JPH09257382A - 伝熱管およびその製造方法 - Google Patents

伝熱管およびその製造方法

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JPH09257382A
JPH09257382A JP8064668A JP6466896A JPH09257382A JP H09257382 A JPH09257382 A JP H09257382A JP 8064668 A JP8064668 A JP 8064668A JP 6466896 A JP6466896 A JP 6466896A JP H09257382 A JPH09257382 A JP H09257382A
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弘太郎 釣
Hidemitsu Kameoka
秀光 亀岡
Takeshi Isobe
剛 磯部
Takeshi Nishizawa
武史 西澤
Masanori Ozaki
正則 尾崎
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    • F28F1/00Tubular elements; Assemblies of tubular elements
    • F28F1/10Tubular elements and assemblies thereof with means for increasing heat-transfer area, e.g. with fins, with projections, with recesses
    • F28F1/42Tubular elements and assemblies thereof with means for increasing heat-transfer area, e.g. with fins, with projections, with recesses the means being both outside and inside the tubular element

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝熱管外面での吸収液の広がりを十分にさせ
ると同時に、吸収液膜の撹乱作用を吸収液の流下する下
方向(管軸方向に直角な方向)にも、管軸方向にも十分
に促進させる伝熱管およびその伝熱管の製造方法を提供
する。 【解決手段】 管内の流体と管外の流体との間で熱交換
する伝熱管1であって、伝熱管1の管外周面には管軸Z
に対するねじれ角θの方向が同じで、ねじれ角θ1 、θ
2 の異なる少なくとも2種類の螺旋溝M1 、M2 を有
し、ねじれ角θ1 、θ2 は3゜〜80゜の範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷水製造用の吸収
式冷凍機や空調用吸収ヒートポンプなどの吸収器、再生
器あるは蒸発器に使用される伝熱管とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】吸収式冷凍機や空調用吸収ヒートポンプ
などの吸収器は、多数の伝熱管が水平に複数列、複数段
に配列されて構成されている。これら伝熱管群の上部よ
り、例えば臭化リチウム水溶液のような吸収液を散布す
る。この散布された吸収液が伝熱管外表面を流下する間
に、蒸発器から発生した冷媒蒸気を吸収すると同時に、
吸収反応によって生じる熱を伝熱管内を流れる冷却水と
熱交換する構造になっている。したがって、冷媒蒸気を
吸収する際の物質移動現象を促進させることは吸収器の
高性能化に不可欠である。臭化リチウム水溶液が冷媒蒸
気を吸収する際に図12に示すように吸収液膜Aと冷媒
蒸気Bとの界面において物質移動が行われる。吸収液膜
Aの表面層Aa 即ち吸収液膜Aと冷媒蒸気Bとの界面層
では冷媒蒸気Bを吸収するために、伝熱管C表面に近い
吸収液膜Aの内部層Ab よりも濃度が薄い。すなわち、
冷媒蒸気Bの吸収促進には伝熱管C上での吸収液膜Aの
撹乱が必要である。
【0003】このため、実用化されている臭化リチウム
水溶液を使用する吸収式冷凍機や空調用吸収ヒートポン
プは、臭化リチウム水溶液に数十〜数百ppmのn−オ
クチルアルコールや2−エチル−1−ヘキサノール等の
界面活性剤を添加して冷媒蒸気吸収時にマランゴニー対
流と呼ばれる吸収液膜の撹乱作用を発生させる。このマ
ランゴニー対流により吸収液の冷媒蒸気吸収能力を向上
させる方法が取られることが一般的である。こうしたこ
とから吸収器用伝熱管の高性能化には、伝熱管外面上で
吸収液が冷媒蒸気を吸収する際に生じる吸収液膜のマラ
ンゴニー対流による撹乱を効率的に促進させることが必
要である。
【0004】この吸収液の撹乱作用を促進させる効果を
ねらったものとして、実開昭57−100161号公報
が提案されている。実開昭57−100161号公報の
マイクロフィルムに記載されている伝熱管は、「管表面
に細かな螺旋溝を加工」したものである。この伝熱管
