JP3434464B2 - 伝熱管 - Google Patents

伝熱管

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JP3434464B2
JP3434464B2 JP08771599A JP8771599A JP3434464B2 JP 3434464 B2 JP3434464 B2 JP 3434464B2 JP 08771599 A JP08771599 A JP 08771599A JP 8771599 A JP8771599 A JP 8771599A JP 3434464 B2 JP3434464 B2 JP 3434464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は伝熱管に関するもの
であり、さらに具体的には、吸収式冷凍機や空調用吸収
ヒートポンプなどの蒸発器や吸収器に使用される伝熱管
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば吸収式冷凍機などの蒸発器では、
伝熱管を多列状かつ上下方向へ多段になるように水平に
設置し、上下方向に隣合う伝熱管相互の端部を連通さ
せ、蒸発器内を減圧状態に保ち、伝熱管内に水を流しな
らが当該伝熱管に対して上方の凝縮器から供給される冷
媒(水)を滴下ないし散布する。そして、冷媒が伝熱管
群の表面を流下して蒸発する際の潜熱により、管内の流
水を冷却するように構成されている。他方吸収器では、
伝熱管を多列状かつ上下方向へ多段になるように水平に
設置し、上下方向に隣合う伝熱管相互の端部を連通さ
せ、伝熱管内に冷却媒体(水)を流しながら、当該伝熱
管に対して再生器から冷却用の熱交換器を経て供給され
る吸収液(臭化リチュウム水溶液)が滴下ないし散布さ
れる。そして、吸収液は伝熱管群の表面を流下する際に
蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を吸収した後、再生器へ送ら
れる。吸収器の伝熱管内の冷却媒体は、冷媒蒸気の吸収
により温度上昇する吸収液を冷却した後、凝縮器の伝熱
管へ送られるように構成されている。前述のような構造
の蒸発器や吸収器は、吸収式冷凍機内で占める容積比率
が大きく、その小型化のためには蒸発器や吸収器で使用
される伝熱管をより高性能化することが必要である。
【0003】従来この種の伝熱管として、蒸発器には、
管外周面の伝熱面積を拡大させて伝熱性能を上げるため
に、管を長さ方向に沿って切断した断面で1インチ当た
り19〜40個程度の密度で、高さが1.2mm程度以
上のフィンを外周面へ螺旋状に形成した螺旋フィン付管
が使用されている。また吸収器には、例えば実開昭57
−100161号公報に記載されているような、外周面
へ螺旋状に連続する多数の溝が形成された螺旋溝付管が
多く使用されていた。
【0004】発明者らは特願平9−279267号明細
書において、より小型で高性能な伝熱管を既に提案して
いる。この伝熱管は、図16及び図17で示すように、
伝熱管の外周面に多数のフィン20を螺旋状にかつ密に
形成するとともに、フィン20へそのフィン20の高さ
よりも深さが小さい切欠状の凹部21を一定のピッチで
形成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の蒸発器
に使用されている螺旋フィン付管は、外周面に形成され
た螺旋状のフィンにより、冷媒が管の表面に拡散され易
いので表面が平滑な伝熱管と比較して優れた伝熱性能を
有していたが、冷媒が螺旋状のフィン相互間の溝に沿っ
てのみ拡散するため、冷媒の供給量が少ないとそれらが
拡散し難くなり、表面に乾き面が生じ易く伝熱面積が小
さくなる。したがって、伝熱性を高めるには吸収式冷凍
機の冷媒や吸収液の保有量(循環量)を大きくしなけれ
ばならないので、機器の小型化を達成することはできな
かった。
【0006】前記特願平9−279267号明細書で提
案した伝熱管は、散布された冷媒や吸収液が、前記フィ
ン20相互間溝に沿って管の周方向に流下拡散するとと
もに、フィン20の凹部21の部分でフィン20を乗り
越えて管の長さ方向へ移動するので、冷媒や吸収液の散
布量が小さくてもそれらの拡散がはるかによく促進さ
れ、従来の螺旋フィン付管と比べ管外熱伝達率が50%
以上向上した。またこの伝熱管は、前述のような構成と
作用により、より高性能化できるとともに吸収式冷凍機
の冷媒の保有量を小さくできるところから、吸収式冷凍
機の小型化を図ることができた。他方、吸収器では前述
のような構成により吸収液膜の流れがよく攪拌されるた
め、冷媒水蒸気の吸収を促進することができた。しかし
ながら、さらに高性能な伝熱管が要請されている。前記
実開昭57−100161号公報に記載された伝熱管
は、外周面の螺旋溝により表面が平滑な平滑管よりも吸
収液を拡散できるため高い性能が得られる。しかしなが
