JPH09233582A - エッジレススピーカ - Google Patents

エッジレススピーカ

Info

Publication number
JPH09233582A
JPH09233582A JP8036158A JP3615896A JPH09233582A JP H09233582 A JPH09233582 A JP H09233582A JP 8036158 A JP8036158 A JP 8036158A JP 3615896 A JP3615896 A JP 3615896A JP H09233582 A JPH09233582 A JP H09233582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
duct
resonance
speaker
frame
diaphragm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8036158A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3556039B2 (ja
Inventor
Shunichi Takahashi
俊一 高橋
Shoichiro Terauchi
正一郎 寺内
Tatsuya Ando
達也 安藤
Takashi Oyaba
隆史 大矢場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pioneer Electronic Corp filed Critical Pioneer Electronic Corp
Priority to JP03615896A priority Critical patent/JP3556039B2/ja
Publication of JPH09233582A publication Critical patent/JPH09233582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3556039B2 publication Critical patent/JP3556039B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Details Of Audible-Bandwidth Transducers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音質向上を図ること。 【解決手段】 フレーム9と壁部材であるリング16と
による空間を、共振用ダクト9Aとし、その空間を音響
回路として用いるようにしたものであり、その共振用ダ
クト9Aの要件として、フレーム9とリング16とによ
る空間の開口部の面積をSp 、振動板の半径をa、共振
用ダクト9Aの共振ポートの長さをL、キャビネットの
容積をVとしたとき、 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3 の条件を満たすようにした。したがって、このような要
件に基づき、Sp ,L,Vを最適な値に設定することに
よって、共振用ダクト9Aを通る空気の流速を小さくす
ることができ、風切り音の低減が図れるとともに、バス
レフ効果を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低音用スピーカと
して好適なエッジレススピーカに係り、特に振動部材の
外周部に設けられた空間を共振用ダクトとして利用した
エッジレススピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】近年における低音用スピーカとしては、
小口径スピーカであり、十分な音圧が得られ、しかも音
歪が低くされるように、スピーカフレームの開口内周面
と振動板の外周面との間に取り付けられている環状のエ
ッジを除去した構成のエッジレススピーカが知られてい
る。
【0003】すなわち、スピーカフレームの開口内周面
と振動板周囲のリング外周面との間に、幅1mm程度の
微小間隙(環状空間)を形成することで、振動板の振動
がスムーズに行われるばかりか、振動板前後の空気の流
れが妨げられ、低音用スピーカとして機能するものであ
る。
【0004】図10は、このようなエッジレススピーカ
の一構成例を示すものであり、キャンセルマグネット
2、ポールヨーク3、マグネット4及びプレート5によ
って磁気回路1が構成されている。ポールピース3aと
プレート5との磁気ギャップ内には、ボビン7に付着さ
れたボイスコイル8が介在されている。
【0005】ボビン7の上下段は、一端がフレーム9側
に取り付けられた上ダンパ10及び下ダンパ11によっ
て弾性支持されている。またボビン7の上段には、中心
