JPH09263248A - 自動車の前部構造 - Google Patents

自動車の前部構造

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JPH09263248A
JPH09263248A JP8072240A JP7224096A JPH09263248A JP H09263248 A JPH09263248 A JP H09263248A JP 8072240 A JP8072240 A JP 8072240A JP 7224096 A JP7224096 A JP 7224096A JP H09263248 A JPH09263248 A JP H09263248A
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智範 大坪
Masahiro Maruyama
雅弘 丸山
Toshimine Morino
敏峰 森野
Kazunari Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 左右のフロントサイドフレーム間を連結し
て、2本のクロスメンバが前後方向に所定の間隔をおい
て取り付けられ、両クロスメンバ間の上方にエンジンが
配設されている場合、あるいは、1本のクロスメンバの
左右端部から前後メンバが後方若しくは前方に延びてフ
ロントサイドフレームに接合され、クロスメンバと左右
の前後メンバの上方にエンジンが配設されている場合
に、正面衝突時における衝撃荷重によりエンジンを後退
させ、これに伴って両クロスメンバ間のフロントサイド
フレーム部分若しくは上記前後メンバに対向するフロン
トサイドフレーム部分を潰れ変形させて上記衝撃荷重を
吸収させるようにした自動車の前部構造において、エン
ジンの後退に伴うステアリングホイールの後退を抑制す
る。 【解決手段】 正面衝突時における車体の後退変位の比
較的少ない部位に、ステアリングシャフト部分15bを
支持ブラケット16を介して支持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の前部構造
に関し、特に、正面衝突時におけるエンジンの車室側へ
の後退に伴って発生する問題を解決した自動車の前部構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車車体における1つの形態
として、車体の前部において前後方向に延びる左右一対
のフロントサイドフレームが設けられるとともに、フロ
ントサイドフレーム間を連結して、2本のクロスメンバ
が前後方向に所定の間隔をおいて取り付けられ、これら
両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設された構成を
有するものがある。
【0003】また、自動車車体における別の形態とし
て、車体の前部において前後方向に延びる左右一対のフ
ロントサイドフレーム間を連結して、1本のクロスメン
バが取り付けられてなるとともに、このクロスメンバの
左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体前方若しくは
後方に延び、他端を上記フロントサイドフレームにそれ
ぞれ接合された左右一対の前後メンバが設けられ、上記
クロスメンバおよび上記前後メンバの上方にエンジンが
配設された構成を有するものもある。
【0004】また、例えば実開平4−98615号公報
に開示されているように、正面衝突時に、エンジンを含
むパワープラントを下方へ脱落させて、前部車体構造部
材の潰れスペースを確保し、これにより衝突エネルギを
吸収するようにしたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、自動
車の車内空間をなるべく大きくとりたいという要求か
ら、車体の前方オーバーハングが短くなる傾向にあり、
このため、正面衝突時の衝撃を吸収するのに充分なクラ
ッシャブルゾーンが確保できないという問題があり、そ
こでエンジンを後退させて、両クロスメンバ間のフロン
トサイドフレーム部分、若しくは上記前後メンバに対向
するフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させて、衝
突荷重を吸収するようにしている。
【0006】ところが、上述のように、正面衝突時にエ
ンジンを後退させ、これに伴って両クロスメンバ間のフ
ロントサイドフレーム部分、若しくは上記前後メンバに
対向するフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させ
て、衝突荷重を吸収するようにした構成では、エンジン
の後退量が過大になった場合、ステアリングシャフトの
前下方部もエンジンに押されて後退し、ステアリングシ
ャフトに連結されているステアリングホイールが乗員に
向かって後退したり、上方へ回動するように変位したり
することによって、乗員に対する安全性上、さらなる改
善の余地が残されていた。
【0007】上述の事情に鑑み、本発明は、左右のフロ
ントサイドフレーム間を連結して、2本のクロスメンバ
が前後方向に所定の間隔をおいて取り付けられ、これら
両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設された自動車