ら、蒸発器と同様に機器の小型化が要求され、さらに高
性能な伝熱管が必要とされている。
【0007】本発明の目的は、冷媒や吸収液がより円滑
に拡散し、さらに一層高性能化された伝熱管を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る伝熱管は、
前述の課題を解決するため以下のように構成したもので
ある。すなわち、請求項1に記載の伝熱管は、蒸発器や
吸収器に使用される伝熱管であって、外周面には高さh
が0.2〜0.95mmのフィン1aが螺旋状に形成さ
れ、前記フィン1aには当該フィン1aの長さ方向に沿
って凸部10と切欠状の凹部11が正逆状に繰り返し形
成され、前記凸部10の頂部から前記凹部11の底部ま
での間には少なくとも一つの段部12が形成され、前記
凹部11の深さdはフィン1aの高さhよりも小さく形
成されていることを特徴としている。
【0009】請求項2に記載の伝熱管は、請求項1の伝
熱管において、前記フィン1aは当該伝熱管を長さ方向
に沿って切断した断面で1インチ当たり19〜50個の
密度で形成され、前記凹部11は、深さdが0.1〜
0.8mmであって、かつ当該伝熱管の周方向に沿うピ
ッチpが0.5〜0.9mmになるように形成されてい
ることを特徴としている。
【0010】請求項3に記載の伝熱管は、蒸発器や吸収
器に使用される伝熱管であって、外周面には高さを異に
する少なくとも二種のフィン1b,1cが混在するよう
に螺旋状に形成され、前記フィン1b,1cの中の一種
のフィン1bは高さh1が0.2mm以上0.5mm未
満になるように形成され、前記フィン1b,1cの中の
他種のフィン1cは高さh2が一種のフィン1bの高さ
h1よりも0.1mm以上低く形成されていることを特
徴としている。
【0011】請求項4に記載の伝熱管は、請求項3の伝
熱管において、前記フィン1b,1bは、当該伝熱管を
長さ方向に沿って切断した断面で1インチ当たり35〜
50個の密度で形成され、少なくとも前記一種のフィン
1bには、当該伝熱管の周方向に沿う幅wが0.3mm
以下であって、深さdが当該フィン1bの高さh1を超
えずかつ0.1〜0.4mmの範囲である切欠状の凹部
11が、当該伝熱管の周方向に沿うピッチpが0.5〜
0.9mmになるように形成されていることを特徴とし
ている。
【0012】請求項5に記載の伝熱管は、請求項1〜4
に記載の伝熱管において、内周面に多数の凸状リッジ1
3を螺旋状に形成したことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図1〜13を参照しながら、
本発明に係る伝熱管の好ましい実施形態を説明する。 第1実施形態 図1は本発明による第1実施形態の伝熱管を示す部分正
面図、図2は図1の矢印A−Aに沿う部分拡大展開断面
図である。
【0014】伝熱管1には銅や銅合金その他の熱伝導性
のよい材質の金属が用いられ、この伝熱管1の外周面に
は、高さhが0.2〜0.95mmの範囲内である多数
のフィン1aが螺旋状に形成されている。前記フィン1
aには、当該フィン1aの長さ方向に沿って凸部10と
切欠状の凹部11が正逆状に繰り返し形成されている。
凸部10の頂部から前記凹部11の底部までの間には、
一つ以上の段部12が形成され、凹部11の深さdはフ
ィン1aの高さhよりも小さくなるように形成されてい
る。
【0015】前述のように構成された伝熱管1によれ
ば、例えば吸収式冷凍機の蒸発器や凝縮器に組み込まれ
て使用される際、フィン1aへその長さ方向に沿って凸
部10と凹部11が正逆状に繰り返し形成されているの
で、散布される冷媒や吸収液は、フィン1a相互間の溝
に沿って管の周方向へ流れるとともに、凹部11を通じ
て管の長さ方向にも流れるので、管の外周面でその周方
向にも長さ方向にも液膜がより円滑に拡散し、濡れ面積
が増大して伝熱性能が高められる。また、凹部11の深
さdがフィン1aの高さhよりも小いことにより、冷媒
や吸収液の液膜が凹部11を超えて管の長さ方向に拡散
するときその乱流がより促進され、伝熱性能がさらに高
められる。凹部11の深さdがフィン1aの高さh以上
である場合には、凹部11の底部における液膜が厚くな
って伝熱性能が低下する。さらに、凸部10の頂部から
隣の凹部11の底部までの間に段部12が形成されてい
ることにより、伝熱効果がさらに高められる。フィン1
aの高さhが0.2mm未満では伝熱効率をより一層高
めるために十分な広さの伝熱面積が得られず、他方フィ
ン1aの高さhが0.95mmを超えると、冷媒や吸収
液の液膜の管の長さへ方向の拡散が妨げられるので、伝
熱効率が低下する。
【0016】前述の形態の伝熱管1おいて、フィン1a
は伝熱管1を長さ方向に沿って切断した断面において1
インチ当たり19〜50個の密度になるように形成され
ているのが好ましい。また、凹部11の深さd=0.1
〜0.8mm、伝熱管1の周方向に沿うピッチp=0.