部分にセンターキャップ12が取り付けられた振動板1
3の中心孔14が固着されている。振動板13の外周端
部に取り付けられているリング16とフレーム9の内面
9aとの間には、振動板13が振動した際にリング16
がフレーム9の内面9aに接触しないように、幅が1m
m程度の環状空間が設けられている。
【0006】そして、駆動時においては、上ダンパ10
及び下ダンパ11によって支持されているボビン7の上
下動作に伴って振動板13が振動するとき、振動板13
の外周端部のリング16がフレーム9の内面9aに沿っ
て接触せずに移動することから、振動板13の振動振幅
が大きくされるので、小口径スピーカであっても十分な
音圧が得られ、しかも音歪が低くされた低音再生が可能
となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したエ
ッジレススピーカにあっては、リング16とフレーム9
の内面9aとの間に環状空間を設けることで、フレーム
9の内面9aへのリング16の接触が回避されるように
なっているが、振動板13の振動に伴いキャビネット内
部に圧力変化を生じた場合、その環状空間を通して空気
の流通を生じ、不要な風きり音等が発生してしまうとい
う不具合があった。
【0008】そのため、リング16とフレーム9の内面
9aとの間の環状空間をできるだけ狭くして音響抵抗を
大きくし、環状空間を通しての空気の流通を制限するよ
うにしていたが、フレーム9の内面9aへのリング16
の接触を避けようとした場合には、その環状空間を精度
よく維持させる必要があり、各部品の取付精度に厳密性
が要求される。すなわち、環状空間の隙間寸法を0.5
mm以下にすることは難しく、その環状空間を通しての
空気の流通による不要な風きり音等の発生を抑制するこ
とは困難であるため、音質劣化は避けられないものとな
っている。
【0009】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたもので、音質向上を図ることができるエッジレスス
ピーカを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
エッジレススピーカであって、振動板を含む振動部材の
一部に設けられ、フレームと所定の間隔を有して配置さ
れる壁部材を有し、前記フレームと前記壁部材とによる
空間が、バスレフスピーカとしての共振用ダクトとされ
ていることを特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明は、前記空間の開口部
の面積をSp 、前記振動板の半径をa、前記共振用ダク
トの共振ポートの長さをL、キャビネットの容積をVと
したとき、 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3 を満たすことを特徴とする。
【0012】請求項3記載の発明は、前記振動部材を支
持する第1及び第2の支持部材を有し、前記第1の支持
部材と第2の支持部材は、前記振動板を駆動する力を発
生するための磁気回路を挟むように配置されていること
を特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明は、振動板を含む振動
部材の一部に設けられ、フレームと所定の間隔を有して
配置される壁部材を有し、前記フレームと前記壁部材と
による空間が、バスレフスピーカとしての共振用ダクト
とされたスピーカユニットをキャビネットのバッフル板
に装着するとともに、前記バッフル板にダクトを設け、
前記フレームと前記壁部材とによる空間と共に、共振ダ
クトとして機能させたことを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明のエッジレススピーカでは、フレームと
壁部材とによる空間を、共振用ダクトとし、その空間を
音響回路として用いるようにしたものである。
【0015】また、その共振用ダクトの要件として、フ
レームと壁部材とによる空間の開口部の面積をSp 、振
動板の半径をa、共振用ダクトの共振ポートの長さを
L、キャビネットの容積をVとしたとき、 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3 を満たすようにしている。このような要件に基づき、S
p ,L,Vを最適な値に設定することによって、共振用
ダクトを通る空気の流速を小さくすることができ、風切
り音の低減が図れるとともに、バスレフ効果を高めるこ
とができる。
【0016】また、振動部材を支持する第1の支持部材
と第2の支持部材とを、振動板を駆動する力を発生する
ための磁気回路を挟むように配置したので、振動部材の
無振動時乃至最大振幅時に、振動部材の重心を第1の支
持部材と第2の支持部材との間に位置させることがで
き、振動部材の支持を良好に保つことができる。このた
