JPH09254625A - 懸架系の減衰力制御装置 - Google Patents

懸架系の減衰力制御装置

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JPH09254625A
JPH09254625A JP7026296A JP7026296A JPH09254625A JP H09254625 A JPH09254625 A JP H09254625A JP 7026296 A JP7026296 A JP 7026296A JP 7026296 A JP7026296 A JP 7026296A JP H09254625 A JPH09254625 A JP H09254625A
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JP
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target value
damping
damping force
spring
acceleration
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Application number
JP7026296A
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English (en)
Inventor
Osamu Isobe
修 磯邉
Taketoshi Kawabe
武俊 川邊
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UD Trucks Corp
Original Assignee
UD Trucks Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 懸架系の運転状況に応じて上下振動特性また
はピッチング特性のいずれかを重視した減衰力特性を発
揮することにより、バネ上の制振を的確に行い得る懸架
系の減衰力制御装置を提供する。 【解決手段】 減衰力目標値演算手段3から減衰力可変
式ショックアブソーバ4に入力される減衰定数目標値
を、前後加速度検出手段5から検出される前後加速度ま
たは加減速指示検出手段6から検出されるアクセルペダ
ル踏み込み角およびブレーキペダル踏み込み角と所定の
基準値との大小関係に応じて、主としてバネ上の上下振
動の抑制に適した減衰定数目標値と、主としてバネ上の
ピッチングの抑制に適した減衰定数目標値とで、選択的
に切り換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、減衰力を可変制御
できるショックアブソーバとバネとを組み合わせた懸架
系において、時々刻々と変化する振動状態に応じて減衰
力を的確に制御する装置に関し、特に運転状況に応じて
車両の上下振動とピッチングを的確に抑制できるものに
関する。
【0002】
【従来の技術】減衰力が可変なショックアブソーバを利
用した懸架系において、振動状態に応じて減衰係数を変
化させ、例えばバネ上からの振動の減衰率を高め、かつ
バネ下からの振動の絶縁効果を改善するようにした提案
が、以下の参考文献等によってなされている。
【0003】参考文献1…D.Karnopp et
al.:Vibration Control Usi
ng Semi−Active Force Gene
rators,J.E.I.ASME,May,619
/626(1974)、参考文献2…藤岡健彦、木戸孝
二;可変ダンパの制御方式に関する研究(VSS理論か
ら見た車両振動制御)、自動車技術会学術講演会前刷集
862 197/200(1989)、参考文献3…A
n Introduction to Sliding
mode Variable Structure
and Lyapunov Control,1/2
0,Springer(1994)。
【0004】さらに、本出願人により、特願平7−32
6169号において、バネ上とバネ下の相対速度、相対
変位のように比較的検出が容易な信号を用いて、減衰力
可変ショックアブソーバの減衰力を調整することによ
り、目標どおりの減衰力特性を発揮させられるようにし
た減衰力制御装置が提案がされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この特願平