は、螺旋溝に沿って伝熱管表面に吸収液を広げると同時
に、その螺旋溝の凹凸によって吸収液膜の撹乱作用を促
進させようとしたものである。
【0005】また、吸収液の撹乱作用を促進させる効果
をねらったものとして、実開昭64−35368号公報
が提案されている。実開昭64−35368号公報のマ
イクロフィルムに記載されている伝熱管は、「管の外面
に螺旋溝を有し、且つ逆方向にねじれる第2の螺旋溝を
有し、螺旋溝の交差による突起を有する。」ものであ
る。この伝熱管は、螺旋溝の交差による突起に吸収液膜
がぶつかることで吸収液膜の撹乱作用の促進をねらって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開昭
57−100161号公報のマイクロフィルムに記載さ
れている伝熱管においては、図13(イ)に示すように
吸収液膜A1 が伝熱管C1 外面で螺旋溝V1 によって広
がることになるが、螺旋溝V1 が直線的であるために吸
収液膜A1 の撹乱は不十分であるという問題があった。
【0007】また、実開昭64−35368号公報のマ
イクロフィルムに記載されている伝熱管においては、図
13(ロ)に示すように吸収液膜A2 がある突起E1 に
ぶつかり撹乱作用が発生しても、2つの螺旋溝V2 、V
3 が管軸方向に対して互いに逆方向にねじれて交差して
いるので、この突起E1 と隣接する突起E2 で発生した
吸収液膜A3 の撹乱がぶつかりあってしまう。このため
に吸収液膜A2 、A3の撹乱作用を管軸方向に持続させ
ながら効果的に促進させることができず、吸収液膜A2
、A3 は伝熱管C2 上に長時間保持されにくいといっ
た問題があった。
【0008】本発明は上記の課題を解決し、伝熱管外面
での吸収液の広がりを十分にさせると同時に、吸収液膜
の撹乱作用を吸収液の流下する下方向(管軸方向に直角
な方向)にも、管軸方向にも十分に促進させる伝熱管お
よびその伝熱管の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために以下のような手段を有している。
【0010】本発明のうち請求項1の伝熱管は、管内の
流体と管外の流体との間で熱交換する伝熱管であって、
前記伝熱管の管外周面には管軸に対するねじれ角の方向
が同じで、ねじれ角の異なる少なくとも2種類の螺旋溝
を有し、前記螺旋溝のねじれ角は3゜〜80゜の範囲で
あることを特徴とする。
【0011】請求項1の伝熱管において、少なくとも2
種類の螺旋溝のねじれ角の交差角は10゜より大きいこ
とが望ましい。
【0012】また、請求項1の伝熱管において、螺旋溝
の溝深さが0.1〜1.5mmの範囲であり、周方向の
ピッチが0.25〜10mmの範囲であることが望まし
い。
【0013】本発明のうち請求項2の伝熱管は、少なく
とも2種類の螺旋溝のうち少なくとも1つの螺旋溝の溝
深さあるいは周方向のピッチのどちらか一方もしくは両
方が、他の螺旋溝のそれとは異なることを特徴とする。
【0014】請求項2の伝熱管において、少なくとも2
種類の螺旋溝のうち溝深さが最も大きい螺旋溝は溝深さ
が0.3〜1.5mmの範囲であり、周方向のピッチが
0.8〜5.0mmの範囲であり、他の螺旋溝は溝深さ
が0.1〜0.7mmの範囲であり、周方向のピッチが
0.25〜2.0mmの範囲であることが望ましい。
【0015】請求項1または請求項2の伝熱管におい
て、螺旋溝のねじれ角が最小である螺旋溝はねじれ角が
3゜〜30゜の範囲であることが望ましい。
【0016】本発明のうち請求項3の伝熱管は、螺旋溝
のねじれ角が最小である螺旋溝の少なくともその溝深さ
が他の螺旋溝のそれよりも大きいことを特徴とする。
【0017】本発明のうち請求項4の伝熱管は、管内周
面に、管外周面に形成された溝深さの大きさが最も大き
い螺旋溝の凹凸形状に、対応した凸凹形状の螺旋条を有
することを特徴とする。
【0018】本発明のうち請求項5の伝熱管の製造方法
は、外周面が平滑な素管の外周面上に、所定の螺旋溝形
状を有する複数種類の駒またはロールなどの転造工具を
押しつけながら回転させて、前記素管の外周面上に、管
軸に対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ角の異なる
少なくとも2種類以上の螺旋溝を1工程で形成すること
を特徴とする。
【0019】本発明のうち請求項6の伝熱管の製造方法
は、内周面が平滑な素管に対して、管の外周面に形成さ
れる溝深さの大きさが最も大きい螺旋溝の凹凸形状に対
応した凸凹形状を内周面に形成するプラグを管の内側に
いれて加工することを特徴とする。
【0020】本発明の請求項1の伝熱管によれば、管外
周面に管軸に対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ角
の異なる少なくとも2種類の螺旋溝を有しているので、
例えばこの伝熱管を水平に配置する吸収器に使用した場
合、少なくとも2種類の螺旋溝で囲まれた突起が管外周
面に多数形成されるので、吸収液膜がその突起にぶつか
