JPH09256128A - アルミニウム合金缶体 - Google Patents

アルミニウム合金缶体

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JPH09256128A
JPH09256128A JP8062397A JP6239796A JPH09256128A JP H09256128 A JPH09256128 A JP H09256128A JP 8062397 A JP8062397 A JP 8062397A JP 6239796 A JP6239796 A JP 6239796A JP H09256128 A JPH09256128 A JP H09256128A
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JP
Japan
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aluminum alloy
plane
weight
straight
ray diffraction
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Application number
JP8062397A
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English (en)
Inventor
Hironobu Itou
洋綽 伊藤
Masaru Ogasawara
勝 小笠原
Fumiko Yasuda
文子 安田
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Hokkaican Co Ltd
Original Assignee
Hokkaican Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金型からの取り外しが容易で、ネックイン加工
及びフランジ加工の成形性に優れたアルミニウム合金缶
体を提供する。 【解決手段】Mg0.9〜1.3重量%、Cu0.1〜
0.2重量%、Mn0.9〜1.2重量%、Fe0.3
〜0.5重量%、Si0.1〜0.2重量%を含むアル
ミニウム合金鋳塊に560〜620℃で1〜10時間の
均質化処理を施し、熱間圧延を、最終パスの圧延速度3
00〜400m/分、減面率40〜60%、終了温度2
90〜330℃で行い、300〜400℃で1〜10時
間の焼鈍を施し、減面率75〜90%の冷間圧延を施し
て、(200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅
が0.15〜0.25°のAl合金板を得る。該Al合
金板を絞りしごき加工した有底筒状缶体に熱処理を施
し、(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅
が0.20〜0.33°、(220)面の存在率が55
〜75%になるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム合金
板を絞りしごき加工して得られる有底筒状缶体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ビール、炭酸飲料等の容器として、アル
ミニウム合金板を絞りしごき加工して得られる有底筒状
缶体に別途製造された缶蓋を二重巻締めした所謂ツーピ
ース缶体が知られている。
【0003】従来、前記有底筒状缶体は、0.28〜
0.37mm程度の厚さのJIS−3004材等のアル
ミニウム合金板を絞りしごき加工することによりストレ
ート缶体とし、該ストレート缶体にトリミング、脱脂洗
浄、化成処理、缶外面の印刷、内面塗装を順次施した
後、開口部を縮径するネックイン加工、缶蓋を巻締るフ
ランジ部を形成するフランジ加工を施すことにより形成
される。尚、前記脱脂洗浄後には乾燥処理が行われ、前
記化成処理後には乾燥及び焼付け処理が行われ、缶外面
の印刷及び内面塗装後にはそれぞれ焼付け処理が行われ
る。
【0004】前記ストレート缶体は、側壁部の厚さが約
100〜110μm、缶底部の厚さが約0.36mm、
ネックイン加工及びフランジ加工が施される開口部近傍
の厚さが約180μmとされていた。ところで、近年、
コスト低減を目的として、缶体の軽量化が進められた結
果、前記ストレート缶体の側壁部の厚さが薄肉化される
傾向があり、これに伴って開口部近傍の厚さも約150
〜170μmと薄肉化されつつある。
【0005】しかし、前記ストレート缶体の開口部近傍
の厚さが160μm程度以下になると、前記絞りしごき
加工後に形成された缶体を金型から取り外す工程(スト
リッピング工程)において、缶体が金型に引っ掛かり、
取り外すことができなくなる(ストリッピング・ジャ
ム)ことがある。前記ストリッピング・ジャムの原因
は、アルミニウム合金板の絞りしごき加工により前記ス
トレート缶体の開口部周縁に生じる凹凸、所謂耳が変形
するためである。従って、前記ストリッピング・ジャム
を解消するために、缶の高さに対する耳の高さで表され
る耳率を小さくすることが望まれる。
【0006】本発明者等は、素材としてのアルミニウム
合金板の材質を改良することにより前記耳率を小さくし
て、前記ストリッピング・ジャムを低減することができ
ることを見出し、このようなアルミニウム合金板につい
ては本出願人等によって既に特許出願されている(特願
平8−59516号)。
【0007】前記特願平8−59516号の明細書に記
載のアルミニウム合金板は、マグネシウム0.9〜1.
