JPH09238612A - 油脂乳化組成物及びその製造方法 - Google Patents

油脂乳化組成物及びその製造方法

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JPH09238612A
JPH09238612A JP8047160A JP4716096A JPH09238612A JP H09238612 A JPH09238612 A JP H09238612A JP 8047160 A JP8047160 A JP 8047160A JP 4716096 A JP4716096 A JP 4716096A JP H09238612 A JPH09238612 A JP H09238612A
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Atsuko Tashiro
厚子 田代
Toru Onishi
透 大西
Shinichi Hashimoto
愼一 橋本
Toshihiko Nishiyama
敏彦 西山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量の乳成分でも十分な乳風味、呈味、コク
味、及び香りを発現するクリーム類、マーガリン類等の
油脂乳化組成物及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
合体の乳酸発酵物を含有することを特徴とする油脂乳化
組成物及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、豊かな乳風味、呈
味、コク味および香りを有する油脂乳化組成物及びその
製造方法に関する。更に詳しくは、コーヒー用クリー
ム、ホイップ用クリーム、アイスクリーム等の水中油型
油脂乳化組成物、マーガリン、ショートニング等の油中
水型油脂乳化組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】牛乳を遠心分離して得られる生クリーム
や、この生クリームをさらにチャーニングして得られる
バターは、天然の好ましい乳風味、呈味、コク味および
香りを有しており、ホイップ用、バタークリーム用、コ
ーヒー用等の他、製菓用、製パン用、調理用として幅広
く用いられている。しかしながら、生クリームやバター
は高価であること、また、その履歴加工条件(乳牛の種
類、飼料、分離温度、エージング条件、殺菌温度等)に
よりその物性は不安定であり、使用上制約されると言っ
た問題がある。
【0003】これらの品質上、特性上及び価格上の問題
を解決するために、動植物性食用油脂を用いた合成クリ
ームやマーガリンが開発されている。しかし、これらの
合成クリームやマーガリンは風味的には満足できるもの
ではなく、乳風味、呈味、コク味および香りを発現させ
るために、多くの生クリーム或いはバターを使用してい
るのが現状である。
【0004】近年、これらの課題を解決するために、い
くつかの方法が提案されている。乳脂肪を用いる場合、
それがバターオイルの形であるとき、リン脂質は失われ
ており、乳脂肪と脱脂粉乳を用いて還元乳を作成する場
合、リン脂質を含有するバターミルクパウダーを添加す
ることにより乳のコクを与えることは従来周知の事実で
あり(乳技協資料、Vol.28、No.3、1987)、このリン脂
質と蛋白質が結合した構造を持つリポタンパク質を配合
する方法が見い出されている。
【0005】例えば、卵黄を配合することにより天然生
クリームに近似した風味物性を有する気泡性乳化物の製
造方法(特開昭58−179454)、或いは水中油型
油脂乳化組成物中に脂質と蛋白質との結合体である脂質
蛋白質複合体を配合することにより、乳味感、コク味感
を向上させるという試み(特開平5−236896)が
なされている。
【0006】しかしながら、これらいずれの方法に於い
ても風味を十分に満足させることはできず、さらに製造
面での手間やコスト等の点でも問題があるものである。
そこで本発明者らは、以上のような課題を解決するため
に、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体を含有
する油脂乳化組成物及びその製造方法に関して特許出願
(特開平8−000170)をした。
【0007】この有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との
複合体を配合することで、上記の課題はある程度解決す
ることができた。しかしながら、風味を十分に満足させ
るためには乳成分を併用することが好ましく、更に香り
においては不十分なものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
状況を鑑み、少量の乳成分でも十分な乳風味、呈味、コ
ク味および香りを発現するクリーム類、マーガリン類等
の油脂乳化組成物及びその製造方法を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決しょうとするための手段】本発明者らは上