の前部構造において、あるいは、左右のフロントサイド
フレーム間を連結して、1本のクロスメンバが取り付け
られているとともに、このクロスメンバの左右端部に一
端をそれぞれ接合されて車体前方若しくは後方に延び、
他端をフロントサイドフレームにそれぞれ接合された左
右一対の前後メンバが設けられ、上記クロスメンバおよ
び上記前後メンバの上方にエンジンが配設された自動車
の前部構造において、上記問題を解決することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載したように、左右のフロントサイドフレーム間を連結
して2本のクロスメンバが前後方向に所定の間隔をおい
て取り付けられ、両クロスメンバ間の上方にエンジンが
配設されている場合に、正面衝突時における衝撃荷重に
よりエンジンを後退させ、これに伴って両クロスメンバ
間のフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させて衝撃
荷重を吸収させるようにした自動車の前部構造におい
て、正面衝突時におけるステアリングホイールの後退を
抑制する手段を備えてなることを特徴とするものであ
る。
【0009】また、本発明は、請求項2に記載したよう
に、左右のフロントサイドフレーム間を連結して、1本
のクロスメンバが取り付けられているとともに、このク
ロスメンバの左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体
前方若しくは後方に延び、他端をフロントサイドフレー
ムにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバが設けら
れ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバの上方にエ
ンジンが配設されている場合に、正面衝突時における衝
撃荷重によりエンジンを後退させ、これに伴って上記前
後メンバに対向するフロントサイドフレーム部分を潰れ
変形させて上記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車
の前部構造において、正面衝突時におけるステアリング
ホイールの後退を抑制する手段を備えてなることを特徴
とするものである。
【0010】正面衝突時におけるステアリングホイール
の後退を抑制する手段は、ステアリングホイールに連結
されたステアリングシャフトを、正面衝突時における車
体の後退変位の比較的少ない部位に支持させる構成によ
って得ることができる。
【0011】また、正面衝突時におけるステアリングホ
イールの後退を抑制する手段は、ステアリングシャフト
が、エンジンルームと車室との間を仕切るダッシュパネ
ルに支持されている場合に、ステアリングシャフトを支
持するダッシュパネル部分を、正面衝突時に他のダッシ
ュパネル部分から離脱し得るようにした構成によっても
得ることができる。
【0012】さらに、本発明は、請求項5に記載したよ
うに、左右のフロントサイドフレーム間を連結して2本
のクロスメンバが前後方向に所定の間隔をおいて取り付
けられ、両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設され
ている場合に、正面衝突時における衝撃荷重によりエン
ジンを後退させ、これに伴って両クロスメンバ間のフロ
ントサイドフレーム部分を潰れ変形させて衝撃荷重を吸
収させるようにした自動車の前部構造において、正面衝
突時における乗員に対するステアリングホイールの相対
的な変位を抑制する手段を備えてなることを特徴とする
ものである。
【0013】また、本発明は、請求項6に記載したよう
に、左右のフロントサイドフレーム間を連結して、1本
のクロスメンバが取り付けられているとともに、このク
ロスメンバの左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体
前方若しくは後方に延び、他端をフロントサイドフレー
ムにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバが設けら
れ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバの上方にエ
ンジンが配設されている場合に、正面衝突時における衝
撃荷重によりエンジンを後退させ、これに伴って上記前
後メンバに対向するフロントサイドフレーム部分を潰れ
変形させて上記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車
の前部構造において、正面衝突時における乗員に対する
ステアリングホイールの相対的な変位を抑制する手段を
備えてなることを特徴とするものである。
【0014】上記正面衝突時における乗員に対するステ
アリングホイールの相対的な変位を抑制する手段は、ス
テアリングシャフトに、正面衝突時に分離ないしは変形
し得る部分を設けることによって得ることができる。
【0015】さらに、本発明は、請求項9に記載したよ
うに、左右一対のフロントサイドフレーム間を連結して
2本のクロスメンバが前後方向に所定の間隔をおいて取
り付けられ、該両クロスメンバ間の上方にエンジンが配
