JPH09248802A - ソーチェーン及びその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

ソーチェーン及びその製造方法並びにその製造装置

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JPH09248802A
JPH09248802A JP5963396A JP5963396A JPH09248802A JP H09248802 A JPH09248802 A JP H09248802A JP 5963396 A JP5963396 A JP 5963396A JP 5963396 A JP5963396 A JP 5963396A JP H09248802 A JPH09248802 A JP H09248802A
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cutter
saw chain
link
gas
brazing
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Application number
JP5963396A
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English (en)
Inventor
Hideo Sugihara
秀雄 杉原
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Diatop Corp
Original Assignee
Diatop Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】カッターリンクのカッター部が焼鈍される部分
を最小限に抑える。 【解決手段】ソーチェーン本体1のドライブリンク2に
は所定の間隔をおいてカッターリンク5が設けられてい
る。このカッター部9はカッター胴部9aと、カッター
胴部9aの先端から右側方に突設されたカッター頂部9
bとから一体的に構成されている。カッター頂部9bの
上面には超硬チップ10が蝋付けにより固着されてい
る。そして、超硬チップ10をカッター頂部9bに蝋付
けする際において、吹出しパイプ23の各分岐部23
a,23bから窒素ガスが吹き出されるため、カッター
胴部9aも強制的に冷却される。従って、カッターリン
ク5の硬度はカッター頂部9bを除き、蝋付けによる熱
に影響されることなく焼入時のまま保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソーチェーン及び
その製造方法並びにその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ソーチェーン及びその製造方法と
しては、例えば、特公平7−102525号公報に示さ
れるものがある。このソーチェーンではその長手方向に
沿って複数のドライブリンクが並設され、各ドライブリ
ンクはその両側に設けられたサイドリンクを介してそれ
ぞれ相対回動可能に連結されている。所定数個をおいて
ドライブリンクの一側には、前記サイドリンクに代えて
隣合う各ドライブリンクを跨ぐようにカッターリンクが
設けられている。そして、カッターリンク及びドライブ
リンクはリベットにて相対回動可能に連結されている。
前記カッターリンクは焼入されており、その先端は前記
ドライブリンクの外縁よりも外方へ突出されたカッター
部となっている。又、カッター部の先端面には超硬チッ
プが蝋付けにより固着されている。そして、ソーチェー
ン本体が回転するのに伴い超硬チップが回転すると、被
切削物が切削される。このとき、カッター部には超硬チ
ップを介して剪断力が加わる。
【0003】又、前記ソーチェーンを製造する方法とし
ては、カッターリンク及びサイドリンク等がすでに組み
付けられたソーチェーン本体のカッター部の先端面にピ
ンセット等を用いて銀片を載置し、更にこの銀片の上に
超硬チップを載置する。次に、ソーチェーン本体の内側
からカッターリンクに対して冷却水(又は冷却油)を入
れた水槽を接近させ、ドライブリンク及びカッターリン
クの一部分を水浴させる。即ち、カッターリンクにおい
ては、そのカッター部を除き同カッターリンクの基端部
からリベットまでを水浴させる。この状態で、前記超硬
チップに対して高周波加熱装置の加熱コイルを接近さ
せ、同コイルにより銀片を溶融する。すると、カッター
部の先端面に対して超硬チップが蝋付により固着され
る。このとき、蝋付けに伴う熱がカッター部に向かって
