JPH09255903A - インク組成物 - Google Patents

インク組成物

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JPH09255903A
JPH09255903A JP6447996A JP6447996A JPH09255903A JP H09255903 A JPH09255903 A JP H09255903A JP 6447996 A JP6447996 A JP 6447996A JP 6447996 A JP6447996 A JP 6447996A JP H09255903 A JPH09255903 A JP H09255903A
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ink
water
solvent
drawn
washing
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JP6447996A
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Hideaki Ohira
英朗 大平
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Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下地の隠蔽力が充分で、裏ヌケし難く、被描
画物に鮮明な文字や画線が描け、長期に渡ってインクが
保存可能で、なお且つ被描画物の画線部が水洗によっ
て、除去することができるインクを提供すること。 【解決手段】 下記の処方でインクを調製する。 水 50重量部 ニューコクシン(食用赤色102号:(株)アイゼン) 3重量部 ポリエチレングリコール#1000(三洋化成) 947重量部 まず、水にニューコクシンを溶解し、これに加熱したポ
リエチレングリコールを加えて撹拌し、均質に混合して
赤色インクを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なインクに関
するものであり、詳しくは布地、皮革、紙等の被描画物
に鮮明な画線や文字を描くことができ、且つ画線部が水
洗によって除去可能なインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アパレル産業やホームソーイング
においては、布生地を縫製時に使用する形状に切断する
ために型紙が使用されている。また、縫製にあたって
は、切断パターンや縫目パターン、縫い合わせ箇所、縫
い方種類等の縫製情報は型紙上やマニュアルに記載され
ている。
【0003】これらの方法では、最終的には不要となる
型紙を紙で作成すること、型紙を用いて切断パターンや
縫目パターン等を布に描く手間、さらに、縫製情報をマ
ニュアル等を参照しながら縫製しなければならない手間
など、多くの手間や時間が必要となってしまう。
【0004】そこで、本出願人は型紙を不要とし、縫製
情報を直接布生地に描画する新規の縫製情報マーキング
装置を特開平4−91207号公報や実開平4−131
618号公報等で提案している。
【0005】さらに、前記の縫製情報マーキング装置に
使用するインク組成物として、従来は水系の溶媒に染料
系の色材を溶解したインクを使用している。また、本出
願人は特開平4−239069号公報で、酸化チタンや
炭酸カルシウム等の白色顔料を5重量%以下の範囲で液
化したインク組成物を、特願平7−136233号で
は、体積平均粒子径1μm以上の粉体粒子を溶媒中に分
散したインク組成物の提案を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の縫製情報マーキング装置に用いられるインク組成物に
おいて、布地、皮革、紙等の被描画物に画線や文字を描
く場合、染料系のインクでは下地の隠蔽力に乏しく鮮明
さに欠ける。これは、下地が濃暗色系(黒や濃い茶色
等)の場合には特に顕著になる。このため、隠蔽力や鮮
明さを向上させるために、顔料をインク溶媒中に分散し
たインクが使用されるが、顔料は粒子径が非常に小さい
(多くの顔料が体積平均粒径1μmより小さい)ために
水洗では除去し難い。また、隠蔽力や鮮明さを向上させ
ようとすると、より小さい粒径の顔料を、より多く分散
しなければならず、いっそう水洗では除去し難くなる。
【0007】それに、ほとんどの顔料等の微粒子は被描
画物に係止めされず、被描画物表面に堆積しているだけ
なので、描画した被描画物を折り畳んだ場合に、画線部
が反対面に転写して画線部が判別不能になることもあ
る。
【0008】また、染料系のインクを使用すると布繊維
に直接染料が接触するので、この染料によって布繊維が
染色されることがある。このため、布生地に描画された
画線や文字などの縫製情報が消去できず、縫製終了後に