5〜0.9mmになるように形成されているのが好まし
い。フィンの密度が、伝熱管1を長さ方向に切断した断
面で1インチ当たり19個未満である場合には、フィン
1a全体の表面積が相対的に小さくなり伝熱効率をより
一層高めるのに十分な伝熱面積が得られず、他方50個
以上である場合にはフィン1aの加工が困難になる。フ
ィン1aにおける凹部11の深さが0.1mm未満であ
る場合には液膜の管長さ方向への拡散が十分でなくな
り、他方、凹部11の深さが0.8mmを超えるとフィ
ン1aの密度との関係で加工が困難になる。管1の周方
向に沿う凹部11のピッチpが0.5mm未満である場
合には、伝熱効率をより一層高めるのに十分な伝熱面積
が得られず、他方ピッチpが0.9mmを超えると、冷
媒や吸収液の液膜を管長さ方向へ十分に拡散する効果が
得られなくなる。
【0017】第1実施形態のような伝熱管を製造するに
は、図3で示すように、素管1’の周方向へ等角度間隔
に複数の加工ロール3を配置し、素管1’内へ図示しな
い回転自在なマンドレルを挿入し、そのマンドレル側へ
各加工ロール3を素管1’へ押し付けた状態で同一方向
へ回転させる。加工ロール3の外周面には、伝熱管1の
外周面のフィン1aとは対称的な凹凸底面形状を有し、
かつ、軸線に対して直交するような複数の加工溝30が
形成されており、これらの加工ロール3は、その軸線が
素管1’の管軸に対して伝熱管1におけるフィン1aの
ねじれ角度θに対応する角度(この角度は、ねじれ角度
θが85度の場合は5度)だけ傾いている。したがっ
て、各加工ロール3を素管1’へ押し付けた状態で同一
方向へ回転させると、素管1’は加工ロール3の傾きに
より押されて移動する過程で、当該素管1’の表面に螺
旋状のフィン1aが連続的に加工され、フィン1aには
その長さ方向に沿って凸部10と凹部11が交互にかつ
連続的に加工される。
【0018】第2実施形態 図4は本発明による第2実施形態の伝熱管を示す部分断
面図である。この実施形態の伝熱管1の内周面には、多
数の凸状リッジ13が螺旋状に形成されている。このよ
うに、内周面に多数の凸状リッジ13を形成したことに
より、管内を流れる冷媒の乱流が促進されるとともに、
管内面の伝熱面積が増大して熱通過率が向上する。この
実施形態の伝熱管の凸条リッジ13は、素管の外周面に
フィン1aを加工する前に転造法により加工される。こ
の実施形態の伝熱管の他の構成や作用効果は、第1実施
形態の伝熱管と同様であるのでそれらの説明は省略す
る。
【0019】実施例1 外径φ15.88mmのリン脱酸銅製の素管を用い、第
1実施形態の伝熱管と同様な構成であって、表1で示す
ように、凹部11のピッチpとサイズ及び密度をそれぞ
れ異にしたフィンを有する実施例の伝熱管サンプルEx
1〜6を製造した。これら伝熱管サンプルにおいて、フ
ィンの管軸に対するねじれ角度は約85度である。
【0020】比較例 実施例1と同様に外径φ15.88mmのリン脱酸銅製
の素管を用い、図16及び図17で示したような構成の
伝熱管であって、表1のような凹部21のピッチとサイ
ズ及び密度のフィン20を有する比較例の伝熱管サンプ
ルEx7と、フィン高さ以外の構成が前記第1実施形態
の伝熱管と同様である比較例サンプルEx8とを製造し
た。このれら伝熱管サンプルにおいて、フィンの管軸に
対するねじれ角度は約85度である。
【0021】従来例 実施例1と同様に外径φ15.88mmのリン脱酸銅製
の素管を用い、従来の一般的な螺旋フィン付の伝熱管で
あって、表1で示すようなフィン高さとフィン密度の従
来例の伝熱管サンプルEx9(フィンの管軸に対するね
じれ角度=85度)を製造した。なお、すべての伝熱管
サンプルの外径や肉厚は同じになるように製造した。
【0022】図15で示すような実験装置を用い、各伝
熱管サンプルEX1〜7の(蒸発)伝熱性能試験を実施
した。図15において、5は蒸発器であり、その内部に
はサンプル伝熱管50を一列五段になるように水平に配
管し、上下方向に隣接するサンプル伝熱管50相互を全
体が蛇行状を呈するように連通した。6は吸収器であ
り、同様にサンプル伝熱管60を一列五段になるように
水平に配管し、上下方向に隣接するサンプル伝熱管60
相互を全体が蛇行状を呈するように連通した。サンプル
伝熱管50,60に水を通す一方、蒸発器5のサンプル
伝熱管50には散布パイプ51により冷媒(純水)を散
布し、吸収器6のサンプル伝熱管60には散布パイプ6
1により吸収液(臭化リチュウム水溶液)を散布した。
蒸発器5では、サンプル伝熱管50へ散布される冷媒が
蒸発し、その潜熱で内部を流れる水が冷却される。蒸発
器5内で発生した冷媒蒸気を、吸収器6のサンプル伝熱
管60に散布される吸収液に吸収させ、冷媒蒸気を吸収
して希釈された吸収液は希釈溶液槽7に溜め、その希釈
吸収液を濃溶液槽8へ供給して濃度調整するとともに、
当該濃溶液槽8で加熱沸騰させて温度調整を行った。濃
度調整後の吸収液をポンプ80により吸収液の散布パイ
プ61へ戻すように構成した。
【0023】 実験条件 冷媒:水・・・・・入口温度:15±1℃ 冷媒流量:0.6〜2.4リットル/m・min 冷媒散布装置・・・孔径:1.5mm、孔間隔:12.5mm 蒸発器冷水・・・・入口温度:28±0.3℃ 流速:2.0m/sec 蒸発器内圧力・・・12±0.5mmHg 伝熱管配列・・・・長さ500mmの伝熱管を上下方向へ一列・五段配列
【0024】各伝熱管サンプルEX1〜9の伝熱性能試
験は、それらをそれぞれ蒸発器5に組込んで管外熱伝達
率を測定し、従来例の伝熱管サンプルEx9の管外熱伝
達率を基準(100)とし、冷媒流量:1.0リットル
/m・minのときの伝熱性能比率で比較し、その結果
を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】表1の伝熱性能比率で示されているよう
に、第1実施形態のような構成であって、それぞれ、フ
ィンの高さh=0.2〜0.95mm、管長さ方向1イ
ンチ当たりのフィン密度=19〜50個、凹部のピッチ
p=0.5〜0.9、凹部の深さd=0.1〜0.8で
ある実施例の伝熱管サンプルEx1〜6は、従来例の伝
熱管サンプルEx9と比べてはるかに高い伝熱性能を示
している。また、実施例の伝熱管サンプルは、凸部の頂
部から凹部の底部までの間に段部がない比較例の伝熱管
サンプルEx7、及び、フィン高さhが大きすぎる比較
例の伝熱管サンプルEx8と比べ、より高い伝熱性能を
示している。
【0027】蒸発器伝熱管の管外熱伝達率比較 実施例の伝熱管サンプルEx2と、比較例の伝熱管サン
プルEx7とを蒸発器の伝熱管として使用した場合にお
いて、冷媒液膜流量に対する管外熱伝達率を測定した。
その結果、図5で示したように、前者は後者より一層高
い管外熱伝達率を示した。
【0028】実施例2 実施例の伝熱管サンプルEx2と、外周部が伝熱管サン
プルEx2と同じで、第2実施形態のように内周面に螺
旋状の凸状リッジ13を形成した実施例の伝熱管サンプ
ルEx10とを製造し、両者の蒸発時の熱通過率を比較
し、その結果を表2に示す。熱通過率は、冷媒流量1.
