JPH11256290A - 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

缶胴用アルミニウム合金板の製造方法

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JPH11256290A
JPH11256290A JP7330898A JP7330898A JPH11256290A JP H11256290 A JPH11256290 A JP H11256290A JP 7330898 A JP7330898 A JP 7330898A JP 7330898 A JP7330898 A JP 7330898A JP H11256290 A JPH11256290 A JP H11256290A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 DI缶胴用材料として、強度およびDI成形
性に優れ、かつ深絞り耳率が安定して低いAl合金板の
製造方法を提供する。 【解決手段】 Mg、Mn、Fe、Siを含有するAl
合金を鋳造後、均質化処理を施し、さらに熱間圧延にあ
たり、粗圧延開始時のスラブ厚み200mm以上、粗圧
延開始温度450〜580℃の範囲内、粗圧延から仕上
圧延を通じての圧延速度40m/分以上、粗圧延開始時
のスラブ厚みから板厚150mmに達するまでの粗圧延
各パスの圧下量15mm以上とし、さらに粗圧延開始か
らの圧延率が25%以上でかつ150〜15mmの範囲
内の板厚の段階までの温度を400℃以上に維持して、
その後仕上圧延における最終パスまでの温度を250〜
400℃の範囲内に維持する。その後バッチ焼鈍もしく
は連続焼鈍を施してから、60%以上の冷間圧延を行な
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はDI加工(絞り−
しごき加工)による2ピースアルミニウム缶用の缶胴、
すなわちDI缶胴に用いられるAl−Mg−Mn系アル
ミニウム合金板の製造方法に関し、特に深絞り耳が低く
かつ塗装焼付後の強度が高く、しかもDI加工時の成形
性および塗装焼付後の成形性に優れたDI缶胴用アルミ
ニウム合金板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に2ピースアルミニウム缶の製造工
程としては、缶胴素材に対して深絞り加工およびしごき
加工によるDI成形を施して缶胴形状とした後、所定の
サイズにトリミングを施して脱脂・洗浄処理を行ない、
さらに塗装および印刷を行なって焼付け(ベーキング)
を行ない、その後、缶胴縁部に対してネッキング加工、
フランジング加工を行ない、その後、別に成形した缶蓋
(缶エンド)と合せてシーミング加工を行なって缶とす
るのが通常である。
【0003】このようにして製造されるDI缶の素材
(缶胴材)としては、従来からAl−Mg−Mn系合金
であるJIS 3004合金の硬質板が広く用いられて
いる。この3004合金は、しごき加工性に優れてい
て、強度を高めるために高圧延率で冷間圧延を施した場
合でも比較的良好な成形性を示すところから、DI缶胴
材として好適であるとされている。
【0004】このようなDI缶胴用の3004合金硬質
板の製造方法としては、DC鋳造法などによって鋳造
後、鋳塊に対し均質化処理を施し、さらに熱間圧延およ
び冷間圧延を施して所定の板厚とし、かつその過程にお
ける冷間圧延前あるいは冷間圧延中途において中間焼鈍
を施す方法が一般的である。
【0005】ところでDI缶胴については、主として材
料コスト低減、軽量化の目的から、より薄肉化を図るこ
とが強く望まれている。そしてこのように薄肉化を図る
ためには、薄肉化に伴なって生じる缶の座屈強度低下の
問題を回避するため、材料の高強度化を図ることが不可
欠である。
【0006】またDI缶胴用材料については、上述のよ
うな薄肉化を図るための高強度化の要請ばかりではな
く、DI成形時における耳率が低いことが強く望まれ
る。すなわち、DI成形時の耳率が低いことは、DI成
形時の歩留りの向上と、缶胴の耳切れに起因する缶胴破
断の防止の点から必要とされている。さらに、耳率を如
何に制御するかによって、強度、フランジ成形性、耳率
のバランスに影響を及ぼすことになるから、耳率制御は
缶胴材にとって極めて重要な課題となっている。
【0007】しかしながら、前述のような従来の一般的
な缶胴材製造方法では、耳率を抑えるにも限界があり、
例えば絞り比1.9において耳率を3%以下に抑えるこ
とは困難であった。
【0008】そこで低耳率を達成するための缶胴材製造
方法が、既に例えば特開平5−317914号、特開平
9−249932号、特開平9−268355号等にお
いて提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平5−31
7914号においては、冷間圧延中途において2回焼鈍
を行なう方法が提案されているが、このように冷間圧延
中途において2回焼鈍を行なった場合、最終冷間圧延の
圧延率を大きくとれないため、強度不足が生じやすいと
いう問題があるほか、製缶時の材料の加工硬化量が大き
く、フランジ成形性が悪化する問題がある。
【0010】また特開平9−249932号において
は、熱間圧延の最終パスにおける圧延速度、減面率、お
よび熱延終了温度を厳密に規制することによって低耳率
を達成する方法が提案されており、この方法は、ある程
度は低耳率達成に有効であるが、依然として製造チャン
スによる耳率の変動は大きく、確実かつ安定して低耳率
を得るには不充分であった。
【0011】さらに、特開平9−268355号におい
ては、熱間仕上圧延にタンデム式圧延機を用いる場合に
ついて、熱間仕上圧延条件を細かく規制することにより
低耳率を達成する方法が提案されているが、この発明の
方法は仕上圧延にタンデム式圧延機を用いた場合に限ら
れるものであって、リバーシングミルを用いる場合につ
いては全く考慮されておらず、したがって熱間圧延にリ
バーシングミルを適用した場合の耳率制御には有効では
ない。
【0012】以上のように、従来提案されている方法
は、缶胴材に対する諸要求を全て充分に満たすことは困
難であり、特にリバーシングミルを用いた場合であって