設されてなる自動車の前部構造において、正面衝突時に
おけるエンジンの後退を抑制しつつ、両クロスメンバ間
のフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させて衝撃荷
重を吸収させるようにしたことを特徴とするものであ
る。
【0016】具体的には、エンジンがエンジンマウント
ブラケットを介して両クロスメンバ間のフロントサイド
フレーム部分に取り付けられている場合に、正面衝突時
に、エンジンマウントブラケットとフロントサイドフレ
ーム部分との結合およびクロスメンバとフロントサイド
フレームとの結合が解除され得るように構成すればよ
い。
【0017】さらに、本発明は、請求項11に記載した
ように、左右一対のフロントサイドフレーム間を連結し
て、1本のクロスメンバが取り付けられていなるととも
に、このクロスメンバの左右端部に一端をそれぞれ接合
されて車体前方若しくは後方に延び、他端をフロントサ
イドフレームにそれぞれ接合された左右一対の前後メン
バが設けられ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバ
の上方にエンジンが配設されてなる自動車の前部構造に
おいて、正面衝突時における衝撃荷重によるエンジンの
後退を抑制しつつ、上記前後メンバに対向するフロント
サイドフレーム部分を潰れ変形させて衝撃荷重を吸収さ
せるようにしたことを特徴とするものである。
【0018】具体的には、エンジンがエンジンマウント
ブラケットを介して上記前後メンバに対向するフロント
サイドフレーム部分に取り付けられている場合に、正面
衝突時に、エンジンマウントブラケットとフロントサイ
ドフレーム部分との結合および前後メンバ若しくはクロ
スメンバとフロントサイドフレームとの結合が解除され
得るように解除され得るように構成すればよい。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、正面衝突時におけるエ
ンジンの後退量を大きく設定してフロントサイドフレー
ムの潰れスペースを有効に拡大させるようにした場合で
あっても、ステアリングホイールに連結されたステアリ
ングシャフトを、正面衝突時における車体の後退変位の
比較的少ない部位に支持させたり、あるいは、ステアリ
ングシャフトを支持するダッシュパネル部分を、正面衝
突時に他のダッシュパネル部分から離脱し得るように構
成したり、正面衝突時の衝撃荷重により分離ないしは変
形し得る部分をステアリングシャフトに設けたりするこ
と等のステアリングホイールの後退ないしは変位を抑制
する手段を備えているため、正面衝突時における乗員の
さらなる安全を確保することができる。
【0020】また、正面衝突時において、エンジンマウ
ントブラケットとフロントサイドフレーム部分との結合
を解除すること等によりエンジンの後退を抑制しつつ、
両クロスメンバ間のフロントサイドフレーム部分、若し
くは前後メンバに対向するフロントサイドフレーム部分
を潰れ変形させて衝撃荷重を吸収させるようにした場合
も、ステアリングホイールの後退ないしは変位を防止す
ることができ、正面衝突時における乗員のさらなる安全
を確保することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明による車両の下部構
造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は、本発明の実施の形態が適用され
る、後輪駆動車をベースとする四輪駆動車の前部車体構
造を概略的に示す底面図、図2は同側面図、図3は同正
面図である。
【0023】図において、車体10の前部には、前後方
向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム1L,1
Rが設けられるとともに、これらフロントサイドフレー
ム1L,1R間を連結して、2本のクロスメンバ2,3
が前後方向に所定の間隔をおいて取り付けられ、これら
両クロスメンバ2,3間の上方にエンジン5が配設され
ており、エンジン5は、左右のエンジンマウントブラケ
ット4,4を介して両クロスメンバ2,3間のフロント
サイドフレーム部分に取り付けられている。また上記両
クロスメンバ2,3には、前輪サスペンション装置のロ
アアーム6L,6Rの基端がブッシュを介して上下方向
に揺動可能に取り付けられている。
【0024】エンジン5の後方にはトランスミッション
機構7が取り付けられ、トランスミッション機構7の後
端から後輪駆動用プロペラシャフト(図示は省略)が後
方へ導出されているとともに、トランスミッション機構
7の後端部から側方へ突出して設けられたトランスファ
機構8から前方に導出された前輪駆動用プロペラシャフ
ト9の前端が前輪ディファレンシャルギヤ機構11に連
結され、この前輪ディファレンシャルギヤ機構11から
左右に導出された前輪駆動軸12L,12Rによって、
前輪13L,13Rが駆動されるようになっている。
【0025】ステアリングホイールSWと前輪操舵機構
(図示は省略)とを連結しているステアリングシャフト
15には、3個のジョイントJ1 ,J2 ,J3 が介装さ
れている。
【0026】図4は、本発明の第1の実施の形態を示す
斜視図、図5は図4の要部の拡大斜視図、図6および図