って撹乱作用がより促進させられる。同時に、少なくと
も2種類の螺旋溝は管軸方向に対して同じ方向にねじれ
ているので、いくつかの突起にぶつかって撹乱された吸
収液膜は螺旋溝の交差部分を横切りながら、伝熱管外面
での吸収液の広がりを十分にさせると同時に、吸収液膜
の撹乱作用を吸収液の流下する下方向(管軸方向に直角
な方向)にも十分に促進させる。
【0021】また、螺旋溝のねじれ角は3゜〜80゜の
範囲であるので、吸収液膜の撹乱作用に対して適した範
囲となっている。例えば、螺旋溝のねじれ角が3゜より
も小さいねじれ角では、吸収液膜の流れがその溝に沿っ
て左右に生じ、吸収液膜同志がぶつかり合って一定の方
向に安定して広げることができず、吸収液膜の攪乱作用
も管軸方向に促進させにくくなる。また、例えば螺旋溝
の管軸方向に対するねじれ角が80°よりも大きくなる
と、吸収液膜の管軸方向への動きに対して螺旋溝と螺旋
溝の間の突起が妨げとなり、吸収液膜の攪乱作用が管軸
方向に促進されにくくなる。
【0022】本発明の請求項1の伝熱管において、少な
くとも2種類の螺旋溝のねじれ角が近すぎると螺旋溝に
囲まれる突起が形成できなくなり、突起による吸収液膜
の撹乱作用促進の効果が得られなくなるので、上記ねじ
れ角の交差角は10°より大きくすることが好ましい。
例えば3種類の螺旋溝を有する伝熱管の場合には、15
°程度の差をつけて、管軸方向に対するねじれ角を、1
5°、30°、45°と設定すると螺旋溝に囲まれて形
成される突起が規則正しく整然となり、突起による吸収
液膜の撹乱作用促進の効果が十分に得られる。
【0023】また、本発明の請求項1の伝熱管におい
て、螺旋溝の溝深さが0.1〜1.5mmの範囲であ
り、周方向のピッチが0.25〜10mmの範囲である
と、次のような理由により最適な範囲となっている。螺
旋溝の溝深さと周方向のピッチが前記範囲よりも小さけ
れば、突起による吸収液膜の攪乱作用促進効果が小さ
く、前記範囲よりも大きければ、吸収液膜が突起を乗り
越えて管外周面に広がりにくい。
【0024】本発明の請求項2の伝熱管によれば、少な
くとも2種類の螺旋溝のうち少なくとも1つの螺旋溝の
溝深さあるいは周方向のピッチの内、どちらか一方もし
くは両方が、他の螺旋溝のそれとは異なっているので次
のように作用する。伝熱管外周面の突起の大きさがラン
ダムとなり吸収液膜の厚さに差を生じさせることができ
る。その結果、吸収液膜に表面張力の差をつけることが
できてマランゴニー対流を促進させ、複数の螺旋溝の大
きさが同じときよりも吸収液膜の撹乱作用がより促進さ
れ、より高効率な熱交換が行われるようになる。
【0025】本発明の請求項2の伝熱管において、少な
くとも2種類の螺旋溝のうち溝深さが最も大きい螺旋溝
は溝深さが0.3〜1.5mmの範囲であり、周方向の
ピッチが0.8〜5.0mmの範囲であり、他の螺旋溝
は溝深さが0.1〜0.7mmの範囲であり、周方向の
ピッチが0.25〜2.0mmの範囲であると、伝熱管
外周面に形成される突起が吸収液膜の厚さに対して最適
な差を生じさせることができる。その結果、吸収液膜に
表面張力の差をつけることができてマランゴニー対流を
より促進させ、複数の螺旋溝の大きさが同じときよりも
吸収液膜の撹乱作用がより促進され、より高効率な熱交
換が行われるようになる。
【0026】本発明の請求項1または請求項2の伝熱管
において、ねじれ角が最小である螺旋溝のねじれ角を3
゜〜30゜の範囲とすることにより、より安定して吸収
液膜を管軸方向に広げることができる。
【0027】本発明の請求項3の伝熱管によれば、螺旋
溝のねじれ角が最小である螺旋溝の少なくとも溝深さが
他の螺旋溝のそれよりも大きいので、吸収液膜が管軸方
向に広がり易くなる。その結果、吸収液膜の撹乱作用も
管軸方向により促進され、更に高効率な熱交換が行われ
る。
【0028】本発明のうち請求項4の伝熱管は、管外周
面に形成された最も溝深さの大きい螺旋溝の凹凸形状
に、対応した凸凹形状の螺旋条を管内周面に有している
ので、管内側を流れる、例えば冷却水に乱流効果を与え
ることができ、管内側の性能も向上できる。また、管内
側の余分な肉厚部分をなくして管の肉厚を管周方向にで
きる限り均一にすることとなり、全体としての重量が減
少できるので、コスト低減にも有効となる。
【0029】本発明のうち請求項5の伝熱管の製造方法
によれば、外周面が平滑な素管の外周面上に、所定の螺
旋溝形状を有する複数種類の駒またはロールなどの転造
工具を押しつけながら回転させて2種類以上の螺旋溝を
1工程で形成するので、段取り替え等の時間や手間が省
略され生産性が向上する。
【0030】本発明のうち請求項6の伝熱管の製造方法
によれば、内周面が平滑な素管に対して、管の外周面に
形成される溝深さの大きさが最も大きい螺旋溝の凹凸形
状に対応した凸凹形状を内周面に形成するプラグを管の
内側にいれて加工するので、このように形成された伝熱
管は管内側を流れる、例えば冷却水に乱流効果を与える
ことができ、管内側の性能も向上できる。また、管内側
の余分な肉厚部分をなくして管の肉厚を管周方向にでき