も缶胴材として必要な諸特性を充分に満たす材料を得る
ことは困難であった。
【0013】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たものであって、缶胴材として望まれる諸要求を充分に
満足し得る材料、すなわち薄肉化を図った場合でも強度
とフランジ成形性に優れ、しかも深絞りにおける材料の
耳率が確実かつ安定して低い缶胴用アルミニウム合金板
を製造し得る方法を提供することを基本的な目的とする
ものである。
【0014】またこの発明は、熱間圧延設備、特に仕上
圧延機として、リバーシングミルを用いた場合でも、上
述のような缶胴材として優れた性能を有するアルミニウ
ム合金板を製造し得る方法を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく、本願発明者等が種々実験・検討を重ねた結
果、熱間圧延工程の諸条件、特に熱間粗圧延における諸
条件を厳密に規制することによって熱間粗圧延中におけ
る再結晶を適切に制御し、併せて再結晶後の仕上圧延の
諸条件を規制することによって、前述の課題を解決し得
ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0016】具体的には、請求項1の発明の缶胴用アル
ミニウム合金板の製造方法は、Mg0.5〜2.0%、
Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si
0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて0.
005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.000
1〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに
鋳造した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲
内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラ
ブを熱間粗圧延およびそれに続く熱間仕上圧延によって
熱間圧延するにあたり、(1) 熱間粗圧延開始時のス
ラブ厚みを200mm以上とし、(2) 熱間粗圧延開
始温度を450〜580℃の範囲内とし、(3) 熱間
粗圧延から熱間仕上圧延を通じての圧延速度を40m/
分以上とし、(4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みか
ら板厚150mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1
パス当り圧下量を15mm以上とし、(5) 熱間粗圧
延中において、粗圧延開始からの圧延率が25%以上で
かつ150〜15mmの範囲内の板厚の段階までの温度
を400℃以上に維持して、その150〜15mmの範
囲内の板厚の段階において板全体に対し体積率で5%以
上の再結晶を少なくとも1回以上生じさせ、(6) 前
記5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕上圧延にお
ける最終パスまでの温度を250〜400℃の範囲内に
維持し、(7) さらに熱間仕上圧延における上り温度
を200〜320℃の範囲内とし、(8) かつ熱間仕
上圧延における上り板厚を1.0〜7.0mmの範囲内
とし、以上の(1)〜(8)の条件によって得られた熱
延板に対して、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱
して250〜450℃の範囲内の温度に0.5時間以上
保持するバッチ焼鈍を行なった後、0.1℃/秒以下の
平均冷却速度で冷却し、その後さらに60%以上の圧延
率で冷間圧延を行なうことを特徴とするものである。
【0017】また請求項2の発明の缶胴用アルミニウム
合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金として、M
g0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.
1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつ
Cu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Z
n0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含
有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のT
iを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組
合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
るアルミニウム合金を用い、請求項1で規定するプロセ
ス条件と同様の条件の均質化処理−熱間圧延(粗圧延及
び仕上圧延)−バッチ焼鈍−最終冷間圧延のプロセスで
製造するものである。
【0018】さらに請求項3の発明の缶胴用アルミニウ
ム合金板の製造方法は、素材合金として請求項1で規定
する合金と同じアルミニウム合金を用い、かつ均質化処
理−熱間圧延(粗圧延及び仕上圧延)を請求項1で規定
する条件で行ない、その後の焼鈍として、1〜100℃
/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜500℃の範囲
内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持
の連続焼鈍を施した後、1〜100℃/秒の範囲内の平
均冷却速度で冷却し、さらにその後請求項1の方法と同
様に60%以上の圧延率で冷間圧延を行なうものであ
る。
【0019】そしてまた請求項4の発明の缶胴用アルミ
ニウム合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金とし
て請求項2で規定する成分組成と同じ成分組成の合金を
用い、請求項3で規定するプロセスで製造するものであ