7はそれぞれ、図5のVI−VI線, VII−VII 線に沿った
断面図である。
【0027】ステアリングシャフト15は後上方から前
下方に向かって3個のジョイントJ1 ,J2 ,J3 によ
って軸方向に4つの部分に分割されているとともに、第
1ジョイントJ1 と第2ジョイントJ2 との間のシャフ
ト部分15aは、エンジンルームと車室間を仕切るダッ
シュパネル14を貫通し、かつこのダッシュパネル14
に設けられた支持ブラケット22により回転自在に支持
され、第2ジョイントJ2 と第3ジョイントJ3 との間
のシャフト部分15bは、支持ブラケット16を介して
車体に支持されている。
【0028】支持ブラケット16は、図7に示すよう
に、ベアリング17を内蔵してシャフト部分15bを回
転自在に支持する円筒状のシャフト支持部18と、この
シャフト支持部18に一体に設けられて車体に固定され
る固定部19とからなり、固定部19は、アウタ部材1
aとインナ部材1bからなる右側の(右ハンドル車の場
合)フロントサイドフレーム1Rとサスペンションタワ
ー20との溶接部に固定されている。また、シャフト部
分15bには、このシャフト部分15bの後退を防止す
るための歯止め部材21が支持ブラケット16のシャフ
ト支持部18の前方に隣接して固設されている。
【0029】本実施の形態においては、ステアリングシ
ャフト部分15bが、フロントサイドフレーム1Rとサ
スペンションタワー20との溶接部、すなわち、強度的
に強く、正面衝突時における後退変位の比較的少ない部
位に支持ブラケット16を介して支持されており、かつ
ステアリングシャフト部分15bの前下方に、構造的な
脆弱部である第3ジョイントJ3 が設けられ、さらに支
持ブラケット16と歯止め部材21によって、後上方へ
の移動を阻止されているので、正面衝突時にエンジン5
が後退した場合でも、ステアリングホイールSWの後退
は抑制されることになる。
【0030】図8は、本発明の第2の実施の形態を示す
斜視図である。また、図9はその概略的平面図で、図9
は正面衝突前の状態を、図9(b)は正面衝突後の状態
をそれぞれ示す。図10は図8のX−X線に沿った断面
図である。
【0031】本実施の形態では、図9(a)に示すよう
に、ダッシュパネル14が、右側ダッシュパネル部14
aと中央ダッシュパネル部14bと、左側ダッシュパネ
ル部14cとに車幅方向に3分割されており、第1ジョ
イントJ1 と第2ジョイントJ2 との間のシャフト部分
15aは、右側ダッシュパネル部14a(右ハンドル車
の場合)を貫通し、かつこのダッシュパネル部14aに
設けられた支持ブラケット22により回転自在に支持さ
れている。
【0032】支持ブラケット22は、図10に示すよう
に、ベアリング23を内蔵してシャフト部分15aを回
転自在に支持しており、シャフト部分15aには、シャ
フト部分15aの後退を防止するための歯止め部材24
が支持ブラケット22の前方に隣接して固設されてい
る。
【0033】本実施の形態においては、ダッシュパネル
14が車幅方向に3分割されているために、正面衝突時
には、図9(b)に示すように、エンジン5の後退に伴
って、中央ダッシュパネル部14bのみが両側のダッシ
ュパネル部14b,14cから分離して後退し得るよう
に構成されている。また、ステアリングシャフト部分1
5aの前下方に、構造的な脆弱部である第2ジョイント
2 が設けられているので、正面衝突時にエンジン5が
後退した場合でも、支持ブラケット22を介してステア
リングシャフト部分15aを支持している右側ダッシュ
パネル部14aは後退することなく、これによりステア
リングホイールSWの後退を防止することができる。
【0034】図11は本発明の第3の実施の形態を概略
的に示す側面図で、例えばステアリングシャフト部分1
5bの中間部をシャフト部分15cとシャフト部分15
dとに2分割し、両シャフト部分15c,15dの軸線
を互いにずらし、両シャフト部分15c,15d間の回
転伝達を、双方のシャフト部分15c,15dの端部に
設けたセレーションSの噛合によって行なうようにして
いる。
【0035】このような構造にすれば、正面衝突時に前
下方のシャフト部分15dが後方へ移動した場合、両シ
ャフト部分15c,15dが容易に分離して、ステアリ
ングホイールSWの変位を防止することができる。
【0036】図12は本発明の第4の実施の形態を概略
的に示す側面図で、例えばステアリングシャフト部分1
5bの外周面に切り欠き25を形成して、この部分を脆
弱部とし、正面衝突時の衝撃によりこの部分が容易に変
形するように構成して、ステアリングホイールSWの変
位を防止したものである。
【0037】以上の実施例は、ステアリングシャフト1
5自体あるいはステアリングシャフト15の支持部に対
策を施して、ステアリングホイールSWの後退ないしは
変位を抑制するようにした場合であるが、以下に述べる
実施の形態は、エンジン5の過大な後退を抑制すること
により、エンジン5の後退に伴うステアリングホイール
SWの後退ないしは変位を抑制するようにした場合であ
る。
【0038】図13は、本発明の第5の実施の形態を概
念的に示す分解斜視図で、車体右側のフロントサイドフ
レーム1Rに、車幅方向に延びる前後のクロスメンバ
2,3おとびエンジンマウントブラケット4がボルト締
