JPH09228061A - ニッケル・リン薄膜および無電解ニッケル・リンめっき液 - Google Patents

ニッケル・リン薄膜および無電解ニッケル・リンめっき液

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JPH09228061A
JPH09228061A JP6213296A JP6213296A JPH09228061A JP H09228061 A JPH09228061 A JP H09228061A JP 6213296 A JP6213296 A JP 6213296A JP 6213296 A JP6213296 A JP 6213296A JP H09228061 A JPH09228061 A JP H09228061A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた電気抵抗特性と耐食性を有するニッケ
ル・リン薄膜と、このようなニッケル・リン薄膜の成膜
が可能で安定性に優れた無電解ニッケル・リンめっき液
を提供する。 【解決手段】 無電解めっき法により成膜し、その炭素
の含有率を0.1〜3.0at%の範囲内とすることに
より優れた電気抵抗特性と耐食性を有するニッケル・リ
ン薄膜とし、少なくともニッケル塩、還元剤および錯化
剤とを含有し、錯化剤としてアミノ基含有化合物を使用
しためっき液を用いて無電解めっき法により上記ニッケ
ル・リン薄膜を形成可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、クロムを含有せず
に高い電気抵抗特性を示すニッケル・リン薄膜と、この
ようなニッケル・リン薄膜の成膜を可能とする無電解ニ
ッケル・リンめっき液に関する。
【0002】
【従来の技術】優れた電気抵抗特性を有しているものと
して、従来からニッケルクロム合金が知られており、こ
のニッケルクロム合金は、抵抗体皮膜として利用される
とともに、良好な耐食性も有しているので、種々の耐食
皮膜として利用されている。
【0003】また、無電解めっき法は複雑な形状面にも
均一な析出が可能であり、無電解めっき法により形成し
たニッケル合金薄膜は、耐食性、電気抵抗特性を備えた
均一な薄膜であり、電子部品等に広く利用されている。
【0004】近年、このような無電解めっき法を用い、
無電解ニッケル合金に第3元素としてクロムを共析させ
てニッケルクロム合金薄膜を形成することが報告されて
いる(電子通信学会論文誌,J61-C, No.8, 517-524 (19
78) 、表面技術協会第79回講演大会要旨集,180頁
(1989) )。この場合、ニッケル塩、クロム塩、還元剤
等を含有する無電解めっき液が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ニッケルクロム合金薄膜の形成では、クロムを共析させ
ることが困難であった。そこで、クロムの共析を可能と
するために、クエン酸を用いて作製したクロム錯体を錯
化剤として添加した無電解めっき液が開発され、ニッケ
ル合金に連続的にクロムを共析させてクロム析出量の高
いニッケルクロム合金薄膜を形成すること、および、こ
れに電解を併用することが報告されている(表面技術,
Vol.43, No.9, 835-838 (1992))。
【0006】しかし、上記のめっき液では、還元剤とし
て従来から使用されている次亜リン酸塩を用いた場合、
電解を併用してもクロム析出量は1重量%以下であり、
また、還元剤としてジメチルアミンボランを用いた場
合、クロム析出量は2重量%以下であり、クロム析出量
は未だ不十分であり、要求される高い電気抵抗特性が得
られないという問題があった。また、上記のめっき液は