0リットル/m・minでのサンプルEx2を基準とし
てして比較した。
【0029】
【表2】
【0030】表2で示されているように、第2実施形態
の伝熱管のように管の内部に凸状リッジ13を形成する
ことによって、管内熱伝達率が向上し熱通過率を向上さ
せることができる。
【0031】実施例3 リン脱酸銅で外径15.88mmの素管を使用し、管軸
に対するフィンのねじれ角度=27°,フィン高さ=
0.35mm、周方向に沿うフィン数=51であって、
実開昭57−100161号公報に記載されているよう
な螺旋溝付きの従来例の伝熱管サンプルEx11を製造
した。管の外径は実施例の伝熱管サンプルEx2と同に
した。前記伝熱管サンプルEx11と、実施例の伝熱管
サンプルEx2とを図15の装置の吸収器に組み込み、
次に記載した条件で伝熱性能(管外熱伝達率)測定を実
施した。
【0032】 実験条件 吸収液:臭化リチュウム水溶液 入口温度:40±1℃ 流量:0.015〜0.040kg/m・sec 入口濃度:58.0±0.5 wt.% 散布装置・・・・・孔径:1.5mm、孔間隔:12.5mm 冷却水・・・・・・入口温度:28±0.3℃ 流速:1.0m/sec 蒸発器内圧力・・・15±0.5mmHg 伝熱管配列・・・・長さ500mmの伝熱管を上下方向へ一列・五段配列
【0033】上記の伝熱性能測定の結果によれば、図6
に示したように、実施例の伝熱管は、吸収時の管外熱伝
達率でも従来例のサンプルEx11よりも向上してい
る。これは、フィン1aに切欠状の凹部11を形成した
ことによって吸収液膜の管軸方向への広がりが促進さ
れ、またフィン1aが凹凸状に形成されていることによ
り吸収液膜の攪拌が促進された結果である。
【0034】第3実施形態 図7は本発明による第3実施形態の伝熱管を示す部分正
面図である。この実施形態の伝熱管1の外周面には、高
さを異にする少なくとも二種のフィン1b,1cが混在
するように螺旋状に形成されている。この実施形態で
は、高さh1が0.2mm以上0.5mm未満である高
さの高い一種のフィン1bと、高さh2が一種のフィン
1bの高さh1よりも0.1mm以上低い他種のフィン
1cとが、1対2の割合で管1の長さ方向に沿って交互
に並ぶように形成されている。
【0035】前述のように構成された伝熱管1によれ
ば、例えば吸収式冷凍機の蒸発器や凝縮器に組み込まれ
て使用される際、高さh1,h2を異にする二種のフィ
ン1b,1cが混在するように形成されているので、散
布される冷媒や吸収液は、各フィン1b,1cに沿って
管の周方向へ流れるとともに、各フィン1b,1cを乗
り越えて管の長さ方向へ流れるので、管の外周面でその
周方向にも長さ方向にも液膜がより円滑に拡散し、濡れ
面積が増大して伝熱性能が高められる。特に、高さh1
の高い一種のフィン1b,1b相互間では、高さh2が
より低い他種のフィン1cが位置していて、低流量域で
の液膜の管長さ方向への拡散や乱流が活発になり、乾き
面の発生がよく抑制されるので伝熱性能は一層高められ
る。
【0036】高い方の一種のフィン1bの高さh1が
0.2mm未満では、特に管が小径である場合に伝熱性
能を一層増大させるに十分な伝熱面積が得られないおそ
れがあり、他方、前記高さh1が0.5mm以上である
と、液膜の管軸方向への拡散が妨げられて濡れ面積の減
少をまねくおそれがある。一種のフィン1bの高さh1
と他種のフィン1cの高さh2との差が0.1mm未満
では、低流量域における液膜の管長さ方向への拡散が緩
慢になるおそれがある。
【0037】第3実施形態の伝熱管において、前記フィ
ン1b,1cは、当該伝熱管を長さ方向に沿って切断し
た断面において1インチ当たり35〜50個の密度で形
成されているのが好ましい。フィンの密度が、伝熱管1
を長さ方向に切断して見た状態で1インチ当たり35個
未満である場合には、特に他種のフィンcの高さを低く
しているために、フィン1b,1c全体の表面積が相対
的に小さくなり伝熱効率をより一層高めるのに十分な伝
熱面積が得られず、他方50個以上である場合にはフィ
ン1b,1cの加工が困難になる。第3実施形態の伝熱
管の他の構成や作用効果は、第1実施形態の伝熱管とほ
ぼ同様なのでそれらの説明は省略する。
【0038】第3実施形態の伝熱管は、図8〜図10で
示すような製造装置によって工業的に製造される。図8
で示すように、素管1’の供給位置の回りには、供給さ
れる素管1’を中心として等角度間隔に第1〜第3の加
工ロール4a,4b,4cが設置されている。これらの
加工ロール4a,4b,4cは、図9で示すように、図
8の矢印イ,ロ,ハの方向から見た状態で、その軸線が
素管1’の管軸に対して伝熱管1におけるフィン1aの
ねじれ角度θに対応する角度θ1(この角度θ1は、ね
じれ角度θが85度の場合は5度)傾いている。
【0039】図10で示すように、各加工ロール4a,
4b,4cは、それぞれロール軸40とこのロール軸4
0へ固定された複数のディスクからなる加工用のディス
ク群40a群を備えており、第2及び第3の加工ロール
4b,4cは端部に押潰し用のディスク49を備えてい
