JPH09227611A - パーオキサイド組成物及びそれを用いる硬化成形法 - Google Patents

パーオキサイド組成物及びそれを用いる硬化成形法

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JPH09227611A
JPH09227611A JP6025696A JP6025696A JPH09227611A JP H09227611 A JPH09227611 A JP H09227611A JP 6025696 A JP6025696 A JP 6025696A JP 6025696 A JP6025696 A JP 6025696A JP H09227611 A JPH09227611 A JP H09227611A
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JP
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peroxide
curing
molding
life
peroxide composition
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JP6025696A
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English (en)
Inventor
Seiichi Kawachi
誠一 河内
Shinichi Fujii
信一 藤井
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Kayaku Akzo Corp
Original Assignee
Kayaku Akzo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹
脂等の硬化成形用樹脂を硬化成形するに当たり、適度な
硬化速度及び長いシェルフライフを与えることの出来る
パーオキサイド組成物を開発すること。 【解決手段】10時間半減期温度が83℃から120℃
の高温活性パーオキサイド50ないし99重量%と、1
0時間半減期温度が40℃から83℃の低温活性パーオ
キサイド50ないし1重量%との混合物に対して、重合
禁止作用を有するフェノール性化合物を0.1ないし5
重量%含有せしめたパーオキサイド組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂又はビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化
成形に有用で、シートモールディングコンパウンド(S
MC)やバルクモールディングンパウンド(BMC)等
を成形する際に適度な硬化速度を与え、かつ長いシェル
フライフを与えるパーオキサイド組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】SMC、BMCなどのFRP成形材料
は、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂に
硬化剤を加え、更に必要に応じて増粘剤、充填剤、低収
縮剤、離型剤、禁止剤、ビニル型単量体等を混合した
後、それぞれシート状又はペレット状若しくはバルク状
にしたものである。
【0003】これらの成形材料は、圧縮成形、トランス
ファ成形、射出成形などの各種プレス成形法で、自動車
部品、電気部品、住設機器、住設資材、浄化槽などに成
形され、今日、工業的に広く用いられるようになった。
【0004】前記成形材料に使用される硬化剤は、プレ
ス成形時における成形材料の流れ特性、硬化終了時間、
成形品の光沢度、平滑性、着色性などの表面外観特性、
更に成形材料のシェルフライフ等、成形品の品質や生産
性に大きな影響を与えるものであり、その選択は重要で
ある。
【0005】不飽和ポリエステル樹脂あるいはビニルエ
ステル樹脂等の熱硬化性樹脂は、一般には120℃ない
し160℃の温度で成形されているため、このような温
度で分解する各種のパーオキサイド及びアゾ化合物が硬
化剤として利用できるが、トータルバランスの良いt−
ブチルパーオキシベンゾエートが最も広く利用されてい
る。
【0006】近年、FRP成形は、初期投資費用が少な
く、デザインが自由であることから、鋼板プレス成形に
代わる自動車部品、電気部品、住設機器などの中量生産
手段として見直され、これによる製品の需要も増大して
いる。これに伴い、成形サイクルの短縮化による生産性
向上を目的とした高速プレスの開発や自動SMCチャー
ジ機等のプレス成形前後の工程の機械化、自動化が進ん
できた。これに伴い、成形材料のポットライフ又はシェ
ルフライフが長く、かつ成形材料の型内の流動時間をで
きるだけ長く保持させ、硬化開始から終了までの時間を
作業に最適な条件となる硬化速度を有する硬化剤の開発
に対する要望が強くなった。
【0007】t−ブチルパーオキシベンゾエートは、硬
化速度が遅く、時代の要求である成形サイクルの短縮と
いう要求を満たしていない。そこで、t−ブチルパーオ
キシベンゾエートの代替用硬化剤の開発が盛んになって
きた。
【0008】各種の硬化剤及び硬化系が提案されている
が、t−ブチルパーオキシベンゾエートの特徴を損なわ
ず速硬化できるものとして、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネートが成形材料製造業者の間で広く利