還元剤濃度が高いため、実用性に欠けるという問題もあ
った。
【0007】一方、クロムの共析を必要としない無電解
ニッケルめっき膜の開発も行われているが、高い電気抵
抗特性と良好な耐食性を備えるものは未だ得られていな
い状況である。
【0008】本発明は上述のような事情に鑑みてなされ
たものであり、優れた電気抵抗特性と耐食性を有するニ
ッケル・リン薄膜と、このようなニッケル・リン薄膜の
成膜が可能で安定性に優れた無電解ニッケル・リンめっ
き液を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明のニッケル・リン薄膜は、無電解めっ
き法により成膜され、炭素の含有率が0.1〜3.0a
t%の範囲内であるような構成とした。
【0010】さらに、本発明のニッケル・リン薄膜は、
比抵抗が1000μΩcm以上であるような構成とし
た。
【0011】本発明の無電解ニッケル・リンめっき液
は、ニッケル塩、還元剤および錯化剤とを含有し、前記
錯化剤はアミノ基含有化合物であるような構成とした。
【0012】また、前記アミノ基含有化合物が、α−ア
ラニン、β−アラニン、ジエチレントリアミン、L−グ
ルタミン酸塩およびグリシンのいずれかであるような構
成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最適な実施形態に
ついて説明する。
【0014】本発明のニッケル・リン薄膜は、無電解め
っき法により成膜されたものであり、炭素の含有率が
0.1〜3.0at%の範囲内にあることを特徴とす
る。炭素含有率が0.1at%未満であると、比抵抗が
1000μΩcmに達しないものとなり、また、炭素含
有率が3.0at%を超えると、炭素含有による比抵抗
の更なる向上はみられない。尚、本発明のニッケル・リ
ン薄膜におけるリンの含有率は、5〜15重量%、好ま
しくは8〜10重量%程度である。
【0015】上述のように本発明のニッケル・リン薄膜
は0.1〜3.0at%の範囲内で炭素を含有するの
で、比抵抗が1000μΩcm以上、例えば、3000
〜5000μΩcm程度の高い比抵抗を有する。さら
に、本発明のニッケル・リン薄膜は、ニッケルクロム合
金と同程度の耐食性を備えるものである。したがって、
本発明のニッケル・リン薄膜は抵抗体皮膜として極めて
有用である。
【0016】また、本発明のニッケル・リン薄膜は、初
期(未加熱状態)における1000μΩcm以上の高い
比抵抗が加熱処理により不可逆的に低下する特性を有し
ている。加熱処理により比抵抗の低下が生じる温度、お
よび、比抵抗の低下幅は、後述するような無電解めっき
法による成膜時に使用する錯化剤の種類により異なる。
したがって、本発明のニッケル・リン薄膜のうち、加熱
による比抵抗の低下幅の大きいものは、環境温度の変化
を検知するセンサ(例えば、リチウム電池の使用可能期
間の末期の温度上昇を検出するセンサ等)等として有用
である。また、加熱による比抵抗の低下幅の比較的小さ
いものは、上記の抵抗体皮膜や薄膜磁気ヘッド等として
有用である。
【0017】尚、本発明のニッケル・リン薄膜の厚み
は、使用目的等の応じて適宜設定することができ、例え
ば、0.1〜50μm程度の厚みとすることができる。
【0018】次に、本発明の無電解ニッケル・リンめっ
き液について説明する。
【0019】本発明のめっき液を構成するニッケル塩
は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケ
ル、炭酸ニッケル等を挙げることができ、めっき液中の
ニッケル塩濃度は0.01〜1.0mol/dm3
度、好ましくは0.05〜0.2mol/dm3 程度と
することができる。ニッケル塩の濃度が0.01mol
/dm3 未満であると析出速度が遅くなり、また、1.