3重量%、銅0.1〜0.2重量%、マンガン0.9〜
1.2重量%、鉄0.3〜0.5重量%、珪素0.1〜
0.2重量%を含有し、残部がアルミニウムと不可避的
不純物とからなるアルミニウム合金鋳塊に560〜62
0℃の温度範囲で1〜10時間の均質化処理を施した
後、熱間圧延を、最終パスにおける圧延速度を300〜
400m/分、減面率40〜60%、終了温度290〜
330℃の範囲で行い、次いで、300〜400℃の温
度範囲で1〜10時間の焼鈍を施し、減面率75〜90
%の冷間圧延を施したものである。
【0008】ここで、減面率とは、材料幅を一定に保持
して圧延したとき、板厚の減少に対応して減少する断面
積の割合を表す。
【0009】前記アルミニウム合金板は、前記組成のア
ルミニウム合金鋳塊に前記熱間圧延及び焼鈍を施すこと
により、材料を構成する合金結晶が再結晶し、(20
0)面が成長した立方体方位結晶粒が多数形成される。
該立方体方位結晶粒は、前記熱間圧延及び焼鈍に続いて
行われる冷間圧延により転位し、特定方向に結晶方位が
揃った結晶構造になる。この結果、前記アルミニウム合
金は、前記(200)面のX線回折強度の回折角2θの
半値幅が0.15〜0.25°の範囲になる。
【0010】X線回折強度の測定条件は、X線源はC
u、発散スリットは1°、受光スリットは0.15m
m、散乱スリットは1°である。
【0011】前記半値幅は、図1示のように、ある結晶
面(この場合は(200)面)のX線回折強度の回折角
2θ=βに対するピークpにおいて、強度Ip がIp
2になる部分における該ピークpの幅β1/2 で表され
る。前記半値幅は、前記熱間圧延及び焼鈍により形成さ
れた立方体方位結晶粒が冷間圧延により板面法線方向の
回りに回転した方位の結晶粒に転位した転位密度を示す
指標であり、立方体方位結晶粒またはその回転した方位
の結晶粒の存在比率が高いほど、また転位密度が高いほ
ど半値幅は小さくなるという関係がある。
【0012】前記アルミニウム合金板によれば、(20
0)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅が前記範囲
であるので、該アルミニウム合金板を絞りしごき加工す
ることにより得られるストレート缶体の耳率を2.5%
以下として、前記ストリッピング・ジャムを低減するこ
とができる。
【0013】しかしながら、前記アルミニウム合金板を
絞りしごき加工して得られたストレート缶体の開口部に
ネックイン加工、フランジ加工を施すと、フランジ部の
寸法が不均一になったり、マイクロクラックを生じるこ
とがあり、さらに改良が望まれる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、アルミニウム合金板を絞りしごき加工し
てストレート缶体としたときに金型からの取り外しが容
易であると共に、該ストレート缶体の開口部にネックイ
ン加工及びフランジ加工を施したときに優れた成形性を
有するアルミニウム合金缶体を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記ネッ
クイン加工及びフランジ加工における成形性について検
討を重ねた結果、前記アルミニウム合金板を絞りしごき
加工して得られたストレート缶体にさらに特定の熱処理
を施し、アルミニウム合金の結晶構造を制御することに
より、前記成形性を改良できることとを見出した。
【0016】本発明は、前記知見に基づいてなされたも
のであり、マグネシウム0.9〜1.3重量%、銅0.
1〜0.2重量%、マンガン0.9〜1.2重量%、鉄
0.3〜0.5重量%、珪素0.1〜0.2重量%を含
有し、残部がアルミニウムと不可避的不純物とからなる
アルミニウム合金鋳塊に560〜620℃の温度範囲で
1〜10時間の均質化処理を施した後、熱間圧延を、最
終パスにおける圧延速度を300〜400m/分、減面
率40〜60%、終了温度290〜330℃の範囲で行
い、次いで、300〜400℃の温度範囲で1〜10時
間の焼鈍を施し、減面率75〜90%の冷間圧延を施し
て、(200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅
が0.15〜0.25°の範囲にあるアルミニウム合金
板を得た後、該アルミニウム合金板を絞りしごき加工し
て有底筒状缶体とし、該缶体に熱処理を施して該缶体を
形成するアルミニウム合金の(220)面のX線回折強
度の回折角2θの半値幅が0.20〜0.33°、(2
20)面の存在率が55〜75%の範囲になるようにし
たことを特徴とするアルミニウム合金缶体にある。
【0017】本発明によれば、まず、前記組成のアルミ
ニウム合金鋳塊に前記熱間圧延、焼鈍及び冷間圧延を順
次施すことにより、(200)面のX線回折強度の回折
角2θの半値幅が0.15〜0.25°の範囲にあるア
ルミニウム合金板が得られる。前記アルミニウム合金板
は、(200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅
が前記範囲にあることにより、該アルミニウム合金板を
絞りしごき加工して得られる有底筒状缶体(ストレート
缶体)の耳率が低減され、該有底筒状缶体を容易に金型
から取り外すことができる。
【0018】本発明によれば、さらに、前記有底筒状缶
体に熱処理を施すことにより、該缶体を形成するアルミ
ニウム合金の(220)面のX線回折強度の回折角2θ
の半値幅が0.20〜0.33°、(220)面の存在
率が55〜75%の範囲にある缶体が得られる。前記
(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅は、
図1示のように、ある結晶面(この場合は(220)
面)のX線回折強度の回折角2θ=βに対するピークp
において、強度Ip がIp /2になる部分における該ピ
ークpの幅β1/2 で表される。前記半値幅は、前記熱処
理により形成された立方体方位結晶粒が冷間圧延により
板面法線方向の回りに回転した方位の結晶粒に転位した
転位密度を示す指標であり、立方体方位結晶粒またはそ