水洗しても残ったままになってしまうことがある。
【0009】さらに、上述の顔料等の微粒子を含有した
インク組成物や、染料系のインク組成物を用いると、イ
ンクが布繊維に浸透するため、画線部が滲んで広がり、
解像度が低下する。これは、滲み易い布生地でより顕著
になる。また、インクが布繊維に浸透することで、描画
面の反対側の面から画線部が判別できてしまう裏ヌケが
生じてしまい、布生地の裏側に描画しているにも関わら
ず、画線部が表側に滲み出してしまう不具合もある。
【0010】一方、インクの保存性に関して、顔料等の
粒子を分散した場合等、インク中の成分が分離しやすい
と、保存中にインク成分の分離が生じて再び均質に混合
することが難しくなることがある。これは、インク自体
の保存性(寿命)もさることながら、分離が短時間に生
じると描画する画線部の解像度にも影響を与える。
【0011】また、インクを装置に補充したり、インク
を貯蔵するために取り扱う際に、インクが液体だとユー
ザーの手や衣服、装置などを汚染することがある。
【0012】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、下地の隠蔽力が充分で、裏ヌケ
し難く、被描画物に鮮明な文字や画線が描け、描画した
被描画物を折り畳んだ場合に画線部が反対面に転写する
ことが無く、長期に渡ってインクが保存可能であり、取
扱性が良好で、なお且つ被描画物の画線部が水洗によっ
て除去することができるインクを提供することを目的と
している。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の請求項1記載のインク組成物は、常温におい
て固体の物質を溶媒として使用、または溶媒中に混合し
ている。
【0014】これにより、加熱印字ヘッドによる描画直
後にインクは瞬時に固化する。よって、被描画物中に浸
透しにくいことで、充分な量のインクが画線部に供給さ
れて固化するために隠蔽性、転写性が向上する。必要以
上に浸透しないことで裏ヌケ性が向上する。浸透しにく
いことで画線部が広がらないため、解像性が向上する等
の効果を得られる。また、インクは常温において固体の
ため、インク成分が分離するようなことが無いため保存
性が大幅に向上し、インクの補充や交換等の作業時にユ
ーザーの手や衣服及び機械等を汚染することが無く、イ
ンクの取扱性が向上する。
【0015】また、請求項2記載のインク組成物は、前
記常温において固体の物質は、水溶性もしくは水に易乳
化性・易分散性の物質である。これにより、インク溶媒
に水系を用いた場合に相溶性が良く、被描画物を水洗し
て描画部を消去する際に水が使用できるため、有機溶剤
等の危険、有害化学物質を使用する必要が無く安全、安
価に消去作業ができる。
【0016】さらに、請求項3記載のインク組成物は、
前記被描画物が繊維状の物品であって、インク溶媒中に
粉体粒子が分散されている。
【0017】これにより、被描画物が濃暗色系で高い隠
蔽力を必要とする場合に、粉体粒子が色材の働きをして
隠蔽性が向上し、粉体粒子が繊維中に浸透しないことで
裏ヌケ性が向上し、繊維中に浸透するのはインク溶媒の
みで粉体粒子は繊維上に残留するので画線が広がらずに
隠蔽性、解像性が向上し、染料を用いないため、繊維を
染色することが無く、洗濯性をより向上させることがで
きる。粉体粒子を用いても、インクは常温で固体である
ため、粉体粒子を分散したインクとしては保存性が大幅
に向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0019】本発明のインク組成物は被描画物を選ばな
いが、本実施形態では特願平7−184307号で提案
しているような、インクジェットノズルのインクタンク
内にヒーターを配設し、直接布生地に描画する縫製情報
マーキング装置を用いた場合のインクについて説明す
る。
【0020】まず、溶媒に用いる常温に於いて固体で、
かつ、数十℃から数百℃において液体となる物質として
は、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース
などのセルロース類、グリシルグリジン、クロトン酸、
イソプロパノールアミン、2−ピロリジノン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、水溶性もしくは水に易乳化性・易分散性
の脂肪酸エステル、アルキルアミン、アルキルアミド、
ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン、アル
キルエーテル等が挙げられる。
【0021】これらのなかで、本実施形態ではポリエチ
レングリコール#1000(三洋化成製:以下PEG#
1000と記す)を用いた。PEG#1000は水溶性
であるため、インク溶媒に水系を用いた場合に相溶性が
良く、また、洗濯時に容易に水に溶けて布生地上から除