る。この形態では、ディスク群40aは第1の加工デイ
スク41〜第8の加工ディスク48によって構成されて
おり、隣接する各ディス41〜48の外縁部相互の間に
は、伝熱管1における一種のフィン1bの高さh1より
も深い加工溝40bがそれぞれ形成されている。一端部
の第1の加工ディスク41の外径は小径であって、この
第1の加工ディスク41から第6の加工ディスク46ま
では徐々に大径になるように形成されるとともに、第6
の加工ディスク46〜第8の加工ディスク48はそれぞ
れ同じ外径に形成されている。押潰し用のディスク49
は、第8の加工ディスク48の隣に配置されるととも
に、第6の加工ディスク46〜第8の加工ディスク48
の外径よりも小さな外径に形成されている。
【0040】以上のような装置の素管供給位置へ、内部
に回転自在なマンドレル4dが挿入された素管1’を供
給し、前記マンドレル4dの位置で各加工ロール4a,
4b,4cを素管1’へ押し付けた状態で一定方向(図
10の左側から見た状態で時計方向)へ同速で回転させ
ると、素管1’は図10の右方向に移動し、管の周面に
は溝とフィンが交互に形成される。この間、マンドレル
4dは初期の挿入位置に保持される。
【0041】図10の(a)(b)(c)図は、第1の
加工ロール4a,第2の加工ロール4b及び第3の加工
ロール4cの素管1’への接触位置における相互の位置
関係を示しており、各加工ロール4a〜4cは、第1の
加工ディスク41が素管1’の長さ方向に沿って同位置
になるように配置されている。各加工ロール4a,4
b,4cが一定方向へ回転するとき、素管1’が1/3
回転する毎に一個の加工ディスクの厚み分だけ移動する
ので、第1の加工ロール4aにおける第1の加工ディス
41,第4の加工ディスク44及び第7の加工ディスク
47と、第2の加工ロール4bにおける第2の加工ディ
スク42,第5の加工ディスク45及び第8の加工ディ
スク48と、第3の加工ロール4cにおける第3の加工
ディス43及び第6の加工ディスク46は、素管外周の
同じ溝へそれぞれ接触する。同様に、第1の加工ロール
4aにおける第2の加工ディス42,第5の加工ディス
ク45及び第8の加工ディスク48と、第2の加工ロー
ル4bにおける第3の加工ディス43及び第6の加工デ
ィスク46と、第3の加工ロール4cにおける第1の加
工ディスク41,第4の加工ディス44及び第7の加工
ディスク47は、素管外周の同じ溝へそれぞれ接触す
る。また、第1の加工ロール4aにおける第3の加工デ
ィス43及び第6の加工ディスク46と、第2の加工ロ
ール4bにおける第1の加工ディスク41,第4の加工
ディス44及び第7の加工ディスク47と、第3の加工
ロール4cにおける第2の加工ディスク42,第5の加
工ディス45及び第8の加工ディスク48は、素管外周
の同じ溝へそれぞれ接触する。したがって、各加工ロー
ル4a,4b,4cの回転により、素管1’は図10の
右方向へ移動するとともに、素管1’の外周面には同じ
高さで三条のフィンが螺旋状に連続的に形成され、同時
に、その中の2条のフィンは、第2の加工ロール4bの
押潰し用のディスク49と第3の加工ロール4cの押潰
し用のディスク49とによって、順にその頭部が所定量
押し潰されるので、外周面に高さh1の高い一条の一種
のフィン1bと、それよりも高さh2の低い二条の他種
のフィン1c,1cとが、交互にかつ螺旋状に形成され
た伝熱管1が製造される。
【0042】第3の加工ロール4cを除き、第1の加工
ロール4aと第2の加工ロール4bとを相対するように
1対1で組み合わせると、外周面にフィン1bとフィン
1cが交互にかつ螺旋状に形成された伝熱管が製造され
る。また、第1の加工ロール4a一つと、第2の加工ロ
ール三つの都合四個の加工ロールを組み合わせると、外
周面に高さの高い一条の一種のフィン1bと高さの低い
三条の他種のフィン1cとが、交互に螺旋状に形成され
た伝熱管が製造される。このように、組み合わせる第1
の加工ロール4aの数と第2の加工ロール4bの数とを
選択することによって、一種のフィン1bの数と他種の
フィン1bの数との比率を設定することができる。
【0043】第4実施形態 図11は本発明に係る第4実施形態の伝熱管を示す部分
正面図、図12は図11の矢印B−Bに沿う拡大展開断
面図である。この実施形態の伝熱管1は、外周面に形成
されたフィン1b,1cの内、一種のフィン1bへその
長さ方向に沿って切欠状の凹部11が断続的に形成され
ている。前記凹部11は、伝熱管1の周方向に沿う幅w
が0.3mm以下であって、深さdが当該フィン1bの
高さh1を超えずかつ0.1〜0.4mmの範囲であ
り、伝熱管1の周方向に沿うピッチpが0.5〜0.9
mmになるように形成されている。
【0044】第4実施形態の伝熱管によれば、高さh1
の高い一種のフィン1bに前述のような凹部11が断続
的に形成されており、液膜が前記凹部11を超えて移動
するので、液膜の管長さ方向への拡散が一層促進される
とともに乱流が促進され、その結果伝熱性能がさらに向
上する。伝熱管1の周方向に沿う凹部11の幅wが0.