伝導される。しかし、カッターリンクの基端からリベッ
ト付近にかけては冷却水により冷却されているため、カ
ッター部の先端側から基端側にかけて全体的に焼鈍され
るが、その焼鈍度はカッター部の基端側へ向かう程次第
に低くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記ソーチ
ェーンでは、蝋付け時の加熱によりカッター部の先端側
から基端側にかけての部分、即ち、リベット近傍が焼鈍
されてしまうため、カッター部の強度は十分なものとい
えなかった。即ち、焼鈍される範囲は極力小さいのが望
ましいが、この範囲が大きい場合、被切削物を切断する
際においてカッター部に過大な剪断力がかかると、その
剪断力に十分に耐え得ることができない。従って、カッ
ターリンクが破損するおそれがあった。
【0005】又、ソーチェーンの製造方法では、超硬チ
ップを蝋付けする際の冷却は冷却水(又は冷却油)によ
り行っているため、カッター部全体を冷却することがで
きなかった。即ち、カッターリンク基端からカッター部
までを冷却水内に水浴しようとすれば、超硬チップの蝋
付けに支障をきたすため、冷却水による冷却にはおのず
と限界があった。従って、カッター部の硬度が焼入状態
のまま保持されている部分は少なかった。
【0006】この発明は前記各問題を解決するためにな
されたものであり、第1の目的は、カッターリンクのカ
ッター部が破損するのを確実に防止することにある。
又、第2の目的は、カッターリンクのカッター部が焼鈍
される部分を最小限に抑えることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ソーチェーン本体の長手方向に沿って複数のドライ
ブリンクを相対回動可能に連結し、前記ドライブリンク
には焼入されたカッターリンクを所定の間隔おきに設
け、前記カッターリンクにはカッター部をドライブリン
クの外端よりも外方へ突設し、前記カッター部の先端に
は超硬チップを気中における冷却状態で蝋付けにより固
着したことを要旨とする。従って、請求項1に記載の発
明によれば、ソーチェーン本体を回転させて被切削物を
切削する際、超硬チップを介してカッター部に切削抵抗
に伴う剪断力が加わっても、カッター部の大部分は焼入
状態の硬度に保持されているため、前記剪断力に十分に
耐え得る。
【0008】請求項2に記載の発明は、ソーチェーン本
体の長手方向に沿って複数のドライブリンクを相対回動
可能に連結し、前記ドライブリンクには焼入されたカッ
ターリンクを所定の間隔おきに設け、前記カッターリン
クにはカッター部をドライブリンクの外端よりも外方へ
突設し、前記カッター部の先端には超硬チップを蝋付け
により固着したソーチェーンにおいて、前記カッター部
を気中において冷却し、その状態で前記カッター部の先
端に超硬チップを蝋付けにより固着するようにしたこと
を要旨とする。従って、請求項2に記載の発明によれ
ば、カッター部の先端に超硬チップを蝋付けすると、蝋
付け時の熱によりカッター部は加熱されようとするが、
気中において冷却されているため、焼鈍される部分は少
なくなる。
【0009】請求項3に記載の発明は、前記カッター部
の周囲に気体吹付手段を設け、この気体吹付手段からの
気体がカッター部に吹き付けられることにより、同カッ
ター部は冷却され、この冷却状態でカッター部に超硬チ
ップは蝋付けされることを要旨とする。従って、請求項
3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用
に加え、カッター部に吹付けられる冷却媒体は気体であ
るため、気体吹付手段から吹き出される気体の向きを変
更することが可能となる。即ち、冷却位置を設定するこ
とが容易なものとなる。
【0010】請求項4に記載の発明は、前記カッター部
に吹き付けられる気体は不活性ガスであることを要旨と
する。従って、請求項4に記載の発明によれば、請求項
3に記載の発明の作用に加え、超硬チップを蝋付けする
際に、加熱されようとするカッター部に不活性ガスが吹
き付けられると、同カッター部の加熱部分が空気に接触
しなくなる。即ち、カッター部に含まれる炭素と空気中
に含まれる酸素と結合しなくなる。
【0011】請求項5に記載の発明は、前記請求項1に
記載のソーチェーンのカッター部に超硬チップを蝋付け
する時に同カッター部に対して気体を吹付ける気体吹付
け手段を有することを要旨とする。従って、請求項5に
記載の発明によれば、カッター部に超硬チップを蝋付け
する際において、カッター部に対して気体吹付け手段か
ら気体が吹き付けられる。即ち、カッター部の先端に超
硬チップを蝋付けすると、蝋付け時の熱によりカッター
