JPH09256216A - 再生セルロース繊維およびその製造法 - Google Patents

再生セルロース繊維およびその製造法

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JPH09256216A
JPH09256216A JP6982896A JP6982896A JPH09256216A JP H09256216 A JPH09256216 A JP H09256216A JP 6982896 A JP6982896 A JP 6982896A JP 6982896 A JP6982896 A JP 6982896A JP H09256216 A JPH09256216 A JP H09256216A
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cellulose
yarn
regenerated cellulose
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JP6982896A
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Toshihiko Matsui
敏彦 松井
Masatoshi Saito
政利 斉藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アウター等への展開が可能なレベ
ルの耐擦れ性を有する再生セルロース繊維およびその製
造方法の提供を課題としている。 【解決手段】 本発明は、セルロース銅安溶液から得ら
れる繊維に於いて、X線結晶配向度が75%以下、かつ
繊維全体の分子配向ファクターである複屈折度が0.0
2以下であることを特徴とする再生セルロース繊維であ
り、該再生セルロース繊維はセルロース銅安溶液から繊
維を得るに際し、溶媒のアンモニアが脱溶媒される凝固
過程において、糸条物中に二次粒子が生成する前に延伸
を与え、それ以降はセルロース分子鎖に実質的な延伸配
向を生起させないようにして得られる。 【効果】 本発明法によって得られる再生セルロース繊
維は、フィブリル化が極端に抑制されているので、液流
染色時でのフィブリルの発生がなくなり、用途的にアウ
ター等への展開が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銅安法レーヨンに係
わり、更に詳しくは耐フィブリル性の高い再生セルロー
ス繊維およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、再生セルロース繊維と言えば、ビ
スコースレーヨン、銅安法レーヨン、有機溶媒法レーヨ
ンが挙げられるが、合成繊維に較べ水に濡れたときの強
度や湿潤時の耐擦れ性に弱いという欠点を持つ。ただ、
これらの欠点も原液組成の違いや紡糸方法の違いによっ
て、その程度が異なる。
【0003】即ち、凝固剤に硫酸とボウ硝と硫酸亜鉛を
用いてドラフト1以下で凝固と再生をさせるビスコース
法と凝固剤に水を用いて凝固させながら150以上のド
ラフトで巻き取る銅安法とでは、必然的に得られる繊維
の性能が変化しても不思議ではない。例えば、ビスコー
スレーヨンは、機械物性、特に湿潤時の機械物性が低い
が、反面フィブリル化し難く、加工時の取り扱い性や耐
洗濯性など消費性能に優れている。一方、テンセル(商
品名、コートルズ社製)等の有機溶媒法レーヨンは、機
械強度に優れているものの加工時や洗濯時あるいは着用
時で容易にフィブリル化し、耐擦れ性が低い欠点があ
る。銅安法レーヨンの場合、耐擦れ性についてはテンセ
ルなどの有機溶媒法よりやや優れているものの、満足で
きる性能レベルには達していない。
【0004】この耐擦れ性は、主に湿潤時でのフィブリ
ル化のし易さの程度を意味する。フィブリル化の要因
は、凝固時に生成する粒子の凝集状態(凝集密度、その
分布、繊維軸方向への配列度合)に反映され、繊維軸方
向に粒子が連なったフィブリルが発達すればする程、湿
潤を伴う加工時や洗濯時にフィブリル化し易い。ここ
で、粒子とは、例えば雑誌「ポリファイル」27巻、1
号(1990)の27頁に記載されている二次粒子を意
味する。すなわち、高分子溶液から相分離によって、膜
や中空糸等の成形体が形成されるとき、まず高分子濃厚
相が直径10〜20nmの粒子(一次粒子)として生成
し、それらが凝集して直径50nm以上の二次粒子へと
成長しながら、更に二次粒子同志が凝集して基本的な構
造が形成されることになる。特に、銅安法レーヨンの場
合、高ドラフトがかかる流下緊張法を採用しているた
め、二次粒子が配列し易く、紡糸工学的にもフィブリル
が発達し易いのは当然かも知れない。
【0005】ビスコース法レーヨンの場合でもポリノジ
ックレーヨンの様に紡糸の仕方でフィブリル化し易くな
るケースもある。このことは、紡糸過程、即ち、繊維の
構造が形成されていく過程が耐擦れ性などの繊維性能を
