出力する。該cos波形の周期、位相、およ
び振幅は、上述のように設定されているため、先に説明
した2つの条件を満たしている。すなわち、非走査期間
の開始時(Td1の時点)および終了時(Tu2の時点)に
おいて、待機目標信号Srefのレベルは、直前の走査
期間の開始時(Tu1の時点)における追従目標推定信号
Trハットのレベルと等しい。同時に、非走査期間中、
待機目標信号Srefは、DC成分を有していない。
【0236】続いて、走査期間になると(Tu2の時
点)、第4スイッチ92がT側を選択するので、待機目
標信号Srefは、0レベルとなる。また、この時点に
は、タイミングパルスTPが立ち上がるので、D−FF
94bは、新たに、該時点における追従目標推定信号T
rハットのレベルを保持する。
【0237】待機目標発生回路12cは、これ以降は、
上述の動作を繰り返し、走査期間中は、0レベルの待機
目標信号Srefを出力し、かつ、非走査期間の終了時
には、直前の走査期間の開始時における追従目標推定信
号Trハットのレベルと同じレベルとなるcos波形を
出力する。なお、図42に示すように、トラック曲がり
Trが図41と異なっている場合であっても、図41と
同様に、待機目標発生回路12cは、上述の2つの条件
を満たす待機目標信号Srefを作成できる。
【0238】両図41・42では、上記両レベルの対応
を矢印で示している。
【0239】なお、待機目標発生回路12cの構成は、
図39の構成に限定されるものではなく、例えば、基準
波形生成部93あるいはレベル変更部94をアナログ回
路で構成するなど、他の構成を用いてもよい。また、待
機目標発生回路12cが生成する波形もcos波形に限
るものではない。待機目標発生回路12cが上述した2
つの条件を満たす波形を生成するものであれば、本実施
形態と同様の効果が得られる。
【0240】次に、上記待機目標発生回路12cを備え
た制御装置全体(図28参照)の動作について、図43
に基づいて説明する。すなわち、走査期間(例えば、T
u1からTd1までの期間)において、第1ないし第3スイ
ッチ11・14・74は、第9の実施形態と同様に、い
ずれもT側を選択している。したがって、走査期間中、
本実施形態に係る制御装置は、第1ないし第4の実施形
態と同様に、図30に示す磁気ヘッド26(信号再生素
子1)を、トラック曲がりTrに追従させている。
【0241】非走査期間になると(Td1の時点)、上記
各スイッチ11・14・74は、U側を選択する。ま
た、待機目標発生回路12cは、例えば、図41に示す
ように、非走査期間の終了時(Tu2の時点)において、
直前の走査期間の開始時(Tu1の時点)における追従目
標推定信号Trハットのレベルと同じレベルを持ち、か
つ、DC成分を持たない待機目標信号Srefを生成す
る。これにより、非走査期間中(Td1からTu2までの期
間)、上記磁気ヘッド26は、第9の実施形態と同様に
して、推定位置信号Xハットが待機目標信号Srefに
一致するように制御される。この結果、当該期間中、上
記磁気ヘッド26の変位Xは、図43に示すようにな
る。ただし、本実施形態では、上述したように待機目標
信号Srefが設定されている。これにより、上記磁気
ヘッド26は、従来技術と異なり、非走査期間の終了時
(Tu2の時点)において、その直前の走査期間の開始時
(Tu1の時点)における追従目標位置、すなわち、次の
走査期間の開始時(Tu2の時点)における追従目標位置
付近に導かれる。
【0242】以降は、同様の動作を繰り返し、制御装置
は、走査期間中、磁気ヘッド26をトラック曲がりTr
へ追従させると共に、非走査期間の終了時には、適正な
位置で待機できる。
【0243】図中に比較例として記載しているように、
従来では、磁気ヘッド26の変位Xは、非走査期間の長
さなどとは無関係に固有振動している。したがって、ト
ラック走査開始時において、磁気ヘッド26の位置X
が、その追従目標位置から不所望に離れている場合があ
る。ところが、本実施形態に係る制御装置は、非走査期
間の終了時において、上記磁気ヘッド26の位置を適正
に設定できる。したがって、図44に示すように、トラ
ック走査開始時において、本実施形態に係る制御装置の
誤差信号Err10は、従来の誤差信号Err0 に比べ
て、絶対値が非常に小さい値になる。この結果、当該磁
気ヘッド26は、トラック走査開始時から即座にトラッ
ク曲がりTrに追従できる。これにより、従来に比べ
て、走査期間開始時における追従精度を著しく向上でき
る。なお、図43および図44、並びに、後述する図4
5中に記載の従来技術は、図35と同様に、図50に示
す構成の制御装置である。
【0244】さらに、本実施形態では、図43に示すよ
うに、図35に示す第9の実施形態とは異なり、非走査
期間中、磁気ヘッド26の変位Xは、DC的なオフセッ
トを持たない。したがって、その後の走査期間におい
て、第9の実施形態にて、トラック曲がりTrに付加さ
れていた等価的なDCオフセットを防止できる。この結
果、図44に示すように、本実施形態に係る誤差信号E
rr10は、第9の実施形態に係る誤差信号Err9 とは
異なり、走査期間中の全てに渡って、従来の誤差信号E
rr0 に比べて、その絶対値が非常に小さい値になる。
これにより、走査期間全体において、制御装置は、磁気
ヘッド26の追従精度を従来に比べて著しく向上でき
る。
【0245】また、図42に示すように、図43と異な
るトラック曲がりTrに磁気ヘッド26を追従させる場
合であっても、図45に示すように、制御装置は、非走
査期間の終了時において、磁気ヘッド26を適正な位置
に導くことができる。したがって、この例においても、
磁気ヘッド26は、図43と同様に、トラック走査開始