部は加熱されようとするが、気体にて冷却されているた
め、焼鈍される部分は少なくなる。
【0012】請求項6に記載の発明は、前記気体吹付け
手段は気体の吹付け向きを変更可能とされていることを
要旨とする。従って、請求項6に記載の発明によれば、
請求項5に記載の発明の作用に加え、気体吹付手段から
吹き出される気体の向きを変更することにより、冷却位
置を設定することが容易なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明をチェーンソーのソ
ーチェーン及びその製造方法並びにその製造装置に具体
化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】図1(a),(b)に示すように、無端状
をなすソーチェーン本体1にはその長手方向に沿って複
数のドライブリンク2が所定の間隔をおいて並設されて
いる。このドライブリンク2の左右両側(図1(b)の
左右方向)には隣合う各ドライブリンク2を跨ぐように
サイドリンク3がそれぞれ設けられている。そして、両
リンク2,3はリベット4により互いに連結され、リベ
ット4の軸心を中心にして相対回動可能となっている。
【0015】前記ドライブリンク2の左右両側面には所
定個数毎に前記サイドリンク3が省略され、このサイド
リンク3の代わりに複数のカッターリンク5が隣合う各
ドライブリンク2を跨ぐように設けられている。即ち、
カッターリンク5は所定の間隔をおいてドライブリンク
2の左右両側面に対し交互に配置されている。そして、
このカッターリンク5及びドライブリンク2は、リベッ
ト6により互いに連結され、このリベット6の軸心を中
心にして相対回動可能となっている。なお、図1
(a),(b)においては、カッターリンク5が左側に
配置されているソーチェーン本体1の一部分のみを拡大
して示す。
【0016】前記カッタ−リンク5の外端における前後
方向(図1(a)の左右方向)ほぼ中央には切欠部7が
形成されている。この切欠部7を境にしてカッターリン
ク5の前端は切込量制限突部8とされ、後端はカッター
部9とされている。このカッター部9はカッター胴部9
aと、このカッター胴部9aの先端から右側方に突設さ
れたカッター頂部9bとから一体的に構成されている。
即ち、カッター部9の基端から先端部にかけてはカッタ
ー胴部9aとなっており、カッター部9の先端は頂部9
bとなっている。前記切込量制限突部8の先端縁はカッ
ター頂部9bの上面よりも若干下側に位置され、両者
8,9bの位置関係に基づき被切削物の切込み量が決定
される。
【0017】又、図1(b)に示すように、前記カッタ
ー胴部9aの上部は断面略く字状に形成され、同カッタ
ー胴部9aの右側面には前後方向に沿って凹部9cとな
っている。カッター頂部9bの上面には超硬チップ10
が蝋付けにより固着されている。そして、カッター頂部
9bを除くカッターリンク5全体は焼入れされており、
焼入時の硬度がムラなく均一に保持されている。しか
も、切込量制限突部8及びカッター胴部9aには脱炭層
が生じていないため、カッター胴部9aの硬度は低下す
ることなく、焼入時のままに保持されている。即ち、切
込量制限突部8及びカッター胴部9aの硬度は被切削物
を切削する際の剪断力に対して十分に耐え得るものであ
る。
【0018】次に、前記カッター頂部9bに超硬チップ
10を蝋付けするための蝋付け装置について説明する。
図2に示すように、蝋付け装置11には支持台12が設
けられ、その前部上面にはステッピングモータ13が固
着されている。ステッピングモータ13の駆動軸14の
先端部にはスプロケット15が固着され、スプロケット
15は駆動軸14の回転に伴い一体的に回転するように
なっている。又、支持台12には図示しないブラケット
を介してソーチェーンホルダ16が取着され、このソー
チェーンホルダ16にはソーチェーン本体1が上下方向
に沿うように掛装可能とされている。前記ソーチェーン
ホルダ16は所定間隔をおいて対向する一対のガイド板
17から構成されている。各ガイド板17の上部には前
記駆動軸14が軸受け18を介して回転可能に貫通支持
され、両ガイド板17間には前記スプロケット15が配
設されている。
【0019】図3(a),(b)に示すように、前記ス
プロケット15には前記ソーチェーン本体1のドライブ
リンク2が噛合可能となっている。この噛合時において
ドライブリンク2の内側は両ガイド板17間に係入され
るとともに、カッターリンク5及びサイドリンク3の内
端は各ガイド板17の外周面に当接支持されるようにな
っている。そして、前記駆動軸14の回転に伴いスプロ
ケット15が回転されると、ソーチェーン本体1は所定
の方向へ送り出されるようになっている。ソーチェーン
本体1の送り出し時において、ドライブリンク2の内端
部が両ガイド板17の内側面にてガイドされながら、カ
ッターリンク5及びサイドリンク3は各ガイド板17の
外周面上を摺動するようになっている。
【0020】図2に示すように、前記ステッピングモー
タ13の後方における支持台12の上面には高周波加熱
装置19が配設され、その前面には取付金具20を介し
て加熱コイル21が取着されている。図3(a),
(b)に示すように、この加熱コイル21の先端はソー
チェーンホルダ16頂部の真上に配置されている。即
ち、チェーンホルダ16の頂部に位置するソーチェーン
本体1のカッター頂部9bに対して接近配置されてい
る。
【0021】又、図2に示すように、高周波加熱装置1
9の前側における支持台12の上面にはブラケット22
が設けられ、このブラケット22には二股状をなす気体
吹付け手段としての吹出しパイプ23が固定されてい
る。この吹出しパイプ23の基端はガス管24を介して
図示しない窒素ガスボンベに接続されている。このガス
管24上には手動式の流量調節バルブ25と流量計26
とが設けられている。そして、この流量調節バルブ25
の開度を調節することにより、窒素ガスボンベから吹出
しパイプ23に供給される窒素ガス量を自在に調節可能
となっている。
【0022】図3(a),(b)に示すように、前記吹
出しパイプ23は二方向に分岐され、各分岐部23a,
23bの先端はソーチェーンホルダ16の頂部から左右
(図3(b)の左右方向)斜め上方に配置されている。
即ち、ソーチェーンホルダ16に掛装されたソーチェー
ン本体1の左右両側は、前記吹出しパイプ23の両分岐
部23a,23b間に挟み込まれるように配置されてい
る。各分岐部23a,23bの先端内側面には複数のガ
ス流出孔27がそれぞれ対向して透設されている。この
ガス流出孔27は分岐部23a,23bの長手方向に沿
って上下二列に分けて配列され、各列につき四個有して
いる。
【0023】そして、各分岐部23a,23bのガス流
出孔27から吹出る窒素ガスにより、ソーチェーンホル
ダ16の頂部に位置するカッターリンク5の左右両側面
は冷却されるようになっている。即ち、下列に位置する
四個のガス流出孔27から吹出る窒素ガスにより、カッ
ターリンク5の基端部が冷却される。又、上列に位置す
る四個のガス流出孔27から吹出る窒素ガスにより、カ
ッターリンク5の先端部、即ちカッター胴部9a及び切
込量制限突部8が冷却される。従って、窒素ガスの吹付
けによりカッターリンク5の左右両側面全体が冷却され
る。なお、カッターリンク5に吹付けられる窒素ガスは
マイナス温度となっている。
【0024】次に、ソーチェーンの製造方法について説
明する。なお、焼入されたカッターリンク5は既にドラ
イブリンク2に組付けられ、超硬チップ10をカッター
リンク5のカッター頂部9bに蝋付けする工程を残すの
みとなっている。
【0025】この超硬チップ10が蝋付けされていない
ドライブリンク2の内側を、ソーチェーンホルダ16の
両ガイド板17間に係入してスプロケット15に噛合
し、カッターリンク5及びサイドリンク3を両ガイド板
17の外周面に当接支持する。これにより、ソーチェー
ン本体1はソーチェーンホルダ16に掛装される。この
状態で、図示しない操作スイッチを操作すると、ステッ
ピングモータ13の駆動軸14が回転されるのに伴いス
プロケット15も回転され、ソーチェーン本体1はソー
チェーンホルダ16にガイドされながら間欠的に周回移
動する。そして、カッターリンク5のカッター頂部9b
の上面が加熱コイル21の真下に位置したら、前記操作
スイッチを操作してステッピングモータ13を駆動停止
し、ソーチェーン本体1の周回移動を停止させる。
【0026】その後、カッター頂部9bの上面にフラッ
クスを塗り、銀蝋及び超硬チップ10を順に載置する。
そして、図示しない加熱スイッチの操作により高周波加
熱装置19の加熱コイル21を加熱すると、その熱によ
り銀蝋が溶融され、超硬チップ10はカッター頂部9b
に蝋付けされる。
【0027】前記加熱コイル21を加熱し始めるのと同
時に、流量調節バルブ25を開いて窒素ガスを吹出しパ
イプ23に供給する。すると、吹出しパイプ23の各分
岐部23a,23bから各ガス流出孔27を介して窒素
ガスが吹き出される。そして、両分岐部23a,23b
から吹き出される窒素ガスにより、カッターリンク5の
左右両側面が冷却される。即ち、カッターリンク5の基
端側のみならず、先端側のカッター胴部9a及び切込量
制限突部8も強制的に冷却される。この結果、カッター
リンク5の硬度はカッター頂部9bを除き、蝋付けによ
る熱に影響されることなく焼入時のまま保持される。
【0028】又、蝋付け時の熱にて加熱されたカッター
リンク5には不活性の窒素ガスが吹付けられるため、カ
ッターリンク5の加熱面付近の空気が排除される。従っ
て、カッターリンク5中に含まれる炭素と空気中に含ま
れる酸素とが結合されなくなり、カッターリンク5の表
面に脱炭層が全く生じなくなる。以上のように、カッタ
ーリンク5に超硬チップ10を蝋付けする一連の作業し
た後は、上述した動作を繰り返して他のカッターリンク
5に超硬チップ10を蝋付けする。
【0029】次に、上記の方法により製造されたソーチ
ェーンの作用について説明する。図示しないチェーンソ
ーに装着されたソーチェーン本体1を回転させて被切削
物を切削すると、その超硬チップ10を介してカッター
リンク5のカッター胴部9a及び切込量制限突部8に対
して剪断力が加わる。このとき、カッターリンク5のカ
ッター胴部9a及び切込量制限突部8は前述したように
焼入時の硬度が保持されているため、前記剪断力に対し
て十分に耐え得る。
【0030】本実施形態は以下に示す(1)〜(10)
の効果を有する。 (1)カッターリンク5の切込量制限突部8及びカッタ
ー胴部9aは焼入時の硬度に保持されているため、被切
削物を切削する際に加わる剪断力にも十分に耐えられ
る。従って、切込量制限突部8及びカッター胴部9aが
破損するのを確実に防止することができる。
【0031】(2)カッターリンク5の切込量制限突部
8及びカッター胴部9aには脱炭層が生じていないた
め、被切削物を切削する際に加わる剪断力にも十分に耐
えられる。従って、切込量制限突部8及びカッター胴部
9aが破損するのをより一層確実に防止することができ
る。
【0032】(3)カッターリンク5のカッター頂部9
bに超硬チップ10を蝋付けする際において、気体であ
る窒素ガスの吹付けにより冷却したため、カッターリン
ク5の切込量制限突部8及びカッター頂部9bに窒素ガ
スが十分に行きわたる。そのため、液体である冷却水等
と異なり、カッターリンク5の切込量制限突部8及びカ
ッター胴部9aを十分に冷却できるため、蝋付けする際
の熱により同切込量制限突部8及びカッター胴部9aが
焼鈍されなくなる。換言すれば、カッターリンク5の大
部分の硬度を焼入時のままに保持できる。従って、カッ
ターリンク5の強度が低下するのを防止できる。又、カ
ッターリンク5の表面は窒素ガスにより冷却される。そ
のため、蝋付け時の加熱によりカッターリンク5の表面
に脱炭層は生じなくなる。従って、カッターリンク5の
強度が低下するのをより一層防止できる。
【0033】(4)蝋付け時におけるカッターリンク5
の冷却に窒素ガスを用て吹出し温度をマイナス温度で吹
き付けたため、冷却効果をより一層高めることができ
る。 (5)流量調節バルブ25の開度を調節することにより
窒素ガスの吹付け量を調節できるため、蝋付け時におい
てカッターリンク5の形状や材質等に応じて最適な冷却
を実現できる。しかも、窒素ガスの吹付け量を調節すれ
ば、カッターリンク5の冷却温度を自在に調節すること
ができる。
【0034】(6)蝋付け時におけるカッターリンク5
の冷却に使用される窒素ガスは不活性ガスであるため、
蝋付けによる加熱部分付近の空気が排除される。従っ
て、カッター胴部9aに含まれる炭素と空気中に含まれ
る酸素と結合されなくなるので、切込量制限突部8及び
カッター胴部9aには脱炭層が生じるのを確実に防止で
きる。
【0035】(7)超硬チップ10の蝋付け時におい
て、窒素ガスにて冷却した場合には冷却水で冷却する場
合と異なり、ソーチェーン本体1のカッター胴部9aま
で冷却しても蝋付けによる熱にて多量の水蒸気が発生す
ることはない。又、窒素ガスにて冷却した場合には冷却
油で冷却する場合と異なり、多量の煙が発生することは
ない。従って、水蒸気や煙にて邪魔されることなく、蝋
付けし易くなり、その作業効率を向上することができ
る。
【0036】(8)超硬チップ10の蝋付け後におい
て、窒素ガスにてカッターリンク5を冷却した場合には
冷却水で冷却した場合と異なり、ソーチェーン本体1の
水切り、乾燥、防錆等の後処理工程が不要になる。又、
窒素ガスにて冷却した場合には冷却油で冷却した場合と
異なり、ソーチェーン本体1に付着した油の除去作業が
不要になる。従って、これらの余分な作業を必要としな
いため、蝋付け作業工程を減らすことができる。又、窒
素ガスにて冷却した場合には冷却油で冷却した場合と異
なり、カッターリンク5に付着した油を洗剤等を用いて