用されるようになった。しかし、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネートは、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエートに比べて速硬化であり、表面外観特性に優れ
た硬化剤であるが、プレス成形機の自動化、高速化と相
まって、生産性の向上の必要性から、更なる速硬化出来
る硬化剤の要望が高まってきている。
【0009】速硬化のみを考える場合においては、t−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの使用が
考えられるが、SMC、BMCなどのFRP成形材料に
このものを用いた場合、シェルフライフが短くなるとい
う欠点が生じる。シェルライフは、貯蔵安定性の指標で
あり、これが短いと、貯蔵の際プレゲルを作り易く成形
不良の原因となる。又、型内での成形材料の流動時間を
短くするという傾向もあり、パラベンゾキノン等の重合
禁止剤を多量に使用しなければならず、黄変性や物性に
悪影響を与える恐れがある。
【0010】1,1−ビスt−ブチルパーオキシシクロ
ヘキサンや1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ3,
3,5トリメチル)シクロヘキサン等のパーオキシケタ
ールは、速硬化が可能で長いシェルフライフを与える
が、このものの最大の欠点は、FRP製品の表面外観特
性に劣ることである。表面外観は、製品の価値を決める
重要なファクターであり、ユニットバスやカウンターな
どの住設機器では表面外観特性が劣ることは致命傷にな
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、硬化速度
が現在一般的に成形材料に使用されているt−ブチルパ
ーオキシベンゾエート又はt−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネートより速く、成形材料の長いポットラ
イフ又はシェルフライフを与え、かつ、表面外観特性に
優れるFRP製品を与える硬化剤組成物を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記要望
に応ずるための鋭意研究を重ねた結果、10時間半減期
が83℃から120℃の高温活性パーオキサイドと、1
0時間半減期が40℃から83℃の低温活性パーオキサ
イドとフェノール性重合禁止剤とを特定な割合で混合し
たパーオキサイド組成物が前記課題を解決するに十分な
性質を有していることを発見し、本発明を完成するに至
った。
【0013】即ち本発明は、 (1)10時間半減期温度が83℃から120℃の高温
活性パーオキサイド50ないし99重量%と、10時間
半減期温度が40℃から83℃の低温活性パーオキサイ
ド50ないし1重量%との混合物に対して、重合禁止作
用を有するフェノール性化合物を0.1ないし5重量%
を混合してなるパーオキサイド組成物 (2)前記(1)記載のパーオキサイド組成物を用いる
ことを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエ
ステル樹脂の硬化成形法 に関する。
【0014】本発明において使用する高温活性パーオキ
サイドは、10時間半減期温度が83℃から120℃の
範囲内にあるもので、その具体例としては、表1に記載
した化合物を挙げることができる。ここで10時間半減
期温度とは、有機過酸化物の0.2mol/リットル濃
度のベンゼン溶液を熱分解した時、有機過酸化物の半減
期が10時間になる分解温度を言う。
【0015】本発明において使用する低温活性パーオキ
サイドは、10時間半減期温度が40℃から83℃の範
囲内にあるもので、その具体例としては、表2に記載し
た化合物を挙げることができる。ただし、10時間半減
期温度が83℃のパーオキサイドは、配合によっては、
高温活性パーオキサイドとして用いることも出来る。
【0016】本発明で言う重合禁止作用を有するフェノ
ール性化合物とは、適度な強さの重合禁止作用を有する
ものであればいずれも使用可能であるが、そのような化
合物の具体例としては、2,6ジt−ブチル4−メチル
フェノール、 2−〔1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ
t−ペンチルフェニル)エチル〕4,6 −ジ−t−ペ
ンチルフェニルアクリレート、4,4−チオビス(3−
メチル6t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデン
ビス(3メチル−6t−ブチルフェノール)、2,2−
メチレンビス(4−メチル6t−ブチルフェノール)、
n−オクタデシル3−(3,5−ジt−ブチル4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス〔2−
{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)−プロピオニル}−1,1−ジメチル〕−
2,4,8,10−テトラオキソスピロ〔5,5〕ウン
デカン、テトラキス〔メチレン3−(3,5−ジ−t−
ブチル4−ヒドロキシフェニルプロミネート〕メタン、
2−t−ブチル6−(3−t−ブチル2−ヒドロキシ5
−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用して用
いられる。
【0017】通常、熱硬化性樹脂を硬化させるためには
