JPH09228229A - パイル布帛 - Google Patents

パイル布帛

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JPH09228229A
JPH09228229A JP2645896A JP2645896A JPH09228229A JP H09228229 A JPH09228229 A JP H09228229A JP 2645896 A JP2645896 A JP 2645896A JP 2645896 A JP2645896 A JP 2645896A JP H09228229 A JPH09228229 A JP H09228229A
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pile
fibers
fiber
polyester
fabric
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JP2645896A
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Tsutomu Nakamura
勤 中村
Manabu Toyao
学 鳥屋尾
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クッション性に優れ、パイル繊維の糸抜けが
なく、軽量で風合いが優れ、丸洗いが容易でかつリサイ
クル使用が可能なパイル布帛を提供する。 【解決手段】 (A)非弾性ポリエステル系捲縮短繊維
および(B)弾性複合繊維とから形成された紡績糸によ
り構成された織布を基布とし、それにパイル繊維が植え
込まれたパイル布帛であって、弾性複合繊維中の熱可塑
性ポリエステルエラストマーの融着による可撓性熱固着
点の形成により、紡績糸のみならず基布とパイル繊維と
が部分的に固着したパイル布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新しい構造を有す
るパイル布帛に関する。さらに詳しくは、クッション性
に優れ、パイルの糸抜けがなく、風合いがよくかつ軽量
性に優れたパイル布帛に関する。その上、本発明は丸洗
いが容易でありリサイクルが可能でありしかも生産性に
優れたパイル布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】パイル布帛は、カーペットとして生活の
洋風化並びにオフィス環境の近代化と共に広く使用さ
れ、多くのタイプのものが提案され、また市販されてい
る。さらに、自動車用のシートファブリックとしても広
く商品化されており、多くの車に搭載されている。従
来、パイル布帛は、基布としての基礎組織にパイル繊維
を植え込んだ構造が一般的であり、そのパイル繊維は基
布の経糸と緯糸より構成される空間に固定化されてい
る。
【0003】従来、パイル布帛におけるパイル繊維の糸
抜けを防止するために、種々の方法が講じられている。
その1つは、織物の経糸または緯糸に熱収縮糸を使用
し、パイル繊維を植え込んだ後、熱処理して収縮糸を収
縮させ、経糸または緯糸の密度を上げる方法であり、他
の方法は、織物の裏面に接着性樹脂(例えばラテック
ス)をコーティングし、パイル繊維と織物(基布)の繊
維とを接着する方法である。
【0004】しかし、前記熱収縮糸を使用した場合に
は、熱処理後収縮糸の収縮により緊密な構造となるため
に、重たく且つ硬いカーペットとなり、ドレープ性が低
いものとなる。一方、基布の裏面に接着性樹脂を接着し
たものは、それ自体ドレープ性の低い、硬いパイル布帛
であり、使用によって樹脂が粉末または断片となって脱
落するという欠点があり、さらに基布またはパイル繊維
を構成するポリマーとは別種のポリマーを接着性樹脂と
して使用するので、繊維やポリマーを回収して再使用す
ることは殆ど不可能である。
【0005】そこで、基布の表面に接着性樹脂を使用し
ないカーペットや再生使用が容易なパイル布帛に関し
て、いくつかの提案がなされている。例えば、特公平7
−2128号公報には、“織地あるいは編地芯基布の少
なくとも一面に動摩擦係数0.35以下の繊維を主体と
した繊維の絡合体が積層されてなる基布にパイル繊維が
植え込まれてなるパイルカーペット。”が提案され、こ
のパイルカーペットは、接着性樹脂を裏面にコーティン
グ処理しなくとも、パイル繊維の抜けがなく、外観がよ
く比較的軽量である。しかし、このパイルカーペット
は、動摩擦係数が小さい繊維を主体とした繊維絡合体を
積層する必要があり、またパイル繊維の抜けを完全に防
止するためには、裏面から接着性樹脂をコーティングす
る必要がある。
【0006】また、ラテックスのような接着性樹脂を使
用せず、しかも再生利用可能なパイル布帛が特開平6−
123052号公報に提案されている。この公報記載の
パイル布帛は、一次裏地に繊維タフトでパイルを形成
し、一次裏地中の繊維とパイル繊維を絡み合わせ、特に
好ましい態様では、一次裏地中にバインダー繊維を混合
して、そのバインダー繊維の融着によりパイル繊維と一
次裏地の繊維とを結合させたパイル布帛である。このパ