め、ローリング現象を起こす可能性の高いエッジレスス
ピーカにおいても、振動部材のローリング現象を抑制す
ることができ、振動部材の振動をスムーズに行わせるこ
とができることから、フレームと壁部材とによる空間で
ある隙間の変動を小さくすることができるので、隙間の
変動による共振用ダクトの働きの変動を抑制することが
できる。
【0017】更に、フレームと壁部材とによる空間と共
に、キャビネットのバッフル板に設けたダクトを共振ダ
クトとして機能させるようにしたので、より効率の良い
低音再生を行わせることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の詳細
を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する図に
おいて、図10と共通する部分には同一符号を付し重複
する説明を省略する。
【0019】図1及び図2は、本発明のエッジレススピ
ーカの一実施の形態を示すものであり、振動板13の外
周端部に取り付けられているリング16とフレーム9の
内面9aとの間の環状空間を、共振用ダクト9Aとして
いる。この共振用ダクト9Aの詳細については後述す
る。
【0020】すなわち、壁部材としてのリング16は、
フレーム9の開口端部9bからポールヨーク3、マグネ
ット4及びプレート5によって構成される磁気回路1を
挟み込む位置まで延ばされており、そのリング16とフ
レーム9の内面9aとの間の環状空間が音響回路として
用いられ、共振用ダクト9Aとして機能させられるよう
になっている。
【0021】リング16の他端部を弾性支持する下ダン
パ11は、ポールヨーク3側に取り付けられている。上
ダンパ10の一端はプレート5上に取り付けられている
支持部材17に取り付けられ、その他端は振動板13に
連結されているボビン7側に取り付けられている。これ
により、振動板13が振動していないニュートラルな状
態では、上ダンパ10と下ダンパ11とが磁気回路1を
挟持する状態で配設されるので、ボビン7、振動板13
及びリング16等によって構成される振動部材の重心
(図示省略)が無振動時乃至最大振幅時にあっても上ダ
ンパ10と下ダンパ11との間に位置し、上ダンパ10
と下ダンパ11とによる振動板13の弾性支持が良好に
保たれるため、振動板13の振動がスムーズに行われる
ようになっている。
【0022】ここで、バスレフスピーカにあっては、以
下の2点を満たすことが要求される。 たとえば図3
(a)に示すようなインピーダンス特性において、山部
が2以上発生し、谷部のインピーダンスがボイスコイル
直流抵抗の2倍以内であること。又は、同じことである
が同図(b)のように、ボイスコイル直流抵抗と谷部イ
ンピーダンスとの差が6dB以内であること。ちなみ
に、同図(c)に示すように、その差が6dBを超える
場合には、要件を満たさないことになる。 図4及び図5に示すような周波数に対するレスポン
スレベル特性において、変曲点のレスポンスレベルが高
域周波数レスポンスレベル−3dB以上であること。
【0023】すなわち、この2点を満たす必要性は、ま
ずの条件において、山部が1つでは空間が共振用ダク
トとして機能していないことを示し、また山部が2つあ
っても、谷部のインピーダンスが図3(c)に示したよ
うに、ボイスコイル直流抵抗の2倍以上では実質的にバ
スレフスピーカとして機能しないためである。
【0024】なぜなら、谷部のインピーダンスはダクト
共振周波数fd における共振鋭度Qd に関係し、Qd が
大きいほどボイスコイルの振動速度が小さくなり直流抵
抗値に近づくことになるためである。言い換えれば、直
流抵抗値より大きいということはボイスコイルが動いて
いることである。
【0025】この現象は、ダクトの面積が過小で空気流
通時の抵抗が大きいためダクト共振鋭度が小さくなる場
合に等しい。よって、従来のエッジレススピーカはこの
ケースに該当するものである。
【0026】次に、の条件に開しては、変曲点のレス
ポンスレベルが高域周波数レスポンスレベル−3dBよ
り低いと十分な低音再生が望めない。また、従来のエッ
ジレススピーカでは密閉型スピーカとしても、別途ダク
トを設けたバスレフ型スピーカとしても、隙間から漏洩
する空気が共振を制動する方向に働くため低域のレスポ
ンスが低下してしまう。
【0027】以上の要件を踏まえた上で、本実施の形態
では、次の条件を満たすようにエッジレススピーカを構
成している。
【0028】すなわち、図2において、振動板13の半
径をa、フレーム9とシリンダ16とによる共振用ダク
ト9Aを形成する空間の開口部の面積をSp 、共振用ダ
クト9Aの長さをL、図示しないキャビネットの容積を
Vとしたとき、Sp ,L,Vは次の条件を満たすように
構成する。但し、容積Vはユニットやダクト等を除いた
