JP2653194B2 - 車両のローリング制御装置 - Google Patents

車両のローリング制御装置

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JP2653194B2 JP32273289A JP32273289A JP2653194B2 JP 2653194 B2 JP2653194 B2 JP 2653194B2 JP 32273289 A JP32273289 A JP 32273289A JP 32273289 A JP32273289 A JP 32273289A JP 2653194 B2 JP2653194 B2 JP 2653194B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は横加速度入力時における車両のローリング、
特に過渡的なロール応答を制御する装置に関するもので
ある。
(従来の技術) 車両は車輪を、ショックアブソーバ付の振動減衰型サ
スペンション装置で懸架するため、横加速度入力時に車
体のローリングを生ずる。
当該サスペンション装置により車輪を懸架した車両に
つきロール応答を説明すると、横加速度入力に対するロ
ーリング運動の運動方程式は近似的に次式で表されるこ
とが知られている。
Ix=−Cφ−Kφφ+(Hg−Hs)Msα ……(1) 但し、 α…横加速度 φ…ロール角 Ix…ロール慣性 Cφ…ロール減衰率(全輪ショックブソーバによるロー
ル減衰率) Kφ…全輪サスペンション装置によるロール剛性 Hg…重心高さ Hs…ロール中心高さ Ms…ばね上質量 ところで、上記のロール減衰率Cφは前後輪ショック
アブソーバのストロークに関する減衰率を夫々CSAF,C
SARとし、前後トレッドを夫々TF,TRとすると、 で表される。一方、(1)式に基き横加速度αに対する
ロール角φの伝達特性を、微分演算子Sを用いて表す
と、次式のようになる。
但し、 (2),(3)式から明らかなように、ショックアブ
ソーバの減衰率CSAF,CSARはローリング運動に関しては
減衰特性Cφ,ξのみに影響を及ぼすのであるが、ショ
ックアブソーバはその他に不整地走行時や制駆動時に発
生する車体の上下運動やピッチング運動を制振し、良好
な乗心地にするという別の役割も分担する。
そこで一般の乗用車においては、前者のローリング運
動に対する減衰効果と、後者の乗心地確保のための制振
効果とをバランス良くまとめられるようにショックアブ
ソーバの減衰率CSAF,CSARを決定する。この場合、ロー
リング運動の減衰係数ξは0.3近辺の値になる。
ところで、このようにξ=0.3の車両においては、第
9図(a)に示す如きステップ状の操舵角を与えて同図
(b)に示す横加速度が発生した場合につき述べると、
同図(d)に示すξ=0.3に対応したショックアブソー
バによるロール減衰率Cφ=33.0kgf・m・Sに応じ同
図(c)中(イ)で示すようなローリングを発生する。
この過渡特性(イ)から明らかなように、発生するロー
ル角が一旦オーバーシュートし、その後アンダーシュー
トする振動的な変化(ハンチング)を繰返して最終的な
操舵角に対応したロール角に落ちつくこととなり、前記
したショックアブソーバの減衰率ではローリング運動の
減衰特性が良くない。
この問題を解決するため従来、特開昭58−30815号公
報、特開昭58−30818号公報、特開昭58−116214号公
報、特開昭58−167210公報に記載の如く、各種の方法で
旋回状態を検出し、ローリング発生時はショックアブソ
ーバの減衰率を高くする技術が提案された。
(発明が解決しようとする課題) この場合、上記の問題解決に当ってはローリング運動
の減衰係数ξを0.7程度になるようにショックアブソー
バの減衰率を決定するのが良いと言われている。しかし
て、第9図(d)に示す如くξ=0.7にしてロール減衰
率CφをCφ=77.0kgf・m・Sにした場合、ロール応
答が第9図(c)中(ロ)で示す如きものとなり、ロー
リング運動の減衰特性は改善されるものの、ロール角の
発生遅れが顕著となる。この場合、特にスラローム走行
のように反転操舵を繰返す走行中、ロールの位相遅れが
大きくて操舵フィーリングの悪化を招く。