0mol/dm3 を超えると浴安定性が低下して好まし
くない。
【0020】本発明のめっき液を構成する還元剤として
は、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒ
ドラジン等を使用することができる。めっき液中の還元
剤の濃度は0.05〜1.0mol/dm3 程度、好ま
しくは0.1〜0.3mol/dm3 程度とすることが
できる。還元剤の濃度が0.05mol/dm3 未満で
あると析出速度が遅くなり、また、1.0mol/dm
3 を超えると浴安定性が低下して好ましくない。
【0021】さらに、本発明のめっき液を構成する錯化
剤としては、アミノ基含有化合物を使用することができ
る。具体的には、α−アラニン、β−アラニン、ジエチ
レントリアミン、L−グルタミン酸塩、グリシン、トリ
エチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノ基
(−NH2 、−NH)を含有するアミノ酸、アミン等を
挙げることができる。このような錯化剤のめっき液中の
濃度は0.1〜2.0mol/dm3 程度、好ましくは
0.5〜1.5mol/dm3 程度とすることができ
る。錯化剤の濃度が0.1mol/dm3 未満であると
浴安定性が低下し、また、2.0mol/dm3 を超え
ると析出速度が遅くなり好ましくない。また、めっき液
中の錯化剤とニッケルの濃度(mol/dm3 )比は、
1:1〜20:1の範囲が好ましい。錯化剤の割合が上
記の範囲よりも少ないと、形成されるニッケル・リン薄
膜の比抵抗が不十分となり好ましくない。
【0022】本発明のめっき液においては、上記のアミ
ノ基含有化合物からなる錯化剤が用いられるので、形成
されたニッケル・リン薄膜は炭素を0.1〜3.0at
%の範囲で含有し、クロムの共析を伴わないにもかかわ
らず、従来の無電解めっき法により形成されたニッケル
・リン薄膜よりもはるかに高い電気抵抗特性を有するも
のとなる。
【0023】本発明のめっき液を用いた無電解めっき
は、例えば、浴温度60〜90℃、浴pH4〜7の条件
で行うことができる。浴温度が60℃未満であると析出
速度が遅くなり、90℃を超えると浴安定性が低下して
好ましくない。また、浴pHが上記の範囲からはずれる
と、成膜速度と比抵抗が不十分なものとなり好ましくな
い。
【0024】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。 (実施例1)錯化剤としてβ−アラニンを使用して下記
の組成の無電解ニッケル・リンめっき液を調製した。
尚、錯化剤(β−アラニン)と金属(Ni)との濃度比
が2:1、4:1、8:1、16:1となるように錯化
剤(β−アラニン)の濃度を変化させた。
【0025】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(β−アラニン) … 表1に示される濃度 上記のめっき液を用いて浴温度90℃、pH6.0の条
件でアルミナセラミックス板(2cm×2cm)上にニ
ッケル・リン薄膜(試料1〜10)を形成し、成膜速
度、リン含有量、炭素含有量および比抵抗を測定して下
記の表1に示した。尚、成膜速度は重量法、リン含有量
はエネルギー分散型X線分析装置(EDX)にて測定し
た。また、炭素含有量は燃焼法(堀場製作所(株)製
EMIA−521使用)にて測定した。さらに、比抵抗
は4探針直流法(共和理研(株)製K−705RL)を
用いて測定した。
【0026】また、比較として、クエン酸ナトリウムを
錯化剤として使用して下記の組成の無電解ニッケル・リ
ンめっき液を調製し、このめっき液を用いて上記と同様
にニッケル・リン薄膜(比較試料1)を形成した。
【0027】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(クエン酸ナトリウム) … 0.2mol/dm3
【0028】
【表1】 表1の試料1〜試料4から、錯化剤と金属(Ni)の濃
度比は比抵抗に大きな影響を及ぼさず、いずれの濃度に
おいても1000μΩcm以上の高い比抵抗を有するニ
ッケル・リン薄膜であることが確認された。
【0029】また、試料1と試料5〜試料7から、錯化
剤と金属(Ni)の濃度比が2:1の場合、ニッケル・
リン薄膜の厚みが大きくなるほど比抵抗が減少し、試料
7では炭素含有量が0.1〜3.0at%の範囲にある
にもかかわらず比抵抗が1000μΩcm未満となっ
た。一方、試料2と試料8〜試料10から、錯化剤と金