めによって取り付けられる状態を示す。また、図14は
そのエンジンマウントブラケット4の拡大平面図であ
る。
【0039】本実施の形態においては、エンジンマウン
トブラケット4のフロントサイドフレーム1Rへの締結
部に、図14に示すように、車幅方向に延びる溝4aを
形成するとともに、前後に設けられる2個のボルト孔4
b,4bを、エンジンマウントブラケット4の前縁と溝
4aの後縁とにそれぞれ開口するように切り欠いたもの
である。他方のフロントサイドフレーム1Lに取り付け
られるエンジンマウントブラケット4も同様の構成にす
る。なお、、図13において、1aは取付けボルト、1
bは工具挿入孔である。
【0040】このような構成を有するエンジンマウント
ブラケット4を用いれば、正面衝突時の衝撃によりエン
ジン5が後退すると、エンジンマウントブラケット4,
4とフロントサイドフレーム1L,1Rとの結合が解除
されるから、エンジン5は下方へ脱落し、エンジン5の
過大な後退が抑制されるとともに、フロントサイドフレ
ーム1L,1Rのクロスメンバ2,3間の部分を潰れス
ペースとして、正面衝突時の衝撃荷重を有効に吸収する
ことができる。
【0041】なおこの場合、エンジン5の下方にはクロ
スメンバ2,3が存在しているために、エンジンマウン
トブラケット4,4とフロントサイドフレーム1L,1
Rとの結合を解除したのみではエンジン5は完全には落
下しない。そこで、図15(a)に概略的に示すよう
に、フロントサイドフレーム1L,1Rのクロスメンバ
2,3の締結部にラバー部材30を固定するとともに、
クロスメンバ2,3の両端部に、上記ラバー部材30が
嵌入する車体前方側へ開口する切り欠け31を形成して
おく。
【0042】クロスメンバ2,3のフロントサイドフレ
ーム1L,1Rに対する締結部を上記のように構成すれ
ば、正面衝突時の衝撃荷重によりクロスメンバ2,3が
後退することに伴って、ラバー部材30が撓んで、図1
5(b)に示すように、クロスメンバ2,3をフロント
サイドフレーム1L,1Rから離脱させることが可能に
なるから、エンジン5を下方へ落下させることができ
る。
【0043】以上説明した本発明の第1〜第5の実施の
形態は、いずれも、左右のフロントサイドフレーム1
L,1R間を連結して、2本のクロスメンバ2,3が前
後方向に所定の間隔をおいて取り付けられ、両クロスメ
ンバ2,3間の上方にエンジン5が配設されている場合
であるが、本発明は他のフレーム構造を有する自動車に
も適用することができる。
【0044】すなわち、図16に示すように、左右一対
のフロントサイドフレーム1L,1R間を連結して、1
本のクロスメンバ2が取り付けられているとともに、こ
のクロスメンバ2の左右端部に一端をそれぞれ接合され
て車体後方に延び、他端をフロントサイドフレーム1
L,1Rにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバ3
5,35が設けられ、クロスメンバ2および前後メンバ
35,35の上方にエンジン5が配設される構成に対し
ても、上記第1〜第4の実施の形態を同様に適用するこ
とができること明らかである。なお、図16に示す構成
においては、図示は省略するが、前後メンバ35,35
の前後端に、サスペンションアームが取り付けられるよ
うになっている。
【0045】また、図13に示す第5の実施の形態にお
いては、前後のクロスメンバ2,3間のフロントサイド
フレーム部分にエンジンマウントブラケット4,4が取
り付けられているが、図16に示す構成においては、前
後メンバ35,35にそれぞれ対向するフロントサイド
フレーム部分に、図14に示すようなエンジンマウント
ブラケット4,4が取り付けられる。したがって、正面
衝突の衝撃によりエンジン5が後退すると、エンジンマ
ウントブラケット4,4とフロントサイドフレーム1
L,1Rとの結合が解除されるから、エンジン5は下方
へ脱落し、エンジン5の過大な後退が抑制される。
【0046】さらに、前後メンバ35,35の後端部に
形成されたフロントサイドフレーム1L,1Rへの取付
け部35a,35a、およびクロスメンバ2の両端部の
フロントサイドフレーム1L,1Rに対する締結部を、
図15と同様の、正面衝突時の衝撃荷重によりフロント
サイドフレーム1L,1Rとの結合が解除されるように
構成することによって、エンジン5を完全に下方へ落下
させることができる。
【0047】なお、図16に示すフレーム構成では、前
後メンバ35,35がクロスメンバ2の左右端部から後
方へ延びてフロントサイドフレーム1L,1Rに接合さ
れているが、これに代えて、図13に示す後方のクロス
メンバ3に対応する位置に1本のクロスメンバを設ける
とともに、このクロスメンバの左右端部から車体前方に
延びてフロントサイドフレーム1L,1Rに接合される
前後メンバを設けてもよい。その場合は、前後メンバ3
5,35の後端部がクロスメンバに接合されることにな
り、この接合部分に上記と同様に対策を施せばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される自動車の前部構造を概略的
に示す底面図
【図2】同 側面図
【図3】同 正面図
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図