3mmを超え、又はその深さdが0.4mmを超え、あ
るいは管1の周方向に沿う凹部11のピッチpを0.5
mm未満にすると、フィンの面積が小さくなって一層の
伝熱効果を発揮させるに十分な伝熱面積を得ることがで
きなくなるおそれがある。他方、凹部11の深さdを
0.1mm未満にし、あるいはピッチpが0.9mmを
超えると、凹部11を形成した前記効果がなくなるか極
端に小さくなる。
【0045】第4実施形態の伝熱管1は、図10におけ
る各加工ロール4a,4b,4cの素管移動方向の下流
側に位置する複数の加工溝40bの底部へ、凹部11に
対応する凸部を形成した加工装置により工業的に製造さ
れる。
【0046】第3実施形態の伝熱管及び第4実施形態の
伝熱管においても、第2実施形態の伝熱管のように、そ
の内周面に多数の凸条リッジ13(図4)を螺旋状に形
成することができる。
【0047】実施例4 外径φ15.88mmのリン脱酸銅製の素管を用い、第
3実施形態の伝熱管と同様な構成のものと、第4実施形
態の伝熱管と同様な構成のものであって、表3で示すよ
うに、フィンサイズ又はフィン構造をそれぞれ異にした
実施例の伝熱管サンプルEx12〜18を製造した。こ
のれら伝熱管サンプルにおいて、フィンの管軸に対する
ねじれ角度は約85度である。
【0048】比較例 実施例4と同様に外径φ15.88mmのリン脱酸銅製
の素管を用い、図16及び図17で示したような構成の
伝熱管であって、表3のような凹部のピッチとサイズ及
び密度のフィン20を有する比較例の伝熱管サンプルE
x19と、フィン高さとフィン密度以外の構成が前記第
3実施形態の伝熱管と同様である比較例サンプルEx2
0とを製造した。これらの伝熱管サンプルにおいて、フ
ィンの管軸に対するねじれ角度は約85度である。
【0049】従来例 実施例4と同様に外径φ15.88mmのリン脱酸銅製
の素管を用い、従来の一般的な螺旋フィン付の伝熱管で
あって、表1で示すようなフィン高さとフィン密度の従
来例の伝熱管サンプルEx21(フィンの管軸に対する
ねじれ角度=85度)を製造した。なお、すべての伝熱
管サンプルの外径や肉厚は同じになるように製造した。
【0050】そして、図14で示すような実験装置を用
い、次のような条件で各伝熱管サンプルEX10〜19
の(蒸発)伝熱性能試験を実施した。 実験条件 冷媒:水・・・・・入口温度:15±1℃ 冷媒流量:0.6〜2.4リットル/m・min 冷媒散布装置・・・孔径:1.5mm、孔間隔:12.5mm 蒸発器冷水・・・・入口温度:28±0.3℃ 流速:2.0m/sec 蒸発器内圧力・・・12±0.5mmHg 伝熱管配列・・・・長さ500mmの伝熱管を上下方向へ一列・五段配列
【0051】各伝熱管サンプルEX12〜21の伝熱性
能試験は、それらをそれぞれ蒸発器に組込んで管外熱伝
達率を測定し、従来例の伝熱管サンプルEx21の管外
熱伝達率を基準(100)とし、冷媒流量:1.0リッ
トル/m・minのときの伝熱性能比率で比較し、その
結果を表3に示した。
【0052】
【表3】
【0053】表3の伝熱性能比率で示されているよう
に、第3実施形態のような構成であって、それぞれ、一
種のフィンの高さh1=0.2〜0.5mm、他種のフ
ィンの高さh2=一種のフィンの高さh1以下、管の長
さ方向1インチ当たりのフィン密度=35〜50個であ
る実施例の伝熱管サンプルEx12〜15は、従来例の
伝熱管サンプルEx21と比べたはるかに高い伝熱性能
を示している。第4実施形態のような構成であって、そ
れぞれ、一種のフィンの高さh1=0.2〜0.5m
m、他種のフィンの高さh2=一種のフィンの高さh1
以下、管の長さ方向1インチ当たりのフィン密度=35
〜50個、管の周方向に沿う凹部のピッチp=0.5〜
0.9mm、凹部の幅w=0.3mm以下、凹部の深さ
d=0.1〜0.4mmである実施例の伝熱管サンプル
Ex16〜18は、他の実施例の伝熱管サンプルEx1
2〜15よりも総じて高い伝熱性能を示している。ま
た、実施例の各伝熱管サンプルは、全部のフィンの高さ
が均一である比較例の伝熱管サンプルEx19や、フィ
ン密度が35未満であって他の構成が第3実施形態の伝
熱管と同じである比較例の伝熱管サンプルEx20と比
べ、より高いより高い伝熱性能を示している。
【0054】蒸発器伝熱管の管外熱伝達率比較 実施例の伝熱管サンプルEx16と、比較例の伝熱管サ
ンプルEx19とを蒸発器の伝熱管として使用した場合
において、冷媒液膜流量に対する管外熱伝達率を測定し
た。その結果、図13で示したように、前者は後者より
一層高い管外熱伝達率を示した。