決める重要な要因になってくることを示唆する。しかし
ながら、現状で紡糸法を制御して耐擦れ性の良いセルロ
ース繊維を得ている例はビスコースレーヨンに限られて
いる。
【0006】人造セルロース繊維の耐擦れ性を向上させ
る試みは種々行われている。例えば、特開平5−117
970号公報では架橋処理による方法を提案している
が、実用上満足できるレベルに至っていない。また、特
公昭49−38946号には、フィブリル化したセルロ
ース繊維からセルラーゼなどの酵素を利用してフィブリ
ル化した部分をカットする方法が提案されている。しか
し、これらの方法は、フィブリル化してしまったものを
後処理によって手間暇をかけて取り除こうとするもので
経済性の高い方法とは言えない。また、特開平8−13
336号には、第4級アンモニウム塩を含むカチオン化
合物で処理することによってフィブリル化を防ぐ方法が
開示されているが、化学反応を伴う処理のため、処理に
時間がかかると共に一次構造的にも本質的にセルロース
繊維と言えるものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点に
鑑み、これらに対処すべく、現行銅安法レーヨンの繊維
構造形成過程と耐擦れ現象との関係について研究を重ね
た結果、銅安法レーヨンの場合、凝集構造的に3層から
成る断面構造を取り、最内層に最もフィブリルが発達し
た領域が存在すること、および、かかるフィブリル化は
この最内層から発現することを見い出した。本発明は、
これらの結果をベースに、銅安法で耐擦れ性の観点から
進出できなかったアウター等への展開が可能なレベルの
耐擦れ性を有する再生セルロース繊維、および、その製
造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述したように耐擦れ性
は発達したフィブリルに起因するため、高度にフィブリ
ル化を発達させない紡糸手段を考案する必要がある。し
かしながら、これまで銅安法レーヨンは、流下緊張紡糸
法という高いドラフトで延伸させる方法を採用していた
為、この方法を採用する限り基本原理的にフィブリルの
発達を抑えることは不可能と思われていた。
【0009】本発明者らは、現行プロセスに於ける繊維
構造形成過程を系統的に検討した結果、セルロース銅安
溶液から溶媒成分であるアンモニアが脱溶媒される凝固
過程に於いて、(1)湿式法にあっては、凝固浴中で脱
安率が70%に到達するまでに糸条物を変形させてしま
い、それ以降は変形を与えないか、または(2)乾式法
にあっては、原液を凝固媒体に接触させること無く吐出
させ、原液中のアンモニアの蒸散率が40%に達するま
での間に変形を与え、しかる後変形を与えないようにし
て凝固または再生するかで、耐擦れ性の高い再生セルロ
ース繊維が得られることを見出し、本発明に到達したも
のである。
【0010】すなわち、本発明の作用原理は、脱アンモ
ニアを伴う凝固過程の糸条物中に二次粒子が生成する前
に変形を付与し、かかるセルロース分子鎖に実質的な延
伸配向を生起させないことでフィブリルの発達を抑制す
ることにある。すなわち、本発明は、セルロース銅安溶
液から得られる繊維に於いて、X線結晶配向度が75%
以下で、しかも繊維全体の分子配向ファクターである複
屈折度が0.02以下であることを特徴とする再生セル
ロース繊維であり、セルロース銅安溶液から繊維を得る
に際し、溶媒成分であるアンモニアが脱溶媒される凝固
過程に於いて、(1)湿式紡糸法にあっては、凝固浴中
の糸条物の脱安率が70%に到達する以前に糸条物に変
形を与え、それ以降延伸配向を伴うような変形を与えな
いか、または(2)乾式紡糸法にあっては、原液を凝固
媒体に接触させることなく吐出し、原液中のアンモニア
の蒸散率が40%に達するまでの間に糸条物に変形を与
え、しかる後変形を与えないようにして凝固または再生
することを特徴とする再生セルロース繊維の製造方法で
ある。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明セ
ルロース繊維に於ける最大の特徴は、セルロース銅安溶
液から得られる繊維であって、X線結晶配向度(%)が
75%以下で、しかも繊維全体の分子配向ファクターで
ある複屈折度が0.02以下である点にある。表1に既
存の再生セルロース繊維のX線結晶配向度(%)、複屈
折度、フィブリル化度をまとめて示している。この表か
ら明らかなように、本発明で規定されているセルロース
繊維のX線結晶配向度(%)、複屈折度に代表される配
向性は、既存の再生セルロース繊維のそれらに較べ著し
く異なる。本発明繊維のX線結晶配向度(%)は、75
%以下であり、後述の方法(1)式によって算出され
る。
【0012】また、本発明繊維の複屈折度は、0.02
以下であり、これ以上になるとビスコースレーヨンの一
部を除き樹脂加工や酵素処理等を施さない限り、フィブ
リル化を防ぐことはできない。従来の銅安法レーヨンの
場合、X線結晶配向度(%)が90%、複屈折度が0.