る限り均一にすることとなり、全体としての重量が減少
できるので、コスト低減にも有効となる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施の形態により
詳細に説明する。 (実施例1)図1は本発明の伝熱管の一実施例を示す斜
視図である。図1の伝熱管1は外周面に2種類の螺旋溝
M1 、M2 を有したもので、螺旋溝M1 、M2 は管軸Z
に対するねじれ角θ1 、θ2 の方向が同じで、ねじれ角
θ1 、θ2 の大きさが異なっている。なお、本明細書に
おいて螺旋溝を図示する場合、図示の都合上螺旋溝は一
本の直線で表示している。また溝深さが深い螺旋溝は太
く表示している。螺旋溝を図示している図面は図3を除
いて全て同様である。また、2種類の螺旋溝M1 、M2
はその溝深さと周方向のピッチが同じである。
【0032】上記のように、本実施例の伝熱管は管外周
面に管軸に対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ角の
異なる少なくとも2種類の螺旋溝を有しているので、例
えばこの伝熱管を水平に配置する吸収器に使用した場
合、図13の(ハ)に示すように少なくとも2種類の螺
旋溝M1 、M2 で囲まれた突起E0 が管外周面に多数形
成されるので、吸収液膜がその突起E0 にぶつかって撹
乱作用がより促進させられる。同時に、少なくとも2種
類の螺旋溝M1 、M2 は管軸方向に対して同じ方向にね
じれているので、いくつかの突起E0 にぶつかって撹乱
された吸収液膜A0 は螺旋溝の交差部分を横切りながら
伝熱管外面での吸収液の広がりを十分にさせると同時
に、吸収液膜A0 の撹乱作用を吸収液の流下する下方向
(管軸方向に直角な方向)にも十分に促進させる。
【0033】(実施例2)図2は本発明の伝熱管の他の
実施例を示す斜視図である。図2の伝熱管1Aは外周面
に2種類の螺旋溝M3 、M4 を有したもので、螺旋溝M
3 、M4 は管軸Zに対するねじれ角θ3 、θ4 の方向が
同じで、螺旋溝M3 のねじれ角θ3 はねじれ角θ4 より
小さくなっている。また螺旋溝M3 はその溝深さと周方
向のピッチが螺旋溝M4 の溝深さと周方向のピッチより
も大きくなっている。
【0034】(実施例3)図3は本発明の伝熱管の他の
実施例を示す主要部の拡大断面図である。図3の伝熱管
1Bは外周面に2種類の螺旋溝M5 、M6 を有したもの
で、螺旋溝M5 、M6 は管軸に対するねじれ角の方向が
同じで、螺旋溝M5 のねじれ角は螺旋溝M6 のねじれ角
より小さくなっている。また螺旋溝M5 はその溝深さH
1 と周方向のピッチP1 が螺旋溝M4 の溝深さH2 と周
方向のピッチP2 よりも大きくなっている。図3におい
て、符号D0 は伝熱管1Bの外径である。
【0035】(実施例4)図4は本発明の伝熱管のその
他の実施例を示す斜視図である。図4の伝熱管1Cは実
施例2の伝熱管と同様に外周面に2種類の螺旋溝M7 、
M8 を有したもので、螺旋溝M7 、M8 は管軸Zに対す
るねじれ角θ7 、θ8 の方向が同じで、螺旋溝M7 のね
じれ角θ7 は螺旋溝M8 より小さくなっている。また螺
旋溝M7 はその溝深さと周方向のピッチが螺旋溝M8 の
溝深さと周方向のピッチよりも大きくなっている。本実
施例の特徴は伝熱管の内周面にある。内周面には、外周
面に形成された螺旋溝M7 に対応した位置に螺旋溝M7
に対応した形状の螺旋条Nが形成されていることであ
る。上記各実施例において外周面に形成された螺旋溝は
ねじれ角が2種類の場合について例示したが螺旋溝は2
種類に限るものではなく、2種類以上で螺旋溝が交差し
て突起を形成できればよいのである。本発明の伝熱管の
製造方法について以下に説明する。
【0036】(実施例5)図5は、溝断面形状が三角形
の螺旋溝を加工する場合の駒を示すもので、駒Kの外周
面に斜めに断面形状が三角形の凸条T1 が形成されてい
る。上記のような駒を図6に示すように、外面が平滑な
素管Sの外周面に対し管軸Z方向に一定間隔に所定の螺
旋溝の種類数、本実施例にあっては2種類の螺旋溝M7
、M8 を加工するための所望の形状の凸条T1 、T2
が形成されている駒K1 、K2 を同一円周上に複数個本
実施例にあっては3個配置する。素管Sの内面には外面
が平滑なプラグPLを入れておき、それぞれの駒K1 、
K2 を外周面に押しつけながら素管Sの外周上を回転さ
せて、素管Sを矢印Yの方向に引き抜くことにより管軸
Zに対するねじれ角θ9 、θ10の方向が同じで、且つね
じれ角θ9 、θ10の異なる2種類の螺旋溝M9 、M10を
有する伝熱管を製造する。
【0037】図6の例では、2種類の駒K1 、K2 は素
管Sの加工方向に並ぶものを同一円周上に配置して同時
に押しつけているが、それぞれを分離して別々に押しつ
けても良い。図6の例では、1種類の螺旋溝を形成する
のに必要な駒の数は3個としているが、その望ましい個
数は3〜4個である。駒数が2個以下では素管の引き抜
き速度を下げなければ溝部が形成されにくくなり生産性
