JP2653196B2 - 車両のローリング制御装置 - Google Patents

車両のローリング制御装置

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JP2653196B2 JP32582489A JP32582489A JP2653196B2 JP 2653196 B2 JP2653196 B2 JP 2653196B2 JP 32582489 A JP32582489 A JP 32582489A JP 32582489 A JP32582489 A JP 32582489A JP 2653196 B2 JP2653196 B2 JP 2653196B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は横加速度入力時における車両のローリング、
特に過度的なロール応答を制御する装置に関するもので
ある。
(従来の技術) 車両は車輪を、ショックアブソーバ付の振動減衰型サ
スペンション装置で懸架するため、横加速度入力時に車
体のローリングを生ずる。
当該サスペンション装置により車輪を懸架した車両に
つきロール応答を説明すると、横加速度入力に対するロ
ーリング運動の運動方程式は近似的に次式で表されるこ
とが知られている。
IX=−Cφ−Kφφ+(Hg−Hs)Msα ……(1) 但し ところで、上記のロール減衰率Cφは前後輪ショックア
ブソーバのストロークに関する減衰率を夫々CSAF,CSAR
とし、前後トレッドを夫々TF,TRとすると、 で表される。一方、(1)式に基き横加速度αに対する
ロール角φの伝達特性を、微分演算子Sを用いて表す
と、次式のようになる。
但し、 (2),(3)式から明らかなように、ショックアブ
ソーバの減衰率CSAF,CSARはローリング運動に関して
は、減衰特性Cφ,ξのみに影響を及ぼすのであるが、
ショックアブソーバはその他に不整地走行時や制駆動時
に発生する車体の上下運動やピッチング運動を制振し、
良好な乗心地にするという別の役割も分担する。
そこで一般の乗用車においては、前者のローリング運
動に対する減衰効果と、後者の乗心地確保のための制振
効果とをバランス良くまとめられるようにショックアブ
ソーバの減衰率CSAF,CSARを決定する。この場合、ロー
リング運動の減衰係数ξは0.3近辺の値になる。
ところで、このようにξ=0.3の車両においては、第
7図(a)に示す如きステップ状の操舵角を与えて同図
(b)に示す横加速度が発生した場合につき述べると、
同図(d)に示すξ=0.3に対応したショックアブソー
バによるロール減衰率Cφ=33.0kgf・m・sに応じ同
図(c)中(イ)で示すようなローリングを発生する。
この過渡特性(イ)から明らかなように、発生するロー
ル角が一旦オーバーシュートし、その後アンダーシュー
トする振動的な変化(ハンチング)を繰返して最終的な
操舵角に対応したロール角に落ちつくこととなり、前記
したショックアブソーバの減衰率ではローリング運動の
減衰特性が良くない。
この問題を解決するため従来、特開昭58−30815号公
報、特開昭58−30818号公報、特開昭58−116214号公
報、特開昭58−167210号公報に記載の如く、各種の方法
で旋回状態を検出し、ローリング発生時はショックアブ
ソーバの減衰率を高くする技術が提案された。
(発明が解決しようとする課題) この場合、上記の問題解決に当ってはローリング運動
の減衰係数ξを0.7程度になるようにショックアブソー
バの減衰率を決定するのが良いと言われている。しかし
て、第7図(d)に示す如くξ=0.7にしてロール減衰
率CφをCφ=77.0kgf・m・sとした場合、ロール応
答が第7図(c)中(ロ)で示す如きものとなり、ロー
リング運動の減衰特性は改善されるものの、ロール角の
発生遅れが顕著となる。この場合、特にスラローム走行
のように反転操舵を繰返す走行中、ロールの位相遅れが
大きくて操舵フィーリングの悪化を招く。
本発明は、横加速度に対するロール角の発生状況が常
時狙った通りのものとなるよう逐一サスペンション装置
のショックアブソーバを減衰力制御して上記いずれの問
題をも解消するようになすことを目的とする。
(課題を解決するための手段) この目的のため本発明のローリング制御装置は第1図
に概念を示す如く、 減衰率を制御可能なショックアブソーバを具えるサス