時から良好にトラック曲がりTrへ追従できる。
【0246】この結果、本実施形態に係る制御装置は、
走査期間中、第1ないし第4の実施形態と同様のトラッ
キング精度を得ながら、同時に、非走査期間中の磁気ヘ
ッド26を適正な位置へと待機させることができる。な
お、以上の説明では、図28に示す待機目標発生回路1
2として、図39に示す構成の待機目標発生回路12c
を用いた場合について説明しているが、これに限るもの
ではない。例えば、第9の実施形態の変形例1(図3
7)に示すように、第3スイッチ74、あるいは、第4
スイッチ92を省略してもよい。また、第9の実施形態
の変形例2(図38)と同様に、第7および第8の実施
形態など、図28とは異なる構成の制御装置へ、本実施
形態と同様の待機処理を行う部材を追加しても、本実施
形態と同様の効果が得られる。
【0247】上述したように、第9および第10の実施
形態に係る制御装置は、第1ないし第8の実施形態と同
様の信号再生素子1、アクチュエータ2、誤差検出器3
および駆動回路4を備えている。また、上記両実施形態
には、アクチュエータ2へ与えられる操作量Sdに基づ
いて、信号再生素子1の位置Xを推定するアクチュエー
タ模擬回路6と、誤差検出器3およびアクチュエータ模
擬回路6の出力に基づいて、信号再生素子1の追従目標
であるトラック曲がりTrを推定する追従目標推定器7
(7a)とが設けられている。
【0248】さらに、両実施形態に係る制御装置は、走
査期間における追従目標推定器7の出力に基づいて、非
走査期間における信号再生素子1の追従目標を指示する
待機目標発生回路12と、非走査期間において、アクチ
ュエータ模擬回路6が生成した推定位置信号Xハット、
および、待機目標発生回路12が出力する待機目標信号
Srefを比較して、両者の差信号を駆動回路4へ入力
する比較器13とを備えている。
【0249】走査期間中は、第1ないし第8の実施形態
と同様に、駆動回路4は、アクチュエータ2へ与える操
作量Sdを調節している。これにより、信号再生素子1
は、トラック曲がりTrに追従している。
【0250】一方、非走査期間中、アクチュエータ模擬
回路6は、走査期間中と変わらず、推定位置信号Xハッ
トを生成している。また、待機目標発生回路12は、例
えば、次の検出期間の開始時における追従目標を推定す
るなどして、非走査期間中における追従目標を示す待機
目標信号Srefを生成する。さらに、比較器13は、
待機目標信号Srefと推定位置信号Xハットとの差信
号を駆動回路4へ入力する。これにより、信号再生素子
1は、推定位置信号Xハットが待機目標信号Srefと
一致するように制御される。
【0251】この結果、信号再生素子1は、非走査期間
において、従来のように不所望に振動することなく、待
機目標信号Srefが示す待機目標に追従する。この結
果、信号再生素子1は、次の検出期間の開始時から即座
に目標値に追従できる。したがって、検出期間の開始時
における追従精度を向上できる。
【0252】待機目標発生回路12において、待機目標
信号Srefの生成方法は、種々のものが考えられる。
例えば、一般的な回転ヘッド型磁気テープ装置のよう
に、各走査期間の開始時における追従目標が互いに相関
を有している場合は、上記両実施形態に示すように、各
非走査期間の終了時における待機目標信号Srefが、
直前の走査期間の開始時における追従目標推定信号Tr
ハットの値と一致するように、待機目標信号Srefを
生成する。
【0253】これにより、制御装置は、各走査期間の開
始時において、追従目標近傍へ信号再生素子1を確実に
案内できる。この結果、信号再生素子1は、各走査期間
の開始時から、トラック曲がりTrに即座に追従でき、
走査期間開始時における追従精度を、さらに向上でき
る。
【0254】上記の方法で待機目標信号Srefを生成
するために、待機目標発生回路12は、第9の実施形態
に示すように、各走査期間の開始時に、追従目標推定信
号Trハットをサンプルホールドするサンプルホールド
回路91を備えていることが好ましい。これにより、第
9の実施形態に係る待機目標発生回路12(12a、1
2b)は、簡単な構成で、非走査期間の終了時におい
て、所望の値を持つ待機目標信号Srefを生成でき
る。この結果、走査期間開始時における追従精度の向上
した制御装置を簡単な構成で実現できる。
【0255】ところで、上記構成の待機目標発生回路1
2(12a、12b)を用いた場合、非走査期間におい
て、待機目標信号SrefがDCオフセットを有してい
るため、信号再生素子1は、略DC的なオフセットを持
った位置で待機する。したがって、その後の走査期間に
おいて、トラック曲がりTrには、等価的なオフセット
が現れる。この結果、走査期間中の一部において、相対
誤差が大きくなり、追従精度が低下する虞れがある。
【0256】そこで、第10の実施形態に示すように、
待機目標発生回路12cは、非走査期間中において、直
流成分を持たない待機目標信号Srefを生成する方が
よい。
【0257】上記構成では、制御装置は、非走査期間に
おいて、第9の実施形態と同様に、待機目標信号Sre
fに推定位置信号Xハットが一致するように、信号再生
素子1を案内している。ただし、上記待機目標信号Sr
efが直流成分を有していないため、制御装置は、上記
DCオフセットを持つことなく、信号再生素子1を案内
できる。この結果、上記第9の実施形態に比べて、走査
期間における追従精度を、さらに向上できる。また、非
走査期間終了時には、上記第9の実施形態と同様に、待
機目標信号Srefの値は、直前の走査期間開始時の追
従目標推定信号Trハットと同じ値に設定される。した
がって、従来に比べて、走査期間の開始時の追従精度を