去されるという利点がある。そして、凝固点37℃であ
ることから常温では固体、37℃以上では液体のためホ
ットメルト性の面でも適当である。
【0022】以下に本実施形態のインク組成物の第1実
施例を記す。
【0023】(実施例1) 水 50重量部 ニューコクシン(食用赤色102号:(株)アイゼン) 3重量部 ポリエチレングリコール#1000(三洋化成) 947重量部 まず、水にニューコクシンを溶解し、これに加熱したポ
リエチレングリコールを加えて撹拌し、均質に混合して
赤色インクを得る。この赤色インクは80℃において粘
度35cpである。粘度はCARRI-MED社製CSL RHEOMETER:C
SL-100型を使用し、コーン:径4cm,1°で測定した。
【0024】(比較例1)比較例1として、従来、縫製
情報マーキング装置に使用されている茶色インクを用い
た。この茶色インクは水を溶媒として、茶色染料を溶解
し、ポリビニルピロリドンで粘度を160cp(E型粘度
計2.5rpm:25℃)に調整したものである。
【0025】上記2種類のインクを特願平7−1843
07号に示される縫製情報マーキング装置に多少の改良
を加えたものに搭載して、白い布生地上に描画テストを
行った。具体的な改良については後述する。
【0026】この縫製情報マーキング装置のインクジェ
ットヘッドの概略断面図を図1に示す。図1に示すよう
に、インクジェットヘッド1はインクタンク3の中にイ
ンク5を内包している。インクタンク3は二重構造であ
り、加圧されたAirが、インクタンク3の周辺を通っ
てインクジェットノズル7から吹き出す。このとき、イ
ンクジェットノズル7の周辺が減圧されてインクタンク
3中のインク5が吸い出され、インクジェットノズル7
から突出されて被描画物に画線部を形成する。また、イ
ンクタンク3中にはヒーター9が配設されており、イン
ク5を加熱すると同時に撹拌を行っている。本実施の形
態では、特願平7−184307号記載の縫製情報マー
キング装置に加える改良として、インクジェットノズル
7周辺にバンドヒーター11を配設して加熱し、インク
ジェットノズル7にインク5が固着することを防止す
る。本実施の形態ではヒーター9の温度は80℃に、バ
ンドヒーター11の温度は250℃に設定した。
【0027】描画結果は表1の通りである。尚、描画部
の評価項目は、隠蔽性、裏ヌケ性、解像度、転写性及び
洗濯性の5項目、インクの評価項目は保存性と取扱性の
2項目であり、各項目の評価は目視で行った。これは、
被描画物に描画する際、被描画物の種類の違い、皺や浮
き等の影響で定量的に評価することが難しいため、全体
的に目視して評価した方がよりユーザーの立場での評価
に近いと判断したためである。各評価項目の評価ポイン
トについて以下に記す。
【0028】隠蔽性:画線部の隠蔽力は充分か。
【0029】裏ヌケ性:画線部が描画面の反対面にヌケ
ていないか。
【0030】解像度:描画した画線部のシャープさ、滲
み、線の細さなど。
【0031】転写性:被描画物を折り畳んだあと、画線
部が接触していた面に転写されていないか。
【0032】洗濯性:水洗いで画線部が消去されるか。
【0033】保存性:24時間放置してインク組成物の
沈殿や分離が生じないか。
【0034】取扱性:インクジェットヘッドの交換や、
インクの補充時にユーザーの手や衣服、機器等を汚染す
る可能性。
【0035】以上の項目を目視で3段階(○△×)に評
価した。○は優れている。△は多少の問題はあるが充分
使用に耐える。×は問題があり使用には向かない。
【0036】
【表1】
【0037】表1より、比較例1に対して実施例1のイ
ンク組成物は裏ヌケ性、解像性、取扱性が向上したこと
がわかる。
【0038】比較例1のインクは転写性、保存性は良い
ものの、染料系の色材を使用しているため濃暗色系の被
描画物に対する隠蔽性が弱く、染料による被描画物の染
色が生じる可能性があり、染色しやすい被描画物には向
かない。また、インクが被描画物に浸透しやすいため、
裏ヌケ性が悪い。同様の理由で、画線が広がりやすく、
実用には耐えるものの解像性も良いとはいえない。
【0039】これに対して、実施例1の赤色インクは、
描画時に描画されると瞬時に固化して布繊維中に浸透し
にくいため、画線の広がりが少ないので解像性が高く、
浸透性が低いことによって裏ヌケ性も良い。
【0040】転写性については、溶媒分のPEG#10
00が布繊維上で固化するため転写は起こらない。ま
た、PEG#1000は水洗時に水に溶解するため、洗
濯性に影響ないが、色材に染料を用いているため、比較
例1と同様に被描画物を染色する可能性がある。
【0041】インクの保存性については、常温ではイン
クが固化するためインク成分の分離等は起こらず、非常
に良い。取扱性も常温で固化したインクはユーザーの手
や衣服、機器等を汚染する心配は皆無であり、インクジ
ェットヘッドの交換やインクの補充時もインクが常温で