記課題を解決すべく鋭意研究の結果、有機酸モノグリセ
リドと乳蛋白質との複合体を、さらに乳酸発酵処理する
ことにより、乳らしい風味、呈味、コク味および香りを
著しく向上させることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0010】即ち、本発明の第1は、有機酸モノグリセ
リドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物を含有すること
を特徴とする油脂乳化組成物を、本発明の第2は、油相
又は水相に、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合
体の乳酸発酵物を添加することを特徴とする油脂乳化組
成物の製造方法をそれぞれ内容とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体に
用いられる有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モ
ノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエ
ン酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、及び乳酸モ
ノグリセリド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上
組み合わせて用いられる。また、これら有機酸モノグリ
セリドの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であることが立体構
造的に有効に結合させることができるので望ましい。
【0012】本発明の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質
との複合体に用いられる乳蛋白質は、カゼイン、特に非
ミセル状態の分子構造を持つカゼインを含有することが
望ましい。これらの非ミセル状態のカゼインとしては、
例えばカゼインアルカリであるナトリウムカゼイン、カ
リウムカゼイン、酸カゼイン等の他、生乳、還元全脂粉
乳液、脱脂乳、還元脱粉液、バターミルク、還元バター
ミルクパウダー液等にリン酸塩等のカルシウム封鎖剤を
添加したり、pHを4.4〜4.6に調整した沈殿物を
回収して得られるもの等が挙げられる。これらは1種又
は2種以上組み合わせて用いられる。
【0013】カゼインがミセルの状態をとっているか否
かを知る手段としては、カゼインがミセル状態の構造で
ある場合、それは約0.1〜0.5μmの直径を有する
リン酸カルシウム−カゼインの複合体の蛋白質微粒子と
して存在することが知られている。そこで本発明者ら
は、カゼインのミセル状態の構造を簡易に定量化する手
法として平均粒度分布により調べることに着目した。即
ち、レーザー回折式平均粒度分布測定装置(LA−50
0P、堀場製作所製)により蛋白質の粒度分布を調べ、
0.1〜0.5μmの直径を有する分布区分をカゼイン
のミセル状態とみなし、これより大きな粒度分布のもの
を非ミセル状態のカゼインと判断することにした。この
方法によると、本発明においては非ミセル状態のカゼイ
ン含量が乳蛋白質のうち好ましくは15%以上、更に好
ましくは30%以上である。
【0014】次に、本発明に用いられる有機酸モノグリ
セリドと乳蛋白質との複合体の製造方法を説明する。ま
ず、乳蛋白質を1〜50重量%濃度、好ましくは5〜2
5重量%濃度の水溶液を調製する。この際、蛋白質水溶
液のpHを通常6〜7の範囲に調整することが有機酸モ
ノグリセリドと有効に結合させる上で好ましい。次に、
このようにして調製した蛋白質水溶液を、通常50〜7
0℃の有機酸モノグリセリドの融点よりもわずかに高い
温度になるように加温する。そして、この蛋白質水溶液
に蛋白質の1/100〜1/1(重量比)の有機酸モノ
グリセリドを添加し、混合溶解をおこない、次いで超音
波均質機、ホモジナイザー、ホモミキサー、マイコロイ
ダー等の均質化手段により、有機酸モノグリセリドと乳
蛋白質との複合体を調製する。
【0015】本発明の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質
との複合体は、こうして得られた水溶液をそのままの形
態で使用する場合は、保存上の点からUHTなどの殺菌
処理を施すことが望ましい。また水溶液の形態でも十分
に乳らしい風味の向上効果を有するが、取扱い、保存上
の点から噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の手段により
乾燥処理を施しても良い。
【0016】次に、本発明に用いられる有機酸モノグリ
セリドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵について説明す
る。本発明の乳酸発酵に用いられる乳酸菌は、乳製品の
主要な風味および香気成分であるジアセチルおよび乳酸
の生産能が高いものが好ましい。具体的には、ストレプ