イル布帛は、実質的にポリエステル繊維より形成させる
ことができ再生利用が可能である。
【0007】前記公報記載のパイル布帛は、再生利用が
可能ではあるが、一次裏地またはそれと二次裏地の繊維
とパイル繊維との繊維同士の絡みによって糸抜けを防止
しており、バインダー繊維を混合しない場合には、糸抜
け防止効果が不充分であり、またバインダー繊維を使用
した場合には、糸抜けが改良されるが裏地全体が硬くな
り、風合いが損なわれるという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、前記従来の問題点が改善された新規な構造を有する
パイル布帛を提供することにある。本発明の第2の目的
は、クッション性および形状安定性に優れ、且つパイル
繊維の糸抜けがない風合いのよいパイル布帛を提供する
ことにある。本発明の第3の目的は、実質的にポリエス
テル繊維で形成することができ、従って丸洗いが可能で
あり、また回収と再利用が容易に可能なパイル布帛を提
供することにある。本発明の他の目的は、基布の裏面に
接着性樹脂や二次裏地を使用することなく、パイル繊維
の糸抜けがなく、軽量性に優れたパイル布帛を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記本
発明の目的は、(1)(A)非弾性ポリエステル系捲縮
短繊維および(B)該非弾性ポリエステルの融点よりも
40〜110℃以上低い融点を有する熱可塑性ポリエス
テルエラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前
者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合短繊維とが
互いに分散・混合された繊維より形成され、該弾性複合
繊維と非弾性ポリエステル繊維とが接触部において、該
熱可塑性ポリエステルエラストマーの部分的な熱融着に
より固着した可撓性熱固定点が散在する紡績糸により構
成された織布を基布とし、 (2)該基布にパイル繊維を植え込んだパイル布帛であ
って、該パイル布帛において該パイル繊維と前記基布に
おける弾性複合繊維とが接触部において、該熱可塑性ポ
リエステルエラストマーの部分的な熱融着により固着し
た可撓性熱固着点が散在していることを特徴とするパイ
ル布帛によって達成される。
【0010】かかる本発明のパイル布帛は、その基布が
前記(A)非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と前記
(B)弾性複合繊維より形成された紡績糸より構成され
た織布であること、およびその紡績糸は(A)非弾性ポ
リエステル系捲縮短繊維と(B)弾性複合繊維とが、そ
の接触部において熱可塑性ポリエステルエラストマーの
部分的な熱融着により固着した可撓性熱固着点が散在し
た糸であることに特徴の1つを有している。
【0011】さらに、本発明のパイル布帛は、前記基布
において、植え込んだパイル繊維が基布を構成している
紡績糸中の(B)弾性複合繊維との接触部において、熱
可塑性ポリエステルエラストマーの部分的な熱融着によ
り固着した可撓性熱固着点が散在していることにも特徴
を有している。
【0012】これらの特徴によって、本発明のパイル布
帛は、クッション性および弾力性に富み、パイル繊維の
糸抜けも起こらず、風合いがよく、その上軽量感におい
て優れている。しかも、実質的にポリエステル繊維で構
成することができ、丸洗いが容易であり、用済後リサイ
クル使用が可能であるという利点を有している。
【0013】本発明において、紡績糸の構成繊維として
前記弾性複合繊維を使用することによって、その繊維表
面のポリエステルエラストマーによる固着の結合力とそ
の可撓性によるためと、弾性複合繊維の構造による繊維
の弾性回復力のために、基布が弾力性を保持しかつ適当
な柔らかさで形態を保持しかつパイル繊維との固着も可
撓性を有し、全体として風合いの優れたパイル布帛とし
ての性能を発現しているものと考えられる。
【0014】以下、本発明のパイル布帛について、さら
に詳細に説明する。本発明のパイル布帛における基布
は、(A)非弾性ポリエステル系捲縮短繊維および
(B)弾性複合繊維とからなる紡績糸により構成された
織布である。次に、これら(A)および(B)の各繊維
について説明する。紡績糸を構成する[A]非弾性ポリ
エステル系捲縮短繊維を形成しているポリエステルは、
通常繊維として使用されているものであればよく、例え
ばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−
1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリ
ピバロラクトンまたはこれらの共重合ポリエステルが挙
げられる。この[A]の短繊維の繊維断面形状は、円
形、偏平異型または中空のいずれであってもよい。前記
短繊維のうち、ポリエチレンテレフタレートの短繊維が
特に優れている。
【0015】その短繊維の太さは1〜50デニール、特
に2〜30デニールの範囲にあることが好ましい。この
短繊維の太さが小さいと、紡績糸の密度が高くなって構