ペンション装置により車輪を懸架した車両において、 車体に作用する横加速度の情報を提供する横加速度情
報提供手段と、 この横加速度情報及び前記ショックアブソーバの減衰
率制御指令値、並びに車両諸元を用いて車両のローリン
グ運動方程式を解くことにより、ショックアブソーバの
減衰率制御の結果、前記横加速度情報のもとで車体に発
生するロール角及びロールレートを推定するローリング
運動推定手段と、 この手段により求めた推定ロール角及び推定ロールレ
ート、並びに前記横加速度情報から、実用上問題となる
ロール角のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が
望む高応答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロール
角伝達特性に対応した規範モデルに基づき、前記横加速
度情報のもとで前記狙いとする横加速度−ロール角伝達
特性を達成可能な目標ローリングモーメントを演算する
目標ローリングモーメント演算手段と、 この目標ローリングモーメントを、前記ローリング運
動推定手段において推定した推定ロールレートで除算す
ることにより、前記横加速度情報のもとで前記狙いとす
る横加速度−ロール角伝達特性を達成可能な理想的ロー
ル減衰率を求めるロール減衰率決定手段と、 この理想的ロール減衰率となるよう前記ショックアブ
ソーバの減衰率を制御するショックアブソーバ減衰率制
御手段とを設けて構成したものである。
(作 用) 本発明のローリング制御装置においては、横加速度情
報提供手段が、車体に作用する横加速度の情報を、直接
検出や演算により提供しており、 一方で目標ロール運動推定手段は、この横加速度情報
及びショックアブソーバの減衰率制御指令値、並びに車
両諸元を用いて車両のローリング運動方程式を解くこと
により、ショックアブソーバの減衰率制御の結果、上記
横加速度情報のもとで車体に発生するロール角及びロー
ルレートを推定する。
他方で目標ローリングモーメント演算手段は、この手
段により求めた推定ロール角及び推定ロールレート、並
びに前記横加速度情報から、実用上問題となるロール角
のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む高応
答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロール角伝達特
性に対応した規範モデルに基づき、前記横加速度情報の
もとで前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達
成可能な目標ローリングモーメントを演算する。
そしてロール減衰率決定手段が、当該目標ローリング
モーメントを、前記ローリング運転推定手段において推
定した推定ロールレートで除算することにより、前記横
加速度情報のもとで前記狙いとする横加速度−ロール角
伝達特性を達成可能な理想的ロール減衰率を求め、 ショックアブソーバ減衰率制御手段はこの理想的ロー
ル減衰率となるよう前記ショックアブソーバの減衰率を
制御する。
よって、ロール角の実用上問題となるオーバーシュー
トを生じない範囲で運転者が望む高応答な、上記狙いと
する横加速度−ロール角伝達特性が常時に達成されるよ
うショックアブソーバの減衰率が逐一過渡制御されるこ
ととなり、 結果として、横加速度に対しロール角が実用上問題と
なるように大きく定常値からオーバーシュートすること
がなく、これがため当該オーバーシュートの反動で生ず
るロール角のアンダーシュートも問題になるような態様
で発生することがなくなり、ローリング運動の減衰特性
を常時確実に改善し得るし、 加えて、狙いとする横加速度−ロール角伝達特性が上
記のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む高
応答なものであることから、横加速度に対してロール角
の発生が運転者の要望から外れた遅れを生ずることもな
く、操舵フィーリングの改善も実現し得る。
これがため、ローリング運動のハンチング防止と、ロ
ール応答の改善との、相反する要求を同時に満足させ得
る車両のローリング制御が実現可能である。
しかも本発明によれば上記した通り、前記狙いとする
横加速度−ロール角伝達特性を達成するための理想的な