実質的なキャビネットの容積である。 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3
【0029】すなわち、これらの条件は、一般的なバス
レフスピーカの設計方法と同様に考えて導き出したもの
であり、共振用ダクト9Aを形成する空間の開口部の断
面積が大きいほど共振用ダクト9Aを通る空気の流速が
小さくなるので、いわゆる風切り音が低減されることに
なる。
【0030】ちなみに、ダクト共振周波数を所定の値と
するためにはダクト長さLを大きくする必要があるが、
スピーカユニットの全長の許容限以上に長くすることは
できない。
【0031】また、ダクト共振周波数は共振用ダクト9
Aの寸法とキャビネットの容積によって決定されるた
め、キャビネットの容積が小さいほど共振用ダクト9A
の等価質量を大きくする必要があることから、ダクト面
積を小さくするかダクト長さを長くするかで、ダクト共
振周波数を所定の値に設定することができる。
【0032】そこで、ダクト面積を小さくした場合は、
共振用ダクト9Aを通る空気の流速が大きくなり風切り
音が増加すると共に、空気抵抗が増加し、ダクト共振を
制動するためバスレフの効果が減少してしまう。
【0033】したがって、上記のようにSp ,L,Vそ
れぞれの関係には最適値の範囲がある程度限定できるも
のである。
【0034】なお、ボビン7、振動板13及びリング1
6等によって構成される振動部材が振勤することで共振
用ダクト9Aの長さLが可変してしまうこととなるが、
まず共振用ダクト9Aが機能するダクト共振周波数付近
では、振動板13の動きがほぼなくなるため、Lの長さ
は変わらず共振用ダクト9Aとして機能する。
【0035】また、共振周波数以上になると振動板13
の動きは早くなるが、振幅量は小さくなるため、この場
合もLの長さはほぼ変わらず十分に共振用ダクトの機能
を果たすことになる。そして、共振周波数以下では、振
勤板13が大きく動くためLの長さが変化することとな
るが、この周波数帯域では共振用ダクト自体機能する必
要がないため、ダクトとして働かなくてもよいことにな
る。このように、共振用ダクト9Aとして働く必要のあ
る周波数帯域では、共振用ダクト9Aの長さLがほぼ変
化しないため、共振用ダクト9Aとしての機能が十分に
発揮される。
【0036】続いて、以上ような構成のエッジレススピ
ーカの動作について説明する。まず、ボイスコイル8の
駆動によって振動板13が振動するとき、上ダンパ10
及び下ダンパ11によって弾性支持されているリング1
6がフレーム9の内面9aに対し所定間隔をもって移動
することで、振動板13の振動がスムーズに行われる。
このとき、振動板13の振動に伴い、振動板13の背面
側からの音波の位相が反転され、共振用ダクト9Aによ
る共振音波と振動板13の前面からの音波との位相が揃
えられて放射されることにより、低音域の再生範囲が広
げられる。
【0037】このとき、共振用ダクト9Aを形成する空
間の開口部の面積Sp は、上述した条件を満たしてお
り、共振用ダクト9Aを通る空気の流速が小さくされる
ことから、いわゆる風切り音が低減される。
【0038】また、上述したように、共振用ダクト9A
として働く必要のある周波数帯域では、共振用ダクト9
Aの長さLがほぼ変化しないため、共振用ダクト9Aと
しての機能が十分に発揮された状態での再生が行われ
る。
【0039】更に、振動板13の振動に際し、振動板1
3が振動していないニュートラルな状態では、上ダンパ
10と下ダンパ11とが磁気回路1を挟持する状態で配
設されているので、ボビン7、振動板13及びリング1
6等によって構成される振動部材の重心(図示省略)が
無振動時に上ダンパ10と下ダンパ11との間に位置す
るため、上ダンパ10と下ダンパ11とによる振動板1
3の弾性支持が良好に保たれる。しかも、スピーカキャ
ビネットの内圧変化等で、ボビン7、振動板13及びリ
ング16等によって構成される振動部材に横方向(振動
板13の振動方向と垂直な方向)の力が加わった場合で
あっても、上ダンパ10と下ダンパ11とによる振動板
13の弾性支持が良好に保たれるので、ローリング現象
を起こす可能性の高いエッジレススピーカにおいても、
振動板13のローリング現象が抑制され、振動板13の
振動がスムーズに行われる。
【0040】このように、この実施の形態では、フレー
ム9と壁部材であるリング16とによる空間を、共振用
ダクト9Aとし、その空間を音響回路として用いるよう
にしたものであり、その共振用ダクト9Aの要件とし
て、フレーム9とリング16とによる空間の開口部の面
積をSp 、振動板の半径をa、共振用ダクト9Aの共振
ポートの長さをL、キャビネットの容積をVとしたと
き、上記の条件を満たすようにした。
【0041】したがって、このような要件に基づき、S