向上できる。これらの結果、走査期間と非走査期間とが
交互に設けられている制御装置において、走査期間全般
に渡り、追従精度を向上できる。
【0258】〔第11の実施形態〕上述の第1ないし第
10の実施形態は、いずれの場合も、信号再生素子1と
トラック曲がりTrとの相対位置誤差を示す誤差信号E
rrに基づいて、高精度かつ高い周波数帯域まで信号再
生素子1をトラック曲がりTrに追従させるものであっ
た。これに対し、本実施形態では、アクセス目標に信号
再生素子1を高速に追従させる。
【0259】本実施形態に係る情報記録再生装置は、図
46に示すように、信号再生素子1と、アクチュエータ
2と、アクセス目標に基づいて、該アクチュエータ2へ
操作量Sd1を指示する駆動回路(操作手段)4aと、
操作量Sd1に対する信号再生素子1の位置Xを推定す
るアクチュエータ模擬回路(アクチュエータ模擬手段)
6と、駆動回路4aの前段に設けられ、このアクチュエ
ータ模擬回路6が推定した推定位置信号Xハットをアク
セス目標と比較する比較器(比較手段)15とを備えて
いる。なお、図46において、上記各実施形態の図と同
様の構成を持つ部材には、説明の便宜上、同じ番号を付
して説明を省略する。
【0260】上記構成では、比較器15は、推定位置信
号Xハットをアクセス目標と比較し、駆動回路4aは、
その比較結果を入力として、アクチュエータ2およびア
クチュエータ模擬回路6へ、駆動信号Sd1を出力す
る。そして、比較器15にて、アクチュエータ模擬回路
6の出力Xハットと、アクセス目標とは、再び比較され
る。これにより、信号再生素子1は、推定位置信号Xハ
ットがアクセス目標と一致するように制御され、高速に
所望の位置へ到達する。この結果、本実施形態では、速
度検出器を用いることなく、目標トラックに高速にアク
セスできる。
【0261】ところで、信号再生素子1が目標トラック
へ高速にアクセスしようとすると、移動速度を上げる必
要がある。一方、移動速度の上昇に伴い、信号再生素子
1の質量の影響によって、目標トラックにて正確に停止
させることが困難になる。したがって、従来の情報記録
再生装置では、速度検出器を設け、信号再生素子1の移
動速度が目標トラック近傍で低下するように、速度制御
を行っている。
【0262】ところが、本実施形態に係る情報記録再生
装置では、速度検出器を設けて速度制御することなく、
目標トラックへ高速にアクセスできる。この結果、情報
記録再生装置の構成を従来に比べて簡略化できる。
【0263】なお、上記第1ないし第11の実施形態で
は、例えば、突き抜けサーボ方式を採用した情報記録再
生装置のように、共振点を有する2次遅れ要素として表
現できるアクチュエータ2を制御対象とすると共に、駆
動回路4が、該アクチュエータ2の共振周波数fr より
高い帯域において、位相進み補償を行っている場合につ
いて説明したが、これに限るものではない。上記各実施
形態は、突き抜けサーボ方式を採用していない制御装置
に対しても適用できる。
【0264】ただし、上記各実施形態の制御装置は、安
定性を保ったまま、追従精度を向上できるため、突き抜
けサーボ方式を採用した制御装置に適用しても、十分な
安定性を確保できる。したがって、アクチュエータ2の
共振周波数fr を低く設定したままで、信号再生素子1
の追従精度および追従周波数を向上できる。この結果、
情報記録再生装置において、消費電力の低減と、トラッ
ク曲がりTrに対する信号再生素子1の追従精度の向上
による記録密度の向上との双方を実現でき、特に効果が
大きい。なお、この効果は、第4、第6、および第8の
実施形態に示すように、トラック曲がりTrの基本周波
数ftrを中心とするバンドパスフィルタを用いたとき
に、特に顕著である。
【0265】また、上記第1ないし第11の実施形態で
は、ディスク装置や回転ヘッド型磁気テープなどの情報
記録再生装置に制御装置を用いた場合について説明した
が、これに限るものではない。例えば、カメラやロボッ
トなどに供し、レンズの軸や腕の位置、速度、加速度な
どを所望の目標値に追従させるものでもよい。目標値に
合わせて、制御対象を制御するものであれば、様々な装
置に適用できる。なお、制御対象が情報記録再生装置で
はないとき、すなわち、トラックを持たない場合には、
トラック曲がりTrは、各装置における所望の目標値に
相当する。
【0266】ただし、情報記録再生装置において、記録
媒体の記録密度および記録容量を向上させる場合、信号
再生素子1に対して、トラッキング制御やフォーカス制
御などを高精度かつ広帯域に行う必要がある。一方、ト
ラック曲がりTrやディスクの反りなどによって、トラ
ッキング制御およびフォーカス制御などの目標値は、時
間的に変化する。さらに、通常、情報記録再生装置にお
ける上記各制御において、誤差検出器3は、信号再生素
子1と目標値との相対誤差のみを検出する。したがっ
て、トラック曲がりTrやディスクの反りなどの追従目
標を直接測定することができない。
【0267】ところが、上記各実施形態に係る制御装置
を情報記録再生装置に用いることによって、追従目標値
を直接測定することなく、該追従目標に対して、信号再
生素子1を、高精度かつ広帯域に安定して追従させるこ
とができる。この結果、情報記録再生装置において、記
録媒体の記録密度および記録容量を向上できる。
【0268】さらに、情報記録再生装置のトラッキング
制御に上記制御装置を用いることによって、従来のよう
にトラック幅が広い場合には問題にならなかった様な微
小なトラック曲がりTrに対しても、信号再生素子1を
高精度に追従させることができる。この結果、記録媒体
に形成するトラックの間隔を狭くしても、信号再生素子
1は、隣接するトラックの影響を受けることなく、所望
のトラックへ記録あるいは再生できる。これにより、ト