造体自身の弾力性が低下する場合が多い。また、短繊維
の太さが大きすぎると、取扱い性、特に紡績糸の形成性
が悪化する。また構成本数も少なくなりすぎて、弾性複
合繊維との間に形成される固着点の数が少なくなり、弾
力性が発現しにくくなると同時に耐久性も低下するおそ
れがある。更には柔らかさも粗硬になりすぎる。
【0016】短繊維の繊維長は20mm以上、好ましく
は35〜200mm、特に好ましくは50〜140mm
の範囲が有利である。紡績糸中の前記非弾性ポリエステ
ル繊維の割合は40〜95重量%、好ましくは50〜9
0重量%の範囲が適当である。短繊維の断面形状は、
丸、三角、中空等目標とするバルキー性、風合いあるい
は光沢との関連で適宜選択される。またカーディングを
中心とする工程への適応性とバルキー性等の製品性能の
点から捲縮を保持することは不可欠である。捲縮の形態
は平面的なジグザグ型でも、立体的なスパイラル型のい
ずれであってもよいが、通常捲縮数は、1インチ当り5
〜20個、捲縮度は5〜30%のものが使用される。
【0017】一方本発明の紡績糸を構成する(B)弾性
複合繊維は、熱可塑性ポリエステルエラストマーと非弾
性ポリエステルとより形成され、熱可塑性ポリエステル
エラストマーが少なくともその複合繊維の表面に露出し
た構造を有している。
【0018】この(B)弾性複合繊維において熱可塑性
ポリエステルエラストマーは繊維表面の少なくとも1/
2を占めるものが好ましい。また熱可塑性ポリエステル
エラストマーと非弾性ポリエステルとの複合割合は重量
で30/70〜70/30の範囲であるのが望ましい。
弾性複合繊維の断面における形態としては、サイド・バ
イ・サイド、シース・コア型のいずれであってもよい
が、好ましいのは後者である。このシース・コア型にお
いては、勿論非弾性ポリエステルがコアとなるが、この
コアは同心円状あるいは偏心状にあってもよい。特に偏
心型のものにあっては、コイル状弾性捲縮が発現するの
で、より好ましい。
【0019】前記弾性複合繊維における熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルを
ハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グ
リコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリ
エーテルエステルブロック共重合体、より具体的にはテ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−
2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー
酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成
性誘導体等から選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種
と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ト
リメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペ
ンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の
脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメ
タノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリ
シクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、または
これらのエステル形成性誘導体等から選ばれたジオール
成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜
5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,
2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、
ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレン
オキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレン
オキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ
(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1
種から構成される三元共重合体である。
【0020】しかしながら、(A)非弾性ポリエステル
系捲縮短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすれ
ば、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメント
とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメン
トとするブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好
ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエ
ステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジ
オール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレ
ンテレフタレートである。勿論、この酸成分の一部(通
常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカ
ルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコー
ル成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコ
ール成分以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。
【0021】また、ソフトセグメントを構成するポリエ
ーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分
で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリ
マー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、
艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて
配合されていてもよい。
【0022】この熱可塑性ポリエステルエラストマーの
重合度は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5
の範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎる
と、非弾性ポリエステル系短繊維とで形成される熱固着
点が破壊され易くなる。
【0023】熱可塑性ポリエステルエラストマーの基本
的特性としては、破断伸度が500%以上が好ましく、
更に好ましくは800%以上である。この伸度が低すぎ
ると、紡績糸が圧縮されその変形が熱固着点におよんだ
とき、この部分の結合が破壊され易くなる。
【0024】一方、熱可塑性ポリエステルエラストマー
の300%の伸長応力は0.8kg/mm2以下が好まし
く、更に好ましくは0.6kg/mm2以下である。この
応力が大きすぎると、熱固着点が、紡績糸が圧縮された
とき、その力で該熱固着点が破壊されるおそれがある。
【0025】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
の300%伸長回復率は60%以上が好ましく、さらに
好ましくは70%以上である。この伸長回復率が低い
と、紡績糸が圧縮されて熱固着点は変形しても、もとの
状態に戻りにくくなるおそれがある。これらの熱可塑性
ポリエステルエラストマーは、(A)非弾性ポリエステ
ル短繊維を構成するポリエステルよりも低融点であり、
かつ熱固着点の形成のための融着処理時に該繊維を熱的
にへたらせないものであることが必要である。この意味
から、その融点は該繊維を構成するポリマーの融点より
40℃以上、特に60℃以上低いことが好ましい。かか
る熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点は例えば1
30〜220℃の範囲の温度であることができる。
【0026】この融点差が40℃より少ないと、以下に
述べる融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾
性合成繊維のへたりを惹起し、また該繊維の力学的特性
を低下させてしまう。融点差が110℃より大きいと複
合紡糸する場合にトラブルが発生し易い。なお、熱可塑
性エラストマーについて、その融点が明確に観察されな
いときは、融点を軟化点をもって代替する。一方、弾性
複合繊維を構成する上記の熱可塑性ポリエステルエラス
トマーの相手方成分として用いられる非弾性ポリエステ
ルとしては、既に述べた非弾性合成繊維として例示した
と同様のポリエステルが採用されるが、その中でもポリ
エチレンテレフタレート或いはポリブチレンテレフタレ
ートがより好ましい。
【0027】前記弾性複合繊維は、1〜100デニー
ル、好ましくは2〜50デニールの繊維であり、長さが
30〜250mm、好ましくは50〜200mmである
ことが望ましい。
【0028】前記弾性複合繊維は、紡績糸中5〜60重
量%、好ましくは10〜50重量%分散・混入されてい
るのが適当である。弾性複合繊維の混入割合が前記範囲
よりも少なくなると、熱固着の数が少なくなり、糸抜け
が起こるようになり、基布として弾力性、耐久性が少な
くなるようになる。一方弾性複合繊維の混合割合が前記
範囲より多くなると、合体として弾力性が低い基布とな
るので望ましくない。