が悪くなる。また、5個以上では駒の配置空間が大きく
なり製造設備が大きくなりすぎてしまう。
【0038】さらに、3種類以上の螺旋溝を加工する場
合には、加工する螺旋溝の数の種類の駒を管軸方向に一
定間隔で配置し、且つ1種類の螺旋溝加工用の駒を3個
もしくは所定数配置することにより前述と同様にして製
造できる。本発明の伝熱管を吸収器などに使用する場
合、拡管装着や伝熱管のたわみを防止する金具を取付る
ために、伝熱管の外面両端や中間部に平滑面を設ける必
要がある。この平滑部を形成するには、所定の長さ螺旋
溝を加工した後、駒を素管外面から離すことによって平
滑面のままの未加工部を設けることができる。また、螺
旋溝の溝深さと周方向のピッチに差をつける場合には、
溝深さの大きな方の螺旋溝を先に加工するように駒を配
置する。小さな螺旋溝を加工してから大きな螺旋溝を加
工すると、先に加工した小さな螺旋溝が大きな螺旋溝の
加工時につぶれてしまい、螺旋溝の間に形成される突起
が形成され難くなるからである。
【0039】(実施例6)図7は本発明の伝熱管を製造
する他の実施例を示すものである。外面が平滑な素管S
の外周面に対し管軸Z方向に一定間隔で所定の螺旋溝の
種類数、本実施例にあっては2種類の螺旋溝M11、M12
を加工するための所望の形状の凸条T3 、T4 が形成さ
れているロールR1 、R2 を同一周面上に複数個、本実
施例にあっては3個、管軸Zから一定の角度をもたせて
配置する。2種類のロールR1 およびロールR2 を3方
向から素管Sの外周面に押しつける。また、素管Sの内
側には、外面が平滑なプラグPLを差し込んでおく。2
種類のロールR1 、R2 自体を回転させながら素管Sの
外周面に押しつけ螺旋溝M11、M12を形成する。
【0040】螺旋溝M11、M12を形成する推進力で素管
Sが回転しながら送り出されることで2種類の螺旋溝M
11、M12を有した伝熱管が製造できる。ロール自体の回
転は、少なくとも1つのロールを駆動させれば良い。1
つのロールが回転すればその推進力で素管Sが加工方向
に進むので、他のロールは素管Sの外周面に押しつける
だけで螺旋溝を形成しながら回転する。この製造方法に
より、3種類以上の螺旋溝を有する伝熱管を製造する場
合は、螺旋溝の種類の数のロールを所定の間隔を有して
配置することにより一工程で必要とする本数の螺旋溝を
有する伝熱管を製造できる。
【0041】(実施例7)図8は本発明の伝熱管を製造
するその他の実施例を示すものである。図8に示す伝熱
管の製造方法は螺旋溝の溝深さが全て同じで、ねじれ角
の異なる伝熱管を製造する際に適用できるものである。
外面が平滑な素管Sの外周面に対し、螺旋溝M13を加工
するための所望の形状の凸条T5 が形成されているロー
ルR3 と、螺旋溝M14を加工するための所望の形状の凸
条T6 が形成されているロールR4 を同一円周上に配置
する。2種類のロールの内ロールR3 を2個およびロー
ルR4 を1個として3方向から素管Sの外周面に押しつ
ける。2種類のロールR3 、R4 自体を回転させながら
素管Sの外周面に押しつけ溝深さが同じ螺旋溝M13、M
14を形成する。
【0042】本実施例の場合、螺旋溝を加工するための
所望の形状の凸条が形成されているロールを使用した
が、ロールの代わりに図5に示す駒を、例えば2種類素
管の同一円周上に配置することによっても素管の外周面
に溝深さが同じ2種類の螺旋溝を形成することができ
る。このように素管の同一円周上に螺旋溝を加工する転
造工具を配置すれば、転造工具の配置空間が減少され製
造設備の小型化に有効である。ただし、この転造工具の
配置では、溝深さの異なる複数の螺旋溝を形成すること
は難しい。深さの異なる螺旋溝が交互に形成されること
になり、螺旋溝で囲まれた突起が形成されにくくなるか
らである。
【0043】(その他の実施例)上述の実施例5ないし
実施例7の伝熱管は内周面は平滑面となっているが、図
4に示すように外周面に形成された螺旋溝M5 に対応し
た位置に螺旋溝M5 に対応した形状の螺旋条Nが形成さ
れている伝熱管は、次のようにして製造することができ
る。上述の、例えば実施例5にあっては、素管Sの内側
には、外面が平滑なプラグPLを差し込んで素管Sの外
周面に螺旋溝を形成しているが、図9に示すように素管
Sの外周面に形成される螺旋溝M5 に対応した位置に螺
旋溝M5 に対応した形状の螺旋溝Lが外面に形成されて
いるプラグPL1 を素管Sの内側にいれて、それぞれの
駒K1 (K2 )を外周面に押しつけながら素管Sの外周
上を回転させることによって伝熱管の内周面に螺旋条N
が形成されている伝熱管が製造される。
【0044】(性能試験)実施例5の製造方法で製造し
た表1〜表5に示す外径が19.05mmφの伝熱管、
平滑管および実開昭57−100161号公報のマイク
ロフィルムに開示されている方法で製造した伝熱管(以
下比較伝熱管という)を図10に示すような試験機によ
り吸収器に使用した場合の伝熱試験を行った。本発明の
伝熱管の製造に使用した駒は、駒外周上に所定の形状と
なる山部もしくは溝部を有し、厚さ6mm、直径19.