7−326169号の減衰力制御装置は1輪モデルを用
いたものであるため、バネ上とバネ下の上下動のみを考
慮すればよい場合には高い制振効果が得られるが、これ
を4輪モデルに適用した場合など、バネ上のピッチング
やローリングについても考慮しなければならないときに
は、この減衰力制御装置をピッチングやローリングに対
して個別に適用しただけでは、必ずしも的確な減衰力特
性が得られる訳ではない。
【0006】例えば、車両のバネ上の上下方向への振
動、ピッチングのいずれかの振動特性を重視したチュー
ニングを行うことにより、減衰力特性を決定することは
できるが、これら上下動特性、ピッチング特性の間に
は、トレードオフの関係が生じてしまう結果、トータル
で良好な振動特性を得ることは難しい。
【0007】具体的には、一定速走行時などに適するよ
うに、上下振動特性を重視したチューニングを行えば、
加速時のスクオット、減速時のノーズダイブ等、加減速
時のピッチング特性は低下する。また、逆にピッチング
特性を重視したチューニングを行うならば、減衰力とし
ては硬くなり過ぎ、上下振動特性は低下してしまう。
【0008】本発明は、このような問題点に着目し、車
両の運転状況に応じて懸架系の上下振動特性またはピッ
チング特性のいずれかを重視した減衰力特性を発揮する
ことにより、バネ上の制振を的確に行い得る懸架系の減
衰力制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、バネ上と
バネ下の相対速度検出手段と、バネ上とバネ下の相対変
位検出手段と、これらから検出された相対速度と相対変
位を入力として減衰力可変ショックアブソーバの減衰定
数目標値を設定する減衰力目標値演算手段と、この減衰
定数目標値を入力して減衰定数を調節する減衰力可変シ
ョックバブソーバとを備えたことを特徴とする懸架系の
減衰力制御装置において、前記減衰力目標値演算手段
が、主としてバネ上の上下振動の抑制に適した減衰定数
目標値と、主としてバネ上のピッチングの抑制に適した
減衰定数目標値を、選択的に出力可能としている。
【0010】第2の発明では、前記減衰力目標値演算手
段は、所定の定数である基本減衰定数目標値を設定する
目標値設定手段と、前記相対速度及び相対変位に基づい
て演算した理想減衰力を修正した減衰定数修正値を演算
する修正値演算手段とを備え、これら基本減衰定数目標
値と減衰定数修正値とを含む減衰定数目標値を出力する
一方、前記減衰力目標値演算手段は、さらに前記理想減
衰力の演算のための制御ゲインを出力する制御ゲイン演
算手段を備え、この制御ゲインにより、前記バネ上の上
下振動の抑制に適した減衰定数目標値と、前記バネ上の
ピッチングの抑制に適した減衰定数目標値とを選択的に
切り換える。
【0011】第3の発明では、懸架系の前後加速度を検
出する前後加速度検出手段を備え、前記バネ上の上下振
動の抑制に適した減衰定数目標値と、前記バネ上のピッ
チングの抑制に適した減衰定数目標値とを、前記検出さ
れた前後加速度と所定の基準値との大小関係に応じて切
り換える。
【0012】第4の発明では、車両の加速を指示する加
速指示信号と、車両の減速を指示する減速指示信号を検
出する検出する加減速指示検出手段を備え、前記バネ上
の上下振動の抑制時に適した減衰定数目標値と、前記バ
ネ上のピッチングの抑制時に適した減衰定数目標値と
を、前記検出された加速指示信号および減速指示信号と
所定の基準値との大小関係に応じて切り換える。
【0013】第5の発明では、前記加速指示信号はアク
セルペダル踏み込み角を検出する信号であり、前記減速
指示信号はブレーキペダル踏み込み角を検出する信号で
ある。
【0014】
【作用】したがって本発明では、減衰力可変ショックア
ブソーバに入力される減衰定数目標値は、主としてバネ
上の上下振動を抑制すべきときと、主としてバネ上のピ
ッチングを抑制すべきときとで、それぞれ適した値が設
定されるので、運転状況に応じて的確な減衰力が発生す
るように、減衰力特性が制御される。
【0015】また、前後加速度検出手段を備えることに
より、これから検出された前後加速度と所定の基準値と
の比較により、加減速度が基準値以下の定常走行時には
主としてバネ上の上下振動を抑制し、基準値以上のとき
には主としてバネ上のピッチングを抑制するように判断
され、この判断にしたがって、バネ上の上下振動の抑制
に適した減衰定数目標値と、バネ上のピッチングの抑制