035前後と配向性が比較的高く、これまでに耐擦れ性
の高い繊維は得られていない。
【0013】一方、染色工程や洗濯時にフィブリル化す
るか否かの尺度として、予め、硫酸水溶液でセルロース
繊維をフィブリル化促進処理した後、ホームミキサーで
攪拌し、フィブリル化の程度を調べる方法があるが、本
発明繊維はそのフィブリル化度が70点以上を有するこ
とが好ましく、より好ましくは80点以上である。70
点未満の場合、液流染色時や洗濯時等の湿潤時に機械的
刺激を受けるとフィブリル化が生起し実用上問題とな
る。実際、フィブリル化度が低い銅安法レーヨンである
キュプラ(商標)や有機溶媒法レーヨンであるテンセル
(商標)の場合、フィブリル化させないためには前処理
や後処理が必要であったり、染色方法が限定されるた
め、コストがかかり過ぎたり、用途が限定される等の制
約を受けているのが実状である。
【0014】上述したセルロース繊維は、以下の方法に
よって得ることができる。即ち、セルロース銅安溶液か
ら繊維を得るに際し、溶媒成分であるアンモニアが脱溶
媒される凝固過程で、凝固浴中の糸条物中に二次粒子が
生成する前に糸条物に変形を付与し、かかるセルロース
分子鎖に実質的な延伸配向を生起させないことによって
得ることができる。前記、溶媒成分であるアンモニアが
脱溶媒される凝固過程で、かかる凝固過程の糸条物中に
二次粒子が生成する前に変形を与える方法において、凝
固浴中で脱安率が70%に到達するまでに糸条物に変形
を与え、それ以降変形させないか、もしくは、原液を凝
固媒体に接触させること無く原液中のアンモニアを蒸散
させながら変形を与えることによって達成される。具体
的な態様について以下に示す。
【0015】本発明に用いるセルロース銅安溶液は、何
ら特別の組成ではなく、例えば、繊維便覧原料編(繊維
学会編、丸善、昭和43年)第503頁に記載されてい
る組成で充分である。おおよその組成は、セルロース1
モルに対して銅がほぼ1モル、アンモニアが7モルであ
り、若干のNaOHとシリカ等を含有する。本発明に用
いるセルロースとしては基本的にどのようなものでも良
く、例えば綿、コットンリンター、木材パルプ、麻等の
天然セルロースやビスコースレーヨン糸、銅安法レーヨ
ン等の再生セルロースを用いることができる。経済性の
観点からすれば、天然セルロースが好適に用いられる。
中でも、精製コットンリンターが純度的に望ましい。セ
ルロースの重合度は、得られる繊維の機械的物性を考慮
すれば最低100以上が好ましく、溶解性から2000
以下が望ましい。セルロース濃度は、重合度にもよる
が、成形性の観点から5重量%以上が好適に用いられ
る。
【0016】これらセルロース銅安溶液の紡糸は、通常
の湿式および乾式紡糸法(以下、乾式法)で充分であ
る。すなわち、原液をギアポンプやエクストルーダーや
フィ−ダー等により、ノズルから湿式紡糸法(以下、湿
式法)なら凝固浴に、乾式法なら空気や不活性ガス等の
媒体中に吐出させ、青糸を形成させた後、酸で再生すれ
ば良い。凝固浴は、水および塩水溶液が好適に使用でき
るが、経済性や実用性を考慮すれば水の使用が特に好ま
しい。凝固浴温度は特に限定する必要がないが、水の場
合20〜80℃が好適である。乾式の場合、空気や不活
性ガスが好適で、その温度はアンモニアの蒸散率が40
%に到達するまでに変形が行えれば特に限定する必要は
無い。
【0017】再生用の酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、
燐酸、臭酸、フッ化水素酸等の無機酸およびその誘導
体、酢酸、蓚酸、酒石酸等の有機酸が使用できる。かか
る濃度は、紡糸プロセス的に再生が完結する最低限の濃
度があればよく、経済性を考慮すれば15%以下が望ま
しい。乾式の場合、凝固はアンモニアの蒸散によって生
起するため、必ずしも凝固浴を必要としないが、必要で
あれば使用してもかまわない。
【0018】本発明法の構成上の最大の特徴は、溶媒成
分であるアンモニアが脱溶媒される凝固過程で、かかる
凝固過程の糸条物中に二次粒子が生成する前に変形を与