本発明は、横加速度に対するロール角の発生状況が常
時狙った通りのものとなるよう逐一サスペンション装置
を制御して上記いずれの問題をも解消するようにするこ
とを特徴とする。
(課題を解決するための手段) この目的のため本発明による車両のローリング制御装
置は、第1図に概念を示すごとく、 減衰率を変更可能なショックアブソーバを具えるサス
ペンション装置により車輪を懸架した車両において、 車体に作用している横加速度の情報を提供する横加速
度情報提供手段と、 実用上問題となるロール角のオーバーシュートを生じ
ない範囲で運転者が望む高応答を実現可能な、狙いとす
る横加速度−ロール角伝達特性に対応した規範モデルま
たは横加速度・目標ロールレート伝達関数を基に、前記
横加速度情報のもとで前記狙いとする横加速度−ロール
角伝達特性を達成可能な目標ロールレートを演算する目
標ロールレート演算手段と、 前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性に対応し
た規範モデルを基に求めた、前記横加速度情報に対応す
る目標ロール角および目標ロール角加速度を用いる車両
運動方程式の演算により、若しくは前記狙いとする横加
速度−ロール角伝達特性に対応した横加速度・目標ロー
リングモーメント伝達関数を用いて、前記横加速度情報
のもとで前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を
達成可能な目標ローリングモーメントを演算する目標ロ
ーリングモーメント演算手段と、 前記目標ローリングモーメントを前記目標ロールレー
トで除算して、前記狙いとする横加速度−ロール角伝達
特性を達成するための目標ロール減衰率を求めるロール
減衰率決定手段と、 この目標ロール減衰率となるよう前記ショックアブソ
ーバの減衰率を制御するショックアブソーバ減衰率制御
手段とを設けて構成したものである。
(作 用) 本発明のローリング制御装置においては、横加速度情
報提供手段が、車体に作用している横加速度の情報を提
供しており、 一方で目標ロールレート演算手段は、実用上問題とな
るロール角のオーバーシュートを生じない範囲で運転者
が望む高応答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロー
ル角伝達特性に対応した規範モデルまたは横加速度・目
標ロールレート伝達関数を基に、前記横加速度情報のも
とで当該狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成
可能な目標ロールレートを演算し、 他方で目標ローリングモーメント演算手段は、上記狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性に対応した規範モ
デルを基に求めた、前記横加速度情報に対応する目標ロ
ール角および目標ロール角加速度を用いる車両運動方程
式の演算により、若しくは上記狙いとする横加速度−ロ
ール角伝達特性に対応した横加速度・目標ローリングモ
ーメント伝達関数を用いて、前記横加速度情報のもとで
前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成可能
な目標ローリングモーメントを演算する。
そしてロール減衰率決定手段が、上記の目標ローリン
グモーメントを上記の目標ロールレートで除算して、前
記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成するた
めの目標ロール減衰率を求め、 ショックアブソーバ減衰率制御手段はこの目標ロール
減衰率となるようショックアブソーバの減衰率を制御す
る。
よって、ロール角の実用上問題となるオーバーシュー
トを生じない範囲で運転者が望む高応答な、上記狙いと
する横加速度−ロール角伝達特性が常時に達成されるよ
うショックアブソーバの減衰率が逐一過渡制御されるこ
ととなり、 結果として、横加速度に対しロール角が実用上問題と
なるように大きく定常値からオーバーシュートすること
がなく、これがため当該オーバーシュートの反動で生ず
るロール角のアンダーシュートも問題になるような態様
で発生することがなくなり、ローリング運動の減衰特性
を常時確実に改善し得るし、 加えて、狙いとする横加速度−ロール角伝達特性が上
記のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む高
応答なものであることから、横加速度に対してロール角
の発生が運転者の要望から外れた遅れを生ずることもな
く、操舵フィーリングの改善も実現し得る。
これがため、ローリング運動のハンチング防止と、ロ
ール応答の改善との、相反する要求を同時に満足させ得
る車両のローリング制御が実現可能である。
しかも本発明によれば上記した通り、前記狙いとする
横加速度−ロール角伝達特性を達成するための目標ロー
ル減衰率を求めるに際し、目標ローリングモーメントを
目標ロールレートで除算して当該目標ロール減衰率を算
出することとしたから、 且つ、これら目標ローリングモーメントおよび目標ロ
ールレートを前記のような演算により求めることとも相
俟って、 横加速度情報のために操舵角および車速を検出するの
みで上記した車両ローリング運動の過渡応答改善効果を
奏しさせることができ、しかも、これらを検出するセン
サが大抵の場合車両に既に搭載されていることが多いこ
ともあり、簡単、且つ、安価な構成で所期の目的を達成
することができる。
加えて本発明の構成によれば、同様の理由から前記狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成するための
目標ロール減衰率がフィードフォワード型式に求められ
ることとなり、これを、極く普通のショックアブソーバ
の減衰力制御に資するだけで、横加速度入力に対して狙
った通りに車両ローリング運動の過渡応答を実現させる
ことができる。
かかるローリング運動の過渡応答のためには従来、動
力源が必要で大がかりなシステムとなる油圧式アクティ
ブサスペンションが必須であったが、本発明によればこ
れによるとほぼ同等なローリング運動の過渡応答を、極
く一般的な減衰力制御式サスペンションにおいて実現さ
せることができ、コスト上は勿論、重量的にも大いに有
利である。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基き詳細に説明する。
第2図は本発明ローリング制御装置の一実施例で、1
は操舵角θを検出するセンサ、2は車速Vを検出するセ
ンサ、3はマイクロコンピュータを示す。マイクロコン
ピュータ3は両センサ1,2からの入力情報を基にショッ
クアブソーバ制御部4を介しサスペンション装置の左右
前輪ショックアブソーバ5L,5R及び左右後輪ショックア
ブソーバ6L,6Rを減衰力制御して、本発明が目的とする
ローリング制御を行うものとする。
マイクロコンピュータ3はこの制御に当り実際には第
3図及び第4図の制御プログラムを実行するが、便宜上
機能別ブロックにより示すと、ヨーイング、横運動推定
部7と、ローリング運動目標値計算部8と、目標ローリ
ングモーメント計算部9と、ショックアブソーバロール
減衰率決定部10とで構成される。
第3図は電源投入時開始されるメインルーチンを示
し、電源投入時1回だけ実行されるステップ31では初期
化(イニシャライズ)により後の演算で用いる 横方向速度Vy、横方向並進加速度、目標ロールレー
トφ及び目標ロールレート及び目標ロール角加速
を夫々0にリセットする。そして、次のステップ
32でΔt時間毎の割込みにより第4図のサブルーチンを
実行する。
このサブルーチンでは先ずステップ41において、車速
V及び操舵角θを読込み、次のステップ42は第2図中の
ヨーイング、横運動推定部7に相当し、ここで車速V及
び操舵角θからヨーイングと横運動に関する運動方程式
を解くことにより以下の如くに横加速度を推定して推定
横加速度を求める。
但し、 eKF…前輪等価コーナリングパワー KR…後輪コーナリングパワー CF…前輪コーナリングフォース CR…後輪コーナリングフォース LF…前輪−重心点間距離 LR…後輪−重心点間距離 この運動方程式は線形2自由度2輪モデルに基づく周
知のものであるが、 Vyを求める積分方法については最も演算時間を節約でき
るオイラー法 Vy=Vy+Δtを用いるのが有利である。
第4図中ステップ43は第2図中ローリング運動目標値
計算部8に相当し、ここでは微分方程式で記述される狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性(規範モデル)か