【0029】(B)弾性複合繊維も、(A)の短繊維と
の均一混綿およびカーディング等の工程への適応性の点
で捲縮を有することが不可欠である。捲縮の基本形態は
平面的なジグザグ型でも、立体的なスパイラル型でもよ
いが、通常捲縮数は1インチ当り5〜20個、捲縮度は
5〜30%のものが使用される。
【0030】本発明のパイル布帛は前記(A)非弾性ポ
リエステル合成繊維と前記(B)弾性複合繊維との紡績
糸より形成された織布を基布として使用したものであ
る。その紡績糸は、両繊維を使用して通常の方式で製造
することができる。例えば紡毛式、ソ毛式或いはセミソ
毛紡式が適当である。得られた紡績糸は、弾性複合繊維
を構成する熱可塑性エラストマーが溶融し非弾性合成繊
維と部分的熱融着した可撓性熱固着点が形成されるよう
に熱処理される。好ましくは該熱可塑性ポリエステルエ
ラストマーの融点よりも10〜80℃高い温度、好まし
くは15〜60℃高い温度で熱処理して弾性複合繊維と
非弾性ポリエステル短繊維の接触部の少なくとも一部を
熱融着して固着する。この熱処理は、当然のことながら
基布にパイル繊維を植え込んだ後に行われる。
【0031】このようにして(A)非弾性ポリエステル
短繊維と、(B)弾性複合繊維よりなる紡績糸から形成
された織布を基布として使用しパイル布帛を得る。
【0032】前記基布に植え込まれるパイル繊維は、カ
ーペットのパイル繊維として、通常使用されているもの
が使用され、その形態はパイルカーペットのタイプに応
じて種々選択される。例えばポリエステル繊維、ポリア
ミド繊維、天然繊維(シルク、ウール等)および再生繊
維(レーヨン)が挙げられる。特に本発明においては、
パイル繊維はポリエステル繊維、殊にポリエチレンテレ
フタレートもしくはその共重合体より形成された繊維の
紡績糸を使用するのがいくつかの点で優れている。すな
わち、弾性複合繊維との接着に優れ、目的とする固着点
の形成が容易となり、しかも回収および再利用も可能と
なる。パイル繊維の紡績糸は、例えば紡毛式、ソ毛式あ
るいはセミソ紡式が適当である。
【0033】本発明のパイル布帛は、前記基布にパイル
繊維を使用してタフティングにより、パイルを形成させ
ることによって得られる。このタフティングは、それ自
体公知の方法を採用することができる。パイルは、その
ままでもよく、カットパイルでもよい。さらに、パイル
とカットパイルの両者が共存する形態であってもよい。
また、パイル繊維としては、紡績糸のみならず、フィラ
メントやテクスチャードヤーンよりなる繊維を使用する
こともできる。
【0034】また、本発明においては、パイル繊維とし
て前記した基布としての織布を構成している紡績糸を使
用することができる。すなわち、(A)非弾性ポリエス
テル系捲縮短繊維および(B)弾性複合繊維からなる紡
績糸をパイル繊維として使用することができる。この紡
績糸の構成は、前記した基布の織布としての紡績糸と実
質的に変わりはない。パイル繊維として、前記紡績糸を
使用した場合、パイル繊維の糸抜けが一層起こらず、特
にカットパイルの場合、その先端部が拡がらず、外観の
低下もない優れたパイル布帛となる。
【0035】前記紡績糸をパイル繊維として使用した場
合、パイル繊維を基布に植え込み、後述する熱処理を行
うと、パイル繊維は、(i)該非弾性ポリエステルを構
成するポリマーの融点より40〜110℃以上低い融点
を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーと非弾性ポ
リエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露
出した弾性複合繊維が、非弾性ポリエステル短繊維中に
分散・混入され、かつ(ii)該弾性複合繊維と非弾性ポ
リエステルとが接触部において、該熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーの部分的な熱融点により固着した可撓性
熱固着点が散在する紡績糸となる。さらに、パイル繊維
は基布中の紡績糸とその接触点において(具体的には弾
性複合繊維が接触する点において)繊維が固着し、糸抜
けが防止される。
【0036】本発明のパイル布帛は、前述のように、パ
イル繊維を基布に植え込んで後、熱処理することによっ
て得られる。この熱処理は、基布中の弾性複合繊維にお
けるポリエステルエラストマーの融点よりも高い温度
(例えば10〜80℃高い温度)で、しかも非弾性のポ
リエステル短繊維の融点よりも低い温度で行われる。こ
の熱処理によりパイル布帛中において、下記(A)およ
び(B)の可撓性熱固着点が形成される。
【0037】(A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態
で互いに熱融着により形成された可撓性熱固着点、およ
び(B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリエステル系短繊
維とが交叉した状態で熱融着により形成された可撓性熱
固着点
【0038】さらに、前記熱処理によりパイル繊維と基
布中の弾性複合繊維との接触点においても、可撓性熱固