05mmである。この駒を1種類の溝を形成するのに管
の円周上に3個配置し加工した。駒の素管円周上の回転
速度や素管の引き抜き速度は、加工する螺旋溝の形状に
大きく影響するが、1000rpm、3.0m/mi
n.程度である。
【0045】本発明の伝熱管のサンプルの形状の有効性
を調査するために表1〜表5は以下のように分類してい
る。 表1:2種類の螺旋溝を有し、その溝深さは固定し、管
軸に対するねじれ角を変化させたときの影響を調査する
実験。 表2:2種類の螺旋溝を有し、管軸に対するねじれ角が
互いに異なるように固定し、その溝深さを互いに同じな
るように変化させたときの影響を調査する実験。 表3:2種類の螺旋溝を有し、その溝深さと周方向のピ
ッチを互いに異なるように変化させたときの影響を調査
する実験。 表4:3種類の螺旋溝を有する伝熱管の実験。 表5:螺旋溝断面形状に関する実験。
【0046】試験条件を以下に示す。 吸収液:LiBr水溶液 入口濃度:58±0.5 wt.% 入口温度:40±1 ℃ 流量:0.01〜0.04kg/m・s (単位長さ当たりの伝熱管の片側に流れる吸収液膜の質量流量) 界面活性剤:オクチルアルコールを250ppm添加 吸収液散布装置 孔径:1.5mm、間隔24mm 吸収器冷却水 入口温度:28±0.3 ℃ 流速:1.0 m/s 吸収器、蒸発器内圧力:15±0.5 mmHg 伝熱管の配列:長さ500mmの伝熱管を上下方向へ5段1列
【0047】図10の試験機について簡単に説明する。
74は蒸発器であり、内部には伝熱管72を2列5段配
管し、上下の伝熱管72を相互を連通してこれらに水を
通す。これらの伝熱管72には散布パイプ76より冷媒
(純水)を散布した。73は吸収器であり、内部には試
験すべきサンプル管71を1列5段配管する。上下のサ
ンプル管71相互を連通してこれらに冷却水を通し、こ
れらのサンプル管71には散布パイプ75より吸収液
(臭化リチウム水溶液)を散布した。77は希溶液槽
で、吸収器73内で冷媒蒸気を吸収して希釈された吸収
液を溜めるものである。この希溶液槽77内の吸収液を
濃溶液槽78に供給し、この濃溶液槽78で臭化リチウ
ムを加えて濃度調整し、濃度調整後の吸収液を、ポンプ
80により配管79、散布パイプ75を通じてサンプル
管71へ散布した。以上の試験機の試験による結果か
ら、本発明の伝熱管の各サンプルの管外熱伝達率を計算
した。
【0048】(伝熱性能測定結果)各サンプルの伝熱性
能測定結果として、表1〜表5に吸収液膜流量0.02
kg/m・sでの管外熱伝達率で、従来伝熱管に対する
性能比を記載する。また、本発明の伝熱管の中で管外熱
伝達率の最も良かったサンプル31に関しての管外熱伝
達率の算出結果を図11に記載する。
【0049】表1〜表5に示すように、少なくとも2種
類の螺旋溝のねじれ角が3〜80°の範囲に形成されて
いる本発明の伝熱管は、従来伝熱管より管外熱伝達率が
優れている。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】特に、表1に注目すれば、ねじれの小さい
方の螺旋溝の管軸に対するねじれ角を3゜〜60゜の範
囲に、ねじれの大きな方の螺旋溝のそれを80゜以下に
設定すれば、比較伝熱管よりも管外熱伝達率で5%以上
向上した。また、表2に注目すれば、螺旋溝の溝深さを
0.1〜1.5mmの範囲に、螺旋溝の溝ピッチを0.
2〜10mmの範囲に設定した場合、比較伝熱管よりも
管外熱伝達率で5%以上向上したことがわかる。
【0056】さらに、表3に注目すれば、一方の螺旋溝
の溝深さあるいは周方向のピッチの内、どちらか一方も
しくは両方の大きさを、他方の螺旋溝のそれよりも大き
くすることで、螺旋溝の溝深さおよび周方向のピッチが
同じ組み合わせである場合よりも、さらに管外熱伝達率
が向上したことがわかる。特に、溝深さが最も大きい螺
旋溝の溝深さを0.3〜1.5mmの範囲に、周方向の
ピッチを0.8〜5.0mmの範囲に設定し、且つ他方
の螺旋溝の溝深さを0.1〜0.7mmの範囲に、周方
向のピッチを0.5〜2.0mmの範囲に設定すれば、
比較伝熱管(サンプル25:ねじれ角同一)よりも管外
熱伝達率で10%以上向上したことがわかる。
【0057】さらにまた、表3のサンプル30〜35に
注目すれば、管軸に対するねじれ角が小さい螺旋溝の少
なくとも溝深さを、他の螺旋溝のそれよりも大きくする
ことで、管軸に対せるねじれ角の大きいらせん溝の溝深
さを大きくした場合よりもさらに管外熱伝達率が向上し
たことがわかる。特に、サンプル30〜35の中で、最
小ねじれの螺旋溝のねじれ角を30゜以下に設定するこ
とで、比較伝熱管よりも管外熱伝達率で15%以上向上
したことがわかる。また、サンプル31とサンプル36
は管外面形状が同じであるので管外熱伝達率は同じであ
るが、管の内面が管の外面に形成された溝深さと周方向
のピッチの大きい螺旋溝の凹凸形状に対応した凸凹形状
となっているので、加工に用いた素管の肉厚が薄くても
加工できた。また、表4に記載のサンプル実験から管外
面に3種類の螺旋溝を形成した場合でも、同様の性能向
上が得られたことがわかる。また、表5に記載のサンプ
ル実験から螺旋溝の断面形状がどの様な場合でも、吸収
液膜撹乱作用が得られたことがわかる。
【0058】(滴下液膜式再生器への使用)以上の説明
は、本発明の伝熱管を吸収式冷凍機の熱交換器の内、吸