トコッカス・ジアセチラクチス、ストレプトコッカス・
クレモリス、ロイコノストック・クレモリス、ロイコノ
ストック・デキストラニクム、ラクトバチルス・プラン
タルム、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチル
ス・ヘルベテイカスおよびラクトバチルス・ブレビス等
が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用すればよ
い。
【0017】本発明の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質
との複合体の乳酸菌の培養は、一般に用いられている条
件によって行うことができる。即ち、培地としては炭素
源、窒素源、無機質、ビタミン、アミノ酸を含む通常用
いられている培地が使用され得るが、更に乳糖、クエン
酸を含有することが望ましい。培養条件としては、好気
条件下および嫌気条件下のいずれでもよいが、好気条件
下での静置培養が好ましい。培地の初発pHは6〜8、
特に7付近が望ましく、培養温度は各乳酸菌株に適した
20〜40℃で行うのが好ましい。さらには、乳酸発酵
物の酸度が0.05〜2.0%の範囲に達するまで、上
記条件にて培養することが好ましい。酸度が0.05%
未満では十分な風味向上効果は得られず、また2.0%
を越えると酸味、酸味臭が強くなり風味的に好ましくな
い。
【0018】尚、酸度の測定は「乳業技術綜典(上
巻)、酪農技術普及学会 P.350」を参照し、以下
の方法で行った。即ち、乳酸発酵物10gに水40mlを
加えたものに、フェノールフタレイン指示薬0.5mlを
加え、N/10水酸化ナトリウム溶液で滴定し、微紅色
が30秒間持続する点を終末点とし、次式により求め
た。
【0019】 酸度(%)=(Α×F×0.009/W)×100 Α:N/10水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml) F:N/10水酸化ナトリウム溶液の力価 W:試料採取料(10g) 上記のようにして得られる有機酸モノグリセリドと乳蛋
白質との複合体の乳酸発酵物は、こうして得られた水溶
液をそのままの形態でも、また取扱い、保存上の点から
噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の手段により乾燥処理
を施しても良く、本発明に係わる油脂乳化組成物中の油
脂に対して、乾燥重量比で0.01〜20重量%配合す
ることが好ましい。配合量が0.01%未満では、豊か
な乳風味、呈味、コク味および香りの発現効果は不十分
であり、また20重量%を越えて添加しても効果は頭打
ちとなる。
【0020】本発明の油脂乳化組成物は、公知の方法で
製造でき、食用油脂を主成分とする油相と、乳成分等を
含む水相を予備乳化した後、以下の通常の工程(均質
化、殺菌、冷却、エージング等)を経て調製される。本
発明において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
合体の乳酸発酵物は油相、水相のいずれに添加しても良
いが、水溶液の形態のものを油相に添加することが望ま
しい。
【0021】本発明に用いられる油脂としては、通常食
用として用いられるものであれば、植物油脂、動物油
脂、或いはこれらの硬化、分別、エステル交換したもの
のいずれでもよく、これらのうち1種又は2種以上の油
脂を調合して使用することもできる。本発明で得られる
油脂乳化組成物の油脂の割合は、それが水中油型である
場合は5〜60重量%、油中水型である場合は30〜9
0重量%となる割合が好ましい。
【0022】本発明の油脂乳化組成物の水相中には、特
に乳成分を配合することが好ましく、例えば生乳、脱脂
乳、全脱脂乳、バターミルク、乳清、生クリーム、チー
ズ類、ヨーグルト類、バターまたはこれらを濃縮、粉末
加工したものや、ミルクフレーバー、バターフレーバー
等の呈味剤、フレーバー等が挙げられる。またこの他、
糖類、乳化剤、増粘剤等の安定剤、調味料、香料及び着
色料等の添加物を水溶性のものは水相に、親油性のもの
は油相に、それぞれ配合することもできる。
【0023】本発明の油脂乳化組成物の製造方法として
は、まず油脂に親油性の乳化剤及び油溶性の配合体を添
加して調製した油相部と、一方で親水性の乳原料、乳化
剤及び水溶性の配合体を添加して調製した油相部を混合
攪拌して予備乳化を行う。次いで、それが水中油型油脂
乳化組成物である場合は、この乳化物をバルブ式ホモジ
ナイザー等の均質化装置を用いて均質化後、殺菌処理
し、必要に応じて再度均質化し、冷却して水中油型油脂
乳化組成物を得る。また、油中水型油脂乳化組成物の場
合は、予備乳化物を均一に攪拌しながら殺菌処理し、パ
ーフェクター、コンビネーター、ボテーター等の急冷捏
和機を通して安定化し、油中水型油脂乳化組成物を得
る。
【0024】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 製造例1〔有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体