パーオキサイドを添加混合するが、本発明では、使用す
るパーオキサイドとして高温活性パーオキサイドと低温
活性パーオキサイドを用い、更に添加剤として重合禁止
作用を有するフェノール性化合物を用いる。
【0018】本発明のパーオキサイド組成物において、
高温活性パーオキサイドと低温活性パーオキサイドの混
合比率は、99:1〜50:50%であり、そのような
混合物に、0.1〜5%の重合禁止作用を有するフェノ
ール性化合物を添加、混合しパーオキサイド組成物とし
て使用に供される。ここで使用した%は、重量%を意味
し、以下全て同様とする。
【0019】重合禁止作用を有するフェノール性化合物
の添加量が0.1%未満ではシェルフライフを長くする
効果が充分ではなく、又、添加量が5%を越えると硬化
速度を遅くする結果を与えることとなる。
【0020】本発明で使用しうる高温活性パーオキサイ
ドの例を表1に示す。
【0021】
【表1】 表 1 高温活性パーオキサイド 10時間 半減期温度 (名 称) (略称) (℃) t−ブチルパーオキシベンゾエート (TBPB) 105 t−アミルパーオキシベンゾエート (TAPB) 100 t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート (TBTMH) 100 t−ヘキシルパーオキシベンゾエート (THPB) 99 1,1−ビスt−ブチルパ−オキシシクロヘキサン(TBCH) 97 t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート (BIC) 97 t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート (TAPTMH) 95 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ3,3,5−トリメチル)シクロヘキサン (TBTMCH) 95 2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシベンゾエート (TMPPB) 89
【0022】本発明で使用しうる低温活性パーオキサイ
ドの例を表2に示す。
【0023】
【表2】 表 2 低温活性パーオキサイド 10時間 半減期温度 (名 称) (略称) (℃) 2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエ ート (TMPTMH) 83 t−ブチルパーオキシイソブチレート (TBPIB) 78 t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート (TBPO) 74 t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート (TAPO) 70 t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(THPO) 69 2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート (TMPO) 64 Bis−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド (TMHP) 60 t−ブチルパーオキシピバレート (TBPP) 56 Bis(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート (TBCPC) 44 Di−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPC) 44
【0024】本発明のパーオキサイド組成物は、種々の
熱硬化性樹脂の熱硬化に使用が可能であるが、好ましい
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂及びビ
ニルエステル樹脂が挙げられる。
【0025】不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基
酸を必ず1成分として含み、必要により飽和二塩基酸を
併用してグリコール類と加熱脱水縮合させて得られる反
応物を、スチレン等のビニル系単量体で希釈したもので
ある。不飽和二塩基酸の具体例としては、無水マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等が挙
げられる。又、飽和二塩基酸の具体例としては、無水フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、こはく酸、アジ
ピン酸、セバチン酸等が挙げられる。更に、グリコール
類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、プロピ
レンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0026】次に、ビニルエステル樹脂は、ポリエポキ
シドとα,β−不飽和一塩基酸の当量反応物をビニル系
単量体等で希釈したものである。ポリエポキシドの具体
例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の
エピビス型グリシジルエーテル、ノボラック型グリシジ
ルエーテル、臭素化グリシジルエーテル、トリグリシジ
ルイソシアヌレート等の含窒素ポリエポキシド、フタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸等のグリシジルエステル、グ