る。
【0020】なお、以上の各請求項1〜4の方法におい
て、5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕上圧延に
おける最終パスまでの温度を250〜400℃の範囲内
に維持するため、熱間圧延中において板に対し中間冷却
を施しても良く、これを規定したのが請求項5の発明で
ある。
【0021】さらに請求項1〜4の方法において、60
%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なった後には、さら
に80〜200℃の範囲内の温度で0.5時間以上保持
する最終焼鈍を施しても良く、これを規定したのが請求
項6の発明である。
【0022】
【発明の実施の形態】先ずこの発明の方法において用い
られるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について
説明する。
【0023】Mg:Mgの添加は、Mgそれ自体の固溶
による強度向上に効果があり、またMgの固溶に伴なっ
て加工硬化量の増大による強度向上が期待でき、さらに
はSiとの共存によるMg2 Siの時効析出による強度
向上も期待でき、したがってMgは缶胴材として必要な
強度を得るためには不可欠の元素である。またMgは、
加工時の転位の増殖作用があるため、再結晶粒を微細化
させるためにも有効である。但しMg量が0.5%未満
では上述の効果が少なく、一方2.0%を越えれば、高
強度は容易に得られるものの、DI加工時の変形抵抗が
大きくなって絞り性やしごき性を悪くする。したがって
Mg量は0.5〜2.0%の範囲内とした。
【0024】Mn:Mnは強度および成形性の向上に寄
与する有効な元素である。特にこの発明で目的としてい
る用途である缶胴材ではDI成形時にしごき加工が加え
られるため、とりわけMnは重要となる。アルミニウム
板のしごき加工においては通常エマルジョンタイプの潤
滑剤が用いられているが、Mn系晶出物が少ない場合に
は同程度の強度を有していてもエマルジョンタイプ潤滑
剤だけでは潤滑能が不足し、ゴーリングと呼ばれる擦り
疵や焼付きなどの外観不良が発生するおそれがある。こ
の現象は晶出物の大きさ、量、種類に影響されることが
知られており、その晶出物を形成するためにMnは不可
欠な元素である。Mn量が0.5%未満ではMn系化合
物による固体潤滑的な効果が得られず、一方Mn量が
2.0%を越えればAl6 Mnの初晶巨大金属間化合物
が発生し、著しく成形性を損なう。そこでMn量は0.
5〜2.0%の範囲内とした。
【0025】Fe:Feは、Mnの晶出や析出を促進し
て、アルミニウム基地中のMn固溶量やMn系金属間化
合物の分散状態を制御するために必要な元素である。適
正な化合物分散状態を得るためには、Mn添加量に応じ
てFeを添加することが必要である。Fe量が0.1%
未満では適正な化合物分散状態を得ることが困難であ
り、一方Fe量が0.7%を越えれば、Mn添加に伴な
って初晶巨大金属間化合物が発生しやすくなり、成形性
を著しく損なう。そこでFe量の範囲は0.1〜0.7
%とした。
【0026】Si:Siの添加は、Mg2 Si系化合物
の析出による時効硬化を通じて缶胴材の強度向上に寄与
する。またSiは、Al−Mn−Fe−Si系金属間化
合物を生成して、Mn系金属間化合物の分散状態を制御
するために必要な元素である。Si量が0.05%未満
では上記の効果が得られず、一方0.5%を越えれば時
効硬化により材料が硬くなりすぎて成形性を阻害する。
そこでSi量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0027】Ti,B:通常のアルミニウム合金におい
ては、鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはTiお
よびBを微量添加することが行なわれており、この発明
においても、必要に応じて微量のTiを単独で、あるい
はBと組合せて添加しても良い。但しTi量が0.00
5%未満ではその効果が得られず、0.20%を越えれ
ば巨大なAl−Ti系金属間化合物が晶出して成形性を
阻害するため、Tiを添加する場合のTi量は0.00
5〜0.20%の範囲内とした。またTiとともにBを
添加すれば鋳塊結晶粒微細化の効果が向上するが、Ti
と併せてBを添加する場合、B量が0.0001%未満
ではその効果がなく、0.05%を越えればTi−B系
の粗大粒子が混入して成形性を害することから、Tiと
ともにBを添加する場合のB量は0.0001〜0.0
5%の範囲内とした。
【0028】Cu,Cr,Zn:これらはいずれも強度
向上に寄与する元素であり、必要に応じてこれらのうち
から選ばれた1種または2種以上が添加される。これら
の各元素についてさらに説明する。
【0029】Cu:Cuは、焼鈍時にアルミニウム基地
中に溶体化させておき、塗装焼付処理時にAl−Cu−
Mg系析出物として析出することによる析出硬化を利用
した強度向上に寄与する。Cu量が0.05%未満では
その効果が得られず、一方Cuを0.5%を越えて添加
した場合には、時効硬化は容易に得られるものの、硬く
なりすぎて成形性を阻害し、また耐食性も劣化する。そ
こでCu量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0030】Cr;Crも強度向上に効果的な元素であ
るが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.3%
を越えれば巨大晶出物生成によって成形性の低下を招く
ため、好ましくない。そこでCr量の範囲は0.05〜
0.3%とした。
【0031】Zn:Znの添加はAl−Mg−Zn系粒
子の時効析出による強度向上に寄与するが、0.05%
未満ではその効果が得られず、0.5%を越えれば、強
度への寄与については問題がないが、耐食性を劣化させ
る。そこでZn量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0032】以上の各元素の残部はAlと不可避不純物
すれば良い。
【0033】次にこの発明における製造プロセスを、そ
の作用とともに説明する。
【0034】先ず前述のような合金組成を有するアルミ