に適した減衰定数目標値を的確に切り換えることができ
る。
【0016】また、加減速指示検出手段を備えることに
より、これから検出された加速指示信号および減速指示
信号(例えば、アクセルペダル踏み込み角およびブレー
キペダル踏み込み角)と所定の基準値との比較により、
主としてバネ上の上下振動を抑制すべきか、主としてバ
ネ上のピッチングを抑制すべきかが簡単に判断され、こ
の判断にしたがって、バネ上の上下振動の抑制に適した
減衰定数目標値と、バネ上のピッチングの抑制に適した
減衰定数目標値を的確に切り換えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態について説明する。
【0018】図1において、1は、減衰力可変ショック
アブソーバ4の、バネ上とバネ下の相対変位を検出する
相対変位検出手段、2は同じくバネ上とバネ下の相対速
度を検出する相対速度検出手段、5は車両の前後加速度
Gを検出する前後加速度検出手段、3はこれら相対変
位、相対速度および操舵速度に基づいて減衰力の目標値
を演算し、この結果を減衰力可変ショックアブソーバ4
に入力して目標とする減衰力を発生させるように制御す
るための減衰定数目標値演算手段である。
【0019】図2は減衰定数目標値演算手段3の具体的
な構成を示すもので、図示するように、バネ上とバネ下
のの相対変位x1(以下単に相対変位という)、バネ上
とバネ下の相対速度x2(以下単に相対速度という)、
後述するフィルタWc(s)13の状態量xc、及び後述
する制御ゲイン演算手段18からの制御ゲインM、Nと
に基づいて切換入力を演算する切換入力演算手段11
と、同じく相対速度、相対変位、フィルタ状態量xc
制御ゲイン演算手段18からの制御ゲインLとに基づい
て線形入力を演算する線形入力演算手段12と、これら
の切換入力と線形入力とを加算する加算器16と、この
加算器16の出力である理想入力に基づいて理想減衰力
を出力するフィルタWc(s)13と、フィルタW
c(s)13から出力される理想減衰力から減衰力定数
の修正値を演算する修正値演算手段14と、基本減衰定
数目標値を設定する目標値設定手段15と、これらの出
力を加算して減衰定数目標値として出力する加算器17
と、車両の前後加速度Gから切換入力演算手段11の制
御ゲインM、Nと線形入力演算手段12の制御ゲインL
を切り換える制御ゲイン演算手段18とから構成され
る。
【0020】以下、これをさらに詳しく説明する。な
お、以下の説明において、(d/dt)は時間について
の一階微分、(d2/dt2)は二階微分を意味する。
【0021】切換入力演算手段11は相対速度、相対変
位、フィルタの状態量xc、制御ゲインN、M、所定の
ゲインρ、及び定数δから、次のように切換入力usw
計算する。
【0022】 usw=ρMxe/(‖Nxe‖+δ) …(1) だだし、xe=[xTC TT、x=[x123
45678Tである。
【0023】線形入力演算手段12は、制御ゲインLか
ら次のように線形入力ulnを演算する。
【0024】uln=Lxe …(2) フィルタWc(s)13は、理想入力uideal=usw
lnから理想減衰力fidealを次のように演算する。
【0025】 (d/dt)xc=Acc+Bcideal …(3) fideal=Ccc …(4) ここでAC、BC、CCはフィルタWc(s)13の減衰特
性を表す適当な次元の定数行列である。例えばフィルタ
c(s)がカットオフ周波数10[Hz]のローパス
フィルタ; Wc(s)=2π×10/(s+2π×10)、sはラ
プラス演算子であれば、
【0026】
【数1】
【0027】とすればよい。
【0028】減衰力目標値演算手段3は、fideal
[f1234Tとして、 c1′=−f1/x2+c0f2′=−f2/x4+c0f3′=−f3/x6+c0r4′=−f4/x8+c0r …(5) により、それぞれ右前輪、左前輪、右後輪、左後輪の減
衰力目標値c1′、c2′、c3′、c4′を出力する。こ
こでc0f、c0rは高周波帯域の振動特性から決められる
所定の定数である。なお、請求項の記載との関係で、c
0f、c0rは減衰定数目標値に、−f1/x2、−f2
4、−f3/x6、−f4/x8は減衰定数修正値に、そ
れぞれ対応する。
【0029】減衰力可変ショックアブソーバ4はc′=
[c1′ c2′ c3′ c4′]Tを入力し、その発生