ら推定横加速度に対応したローリング運動目標値、つ
まり狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成する
ための目標ロール角φ、目標ロールレート、目標
ロール角加速度を以下の如くに演算する。
={−Kφφ−Cφm +(Hg−Hs)Ms}/IXm 規範モデルは物理的なローリング運動モデルとして与
え、ロール慣性を所定値Ixm、ロール減衰率を所定値C
φmとして与える。又ロール剛性Kφ、ばね上質量Ms
重心高さHg、ロールセンタ高さHsに関しては制御対象で
ある車両の定常ロール角ゲインを一致させるために車両
諸元値を用いる。従ってIxm,Cφmの与え方で狙いとす
る横加速度−ロール角伝達特性を任意に決定することが
でき、この特性を本発明では第9図(b)の横加速度に
対し第9図(c)中(ハ)で示すように特性(ロ)のよ
うなロール角の発生遅れがなく、特性(イ)のようなハ
ンチングも生じない特性、つまり、ロール角の実用上問
題となるオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望
む高応答な横加速度−ロール角伝達特性とする。なおφ
m,を求める積分方法もφ=φ+Δtm,
+Δtのオイラー法によるのが有利である。
第4図中ステップ44は第2図中の目標ローリングモー
メント計算部9に相当し、ここでは、ローリング運動目
標値φm,m,、つまり狙いとする横加速度−ロール
角伝達特性を、ロール慣性がIx、ロール剛性がKφ、ば
ね上質量がMs、重心高さがHg、ロールセンタ高さがHs
る実車で実現するのに必要な目標ローリングモーメント
uを演算する。ところで、ショックアブソーバが発生す
るローリングモーメントをuとすると、前記 (1)式は Ix=−u−Kφφ+(Hg−Hs)Msα ∴u=−Ix−Kφφ+(Hg−Hs)Msα に書き直される。この式中,φをローリング運動目標
mに、又αを推定横加速度に置換して、上記
目標、ローリングモーメントuは u=−Ix −Kφφ+(Hg−Hs)Ms ……(4) の演算により求めることができる。
第4図中ステップ45では目標ロールレート絶対値|
m|が微小設定値以上か未満かをチェックする。このチェ
ックは、理想的なロール減衰率▲▼が で求まり、目標ロールレートが0又は極めて小さい
場合▲▼が無限大又は極端に大きな値となって実際
のコンピュータでは計算不能になったり、オーバーフロ
ーを起こす可能性があるために必要であり、このための
ステップ45でが極めて小さいと判別する場合、ステ
ップ45で目標ロール減衰率Cφを不都合が生じない範囲
で大きな所定値にセットする。なおCφは、この代りに
乗心地制御用のプログラムを走らせて決定してもよい。
ステップ45でが上記の問題を生じないものであると
判別する時、ステップ47で理想的なロール減衰率▲
▼を により演算する。このステップ47は第2図中ショックア
ブソーバロール減衰率決定部10の一部を成す演算ブロッ
ク10aに相当する。しかして▲▼は負値をとった
り、実際のショックアブソーバの減衰率制御範囲を越え
る場合があるので、第2図中ロール減衰率決定部10の残
部を成す制限器10bに相当した次のステップ48では▲
▼を無条件に目標ロール減衰率Cφとせず、Cφの下
限値及び上限値を夫々Cφmin及びCφmaxに抑える。
ステップ49ではステップ46又は48で決定した目標ロー
ル減衰率Cφを第2図に示すショックアブソーバ制御部
4に出力する。この制御部は目標ロール減衰率Cφが得
られるようショックアブソーバ5L,5R,6L,6Rの減衰率を
制御する。よってステップ44で演算した目標ローリング
モーメントuが得られることとなり、前記の通りに与え
た横加速−ロール角伝達特性が狙いとする通りのロール
角を生じさせることができる。例えば第9図の舵取操作
態様につき述べると、上記の伝達特性に照らしてロール
減衰率Cφは第9図(d)に(ニ)で示す如くローリン
グ発生初期に小さく、その後大きくなるように逐一変化
され、第9図(c)に(ハ)で示す如くにロール角を発
生させることができる。(ハ)特性と、(イ)及び
(ロ)特性との比較から明らかなように本例では、横加