固化していれば取扱性は非常によい。
【0042】次に、本実施形態のインク組成物の第2実
施例である、粒子を分散した白インクについて説明す
る。尚、本出願人は特願平7−136233号で体積平
均粒子径が1μm以上の粉体粒子を分散したインクにつ
いて提案しているので、粉体粒子を分散したインク組成
物に関しての詳細はそちらに譲る。
【0043】以下に実施例2の白インクの具体的な処方
と効果について記す。
【0044】(実施例2) 耐熱性白色重合粒子(積水化成製:MBX-20ホワイト) 150重量部 ポリエチレングリコール(三洋化成製:#1000) 845重量部 界面活性剤(花王製:デモールEP) 5重量部 MBX−20ホワイトはアクリルポリマー中に酸化チタ
ンを分散した白色粒子であり、実施例2で使用した粒子
の体積平均粒径は16.1μmである。
【0045】これらの材料をVMA−GETZMANN
社製DISPERMAT−CVを用いて均質に混合分散
して白インクを得る。分散機器及び条件は下記の通りで
ある。
【0046】 本 体:DISPERMAT−CV ヘッド:パールヘッドMINI 容 器:500ml ビーズ:ガラスビーズ3mmタイプ 条 件:常温で1000rpm,2時間 分散した分散液とガラスビーズの混合液をオープニング
150μmの篩にかけてガラスビーズを分散液と分離
し、篩下の混合分散液をインクとして回収する。この白
色インクは80℃において粘度44cpである。粘度はCA
RRI-MED社製CSLRHEOMETER:CSL-100型を使用し、コー
ン:径4cm,1°で測定した。
【0047】(比較例2)比較例2として、従来、縫製
情報マーキング装置に使用されている白インクと同様の
インクを用いた。これは、インクの溶媒分が揮発する事
によってL−グルタミン酸が白く見えることを利用した
白インクである。しかし、L−グルタミン酸だけでは隠
蔽力が低いため、これを補うために白顔料として酸化チ
タンが添加されている。
【0048】 L−グルタミン酸(関東化学製) 202重量部 酸化チタン(石原産業:タイヘ゛ークA-100) 11重量部 ポリエチレングリコール(関東科学製:#400) 257重量部 エチレングリコール(関東化学製) 525重量部 界面活性剤(花王製:レオドールTWO320) 4重量部 これらの材料を均質に混合分散して白インクを得る。タ
イベークA−100はボールミルによって一次粒子に分
散し、体積平均粒径を約0.6μm(堀場製:LA-500に
よる測定)に調製してある。
【0049】上記2種類の白インクを特願平7−184
307号記載の縫製情報マーキング装置に搭載して、黒
い布生地上に描画テストを行った。
【0050】描画結果は表2の通りである。尚、評価項
目や方法は上記実施例1と同様である。
【0051】
【表2】
【0052】表2より、比較例2に対して実施例2は全
ての評価項目で良い結果が出ている。比較例2のインク
は隠蔽性は良いものの、比重の大きな酸化チタンを分散
しているのでインクの保存性が悪く、数時間で酸化チタ
ンの沈殿が生じてインク成分が分離する。こうなると、
長時間インクタンク中に入れたままのインクで描画した
場合、最初に描画した画と最後に描画した画の画線部の
隠蔽力(濃さ)が変化してしまったり、ひどい場合は、
最初は隠蔽力の高い画が得られても、途中で酸化チタン
顔料が無くなって、ほとんど隠蔽力の無い画しか得られ
なくなる。
【0053】さらにひどい場合は、放置後に描画しよう
とすると、酸化チタン顔料が沈殿してインクジェットヘ
ッドのノズル部分に詰まってしまい、断続的に画が途切
れたり、描画出来なくなることもある。
【0054】また、酸化チタンが1μm以下の超微粒子
であるため、描画時に布繊維の間に入り込んで水洗によ
る除去が難しくなる。さらに、多くの酸化チタン粒子や
L−グルタミン酸粒子は布生地上に堆積しているだけで
係止めされていないため、転写性が非常に悪い。
【0055】これに対して、実施例2の白インクは描画
時に画線部のインクが布繊維中に浸透しにくい為、解像
度が良く、裏ヌケ性も良い。これは溶媒が描画されると
瞬時に固化して布繊維中に浸透しにくいからである。ま
た、色材に耐熱性重合粒子(以下粒子)を用いているこ
とも要素の一つである。実施例2で使用した粒子は平均
粒子径が約16μmと大きいため、布繊維中に入り込み
にくい。さらに、インクの溶媒分が布繊維に浸透しても
色材の粒子が布表面に残留するため画線部の広がりが最
小限に押さえられるためである。
【0056】インク中に分散する粒子は樹脂粒子中に酸
化チタン顔料を分散しているため、粒子の比重は酸化チ
タン単体の顔料の半分以下で、尚かつ粒径は数十倍であ
る。このため、比較例2のインクに比べてインク成分が
分離しにくく、洗濯時には画線部が消去されやすい。
【0057】転写性については、比較例2とは異なり、
溶媒分のPEG#1000が布繊維上で固化して粒子を