減衰力c=[c1234Tが、 c=c′ …(6) となるものとする。
【0030】以下、各制御ゲインの導き方を説明する。
【0031】図3に示す懸架系を考える。この系のバネ
上の運動方程式は次のように書くことができる。
【0032】 m2(d2/dt2)z2=F1+F2+F3+F4θ2(d2/dt2)θ2=−Lf(F1+F2)+Lr(F3+F4) iψ2(d2/dt2)ψ2=Wf(−F1+F2)+Wr(−F3+F4) ただし、 F1=−k2f(z21−z11)−c2f[(d/dt)z21−(d/dt)z11] F2=−k2f(z22−z12)−c2f[(d/dt)z22−(d/dt)z12] F3=−k2r(z23−z13)−c2r[(d/dt)z23−(d/dt)z13] F4=−k2r(z24−z14)−c2r[(d/dt)z24−(d/dt)z14] …(7) ここで、m2はバネ上(全体の)質量、iθ2はピッチン
グ(図中θ2方向への回動)に対するバネ上の慣性モー
メント、iψ2はローリング(図中ψ2方向への回動)に
関するバネ上の慣性モーメント、k2fは前輪側のバネ剛
性、k2rは後輪側のバネ剛性、c21は右前輪のショクア
ブソーバ減衰定数、c22は左前輪のショクアブソーバ減
衰定数、c23は右後輪のショクアブソーバ減衰定数、c
24は左後輪のショクアブソーバ減衰定数、(d2/d
2)z2はバネ上の絶対座標に対する上下方向加速度、
(d2/dt2)θ2はバネ上のピッチ角加速度、(d2
dt2)ψ2はバネ上のロール角加速度、z21は右前輪の
バネ上変位、z22は左前輪のバネ上変位、z23は右後輪
のバネ上変位、z24は左後輪のバネ上変位、z11は右前
輪のバネ下変位、z12は左前輪のバネ下変位、z13は右
後輪のバネ下変位、z14は左後輪のバネ下変位、Lf
バネ上重心から前輪までの水平方向長さ、Lrはバネ上
重心から後輪までの水平方向長さ、Wfは左右前輪の間
隔の1/2、Wrは左右後輪の間隔の1/2である。懸
架系の目的は外乱z01、z02、z03、z04(それぞれバ
ネ下変位z11、z12、z13、z14に影響する)の存在下
で、バネ上の動きを制振することである。
【0033】右前輪のバネ上とバネ下の相対変位をx1
=z21−z11、右前輪のバネ上とバネ下の相対速度をx
2=(d/dt)z21−(d/dt)z11、左前輪のバ
ネ上とバネ下の相対変位をx3=z22−z12、左前輪の
バネ上とバネ下の相対速度をx4=(d/dt)z22
(d/dt)z12、右後輪のバネ上とバネ下の相対変位
をx5=z23−z13、右後輪のバネ上とバネ下の相対速
度をx6=(d/dt)z23−(d/dt)z13、左後
輪のバネ上とバネ下の相対変位をx7=z24−z14、左
後輪のバネ上とバネ下の相対速度をx8=(d/dt)
24−(d/dt)z14とおくと、
【0034】
【数2】
【0035】が得られる。ただし、 α1=1/m2+Lf 2/iθ2+Wf 2/iψ2、 α2=1/m2+Lf 2/iθ2−Wf 2/iψ2、 α3=1/m2−Lfr/iθ2+Wfr/iψ2、 α4=1/m2−Lfr/iθ2−Wfr/iψ2、 β1=1/m2−Lfr/iθ2+Wfr/iψ2、 β2=1/m2−Lfr/iθ2−Wfr/iψ2、 β3=1/m2+Lr 2/iθ2+Wr 2/iψ2、 β4=1/m2+Lr 2/iθ2−Wr 2/iψ2、 である。
【0036】(d2/dt2)z1=[(d2/dt2)z
11 (d2/dt2)z12 (d2/dt2)z13 (d2
/dt2)z14Tとして、式(8)を次のように書き直
す。
【0037】
【数3】
【0038】ただし、
【0039】
【数4】
【0040】である。cu1、cu2、cu3、cu4は、ぞれ
ぞれ右前輪、左前輪、右後輪、左後輪の減衰力可変ショ
ックアブソーバ4の減衰係数可変代である。c0f、c0r
は実際のショックアブソーバの可変代と関係なく、後で
述べるように、高周波帯域での振動特性を考慮して決め
る。
【0041】uはフィルタWc(s)を介して、 u(s)=Wc(s)uideal …(10) のように発生させる。このように、例えばWc(s)を
ローパスフィルタとしておけばu(s)の高周波成分が
減衰され、高周波帯域では、 u≒0 ⇒cu1≒0、cu2≒0、cu3≒0、cu4≒0 ⇒c21≒c0f、c22≒c0f、c23≒c0r、c24≒c0r …(11) となる。この効果については後に説明する。
