JPH09227816A - インクジェット記録用インク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の画像形成用色素を用いた場合でも良好
に混合分散し、長期間の保存安定性が得られるインクジ
ェット記録用インクを提供する。 【解決手段】 水系媒体または有機溶剤系媒体中に複数
の画像形成用色素を含有するインクジェット等に用いら
れるインクであって、前記複数の画像形成用色素の少な
くとも１つはカプセル化されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット等
に用いられるインクジェット記録用インクに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、高速で低騒音、多色化が容易で、
現像、定着が不必要であるインクジェット記録方法が画
像形成装置あるいはプリンター等に急速に普及してい
る。このインクジェット記録方法は、染料等を溶解させ
た液体の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、
紙等の記録媒体に付着させて画像、文字等の記録を行う
ものである。

【０００３】前記インクジェット記録方法に用いられる
インクは、画像、文字等の記録を行うため、当然のこと
ながら画像形成用色素が含有されている。前記画像形成
用色素としては、染料や有機顔料、無機顔料等、多種の
ものが使用されている。多種ある色素でも所望の色を出
すためには単独では不十分で、複数の色素を混合して用
いる必要がある。また、装置上の問題等から、溶媒とし
て水系及び有機溶剤系のどちらを用いたとしても、長時
間放置したときに分離してはならない。つまり、インク
の保存安定性が重視されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の
画像形成用色素を用いた場合、同一溶媒で複数の色素を
均一に分散させなければならず、しかも、長期保存した
場合でもその分散は保持されなていなければならない。
この分散性、保存性等の問題から混合できる色素の組み
合わせは著しく制限されてしまい、結局所望する色が得
られないといった問題が発生した。

【０００５】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、複数の色素を用いた場合でも良
好に混合分散し、長期間の保存安定性が得られるインク
ジェット記録用インクを提供することを目的としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の請求項１に記載のインクジェット記録用イ
ンクは、水系媒体または有機溶剤系媒体中に複数の画像
形成用色素を含有し、かつ前記色素の少なくとも１つは
カプセル化されている。

【０００７】従って、同一溶媒中で均一分散が極めて困
難な複数の色素の組み合わせにおいても、分散が困難な
色素をカプセル化することにより、分散性を制御するこ
とが可能となる。このため、複数の色素を用いても、同
一溶媒中で均一分散ができ、長期間の保存が可能とな
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明のインクジェット
記録用インクを具体化した実施の形態を説明する。

【０００９】本実施の形態のインクジェット記録用イン
クは、水系あるいは有機溶剤系媒体と、前記媒体中に分
散された複数の色素から成り、前記複数の色素の内少な
くとも１つはカプセル化さている。媒体としては特に限
定されるものではないが、臭いや安全性を考慮すると有
機溶剤系よりは水系を用いる方がより望ましい。

【００１０】前記水系媒体は、水をベースに色素及びカ
プセルを均一に分散させるための分散剤等を含有してい
てもよい。また、有機溶剤系媒体としては、粘度が低い
物質が望ましく、アルコール類、エステル類、グリコー
ル類等が挙げられる。これらの有機溶剤系媒体は単独で
あってもよいし、あるいは２種以上を混合したものでも
よい。

【００１１】前記カプセルの平均粒径は、特に限定され
るものではないが、装置上の問題から２０μｍ以下程度
に限定される場合もある。

【００１２】カプセルは、外郭部と、内部物質とから成
る。前記内部物質は、少なくとも色素から構成され、必
要であれば補助物質を含有していても良い。補助物質
は、カプセル内部での色素分散性を向上させるためや、
インクの保存安定性を向上させるため等の目的で含有さ
せる物質でり、色素と一緒にカプセル化が可能な物質な
らば、気体、液体、固体等のどれでも使用可能である。
ただし、用いられる色素の発色性を妨げない物質がより
望ましい。

【００１３】前記色素としては、染料、顔料及び顕色剤
等と反応して発色する染料前駆体等が挙げられる。

【００１４】前記染料としては、キサンテン系染料、ク
マリン系染料、メロシアニン系染料、チアジン系染料、
アジン系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、フェ
ニルメタン系染料、シアニン系染料、アゾ系染料、アン
トラキノン系染料、ピラゾリン系染料、スチルベン系染
料、キノリン系染料、ロイコ染料等が挙げられる。

【００１５】顔料としては従来の物質がそのまま使用可
能であり、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾレー
キ顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アンス
ラピリミジン系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン
系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料、カーボン
ブラック、黄鉛、ベンガラ、酸化チタン、モリブデン
赤、カドミウムレッド、コバルトブルー、クロムグリー
ン等の無機顔料が挙げられる。

【００１６】また、染料前駆体としては、ジフェニルメ
タン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ビスフェ
ニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系
化合物、フルオラン系化合物、スピロピラン系化合物等
が挙げられる。