ラック幅を従来より狭く設定できる。したがって、記録
媒体の記録密度を向上させ、記録容量を増加できる。
【0269】
【発明の効果】請求項1の発明に係る制御装置は、以上
のように、制御対象の特性を模擬しており、制御対象の
操作量に基づいて、推定した制御量を示す、制御量推定
信号を出力する制御対象模擬手段と、相対誤差および制
御量推定信号に基づいて、推定した、制御量の追従目標
値を示す、追従目標推定信号を出力する追従目標推定手
段と、上記制御対象の逆特性を模擬する逆特性模擬部お
よびゲイン部を含み、上記操作手段の入力側または出力
側へ上記追従目標推定信号をフィードフォワードするフ
ィードフォワードゲインとを備えている構成である。
【0270】それゆえ、上記追従目標推定手段が追従目
標をリアルタイムに推定し、制御対象への操作量へ、推
定した結果をリアルタイムにフィードフォワードでき
る。したがって、従来の制御装置に比べて、安定性を保
持したまま、制御対象の目標値に対する追従精度を向上
させると共に追従周波数帯域を広げることができるとい
う効果を奏する。
【0271】請求項2の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項1記載の発明の構成において、上記ゲイ
ン部は、フィルタを備えている構成である。
【0272】それゆえ、特定の帯域における制御装置の
追従精度を向上させると共に、上記特定の帯域以外にお
いて、制御装置の特性を従来と同様に保つことができ
る。この結果、制御装置の安定性をさらに向上できると
いう効果を奏する。
【0273】請求項3の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項2記載の発明の構成において、上記フィ
ルタが、上記制御対象の追従目標の基本周波数と等しい
周波数の成分を通過させるバンドパスフィルタである構
成である。
【0274】それゆえ、上記追従目標の基本周波数にお
いて、追従精度を向上させると共に、該基本周波数から
離れた帯域において、制御装置の特性を従来と同様に保
つことができる。加えて、フィードフォワードループを
構成する各要素の特性設定時の自由度が増す。この結
果、制御装置の安定性と、上記基本周波数における制御
対象の追従精度とを、さらに向上できるという効果を奏
する。
【0275】請求項4の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項3記載の発明の構成において、上記制御
対象模擬手段あるいは逆特性模擬部の少なくとも一方
は、上記バンドパスフィルタの通過帯域における、上記
制御対象の特性、あるいは、その逆特性を模擬している
構成である。
【0276】上記構成では、模擬する帯域が限定されて
いるため、制御対象模擬手段あるいは逆特性模擬部は、
例えば、比例要素のゲインなどの簡単な回路で実現でき
る。したがって、請求項3記載の制御装置と略同様の効
果を持ったまま、制御装置の構成をさらに簡略にできる
という効果を奏する。
【0277】請求項5の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項1、2、または3記載の発明の構成にお
いて、上記制御対象模擬手段および逆特性模擬部は、そ
れぞれ、上記制御対象の特性のうち、少なくとも最高次
の積分特性、および、少なくとも最高次の積分特性の逆
特性を模擬している構成である。
【0278】上記構成では、制御対象模擬手段および逆
特性模擬部は、全ての特性を模擬しないため、制御対象
模擬手段および逆特性模擬部の構成を簡略にすることが
できる。したがって、請求項1、2、3記載の制御装置
と略同様の効果を持ったまま、制御装置の構成をさらに
簡略にできるという効果を奏する。
【0279】請求項6の発明に係る制御装置は、以上の
ように、制御対象へ操作量を指示する操作手段は、フィ
ルタを介した正帰還ループを備えている構成である。
【0280】それゆえ、安定性を確保したまま、制御装
置の開ループゲインを向上できる。この結果、請求項2
記載の発明の構成に比べて簡単な構成でありながら、安
定性を保ったまま、制御対象の目標値に対する追従精度
を向上できるという効果を奏する。
【0281】請求項7の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項6に記載の発明の構成において、上記フ
ィルタは、上記制御対象の追従目標の基本周波数と等し
い周波数の成分を通過させるバンドパスフィルタである
構成である。
【0282】上記構成において、上記正帰還ループは、
基本周波数における開ループゲインを増大させる。ま
た、基本周波数から離れた帯域では、制御装置の特性
は、従来と同様に保たれる。この結果、制御装置の安定
性を保ったまま、基本周波数における追従精度を向上で
きるという効果を奏する。
【0283】請求項8の発明に係る制御装置は、以上の
ように、請求項3、4または7記載の発明の構成におい
て、上記制御対象は、共振点を有する2次遅れ要素であ
り、上記操作手段は、上記制御対象の共振周波数より高
い周波数帯域にて、位相進み補償を行う位相補償部を備
えている構成である。
【0284】上記構成では、位相補償部が、制御対象の
共振周波数より高い周波数帯域において、位相進み補償
を行うため、制御対象の共振周波数を高く設定すること
なく、制御装置の制御帯域を広げることができる。それ
ゆえ、従来の制御装置に比べて、制御対象の消費電力を
増加させることなく、制御対象の目標値に対する追従精
度を向上させると共に、その追従周波数帯域を広げるこ
とができるという効果を奏する。
【0285】請求項9の発明に係る情報記録再生装置