速度に対するロール応答の速かな減衰(収斂性)と、ロ
ールの速かな発生とを両立させることができる。
なお上述の例では操舵角センサ1、車速センサ2及び
ヨーイング、横運動推定部7により横加速度を推定して
推定横加速度を用いたが、この代わりに加速度センサ
で車体に加わる横加速度を直接検出し、検出横加速度を
用いてもよい。
第5図は本発明の他の例を示し、本例は第2図の目標
ローリングモーメント計算部9及びローリング運動目標
値計算部8を夫々、横加速度−目標ローリングモーメン
ト伝達関数ブロック51及び横加速度−目標ロールレート
伝達関数ブロック52に、夫々置換して構成する。
ブロック51は、推定横加速度と目標ローリングモー
メントuとの関係を指定する伝達関数W(s)により、
推定横加速度に対応した目標ローリングモーメントu
を求めるブロックである。ここで伝達関数W(s)を求
めるに、前記規範モデルの微分方程式を微分演算子sを
用いて書き直すと、次式の如くになる。
但し また、横加速度αとローリングモーメントuを入力と
する車両のロール応答は次式で表される。
但し 本制御の目的はロール角φを目標ロール角φに一致
させる(φ=φにする)ことであるからα=と見做
して推定横加速度()−目標ローリングモーメント
(u)伝達特性W(s)は次式の如くになる。
ブロック52は、推定横加速度と目標ロールレート
との関係を推定する伝達関数SGm(S)により、推定
横加速度に対応した目標ロールレートを求めるブ
ロックである。なお当該伝達特性(5)式より =sφ=sGm(s) ……(8) で表わされることが判る。ブロック51,52の(7),
(8)式に示すような伝達特性W(s),SGm(s)は実
際にはデジタルフィルターとして構成するが、演算方法
の違いによる演算誤差を除けばに対する目標ローリン
グモーメントu及び目標ロールレートは第2図に示
したものと同じになり、本例も前述した例と同様の作用
効果を奏し得る。
第6図及び第7図は第2図及び第4図に係る本発明の
更に他の例を示し、本例では第6図に示すようにローリ
ング運動推定部61を追加し、これに対応させて第7図に
示す如くステップ49の前段にステップ71を追加する。こ
れにより本例ではブロック10aでの理想的なロール減衰
率▲▼の演算に当り目標ロールレートの代りに
推定ロールレートを用いるようになす。つまり、ロー
リング運動推定部61及びステップ71では の運動方程式を解くことによりローリング運動を推定し
て推定ロールレート を求め、これを次回の理想的ロール減衰率▲▼の演
算(第6図中ブロック10a及び第7図中ステップ47参
照)に資するよう一時メモリしておく。従って、ブロッ
ク10a及びステップ47での▲▼の演算は前回の推定
ロールレート に基く によるところとなり、それ故にステップ45は が微小設定値以上か否かをチェックするよう変更し、ス
テップ43で求めるローリング運動目標値は目標ロール角
φ及び目標ロール角加速度のみとする。
なお、ブロック10a(ステップ47)での理想的ロール
減衰率▲▼の演算に当り、第2図乃至第5図の例で
は目標ロールレートを用い、第6図及び第7図の例
では推定ロール角 を用いたが、勿論レートジャイロ等でロールレートを
実測し、これを当該演算に用いてもよいことは言うまで
もない。
第8図は本発明の更に他の例を示し、本例では推定横
加速度を後輪操舵コントローラ81から得るようにす
る。この後輪操舵コントローラは昭和62年8月発行「計
測自動制御学会論文集」Vol.23,No.8、第48頁乃至第54
頁「四輪操舵車の新しい制御法」に記載された周知のも
ので、センサ1,2で検出した操舵角θ及び車速Vに応じ
た横加速度を得るための後輪舵角δを後輪操舵系82
に指令する。従って、横加速度を推定横加速度として
マイクロコンピュータ3に入力し、前記した例と同様の
作用効果を奏し得る。
本例では、マイクロコンピュータ3が横加速度の推定
を行う必要がなくなる他に、ローリング制御用のコンピ
ュータ3と後輪操舵コントローラ81とを共通のコンピュ
ータにまとめ得る利点がある。
なお、横加速度推定は横加速度目標値yrに追従する
ために代えyrを用いてもよい。
(発明の効果) かくして本発明のローリング制御装置は、例えば前記