【0042】さて、式(10)のようにuを発生する
と、懸架系とフィルタの拡大系は、次のように表すこと
ができる。
【0043】
【数5】
【0044】また,加速度[(d2/dt2)z2、(d2
/dt2)θ2、(d2/dt2)ψ2Tは、 [(d2/dt2)z2、(d2/dt2)θ2、(d2/dt2)ψ2T=[CP0 P0c]xe …(13) となる。ここで、xe=[xTc TTであり、
【0045】
【数6】
【0046】である。
【0047】以下、Sliding Mode制御理論
に基づき制御ゲインを導く。
【0048】式(12)はT1c=[0 B2 TT、B2
は正則行列、となるT1を用いた相似変換;
【0049】
【数7】
【0050】により、
【0051】
【数8】
【0052】と書き直せる。
【0053】式(9)のようにuidealを発生すると、
制御を始めてから実用上十分短い時間のうちに、Sli
ding Modeを切換面; σ=0、σ=Fy1+y2 …(15) に発生させることができる。すなわち、拡大系の状態量
はσ=0の平面に拘束される[ただし参考文献3を参
照]。このとき拡大系の運動は, (d/dt)y1=A111+A122+B11(d2/dt2)z12=−Fy1 …(16) すなわち、 (d/dt)y1=(A11−A12F)y1+B11(d2/dt2)z1 …(17) と表現できる。
【0054】制御目的を満たすには、望ましい切換面に
状態を拘束すればよい。言葉をかえると、式(17)が
好ましい振動特性を表すようにすればよい。これは、 (d/dt)y1=A111+A12v で表される系を、状態フィードバックv=−Fy1で制
振する問題と等価である。このようなフィードバックゲ
インF(切換面)を設計するには次の公知の方法を用い
ればよい。
【0055】状態が切換面σ=0に拘束されていると
き、次の評価関数
【0056】
【数9】
【0057】が最小になる切換面σ=0、σ=F
1+y2は式(16)からH最適化により設計でき
る。ここで、Qは正定対称な重み行列、y=[y1
2T、γは懸架系の特性とフィルタの特性によって決
まる定数である。あるいは、(d2/dt2)z1をイン
パルス関数又は白色ノイズと仮定すると、Slidin
gModeが発生しているとき次の評価関数;
【0058】
【数10】
【0059】が最小になる切換面σ2=0、σ2=F21
+y2は,H2最適化により設計できる[参考文献3参
照]。
【0060】ここで、例えばバネ上上下加速度(d2
dt2)z2、バネ上ピッチ角加速度(d2/dt2)θ2
バネ上ロール角加速度(d2/dt2)ψ2を抑えたい
ときには、[(d2/dt2)z2 (d2/dt2)θ2
(d2/dt2)ψ2Tを評価関数に入れればよく、 [(d2/dt2)z2 (d2/dt2)θ2 (d2/dt2)ψ2T=[CP0 P0c]xe、T2e=y …(18) となることから、 Q=Q0+(QW[CP0P0c]T2 -1T(QW[CP0P0c]T2 -1) …(18a) とすればよい。だだし、xe=[xTc TT、Q0はQ
の正定対称性を満たすための行列である。ここで、
【0061】
【数11】
【0062】であり、上下動、ピッチング、ローリング
に対して、それぞれ上下重みqz、ピッチング重みqp
ローリング重みqrによって、個別に重み付け可能な構
成となっている。
【0063】Sliding Modeを実現する理想
入力uidealは、 uideal=Lxe+ρMxe/(‖Nxe‖+δ) …(19) と発生すればよい。ここで、制御ゲインL、M、Nは前
記参考文献3に示された適当な行列であり、次のように
求められる。まず、Σ、Θ、Фを次のように定義する。
【0064】Σ=A11−A12F Θ=FΣ−A22F+A21 Ф=FA12+A22 これらから、L、M、Nは、 L=−B2 -1(Θ Ф−Ф′)T32 M=−B2 -1(0 P2)T32 N=(0 P2)T32 となる。ここでP2は次のLyapunov方程式の正
定対称解とする。
【0065】P2Ф′+Ф′T2=−I Ф′とρは設計パラメータで、それぞれSliding
modeへの収束の速さを決める安定行列、uswの大
きさを決める正定数である。また、
【0066】
【数12】
【0067】である。
【0068】δ≧0は設計パラメータで、チャタリング
を防止する正定数である。減衰定数の応答が十分速く、