【図5】図4の要部の拡大斜視図
【図6】図5のVI−VI線線に沿った断面図
【図7】図5の VII−VII 線に沿った断面図
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す斜視図
【図9】同 概略的平面図
【図10】図8のX−X線に沿った断面図
【図11】本発明の第3の実施の形態を概略的に示す側
面図
【図12】本発明の第4の実施の形態を概略的に示す側
面図
【図13】本発明の第5の実施の形態を概念的に示す分
解斜視図
【図14】図13のエンジンマウントブラケットの拡大
平面図
【図15】同 クロスメンバのフロントサイドフレーム
に対する締結部の構成を概略的に示す平面図
【図16】本発明が適用される他のフレーム構造を示す
分解斜視図
【符号の説明】
1L,1R フロントサイドフレーム 2,3 クロスメンバ 4 エンジンマウントブラケット 5 エンジン 14 ダッシュパネル 14a,14b,14c ダッシュパネル部分 15 ステアリングシャフト 15a,15b ステアリングシャフト部分 16,22 支持ブラケット 17,23 ベアリング 21,24 歯止め部材 30 ラバー部材 35 前後メンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中邑 一成 広島県安芸郡府中町新地3番1号 株式会 社マツダエンジニアリング内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体の前部において前後方向に延びる左
    右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、2本の
    クロスメンバが前後方向に所定の間隔をおいて取り付け
    られ、該両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設され
    てなるとともに、正面衝突時における衝撃荷重により上
    記エンジンを後退させ、これに伴って上記両クロスメン
    バ間のフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させて上
    記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車の前部構造に
    おいて、 正面衝突時におけるステアリングホイールの後退を抑制
    する手段を備えてなることを特徴とする自動車の前部構
    造。
  2. 【請求項2】 車体の前部において前後方向に延びる左
    右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、1本の
    クロスメンバが取り付けられてなるとともに、該クロス
    メンバの左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体前方
    若しくは後方に延び、他端を上記フロントサイドフレー
    ムにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバが設けら
    れ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバの上方にエ
    ンジンが配設されており、正面衝突時における衝撃荷重
    により上記エンジンを後退させ、これに伴って上記前後
    メンバに対向するフロントサイドフレーム部分を潰れ変
    形させて上記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車の
    前部構造において、 正面衝突時におけるステアリングホイールの後退を抑制
    する手段を備えてなることを特徴とする自動車の前部構
    造。
  3. 【請求項3】 上記ステアリングホイールに連結された
    ステアリングシャフトが、正面衝突時における車体の後
    退変位の比較的少ない部位に支持されてなることを特徴
    とする請求項1または2記載の自動車の前部構造。
  4. 【請求項4】 上記ステアリングホイールに連結された
    ステアリングシャフトが、エンジンルームと車室との間
    を仕切るダッシュパネルに支持されてなるとともに、上
    記ステアリングシャフトを支持するダッシュパネル部分
    が、正面衝突時に他のダッシュパネル部分から離脱し得
    るように構成されてなることを特徴とする請求項1また
    は2記載の自動車の前部構造。
  5. 【請求項5】 車体の前部において前後方向に延びる左
    右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、2本の
    クロスメンバが前後方向に所定の間隔をおいて取り付け
    られ、該両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設され
    てなるとともに、正面衝突時における衝撃荷重により上
    記エンジンを後退させ、これに伴って上記両クロスメン
    バ間のフロントサイドフレーム部分を潰れ変形させて上