の回転した方位の結晶粒の存在比率が高いほど、また転
位密度が高いほど半値幅は小さくなるという関係があ
る。
【0019】また、前記(220)面の存在率は、前記
アルミニウム合金のX線回折強度を測定したときの各ピ
ークの回折強度の和で(220)面の回折強度を除した
ものであり、下式(1)で表される。
【0020】
【数1】
【0021】そして、前記缶体を形成するアルミニウム
合金の(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値
幅及び(220)面の存在率を前記範囲とすることによ
り、該缶体にネックイン加工及びフランジ加工を施した
ときの成形性が改良される。
【0022】本発明のアルミニウム合金缶体によれば、
前記のようにネックイン加工及びフランジ加工の成形性
が改良されているので、フランジ部の寸法を均一にする
ことができるとともに、マイクロクラックの発生率を低
減することができ、該フランジ部に缶蓋を巻締めた際に
内容物の漏洩のない缶体を得ることができる。
【0023】本発明のアルミニウム合金缶体において、
前記熱処理は、前記缶体を形成するアルミニウム合金の
(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅及び
(220)面の存在率を前記範囲とするために、180
〜220℃の温度範囲で3〜30分間保持することが好
ましい。
【0024】また、前記熱処理は、前記有底筒状缶体に
対して施される洗浄及び化成処理に対する乾燥及び焼付
け処理と、印刷及び塗装に対する焼付け処理とにより行
うことが好ましい。このようにすることにより、製缶工
程の熱処理を利用して、前記アルミニウム合金の結晶構
造を制御するための熱処理を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1はアルミニウム合金のある結晶面におけるX線回折強
度の回折角2θの半値幅の定義を説明する図であり、図
2はアルミニウム合金缶体の拡管値の測定方法を説明す
る説明的断面図である。
【0026】まず、本発明のアルミニウム合金缶体の素
材となるアルミニウム合金板について説明する。
【0027】本発明のアルミニウム合金缶体に用いるア
ルミニウム合金は、マグネシウム0.9〜1.3重量
%、銅0.1〜0.2重量%、マンガン0.9〜1.2
重量%、鉄0.3〜0.5重量%、珪素0.1〜0.2
重量%を含有し、残部がアルミニウムと不可避的不純物
とからなる。
【0028】前記組成のうち、マグネシウムは缶胴材と
しての所要の強度を確保するために添加されるものであ
り、含有量が0.9重量%未満では缶体の耐圧強度が不
足し、1.3重量%を超えるとDI成形時に加工硬化し
やすくなり、しごき割れの発生頻度が高くなる。マグネ
シウムの含有量は、缶体の強度としごき加工性とのバラ
ンスを良好にするために、1.0〜1.3重量%、特に
1.1〜1.2重量%の範囲とすることが好ましい。
【0029】前記組成のうち、銅はマグネシウムと同様
に缶胴材としての所要の強度を確保するために添加され
るものであり、含有量が0.1重量%未満では缶体の耐
圧強度が不足し、0.2重量%を超えるとDI成形時に
加工硬化しやすくなり、しごき割れの発生頻度が高くな
る。銅の含有量は、強度としごき加工性とのバランスを
良好にするために、0.13〜0.18重量%の範囲と
することが好ましい。
【0030】前記組成のうち、マンガンは缶体としての
強度を向上させると共に、DI成形性を向上させるため
に添加されるものである。絞りしごき加工時には、通
常、金型とアルミニウム合金板との潤滑のために、エマ
ルジョン型またはソルブル型の潤滑剤が使用されるが、
マンガンの含有量が少ないと前記潤滑剤だけでは潤滑性
が不足し、金型とアルミニウム合金板との凝着によるビ
ルトアップが発生して、ゴーリングまたは黒すじと呼ば
れる擦り傷や焼付きが発生し、缶体の外観品質が低減す
る。マンガンは、Al−Mn,Al−Mn−Fe,Al
−Mn−Fe−Si系の晶出化合物を形成し、この晶出
化合物が固体潤滑作用を有しビルトアップの発生を抑制
するので、前記ゴーリングや黒すじの発生を防ぐ効果が
ある。
【0031】マンガンの含有量が0.9重量%未満で
は、前記DI成形性の改善効果が十分に得られず、缶体
の強度も不足する。マンガンの含有量が1.2重量%を
超えると、それ以上のDI成形性の改善効果及び缶体の
強度向上効果が得られない。また、マンガンの含有量が
1.2重量%を超えると、溶解鋳造時にマンガンが鉄と
結合して、Al−Mn−Fe系の巨大な初晶化合物が発
生しやすくなり、これが圧延後も残存するため、前記D
I成形時に割れやピンホールが発生する虞れがある。マ
ンガンの含有量は、DI成形性及び缶体の強度を良好に
するために、0.9〜1.1重量%の範囲とすることが
好ましい。
【0032】前記組成のうち、鉄は前記固体潤滑作用を
有するマンガンの晶出化合物の生成を促進すると共にそ
の分布状態を均一化し、DI成形時のゴーリングや黒す
じの発生を防止するために添加される。鉄の含有量が、
0.3重量%未満では前記マンガンの晶出化合物の生成
を促進すると共にその分布状態を均一化する効果が十分
に得られず、0.5重量%を超えると溶解鋳造時に前記
Al−Mn−Fe系の巨大な初晶化合物が発生しやすく
なり、前記DI成形時に割れやピンホールが発生する虞
れがあると共に、耳率が高くなる。鉄の含有量は、前記
マンガンの晶出化合物の生成を促進すると共にその分布
状態を均一化を良好にするために、0.35〜0.45
重量%の範囲とすることが好ましい。
【0033】前記組成のうち、珪素は前記固体潤滑作用
を有するマンガンの晶出化合物を形成し、DI成形時の
ビルトアップの発生を抑制し、ゴーリングや黒すじの発
生を防止するために添加される。珪素の含有量が0.1
重量%未満ではゴーリングや黒すじの発生を防止する効
果が十分に得られず、0.2重量%を超えると前記晶出
化合物の量が過剰になり巻締め時にフランジ割れが発生
し易くなる。珪素の含有量は、ゴーリングや黒すじの発
生を防止する効果を良好にするために、0.14〜0.