ニウム合金鋳塊を常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造
法)などにより鋳造する。次いでその鋳塊に対して均質
化処理を施して、鋳塊の偏析を均質化するとともにMn
系の第2相粒子サイズと分布を最適化する。均質化処理
温度が520℃未満では均質化の効果が不充分であり、
一方630℃を越えれば共晶融解のおそれがある。均質
化処理は1時間未満では均質化が不充分となる。したが
って均質化処理は520〜630℃の範囲内の温度で1
時間以上行なう必要がある。なお均質化処理時間の上限
は特に規制しないが、経済性を考慮して通常は48時間
以下にすることが好ましい。
【0035】均質化処理を施したスラブに対しては、熱
間圧延を行なう。この熱間圧延は、粗圧延とそれに続く
仕上圧延とに区分されるが、この発明の方法の場合、粗
圧延にリバーシングミル(可逆式圧延機)を用い、仕上
圧延にリバーシングミルもしくはリバーシングウォーム
ミル(可逆式仕上圧延機)を用いることが適当である
が、それらに限られないことはもちろんである。
【0036】この熱間圧延工程の条件は、この発明の方
法の場合極めて重要であり、(1)〜(8)の条件に従
って熱間圧延を行なうことが耳率の制御に対して重要で
ある。そこでこれらの(1)〜(8)の条件について詳
細に説明する。
【0037】(1) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みを
200mm以上とする。この熱間粗圧延時のスラブ厚み
は、後述する(4)項の条件と密接に関係し、板厚15
0mmに達するまでの熱間粗圧延前半の圧下量を確保し
て、転位を充分に蓄積させるためには、熱間粗圧延開始
時のスラブ厚みを200mm以上としておく必要があ
り、好ましくは充分な圧下量を得るために400mm以
上とする。なおこの熱間粗圧延前半における転位の蓄積
については、(3)項、(4)項において詳細に説明す
る。
【0038】(2) 熱間粗圧延開始温度を450〜5
80℃の範囲内とする。熱間粗圧延の開始温度は、熱間
圧延中の材料の回復および再結晶の挙動に強い影響を及
ぼし、特に最終板の深絞り耳を低くするために必要なキ
ューブ方位の結晶組織(キューブ方位の結晶粒の集合体
を以下キューブバンドと称する)の形成に重要な役割を
果たしている。熱間粗圧延開始温度が450℃未満では
キューブバンドの形成量が不足しやすく、一方580℃
を越えた高温で熱間粗圧延を開始すれば、キューブバン
ドの形成は容易となるものの、板の表面品質が低下す
る。したがって熱間粗圧延開始温度は450〜580℃
の範囲内とする必要がある。
【0039】(3) 熱間粗圧延から熱間仕上圧延を通
じての圧延速度を40m/分以上とする。圧延速度は圧
延温度および圧下量と相俟って材料の回復および再結晶
挙動、特に結晶粒および亜結晶粒のサイズに強い影響を
及ぼす。圧延速度が40m/分未満では転位が蓄積され
にくく、結晶粒、亜結晶粒が粗大となる傾向を示し、キ
ューブバンドの数も少なくなり、材料の耳率および機械
的特性に対して悪い影響を及ぼす。また圧延速度が低け
れば生産性も低下する。したがって圧延速度は40m/
分以上とする必要があり、より好適には70m/分以上
とする。圧延速度の上限は特に規制しないが、良好な表
面品質を得るためには、通常は1000m/分以下が好
ましい。なお、ここで圧延速度とは、熱間粗圧延の各パ
スから熱間仕上圧延の各パスまで全てのパスでの圧延速
度を意味する。したがってこの発明の方法の場合、熱間
粗圧延、仕上圧延の全てのパスについて圧延速度を40
m/分以上、好ましくは70m/分以上とする。
【0040】(4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みか
ら板厚150mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1
パス当り圧下量を15mm以上とする。熱間粗圧延開始
時のスラブ厚み(前述のように200mm以上、好まし
くは400mm以上)から板厚150mmまでは、熱間
粗圧延のほぼ前半の段階に相当するが、この段階におけ
る1パス当りの圧下量は、圧延温度および圧延速度と相
俟って材料の回復および再結晶挙動、特に結晶粒サイ
ズ、亜結晶粒サイズに強い影響を及ぼす。その1パス当
りの圧下量が15mm未満では転位が蓄積されにくく、
結晶粒・亜結晶粒が粗大となる傾向を示し、またキュー
ブバッドの数も少なく、材料の耳率および機械的特性に
悪影響を及ぼす。そこで1パス当りの圧下量は15mm
以上、好ましくは40mm以上とする。各パスの圧下量
の上限は特に規制しないが、良好な表面品質を保つた
め、通常は各パスの1パス当りの圧下量を100mm以
下とすることが好ましい。
【0041】(5) 熱間粗圧延中において、粗圧延開
始からの圧延率が25%以上でかつ150〜15mmの
範囲内の板厚の段階までの温度を400℃以上に維持し
て、その段階において板全体に対し体積率で5%以上の
再結晶を少なくとも1回以上生じさせる。この発明の方
法においては、熱間粗圧延中において、熱間粗圧延率が
25%以上でかつ板厚が150〜15mmの範囲内の段
階で板全体に対し体積率で5%以上の再結晶を少なくと
も1回以上生じさせることが、耳率の制御にとって不可
欠である。すなわち、熱間粗圧延率が25%以上でかつ
板厚が150〜15mmの範囲内の段階での再結晶によ
り形成されたキューブバンドは安定であって熱延上り板
にも残存し、最終冷間圧延後の最終板の耳率の低減に有
効となる。そしてこのように体積率5%以上の再結晶を
生じさせるためには、圧延温度を400℃以上に維持す
る必要がある。圧延温度が400℃より低くなれば、体
積率5%以上の再結晶を生起させることが困難となる。
したがってこの発明では、熱間粗圧延中において熱間粗
圧延開始からの圧延率が25%以上であってかつ板厚が
150〜15mmの範囲内の段階までの圧延温度を40
0℃以上に維持して、その段階で板全体に対する体積率
で5%以上の再結晶を少なくとも1回生起させることと
したのである。
【0042】なおここで、熱間粗圧延開始からの熱間粗
圧延率が25%未満の段階では、歪が少なく、板厚15