除去不要であるため、洗浄廃液等の廃棄物を処理する必
要もない。従って、窒素ガスによる冷却では蝋付け後に
廃棄物を処理する必要が全くないため、後処理にコスト
がかからず、経済的に優れている。
【0037】(9)蝋付け装置11には冷却水で冷却す
る場合と異なり、冷却水を収容する大型の水槽等が不要
となるため、蝋付け装置11全体を小型化かつ簡素化す
ることができる。
【0038】(10)蝋付け装置11のソーチェーンホ
ルダ16にはソーチェーン本体1が上下方向に沿うよう
に掛装可能としたため、蝋付け装置11の前後左右長さ
は短くなる。従って、蝋付け装置11の前後左右方向の
設置スペースを少なくすることができるとともに、蝋付
け装置11全体を小型化することができる。
【0039】なお、本発明は前記実施形態以外に以下の
ように構成してもよい。 (a)前記実施形態では、吹出しパイプ23の各分岐部
23a,23bには複数のガス流出孔27を透設した
が、この構成以外にも以下のように変更することも可能
である。即ち、図4(a),(b)に示すように、各分
岐部23a,23bの先端には銅製等からなる五つのフ
レキシブル管30を設け、各フレキシブル管30から窒
素ガス等の気体を吹き出すようにしてもよい。この構成
にすれば、フレキシブル管30の曲げ角度を変更するこ
とにより、気体の吹付け方向を自在に調節することがで
きる。又、前記フレキシブル管30の数は自由に増減さ
せてもよく、例えば、図5に示すように、各分岐部23
a,23bの先端に六つのフレキシブル管30を上下二
列に分けて配置し、各フレキシブル管30の先端が同列
とならないようにしてもよい。更に、図6に示すよう
に、各フレキシブル管30の先端が同列となるように変
更してもよい。
【0040】(b)前記実施形態では、カッター頂部9
bの上面全体に超硬チップ10が蝋付けされたタイプの
ソーチェーン本体1に具体化したが、図4(a),
(b)に示すように、カッター頂部9bの前端部に超硬
チップ10aが蝋付けされたソーチェーン本体1に具体
化してもよい。このタイプのソーチェーン本体1では、
カッター頂部9bの後端部も冷却することができる。
【0041】(c)前記実施形態では、窒素ガスの吹き
付けによりカッターリンク5を冷却しながら蝋付けを行
ったが、例えば、雰囲気の温度が氷点下であるボックス
内や室内等でカッターリンク5を蝋付けしてもよい。
又、カッターリンク5を十分に冷却した後で蝋付けして
もよい。
【0042】(d)前記実施形態では、カッターリンク
5の冷却に窒素ガスを使用したが、このガス以外にも、
空気やアルゴンガス等に変更してもよい。特に、空気に
すれば、製造コストを低減することができる。
【0043】(e)前記実施形態では、吹出しパイプ2
3を二股状にし、そのガス流出孔27から窒素ガスをカ
ッターリンク5の左右両側面に対して吹き付けたが、左
右両側面のうち何れか一方の面に対して吹き付けるよう
にしてもよい。
【0044】(f)前記実施形態では、カッターリンク
5の左右両側に窒素ガスを吹付けたが、前後からも吹付
けるようにしてもよい。 (g)前記実施形態では、ドライブリンク2にカッター
リンク5を組付けた後にカッター胴部9aに対し超硬チ
ップ10を蝋付けしたが、カッターリンク5を組付ける
前に超硬チップ10を窒素ガスを吹付けながら蝋付けし
てもよい。
【0045】(h)前記実施形態では、カッター頂部9
bに超硬チップ10を蝋付けしたが、カッター頂部9b
を省略したカッター部9に超硬チップ10を蝋付けして
もよい。
【0046】次に、前記実施形態から把握できる請求項
以外の技術的思想について、それらの効果と共に記載す
る。 (A)前記カッター部は脱炭層が排除されている請求項
1に記載のソーチェーン。この構成によれば、カッター
部が破損するのをより一層確実に防止することができ
る。
【0047】(B)前記不活性ガスは窒素ガスである請
求項4に記載のソーチェーンの製造方法。この方法によ
れば、安価な窒素ガスを使用することにより、カッタ部
を冷却する際のランニングコストを低減することができ
る。
【0048】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、カッタ
ー部を焼入時の硬度に保持したため、被切削物を切削す
る際に加わる剪断力に対して十分に耐えることができ
る。従って、カッター部が破損するのを確実に防止する
ことができる。
【0049】請求項2に記載の発明によれば、蝋付け時
の加熱によってカッター部が焼鈍されないため、その強
度の低下を確実に防止することができる。請求項3に記