ロール減衰率を求めるに際し、目標ローリングモーメン
トを推定ロールレートで除算して当該目標ロール減衰率
を算出することとしたから、 且つ、これら目標ローリングモーメントおよび推定ロ
ールレートを前記のような演算により求めることとも相
俟って、 横加速度情報のために操舵角および車輪を検出するの
みで上記した車両ローリング運動の過渡応答改善効果を
奏しさせることができ、しかも、これらを検出するセン
サが大抵の場合車両に既に搭載されていることが多いこ
ともあり、簡単、且つ、安価な構成で所期の目的を達成
することができる。
加えて本発明の構成によれば、同様の理由から前記狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成するための
目標ロール減衰率がフィードフォワード型式に求められ
ることとなり、これを、極く普通のショックアブソーバ
の減衰力制御に資するだけで、横加速度入力に対して狙
った通りに車両ローリング運動の過渡応答を実現させる
ことができる。
かかるローリング運動の過渡応答のためには従来、動
力源が必要で大がかりなシステムとなる油圧式アクティ
ブサスペンションが必須であったが、本発明によればこ
れによるとほぼ同等なローリング運動の過渡応答を、極
く一般的な減衰力制御式サスペンションにおいて実現さ
せることができ、コスト上は勿論、重量的にも大いに有
利である。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基き詳細に説明する。
第2図は本発明ローリング制御装置の一実施例で、1
は操舵角θを検出するセンサ、2は車速Vを検出するセ
ンサ、3はマイクロコンピュータを示す。マイクロコン
ピュータ3は両センサ1,2からの入力情報を基にショッ
クアブソーバ制御部4を介しサスペンション装置の左右
前輪ショックアブソーバ5L,5R及び左右後輪ショックア
ブソーバ6L,6Rを減衰力制御して、本発明が目的とする
ローリング制御を行うものとする。
マイクロコンピュータ3はこの制御に当り実際には第
3図及び第4図の制御プログラムを実行するが、便宜上
機能別ブロックにより示すと、ヨーイング、横運動推定
部7と、ローリング運動推定部8と、目標ローリングモ
ーメント計算部9と、ショックアブソーバロール減衰率
決定部10とで構成される。
第3図は電源投入時開始されるメインルーチンを示
し、電源投入時1回だけ実行されるステップ31では初期
化(イニシャライズ)により後の演算で用いる 横方向速度Vy、横方向並進加速度、推定ロール角
、推定ロールレート 及び推定ロール角加速度 を夫々0にリセットする。そして、次のステップ32でΔ
t時間毎の割込みにより第4図のサブルーチンを実行す
る。
このサブルーチンでは先ずステップ41において、車速
Vおよび操舵角θを読込み、第2図中ヨーイング、横運
動推定部7に相当する次のステップ42では車速V及び操
舵角θからヨーイングと横運動に関する運動方程式を解
くことにより以下の如くに横加速度を推定して推定横加
速度を求める。
但し この運動方程式は線形2自由度2輪モデルに基づく周
知のものであるが、 Vyを求める積分方法については最も演算時かを節約でき
るオイラー法 Vy=Vy+Δtを用いるのが有利である。
第4図中ステップ43は第2図中目標ローリングモーメ
ント計算部9に相当し、ここでは、実用上問題となるロ
ール役のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望
む高応答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロール角
伝達特性に対応した規範モデルを用い、推定横加速度
のもとで上記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を
達成するための目標ローリングモーメントuを推定横加
速度及び後述する推定ロール角並びに推定ロールレ
ート から演算する。
ここでローリングモーメントについて第5図を参照し
つつ説明するに、第5図の車両51はショックアブソーバ
を持たず、横加速度入力αに対しロール剛性Kφを持っ
て任意のローリングモーメントuを発生させ得るアクチ
ュエータをサスペンション装置に具えた型式のものと
し、制御出力はロール角φ及びロールレートである。
このような車両を想定し、第5図のような状態フィード