18重量%の範囲とすることが好ましい。
【0034】前記アルミニウム合金は、前記成分の他
に、必要に応じ、鋳塊組織の均一微細化のために、チタ
ンを単独で、あるいは硼素と共存下に添加してもよい。
チタンの含有量は、前記目的のために0.005〜0.
05重量%、特に0.01〜0.03重量%の範囲とす
ることが好ましい。チタンの含有量が0.005重量%
未満では鋳塊組織の均一微細化の効果が得られず、0.
05重量%を超えると溶解鋳造時にAl−Ti系の巨大
な初晶化合物が発生しやすくなり、これが圧延後も残存
するため、前記DI成形時に割れやピンホールが発生す
る虞れがある。
【0035】硼素はチタンと共存させると、チタンの前
記鋳塊組織の均一微細化の効果を助長する効果があり、
その含有量は0.0001〜0.01重量%、特に0.
0002〜0.001重量%の範囲とすることが好まし
い。硼素の含有量が0.0001重量%未満では、前記
チタンの鋳塊組織の均一微細化を助長する効果が得られ
ず、0.01重量%を超えると溶解鋳造時にTi−B系
の巨大な初晶化合物が発生しやすくなり、これが圧延後
も残存するため、前記DI成形時に割れやピンホールが
発生する虞れがある。
【0036】前記アルミニウム合金は、前記成分の他、
アルミニウム地金中の不可避的不純物として亜鉛等を含
むが、前記不純物はJISの3004合金の規定の範囲
内であれば特に問題はない。
【0037】次に、前記組成を有するアルミニウム合金
を、常法により半連続鋳造法により鋳造した後、面削し
て、鋳塊とする。
【0038】次に、前記鋳塊に対し、ミクロ的偏析を拡
散、消滅させ、溶質原子の分布を均一化するために56
0〜620℃の温度範囲で1〜10時間の均質化処理を
施す。均質化処理温度が560℃未満または処理時間が
1時間未満では均質化が不十分で成形性や強度の不均一
性が大きく、また冷間圧延した後のアルミニウム合金板
の耳率が大きくなる傾向がある。また、均質化処理温度
が620℃を超えると、鋳塊表面が膨張したり、鋳塊が
溶融したりすることがある。また、処理時間が10時間
を超えても、それ以上の均一化効果は得られないので、
生産性の面で不利になる。前記均質化処理は、生産性及
び均質化効果を良好にするために、580〜615℃の
温度範囲に3〜8時間保持して行うことが好ましい。
【0039】次に、前記均質化処理を施した鋳塊に熱間
圧延を行う。本発明では、前記組成のアルミニウム合金
からアルミニウム合金板を得る際に、前記熱間圧延及び
それに続く焼鈍において、多量の立方体方位結晶粒を形
成させることが望ましい。このようにすることにより、
前記立方体方位結晶粒が後述の冷間圧延により板面法線
方向に回転して回転立方体方位に転位し、耳率の低減さ
れたアルミニウム合金板が得られる。
【0040】前記のように熱間圧延及びそれに続く焼鈍
において、多量の立方体方位結晶粒を形成させるために
は、前記熱間圧延の最終パスの条件が重要であり、本発
明では、最終パスにおける圧延速度を300〜400m
/分、減面率40〜60%、終了温度290〜330℃
の範囲として前記熱間圧延を行う。
【0041】最終パスにおける圧延速度が300m/分
未満または減面率が40%未満または終了温度が290
℃未満であるときは、立方体方位結晶粒の形成が不十分
になり、後述の冷間圧延板の耳率が増加する。また、最
終パスにおける圧延速度が400m/分を超えるかまた
は、減面率が60%を超えるかまたは、終了温度が33
0℃を超えるときは、得られる熱間圧延板の表面の剥
離、毟れ等が発生し、良好な表面形状が得られない。
尚、前記熱間圧延における終了板厚は、後述の冷間圧延
での減面率が75〜90%になるように設定する。
【0042】前記熱間圧延は、常法により、リバース式
の熱間粗圧延機に続いてタンデム式の熱間仕上げ圧延機
により行う。あるいは、粗圧延・仕上げ圧延兼用機によ
り行ってもよい。前記熱間圧延によりコイル状の熱間圧
延板が得られる。
【0043】次に、前記熱間圧延板に、300〜400
℃の温度範囲で1〜10時間の焼鈍を施す。焼鈍温度が
300℃未満または処理時間が1時間未満では、前記立
方体方位結晶粒の形成が不十分になり、耳率が高くな
る。また、焼鈍温度が400℃を超えるかまたは処理時
間が10時間を超えると、前記熱間圧延板の表面が酸化
され、良好な表面形状が得られない。
【0044】次に、前記焼鈍が施された熱間圧延板に減
面率75〜90%の冷間圧延を施し、最終的に0.28
〜0.36mm程度の板厚のコイル状の冷間圧延板を得
る。前記冷間圧延は、前記熱間圧延及び焼鈍により形成
された立方体方位結晶粒を板面法線方向に回転させて回
転立方体方位に転位させると共に、缶体として所要の耐
圧強度を確保するために行うものであり、減面率が75
%未満であると十分な缶体強度が得られず、また、延性
が不足するために前記フランジ加工によって形成された
フランジ部に缶蓋を巻締める際にフランジ割れが発生し
やすくなる。また、冷間圧延の減面率が90%を超える