かつ相対変位、相対速度の検出が十分速く行えるときに
は、δ=0とするとuswは不連続な切換入力となり、切
換面への状態の拘束を確実にすることができる。
【0069】uidealから理想減衰力は前に示したよう
に、 fideal(s)=Wc(s)uideal(s) と発生される。理想減衰力で、ショックアブソーバで発
生可能なfsabsは −fideal/x2=c″≧0、fsabs=−c″x2 …(20) で−fideal/x2≧0のときに限られる。ここで必ずし
も−fideal/x2≧0である保証はないが、フィルタW
c(s)や切換面σ=0が適切に設定されていれば実用
領域で十分な制御効果を期待することができる。このこ
とから減衰力可変ショックアブソーバの減衰定数の目標
値は減衰力の固定分c0を考慮して式(5)に示したよ
うに、 c′=cu+c0、 c′=[c1′ c2′ c3′ c4′]Tu=[−fideal/x2 −fideal/x4 −fideal/x6 −fideal/x8T0=[c0f0f0r0rT とすればよい。
【0070】つぎにc0f、c0rの効果について説明す
る。懸架系の運動方程式(7)から分かるように、バネ
上の振動を制振する場合に、z11、z12、z13、z14
(d/dt)z11、(d/dt)z12、(d/dt)z
13、(d/dt)z14は外乱であり、k2f、k2r
21、c22,c23、c24はそれぞれの入力ゲインになっ
ている。したがって、c21、c22,c23、c24の値を小
さくすれば外乱(d/dt)z11、(d/dt)z12
(d/dt)z13、(d/dt)z14の影響は小さくな
るが、ダンピングが不足し、バネ上共振周波数の付近の
振動が大きくなってしまう。
【0071】ところが、以上述べてきた制御方式におい
て、例えばフィルタWc(s)をローパスフィルタと
し、c0f、c0rを十分小さい値としておけば、式(1
1)で述べたように,高周波ではc21≒c0f、c22≒c
0f、c23≒c0r、c24≒c0rとなり、外乱の遮断性が改
良され、かつ低周波帯域ではSliding Mode
制御の効果が現れて懸架系のダンピングを改良すること
ができる。
【0072】さて、本発明は前述したように、制御ゲイ
ンL、M、Nを決定するための重み行列Qを式(18
a)のように与えたので、qzとqpの大小関係により、
バネ上上下加速度(d2/dt2)z2とバネ上ピッチ角
加速度(d2/dt2)θ2のどちらをより抑制するか
を、選択することができる。
【0073】すなわち、式(18)において、上下重み
zをピッチング重みqpより大きく設定した場合のバネ
上上下加速度(d2/dt2)z2とバネ上ピッチ角加速
度(d2/dt2)θ2は、それぞれ、例えば図4、図5
において線(A)に示したような特性をとる。一方、ピ
ッチング重みqpを上下重みqzより大きく設定した場合
のバネ上上下加速度(d2/dt2)z2とバネ上ピッチ
角加速度(d2/dt2)θ2は、それぞれ、例えば図
4、図5において線(B)に示したような特性をとる。
【0074】これらの線(A)と線(B)を比較すれば
分かるように、qz>qpならば、バネ上上下加速度がバ
ネ上ピッチ角加速度に比べてより抑制される。一方、q
p>qzならば、バネ上ピッチ角加速度がバネ上上下加速
度に比べて、より抑制される。
【0075】したがって、前後加速度Gが所定の設定値
(基準値)より小さいときには、上下重みqzとピッチ
ング重みqpをqz>qpと設定し、これらの重みにした
がって切り換えられる制御ゲインL、M、Nを用いるこ
とで、バネ上上下加速度を主として抑制するようにす
る。これにより、一定速走行中および緩加速、緩制動時
など、前後加速度Gが小さく、ピッチングについてあま
り考慮しなくてよい運転状況においては、バネ上上下加
速度の抑制が優先される。
【0076】一方、前後加速度Gが設定値より大きいと
きには、qz<qpと設定し、これらの重みにしたがって
切り換えられる制御ゲインL、M、Nを用いることで、
バネ上ピッチ角加速度を主として抑制するようにする。
これにより、急加速、急減速時など、前後加速度Gが大
きくなり、特にピッチングの抑制が必要となる場合に
は、バネ上上下加速度の抑制よりも、バネ上ピッチ角加
速度の抑制が優先されることとなる。
【0077】図6、図7には本発明の他の実施の形態を
示す。
【0078】図6に示すように、この実施の形態では、
図1の前後加速度検出手段の代わりに車両の加速指示信