【0055】実施例5 実施例の伝熱管サンプルEx16と、外周部が伝熱管サ
ンプルEx16と同じで、内周面に螺旋状の凸状リッジ
13(図4)を形成した実施例の伝熱管サンプルEx2
2とを製造し、両者の蒸発時の熱通過率を比較し、その
結果を表4に示す。熱通過率は、冷媒流量1.0リット
ル/m・minでの伝熱管サンプルEx16を基準とし
てして比較した。
【0056】
【表4】
【0057】表4で示されているように、管の内周面に
凸状リッジ13を形成することによって、管内熱伝達率
が向上し熱通過率を向上させることができる。
【0058】実施例6 リン脱酸銅で外径15.88mmの素管を使用し、管軸
に対するフィンのねじれ角度=27°,フィン高さ=
0.35mm、周方向に沿うフィン数=51であって、
実開昭57−100161号公報に記載されているよう
な螺旋フィン付きの従来例の伝熱管サンプルEx23を
製造した。管の外径は実施例の伝熱管サンプルEx16
と同じにした。前記伝熱管サンプルEx23と、実施例
の伝熱管サンプルEx16とを図14の装置の吸収器に
組み込み、次に記載した条件で伝熱性能(管外熱伝達
率)測定を実施した。
【0059】 実験条件 吸収液:臭化リチュウム水溶液 入口温度:40±1℃ 流量:0.015〜0.040 kg/m・sec 入口濃度:58.0±0.5 wt.% 散布装置・・・・・孔径:1.5mm、孔間隔:12.5mm 冷却水・・・・・・入口温度:28±0.3℃ 流速:1.0m/sec 蒸発器内圧力・・・15±0.5mmHg 伝熱管配列・・・・長さ500mmの伝熱管を上下方向へ一列・五段配列
【0060】上記の伝熱性能測定の結果によれば、図1
4に示したように、実施例の伝熱管サンプルは、吸収時
の管外熱伝達率でも従来例のサンプルEx23よりも向
上している。これは、高さの低いフィン1cを形成した
ことと、高さの高いフィン1bに切欠状の凹部11を形
成したことにより、吸収液の管長さ方向への広がりが促
進され、また、高さの異なるフィンが混在するよう構成
したこにより吸収液膜の攪拌が促進された結果である。
【0061】
【発明の効果】請求項1の発明に係る伝熱管によれば、
例えば吸収式冷凍機の蒸発器や凝縮器に組み込まれて使
用される際、フィン1aへその長さ方向に沿って凸部1
0と凹部11が正逆状に繰り返し形成されているので、
散布される冷媒や吸収液は、フィン1a相互間の溝に沿
って管の周方向へ流れるとともに、凹部11を通じて管
の長さ方向へ流れるので、管の外周面でその周方向にも
長さ方向にも液膜がより円滑に拡散し、濡れ面積が増大
して伝熱性能が高められる。また、凹部11の深さdが
フィン1aの高さhよりも小いことにより、冷媒や吸収
液の液膜が凹部11を超えて管の長さ方向に拡散すると
きその乱流がより促進され、伝熱性能がさらに高められ
る。凹部11の深さdがフィン1aの高さh以上である
場合には、凹部11の底部における液膜が厚くなって伝
熱性能が低下する。さらに、凸部10の頂部から隣の凹
部11の底部までの間に段部12が形成されていること
により、伝熱効果がさらに高められる。
【0062】請求項2の発明に係る伝熱管によれば、フ
ィン1aが伝熱管1を長さ方向に沿って切断した断面に
おいて1インチ当たり19〜50個の密度になるように
形成されているとともに、それぞれ凹部11の深さd=
0.1〜0.8mm、伝熱管1の周方向に沿うピッチp
=0.5〜0.9mmになるように形成されているの
で、より一層高い伝熱性能を発揮することができる。
【0063】請求項3の発明に係る伝熱管によれば、例
えば吸収式冷凍機の蒸発器や凝縮器に組み込まれて使用
される際、高さh1,h2を異にする二種のフィン1
b,1cが混在するように形成されており、散布される
冷媒や吸収液は、各フィン1b,1cに沿って管の周方
向へ流れるとともに、各フィン1b,1cを乗り越えて
管の長さ方向へ流れるので、管の外周面でその周方向に
も長さ方向にも液膜がより円滑に拡散して、濡れ面積が
増大してより高い伝熱性能を発揮することができる。特
に、高さh1の高い一種のフィン1b,1b相互間で
は、高さh2がより低い他種のフィン1cが位置してい
て、低流量域での液膜の管の長さ方向への拡散や乱流が
活発になり、乾き面の発生がよく抑制されるので伝熱性
能は一層高められる。
【0064】請求項4の発明に係る伝熱管によれば、フ
ィン1b,1bが、当該伝熱管を長さ方向に沿って切断
した断面において1インチ当たり35〜50個の密度で
形成され、少なくとも高い方のフィン1bには、当該フ
ィン1bの高さh1未満の高さで、それぞれ幅w=0.