リコール型グリシジルエーテル等が挙げられる。又、
α,β−不飽和一塩基酸の具体例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等
が挙げられる。
【0027】前記樹脂を得るに当たり用いられるビニル
系単量体の具体例としては、スチレン以外にメチルメタ
クリレート、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ク
ロルスチレン等が挙げられる。
【0028】本発明のパーオキサイド組成物の使用量
は、熱硬化性樹脂100部に対して総計で0.1〜3部
であり、好ましくは0.5〜2部であり、使用時の成形
温度は、100℃以上、望ましくは120℃以上170
℃以下である。硬化時間は、成形温度及び熱硬化性樹脂
の種類によって変わるが、通常1分〜30分である。パ
ーオキサイド組成物は、予め混合したものを樹脂に添加
しても良く、又、各成分のそれぞれ必要量を別々に樹脂
に添加混合しても良い。ここで使用した部は重量部を意
味し、以下全て同様とする。
【0029】本発明にいうSMCやBMC等のFRP成
形材料は、必要に応じて増粘剤である酸化マグネシウ
ム、微粉シリカ、水酸化カルシウム等を0.5〜3部、
低収縮剤であるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等を10から30部、離型剤であるステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ワックス等を1〜10
部、重合禁止剤であるパラベンゾキノン、ハイドロキノ
ン等を50〜300ppm、ガラス繊維であるチョップ
ドストランド、コンティニュアスマット等を15〜30
%、充填剤である炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム
等を100〜300部や、ビニル単量体であるスチレ
ン、メチルメタクリレート、ビニルトルエン等を1〜2
0部を配合することが可能であり、これらはFRP成形
材料の製造に一般的に用いられるものである。
【0030】
【実施例】以下に実施例、比較例によって本発明を更に
詳しく説明するが、これらは何れも例示であり、本発明
を限定するものではない。
【0031】実施例1〜9、比較例1、2 市販のSMC用不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業
株式会社製ポリマール6819、以下樹脂Aと略す)に
対し、各パーオキサイド組成物を1%使用し、JISー
Kー6901に準じた方法で加熱硬化試験及びポットラ
イフの測定実験を行い、ゲル化時間(GT)、硬化時間
(CT)を120℃で、及びポットライフを30℃で測
定した。この試験条件下では、成形加工の作業性からG
Tが20〜80秒の範囲、作業能率からCTが100秒
以下であり、かつ貯蔵安定性からポットライフの長いパ
ーオキサイド組成物が好ましい。本発明のパーオキサイ
ド組成物の各パーオキサイド及び重合禁止作用を有する
フェノール性化合物の組成比及び測定結果を表3に示
す。表において、「パーオキサイド組成物」の欄の数字
は、組成比(重量)を表す(以下同じ)。
【0032】
【表3】 表 3 実施 パーオキサイド組成物 硬化特性 ポッ 例 高温活性 低温活性 フェノール GT CT トラ パーオキサイド パーオキサイド 化合物 イフ 秒 秒 日 1.BIC 90 TBPO 10 BHT 3 59 93 30 2. 〃 80 〃 20 〃 3 33 62 28 3. 〃 70 〃 30 〃 3 22 47 25 4.TBPB 80 〃 20 〃 3 36 67 30 5. 〃 70 〃 30 〃 3 23 54 25 6.TAPB 90 〃 10 〃 3 53 82 30 7.TAPTMH 80 〃 20 〃 3 32 59 30 8.BIC 80 TBPIB 20 〃 3 71 98 30 9. 〃 50 〃 50 〃 3 31 63 20 比較 例 1.TBPB 100 無し − 136 167 9 2. TBPO 100 無し − 8 35 1 但し、BHTは、2,6ジt−ブチル4−メチルフェノールを示す。
【0033】表3から明らかなように、ポットライフを
長くしようとする従来の硬化剤である比較例1のt−ブ
チルパーオキシベンゾエートでは、ゲル化時間(GT)
および硬化時間(CT)が長すぎるため作業性及び作業
効率が悪く、又GTおよびCTを短くしようとする比較
例2のt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート
では、ポットライフが短かすぎ貯蔵安定性が悪いのに比
べると、本発明の組成物は、使用し易い20〜100秒
のゲル化時間、100秒以下の硬化時間を有し、かつ、
ポットライフを長くすることが出来、作業に適した硬化
速度を有し、かつ長いポットライフを有する優れたパー
オキサイド組成物であることが分かる。
【0034】実施例10〜12及び13〜15、比較例
3、4及び5、6 樹脂A80部、ポリスチレン系低収縮剤20部、炭酸カ
ルシウム150部、ステアリン酸亜鉛5部及び酸化マグ
ネシウム1部に本発明のパーオキサイド組成物又は比較
例のパーオキサイド1部を加え、得られた混合物を万能
混合機により充分に均一となるように、一定時間混合し
た。さらに、62.5部の6mmチョップドストランドを
加え、一定時間混合攪拌し、コンパウンドを作成した。