号および減速指示信号として、アクセルペダル角λA
よびブレーキペダル角λBを検出する加減速指示検出手
段6が設けられる。減衰定数目標値決定手段3は、相対
変位検出手段1からのバネ上とバネ下の相対変位、相対
速度検出手段2からのバネ上とバネ下の相対速度、横加
速度検出手段6からのアクセルペダル踏み込み角λ
A(以下アクセルペダル角λAと略記する)およびブレー
キペダル踏み込み角λB(以下ブレーキペダル角λBと略
記する)に基づいて減衰力の目標値を演算し、この結果
を減衰力可変ショックアブソーバ4に入力して目標とす
る減衰力を発生させるように制御する。
【0079】すなわち、図7の減衰定数目標値演算手段
3の具体的な構成において示されるように、アクセルペ
ダル角λAおよびブレーキペダル角λBは制御ゲイン演算
手段18に入力され、このアクセルペダル角λAおよび
ブレーキペダル角λBに応じて切換入力演算手段11の
制御ゲインM、Nと線形入力演算手段12の制御ゲイン
Lが、適切なものへと切り換えられるようになってい
る。
【0080】具体的には、例えば一定速走行時、緩加速
時、緩制動時など、アクセルペダル角λAおよびブレー
キペダル角λBのいずれもが設定値より小さいときに
は、qz>qpであるときの制御ゲインL、M、Nに切り
換えることで、バネ上上下加速度を主として抑制する。
一方、アクセルペダル角λAおよびブレーキペダル角λB
のいずれか一方が設定値より大きいときには、qz<qP
としたときの制御ゲインL、M、Nを用いることで、バ
ネ上ピッチ角加速度を主として抑制して、急加速、急減
速時など、特にスクオットやノーズダイブなど、ピッチ
ングの抑制が必要となる場合に、対応できるようになっ
ている。
【0081】以上のように、本発明では、前後加速度
G、または加速指示信号および減速指示信号(アクセル
ペダル角λAおよびブレーキペダル角λB)の大小により
判断される運転状況の変化に応じて、適切な減衰力を発
生させ、車両のピッチングを適切に抑制することができ
る。
【0082】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、減衰力可
変ショックアブソーバに入力される減衰定数目標値は、
主としてバネ上の上下振動を抑制すべきときと、主とし
てバネ上のピッチングを抑制すべきときとで、それぞれ
適した値が設定されるので、運転状況に応じて的確な減
衰力が発生するように、減衰力特性が制御される。
【0083】また、前後加速度検出手段を備えることに
より、これから検出された前後加速度と所定の基準値と
の比較により、定常走行時には主としてバネ上の上下振
動を抑制し、加減速時には主としてバネ上のピッチング
を抑制するように判断され、この判断にしたがって、バ
ネ上の上下振動の抑制に適した減衰定数目標値と、バネ
上のピッチングの抑制に適した減衰定数目標値を的確に
切り換えることができる。
【0084】また、加減速指示検出手段を備えることに
より、これから検出された加速指示信号および減速指示
信号(例えば、アクセルペダル踏み込み角およびブレー
キペダル踏み込み角)と所定の基準値との比較により、
主としてバネ上の上下振動を抑制すべきか、主としてバ
ネ上のピッチングを抑制すべきかが正確かつ簡単に判断
され、この判断にしたがって、バネ上の上下振動の抑制
に適した減衰定数目標値と、バネ上のピッチングの抑制
に適した減衰定数目標値を的確に切り換えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】同じく減衰力演算手段を示すブロック図であ
る。
【図3】同じく懸架系を示すモデル図である。
【図4】同じく制振効果を示す特性図である。
【図5】同じく特性図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示すブロック図であ
る。
【図7】本発明の他の実施の形態の減衰力演算手段を示
すブロック図である。
【符号の説明】
1 相対変位検出手段 2 相対速度検出手段 3 減衰定数目標値演算手段 4 ショックアブソーバ 5 前後加速度検出手段 6 加減速指示検出手段 11 切換入力演算手段 12 線形入力演算手段 13 フィルタ 14 修正値演算手段 15 目標値設定手段 18 制御ゲイン演算手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バネ上とバネ下の相対速度検出手段と、 バネ上とバネ下の相対変位検出手段と、 これらから検出された相対速度と相対変位を入力として