3mm以下、深さd=0.1〜0.4mm、管の周方向
に沿うピッチpが0.5〜0.9mmである凹部11が
形成されているので、より一層高い伝熱性能を発揮する
ことができる。
【0065】請求項5の発明に係る伝熱管は、管の内周
面に多数の凸条リッジが螺旋状に形成されているので、
管内の熱伝達率が向上し、熱通過率が増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の伝熱管の部分拡大
正面図である。
【図2】図1の矢印A−Aに沿う部分拡大展開断面図で
ある。
【図3】第1実施形態の伝熱管を加工する加工装置の主
要部の概略図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の伝熱管の部分拡大
断面図である。
【図5】実施例の伝熱管サンプルと比較例の伝熱管サン
プルとを、吸収式冷凍機の蒸発器に組み込んで作動させ
た場合の、両者の管外熱伝達率を比較した線図である。
【図6】実施例の伝熱管サンプルと従来例の伝熱管サン
プルとを、吸収式冷凍機の吸収器に組み込んで作動させ
た場合の、両者の管外熱伝達率を比較した線図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の伝熱管の部分正面
図である。
【図8】第3実施形態の伝熱管を加工する加工装置の各
加工ロールと素管の配置を示す概略図である。
【図9】図8の矢印イ(ロ、ハ)の方向から見た素管と
一つの加工ロールとの関係を示す概略平面図である。
【図10】図8の加工装置において、第1の加工ロー
ル,第2の加工ロール及び第3の加工ロールの素管への
接触位置における相互の位置関係を示す概略図で、
(a)図は第1の加工ロールと素管との接触状態を示す
部分断面図、(b)図は第2の加工ロールと素管との接
触状態を示す部分断面図、(c)図は第3の加工ロール
と素管との接触状態を示す部分断面図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態の伝熱管の部分正
面図である。
【図12】図11の矢印B−Bに沿う部分拡大展開断面
図である。
【図13】他の実施例の伝熱管サンプルと他の比較例の
伝熱管サンプルとを、吸収式冷凍機の蒸発器に組み込ん
で作動させた場合の、両者の管外熱伝達率を比較した線
図である。
【図14】他の実施例の伝熱管サンプルと他の従来例の
伝熱管サンプルとを、吸収式冷凍機の吸収器に組み込ん
で作動させた場合の、両者の管外熱伝達率を比較した線
図である。
【図15】本発明の実施例で使用した実験装置の概略図
である。
【図16】比較例の伝熱管の部分正面図である。
【図17】図16の伝熱管の外周部の一部を展開して示
した斜視図である。
【符号の説明】
1 伝熱管 1’ 素管 1a フィン 1b 一種のフィン 1c 他種のフィン 10 凸部 11 凹部 12 段部 13 凸条リッジ 2 伝熱管 20 フィン 21 凹部 3 加工ロール 30,40b 加工溝 4a 第1の加工ロール 4b 第2の加工ロール 4c 第3の加工ロール 4d マンドレル 40 加工軸 40a ディス群 41 第1の加工ディスク 42 第2の加工ディスク 43 第3の加工ディスク 44 第4の加工ディスク 45 第5の加工ディスク 46 第6の加工セィスク 47 第7の加工ディスク 48 第8の加工ディスク 49 押潰し用のディス 5 蒸発器 50,60 サンプル伝熱管 51,61 散布パイプ 7 希釈溶液槽 8 濃溶液槽 80 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 俊之 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−48496(JP,A) 特開 平7−24522(JP,A) 特開 平11−118382(JP,A) 実開 昭53−39362(JP,U) 実開 昭59−158969(JP,U) 実開 昭51−128349(JP,U) 実開 昭57−100161(JP,U) 特公 昭58−13837(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 1/36 B21C 37/26 F25B 39/02 F28F 1/42 F28F 1/12 F28F 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸発器や吸収器に使用される伝熱管であ
    って、外周面には高さhが0.2〜0.95mmのフィン1a
    が螺旋状に形成され、 前記フィン1aには当該フィン1aの長さ方向に沿って
    凸部10と切欠状の凹部11が正逆状に繰り返し形成さ
    れ、 前記凸部10の頂部から前記凹部11の底部までの間に
    は少なくとも一つの段部12が形成され、 前記凹部11の深さdはフィン1aの高さhよりも小さ
    く形成されていることを特徴とする、 伝熱管。
  2. 【請求項2】 前記フィン1aは、当該伝熱管を長さ方
    向に沿って切断した断面で1インチ当たり19〜50個
    の密度で形成され、前記凹部11は、深さdが0.1〜
    0.8mmであって、かつ当該伝熱管の周方向に沿うピ
    ッチpが0.5〜0.9mmになるように形成されてい
    ることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱管。
  3. 【請求項3】 蒸発器や吸収器に使用される伝熱管であ
    って、外周面には高さを異にする少なくとも二種のフィン1
    b,1cが混在するように螺旋状に形成され、 前記フィン1b,1cの中の一種のフィン1bは高さh
    1が0.2mm以上0.5mm未満になるように形成さ
    れ、 前記フィン1b,1cの中の他種のフィン1cは高さh
    2が一種のフィン1bの高さh1よりも0.1mm以上
    低く形成されていることを特徴とする、 伝熱管。
  4. 【請求項4】 前記フィン1b,1cは、当該伝熱管を
    長さ方向に沿って切断した断面で1インチ当たり35〜
    50個の密度で形成され、少なくとも前記一種のフィン
    1bには、当該伝熱管の周方向に沿う幅wが0.3mm
    以下であって、深さdが当該フィン1bの高さh1を超
    えずかつ0.1〜0.4mmの範囲である切欠状の凹部
    11が、当該伝熱管の周方向に沿うピッチpが0.5〜
    0.9mmになるように形成されていることを特徴とす
    る、請求項3に記載の伝熱管。
  5. 【請求項5】 内周面には多数の凸状リッジ13が螺旋
    状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれかに記載の伝熱管。
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