属(Ni)の濃度比が4:1の場合、ニッケル・リン薄
膜の厚みは比抵抗にほとんど影響を及ぼさないことが確
認された。したがって、ニッケル・リン薄膜に要求され
る厚みが大きい場合、、錯化剤と金属(Ni)の濃度比
を調整することによって1000μΩcm以上の高い比
抵抗が得られることが判明した。
【0030】さらに、試料1〜試料4から、錯化剤と金
属(Ni)の濃度比は成膜速度に大きな影響を及ぼさな
いことが明らかとなり、また、成膜速度が速いにもかか
わらずリン含有量と炭素含量が高いニッケル・リン薄膜
の形成が可能なことが確認された。
【0031】以上の結果から、本発明のニッケル・リン
薄膜において、炭素含有量が0.1〜3.0at%の範
囲内にあることは、1000μΩcm以上の高い比抵抗
を得るための必要条件であることが確認された。 (実施例2)錯化剤としてβ−アラニンを使用して下記
の組成の無電解ニッケル・リンめっき液を調製した。
【0032】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(β−アラニン) … 1.6mol/dm3 上記のめっき液を用いて浴温度とpHを下記の表2に示
されるように変化させて、アルミナセラミックス板(2
cm×2cm)上にニッケル・リン薄膜(試料11〜2
0)を形成し、実施例1と同様にして成膜速度、リン含
有量、炭素含有量および比抵抗を測定して下記の表2に
示した。
【0033】
【表2】 表2の試料11〜13から、めっき浴温度を低下させる
と成膜速度が減少し、比抵抗が増加する傾向が確認され
たが、いずれのニッケル・リン薄膜も1000μΩcm
以上の高い比抵抗を有するものであった。
【0034】また、試料14〜20から、めっき浴のp
H6付近をピークに酸性側、アルカリ性側において、炭
素含有量が0.1〜3.0at%の範囲にあるにもかか
わらず比抵抗が減少することが確認された。この結果、
実施例2の条件における1000Ωcm以上の高い比抵
抗を有するニッケル・リン薄膜の形成では、めっき浴の
pHを5〜6の範囲で設定することが好ましいことが確
認された。 (実施例3)錯化剤としてジエチレントリアミンを使用
して下記の組成の無電解ニッケル・リンめっき液を調製
した。
【0035】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(ジエチレントリアミン) … 0.27mol/dm3 上記のめっき液を用いて浴温度90℃、pH6.0の条
件でアルミナセラミックス板(2cm×2cm)上にニ
ッケル・リン薄膜(試料21)を形成し、成膜速度、リ
ン含有量、炭素含有量および比抵抗を実施例1と同様に
測定して下記の表3に示した。
【0036】また、錯化剤としてL−グルタミン酸ナト
リウムを使用して下記の組成の無電解ニッケル・リンめ
っき液を調製した。
【0037】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(L−グルタミン酸ナトリウム) … 0.27mol/dm3 上記のめっき液を用いて浴温度90℃、pH6.0の条
件でアルミナセラミックス板(2cm×2cm)上にニ
ッケル・リン薄膜(試料22)を形成し、成膜速度、リ
ン含有量、炭素含有量および比抵抗を実施例1と同様に
測定して下記の表3に示した。
【0038】比較として、トリエタノールアミンを錯化
剤に使用して下記の組成の無電解ニッケル・リンめっき
液を調製し、このめっき液を用いて上記と同様にニッケ
ル・リン薄膜(比較試料2)を形成した。
【0039】 (めっき液の組成) ・硫酸ニッケル6水塩 … 0.1mol/dm3 ・次亜リン酸ナトリウム1水塩 … 0.2mol/dm3 ・錯化剤(トリエタノールアミン) … 0.27mol/dm3
【0040】
【表3】 表3から明らかなように、本発明のニッケル・リン薄膜
である試料21,22は、いずれも1000μΩcm以
上の高い比抵抗を有するものであった。
【0041】これに対して、比較試料2は炭素含有量が
0.08at%と低く、比抵抗が1000μΩcm未満
のものであった。 (実施例4)実施例1の試料2(錯化剤=β−アラニ
ン)と比較試料1(錯化剤=クエン酸ナトリウム)、実
施例3の試料21(錯化剤=ジエチレントリアミン)、
試料22(錯化剤=L−グルタミン酸ナトリウム)の各
ニッケル・リン薄膜について、加熱処理(昇温速度=1
0℃/分)を行い、比抵抗の変化を測定して結果を下記
の表4および図1に示した。