載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加
え、カッター部を冷却するのに気体を使用したため、冷
却位置の設定変更を自在にすることができる。
【0050】請求項4に記載の発明によれば、請求項3
に記載の発明の効果に加え、カッター部に脱炭層が生じ
ないようにしため、カッター部の強度が低下するのを確
実に防止することができる。
【0051】請求項5に記載の発明によれば、蝋付け時
の加熱によっカッター部が焼鈍されないため、その強度
の低下を確実に防止することができる。請求項6に記載
の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、
冷却位置の設定変更を自在にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、(a)はソーチェ
ーン本体の拡大左側面図、(b)は(a)のX−X断面
図。
【図2】同じく、蝋付け装置の斜視図。
【図3】同じく、(a)は蝋付け装置にソーチェーン本
体を掛装した拡大左側面図、(b)は(a)のY−Y断
面図。
【図4】別の実施形態を示し、(a)は蝋付け装置にソ
ーチェーン本体を掛装した拡大左側面図、(b)は
(a)のZ−Z断面図。
【図5】同じく、フレキシブル管の側面図。
【図6】同じく、フレキシブル管の側面図。
【符号の説明】
1…ソーチェーン本体、2…ドライブリンク、5…カッ
ターリンク、9…カッター部、10…超硬チップ、23
…吹出しパイプ(気体吹付け手段)。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ソーチェーン本体の長手方向に沿って複数
    のドライブリンクを相対回動可能に連結し、前記ドライ
    ブリンクには焼入されたカッターリンクを所定の間隔お
    きに設け、前記カッターリンクにはカッター部をドライ
    ブリンクの外端よりも外方へ突設し、前記カッター部の
    先端には超硬チップを気中における冷却状態で蝋付けに
    より固着したソーチェーン。
  2. 【請求項2】ソーチェーン本体の長手方向に沿って複数
    のドライブリンクを相対回動可能に連結し、前記ドライ
    ブリンクには焼入されたカッターリンクを所定の間隔お
    きに設け、前記カッターリンクにはカッター部をドライ
    ブリンクの外端よりも外方へ突設し、前記カッター部の
    先端には超硬チップを蝋付けにより固着したソーチェー
    ンにおいて、 前記カッター部を気中において冷却し、その状態で前記
    カッター部の先端に超硬チップを蝋付けにより固着する
    ようにしたソーチェーンの製造方法。
  3. 【請求項3】前記カッター部の周囲に気体吹付手段を設
    け、この気体吹付手段からの気体がカッター部に吹き付
    けられることにより、同カッター部は冷却され、この冷
    却状態でカッター部に超硬チップは蝋付けされる請求項
    2に記載のソーチェーンの製造方法。
  4. 【請求項4】前記カッター部に吹き付けられる気体は不
    活性ガスである請求項3に記載のソーチェーンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記請求項1に記載のソーチェーンのカッ
    ター部に超硬チップを蝋付けする時に同カッター部に対
    して気体を吹付ける気体吹付け手段を有するソーチェー
    ンの製造装置。
  6. 【請求項6】前記気体吹付け手段は気体の吹付け向きを
    変更可能とされている請求項5に記載のソーチェーンの
    製造装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007526146A (ja) * 2004-03-05 2007-09-13 ドルマール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング コンクリートソーチェーン
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WO2021076039A1 (en) * 2019-10-17 2021-04-22 Husqvarna Ab A chainsaw cutting link, a saw chain, a method of manufacturing a cutting link, and use of a cutting link

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