は、以上のように、請求項1、2、3、4、5、6、
7、または8に記載の制御装置を備え、上記制御装置の
制御対象には、トラックが設けられた記録媒体に対し
て、記録あるいは再生のうち、少なくとも一方を行う信
号記録再生部と、上記信号記録再生部を移動させるアク
チュエータとが設けられている構成である。
【0286】それゆえ、上記信号記録再生部は、安定性
を保ったまま、高精度かつ広帯域に追従目標値へ追従で
きる。この結果、記録媒体の記録密度を向上でき、記録
容量を増大できるという効果を奏する。
【0287】請求項10の発明に係る情報記録再生装置
では、以上のように、請求項9記載の発明の構成におい
て、上記アクチュエータは、上記信号記録再生部をトラ
ックの幅方向に移動させ、上記誤差検出手段は、上記信
号記録再生部と所望のトラックとの相対位置誤差を検出
する構成である。
【0288】それゆえ、情報記録再生装置は、従来問題
にならなかった様な微小なトラック曲がりに対しても、
信号記録再生部を、高精度かつ広帯域に追従させること
ができる。したがって、記録媒体に設けられるトラック
の幅をさらに狭く設定できる。この結果、記録媒体の記
録密度と記録容量とをさらに向上できるという効果を奏
する。
【0289】請求項11の発明に係る情報記録再生装置
は、信号記録再生部を移動させるアクチュエータの特性
を模擬しており、アクチュエータの操作量に基づいて、
上記信号記録再生部の位置を推定し、推定位置信号を出
力するアクチュエータ模擬手段と、上記信号記録再生部
の所望の位置を示す目標値と上記の推定位置信号との差
信号を、上記操作手段へ入力する比較手段とを備えてい
る構成である。
【0290】それゆえ、目標値と推定位置信号との差に
応じて、アクチュエータは、信号記録再生部を移動させ
ることができる。したがって、従来のように、例えば、
速度センサなどを用いて信号記録再生部の速度に応じた
速度制御を行うことなく、例えば、目標のトラック位置
などの目標位置へ、信号再生部を高速に案内または保持
できる。この結果、目標位置へ信号再生部を高速に案内
または保持でき、かつ簡略な構成の情報記録再生装置を
実現できるという効果を奏する。
【0291】請求項12の発明に係る制御装置は、以上
のように、制御対象の特性を模擬しており、制御対象の
操作量に基づいて、推定した制御量を示す、制御量推定
信号を出力する制御対象模擬手段と、制御対象の制御量
と目標値との相対誤差および上記制御量推定信号に基づ
いて、推定した、制御量の追従目標値を示す、追従目標
推定信号を出力する追従目標推定手段と、検出期間にお
ける上記追従目標推定信号に基づいて、非検出期間にお
ける制御量の追従目標を示す、待機目標信号を作成する
待機目標発生手段と、非検出期間中、上記待機目標信号
と上記制御量推定信号との差信号を、上記制御対象の操
作量を調整する操作手段へ入力する比較手段とを備えて
いる構成である。
【0292】上記構成では、制御装置は、非検出期間に
おいて、誤差検出手段が相対誤差を検出できない場合で
も、制御対象を制御することができる。したがって、非
検出期間における不所望な振動を防止できる。この結
果、制御対象は、次の検出期間の開始時から即座に目標
値へ追従できる。これにより、検出期間の開始時におけ
る追従精度を向上できるという効果を奏する。
【0293】請求項13の発明に係る制御装置は、以上
のように、請求項12記載の発明の構成において、上記
制御対象の制御量の追従目標値が、上記検出期間の開始
毎に、互いに相関を有しており、上記待機目標発生手段
は、上記非検出期間の終了時において、その直前の検出
期間の開始時における追従目標推定信号の値と一致す
る、待機目標信号を作成する構成である。
【0294】上記構成では、制御装置は、各検出期間の
開始時において、前回の検出期間の開始時における追従
目標値、すなわち、該検出期間開始時における追従目標
値近傍へ制御対象を確実に案内できる。それゆえ、検出
期間の開始時における追従精度をさらに向上できるとい
う効果を奏する。
【0295】請求項14の発明に係る制御装置は、以上
のように、請求項13記載の発明の構成において、上記
待機目標発生手段は、上記検出期間の開始時における、
上記追従目標推定信号を保持すると共に、次の非検出期
間中、待機目標信号として、保持した値を出力する記憶
手段を備えている構成である。
【0296】上記構成では、各非検出期間中、制御装置
は、次の検出期間の開始時における追従目標位置近傍で
制御対象を待機させる。この結果、制御対象は、各検出
期間の開始時において、即座に目標値へ追従できる。ま
た、記憶手段は、例えば、サンプルホールド回路などで
実現できる。それゆえ、各検出期間の開始時における追
従精度が向上した制御装置を簡単な構成で実現できると
いう効果を奏する。
【0297】請求項15の発明に係る制御装置は、以上
のように、請求項13記載の発明の構成において、上記
待機目標発生手段は、上記非検出期間の終了時における
信号の値が、上記検出期間の開始時における追従目標推
定信号の値と一致し、かつ、その信号波形が直流成分を
持たない待機目標信号を作成する構成である。
【0298】上記構成では、待機目標信号が直流成分を
持っていないため、非検出期間において、制御対象のD
C的なオフセットを削減できる。この結果、検出期間に
おける追従精度をさらに向上できる。一方、非検出期間
の終了時には、制御装置は、直前の検出期間の開始時に
おける追従目標へ制御対象を案内する。したがって、検
出期間の開始時および検出期間中、双方において、制御
対象の追従精度をさらに向上できるという効果を奏す
る。
【0299】請求項16の発明に係る制御装置は、以上
のように、請求項12、13、14、または15に記載