p ,L,Vを最適な値に設定することによって、共振用
ダクト9Aを通る空気の流速を小さくすることができ、
風切り音の低減が図れるとともに、バスレフ効果を高め
ることができる。
【0042】また、ボビン7、振動板13及びリング1
6等によって構成される振動部材を、振動板13を駆動
する力を発生するための磁気回路1を挟むように配置
し、振動部材の支持を良好に保つようにしたので、振動
部材の振動をスムーズに行わせることができることか
ら、フレーム9とリング16とによる空間である隙間の
変動を小さくすることができるので、隙間の変動による
共振用ダクト9Aの働きの変動を抑制することができ、
共振用ダクト9Aとしての機能を十分に発揮させること
ができる。
【0043】図6は、図1のエッジレススピーカの構成
を変えた場合の他の実施の形態を示すものであり、この
実施の形態では振動部材を上ダンパ10及び下ダンパ1
1によって弾性支持させる際、最大振幅時(大振幅状
態)においても、振動部材をバランスよく支持させるこ
とで、ローリング現象を解消するようにしたものであ
る。
【0044】すなわち、ダブルダンパ方式を採用したエ
ッジレススピーカの場合、振動部材を上ダンパ10及び
下ダンパ11によって弾性支持させる際、最大振幅時
(大振幅状態)においても、振動部材をバランスよく支
持させる必要がある。
【0045】この場合、図6のように、最大振幅時であ
っても、振動部材の重心Gを点線で示す上ダンパ10と
下ダンパ11との間に位置させるようにすることで、上
ダンパ10及び下ダンパ11と重心Gとの間に作用する
モーメントA,Bにより、重心GにモーメントA1 ,B
1 が作用することになるが、これらのモーメントA1,
B1 が互いに逆向きに働き、それぞれのモーメントA1
,B1 が相殺されるので、ローリング現象を起こす可
能性の高いエッジレススピーカにおいても、振動部材の
ローリング現象を抑制することができ、振動部材をスム
ーズに動作させることができる。
【0046】ここで、最大振幅時であっても、振動部材
の重心Gを点線で示す上ダンパ10と下ダンパ11との
間に位置させるようにするためには、2つのダンパの間
隔を適当に設定したり、上ダンパ10及び下ダンパ11
のコンプライアンスを設定変更したり、振動板13やボ
イスコイル8等の重量配分を調整して重心位置の調整を
行ったりすることで、振動部材の重心Gの移動範囲の規
制が可能である。
【0047】ちなみに、図7に示すように、最大振幅時
に、振動部材の重心Gが点線で示す上ダンパ10と下ダ
ンパ11との間から外れてしまうと、重心Gに作用する
力のモーメントA1 ,B1 がそれぞれ同じ方向に働いて
しまうため、それぞれのモーメントA1 ,B1 が相殺さ
れず、振動部材に対しローリング現象が発生してしまう
ことになる。
【0048】したがって、上述したように、振動部材の
最大振幅時であっても、振動部材の重心Gを上ダンパ1
0と下ダンパ11との間に位置させることが重要であ
り、重心Gに作用するモーメントA1 ,B1 を互いに相
殺させることで、ローリング現象を起こす可能性の高い
エッジレススピーカにおいても、振動部材のローリング
現象を抑制することができ、振動部材の振動をスムーズ
に行わせることができる。
【0049】図8は、図1のエッジレススピーカの構成
を変えた場合の他の実施の形態を示すものであり、この
実施の形態では振動板13を突状としたものである。
【0050】すなわち、ボビン7の上段に固着される振
動板13の中心孔14が設けられている中心部分は、フ
レーム9の開口端部9bから外部に突き出した状態に配
設され、振動板13の外周面側はリング16の一端部側
に固着されている。
【0051】また、リング16の他端部を弾性支持する
下ダンパ11は、ポールヨーク3側から付き出た状態に
形成されているフレーム下面部18側に取り付けられて
いる。
【0052】一方、上ダンパ10の一端はプレート5上
に取り付けられている支持部材17に取り付けられ、そ
の他端は振動板13に連結されているボビン7側に取り
付けられている。
【0053】したがって、この実施の形態では、振動板
13が振動していないニュートラルな状態では、上ダン
パ10と下ダンパ11とが磁気回路1を挟持する状態で
配設されるが、図1と比較して明かな通り、これら上ダ
ンパ10と下ダンパ11との配設間隔が広くされるの
で、振動板13及びリング16等によって構成される振
動部材の支持バランスをより良好に維持することができ
る。
【0054】図9は、上述したエッジレススピーカをキ
ャビネットに組み込むとともに、ダクトを別個に設けた
場合の他の実施の形態を示すものである。同図に示すよ
うに、キャビネット20のバッフル板21には、たとえ
ば図1に示したエッジレススピーカが取り付けられてい
る。エッジレススピーカの下方には、ダクト30が設け