える点にある。即ち、湿式法の場合、凝固浴中で脱安率
が70%に到達するまでに糸条物に変形を与え、それ以
降は変形させないか、もしくは、乾式法の場合、原液を
凝固媒体に接触させること無く吐出させ、原液中のアン
モニアの蒸散率が40%以内の間に変形を与えることに
よって達成される。本発明者らは、前者の湿式法の場
合、水を凝固剤に使用すると脱安率が80%以上になる
と糸条物中に二次粒子が生成し、この状態で変形を加え
ると二次粒子が延伸方向に配列しフィブリル化につなが
ることを見いだしている。従って、フィブリル化を抑制
するには二次粒子が生成する前に変形を与え、二次粒子
生成後は変形させなければよい。また、乾式法の場合、
紡糸原液からアンモニアを40%まで蒸散させても溶液
状態を保持しており、この状態で変形を与えればフィブ
リル化は起こらない。蒸散率が40%以上になると表層
側に粒子が発現し、延伸を行うと実質的な分子鎖配向が
起こり、好ましくない。
【0019】ここで、前述した脱安率と蒸散率は基本的
に同一の意味合いをもつ。即ち、湿式法においては、ポ
リマー溶液と凝固剤との間で物質移動を伴って、ポリマ
ー溶液側からアンモニアが凝固剤側に移動するので、こ
のケースを脱安率と呼び、乾式法ではポリマー溶液から
空気等の媒体中にアンモニアが散逸していくので、この
ケースを蒸散率と呼称した。この脱安率と蒸散率は後述
の方法によって算出される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本願発明を
説明する。また、実施例に於いて、セルロース繊維の構
造、物性、およびフィブリル化度の評価は、下記の方法
に基づいて行った。 (1)X線結晶配向度(fc) 透過法により、シンチレーションカウンターを101面
の回折角度に相当する2θ=20.1°に固定し、繊維
束を入射X線に対し垂直に回転させ、方位角ψの回折X
線強度を測定した。X線結晶配向度(fc)は次式によ
り算出した。式中、ψ1/2は、方位角度(degree
s)で表した半値幅である。
【0021】 fc(%)={1−(ψ1/2/180)}×100・・・・・(1) (2)複屈折度(Δn) 複屈折度は、ライツ製複屈折度測定用光学顕微鏡を用い
てベレック法で測定した。まず、各繊維をスライドグラ
スに載せ、オリーブオイルを滴下した後、カバーグラス
で覆った。繊維の径(d)nmは付属スケールで計測し
た。レターデーション(Γ)nmは、ベレックコンペン
セーターを用いて測定した。複屈折度(Δn)は次式で
算出した。
【0022】Δn=Γ/d・・・・・・・・(2) (3)機械物性 引張り強伸度(TS、TE)は、JIS L 1013
に準じて測定した。 (4)フィブリル化度 セルロース繊維の約0.5gを70℃、3wt%硫酸水
溶液300gに30分間浸漬した後、イオン交換水で洗
浄して、該繊維をイオン交換水300ml、温度70℃
を媒体にしてホームミキサー中で20分間攪拌した。ス
ラリー状態のまま繊維を拡大倍率200倍の光学顕微鏡
下での破壊状況を観測し、この観測結果を下記の基準に
照らして0〜100点で評価した。
【0023】 100点:観測視野内に全くフィブリルが認められない
状態 95点:フィブリルの太さが繊維の直径の20分の1程
度で、そのフィブリル長が繊維の直径の3倍程度のフィ
ブリルが、観測視野内に1〜2個認められる状態 90点:同上のフィブリルが観測視野内に3〜5個認め
られる状態 85点:同上のフィブリルが観測視野内に10個前後認
められる状態 80点:同上のフィブリルが観測視野内に15個前後認
められる状態 70点:同上のフィブリルが観測視野内に20個前後認
められる状態 60点:繊維の直径の10分の1程度の太さのフィブリ
ルで、かつフィブリル長が繊維の直径の5倍までのもの
が30個前後観測される状態 50点:同上のフィブリル太さをもち、フィブリル長が
繊維の直径の10倍近くまで発達したフィブリルが30
個前後観察される状態 30点:フィブリル長が繊維の直径の20倍近くまで発
達し、観測されるフィブリル数が50個前後観測される