の発明の構成に加えて、上記制御対象の逆特性を模擬す
る逆特性模擬部およびゲイン部を含み、上記操作手段の
入力側または出力側へ上記追従目標推定信号をフィード
フォワードするフィードフォワードゲインを備えている
構成である。
【0300】それゆえ、上記請求項1、および、請求項
12ないし15に記載の発明をそれぞれ別に適用した場
合とは異なり、制御対象模擬手段および追従目標推定手
段を共用できる。この結果、請求項1と、請求項12な
いし15との双方の効果に加えて、制御装置の構成を簡
略にできるという効果を奏する。
【0301】請求項17の発明に係る情報記録再生装置
は、以上のように、請求項12、13、14、15、ま
たは16に記載の制御装置と、磁気テープが、予め定め
る巻付け角で外周面に巻き付けられた回転ドラムとを含
み、上記制御対象には、回転ドラムの外周面に配置され
る磁気ヘッドと、上記磁気テープに設けられた所望のト
ラックへ磁気ヘッドを案内するアクチュエータとが設け
られている構成である。
【0302】上記構成では、情報記録再生装置は、少な
くとも非走査期間の終了時において、直前のトラック走
査開始時における追従目標位置に磁気ヘッドを待機させ
る。したがって、トラック走査開始時において、磁気ヘ
ッドは、トラック曲がりへ即座に追従できる。この結
果、従来に比べて、トラック走査開始時における追従精
度を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1ないし第6の実施形態に係る情報
記録再生装置において、制御装置の要部を示すブロック
図である。
【図2】上記情報記録再生装置の構成例を示すものであ
り、ディスク装置の要部を示す斜視図である。
【図3】上記制御装置において、上記図1を伝達関数表
記した制御ブロック図である。
【図4】上記制御装置において、アクチュエータの特性
を示すボード線図である。
【図5】上記図3を、さらに詳細に示したものであり、
第1ないし第4の実施形態に係る情報記録再生装置にお
いて、制御装置の要部を示す制御ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る情報記録再生装
置において、制御装置の開ループ伝達特性を示すボード
線図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る情報記録再生装
置において、制御装置に設けられたローパスフィルタの
伝達特性を示すボード線図である。
【図8】上記制御装置において、各要素の伝達特性と開
ループ伝達特性との関係を示すボード線図である。
【図9】上記制御装置において、開ループ伝達特性を示
すボード線図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る情報記録再生
装置において、制御装置に設けられたローパスフィルタ
の伝達特性を示すボード線図である。
【図11】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る情報記録再生
装置において、制御装置に設けられたバンドパスフィル
タの伝達特性を示すボード線図である。
【図13】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図14】上記図3を、さらに詳細に示したものであ
り、第5の実施形態に係る情報記録再生装置において、
制御装置の要部を示す制御ブロック図である。
【図15】上記制御装置において、アクチュエータの伝
達関数とアクチュエータ模擬回路の伝達関数との比を示
すボード線図である。
【図16】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図17】上記図3を、さらに詳細に示したものであ
り、第6の実施形態に係る情報記録再生装置において、
制御装置の要部を示す制御ブロック図である。
【図18】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図19】上記図3を、さらに詳細に示したものであ
り、第6の実施形態に係る制御情報記録再生装置におい
て、制御装置の変形例を示す制御ブロック図である。
【図20】本発明の第1ないし第6の実施形態に係る情
報記録再生装置において、制御装置の一変形例を示すも
のであり、制御装置の要部構成を示すブロック図であ
る。
【図21】上記制御装置において、上記図20を伝達関
数表記した制御ブロック図である。
【図22】本発明の第7および第8の実施形態に係る情
報記録再生装置において、制御装置の要部構成を示すブ
ロック図である。
【図23】上記制御装置において、上記図22を伝達関
数表記した制御ブロック図である。
【図24】本発明の第7の実施形態に係る情報記録再生
装置において、制御装置に設けられた正帰還ループの伝
達特性を示すボード線図である。
【図25】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図26】本発明の第8の実施形態に係る情報記録再生
装置において、制御装置に設けられた正帰還ループの伝
達特性を示すボード線図である。
【図27】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図28】本発明の第9および第10の実施形態に係る
情報記録再生装置において、制御装置の要部構成を示す
ブロック図である。
【図29】上記制御装置において、第9の実施形態に係
る待機目標発生回路の要部構成を示すブロック図であ
る。
【図30】上記情報記録再生装置の構成例を示すもので
あり、回転ヘッド型磁気テープ装置のドラム装置の要部
を示す断面図である。
