JPH09227478A - アクリルアミドの製造方法 - Google Patents

アクリルアミドの製造方法

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JPH09227478A
JPH09227478A JP8032073A JP3207396A JPH09227478A JP H09227478 A JPH09227478 A JP H09227478A JP 8032073 A JP8032073 A JP 8032073A JP 3207396 A JP3207396 A JP 3207396A JP H09227478 A JPH09227478 A JP H09227478A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅系触媒の存在下、アクリロニトリルと水と
の接触水和反応によるアクリルアミドの製造において、
原料のアクリロニトリルを精製することによって、分子
量が十分高く、水溶性も良好なポリマー製造を可能とす
る、高品位なアクリルアミドの製造。 【解決手段】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
樹脂と接触させる工程及び3級アミン基を有する樹脂と
接触させる工程の少なくとも2つの工程を経由し、強酸
性カチオン交換樹脂を後工程とする場合は、更に活性炭
と接続させる工程を経由した後、銅系触媒の存在下で水
和反応させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリロニトリル
を、銅系触媒の存在下、水と接触水和してアクリルアミ
ドを製造する方法に関する。さらに詳しくは、分子量が
十分高く、水溶性も良好なポリマー製造を可能とする、
高品質なアクリルアミドを製造するための、原料アクリ
ロニトリルの精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリルアミドは従来から、アクリルア
ミド系ポリマーとして、製紙薬剤、凝集剤、石油回収剤
等に用いられ、また、種々のポリマーの原料コモノマー
として広い用途を有している。これらの用途に供される
アクリルアミドの製法としては、古くはいわゆる硫酸法
により製造されていたが、近年に至り、銅系触媒の存在
下に反応させる接触法が開発され、現在では硫酸法に代
わって工業的に実施されている。
【0003】アクリルアミドの上記の用途のうち、特に
凝集剤は、近年排水処理用などに用途が拡大され、これ
に伴って品質性能の向上に著しい努力が払われている。
中でも、凝集剤として用いられるアクリルアミド系ポリ
マーについては、その性能に直接影響するといわれる高
分子量化の傾向が著しく、最近は1000万以上、特に
1500万程度の高分子量のものが求められている。そ
して、求められる分子量範囲は、他の用途に求められて
いるアクリルアミド系ポリマーあるいは他のポリマーに
求められている分子量が通常100万以下であることに
比較してはるかに高い。さらに、得られたアクリルアミ
ド系ポリマーは凝集剤として、通常、水に溶解して用い
られるために、速やかに、かつ不溶解分を残さず溶解す
ることが必要とされる。また、アクリルアミドモノマー
の有毒性のために、ポリマー中未反応モノマーが例えば
0.2重量%以下の微量であることも必要とされてい
る。
【0004】これらの要求は、高分子量化とは両立し難
い性質であり、その達成に著しい努力が払われている所
以である。また、このような高分子量アクリルアミド系
ポリマーは、アクリルアミドの一用途に過ぎないとはい
うものの、かかる用途に適したものでなければ、広く一
般の用にも供し得ないものであり、本発明の方法もかか
る用途に供し得るアクリルアミドの製造に関するもので
ある。
【0005】なお、本発明にいう分子量とは、後述する
実施例1に示す試験方法によるものであり、また、水溶
性が問題とされるのは、通常、水性媒体中で得られたポ
リマーを乾燥して、水分を20重量%以下、特に10重
量%程度の乾燥粉体として貯蔵した場合であり、本発明
にいう水溶性も主としてこの意味で用いられる。
【0006】このような、高分子量でかつ十分な水溶性
をもつアクリルアミド系ポリマーを製造するためには、
ポリマーの製造方法のみならず、アクリルアミドの品質
によるところが大きいとされ、さらには原料のアクリロ
ニトリルの品質の与える影響が大きいとされている。
【0007】このアクリロニトリルの製法としては、ア
セチレン、エチレンオキサイドまたはアセトアルデヒド
と青酸との反応による方法、プロピレンのアクロレイン
経由法、酸化窒素法、あるいはアンモオキシデーション
法などの多くの方法が知られている。
【0008】例えば、現在、一般的にはプロピレンのア
ンモオキシデーションにより合成されたアクリロニトリ