収器に使用した例について行ってきた。ところで、滴下
液膜式再生器の場合には、吸収器と同様に伝熱管管群が
水平に取り付けられ、吸収器内で冷媒蒸気を吸収し薄く
なった希溶液が伝熱管外表面に滴下される。同時に、伝
熱管内部に温水もしくは水蒸気が流され、希溶液を伝熱
管外表面で沸騰させ濃度を濃くする(元に戻す)作用が
なされる。したがって、伝熱管外表面での吸収液の広が
りや吸収液膜の撹乱作用には、吸収器に使用された伝熱
管と同様の効果が要求されている。このことから、本発
明の伝熱管による吸収液の広がりと吸収液膜の撹乱作用
は、滴下液膜式再生器用伝熱管として使用しても効果的
である。
【0059】(蒸発器への使用)本発明の伝熱管は蒸発
器用伝熱管としても有効である。吸収式冷凍機の蒸発器
では、吸収器および蒸発器と同様に伝熱管群が取り付け
られ、伝熱管外面に純水などの冷媒が適下され、伝熱管
内には水が流される。蒸発器内は減圧されており、冷媒
が伝熱管外面で蒸発する。その時、冷媒が蒸発潜熱とし
て管内を流れる水から熱を奪い、所望の冷水が得られ
る。そのため、伝熱管の外面を流下する冷媒が広がり易
くなる形状であることと、その外表面での伝熱面積の増
加が要求される。本発明の『管外面に管軸方向に同じ向
きにねじれた、2種類もしくはそれ以上の螺旋溝を有す
る伝熱管』を蒸発器用伝熱管に使用した場合、複数の螺
旋溝が管軸方向に同じ方向にねじれているので冷媒がそ
れら螺旋溝に沿って伝熱管外面に均一に広げられる。同
時に螺旋溝の突起によって伝熱面積も増加しているの
で、高い伝熱性能が得られる。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の伝熱管およ
びその製造方法によれば、伝熱管外面での吸収液の広が
りを十分にさせると同時に、吸収液膜の撹乱作用を吸収
液の流下する下方向(管軸方向に直角な方向)にも、管
軸方向にも十分に促進させる形状を持たせ、吸収液膜の
撹乱作用をより促進させる形状となっているので、より
高性能の伝熱管となり、冷凍機の小型化および高性能化
に寄与することができる。
【0061】本発明の請求項1の伝熱管によれば、管外
周面に管軸に対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ角
の異なる少なくとも2種類の螺旋溝を有しているので、
例えばこの伝熱管を水平に配置する吸収器に使用した場
合、少なくとも2種類の螺旋溝で囲まれた突起が管外周
面に多数形成されるので、吸収液膜がその突起にぶつか
って撹乱作用がより促進させられる。同時に、少なくと
も2種類の螺旋溝は管軸方向に対して同じ方向にねじれ
ているので、いくつかの突起にぶつかって撹乱された吸
収液膜は螺旋溝の交差部分を横切りながら管軸方向に促
進させる。
【0062】また、螺旋溝のねじれ角が3゜〜80゜の
範囲であるので、吸収液膜の撹乱作用がより促進させら
れる。その結果、高効率な熱交換が行われる。
【0063】特に、少なくとも2種類の螺旋溝のねじれ
角の交差角を10゜より大きくすると、少なくとも2種
類の螺旋溝に囲まれて突起が確実に形成されるので、突
起による吸収液膜の撹乱作用促進の効果が得られる。
【0064】また、特に、螺旋溝の溝深さを0.1〜
1.5mmの範囲に、周方向のピッチを0.25〜10
mmの範囲にすると、突起による吸収液膜の攪乱作用促
進効果が大きく、吸収液膜が突起を乗り越えて管外周面
に十分に広がる。
【0065】本発明の請求項2の伝熱管によれば、少な
くとも2種類の螺旋溝のうち少なくとも1つの螺旋溝の
溝深さあるいは周方向のピッチのどちらか一方もしくは
両方が、他の螺旋溝のそれとは異なっているので次のよ
うな効果がある。伝熱管外周面の突起がランダムとなり
吸収液膜の厚さに差を生じさせることができる。その結
果、吸収液膜に表面張力の差をつけることができてマラ
ンゴニー対流を促進させ、複数の螺旋溝の大きさが同じ
ときよりも吸収液膜の撹乱作用がより促進され、より高
効率な熱交換が行われるようになる。
【0066】特に、少なくとも2種類の螺旋溝のうち溝
深さが最も大きい螺旋溝は溝深さが0.3〜1.5mm
の範囲であり、周方向のピッチが0.8〜5.0mmの
範囲であり、他の螺旋溝は溝深さが0.1〜0.7mm
の範囲であり、周方向のピッチが0.25〜2.0mm
の範囲であるようにすると、伝熱管外周面に形成される
突起が吸収液膜の厚さに対して最適な差を生じさせるこ
とができる。その結果、吸収液膜に表面張力の差をつけ
ることができてマランゴニー対流をより促進させ、複数
の螺旋溝の大きさが同じときよりも吸収液膜の撹乱作用
がより促進され、より高効率な熱交換が行われるように
なる。
【0067】本発明の請求項1または請求項2の伝熱管
において、ねじれ角が最小である螺旋溝のねじれ角を3
゜〜30゜の範囲とすることにより、より安定して吸収
液膜を管軸方向に広げることができる。
【0068】本発明の請求項3の伝熱管によれば、螺旋
溝のねじれ角が最小である螺旋溝の少なくとも溝深さが
他の螺旋溝のそれよりも大きいので、吸収液膜が管軸方
向に広がり易くなる。その結果、吸収液膜の撹乱作用も
管軸方向により促進され、更に高効率な熱交換が行われ
る。
【0069】本発明のうち請求項4の伝熱管は、管外周
面に形成された最も溝深さが大きい螺旋溝の凹凸形状
に、対応した凸凹形状の螺旋条を管内周面に有している