着点が形成され、パイル繊維の抜けが防止される。かく
して、前記熱処理により基布の形状安定性が増大し、パ
イル繊維の抜けが防止され、パイル布帛としての品質が
優れたものとなる。
【0039】
【発明の効果】本発明のパイル布帛は、クッション性お
よび形状安定性に優れ、しかもパイル繊維の糸抜けがな
く、風合いが良好であり軽量である。しかも、実質的に
ポリエステル系繊維よりなる繊維(好ましくは全繊維の
95重量%以上、特に好ましくは98重量%以上がポリ
エステル繊維)で形成することが可能であり、丸洗いが
容易であり、その上回収、再利用が可能である。また、
その製造工程は簡単であり、工業的にも有利である。さ
らに、本発明のパイル布帛を自動車用シートファブリッ
クとして用いるとき、この布帛はバックコートがないの
で軽量であり、リサイクルでき、しかも快適性(通気性
の向上)等の効果が得られる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳述する。 (1)基布用地糸の作成 ポリエチレンテレフタレート捲縮短繊維(繊度2de、
繊維長51mm)と、融点が170℃の熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーを鞘成分とし、ポリエチレンテレフ
タレートを芯成分とする複合繊維(鞘成分:芯成分=5
0:50、繊度3de、繊維長51mm)とをそれぞれ
50重量%の割合となるように混合した原綿を、セミソ
毛方式により紡績することにより綿番手20番の紡績糸
を得た。この紡績糸をモケット編物用の地糸とした。
【0041】(2)パイル繊維の作成 ポリエチレンテレフタレート捲縮短繊維(繊度2de、
繊維長51mm)と、ポリエチレンテレフタレート捲縮
短繊維(繊度3de、繊維長51mm)とをそれぞれ5
0重量%の割合となるように混合した原綿を、セミソ毛
方式により紡績することにより綿番手20番の紡績糸を
得た。この紡績糸をパイル繊維として使用した。
【0042】(3)パイル布帛の作成 前記(1)で得られた紡績糸をそのままタテ糸・ヨコ糸
に用い、前記(2)で得られたパイル繊維を130℃に
てチーズ染色した後、タテパイル繊維として用いてモケ
ット織物を試織した。得られた織物のパイル繊維サイド
を通常のモケット織物の仕上げ加工に準じて毛割一剪毛
を施し、ベロア調に整毛した。次いで、これを乾熱で1
80℃で3分間熱処理した。得られたパイル布帛は、複
合繊維における熱可塑性ポリエステルエラストマーが熱
融着することによってパイル繊維が基布に固定され、従
来のバックコーティングされたパイル布帛と同じレベル
の優れたパイル抜け防止効果が認められた。また、得ら
れたパイル布帛は、バックコーティングが施されていな
いので、軽量でかつ風合いがソフトであり、高級感が認
められた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(A)非弾性ポリエステル系捲縮
    短繊維および(B)該非弾性ポリエステルの融点よりも
    40〜110℃低い融点を有する熱可塑性ポリエステル
    エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が
    少なくとも繊維表面に露出した弾性複合短繊維とが互い
    に分散・混合された繊維より形成され、該弾性複合繊維
    と非弾性ポリエステル繊維とが接触部において、該熱可
    塑性ポリエステルエラストマーの部分的な熱融着により
    固着した可撓性熱固定点が散在する紡績糸により構成さ
    れた織布を基布とし、 (2)該基布にパイル繊維を植え込んだパイル布帛であ
    って、該パイル布帛において該パイル繊維と弾性複合繊
    維とが接触部において、該熱可塑性ポリエステルエラス
    トマーの部分的な熱融着により固着した可撓性熱固着点
    が散在していることを特徴とするパイル布帛。
  2. 【請求項2】 該パイル繊維は、ポリエステル繊維によ
    り構成されている請求項1記載のパイル布帛。
  3. 【請求項3】 該パイル繊維は、(i)該非弾性ポリエ
    ステルを構成するポリマーの融点より40〜110℃以
    上低い融点を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー
    と非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊
    維表面に露出した弾性複合繊維が、非弾性ポリエステル
    短繊維中に分散・混入され、かつ(ii)該弾性複合繊維
    と非弾性ポリエステルとが接触部において、該熱可塑性
    ポリエステルエラストマーの部分的な熱融点により固着
    した可撓性熱固着点が散在する紡績糸である請求項1ま
    たは2記載のパイル布帛。
  4. 【請求項4】 全構成繊維の95重量%以上がポリエス
    テル系ポリマーよりなる請求項1〜3のいずれか記載の
    パイル布帛。
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