(MP−1)の調製〕 ナトリウムカゼイン(商品名 ハプロ:新日本製薬株式
会社製)7重量%を92重量%の水に分散、溶解させ6
5℃まで加熱後、コハク酸モノグリセリド(商品名 ポ
エムB−10:理研ビタミン株式会社製)1重量%添加
し溶解後、超音波均質機(500W)にて均質化(5
分)し、コハク酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体
溶液を得た。 製造例2及び3〔有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との
複合体(MP−2、3)の調製〕 表1に示す配合にて、脱脂粉乳、ヘキサメタリン酸ナト
リウムを水に分散溶解させ60℃まで加熱後、ジアセチ
ル酒石酸モノグリセリド(商品名 ポエムW−10:理
研ビタミン株式会社製)を添加し、バルブ式ホモジナイ
ザーにて60kg/cm2 で均質化後、140℃で4秒間U
HT殺菌して有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合
体溶液を得た。
【0025】上記複合体製造例に用いた乳蛋白質中の非
ミセル状態のカゼイン含有率(%)を調べた結果を表1
に示した。また、上記の各試料中の複合体の割合を定量
化するために、100ml容の密栓付三角フラスコに試料
30mlを入れ、20℃で15分間振とう後、遠心分離に
より、上層(ヘキサン層)20ml分取り出し、ヘキサン
を留去後、固形物量を精秤し試料中の脂質重量に対する
割合を求め、これを複合体形成に関与しなかった遊離脂
肪率(%)として表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】表1から明らかなように、乳蛋白質のうち
非ミセル状態のカゼイン含量が高い程、複合体の遊離脂
肪率は小さく、複合体を形成しやすいことがわかる。 製造例4〔複合体(MP−1)の乳酸発酵物(MPF−
1)の調製〕 上記、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(M
P−1)50重量%、脱脂粉乳5重量%、水45重量%
を溶解混合し滅菌したものに、マザースターター(10
%脱脂粉乳培地に乳酸菌として、ストレプトコッカス・
ジアセチラクチス(クリスチャン ハンセンス社製)を
0.7重量%、ストレプトコッカス・クレモリス(Stre
ptococus cremoris JDTA H-61)を0.3重量%接種
後、34℃で24時間前培養したもの)を1重量%接種
して、34℃で水溶液の酸度が0.65%になるまで静
置培養後、85℃で20分間加熱して、有機酸モノグリ
セリドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−
1)を得た。 製造例5〔非複合体の乳酸発酵物(MPF−2)の調
製〕 上記、MPF−1の製造において、表2に示す配合に変
更した以外は、同様の方法にて、非複合体の乳酸発酵物
(MPF−2)を得た。 製造例6〜7〔複合体の乳酸発酵物(MPF−3〜4)
の調製〕 上記、MPF−1の製造において、表2に示す配合に変
更した以外は、同様の方法にて、有機酸モノグリセリド
と乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−3〜4)
を得た。 製造例8〔複合体の乳酸発酵物(MPF−5)の調製〕 上記、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(M
P−2)80重量%、水20重量%を溶解混合し滅菌し
たものに、マザースターター(10%脱脂粉乳培地に乳
酸菌として、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobac
illus bulgaricus JDTA B-5b)を1.0重量%接種後、
34℃で24時間前培養したもの)を1重量%接種し
て、34℃で水溶液の酸度が0.2%になるまで静置培
養後、85℃で20分間加熱して、有機酸モノグリセリ
ドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−5)を
得た。 製造例9〔複合体の乳酸発酵物(MPF−6)の調製〕 上記、MPF−5の製造において、表2に示す配合に変
更した以外は、同様の方法にて、有機酸モノグリセリド
と乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−6)を得
た。
【0028】
【表2】
【0029】実施例1(ホイップクリーム) ナタネ硬化油(融点32℃)20重量%、ヤシ硬化油
(融点35℃)6重量%バター脂肪(融点32℃)14
重量%を配合溶解した油相に、乳化剤としてレシチン
0.28重量%、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との
複合体の乳酸発酵物(MPF−1)8重量%を加えて油