と、強度が過剰になるためにDI成形時にしごき割れが
発生しやすくなると共に、耳率が高くなる。
【0045】前記熱間圧延、焼鈍及び冷間圧延により、
(200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅が
0.15〜0.25°の範囲にあるアルミニウム合金板
が得られる。前記半値幅が0.15°未満であるときに
は、(200)面の形成が過剰であり、塑性加工性が劣
るために、フランジ加工により形成されるフランジ部に
マイクロクラックが発生しやすくなる。また、前記半値
幅が0.25°を超えるときには、(200)面の形成
が十分でなく耳率が高くなるために、絞りしごき加工時
に、形成された有底筒状缶体が耳の変形により金型から
取り外すことができなくなったり、フランジ部の寸法が
不均一になる。
【0046】次に、前記のようにして得られた冷間圧延
板に、140〜170℃の温度範囲で1〜10時間の仕
上げ焼鈍を施す。前記仕上げ焼鈍は、前記冷間圧延板に
適度の延性を付与してカッピング割れを防止し、また絞
りしごき加工時の缶底部のしわの発生を防止するために
行われるものであり、焼鈍温度が140℃未満または処
理時間が1時間未満では前記延性を付与する効果が十分
に得られず、焼鈍温度が170℃を超えるかまたは処理
時間が10時間を超えると前記冷間圧延板が軟化して、
缶体としたときに所要の耐圧強度が得られなくなる。
【0047】次に、前記のようにして得られたアルミニ
ウム合金板に、カッピングプレスを用いて絞り加工を施
して、有底筒状缶体を形成する。前記カッピングプレス
は、例えば、直径90.11mmの超鋼製パンチと、直
径90.85mmの超鋼製ダイスとからなる金型によ
り、直径140.5mmのアルミニウム合金板を絞り比
1.56で絞り加工し、直径90.2mmの有底筒状缶
体を形成する。
【0048】次に、前記有底筒状缶体に、ボディーメー
カーを用いて再絞り加工及びしごき加工を施し、有底筒
状のストレート缶体を形成する。
【0049】前記ボディメーカーによる再絞り加工は、
例えば、直径66.05mmの超鋼製パンチと、直径6
6.69mmの超鋼製ダイスとからなる金型により、前
記カッピングプレスで得られた直径90.2mmの有底
筒状缶体を絞り比1.36で絞り加工し、直径66.5
mmの有底筒状缶体を形成する。
【0050】また、前記ボディメーカーによるしごき加
工は、まず、1段目として直径66.05mmの超鋼製
パンチと、直径66.530mmの超鋼製ダイスからな
る金型により、前記再絞り加工が施された有底筒状缶体
をしごき率25.00%でしごき加工する。次いで、前
記直径66.1mmの超鋼製パンチに対して、超鋼製ダ
イスの直径を66.400mm(しごき率27.08
%)、66.270mm(しごき率37.14%)と段
階的に細くして、2段目、3段目のしごき加工を行い、
最終的に直径66.05mmの有底筒状のストレート缶
体を形成する。このとき、前記アルミニウム合金板は、
(200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅が
0.15〜0.25°の範囲にあり、耳率が2.5%以
下となっているので、前記再絞り加工及びしごき加工時
に耳が変形しにくく、形成されたストレート缶体が金型
に引っ掛って取り外すことができなくなるトラブル(ス
トリッピング・ジャム)を起こすことがない。
【0051】次に、前記ストレート缶体に熱処理を施す
ことにより、該ストレート缶体を形成するアルミニウム
合金の(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値
幅が0.20〜0.33°、(220)面の存在率が5
5〜75%の範囲になるようにする。
【0052】前記半値幅は、図1示のように、X線回折
強度の回折角2θ=βに対するピークpにおいて、強度
p がIp /2になる部分における該ピークpの幅β
1/2 で表される。また、前記(220)面の存在率は、
前記アルミニウム合金のX線回折強度を測定したときの
各ピークの回折強度の和で(220)面の回折強度を除
したものであり、下式(1)で表される。
【0053】
【数2】
【0054】前記半値幅が0.2°未満または前記存在
率が75%を超えるときには、(220)面の形成が過
剰になるので、塑性加工性が過大になって、次工程で形
成されるフランジ部の耳率及び寸法の不均一性が大きく
なる。また、前記半値幅が0.33°を超えるかまたは
前記存在率が55%未満であるときには、(220)面
の形成が不十分であるので、十分な塑性加工性が得られ
ず、前記フランジ部にマイクロクラックが発生しやすく
なる。
【0055】本実施形態では、前記熱処理は180〜2
20℃の温度範囲で3〜30分間保持する。前記熱処理
の温度が180℃未満または処理時間が3分未満である
ときには、(220)面の形成が不十分になり、十分な
塑性加工性が得られない。また、前記熱処理の温度が2