状態 0点:フィブリルの数が判別できず、しかもフィブリル
化したもの同志が凝集した様子が観測される状態 (5)脱安率および蒸散率 セルロースは、元の銅安溶液中でも凝固過程でも物質移
動を伴わないので、脱安率および蒸散率を算出するため
の基本単位となる。したがって、元の銅安溶液中のセル
ロース1g単位当たりのアンモニアをXgとし、湿式法
にしろ、乾式法にしろ凝固過程での凝固物中のセルロー
ス1g当たりのアンモニアをYgとした場合、脱安率
(%)および蒸散率(%)は、共に(2)式で算出され
る。
【0024】 脱安率(蒸散率)={(X−Y)/X}×100(%)・・・・(2) ここで、アンモニア量XおよびYは、中和およびヨウ素
還元手滴定により求めた。即ち、銅安溶液あるいは凝固
糸状物を一定重量(約2g)を精秤し、0.5規程の硫
酸30ccに投入し、セルロースが完全に再生するまで
攪拌を続けた後、メチルオレンジを2cc添加して、
0.5規程のNaOHで滴定した(Acc)。引き続
き、約5%の硫酸水溶液を2cc加えて酸性にしてか
ら、40%のヨウ化カリウムを5cc加えた。次に、
0.1規程Na2 2 3 で滴定し、液色が薄茶になっ
た時点で1%のデンプンを1cc加え、再度液色がビン
クになるまで滴定した(Bcc)。(3)式により、ア
ンモニア濃度が算出できる。
【0025】 アンモニア濃度(重量%)=〔{30−A−(0.4×B)} ×0.0085×100〕/サンプル量・・・・・・(3)
【0026】
【実施例1】本実施例では凝固過程で二次粒子が生成す
る前にドープに変形を与える方法として、湿式横引き紡
糸した例を開示する。セルロース銅安溶液には、塩基性
硫酸銅とアンモニア水と精製リンターを混合攪拌後、N
aOHを添加する通常の方法で調製したものを使用し
た。それぞれの組成は、Cu3.7wt%、アンモニア
6.8wt%、セルロース9.8wt%、NaOH0.
3wt%であった。この溶液を標準紡糸原液とした。か
かる紡糸原液を用いて、0.2mmφ×50holeの
紡口から吐出線速度8m/minで25℃の水の浴に吐
出させた後、青糸を周速が100m/minの第1ネル
ソンロールに巻き取った後、さらに等速の第2ネルソン
ロール上で5重量%の硫酸を用いて再生させた。第1ネ
ルソンロールで上記青糸を採取し、脱安率を測定したと
ころ、65%であった。
【0027】引き続き周速が100m/minの第3ネ
ルソンロール上で充分水洗させた後、乾熱ロール上で乾
燥させて巻き取り速度100m/minで紙管に巻き取
った。紡口と第1ネルソンロール間でドラフト(第1ネ
ルソンロールの周速/吐出線速度)が12.5倍かかる
計算になるが、実際の凝固糸状物の変形は、写真撮影に
よる観察によると大半が紡口近傍で起こっていることが
わかった。
【0028】得られた繊維の物性と配向性とフィブリル
化度を表2にまとめて示す。
【0029】
【実施例2】本実施例では凝固過程で二次粒子が生成す
る前にドープに変形を与える方法として、半乾式紡糸し
た例を開示する。セルロース銅安溶液には、実施例1で
用いた標準紡糸原液を使用した。かかる紡糸原液を用い
て、吐出はキャピログラフで0.1mmφの紡口から吐
出線速度55m/minで空気中に押し出した。空送距
離を2m取り、100m/minで青糸を巻き取った。
この青糸の蒸散率を直ちに求めたところ33%であっ
た。この青糸を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡で二次粒
子の有無を観察したが、認められなかった。
【0030】その青糸を5%硫酸を用いて再生し、充分
水洗した後乾燥した。得られた繊維の物性と配向性とフ
ィブリル化度を表2にまとめて示す。
【0031】
【実施例3】本実施例では凝固過程で二次粒子が生成す
る前にドープに変形を与える方法として、湿式直管ロー
ト紡糸した例を開示する。ロートには、直径6mmφで
長さが1.2mであるものを用いた。セルロース銅安溶
液には、実施例1に示した標準紡糸原液を使用した。か
かる紡糸原液を用いて、0.4mmφ×20holeの
紡口から吐出線速度4m/minで35℃の水が流動し