【0042】
【表4】 表4および図1から明らかなように、試料2、21、2
2は、初期(未加熱状態)においていずれも1000μ
Ωcm以上の高い比抵抗を有するものであり、加熱処理
により比抵抗の低下が見られた。この比抵抗の低下の幅
は、試料21(錯化剤=ジエチレントリアミン)が最も
小さく、次いで、試料2(錯化剤=β−アラニン)、試
料22(錯化剤=L−グルタミン酸ナトリウム)の順で
低下幅が大きくなり、試料22は比較試料1(錯化剤=
クエン酸ナトリウム)よりも低いレベルまで比抵抗が低
下した。このことから、錯化剤を選択することによって
加熱処理による比抵抗の低下幅を制御することが可能で
あることが確認された。
【0043】また、上記の各試料について耐食性を下記
の方法により評価した。その結果、本発明により形成さ
れたニッケル・リン薄膜(試料2、22、26)は、従
来のNiCr合金薄膜と同等の耐食性を有することが確
認された。
【0044】(耐食性の評価方法)腐食液として5重量
%塩化ナトリウムを使用し、対極に白金、参照極に飽和
カロメル電極を用い、アノード分極法により評価した。
なお、分極時の走査速度は20mV/分とした。
【0045】
【発明の作用および効果】以上詳述したように、本発明
によればニッケル・リン薄膜は無電解めっき法により成
膜されたものであり、その炭素の含有率が0.1〜3.
0at%の範囲内であることにより、1000μΩcm
以上の高い比抵抗を有することが可能となるとともに、
優れた耐食性を有し、抵抗体皮膜として有用であり、ま
た、本発明のニッケル・リン薄膜は、未加熱状態での1
000μΩcm以上の高い比抵抗が加熱処理により不可
逆的に低下する特性をもち、特に加熱による比抵抗の低
下幅の大きいものは環境温度の変化を検知するセンサ等
として有用であり、一方、加熱による比抵抗の低下幅の
比較的小さいものは、上記の抵抗体皮膜や薄膜磁気ヘッ
ド等として有用である。また、本発明では、少なくとも
ニッケル塩、還元剤および錯化剤とを含有し、錯化剤と
してアミノ基含有化合物を使用しためっき液であり、こ
のめっき液を用いた無電解めっきによって成膜されるニ
ッケル・リン薄膜は、クロムを含有しないにもかかわら
ず、ニッケルクロム合金と同等の耐食性を備え、かつ、
従来の無電解めっきによるニッケル・リン薄膜よりもは
るかに高い電気抵抗特性を有するものであり、また、め
っき液の成分濃度も通常の無電解ニッケルめっき液とほ
ぼ同等の濃度であり、実用性の高いものである。さら
に、錯化剤としてのアミノ基含有化合物を選択すること
により、成膜されたニッケル・リン薄膜の加熱処理によ
る比抵抗の低下幅を制御することができ、使用目的に応
じて必要な特性をもつニッケル・リン薄膜の形成が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニッケル・リン薄膜の加熱処理による比抵抗の
変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 英弘 埼玉県大宮市吉野町2丁目1番地 メルテ ックス株式会社研究部内 (72)発明者 初川 拓朗 埼玉県大宮市吉野町2丁目1番地 メルテ ックス株式会社研究部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無電解めっき法により成膜され、炭素の
    含有率が0.1〜3.0at%の範囲内であることを特
    徴とするニッケル・リン薄膜。
  2. 【請求項2】 比抵抗が1000μΩcm以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のニッケル・リン薄膜。
  3. 【請求項3】 ニッケル塩、還元剤および錯化剤とを含
    有し、前記錯化剤はアミノ基含有化合物であることを特
    徴とする無電解ニッケル・リンめっき液。
  4. 【請求項4】 前記アミノ基含有化合物は、α−アラニ
    ン、β−アラニン、ジエチレントリアミン、L−グルタ
    ミン酸塩およびグリシンのいずれかであることを特徴と
    する請求項3に記載の無電解ニッケル・リンめっき液。
JP8062132A 1996-02-23 1996-02-23 ニッケル・リン薄膜および無電解ニッケル・リンめっき液 Expired - Fee Related JP3014958B2 (ja)

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