【図31】上記ドラム装置の要部を示す斜視図である。
【図32】上記回転ヘッド型磁気テープ装置におけるト
ラックパターンを説明する説明図である。
【図33】上記制御装置に印加される各信号を示すタイ
ミングチャートである。
【図34】本発明の第9の実施形態に係る制御装置にお
いて、待機目標信号の一例を示すタイミングチャートで
ある。
【図35】上記制御装置において、磁気ヘッドの変位の
一例を示すタイミングチャートである。
【図36】上記制御装置において、誤差信号の一例を示
すタイミングチャートである。
【図37】上記制御装置の一変形例を示すものであり、
制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図38】上記制御装置の他の変形例を示すものであ
り、制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図39】本発明の第10の実施形態に係る情報記録再
生装置において、制御装置の待機目標発生回路の要部構
成を示すブロック図である。
【図40】上記待機目標発生回路に供給される各信号を
示すタイミングチャートである。
【図41】上記制御装置において、待機目標信号の一例
を示すタイミングチャートである。
【図42】上記制御装置において、待機目標信号の他の
例を示すタイミングチャートである。
【図43】上記制御装置において、磁気ヘッドの変位の
一例を示すタイミングチャートである。
【図44】上記制御装置において、誤差信号の一例を示
すタイミングチャートである。
【図45】上記制御装置において、磁気ヘッド変位の他
の例を示すタイミングチャートである。
【図46】本発明の第11の実施形態に係る情報記録再
生装置において、制御装置の要部構成を示すブロック図
である。
【図47】トラック曲がりを説明する説明図である。
【図48】上記図47に示すように磁気ヘッドが移動し
た場合、時間の変化とトラック曲がりとの関係を示すグ
ラフである。
【図49】従来例を示すものであり、情報記録再生装置
における制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図50】他の従来例を示すものであり、情報記録再生
装置における制御装置の要部構成を示すブロック図であ
る。
【図51】上記図49を伝達関数表記したものであり、
制御装置の要部を示す制御ブロック図である。
【図52】上記制御装置が突き抜けサーボ方式を採用し
た場合において、開ループ伝達特性を示すベクトル軌跡
である。
【図53】上記制御装置において、開ループ伝達特性を
示すボード線図である。
【図54】さらに他の従来例を示すものであり、情報記
録再生装置における制御装置の要部構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
1 信号再生素子(信号記録再生部) 2 アクチュエータ(制御対象) 3 誤差検出器(誤差検出手段) 4 駆動回路(操作手段、位相進み補償部) 4a 駆動回路(操作手段) 6 アクチュエータ模擬回路(制御対象模擬手段) 7 追従目標推定器(追従目標推定手段) 8 フィードフォワードゲイン 10 フィルタ 12 待機目標発生回路(待機目標発生手段) 13 比較器(比較手段) 15 比較器(比較手段) 25 回転ドラム 26 磁気ヘッド 81 逆特性模擬回路(逆特性模擬部) 82 フィードフォワードゲイン部(ゲイン部、フィ
ルタ) 91 サンプルホールド回路(記憶手段)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】指示された操作量に基づいて、機械的動作
    を行う制御対象と、 該制御対象の制御量と目標値との相対誤差を検出する誤
    差検出手段と、 上記相対誤差に基づいて、上記制御対象に指示する操作
    量を調節する操作手段とを有する制御装置において、 上記制御対象の特性を模擬しており、上記操作量に基づ
    いて、推定した制御量を示す、制御量推定信号を出力す
    る制御対象模擬手段と、 上記相対誤差および制御量推定信号に基づいて、推定し
    た、制御量の追従目標値を示す、追従目標推定信号を出
    力する追従目標推定手段と、 上記制御対象の逆特性を模擬する逆特性模擬部およびゲ
    イン部を含み、上記操作手段の入力側または出力側へ上
    記追従目標推定信号をフィードフォワードするフィード
    フォワードゲインとを備えていることを特徴とする制御
    装置。
  2. 【請求項2】上記ゲイン部は、フィルタを備えているこ
    とを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. 【請求項3】上記フィルタは、上記制御対象の追従目標
    の基本周波数と等しい周波数の成分を通過させるバンド
    パスフィルタであることを特徴とする請求項2記載の制
    御装置。
  4. 【請求項4】上記制御対象模擬手段あるいは逆特性模擬
    部の少なくとも一方は、上記バンドパスフィルタの通過
    帯域における、上記制御対象の特性、あるいは、その逆
    特性を模擬していることを特徴とする請求項3記載の制
    御装置。
  5. 【請求項5】上記制御対象模擬手段および逆特性模擬部
    は、それぞれ、上記制御対象の特性のうち、少なくとも
    最高次の積分特性、および、少なくとも最高次の積分特
    性の逆特性を模擬していることを特徴とする請求項1、
    2、または3記載の制御装置。
  6. 【請求項6】指示された操作量に基づいて、機械的動作
    を行う制御対象と、 該制御対象の制御量と目標値との相対誤差を検出する誤