たロートに吐出させた後、周速が100m/minの変
向ロールに接触させた後、第1ネルソンロールでまきと
り、このロール上で水洗した。この第1ネルソンロール
にまきとる直前とロールによる水洗後の青糸を採取して
脱安率を求めたところ、それぞれ62%、97%であっ
た。この紡糸法でも実施例1同様、糸状物の変形の大半
が紡糸直下で起こっていることが、写真撮影により観察
された。引き続き、等速の第2ネルソンロール上で5重
量%の硫酸を用いて再生させた。更に、周速が100m
/minの第3ネルソンロール上で充分水洗させた後、
乾熱ロール上で乾燥させて、巻き取り速度100m/m
inで紙管に巻き取った。
【0032】得られた繊維の物性と配向性とフィブリル
化度を表2にまとめて示す。
【0033】
【比較例1】本比較例では、凝固過程で二次粒子が生成
した後、変形を与えて紡糸した例を開示する。セルロー
ス銅安溶液には、実施例1で用いた標準紡糸原液を使用
した。かかる紡糸原液を用いて、0.2mmφ×50h
oleの紡口から吐出線速度8m/minで45℃の水
の浴に吐出させた後、周速80m/minの第1ネルソ
ンロールに巻き取り、引き続き周速100m/minの
第2ネルソンロール間で1.25倍延伸させながら、ロ
ール上で硫酸再生させた。ここで第1ネルソンロール上
で青糸を採取し、その脱安率を求めたところ81%であ
った。さらに、その青糸を凍結乾燥し、走査型電子顕微
鏡観察した結果、50nmφの二次粒子が観測された。
本比較例は、この二次粒子が生成した凝固糸状物を第1
ネルソンロールと第2ネルソンロール間で1.25倍延
伸した例である。
【0034】引き続き、該糸状物をネルソンロール上で
充分水洗した後、乾熱ロール上で乾燥させ100m/m
inで紙管に巻き取った。得られた繊維の物性と配向性
とフィブリル化度を表2にまとめて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に、溶媒であるアンモ
ニアが脱溶媒される凝固過程で、かかる凝固過程の糸条
物中に二次粒子が生成する前に変形を与え、セルロース
分子鎖の実質的な延伸配向を生起させない方法論を確立
することによって、その紡糸方法と耐擦れ性の高いセル
ロース繊維を提供することができる。即ち、従来の銅安
法レーヨンでは、紡糸法に由来する配向性の高さから湿
潤時に機械的刺激を加えるとフィブリル化し易い性質を
有していたが、本発明法によって得られるセルロース繊
維はフィブリル化が極端に抑制されているので、液流染
色時でのフィブリルの発生がなくなり、用途的にアウタ
ー等への展開が可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース銅安溶液から得られる繊維に
    於いて、X線結晶配向度が75%以下、かつ繊維全体の
    分子配向ファクターである複屈折度が0.02以下であ
    ることを特徴とする再生セルロース繊維。
  2. 【請求項2】 セルロース銅安溶液から溶媒成分である
    アンモニアが脱溶媒される凝固過程に於いて、該凝固過
    程の糸条物中に二次粒子が生成する前に糸条物に変形を
    付与し、しかる後はセルロース分子鎖に実質的な延伸配
    向を生起させないことを特徴とする再生セルロース繊維
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 凝固浴中の糸条物の脱安率が70%に到
    達する以前に糸条物に変形を与え、それ以降変形を与え
    ないことを特徴とする請求項2記載の再生セルロース繊
    維の製造方法。
  4. 【請求項4】 原液を凝固媒体に接触させることなく吐
    出し、原液中のアンモニアの蒸散率が40%に達するま
    での間に糸条物に変形を与え、それ以降変形を与えず凝
    固および再生することを特徴とする請求項2記載の再生
    セルロース繊維の製造方法。
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