相を調製した。
【0030】一方、脱脂粉乳4重量%、ヘキサメタリン
酸ナトリウム0.1重量%、蔗糖脂肪酸エステル(HL
B11)0.2重量%を水47.42重量%に溶解し水
相を調製した。60℃にて油相を水相に添加し、予備乳
化後50kg/cm2で均質化後、140℃で4秒間UHT
殺菌した後、再度100kg/cm2で均質化し、5℃まで
冷却して水中油型油脂乳化組成物を得た。このものを5
℃で一晩エージング後、水中油型油脂乳化組成物100
重量%に、グラニュー糖8重量%を混合し、ミキサーに
てホイップを行いホイップクリームを得た。 比較例1(ホイップクリーム) 実施例1において、MPF−1の代わりに有機酸モノグ
リセリドと乳蛋白質の未乳酸発酵物(MP−1)4重量
%、水3.6重量%を添加した以外は同様の方法で水中
油型油脂乳化組成物を作成し、同様にホイップしてホイ
ップクリームを得た。
【0031】これらホイップクリーム風味の官能評価を
行ったところ、実施例1のクリームは比較例1のクリー
ムに比べ、より乳らしい風味が強く感じられ、特に後口
の乳の呈味、コク味が増強されていた。 実施例2(コーヒーホワイト用クリーム) 大豆硬化油(融点32℃)25重量%を溶解後、グリセ
リン脂肪酸エステル0.02重量%、有機酸モノグリセ
リドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−1)
5重量%を加えて油相を調製した。
【0032】一方、脱脂粉乳4重量%、蔗糖脂肪酸エス
テル(HLB15)0.2重量%、第2リン酸ナトリウ
ム0.02重量%を水65.76重量%に溶解し水相を
調製した。60℃にて油相を水相に徐々に添加し、予備
乳化後50kg/cm2で均質化後、140℃で4秒間UH
T殺菌した後、再度150kg/cm2で均質化し、5℃ま
で冷却してコーヒーホワイト用クリームを得た。 比較例2(コーヒーホワイト用クリーム) 実施例2において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質と
の複合体の乳酸発酵物(MPF−1)の代わりに、非複
合体の乳酸発酵物(MPF−2)を添加した以外は同様
の方法でコーヒーホワイト用クリームを得た。
【0033】上記実施例2と比較例2のクリームを用い
てコーヒーテストを行った。即ち、インスタントコーヒ
ー2gを80℃の温水100mlに溶解し、その中にクリ
ームを10ml添加して官能評価を行った。実施例2のク
リームを添加したものは、乳らしい風味とコク味が強く
感じられ好ましかったが、比較例2のクリームを添加し
たものは、乳らしい風味は弱く、特にコク味はほとんど
感じられなかった。 実施例3(濃縮乳) 大豆油9重量%を加熱後、グリセリン脂肪酸エステル
0.1重量%と有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
合体の乳酸発酵物(MPF−1)3重量%を加えて油相
を調製した。
【0034】一方、脱脂粉乳8重量%、ラクトース10
重量%、カラギーナン0.02重量%、蔗糖脂肪酸エス
テル(HLB15)0.05重量%を水69.83重量
%に溶解し水相を調製した。60℃にて油相を水相に徐
々に添加し、予備乳化後120kg/cm2で均質化後、1
40℃で4秒間UHT殺菌した後、再度150kg/cm2
で均質化し、10℃まで冷却して水中油型油脂乳化組成
物を得た。 実施例4および5(濃縮乳) 実施例3において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の
乳酸発酵物(MPF−1)の代わりに、MPF−3およ
びMPF−4を添加した以外は同様の方法で水中油型油
脂乳化組成物を得た。
【0035】上記実施例3〜5の濃縮乳を用いて、ホワ
イトソースを作成し、食味評価を実施した。即ち、ショ
ートニング8重量%に小麦粉8重量%を加え、加熱しな
がらよく攪拌し、ルーを調製した。このルーを40℃に
冷やしたところに、水で3倍に希釈した実施例3〜5の
水中油型油脂乳化組成物を60℃に温めたもの100重
量%を加え、混合加熱後、食塩0.35重量%、コショ
ウ0.035重量%で味を整えてホワイトソースを作成
した。
【0036】いずれのホワイトソースも、豊かな乳の風
味、呈味、コク味および香りが感じられ好ましかった
が、特に乳糖を添加した乳酸発酵物を用いた実施例4の
ホワイトソースはより乳の風味が強く、更に乳糖とクエ
ン酸を添加した乳酸発酵物を用いた実施例5のホワイト
ソースは、後口の乳のコク味がより一層強調されてい
た。 実施例6(パン練り込み用マーガリン) 乳脂肪(融点32℃)20重量%、大豆硬化油(融点3
0℃)60重量%、水7.8重量%にリパーゼ(リパー
ゼNo.600 マイルス社製)0.02重量%を添加
し、37℃で1時間攪拌後、85℃で15分間加熱し、
酵素を失活させた油脂に、レシチン 0.2重量%を添
加し油相を調製した。
【0037】この油脂に、一方で有機酸モノグリセリド
と乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物(MPF−5)10