20℃を超えるかまたは処理時間が30分を超えるとき
には、(220)面の形成が過剰になり、塑性加工性が
過大になる。また、化成処理面、印刷面、塗装面が変色
するとの問題がある。
【0056】本実施形態では、前記熱処理は、製缶工程
において前記ストレート缶体に対して施される洗浄及び
化成処理に対する乾燥及び焼付け処理と、印刷及び塗装
のそれぞれに対する焼付け処理を利用して行うことによ
り、有利に実施することができる。
【0057】そこで、次に前記製缶工程及び該工程にお
ける熱処理について説明する。
【0058】前記ボディメーカーから取り外されたスト
レート缶体は、まず、ウォッシャーにより水洗した後、
前記水洗されたストレート缶体に化成処理を施す。前記
化成処理は、例えば、前記ストレート缶体の表面にリン
酸クロメートの被膜を形成するものであり、缶体の表面
にクロム酸、りん酸及びフッ化水素酸からなる処理液を
塗布し、焼付けることにより行なう。前記処理液の乾燥
処理は35〜48℃の範囲の温度で10〜60秒行な
い、前記焼付け処理は処理液乾燥後の缶体をオーブンに
収容し、180〜220℃の範囲の温度に1〜10分保
持することにより行なう。
【0059】次に、前記化成処理が施されたストレート
缶体の外面に、ベースコーターによりホワイトコートを
施し、焼付け処理を行う。前記ホワイトコートは缶体の
金属下地を遮蔽するものであり、次工程の多色印刷の鮮
映性を向上させたい場合に行われるものであるが、施さ
なくてもよい。前記ホワイトコートに対する焼付け処理
は、前記ホワイトコートが施されたストレート缶体をオ
ーブンに収容し、180〜200℃の範囲の温度に10
〜300秒保持することにより行なう。
【0060】前記ホワイトコート後の焼付け処理は、処
理温度が180℃未満または処理時間が10秒未満であ
るときには、焼付けが不十分であり、処理温度が220
℃を超えるかまたは処理時間が300秒を超えるときに
は、ホワイトコートの変色が起こる。
【0061】次に、前記ホワイトコートが施されたスト
レート缶体の外面に、多色印刷機により多色印刷を施
し、焼付け処理を行う。前記多色印刷は、缶体の外面に
装飾性を付与すると共に、所要の表示を施すために行わ
れるものである。前記多色印刷に対する焼付け処理は、
前記多色印刷が施されたストレート缶体をオーブンに収
容し、180〜220℃の範囲の温度に10〜300秒
保持することにより行う。
【0062】前記多色印刷後の焼付け処理は、処理温度
が180℃未満または処理時間が10秒未満であるとき
には、焼付けが不十分であり、処理温度が220℃を超
えるかまたは処理時間が300秒を超えるときには、印
刷の変色が起こる。
【0063】次に、前記多色印刷が施されたストレート
缶体の内面に、インサイドスプレーにより内面塗装を施
し、焼付け処理を行う。前記内面塗装に対する焼付け処
理は、前記内面塗装が施されたストレート缶体をオーブ
ンに収容し、缶体が180〜220℃の範囲の温度に1
〜10分間保持し、残留溶剤が10ppm以下になるよ
うに行なう。
【0064】前記内面塗装後の焼付け処理は、缶体に対
する処理温度が180℃未満または処理時間が1分未満
であるときには、残留溶剤が10ppm以上であり、処
理温度が220℃を超えるかまたは処理時間が10分を
超えるときには、塗装の変色が起こる。
【0065】そして、前記熱処理により、前記半値幅及
び(220)面の存在率が前記範囲となったストレート
缶体の開口端部に、ネッカーフランジャーにより、ネッ
クイン加工及びフランジ加工を施して、アルミニウム合
金缶体を得る。
【0066】
【実施例】マグネシウム1.15重量%、銅0.18重
量%、マンガン1.01重量%、鉄0.39重量%、珪
素0.17重量%、チタン0.02重量%、硼素0.0
002重量%を含有し、残部がアルミニウムと不可避的
不純物とからなるアルミニウム合金を常法により溶解鋳
造し、面削後、610℃で6時間の均質化処理を施し、
開始温度450℃で厚さ490mmから2.2mmまで
熱間圧延した。前記熱間圧延の最終パスの圧延速度は3
20m/分、減面率は45%であり、終了温度は300
〜315℃の範囲であった。
【0067】続いて、360℃に2時間保持する焼鈍を
施した後、0.32mmまで冷間圧延を行った。前記冷
間圧延における減面率は85.5%であった。次に、1
50℃に4時間保持する仕上げ焼鈍を施して、缶体成形
用アルミニウム合金板を得た。
【0068】前記アルミニウム合金板の(200)面の
X線回折強度の回折角2θの半値幅及び耳率を測定した
ところ、前記半値幅は0.20°であり、前記耳率は
2.0%であった。前記X線回折強度は、Cuをターゲ
ットとするX線源を用い、波長1.5405Åで測定し
た。尚、前記耳率はアルミニウム合金板の端部における
凹凸の寸法を測定することにより求めた。
【0069】次に、前記アルミニウム合金板を絞りしご
き加工して、有底筒状のストレート缶体を成形した。
【0070】前記絞りしごき加工は、まず、直径90.