バックシステムを考えると、制御対象である車両の状態
方程式は前記(1)式にならって次式のように表す ことができる。
次に、横加速度αに対し例えば第7図(c)中(ハ)
で示すような所望のロール応答を得るための規範モデル
を次式の様に書き表す。
一方制御入力であるローリングモーメントuは第5図
より で表され、(4),(6)式より状態フィートバックが
施された第5図に示すシステム全体の状態方程式は次の
ように求められる。
車両のロール応答を規範モデルに一致させる条件、つま
にする条件は(5),(7)式より となる。
さて第5図の場合、任意のローリングモーメントを発
生し得るアクチュエータを具えたサスペンション装置付
の車両を想定して話を進めたが、実際にはショックアブ
ソーバを具えたサスペンション装置のショックアブソー
バ減衰率を制御して目標ローリングモーメントを発生さ
せることになるため、定常的なロール角は変え得ない。
この点に鑑み規範モデルの定常特性は実車の定常特性に
一致させるよう次の規範モデルを与える。
(8),(9)式より制御ゲイン Gは次の如きものとなる。
(10)式を(6)式に代入すると、車両のロール応答を
規範モデルに一致させるための制御入力、つまり目標ロ
ーリングモーメントuは次式の如くなる。
なお、この式は第5図を想定して規範モデル(狙いと
する横加速度−ロール角伝達特性)を達成するための目
標ローリングモーメントを求める式であるが、第2図中
の計算部9に対応する第4図中のステップ43においては
入力が推定横加速度、推定ロールレート 及び推定ロール角であることから、(11)式の演算に
際しα,,φに代え, を用い、目標ローリングモーメントuを計算すること
勿論である。
第4図中ステップ44では、推定ロールレート絶対値 が微小設定値以上か末端かをチェックする。このチェッ
クは、理想的なロール減衰率φが0又は極めて小さい場合φが無限大又は極端に大き
な値となって実際のコンピュータでは計算不能になった
り、オーバーフローを起こす可能性があるために必要で
あり、このためステップ44で が極めて小さいと判別する場合、ステップ45で目標ロー
ル減衰率Cφを不都合が生じない範囲で大きな所定値に
セットする。なおCφは、この代わりに乗心地制御用の
プログラムを走らせて決定してもよい。ステップ44で が上記の問題を生じないものであると判別する時、ステ
ップ46で利用的なロール減衰率φにより演算する。このステップ46は第2図中ショックア
ブソーバロール減衰率決定部10の一部を成す演算ブロッ
ク10aに相当する。しかしてφは負値をとったり、実
際のショックアブソーバの減衰率制御範囲を越える場合
があるので、第2図中ロール減衰率決定部10の残部を成
す制限器10bに相当した次のステップ47ではφを無条
件に目標ロール減衰率Cφとせず、Cφの下限値及び上
限値を夫々Cφmin及びCφmaxに抑える。
第4図中次のステップ48は第2図におけるローリング
運動推定部8に相当するもので、ここでは前記した通り
ステップ43,46(次回のタイマ割込みによる実行時)で
用いる推定ロール角及び推定ロールレート を求めるためにローリング運動を推定し、推定ロール角
及び推定ロールレート を次回のタイマ割込み時におけるステップ43,46の実行
のためにメモリしておく。この推定は(1)式の運動方
程式と同様な の演算により行うが、, を求めるための積分方法については最も演算時間を節約
できる のオイラー法を用いるのが有利である。
第4図中次のステップ49ではステップ45又は47で決定
した目標ロール減衰率Cφを第2図に示すショックアブ
ソーバ制御部4に出力する。この制御部は目標ロール減
衰率Cφが得られるようショックアブソーバ5L,5R,6L,6
Rの減衰率を制御する。よって、ステップ43で演算した
目標ローリングモーメントuが得られることとなり、前
記の通り第7図(c)中の(ハ)の規範モデルにより与
えた横加速度−ロール角伝達特性が狙いとする通りのロ
ール角を生じさせることができる。例えば第7図の舵取
操作態様につき述べると、上記の伝達特性(規範モデ
ル)に照らしてロール減衰率Cφは第7図(d)に
(ニ)又は(ホ)で示す如くローリング発生初期に小さ
く、その後大きくなるように逐一変化され〔(ニ)は第
8図に示す如き11段階の切換ポジションを10msec毎に切