0〜15mmの範囲内で体積率5%以上の再結晶を起こ
させることが困難である。また150mmより厚い段階
で再結晶を起こさせること自体は、この発明の効果に対
して特に悪影響はないが、150mmより厚い段階で再
結晶を起こさせて、その後の板厚150〜15mmの範
囲内の段階で体積率5%以上の再結晶を生じさせなかっ
た場合には、耳率の制御の効果が充分に得られない。し
たがって体積率5%以上の再結晶を生じさせる段階は、
粗圧延率が25%以上でかつ板厚が150〜15mmの
範囲内の段階とした。なおこの段階で体積率5%以上の
再結晶は2回以上生じさせても良いことはもちろんであ
る。またこの段階で生じさせる再結晶は、前述のように
板全体に対する体積率で5%以上が必要であるが、より
好ましくは、体積率15%以上の再結晶を生じさせるこ
とが望ましい。そしてまた、この段階で体積率5%以
上、好ましくは体積率15%以上の再結晶を生じさせる
ためには、前述のようにその段階まで圧延温度を400
℃以上に維持する必要があるが、確実に体積率5%以上
の再結晶を生じさせるために、必要に応じて熱間粗圧延
中途において400℃以上で1200秒以内の保持を行
なっても良い。
【0043】(6) 前記体積率5%以上の再結晶を生
起させた段階から熱間仕上圧延における最終パスまでの
温度を250〜400℃の範囲内に維持すること。前記
(5)項で述べたように板厚150〜15mmの段階で
体積率5%以上の再結晶を生起させた状態から、熱間仕
上圧延最終パス入口までの間においては、適切な転位密
度の蓄積を行なう必要がある。すなわち、板厚が150
〜15mmの範囲内の段階で形成されたキューブバンド
組織の周辺に適切な密度で転位を導入することにより、
熱間圧延上りの状態での自己保有熱による自己焼鈍、さ
らにはその後のバッチ焼鈍もしくは連続焼鈍においてキ
ューブ方位の結晶組織の成長を図ることができ、ひいて
は最終冷間圧延後の最終板の耳率を低く規制することに
有利となる。ここで、体積率5%以上の再結晶状態から
熱間仕上圧延最終パスまでの間に圧延温度が250℃よ
り低くなった場合は、表面品質が低下するとともに、粗
大粒子周辺の再結晶核生成数が増加し、その後の再結晶
でキューブ方位以外の再結晶粒が多くなり、低耳率制御
に不利となる。一方その間の温度が400℃を越える場
合、回復、再結晶が進みやすく、充分な転位を導入する
ことが困難となる。したがって体積率5%以上の再結晶
状態から熱間仕上圧延最終パス入口までの温度を250
〜400℃の範囲内に制御する必要があるが、この範囲
内でも特に270〜370℃の範囲内が好適である。
【0044】なお上述のように体積率5%以上の再結晶
状態から熱間仕上圧延最終パス入口までの温度を250
〜400℃、好ましくは270〜370℃に温度制御す
るためには、体積率5%以上の再結晶率を確保した後、
必要に応じて中間冷却(強制冷却)を行なっても良い。
この中間冷却は、例えば熱間圧延で使用されているクー
ラントで板を強制冷却したり、そのほか水、油、空気な
どの冷却媒体を用いて板を強制冷却したりすれば良い。
なおまた、このように中間冷却を行なう場合、体積率5
%以上の再結晶率の確保とそれに続く中間冷却に要する
時間は、生産性の観点から1800秒以内とすることが
望ましい。
【0045】(7) 熱間仕上圧延における上り温度を
200〜320℃の範囲内とする。熱間仕上圧延の上り
温度が200℃未満では表面品質が低下し、また第2相
粒子周辺での再結晶核生成が増加して、その後の再結晶
でキューブ方位以外の再結晶粒が多くなり、低耳率制御
に不利となる。一方上り温度が320℃を越えれば、最
終板の耳率の変動が大きくなり、最終板の耳率を安定し
て確実に低耳率に制御することが困難となる。
【0046】(8) 熱間仕上圧延の上り板厚を1.0
〜7.0mmの範囲内とする。仕上圧延の上がり板厚が
1.0mm未満では、焼鈍後の最終的な冷間圧延での圧
延率を充分に確保することが困難となり、最終板の強度
不足が生じやすい。一方上り板厚が7.0mmを越えれ
ば、焼鈍後の最終的な冷間圧延において圧延率が高くな
り過ぎ、耳率が高くなる傾向を示す。
【0047】以上で述べたような(1)〜(8)の条件
で熱間圧延を終了させた後、その圧延板に対し、バッチ
焼鈍もしくは連続焼鈍により中間焼鈍を施す。この中間
焼鈍は、材料を完全に再結晶させて、最終的な冷間圧延
後の板の耳率を低くするために必要な工程である。
【0048】ここで、中間焼鈍にバッチ焼鈍を適用する
場合、平均昇温速度0.1℃/秒以下で250〜450
℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で0.5
時間以上保持し、平均冷却速度0.1℃/秒以下で冷却
する。ここで、平均昇温速度および平均冷却速度が0.
1℃/秒を越えれば、バッチ焼鈍方式では熱延板コイル
全体を均一に加熱もしくは冷却できなくなる問題が生じ
る。また加熱保持温度が250℃未満では完全に再結晶
させることが困難となり、一方450℃を越える高温で
は再結晶核が粗大となって、製缶時に肌荒れやフローラ
インなどの表面欠陥が発生しやすくなる。また加熱保持
の時間が0.5時間未満では完全に再結晶させることが
困難であり、また熱延板のコイルの全体を均一に加熱す
ることが困難となる。なおバッチ焼鈍の場合の加熱保持
時間の上限は特に定めないが、通常は経済性の観点か
ら、24時間以内とする。
【0049】中間焼鈍として連続焼鈍を適用する場合、
1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜5
00℃の範囲内の温度に加熱し、保持なしもしくは10
分以下の保持の後、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷
却速度で冷却する。ここで、平均昇温速度、平均冷却速
度が1℃/秒未満では、連続焼鈍(CAL)方式におい
ては生産性の著しい低下を招き、また100℃/秒を越
える平均昇温速度、平均冷却速度はキューブ方位の再結
晶粒の形成に不利となる。また加熱到達温度が330℃
未満では再結晶が生じにくく、一方500℃を越える高
温ではキューブ方位の再結晶粒の形成に不利となる。さ
らに330〜500℃に10分を越えて保持すること
は、連続焼鈍の生産性を阻害する。
【0050】以上のように、バッチ焼鈍もしくは連続焼
鈍による中間焼鈍を施した後には、最終板厚としかつ必
要な強度を得るために冷間圧延を施す。ここで、最終の
冷間圧延率が60%未満では、加工硬化による強度上昇
が少なく、缶胴材用の最終板に必要な強度を得ることが
困難である。
【0051】冷間圧延後の板は、これを最終板としてそ
のままDI成形に供しても良いが、冷間圧延板に必要に
応じて80〜200℃の範囲内の温度で0.5時間以上
の最終焼鈍を行なっても良い。この最終焼鈍は、延性の
回復による成形性の向上を目的としたものであるが、そ
の温度が80℃未満では成形性の向上効果が充分に得ら
れず、一方200℃を越えれば軟化による強度低下が大
きくなり、また焼鈍時間が0.5時間未満では成形性向
上効果を充分に得ることができない。なお焼鈍時間の上
限は特に定めないが、生産性、経済性の点からは10時
間以下が望ましい。
【0052】
【実施例】表1に示す金属記号A〜Fの各合金につい
て、常法に従ってDC鋳造法によりスラブに鋳塊した。
その後、均質化処理を施した後、熱間粗圧延および熱間
仕上圧延によって熱間圧延を施した。なお熱間圧延設備
としては、粗圧延機、仕上圧延機ともにリバーシングミ
ルを用い、熱間粗圧延速度は70〜200m/分、熱間
仕上圧延速度は120〜400m/分である。その他の
熱間圧延の諸条件を表2の製造番号1〜7に示す。なお
熱間粗圧延においては、製造番号6の場合を除き、5%
以上の再結晶体積率が確保された段階で冷却媒体として
圧延用クーラントを用いて中間冷却を行なった。熱間仕
上圧延後の圧延板に対し、表3中に示す条件でバッチ焼
鈍もしくは連続焼鈍による中間焼鈍を施し、その後冷間
圧延を行なった。冷間圧延後、製造番号5の場合を除い
て最終焼鈍を施した。
【0053】以上のようにして得られた缶胴用のアルミ
ニウム合金板について、元板の機械的性質(引張強さT
S、耐力YS、伸びEL)および塗装焼付(ベーキン
グ)を想定した200℃×20分の熱処理を行なった後
の機械的性質を調べた。また元板については、ポンチ径
48mm、ブランク径93mm、クリアランス30%の
条件にてカップ深絞り試験を行なって耳率を調べた。こ
こで、強度については、塗装焼付(ベーキング)後の耐
力として、270MPa以上の値が必要であり、また耳
率については、3%を越えれば製缶中のトラブルが発生
しやすくなることが知られている。
【0054】さらにDI缶成形性評価として、缶切れ
性、口拡げ性(フランジ成形性)、シーミング性、およ
び外観欠陥について調べた。ここで、缶切れ性について
は苛酷なしごき加工を連続10,000缶行なったとき
の缶破断の発生状況を調べ、また口拡げ性については4
段ネッキング加工後のフランジ成形性を調べ、さらにシ
ーミング性については4段ネッキング加工後のシーミン
グ加工性を調べ、そしてまた外観欠陥については、DI
缶の缶胴壁の圧延方向に沿ったフローライン状の外観欠
陥およびDI方向の縦筋の発生状況を調べ、それぞれ◎
〜×で相対評価した。これらの結果を表4に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】表1〜表4において、製造番号1〜5はい
ずれもこの発明で規定する成分組成範囲内の合金につい
て、この発明で規定する製造プロセス条件を満足して製
造したものであり、この場合は表4に示すように、いず
れも耳率が3%を確実に下廻って充分な低耳率を達成で
き、かつベーキング後の耐力が270MPa以上で充分
な強度を有しており、しかもDI成形性も優れているこ
とが明らかである。
【0060】一方製造番号6は、合金の成分組成はこの
発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件がこ
の発明で規定する範囲から外れたものである。すなわち
この発明の方法の場合、熱間粗圧延工程中において板厚
が150〜15mmの範囲内の段階で体積率5%以上の
再結晶を生じさせた後、熱間仕上圧延最終パス入口まで
の温度を400〜250℃の範囲内に維持する必要があ
るが、製造条件番号6の場合、板厚20mmで44%の
再結晶体積率を有する板厚から熱間仕上圧延最終パス入
口までの間の代表的な温度値である熱間粗圧延上り温度
が416℃と、この発明で規定する温度範囲(250〜
400℃)を越えており、この場合は最終板の耳率が
5.6%と高く、缶切れ性が劣っていた。
【0061】また製造番号7は、Mg量が0.48%と
この発明で規定する合金のMg量下限よりも低く、この
場合はベーキング後の強度が低く、また耳率も高く、缶
切れ性に劣っていた。
【0062】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明の方法によれば、DI缶胴用材料として、缶胴の
薄肉化に充分耐え得るような高強度を有すると同時に、
DI成形性、特にフランジ成形性に優れ、しかも深絞り
耳率が安定して低いアルミニウム合金板を確実に得るこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 630K 673 673 682 682 683 683 684 684C 685 685Z 691 691A 691B 691C 692 692A 694 694A 694B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg0.5〜2.0%(重量%、以下同
    じ)、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、
    Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて
    0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0
    001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAl
    および不可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラ
    ブに鋳造した後、そのスラブに対し520〜630℃の
    範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらに
    スラブを熱間粗圧延およびそれに続く熱間仕上圧延によ
    って熱間圧延するにあたり、 (1) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みを200mm以
    上とし、 (2) 熱間粗圧延開始温度を450〜580℃の範囲
    内とし、 (3) 熱間粗圧延から熱間仕上圧延を通じての圧延速
    度を40m/分以上とし、 (4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みから板厚150
    mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1パス当り圧下
    量を15mm以上とし、 (5) 熱間粗圧延中において、粗圧延開始からの圧延
    率が25%以上でかつ150〜15mmの範囲内の板厚
    の段階までの温度を400℃以上に維持して、その15
    0〜15mmの範囲内の板厚の段階において板全体に対
    し体積率で5%以上の再結晶を少なくとも1回以上生じ
    させ、 (6) 前記5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕
    上圧延における最終パスまでの温度を250〜400℃
    の範囲内に維持し、 (7) さらに熱間仕上圧延における上り温度を200
    〜320℃の範囲内とし、 (8) かつ熱間仕上圧延における上り板厚を1.0〜
    7.0mmの範囲内とし、 以上の(1)〜(8)の条件によって得られた熱延板に
    対して、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して2
    50〜450℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持す
    るバッチ焼鈍を行なった後、0.1℃/秒以下の平均冷
    却速度で冷却し、その後さらに60%以上の圧延率で冷
    間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム
    合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
    05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
    または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
    5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
    0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造
    した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲内の
    温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを
    熱間粗圧延およびそれに続く熱間仕上圧延によって熱間
    圧延するにあたり、 (1) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みを200mm以
    上とし、 (2) 熱間粗圧延開始温度を450〜580℃の範囲
    内とし、 (3) 熱間粗圧延から熱間仕上圧延を通じての圧延速
    度を40m/分以上とし、 (4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みから板厚150
    mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1パス当り圧下
    量を15mm以上とし、 (5) 熱間粗圧延中において、粗圧延開始からの圧延
    率が25%以上でかつ150〜15mmの範囲内の板厚
    の段階までの温度を400℃以上に維持して、その15
    0〜15mmの範囲内の板厚の段階において板全体に対
    し体積率で5%以上の再結晶を少なくとも1回以上生じ
    させ、 (6) 前記5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕
    上圧延における最終パスまでの温度を250〜400℃
    の範囲内に維持し、 (7) さらに熱間仕上圧延における上り温度を200
    〜320℃の範囲内とし、 (8) かつ熱間仕上圧延における上り板厚を1.0〜
    7.0mmの範囲内とし、 以上の(1)〜(8)の条件によって得られた熱延板に
    対して、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して2
    50〜450℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持す
    るバッチ焼鈍を行なった後、0.1℃/秒以下の平均冷
    却速度で冷却し、その後さらに60%以上の圧延率で冷
    間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム
    合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.2
    0%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%
    のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純
    物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造した後、そ
    のスラブに対し520〜630℃の範囲内の温度で1時
    間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを熱間粗圧延