られており、エッジレススピーカのリング16とフレー
ム9の内面9aとの間に設けられた共振用ダクト9Aと
ともに、共振ダクトとしての機能が発揮されるようにな
っている。
【0055】したがって、この実施の形態では、エッジ
レススピーカ側に設けられている共振用ダクト9Aと別
個に設けられているダクト30とによって共振ダクトと
しての機能が発揮されるため、より効率の良い低音再生
を行わせることができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のエッジレ
ススピーカによれば、フレームと壁部材とによる空間
を、共振用ダクトとし、その空間を音響回路として用い
るようにしたものであり、その共振用ダクトの要件とし
て、フレームと壁部材とによる空間の開口部の面積をS
p 、振動板の半径をa、共振用ダクトの共振ポートの長
さをL、キャビネットの容積をVとしたとき、 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3 を満たすようにしている。
【0057】このような要件に基づき、Sp ,L,Vを
最適な値に設定することによって、共振用ダクトを通る
空気の流速を小さくすることができ、風切り音の低減が
図れるとともに、バスレフ効果を高めることができる。
【0058】また、振動部材を支持する第1の支持部材
と第2の支持部材とを、振動板を駆動する力を発生する
ための磁気回路を挟むように配置したので、振動部材の
無振動時乃至最大振幅時に、振動部材の重心を第1の支
持部材と第2の支持部材との間に位置させることがで
き、振動部材の支持を良好に保つことができる。このた
め、ローリング現象を起こす可能性の高いエッジレスス
ピーカにおいても、振動部材のローリング現象を抑制す
ることができ、振動部材の振動をスムーズに行わせるこ
とができることから、フレームと壁部材とによる空間で
ある隙間の変動を小さくすることができるので、隙間の
変動による共振用ダクトの働きの変動を抑制することが
できる。
【0059】更に、フレームと壁部材とによる空間と共
に、キャビネットのバッフル板に設けたダクトを共振ダ
クトとして機能させるようにしたので、より効率の良い
低音再生を行わせることができる。
【0060】したがって、フレームと壁部材とによる空
間を、共振用ダクトとし、その空間を音響回路として用
いるようにしたので、低音域の再生周波数を伸ばすこと
ができるとともに、従来問題となっていたその空間を通
しての空気の流通による不要な風きり音等の発生を解消
することができ、また振動部材のローリング現象を抑制
することができることから、振動部材の振動をスムーズ
に行わせることができ、更にフレームと壁部材とによる
空間と共に、キャビネットのバッフル板に設けたダクト
を共振ダクトとして機能させるようにしたので、より効
率の良い低音再生を行わせることができるので、音質向
上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエッジレススピーカの一実施の形態を
示す断面図である。
【図2】図1のエッジレススピーカを拡大して示す断面
図である。
【図3】図1のエッジレススピーカの共振用ダクトの要
求される条件を説明するための図であり、バスレフのイ
ンピーダンス特性を示す図である。
【図4】図1のエッジレススピーカの共振用ダクトの要
求される条件を説明するための図であり、キャビネット
の等価スチフネスによる周波数特性の変化を示す図であ
る。
【図5】図1のエッジレススピーカの共振用ダクトの要
求される条件を説明するための図であり、ポートの等価
質量による周波数特性の変化を示す図である。
【図6】図1のエッジレススピーカの構成を変えた場合
の他の実施の形態を示す断面図である。
【図7】図6のエッジレススピーカの作用を説明するた
めの断面図である。
【図8】図1のエッジレススピーカの構成を変えた場合
の他の実施の形態を示す断面図である。
【図9】図1又は図8のエッジレススピーカとダクトと
をキャビネットに組み込んだ場合の他の実施の形態を示
す斜視図である。
【図10】従来のエッジレススピーカを示す半裁断面図
である。
【符号の説明】
1 磁気回路 3 ポールヨーク 4 マグネット 5 プレート 9 フレーム 9A 共振用ダクト 10 上ダンパ 11 下ダンパ 13 振動板 16 リング 17 支持部材 20 キャビネット 21 バッフル板 30 ダクト
フロントページの続き (72)発明者 大矢場 隆史 埼玉県所沢市花園四丁目2610番地 パイオ ニア株式会社所沢工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エッジレススピーカであって、 振動板を含む振動部材の一部に設けられ、フレームと所