11mmの超鋼製パンチと、直径90.85mmの超鋼
製ダイスとからなる金型を備えるカッピングプレスを用
い、直径140.5mmのアルミニウム合金板を絞り比
1.56で絞り加工し、直径90.2mmの有底筒状缶
体を形成した。
【0071】次に、前記有底筒状缶体に、ボディーメー
カーを用いて再絞り加工及びしごき加工を施し、有底筒
状のストレート缶体を形成した。前記ボディメーカーに
よる再絞り加工は、直径66.05mmの超鋼製パンチ
と、直径66.69mmの超鋼製ダイスとからなる金型
により、前記カッピングプレスで得られた直径90.2
mmの有底筒状缶体を絞り比1.36で絞り加工し、直
径66.5mmの有底筒状缶体を形成した。また、前記
ボディメーカーによるしごき加工は、直径66.05m
mの超鋼製パンチに対して、直径66.530mmの超
鋼製ダイスによる1段目(しごき率25.00%)、直
径66.400mmの超鋼製ダイスによる2段目(しご
き率27.08%)、直径66.270mmの超鋼製ダ
イスによる3段目(しごき率37.14%)のしごき加
工を段階的に行って、最終的に直径66.1mmの有底
筒状のストレート缶体を11800ケース成形した。こ
のとき、成形されたストレート缶体が金型に引っ掛って
取り外すことができなくなるトラブル(ストリッピング
・ジャム)の発生率は0ppmであった。
【0072】また、成形されたストレート缶体から10
個の缶体を無作為抽出して、その開口部の真円度を測定
したところ、最大値134μm、最小値67μmであ
り、平均値は101μmであった。
【0073】次に、前記ストレート缶体に対して、製缶
工程における後述の各処理に対する乾燥処理及び/また
は焼付け処理を利用して、該缶体を構成するアルミニウ
ム合金板の結晶構造を制御するための熱処理を行った。
【0074】前記製缶工程では、まず、ウォッシャーに
より水洗した後、約75℃の温度で30秒の水洗処理を
行った。
【0075】次に、前記水洗されたストレート缶体の表
面にクロム酸、りん酸及びフッ化水素酸からなる処理液
を塗布し、焼付け処理を行うことにより、缶体表面にリ
ン酸クロメートの被膜を形成する化成処理を施した。前
記焼付け処理は前記化成処理後の缶体をオーブンに収容
し、200℃に3分保持して行った。
【0076】次に、前記化成処理が施されたストレート
缶体の外面に、ベースコーターによりホワイトコートを
施し、焼付け処理を行った。前記ホワイトコートに対す
る焼付け処理は、前記ホワイトコートが施されたストレ
ート缶体をオーブンに収容し、200℃に3分保持して
行った。
【0077】次に、前記ホワイトコートが施されたスト
レート缶体の外面に、多色印刷機により多色印刷を施
し、焼付け処理を行った。前記多色印刷に対する焼付け
処理は、前記多色印刷が施されたストレート缶体をオー
ブンに収容し、200℃に1分保持して行った。
【0078】次に、前記多色印刷が施されたストレート
缶体の内面に、インサイドスプレーにより内面塗装を施
し、焼付け処理を行った。前記内面塗装に対する焼付け
処理は、前記内面塗装が施されたストレート缶体をオー
ブンに収容し、缶体が200℃に3分保持されるように
して行った。
【0079】前記ストレート缶体を構成するアルミニウ
ム合金板について、前記製缶工程における熱処理後の
(220)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅及び
(220)面の存在率を測定したところ、前記半値幅は
0.32°であり、前記存在率は62%であった。前記
X線回折強度は、CuをターゲットとするX線源を用
い、波長1.5405Åで測定した。尚、前記耳率はア
ルミニウム合金板の端部における凹凸の寸法を測定する
ことにより求めた。
【0080】次に、前記ストレート缶体の開口端部に、
ネッカーフランジャーにより、ネックイン加工及びフラ
ンジ加工を施して、アルミニウム合金缶体を成形したと
ころ、フランジ部におけるマイクロクラックの発生率は
11800ケースの缶体中、0ppmであった。
【0081】次に、前記ネックイン加工が施された缶体
から12個の缶体を無作為抽出して、その拡管値を測定
したところ、最大値14.9%、最小値12.9%であ
り、平均値は13.9%であった。前記拡管値は、図2
示のように、ネックイン加工が施された缶体1の開口部
2に、拡管値測定用の円錐形金型3の尖端を所定量押し
込み、最初のクラックが発生したときの管径Dの開口部
2の直径D0 に対する拡大率で示される(下記式(2)
参照)値であり、フランジ加工における成形性の指標と
される。
【0082】 拡管値(%)=((D−D0 )/D0 )×100 …(2) 本実施例の結果を下記表1に示す。
【0083】
【比較例】従来、缶体成形用アルミニウム合金板として
使用されているJIS−3004材について、前記実施
例と同一の方法により、その(200)面のX線回折強
度の回折角2θの半値幅及び耳率を測定したところ、前
記半値幅は0.20°であり、前記耳率は2.9%であ
った。
【0084】前記アルミニウム合金板を用いて、前記実
施例と同一条件で絞りしごき加工を行い、有底筒状のス
トレート缶体を11800ケース成形したところ、成形
されたストレート缶体が金型に引っ掛って取り外すこと
ができなくなるトラブル(ストリッピング・ジャム)の
発生率は5ppmであった。また、成形されたストレー
ト缶体から10個の缶体を無作為抽出して、その開口部
の真円度を測定したところ、最大値157μm、最小値
88μmであり、平均値は122μmであった。
【0085】次に、前記ストレート缶体を前記実施例と
同一条件の製缶工程で熱処理を行い、得られた缶体につ
いて、その(220)面のX線回折強度の回折角2θの
半値幅及び(220)面の存在率を測定したところ、前
記半値幅は0.34°であり、前記存在率は49%であ
った。
【0086】次に、前記ストレート缶体の開口端部に、
ネッカーフランジャーにより、前記実施例と同一条件で
ネックイン加工及びフランジ加工を施して、アルミニウ
ム合金缶体を成形したところ、フランジ部におけるマイ
クロクラックの発生率は11800ケースの缶体中、
8.3ppmであった。
【0087】また、前記ネックイン加工が施された缶体
から12個の缶体を無作為抽出して、その拡管値を測定
したところ、最大値14.7%、最小値12.6%であ
り、平均値は13.6%であった。
【0088】本比較例の結果を下記表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】表1から明らかなように、(200)面の
X線回折強度の回折角2θの半値幅が小さい本実施例の
アルミニウム合金板によれば、その耳率も小さく、成形
されたストレート缶体の真円度が高くなるので、ストレ
ート缶体が金型に引っ掛って取り外すことができなくな
るトラブル(ストリッピング・ジャム)の発生率も低く
なる。
【0091】また、本実施例のアルミニウム合金缶体に
よれば、前記ストレート缶体に前述の製缶工程における
熱処理が施こされることにより、(220)面のX線回
折強度の回折角2θの半値幅が比較例より小さく、(2
20)面の存在率が比較例より大きくなることが明らか
である。この結果、本実施例のアルミニウム合金缶体で
は、フランジ加工の成形性の指標となる拡管値が比較例
より大きく、マイクロクラックの発生率が比較例より低
く、優れた成形性を備えていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム合金のある結晶面におけるX線回
折強度の回折角2θの半値幅の定義を説明する図。
【図2】アルミニウム合金缶体の拡管値の測定方法を説
明する説明的断面図。
【符号の説明】
1…アルミニウム合金缶体、 2…開口部、 3…円錐
形金型、 D…最初のクラックが発生したときの管径、
0 …開口部の直径、 p…ピーク、 Ip…ピーク
pの強度、 半値幅…β1/2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/06 C22C 21/06 C23C 22/00 C23C 22/00 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム0.9〜1.3重量%、銅
    0.1〜0.2重量%、マンガン0.9〜1.2重量
    %、鉄0.3〜0.5重量%、珪素0.1〜0.2重量
    %を含有し、残部がアルミニウムと不可避的不純物とか
    らなるアルミニウム合金鋳塊に560〜620℃の温度
    範囲で1〜10時間の均質化処理を施した後、 熱間圧延を、最終パスにおける圧延速度を300〜40
    0m/分、減面率40〜60%、終了温度290〜33
    0℃の範囲で行い、 次いで、300〜400℃の温度範囲で1〜10時間の
    焼鈍を施し、減面率75〜90%の冷間圧延を施して、 (200)面のX線回折強度の回折角2θの半値幅が
    0.15〜0.25°の範囲にあるアルミニウム合金板
    を得た後、 該アルミニウム合金板を絞りしごき加工して有底筒状缶
    体とし、該缶体に熱処理を施して該缶体を形成するアル
    ミニウム合金の(220)面のX線回折強度の回折角2
    θの半値幅が0.20〜0.33°、(220)面の存
    在率が55〜75%の範囲になるようにしたことを特徴
    とするアルミニウム合金缶体。
  2. 【請求項2】前記熱処理は180〜220℃の温度範囲
    で3〜30分間保持することを特徴とする請求項1記載
    のアルミニウム合金缶体。
  3. 【請求項3】前記熱処理は前記有底筒状缶体に施される
    洗浄及び化成処理に対する乾燥及び焼付け処理と、印刷
    及び塗装に対する焼付け処理とにより行うことを特徴と
    する請求項1または請求項2記載のアルミニウム合金缶
    体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007015560A1 (ja) * 2005-08-04 2007-02-08 Universal Can Corporation 缶ボディ用アルミニウム合金板、di缶およびその製造方法
JP2018065182A (ja) * 2016-10-20 2018-04-26 ユニバーサル製缶株式会社 ボトル缶の製造方法
CN116497251A (zh) * 2023-06-16 2023-07-28 中铝材料应用研究院有限公司 可减少焊缝液化裂纹的6xxx铝合金板材、其制备方法及应用

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