    およびそれに続く熱間仕上圧延によって熱間圧延するに
    あたり、 (1) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みを200mm以
    上とし、 (2) 熱間粗圧延開始温度を450〜580℃の範囲
    内とし、 (3) 熱間粗圧延から熱間仕上圧延を通じての圧延速
    度を40m/分以上とし、 (4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みから板厚150
    mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1パス当り圧下
    量を15mm以上とし、 (5) 熱間粗圧延中において、粗圧延開始からの圧延
    率が25%以上でかつ150〜15mmの範囲内の板厚
    の段階までの温度を400℃以上に維持して、その15
    0〜15mmの範囲内の板厚の段階において板全体に対
    し体積率で5%以上の再結晶を少なくとも1回以上生じ
    させ、 (6) 前記5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕
    上圧延における最終パスまでの温度を250〜400℃
    の範囲内に維持し、 (7) さらに熱間仕上圧延における上り温度を200
    〜320℃の範囲内とし、 (8) かつ熱間仕上圧延における上り板厚を1.0〜
    7.0mmの範囲内とし、 以上の(1)〜(8)の条件によって得られた熱延板に
    対して、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で3
    30〜500℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもし
    くは10分以下の保持を行なう連続焼鈍を施した後、1
    〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却し、その
    後さらに60%以上の圧延率で冷間圧延を行なうことを
    特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
    05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
    または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
    5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
    0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造
    した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲内の
    温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを
    熱間粗圧延およびそれに続く熱間仕上圧延によって熱間
    圧延するにあたり、 (1) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みを200mm以
    上とし、 (2) 熱間粗圧延開始温度を450〜580℃の範囲
    内とし、 (3) 熱間粗圧延から熱間仕上圧延を通じての圧延速
    度を40m/分以上とし、 (4) 熱間粗圧延開始時のスラブ厚みから板厚150
    mmに達するまでの熱間粗圧延各パスの1パス当り圧下
    量を15mm以上とし、 (5) 熱間粗圧延中において、粗圧延開始からの圧延
    率が25%以上でかつ150〜15mmの範囲内の板厚
    の段階までの温度を400℃以上に維持して、その15
    0〜15mmの範囲内の板厚の段階において板全体に対
    し体積率で5%以上の再結晶を少なくとも1回以上生じ
    させ、 (6) 前記5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕
    上圧延における最終パスまでの温度を250〜400℃
    の範囲内に維持し、 (7) さらに熱間仕上圧延における上り温度を200
    〜320℃の範囲内とし、 (8) かつ熱間仕上圧延における上り板厚を1.0〜
    7.0mmの範囲内とし、 以上の(1)〜(8)の条件によって得られた熱延板に
    対して、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で3
    30〜500℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもし
    くは10分以下の保持を行なう連続焼鈍を施した後、1
    〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却し、その
    後さらに60%以上の圧延率で冷間圧延を行なうことを
    特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの請求項に記載
    の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、 5%以上の再結晶体積率の段階から熱間仕上圧延におけ
    る最終パスまでの温度を250〜400℃の範囲内に維
    持するため、熱間圧延の中途の板に対して中間冷却を施
    すことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかの請求項に記載
    の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、 60%以上の圧延率で冷間圧延を行なった後、さらに8
    0〜200℃の範囲内の温度で0.5時間以上保持する
    最終焼鈍を施すことを特徴とする、缶胴用アルミニウム
    合金板の製造方法。
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