    定の間隔を有して配置される壁部材を有し、 前記フレームと前記壁部材とによる空間が、バスレフス
    ピーカとしての共振用ダクトとされていることを特徴と
    するエッジレススピーカ。
  2. 【請求項2】 前記空間の開口部の面積をSp 、前記振
    動板の半径をa、前記共振用ダクトの共振ポートの長さ
    をL、キャビネットの容積をVとしたとき、 a2 /8≦Sp ≦a2 /2 a≦L≦4a 10a3 ≦V≦100a3 を満たすことを特徴とする請求項1記載のエッジレスス
    ピーカ。
  3. 【請求項3】 前記振動部材を支持する第1及び第2の
    支持部材を有し、 前記第1の支持部材と第2の支持部材は、前記振動板を
    駆動する力を発生するための磁気回路を挟むように配置
    されていることを特徴とする請求項1又は2記載のエッ
    ジレススピーカ。
  4. 【請求項4】 振動板を含む振動部材の一部に設けら
    れ、フレームと所定の間隔を有して配置される壁部材を
    有し、前記フレームと前記壁部材とによる空間が、バス
    レフスピーカとしての共振用ダクトとされたスピーカユ
    ニットをキャビネットのバッフル板に装着するととも
    に、前記バッフル板にダクトを設け、前記フレームと前
    記壁部材とによる空間と共に、共振ダクトとして機能さ
    せたことを特徴とするエッジレススピーカ。
JP03615896A 1996-02-23 1996-02-23 エッジレススピーカ Expired - Fee Related JP3556039B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03615896A JP3556039B2 (ja) 1996-02-23 1996-02-23 エッジレススピーカ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03615896A JP3556039B2 (ja) 1996-02-23 1996-02-23 エッジレススピーカ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09233582A true JPH09233582A (ja) 1997-09-05
JP3556039B2 JP3556039B2 (ja) 2004-08-18

Family

ID=12461973

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03615896A Expired - Fee Related JP3556039B2 (ja) 1996-02-23 1996-02-23 エッジレススピーカ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3556039B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130308815A1 (en) * 2012-05-21 2013-11-21 Rigoberto Alvarez Ibarra Speaker enclosure
US10244325B2 (en) 2015-09-14 2019-03-26 Wing Acoustics Limited Audio transducer and audio devices incorporating the same
US11137803B2 (en) 2017-03-22 2021-10-05 Wing Acoustics Limited Slim electronic devices and audio transducers incorporated therein
US11166100B2 (en) 2017-03-15 2021-11-02 Wing Acoustics Limited Bass optimization for audio systems and devices

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6052797U (ja) * 1983-09-20 1985-04-13 ソニー株式会社 エツジレススピ−カ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6052797U (ja) * 1983-09-20 1985-04-13 ソニー株式会社 エツジレススピ−カ

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130308815A1 (en) * 2012-05-21 2013-11-21 Rigoberto Alvarez Ibarra Speaker enclosure