実施例のような構成にして、 現在の横加速度情報のもとで、実用上問題となるロー
ル角のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む
高応答な、狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達
成するための目標ロールレートを、当該特性に符合する
規範モデルまたは横加速度・目標ロールレート伝達関数
から演算し、 上記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性に対応し
た規範モデルから求めた横加速度情報対応の目標ロール
角およびロール角加速度を用いる車両運動方程式の演算
により、若しくは上記狙いとする横加速度−ロール角伝
達特性に対応した横加速度・目標ローリングモーメント
伝達関数を用いて、横加速度情報のもとで上記狙いとす
る横加速度−ロール角伝達特性を達成するための目標ロ
ーリングモーメントを演算し、 上記の目標ローリングモーメントを上記の目標ロール
レートで除算して、上記の狙いとする横加速度−ロール
角伝達特性を達成するための目標ロール減衰率を求め、 この目標ロール減衰率となるようショックアブソーバ
の減衰率を制御する構成にしたことから、 実用上問題となるロール角のオーバーシュートを生じ
ない範囲で運転者が望む高応答な、前記狙いとする横加
速度−ロール角伝達特性が常時に達成されるようショッ
クアブソーバの減衰率が逐一過渡制御されることとな
る。
従って、横加速度に対しロール角が実用上問題となる
ほどに定常値からオーバーシュートすることがなく、こ
れがため当該オーバーシュートの反動で生ずるロール角
のアンダーシュートも実用上問題となるほど発生するこ
とがなくなり、ローリング運動の減衰特性を確実に改善
し得るし、 加えて、狙いとする横加速度−ロール角伝達特性が上
記のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む高
応答なものであることから、横加速度に対してロール角
の発生が実用上問題となるほどに遅れることもなく、操
舵フィーリングの改善も実現し得る。
以上により本発明のローリング制御装置によれば、ロ
ーリング運動のハンチング防止と、ロール応答の改善と
の、相反する要求を同時に満足させることができる。
しかも本発明によれば上記した通り、前記狙いとする
横加速度−ロール角伝達特性を達成するための目標ロー
ル減衰率を求めるに際し、目標ローリングモーメントを
目標ロールレートで除算して当該目標ロール減衰率を算
出することとしたから、 且つ、これら目標ローリングモーメントおよび目標ロ
ールレートを前記のような演算により求めることとも相
俟って、 横加速度情報のために操舵角および車速を検出するの
みで上記した車両ローリング運動の過渡応答改善効果を
奏しさせることができ、しかも、これらを検出するセン
サが大抵の場合車両に既に搭載されていることが多いこ
ともあり、簡単、且つ、安価な構成で所期の目的を達成
することができる。
加えて本発明の構成によれば、同様の理由から前記狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成するための
目標ロール減衰率がフィードフォワード型式に求められ
ることとなり、これを、極く普通のショックアブソーバ
の減衰力制御に資するだけで、横加速度入力に対して狙
った通りに車両ローリング運動の過渡応答を実現させる
ことができる。
かかるローリング運動の過渡応答のためには従来、動
力源が必要で大がかりなシステムとなる油圧式アクティ
ブサスペンションが必須であったが、本発明によればこ
れによるとほぼ同等なローリング運動の過渡応答を、極
く一般的な減衰力制御式サスペンションにおいて実現さ
せることができ、コスト上は勿論、重量的にも大いに有
利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による車両のローリング制御装置を示す
概念図、 第2図は本発明装置の一実施例を示す機能ブロック線
図、 第3図及び第4図は同例におけるマイクロコンピュータ
の制御プログラムを示すフローチャート、 第5図は本発明装置の他の例を示す機能ブロック線図、 第6図は本発明装置の更に他の例を示す機能ブロック線
図、 第7図は同例におけるマイクロコンピュータの制御プロ
グラムを示す第4図相当のフローチャート、 第8図は本発明装置の更に他の例を示す機能ブロック線
図、 第9図は本発明装置の動作タイムチャートと従来装置の
それとを比較して示すシミュレーション図である。 1……操舵角センサ 2……車速センサ 3……マイクロコンピュータ 4……ショックアブソーバ制御部 5L,5R,6L,6R……ショックアブソーバ 7……ヨーイング、横運動推定部 8……ローリング運動目標値計算部 9……目標ローリングモーメント計算部 10……ショックアブソーバロール減衰率決定部 51……横加速度−目標ローリングモーメント伝達関数ブ
ロック 52……横加速度−目標ロールレート伝達関数ブロック 61……ローリング運動推定部 81……後輪操舵コントローラ 82……後輪操舵系

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】減衰率を変更可能なショックアブソーバを
    具えるサスペンション装置により車輪を懸架した車両に
    おいて、 車体に作用している横加速度の情報を提供する横加速度
    情報提供手段と、 実用上問題となるロール角のオーバーシュートを生じな
    い範囲で運転者が望む高応答を実現可能な、狙いとする
    横加速度−ロール角伝達特性に対応した規範モデルまた
    は横加速度・目標ロールレート伝達関数を基に、前記横
    加速度情報のもとで前記狙いとする横加速度−ロール角
    伝達特性を達成可能な目標ロールレートを演算する目標
    ロールレート演算手段と、 前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性に対応した
    規範モデルを基に求めた、前記横加速度情報に対応する
    目標ロール角および目標ロール角加速度を用いる車両運
    動方程式の演算により、若しくは前記狙いとする横加速
    度−ロール角伝達特性に対応した横加速度・目標ローリ
    ングモーメント伝達関数を用いて、前記横加速度情報の
    もとで前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達
    成可能な目標ローリングモーメントを演算する目標ロー
    リングモーメント演算手段と、 前記目標ローリングモーメントを前記目標ロールレート
    で除算して、前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特
    性を達成するための目標ロール減衰率を求めるロール減
    衰率決定手段と、 この目標ロール減衰率となるよう前記ショックアブソー
    バの減衰率を制御するショックアブソーバ減衰率制御手
    段とを具備してなることを特徴とする車両のローリング
    制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記狙いとする横加速
    度−ロール角伝達特性の分母次数に対する分子次数の次
    数差を、実車の横加速度−ロール角伝達特性の分母次数
    に対する分子次数の次数差以上とした車両のローリング
    制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記目標ロール
    レート演算手段は前記横加速度情報および目標ロール減
    衰率からロールレートを推定するロールレート推定手段
    で構成し、この推定ロールレートを目標ロールレートと
    するようにしたものである車両のローリング制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項において、
    前記目標ローリングモーメント演算手段は前記横加速度
    −目標ローリングモーメント伝達関数として、前記狙い
    とする横加速度−ロール角伝達特性から求めた横加速度
    −目標ローリングモーメント伝達関数を用いるようにし
    たものである車両のローリング制御装置。
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