このコンパウンドをポリエチレンテレフタレートフィル
ムで包み、40℃の恒温室におき、1日増粘させ成形材
料を得た。成形温度140℃とし、SMCテクノロジー
社製のリアクトメータープレス機を用いて、硬化特性、
表面外観特性を測定した。実施例10〜12、比較例
3、4を示した表4では、シェルフライフの測定温度が
30℃であり、実施例13〜15、比較例5、6では、
シェルフライフの測定温度が40℃である以外は同一条
件により試験を行った。
【0035】硬化特性は、リアクトメータープレス機の
金型の上下方向の変位を測定し、MFT(Maximu
m Flow Time)とMMT(Mimimum
Moulding Time)を測定した。MFTは、
ゲル化時間に相当し、MMTは、硬化時間に相当する。
【0036】表面外観特性は、上記のプレス機で120
×250×4mmの大きさに10分間成形硬化したもの
について、表面状態を目視で観察し判定した。判定表示
は次の記号で示す。◎表面光沢が非常に良好 ○表面光
沢が良い ×表面光沢が悪い
【0037】シェルフライフは、以下のような測定によ
って得た。即ち、250ccのスチール缶に樹脂A80
部、ポリスチレン系低収縮剤20部、炭酸カルシウム1
50部、酸化マグネシウム1部に、表4に示される組成
比をもつ本発明のパーオキサイド組成物又は比較例のパ
ーオキサイド1部を加えた樹脂ペーストを入れて、30
℃又は40℃の恒温室において1日増粘させた。樹脂ペ
ーストがスパチェラを用いて突き刺せなくなった時点迄
の期間がシェルフライフである。この試験条件下では、
MFTが25〜40秒の範囲であることが作業性の点で
好ましく、MMTが70秒以下で、MFTに近いことが
作業能率の点から好ましく、貯蔵安定性の指標であるシ
ェルライフが出来るだけ長くかつ硬化した樹脂製品の表
面外観が優れていなければならない。これらの結果を表
4及び表5に示す。
【0038】
【表4】 表 4 パーオキサイド組成物 硬化特性 フェ (140℃ シェル 表面 実施 高温活性 低温活性 ノー で測定) フ 外観 例 パーオキ パーオキ ル化 MFT MMT ライフ 特性 サイド サイド 合物 (30℃ 秒 秒 で測定) 10.BIC 81 TBPIB 16 BHT 3 31 56 5ヶ月 ◎ 11. 〃 83 〃 15.5 〃 1.5 33 58 3ヶ月 ◎ 12. 〃 88.5 TBPO 8.8 〃 2.7 36 65 5ヶ月 ◎ 以上 比較 例 3.TBTMCH 無し− 30 54 1ヶ月 × 100 4. TBPO 100 無し− 12 38 10日 ○
【0039】表4から、本発明のパーオキサイド組成物
は、比較例3のtーブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネートに比べて、MFTが25〜40秒の範囲内、M
MTが70秒以下の使用し易い時間に保ち、かつ、MF
TおよびMMTを短縮させる比較例4のt−ブチルパー
オキシ2−ヘキサノエートに比べて、シェルフライフを
長くすることが出来、表面外観特性が良好であることが
分かる。
【0040】
【表5】 表 5 パーオキサイド組成物 硬化特性 シェル (140℃ フ 表面 実施 高温活性 低温活性 フェノ で測定) ライフ 外観 例 パーオキ パーオキ ール化 MFT MMT(40℃ 特性 サイド サイド 合物 で測定) 秒 秒 13.BIC 88.5 TBPO 8.8 BHT 2.7 30 55 70日後 ◎ 14. 〃 70 〃 27 〃 3 27 50 65日後 ◎ 15. 〃 60 〃 37 〃 3 26 48 60日後 ◎ 比較 例 5.TBPB 100 無し − 45 79 40日後 ○ 6. TBPO 100 無し − 41 70 50日後 ○
【0041】表5から、本発明のパーオキサイド組成物
が、比較例5、6のパーオキサイドに比べ硬化特性、シ
ェルライフのバランスが良くとれていることが分かる。
【0042】実施例16〜24、比較例7、8 市販のSMC用不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ
化学工業株式会社製ポリライトPS−281、以下樹脂
Bと略す)に対して、本発明のパーオキサイド組成物又
は比較例のパーオキサイド1%を使用して、JISーK
ー6901に準じた方法で加熱硬化試験及びポットライ
フの測定実験を行い、ゲル化時間、硬化時間、最高発熱
温度及びポットライフを測定した。この実験条件下で
は、作業性からGTが100〜140秒、作業効率から
CTが170秒以下であることが好ましく、かつ貯蔵安
定性からポットライフが出来るだけ長いパーオキサイド
組成物が好ましい。試験の結果を表6に示す。
【0043】
【表6】 表 6 パーオキサイド組成物 硬化特性 ポット 実施 高温活性 低温活性 フェノ (140℃ ライフ 例 パーオキ パーオキ ール化 で測定) (40℃ サイド サイド 合物 GT CT で測定) 秒 秒 日 16. BIC 70 TBPO 30 BHT 5 120 158 9 17. 〃 70 〃 30 5 115 145 7 18. 〃 70 〃 30 5 133 165 13 19. 〃 70 〃 30 5 122 159 9 20. 〃 70 〃 30 5 114 145 7 21. 〃 70 〃 30 5 125 160 9 22. 〃 70 〃 30 5 120 166 9 23. 〃 70 〃 30 5 118 158 9 24. 