    減衰力可変ショックアブソーバの減衰定数目標値を設定
    する減衰力目標値演算手段と、 この減衰定数目標値を入力して減衰定数を調節する減衰
    力可変ショックバブソーバとを備えたことを特徴とする
    懸架系の減衰力制御装置において、 前記減衰力目標値演算手段が、主としてバネ上の上下振
    動の抑制に適した減衰定数目標値と、主としてバネ上の
    ピッチングの抑制に適した減衰定数目標値を、選択的に
    出力可能であることを特徴とする懸架系の減衰力制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記減衰力目標値演算手段は、所定の定数
    である基本減衰定数目標値を設定する目標値設定手段
    と、前記相対速度及び相対変位に基づいて演算した理想
    減衰力を修正した減衰定数修正値を演算する修正値演算
    手段とを備え、これら基本減衰定数目標値と減衰定数修
    正値とを含む減衰定数目標値を出力する一方、前記減衰
    力目標値演算手段は、さらに前記理想減衰力の演算のた
    めの制御ゲインを出力する制御ゲイン演算手段を備え、
    この制御ゲインにより、前記バネ上の上下振動の抑制に
    適した減衰定数目標値と、前記バネ上のピッチングの抑
    制に適した減衰定数目標値とを選択的に切り換えること
    を特徴とする請求項1に記載の懸架系の減衰力制御装
    置。
  3. 【請求項3】懸架系の前後加速度を検出する前後加速度
    検出手段を備え、前記バネ上の上下振動の抑制に適した
    減衰定数目標値と、前記バネ上のピッチングの抑制に適
    した減衰定数目標値とを、前記検出された前後加速度と
    所定の基準値との大小関係に応じて切り換えることを特
    徴とする請求項1に記載の懸架系の減衰力制御装置。
  4. 【請求項4】車両の加速を指示する加速指示信号と、車
    両の減速を指示する減速指示信号を検出する検出する加
    減速指示検出手段を備え、前記バネ上の上下振動の抑制
    時に適した減衰定数目標値と、前記バネ上のピッチング
    の抑制時に適した減衰定数目標値とを、前記検出された
    加速指示信号および減速指示信号と所定の基準値との大
    小関係に応じて切り換えることを特徴とする請求項1に
    記載の懸架系の減衰力制御装置。
  5. 【請求項5】前記加速指示信号はアクセルペダル踏み込
    み角を検出する信号であり、前記減速指示信号はブレー
    キペダル踏み込み角を検出する信号であることを特徴と
    する請求項4に記載の懸架系の減衰力制御装置。
JP7026296A 1996-03-26 1996-03-26 懸架系の減衰力制御装置 Pending JPH09254625A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280022A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Hitachi Automotive Systems Ltd サスペンション制御装置
JP2010058541A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Hitachi Automotive Systems Ltd 状態推定装置、サスペンション制御装置及びサスペンションシステム

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JP2009280022A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Hitachi Automotive Systems Ltd サスペンション制御装置
JP2010058541A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Hitachi Automotive Systems Ltd 状態推定装置、サスペンション制御装置及びサスペンションシステム

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