重量%、食塩2重量%を混合した水相を徐々に添加し、
予備乳化したものを80℃で15分間殺菌し、次いでコ
ンビネータにて急冷可塑化して油中水型油脂乳化組成物
を得た。 実施例7(パン練り込み用マーガリン) 実施例6において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質と
の複合体の乳酸発酵物(MPF−5)の代わりに、MP
F−6を添加した以外は同様の方法にて、油中水型油脂
乳化組成物を得た。 比較例3(パン練り込み用マーガリン) 実施例6において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質と
の複合体の乳酸発酵物(MPF−5)の代わりに、14
%脱脂粉乳液を添加した以外は同様の方法にて、油中水
型油脂乳化組成物を得た。
【0038】上記実施例6、7および比較例3の油中水
型油脂乳化組成物を用いて食パンを作成し、風味評価を
行った。即ち、強力小麦粉70重量%にイースト2重量
%、イーストフード0.1重量%、水41重量%を加え
て軽く混ぜ合わせ、生地(中種)をつくり、27℃で4
時間半発酵させた。その後、これに強力小麦粉30重量
%、食塩2重量%、砂糖5重量%、脱脂粉乳1重量%、
水23重量%と、上記実施例6、7および比較例3の油
中水型油脂乳化組成物をそれぞれ7重量%加え、本練り
を十分に行った。
【0039】次に生地を分割し、丸めて中間ホイロに入
れ、30℃で20分間保持した。次に成型し、型詰めし
て38℃で50分間発酵させ、最後に215℃で30分
オーブンで焼成し、食パンを作成した。実施例6および
7の油中水型油脂乳化組成物を添加したものは、比較例
3の油中水型油脂乳化組成物を添加したものに比べて乳
のコクが強く感じられ、特に香ばしい香りが顕著に向上
していた。
【0040】また、実施例7のミセル状態のカゼイン含
量の多い乳蛋白質との複合体を乳酸発酵したものを用い
たパンは、非ミセル状態のカゼイン含量の多い乳蛋白質
との複合体を乳酸発酵したものを用いたパンに比べ、乳
の後口のコク味がより一層強く感じられ美味であった。
【0041】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明の有機酸モノグリ
セリドと乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物を油脂乳化組
成物の製造の際に添加することにより、少量の乳成分で
も乳風味、呈味、コク味および香りを著しく向上させる
ことができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
    合体の乳酸発酵物を含有することを特徴とする油脂乳化
    組成物。
  2. 【請求項2】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
    合体、乳糖、及び/又はクエン酸の乳酸発酵物を含有す
    ることを特徴とする油脂乳化組成物。
  3. 【請求項3】 有機酸モノグリセリドが、コハク酸モノ
    グリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン
    酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、及び乳酸モノ
    グリセリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上で
    ある請求項1又は2記載の油脂乳化組成物。
  4. 【請求項4】 乳蛋白質が非ミセル状態の分子構造をも
    つカゼインを含有する乳蛋白質である請求項1〜3記載
    の油脂乳化組成物。
  5. 【請求項5】 乳酸発酵に用いる乳酸菌が、ラクトバチ
    ルス属、ストレプトコッカス属、及びロイコノストック
    属に属する菌株から選択される1種又は2種以上である
    請求項1〜4記載の油脂乳化組成物。
  6. 【請求項6】 油相又は水相に、有機酸モノグリセリド
    と乳蛋白質との複合体の乳酸発酵物を添加することを特
    徴とする油脂乳化組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
    合体の乳酸発酵物を、水溶液状態で油相に添加する請求
    項6記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004080208A1 (ja) * 2003-03-11 2006-06-08 株式会社カネカ コエンザイムq▲10▼を含有した水中油型乳化組成物、及びその製法
JP2022018407A (ja) * 2020-07-15 2022-01-27 ハウス食品株式会社 乳加工品及びその製造方法並びにそれを利用したルウの製造方法

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