ので、管内側を流れる、例えば冷却水に乱流効果を与え
ることができ、管内側の性能も向上できる。また、管内
側の余分な肉厚部分をなくして管の肉厚を管周方向にで
きる限り均一にすることとなり、全体としての重量が減
少できるので、コスト低減にも有効となる。
【0070】本発明のうち請求項5の伝熱管の製造方法
によれば、外周面が平滑な素管の外周面上に、所定の螺
旋溝形状を有する複数種類の駒またはロールなどの転造
工具を押しつけながら回転させて2種類以上の螺旋溝を
1工程で形成するので、段取り替え等の時間や手間が省
略され生産性が向上する。
【0071】本発明のうち請求項6の伝熱管の製造方法
によれば、内周面が平滑な素管に対して、管の外周面に
形成される溝深さの大きさが最も大きい螺旋溝の凹凸形
状に相対した凸凹形状を内周面に形成するプラグを管の
内側にいれて加工するので、このように形成された伝熱
管は管内側を流れる、例えば冷却水に乱流効果を与える
ことができ、管内側の性能も向上できる。また、管内側
の余分な肉厚部分をなくして管の肉厚を管周方向にでき
る限り均一にすることとなり、全体としての重量が減少
できるので、コスト低減にも有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伝熱管の一実施の形態を示す斜視図で
ある。
【図2】本発明の伝熱管の他の実施の形態を示す斜視図
である。
【図3】本発明の伝熱管の他の実施の形態を示す主要部
の拡大断面図である。
【図4】本発明の伝熱管の他の実施の形態を示す斜視図
である。
【図5】(イ)は本発明の伝熱管の製造方法に使用され
る駒の一実施の形態を示す正面図、(ロ)は(イ)の駒
の断面図である。
【図6】(イ)は本発明の伝熱管の製造方法の一実施の
形態を示す主要部の概要図、(ロ)は(イ)の側面を示
す概要図である。
【図7】(イ)は本発明の伝熱管の製造方法の他の実施
の形態を示す主要部の概要図、(ロ)は(イ)の側面を
示す概要図である。
【図8】(イ)は本発明の伝熱管の製造方法の他の実施
の形態を示す主要部の概要図、(ロ)は(イ)の側面を
示す概要図である。
【図9】本発明の伝熱管の製造方法の他の実施の形態を
示す主要部の側面を示す概要図である。
【図10】本発明の伝熱管の性能を測定する試験機の概
要図である。
【図11】本発明の一伝熱管の性能を示す関係図であ
る。
【図12】伝熱管の外周面の臭化リチウム水溶液が冷媒
蒸気を吸収する際の吸収液膜と冷媒蒸気との界面状態を
示す説明図である。
【図13】(イ)および(ロ)は従来の伝熱管の螺旋溝
と吸収液膜の流れを示す説明図、(ハ)は本発明の一伝
熱管の螺旋溝と吸収液膜の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
1 伝熱管 E 突起 H 溝深さ K 駒 M 螺旋溝 P 周方向のピッチ S 素管 R ロール Z 管軸 θ ねじれ角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西澤 武史 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 尾崎 正則 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管内の流体と管外の流体との間で熱交換
    する伝熱管であって、前記伝熱管の管外周面には管軸に
    対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ角の異なる少な
    くとも2種類の螺旋溝を有し、前記螺旋溝のねじれ角は
    3゜〜80゜の範囲であることを特徴とする伝熱管。
  2. 【請求項2】 少なくとも2種類の螺旋溝のうち少なく
    とも1つの螺旋溝の溝深さあるいは周方向のピッチの
    内、どちらか一方もしくは両方が、他の螺旋溝のそれと
    は異なることを特徴とする請求項1に記載の伝熱管。
  3. 【請求項3】 螺旋溝のねじれ角が最小である螺旋溝の
    少なくとも溝深さが他の螺旋溝のそれよりも大きいこと
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝熱管。
  4. 【請求項4】 管内周面に、管外周面に形成された溝深
    さの大きさが最も大きい螺旋溝の凹凸形状に、対応した
    凸凹形状の螺旋条を有することを特徴とする請求項1な
    いし請求項3に記載の伝熱管。
  5. 【請求項5】 外周面が平滑な素管の外周面上に、所定
    の螺旋溝形状を有する複数種類の駒またはロールなどの
    転造工具を押しつけながら回転させて、前記素管の外周
    面上に、管軸に対するねじれ角の方向が同じで、ねじれ
    角の異なる少なくとも2種類以上の螺旋溝を1工程で形
    成することを特徴とする伝熱管の製造方法。
  6. 【請求項6】 内周面が平滑な素管に対して、管の外周
    面に形成される溝深さと周方向のピッチの大きさが最も
    大きい螺旋溝の凹凸形状に対応した凸凹形状を内周面に
    形成するプラグを管の内側にいれて加工することを特徴
    とする請求項5に記載の伝熱管の製造方法。
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