    記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車の前部構造に
    おいて、 正面衝突時における乗員に対するステアリングホイール
    の相対的な変位を抑制する手段を備えてなることを特徴
    とする自動車の前部構造。
  6. 【請求項6】 車体の前部において前後方向に延びる左
    右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、1本の
    クロスメンバが取り付けられてなるとともに、該クロス
    メンバの左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体前方
    若しくは後方に延び、他端を上記フロントサイドフレー
    ムにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバが設けら
    れ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバの上方にエ
    ンジンが配設されており、正面衝突時における衝撃荷重
    により上記エンジンを後退させ、これに伴って上記前後
    メンバに対向するフロントサイドフレーム部分を潰れ変
    形させて上記衝撃荷重を吸収させるようにした自動車の
    前部構造において、 正面衝突時における乗員に対するステアリングホイール
    の相対的な変位を抑制する手段を備えてなることを特徴
    とする自動車の前部構造。
  7. 【請求項7】 上記ステアリングホイールに連結された
    ステアリングシャフトに、正面衝突時に分離し得る部分
    が設けられてなることを特徴とする請求項5または6記
    載の自動車の前部構造。
  8. 【請求項8】 上記ステアリングホイールに連結された
    ステアリングシャフトに、正面衝突時に変形し得る部分
    が設けられてなることを特徴とする請求項5または6記
    載の自動車の前部構造。
  9. 【請求項9】 車体の前部において前後方向に延びる左
    右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、2本の
    クロスメンバが前後方向に所定の間隔をおいて取り付け
    られ、該両クロスメンバ間の上方にエンジンが配設され
    てなる自動車の前部構造において、 正面衝突時における衝撃荷重によるエンジンの後退を抑
    制しつつ、上記両クロスメンバ間のフロントサイドフレ
    ーム部分を潰れ変形させて上記衝撃荷重を吸収させるよ
    うにした自動車の前部構造。
  10. 【請求項10】 上記エンジンがエンジンマウントブラ
    ケットを介して上記両クロスメンバ間のフロントサイド
    フレーム部分に取り付けられ、正面衝突時に、上記エン
    ジンマウントブラケットと上記フロントサイドフレーム
    部分との結合および上記クロスメンバと上記フロントサ
    イドフレームとの結合が解除され得るように構成されて
    なることを特徴とする請求項9記載の自動車の前部構
    造。
  11. 【請求項11】 車体の前部において前後方向に延びる
    左右一対のフロントサイドフレーム間を連結して、1本
    のクロスメンバが取り付けられてなるとともに、該クロ
    スメンバの左右端部に一端をそれぞれ接合されて車体前
    方若しくは後方に延び、他端を上記フロントサイドフレ
    ームにそれぞれ接合された左右一対の前後メンバが設け
    られ、上記クロスメンバおよび上記前後メンバの上方に
    エンジンが配設されてなる自動車の前部構造において、 正面衝突時における衝撃荷重によるエンジンの後退を抑
    制しつつ、上記前後メンバに対向するフロントサイドフ
    レーム部分を潰れ変形させて上記衝撃荷重を吸収させる
    ようにした自動車の前部構造。
  12. 【請求項12】 上記エンジンがエンジンマウントブラ
    ケットを介して上記前後メンバに対向するフロントサイ
    ドフレーム部分に取り付けられ、正面衝突時に、上記エ
    ンジンマウントブラケットと上記フロントサイドフレー
    ム部分との結合および上記前後メンバ若しくは上記クロ
    スメンバと上記フロントサイドフレームとの結合が解除
    され得るように構成されてなることを特徴とする請求項
    11記載の自動車の前部構造
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003327060A (ja) * 2002-05-10 2003-11-19 Mazda Motor Corp 車両のエンジンルーム内の配設構造
JP2016094167A (ja) * 2014-11-17 2016-05-26 三菱自動車エンジニアリング株式会社 ステアリングシャフト支持構造
JP2020189527A (ja) * 2019-05-20 2020-11-26 トヨタ自動車株式会社 自動運転車両
CN112918567A (zh) * 2019-12-05 2021-06-08 丰田自动车株式会社 车身构造

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