【００１７】上記構成のカプセルは、すでに当業界にお
いて公知の技術となっている方法で作製することが可能
である。例えば、米国特許第２８００４５７号、同第２
８００４５８号各明細書等に示されるような水溶液から
の相分離法、特公昭３８−１９５７４号、同昭４２−４
４６号、同昭４２−７７１号各公報等に示されるような
界面重合法、特公昭３６−９１６８号、特開昭５１−９
０７９号各公報等に示されるモノマーの重合によるイン
テイチュ（ｉｎ−ｓｉｔｕ）法、英国特許第９５２８０
７号、同第９６５０７４号各明細書に示される融解分散
冷却法等があるが、これに限定されるものではない。

【００１８】外郭部の形成材料としては、前記カプセル
製造方法にて外郭部が作製可能であれば、無機物質でも
有機物質でもよい。

【００１９】具体例としては、ゼラチン、アラビアゴ
ム、デンプン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウ
レタン、ポリユリア、ポリウレタン、ポリスチレン、ニ
トロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロー
ス、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムア
ルデヒド樹脂等、及びこれらの共重合物等が挙げられ
る。

【００２０】次に、実施例を記述するが、本発明はこの
実施例に限定されるものではなく、これまでに記述され
た範囲で、用いられる材料物質、その量比及び作製条件
を変更しても実施可能である。

【００２１】

【実施例】画像形成材料としてマゼンタ用顔料２種類を
内包したマゼンタ画像記録用インクを作製する。

【００２２】蒸留水１００重量部に、β−ナフタリンス
ルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩を分散剤とし
て用い、アゾ系顔料を２重量部分散させた。

【００２３】これとは別に、オリーブ油２０重量部に高
分子ポリウレタンを分散剤として用い、キナクリドン系
顔料を２重量部分散させた。

【００２４】次に、ポリスチレンスルホン酸の一部ナト
リウムとスチレン−無水マレイン酸共重合体を１：１に
混合した５％水溶液１００ｃｃ中に、前記顔料を分散し
たオリーブ油を加え、ホモジナイザーで６０００回転、
５分間攪拌して水溶液中に油成分が１〜１０μｍの大き
さの液滴として存在する、所謂Ｏ／Ｗエマルジョンを得
た。

【００２５】別に、ホルムアルデヒド３７％水溶液に市
販のメラミン粉末を加え、水酸化ナトリウム溶液によっ
てＰＨ９．０に調整し、水温６０度で３０分間加熱して
メラミン・ホルムアルデヒドプレポリマーを得た。

【００２６】先に作製したＯ／Ｗエマルジョンにメラミ
ン・ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、アジホモミ
キサー等によって１００〜３００回転で攪拌しつつ水温
が８０℃になるように加熱した状態で３時間保持し、そ
の後ＰＨ７に調整して常温まで冷却した。この結果、Ｏ
／Ｗエマルジョンの液滴のまわりにメラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂の壁材が析出し、キナクリドン系顔料が分
散されたオリーブ油を内包するマイクロカプセルエマル
ションが得られた。

【００２７】前記マイクロカプセルエマルションを濾過
洗浄し、前記アゾ系顔料を分散した蒸留水に加えて、マ
ゼンタ画像記録用インクとした。

【００２８】イエロー、シアン、ブラックのインクにつ
いても、顔料を変更するのみで作製が可能である。この
場合、使用顔料によっては顔料分散剤も変更しなければ
ならない時もあるが、市販の分散剤を選定することによ
り充分対応可能である。

【００２９】（比較例）β−ナフタリンスルホン酸ホル
マリン縮合物のナトリウム塩を分散剤として用いアゾ系
顔料２重量部、及びキナクリドン系顔料２重量部を、蒸
留水１００重量部に分散させ、比較用の水系インクを得
た。

【００３０】前記実施例と比較例のインクの顔料分散性
を、光学顕微鏡にて観察した。さらに、安定性を比較す
るために、外形１５ｍｍ、高さ２００ｍｍの試験管に入
れ、室温で放置し、顔料の分離具合を目視にて観察し
た。

【００３１】前記実験の結果、比較例のインクにおいて
顔料の凝集体が確認された。さらに、実験例より比較例
の方が顔料の分離が著しく早かった。キナクリドン系顔
料の分散が悪いためにこのような結果になったと思われ
る。このことから明らかなように、本実施例のインク
は、保存安定性が著しく向上したと言える。

【００３２】さらに、カプセル外郭部の膜厚を調節する
ことにより、インクが噴射され受像紙に衝突した際に、
カプセルが破壊されるようにすることも可能である。

【００３３】なお、本発明は、上述した実施の形態にと
らわれることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の
変更が可能である。

【００３４】例えば、前記実施例においては、顔料をオ
イルで分散させたものを内部物質として用いているが、
顔料そのもののみを内部物質としてもよい。つまり、顔
料の表面に外郭部を形成した構造のカプセルでも使用可
能である。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の請求項１に記載のインクジェット記録用インク
は、複数の画像形成用色素の少なくとも１つはカプセル
化されているので、２種類以上の画像形成用色素を含有
した場合でも良好に混合分散し、かつ保存安定性が著し
く向上する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水系媒体または有機溶剤系媒体中に複数
   の画像形成用色素を含有するインクジェット等に用いら
   れるインクジェット記録用インクにおいて、 前記複数の画像形成用色素の少なくとも１つはカプセル
   化されていることを特徴とするインクジェット記録用イ
   ンク。