換えて、又(ホ)は連続的に変更してロール減衰率Cφ
を制御する例を示した〕、第7図(c)に(ハ)で示す
如くにロール角を発生させることができる。(ハ)特性
と、(イ)及び(ロ)特性との比較から明らかなように
本例では、横加速度に対するロール応答の速やかな減衰
(ハンチング防止)と、ロールの速かな発生とを両立さ
せることができる。
なお上述の例では、操舵角センサ1、車速センサ2及
びヨーイング、横運動推定部7により横加速度を推定し
て推定横加速度を用いたが、この代わりに加速度セン
サで車体に加わる横加速度を直接検出し、検出横加速度
を用いてもよい。
第6図は本発明の更に他の例を示し、本例では推定横
加速度を後輪操舵コントローラ61から得るようにす
る。この後輪操舵コントローラは昭和62年8月発行「計
測自動制御学会論文集」Vol.23,No.8第48頁乃至第54頁
「四輪操舵車の新しい制御法」に記載された周知のもの
で、センサ1,2で検出した操舵角θ及び車速Vに応じた
横加速度を得るための後輪操舵角δを後輪操舵系82
に指令する。従って、横加速度を推定横加速度として
マイクロコンピュータ3に入力し、前記した例と同様の
作用効果を奏し得る。
本例では、マイクロコンピュータ3が横加速度の推定
を行う必要がなくなる他に、ローリング制御用のコンピ
ュータ3と後輪操舵コントローラ81とを共通のコンピュ
ータにまとめ得る利点がある。
又、推定横加速度は横加速度目標値yrに追従するも
のであることから、に代えyrを用いてもよい。
(発明の効果) かくして本発明のローリング制御装置は、例えば前記
実施例のような構成にして、 現在の横加速度情報及びショックアブソーバの減衰率
制御指令値、並びに車両諸元を用いて車両のローリング
運動方程式を解くことにより、ショックアブソーバの減
衰率制御の結果、現在の横加速度情報のもとで車体に発
生するロール角及びロールレートを推定し、 これらの推定したロール角及び推定したロールレー
ト、並びに上記横加速度情報から、実用上問題となるロ
ール角のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望
む高応答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロール角
伝達特性に対応した規範モデルに基づき、上記横加速度
情報のもとで上記狙いとする横加速度−ロール角伝達特
性を達成可能な目標ローリングモーメントを演算し、 この目標ローリングモーメントを上記推定ロールレー
トで除算することにより、現在の横加速度情報のもとで
上記狙いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成可能
な理想的ロール減衰率を求め、 この理想的ロール減衰率となるようにショックアブソ
ーバの減衰率を制御する構成にしたから、 実用上問題となるロール角のオーバーシュートを生じ
ない範囲が運転者が望む高応答な、上記狙いとする横加
速度−ロール角伝達特性が常時に達成されるようショッ
クアブソーバの減衰率が逐一過渡制御されることとな
る。
従って、横加速度に対しロール角が実用上問題となる
ように大きく定常値からオーバーシュートすることがな
く、これがため当該オーバーシュートの反動で生ずるロ
ール角のアンダーシュートも問題になるような態様で発
生するようなことがなくなり、ローリング運動の減衰特
性を常時確実に改善し得るし、 加えて、狙いとする横加速度−ロール角伝達特性が上
記のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望む高
応答なものであることから、横加速度に対してロール角
の発生が運転者の要望から外れた遅れを生ずることもな
く、操舵フィーリングの改善も実現し得る。
以上により本発明のローリング制御装置によれば、ロ
ーリング運動のハンチング防止と、ロール応答の改善と
の、相反する要求を同時に満足させ得る車両のローリン
グ制御が実現可能である。
しかも本発明によれば上記した通り、前記狙いとする
横加速度−ロール角伝達特性を達成するための理想的な
ロール減衰率を求めるに際し、目標ローリングモーメン
トを推定ロールレートで除算して当該目標ロール減衰率
を算出することとしたから、 且つ、これら目標ローリングモーメントおよび推定ロ
ールレートを前記のような演算により求めることとも相
俟って、 横加速度情報のために操舵角および車速を検出するの
みで上記した車両ローリング運動の過渡応答改善効果を
奏しさせることができ、しかも、これらを検出するセン
サが大抵の場合車両に既に搭載されていることが多いこ
ともあり、簡単、且つ、安価な構成で所期の目的を達成
することができる。
加えて本発明の構成によれば、同様の理由から前記狙
いとする横加速度−ロール角伝達特性を達成するための
目標ロール減衰率がフィードフォワード型式に求められ
ることとなり、これを、極く普通のショックアブソーバ
の減衰力制御に資するだけで、横加速度入力に対して狙
った通りに車両ローリング運動の過渡放蕩を実現させる
ことができる。
かかるローリング運動の過渡応答のためには従来、動
力源が必要で大がかりなシステムとなる油圧式アクティ
ブサスペンションが必須であったが、本発明によればこ
れによるとほぼ同等なローリング運動の過渡応答を、極
く一般的な減衰力制御式サスペンションにおいて実現さ
せることができ、コスト上は勿論、重量的にも大いに有
利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明ローリング制御装置の概念図、 第2図は本発明装置の一実施例を示す機能ブロック線
図、 第3図及び第4図は同例におけるマイクロコンピュータ
の制御プログラムを示すフローチャート、 第5図はローリングモーメント解説用の略線図、 第6図は本発明装置の他の例を示す機能ブロック線図、 第7図は本発明装置の動作タイムチャートと従来装置の
それとを比較して示すシミュレーション図、 第8図は与えるべきロール減衰率と切り換えポジション
との関係線図である。 1……操舵角センサ 2……車速センサ 3……マイクロコンピュータ 4……ショックアブソーバ制御部 5L,5R,6L,6R……ショックアブソーバ 7……ヨーイング、横運動推定部 8……ローリング運動推定部 9……目標ローリングモーメント計算部、 10……ショックアブソーバロール減衰率決定部、 51……車両 61……後輪操舵コントローラ 62……後輪操舵系

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】減衰率を制御可能なショックアブソーバを
    具えるサスペンション装置により車輪を懸架した車両に
    おいて、 車体に作用する横加速度の情報を提供する横加速度情報
    提供手段と、 この横加速度情報及び前記ショックアブソーバの減衰率
    制御指令値、並びに車両諸元を用いて車両のローリング
    運動方程式を解くことにより、ショックアブソーバの減
    衰率制御の結果、前記横加速度情報のもとで車体に発生
    するロール角及びロールレートを推定するローリング運
    動推定手段と、 この手段により求めた推定ロール角及び推定ロールレー
    ト、並びに前記横加速度情報から、実用上問題となるロ
    ール角のオーバーシュートを生じない範囲で運転者が望
    む高応答を実現可能な、狙いとする横加速度−ロール角
    伝達特性に対応した規範モデルに基づき、前記横加速度
    情報のもとで前記狙いとする横加速度−ロール角伝達特
    性を達成可能な目標ローリングモーメントを演算する目
    標ローリングモーメント演算手段と、 この目標ローリングモーメントを、前記ローリング運動
    推定手段において推定した推定ロールレートで除算する
    ことにより、前記横加速度情報のもとで前記狙いとする
    横加速度−ロール角伝達特性を達成可能な理想的ロール
    減衰率を求めるロール減衰率決定手段と、 この理想的ロール減衰率となるよう前記ショックアブソ
    ーバの減衰率を制御するショックアブソーバ減衰率制御
    手段とを具備してなることを特徴とする車両のローリン
    グ制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記狙いとする横加速
    度−ロール角伝達特性の分母次数に対する分子次数の次
    数差を、前記ローリング運動推定手段における横加速度
    −ロール角伝達特性の分母次数に対する分子次数の次数
    差以上とした車両のローリング制御装置。
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