〃 70 〃 30 5 114 150 8 比較 例 7. TBTMCH 無し − 136 173 3 100 8. TBPO 100 無し − 40 99 0.6 但し、フェノール化合物の欄に記載の丸で囲まれた数字は、次の化合物を示す 。 : 2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチ ル〕4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート : 4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール : 4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール : 2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール) : n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ ニル)プロピオネート : 3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ ルフェニル)−プロピオニル〕−1,1−ジメチル}−2,4,8,10 −テトラオキソスピロ〔5,5〕アンデカン : テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ フェニルプロミネート〕メタン : 2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベ ンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
【0044】表6から、本発明のパーオキサイド組成物
は、従来のパーオキサイド(比較例7、8)に比べてG
T及びCTが作業に適した時間内の硬化速度を有し、か
つポットライフを長くすることが出来ることが分かる。
【0045】実施例25〜28、比較例9、10 市販のビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製ネオ
ポール8250M)100部に対して、本発明のパーオ
キサイド組成物又は比較例のパーオキサイド1部を添加
し、JISK−6901に準じた方法で加熱硬化試験及
びポットライフの測定実験を行ない、結果を表7に示し
た。この条件下では、作業性からGTが100〜140
秒、作業効率からCTが170秒以下であることが好ま
しく、かつ貯蔵安定性からポットライフが出来るだけ長
いパーオキサイド組成物が望ましい。
【0046】
【表7】 表 7 パーオキサイド組成物 硬化特性 ポット 実施 高温活性 低温活性 フェノ (140℃ ライフ 例 パーオキ パーオキ ール化 で測定) (40℃ サイド サイド 合物 GT CT で測定) 秒 秒 日 25. BIC 70 TBPO 30 BHT 5 105 143 8 26. 〃 75 〃 25 〃 5 115 155 9 27. TBPB70 〃 30 〃 5 113 154 8 28. 〃 75 〃 25 〃 5 117 158 9 比較 例 9. TBTMCH 無し − 120 159 3 100 10. TBPO 100 無し − 33 92 0.5
【0047】表7から、本発明のパーオキサイド組成物
は、従来のパーオキサイドに比べてGTは作業に適した
範囲にあり、CTは好ましい時間範囲にあり、かつポッ
トライフが長いことが明らかである。
【0048】
【発明の効果】本発明のパーオキサイド組成物は、貯蔵
時における安定性を著しく向上せしめ、かつゲル化時間
および硬化時間を樹脂組成物の硬化作業を行い易く又作
業能率を良く出来、表面外観特性に優れた成形品を与え
るという優れた効果を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】10時間半減期温度が83℃から120℃
    の高温活性パーオキサイド50ないし99重量%と、1
    0時間半減期温度が40℃から83℃の低温活性パーオ
    キサイド50ないし1重量%との混合物に対して、重合
    禁止作用を有するフェノール性化合物を0.1ないし5
    重量%を混合してなるパーオキサイド組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のパーオキサイド組成物を用
    いることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂又はビニ
    ルエステル樹脂の硬化成形法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1302497A1 (en) 2001-10-12 2003-04-16 Atofina Chemicals, Inc. Curing catalyst
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JP2017095645A (ja) * 2015-11-27 2017-06-01 日油株式会社 ラジカル重合型熱硬化性樹脂用混合硬化剤、それを含む組成物並びにその硬化方法、及び組成物を硬化することにより得られる成形物
KR20180086197A (ko) * 2015-11-23 2018-07-30 유나이티드 이니시에이터스 게엠베하 감소된 연소 속도를 갖는 bchpc

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