係止めするため転写は起こらない。また、PEG#10
00は水洗時に水に溶解して粒子は布繊維上から分離さ
れるため洗濯性には影響なく、全体として洗濯性は良
い。
【0058】インクの保存性については、重合粒子が沈
殿しやすい状態であるが、インク粘度が高く、かつ、常
温(実施例2の場合37℃以下)に冷却されるとインク
が固化するため重合粒子の沈殿はほとんど起こらない。
取扱性も、常温で固化したインクはユーザーの手や衣
服、機器等を汚染する心配は皆無であり、インクジェッ
トヘッドの交換やインクの補充時もインクが常温で固化
していれば取扱性は非常によい。
【0059】また、比較例2の白インクは、主な溶媒と
してエチレングリコールを使用している。このため乾燥
性が悪く、完全に乾燥するまでに長時間を要する。しか
も、乾燥しないとL−グルタミン酸が見えないため、描
画直後は布生地上に描画された画線部が非常に見難い。
さらに、乾燥する前に描画の終了した布生地を折りたた
んでしまうと、画線部が接触した布生地に転写してしま
うため、完全に乾燥するまで待たなければならない。こ
れらのために、一枚の描画済み布生地が出来上がるまで
に、非常に長い時間が必要となる。これに対して実施例
1及び2のインクは描画されると瞬時に固化するため
に、描画直後からはっきりと画線部が認識できる。ま
た、すぐに折り畳んでも転写するようなことはない。こ
れらのために、非常に短時間で一枚の描画済み布生地が
出来上がる。
【0060】以上説明したように、本実施形態のインク
組成物は、下地の隠蔽力が充分で、裏ヌケし難く、被描
画物に鮮明な文字や画線が描け、被描画物を折り畳んで
も反対面に画線部が転写せず、長期に渡ってインクが保
存可能で、なお且つ被描画物の画線部が水洗によって除
去することができる。
【0061】また、ユーザーがインクを交換する際に
も、インク自体が固体のため、液体インクのようにこぼ
して装置周辺や手や衣服などを汚濁したりすることがな
い。
【0062】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、請
求項1記載のインク組成物によれば、常温において固体
の物質を溶媒として使用、または溶媒中に混合している
ので、下地の隠蔽力が充分で、裏ヌケし難く、被描画物
に鮮明な文字や画線が描け、長期に渡ってインクが保存
可能で、取扱性が良く、なお且つ被描画物の画線部が水
洗によって除去することができる。
【0063】また、請求項2記載のインク組成物は、前
記常温において固体の物質は、水溶性もしくは水に易乳
化性・易分散性の物質であり、インク溶媒に水系を用い
た場合に相溶性が良く、被描画物を水洗して描画部を消
去する際に水が使用できるため、有機溶剤等の危険、有
害化学物質を使用する必要が無く安全、安価に消去作業
ができる。
【0064】さらに、請求項3記載のインク組成物は、
前記被描画物が繊維状の物品であって、インク溶媒中に
粉体粒子が分散されており、前記被描画物の繊維に係止
めされるので隠蔽性、裏ヌケ性、解像性及び洗濯性をよ
り向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した縫製情報マーキング装置のイ
ンクジェットヘッド部分の断面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被描画物の表面に一時的に残留するが、
    最終的には洗浄によって前記表面から除去可能な、縫製
    情報マーキング装置に使用するインク組成物において、 常温において固体の物質を溶媒として使用、または溶媒
    中に混合したことを特徴とするインク組成物。
  2. 【請求項2】 前記常温において固体の物質は、水溶性
    もしくは水に易乳化性・易分散性の物質であることを特
    徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 【請求項3】 前記被描画物が繊維状の物品であって、
    インク溶媒中に粉体粒子が分散されており、前記被描画
    物の繊維に係止されることを特徴とする請求項1もしく
    は2に記載のインク組成物。
JP6447996A 1996-03-21 1996-03-21 インク組成物 Pending JPH09255903A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007080914A1 (ja) * 2006-01-12 2007-07-19 Sakura Color Products Corporation 着色材組成物
WO2007080913A1 (ja) * 2006-01-12 2007-07-19 Sakura Color Products Corporation 着色材組成物
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