US8804994B2 (en) * 2012-05-21 2014-08-12 Rigoberto Alvarez Ibarra Speaker enclosure forming part of the speaker to aid in disassembly of speaker components
US10244325B2 (en) 2015-09-14 2019-03-26 Wing Acoustics Limited Audio transducer and audio devices incorporating the same
US10701490B2 (en) 2015-09-14 2020-06-30 Wing Acoustics Limited Audio transducers
US10887701B2 (en) 2015-09-14 2021-01-05 Wing Acoustics Limited Audio transducers
US11102582B2 (en) 2015-09-14 2021-08-24 Wing Acoustics Limited Audio transducers and devices incorporating the same
US11490205B2 (en) 2015-09-14 2022-11-01 Wing Acoustics Limited Audio transducers
US11716571B2 (en) 2015-09-14 2023-08-01 Wing Acoustics Limited Relating to audio transducers
US11968510B2 (en) 2015-09-14 2024-04-23 Wing Acoustics Limited Audio transducers
US11166100B2 (en) 2017-03-15 2021-11-02 Wing Acoustics Limited Bass optimization for audio systems and devices
US11137803B2 (en) 2017-03-22 2021-10-05 Wing Acoustics Limited Slim electronic devices and audio transducers incorporated therein

Also Published As

Publication number Publication date
JP3556039B2 (ja) 2004-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4610890B2 (ja) スピーカ装置
US20070000720A1 (en) Speaker system and speaker enclosure
JP2002159083A (ja) 低域再生用スピーカユニット
JP2007135029A (ja) スピーカ装置
US4389542A (en) Orthodynamic headphone
JP3556039B2 (ja) エッジレススピーカ
JP3271075B2 (ja) スピーカユニット
JP3647103B2 (ja) 動電型スピーカ
JP4624468B2 (ja) スピーカ装置
JP2006222989A (ja) スピーカ装置
JP6597986B1 (ja) 低音域で熱損失を変えず駆動電力を大きくでき、かつ再生特性を改善するスピーカーシステム
JP3336557B2 (ja) スピーカユニット
US6804370B2 (en) Speaker capable to playback in wide frequency range
JP3956776B2 (ja) スピーカーシステム
JP3478927B2 (ja) スピーカ
JP3767689B2 (ja) スピーカの構造
JP4126870B2 (ja) スピーカ
JPS63219298A (ja) ラウドスピーカ装置及び方法
KR960002020B1 (ko) 출력음압 특성을 개선한 전대역 스피커
JP3486271B2 (ja) スピーカ
JPH0359639B2 (ja)
JPH0998496A (ja) エッジレススピーカ
JP2003032774A (ja) スピーカシステム
KR0139926Y1 (ko) 스피커 유니트
JPH06153291A (ja) コーン型スピーカ

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040416

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040511

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees