JPH09249159A - スペアタイヤキャリア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、部品点数および溶接工数の削減に
よって構造の簡素化とコスト低減を図り、キャリア本体
に対する線条材の抜け防止およびずれ防止の強化を図る
ことが可能なスペアタイヤキャリアを提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明では、スペアタイヤ２を保持する
キャリア本体４をパイプ部材５，６によって形成し、キ
ャリア本体４の前部側を車体の下面に回動可能に支持す
るとともに、キャリア本体４の後部側を車体に取付けた
ワイヤ８の下端のリング９に引っ掛けて係脱可能に支持
することにより、スペアタイヤ２を車体の外部下面に格
納するスペアタイヤキャリア３において、キャリア本体
４の一部を構成する第１パイプ部材５の後部側５ｂの先
端にリング９を配置する小径部７を設けるとともに、小
径部７の先端に、キャリア本体４の後部側を支持した状
態でリング９と係合可能に潰された抜止め部１０を設け
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、四輪自動車のスペ
アタイヤを車体の外部下面に格納するスペアタイヤキャ
リアに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】四輪自動車の中には、図６〜図８に示す
ように、スペアタイヤ５１を車体の外部下面に格納する
スペアタイヤキャリア５２が装備されているものがあ
る。このスペアタイヤキャリア５２は、スペアタイヤ５
１を保持するキャリア本体５３を有しており、キャリア
本体５３はパイプ部材を用いて平面略Ｕ字状に形成され
ている。そして、キャリア本体５３の前部側に位置する
左右両端部５３ａ，５３ｂは、車体の下面にヒンジ結合
されて回動可能に支持されており、後部側の中間部５３
ｃには、中実であるクランク状の丸棒５４の基端が溶接
によって固着されている。

【０００３】したがって、キャリア本体５３の後部側
は、当該丸棒５４の先端を車体に取付けられたワイヤ
（線条材）５５の下端のリング５６に引っ掛けることに
より、係脱可能に支持されている。このため、丸棒５４
の先端は、リング５６が引っ掛かるように潰された偏平
な形状に形成されている。しかして、上記丸棒５４をリ
ング５６に引っ掛けるには、図７に示すように、リング
５６を矢印ａ方向に９０゜回転させるとともに、丸棒５
４の先端をリング５６内に挿入する。しかる後、リング
５６を矢印ａ方向と逆方向に９０゜回転させて元の位置
に復帰させると、丸棒５４およびリング５６は、図８に
示すような状態となり、キャリア本体５３の後部側はワ
イヤ５５を介して車体に支持されることになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の取付構造にあっては、中空のパイプ部材によっ
て形成されたキャリア本体５３に中実の丸棒５４を溶接
する必要があるので、部品点数および溶接工数が多くな
る上、スペアタイヤキャリア５２の構造が複雑化すると
いう不具合があった。また、丸棒５４は中実であること
から、潰し加工によってリング５６に対する引っ掛かり
の形状を作製するには高さに限度があり、丸棒５４の外
周面に複数の突起５７を設けないと、ワイヤ５５のリン
グ５６が丸棒５４から抜け易く、しかも、当該リング５
６がずれ易かった。

【０００５】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、部品点数および溶接工数の
削減によって構造の簡素化とコスト低減を図り、キャリ
ア本体に対する線条材の抜け防止およびずれ防止の強化
を図ることが可能なスペアタイヤキャリアを提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、スペアタイヤ
を保持するキャリア本体をパイプ部材によって形成し、
該キャリア本体の前部側を車体の下面に回動可能に支持
するとともに、上記キャリア本体の後部側を車体に取付
けた線条材下端のリングに引っ掛けて係脱可能に支持す
ることにより、上記スペアタイヤを車体の外部下面に格
納するスペアタイヤキャリアにおいて、上記キャリア本
体の一部を構成するパイプ部材の後部側先端に上記リン
グを配置する小径部を設けるとともに、当該小径部の先
端に、上記キャリア本体の後部側を支持した状態で上記
リングと係合可能に潰された抜止め部を設けている。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。

【０００８】図１〜図５は本発明に係るスペアタイヤキ
ャリアの実施の形態を示している。図１における四輪自
動車１の車体後部には、スペアタイヤ２を車体の外部下
面に格納するスペアタイヤキャリア３が装備されてい
る。このスペアタイヤキャリア３は、スペアタイヤ２を
保持するキャリア本体４を具備しており、該キャリア本
体４は２本のパイプ部材５，６を用いて平面略Ｘ字状に
形成され、これによってスペアタイヤ２の保持が容易に
行えるようになっている。

【０００９】すなわち、上記キャリア本体４は、図２お
よび図３に示すように、２本のパイプ部材５，６をそれ
ぞれの中央位置で互いに斜めに交差させて配置し、第１
パイプ部材５を下方へ湾曲した第２パイプ部材６の中央
部分の上部に載せて相互に結合させることにより形成さ
れている。キャリア本体４の前部側は、第１パイプ部材
５の前端部５ａを直角に折曲げて起立させるとともに、
その上端部をさらに車巾方向の外側（図中、右側）へ折
曲げることによって構成されており、第１パイプ部材５
の前端部５ａを車体の下面にヒンジ結合することにより
回動可能に支持されている。

【００１０】一方、上記キャリア本体４の後部側は、第
１パイプ部材５の後端部５ｂを前端部５ａと反対方向で
あって、車巾方向の外側（図中、左側）へ折曲げること
によって構成されている。本発明の実施の形態では、第
１パイプ部材５の後端部５ｂにその先端を縮管すること
により形成した小径部７が設けられており、この小径部
７にワイヤ（線条材）８のリング９が配置されるように
なっている。また、小径部７の先端には、さらに潰し加
工によって潰された抜止め部１０が設けられている。し
かして、この抜止め部１０は、折曲げられた第１パイプ
部材５の後端部５ｂの軸心方向と直交する方向であっ
て、水平方向（前後方向）に潰された偏平な形状に形成
されており、このような偏平な形状によってキャリア本
体４の後部側を支持した状態でリング９と係合可能に構
成されている。

【００１１】上記ワイヤ８の上端は、車体の下面に取付
けられており、その下端には、キャリア本体４の後部側
を係脱可能に支持するリング９が取付けられている。こ
のリング９は、上下方向が長い楕円状に形成されてお
り、キャリア本体４の後部側を支持した状態では、リン
グ９の長円部分と第１パイプ部材５の抜止め部１０とが
互いに交差するように構成されている。

【００１２】なお、上記キャリア本体４の前部側は、第
２パイプ部材６の前端部６ａを直角に折曲げて起立され
ており、同様に起立された第１パイプ部材５の前端部５
ａと相まってスペアタイヤ２の車体前方の移動を阻止す
るようになっている。また、キャリア本体４の後部側
は、第２パイプ部材６の後端部６ｂを何ら折曲げ加工さ
れておらず、第１パイプ部材５の後端部５ｂと相まって
スペアタイヤ２の取り出しが容易に行えるようになって
いる。

【００１３】本実施の形態のスペアタイヤ２をスペアタ
イヤキャリア３に格納するには、まず、当該スペアタイ
ヤ２をキャリア本体４の上に載せ、第１パイプ部材５の
後端部５ｂを持ってキャリア本体４を上方へ回動させ
る。次いで、図４に示す状態にあるリング９を矢印ａ方
向に９０゜回転させるとともに、第１パイプ部材５の後
端部５ｂを小径部７までリング９内に挿入する。その
後、リング９を矢印ａ方向と逆方向に９０゜回転させて
元の状態に復帰させると、第１パイプ部材５の後端部５
ｂおよびリング９は、図５に示すような状態となり、キ
ャリア本体４の後部側はワイヤ８を介して車体に支持さ
れることになる（図１および図２参照）。この状態にお
けるリング９は、第１パイプ部材５の後端部５ｂと小径
部７との間の段部によって、図５中の矢印ｂ方向へのず
れが防止され、かつ、抜止め部１０によって図５中の矢
印ｃ方向への移動が阻止されて第１パイプ部材５の後端
部５ｂから抜け出るのが防止されている。

【００１４】また、スペアタイヤ２をスペアタイヤキャ
リア３から取り出すには、図５に示す状態にあるリング
９を矢印ａ方向に９０゜回転させ、キャリア本体４をや
や持ち上げながらリング９を矢印ｃ方向（図中、左方
向）へ移動させて外し、第１パイプ部材５の後端部５ｂ
との係合を解除して、キャリア本体４を下方へ回動させ
る。その後、スペアタイヤ２をキャリア本体４から持ち
上げて取り出せばよい。

【００１５】本実施の形態のスペアタイヤキャリア３に
おいては、キャリア本体４の一部を構成する第１パイプ
部材５を利用し、その後端部５ａに小径部７および抜止
め部１０を一体的に設けて、キャリア本体４の後部側を
ワイヤ８のリング９により支持しているため、従来のよ
うに別部品の丸棒を使用せずに済み、これに伴って、溶
接作業も省略することができる。

【００１６】以上、本発明の実施の形態につき述べた
が、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではな
く、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変
更が可能である。

【００１７】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係るスペアタイヤ
キャリアは、スペアタイヤを保持するキャリア本体をパ
イプ部材によって形成し、該キャリア本体の前部側を車
体の下面に回動可能に支持するとともに、上記キャリア
本体の後部側を車体に取付けた線条材下端のリングに引
っ掛けて係脱可能に支持することにより、上記スペアタ
イヤを車体の外部下面に格納するものであって、上記キ
ャリア本体の一部を構成するパイプ部材の後部側先端に
上記リングを配置する小径部を設けるとともに、当該小
径部の先端に、上記キャリア本体の後部側を支持した状
態で上記リングと係合可能に潰された抜止め部を設けて
いるので、線条材のリングによってキャリア本体の後部
側を支持するに当たり、別部品の丸棒を溶接によって固
着する必要がなくなり、部品点数および溶接工数の削減
により構造の簡素化とコストダウンを図ることができ
る。また、本発明のスペアタイヤキャリアは、パイプ部
材の後部側先端に設けた小径部および抜止め部によって
線条材の抜けとずれを確実に防げるので、線条材の抜け
防止およびずれ防止を強化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るスペアタイヤキャリ
アによってスペアタイヤが車体の外部下面に格納されて
いる自動車の車体後部を示す斜視図である。

【図２】上記スペアタイヤキャリアを示す斜視図であ
る。

【図３】上記スペアタイヤキャリアを示す平面図であ
る。

【図４】上記スペアタイヤキャリアのキャリア本体をワ
イヤのリングに引っ掛ける前の状態を拡大して示す斜視
図である。

【図５】図２におけるＡ部を拡大して示す斜視図であ
る。

【図６】従来のスペアタイヤキャリアによってスペアタ
イヤが車体の外部下面に格納されている状態を示す斜視
図である。

【図７】従来のスペアタイヤキャリアのキャリア本体を
ワイヤのリングに引っ掛ける前の状態を拡大して示す斜
視図である。

【図８】従来のスペアタイヤキャリアのキャリア本体を
ワイヤのリングに引っ掛けた状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 四輪自動車 ２ スペアタイヤ ３ スペアタイヤキャリア ４ キャリア本体 ５ 第１パイプ部材 ５ａ 第１パイプ部材の前端部 ５ｂ 第１パイプ部材の後端部 ６ 第２パイプ部材 ７ 小径部 ８ ワイヤ ９ リング １０ 抜止め部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スペアタイヤを保持するキャリア本体を
   パイプ部材によって形成し、該キャリア本体の前部側を
   車体の下面に回動可能に支持するとともに、上記キャリ
   ア本体の後部側を車体に取付けた線条材下端のリングに
   引っ掛けて係脱可能に支持することにより、上記スペア
   タイヤを車体の外部下面に格納するスペアタイヤキャリ
   アにおいて、上記キャリア本体の一部を構成するパイプ
   部材の後部側先端に上記リングを配置する小径部を設け
   るとともに、当該小径部の先端に、上記キャリア本体の
   後部側を支持した状態で上記リングと係合可能に潰され
   た抜止め部を設けたことを特徴とするスペアタイヤキャ
   リア。