    差検出手段と、 上記相対誤差に基づいて、上記制御対象へ操作量を指示
    する操作手段とを有する制御装置において、 上記操作手段は、フィルタを介した正帰還ループを備え
    ていることを特徴とする制御装置。
  7. 【請求項7】上記フィルタは、上記制御対象の追従目標
    の基本周波数と等しい周波数の成分を通過させるバンド
    パスフィルタであることを特徴とする請求項6記載の制
    御装置。
  8. 【請求項8】上記制御対象は、共振点を有する2次遅れ
    要素であり、 上記操作手段は、上記制御対象の共振周波数より高い周
    波数帯域にて、位相進み補償を行う位相補償部を備えて
    いることを特徴とする請求項3、4または7記載の制御
    装置。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5、6、7、また
    は8に記載の制御装置を備え、 上記制御装置の制御対象には、トラックが設けられた記
    録媒体に対して、記録あるいは再生のうち、少なくとも
    一方を行う信号記録再生部と、 上記信号記録再生部を移動させるアクチュエータとが設
    けられていることを特徴とする情報記録再生装置。
  10. 【請求項10】上記アクチュエータは、上記信号記録再
    生部をトラックの幅方向に移動させ、 上記誤差検出手段は、上記信号記録再生部と所望のトラ
    ックとの相対位置誤差を検出することを特徴とする請求
    項9記載の情報記録再生装置。
  11. 【請求項11】トラックが設けられた記録媒体に対し
    て、記録あるいは再生のうち、少なくとも一方を行う信
    号記録再生部と、 指示された操作量に基づいて、上記信号記録再生部を移
    動させるアクチュエータと、 上記アクチュエータに指示する操作量を調節する操作手
    段とを有する情報記録再生装置において、 上記アクチュエータの特性を模擬しており、上記操作量
    に基づいて、上記信号記録再生部の位置を推定し、推定
    位置信号を出力するアクチュエータ模擬手段と、 上記信号記録再生部の所望の位置を示す目標値と上記の
    推定位置信号との差信号を、上記操作手段へ入力する比
    較手段とを備えていることを特徴とする情報記録再生装
    置。
  12. 【請求項12】指示された操作量に基づいて、機械的動
    作を行う制御対象と、 上記制御対象の制御量と目標値との相対誤差を検出する
    誤差検出手段と、 与えられた入力に基づいて、上記制御対象へ指示する操
    作量を調節する操作手段とを有し、 上記制御対象の目標値は、間欠的に発生しており、目標
    値が発生していると共に上記誤差検出手段が相対誤差を
    検出できる検出期間と、目標値が発生していないため上
    記誤差検出手段が相対誤差を検出できない非検出期間と
    が交互に設けられており、 上記操作手段には、上記検出期間中、誤差検出手段の検
    出した相対誤差が入力される制御装置において、 上記制御対象の特性を模擬しており、上記操作量に基づ
    いて、推定した制御量を示す、制御量推定信号を出力す
    る制御対象模擬手段と、 上記相対誤差および上記制御量推定信号に基づいて、推
    定した、制御量の追従目標値を示す、追従目標推定信号
    を出力する追従目標推定手段と、 上記検出期間における上記追従目標推定信号に基づい
    て、上記非検出期間における制御量の追従目標を示す、
    待機目標信号を作成する待機目標発生手段と、 上記非検出期間中、上記待機目標信号と上記制御量推定
    信号との差信号を、上記操作手段へ入力する比較手段と
    を備えていることを特徴とする制御装置。
  13. 【請求項13】上記制御対象の制御量の追従目標値が、
    上記検出期間の開始毎に、互いに相関を有しており、 上記待機目標発生手段は、上記非検出期間の終了時にお
    いて、その直前の検出期間の開始時における追従目標推
    定信号の値と一致する、待機目標信号を作成することを
    特徴とする請求項12記載の制御装置。
  14. 【請求項14】上記待機目標発生手段は、上記検出期間
    の開始時における、上記追従目標推定信号を保持すると
    共に、次の非検出期間中、待機目標信号として、保持し
    た値を出力する記憶手段を備えていることを特徴とする
    請求項13記載の制御装置。
  15. 【請求項15】上記待機目標発生手段は、上記非検出期
    間の終了時における信号の値が、上記検出期間の開始時
    における追従目標推定信号の値と一致し、かつ、その信
    号波形が直流成分を持たない待機目標信号を作成するこ
    とを特徴とする請求項13記載の制御装置。
  16. 【請求項16】上記制御対象の逆特性を模擬する逆特性
    模擬部およびゲイン部を含み、上記操作手段の入力側ま
    たは出力側へ上記追従目標推定信号をフィードフォワー
    ドするフィードフォワードゲインを備えていることを特
    徴とする請求項12、13、14、または15記載の制
    御装置。
  17. 【請求項17】請求項12、13、14、15、または
    16に記載の制御装置と、磁気テープが、予め定める巻
    付け角で外周面に巻き付けられた回転ドラムとを含み、 上記制御対象には、回転ドラムの外周面に配置される磁
    気ヘッドと、上記磁気テープに設けられた所望のトラッ
    クへ磁気ヘッドを案内するアクチュエータとが設けられ
    ていることを特徴とする情報記録再生装置。
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