ルが広く供されているが、その方法は、プロピレン、ア
ンモニア、酸素または空気の混合ガスを、例えば、モリ
ブデン−ビスマス系触媒、ウラン−アンチモン系触媒、
あるいは、鉄−アンチモン系触媒などの触媒の存在下に
直接反応させる気相接触アンモオキシデーション反応に
よる製造法のことである。
【0009】アクリロニトリルは合成反応ガスから、通
常、水に吸収することによって回収され、続く精製分離
工程において、青酸、アセトニトリル、アセトン、アク
ロレイン、メタクリロニトリル、オキサゾール、アルデ
ヒド類等の副生成物と分離される。精製分離法としては
主に蒸留法が用いられる。
【0010】このようにして得られたアクリロニトリル
は、従来からアクリル系合成繊維、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン系合成樹脂、アクリロニトリル−
ブタジエンゴム等の種々のポリマーの原料モノマーまた
はコポリマーとして広い用途を有しており、アクリロニ
トリルは大半がこのような用途に用いられている。これ
以外にも、他の誘導製品の工業原料としても使用され
る。
【0011】しかしながら、アクリロニトリルを接触水
和法アクリルアミドの原料として使用するとき、上記し
た主要な用途に供せられるよりも不純物の少ない高品質
なアクリロニトリルが要求され、それを満たすため、通
常はアクリロニトリルの製造において、その蒸留精製工
程の運転条件を強化する等の対策をとることが一般的で
ある。この方法では蒸留精製工程での回収損失分が無視
できなくなる、あるいは蒸気などのエネルギーをより多
く消費するなどの大きな犠牲を伴っている。さらに、こ
のようにして得られた不純物の少ないアクリロニトリル
を接触水和反応に用いて製造されたアクリルアミドの品
質は概ね良好であるが、時に全く不十分となることもあ
り、品質の安定性に欠け、より高品質なアクリルアミド
の商業的生産技術としては不十分なものである。
【0012】特に、従来、このようにして製造されたア
クリロニトリルには、オキサゾールに代表されるような
弱塩基性物質が微量含まれており、この微量なオキサゾ
ールに代表されるような弱塩基性物質が、アクリロニト
リルの接触水和反応において触媒活性の経時的な低下を
もたらし、さらにはアクリルアミドの品質にも大きな影
響を与えることが知られている。そこで、このようなオ
キサゾールに代表されるような塩基性物質を微量に含む
アクリロニトリルを接触水和法に適したアクリロニトリ
ルの品質にするために、いくつかの方法が提案されてい
る。
【0013】例えば、特開昭63−118305では、
原料であるアクリロニトリル中のオキサゾールを、H形
のカチオン交換樹脂と接触させることにより、200p
pm以下、より好ましくは25ppm以下とすることに
より、このアクリロニトリルを用いて銅系触媒の存在
下、水和反応により合成されたアクリルアミドは、オキ
サゾールを含むアクリロニトリルから同様にして合成し
たアクリルアミドに比べ、安定性が高く、またポリマー
としたときの水溶液の粘度が高いこと、またカチオン交
換樹脂の再生法として、熱水、水蒸気、メタノール、わ
ずかに酸性の水溶液、またはこれらの混合物と接触させ
ることが記載されている。
【0014】また、特公昭57−26264では、無機
酸または酸性カチオン交換樹脂により精製したアクリロ
ニトリルを銅系触媒存在下で水和反応させると、精製し
ないものに比べ、触媒活性の劣化が防止できると記載さ
れている。
【0015】また、特公昭61−35171では、架橋
度7%以下の強酸性カチオン交換樹脂により精製したア
クリロニトリルを銅系触媒の存在下で、水和反応させる
と、精製しないものに比べ、触媒活性の劣化が防止で
き、さらに樹脂との接触によるアクリロニトリルの重合
が防止でき、かつ製造されたアクリルアミドの品質の低
下も防ぐことができると記載されている。
【0016】また、特開平7−145123には、アク
リロニトリルを、強酸性カチオン交換樹脂、1級及び/
または2級アミン基を有する弱塩基性アニオン交換樹
脂、さらに、必要に応じて、活性炭の順に接触させる
と、オキサゾールに代表される塩基性物質およびアクロ
レインに代表されるアルデヒド類が除去され、さらにこ
のアクリロニトリルを銅系触媒の存在下で水和反応して
得られるアクリルアミドは、ポリマーとした場合、良好
な水溶性と十分に高い分子量を持つと記載されている。
【0017】また、1948年成立の米国特許USP2
444589では、無機シアン化物と有機物から合成し
たアクリロニトリルは、微量のイオン性不純物、及び微
量の中性の不純物を含有し、この不純物がアクリロニト
リルを原料とする合成反応生成物の単離を妨害するう
え、収率を低下させることを指摘している。このアクリ
ロニトリルをカチオン交換体(例えば、フェノールとホ
ルムアルデヒドの縮合物、あるいはスルホン化石炭等)
及びアニオン交換樹脂(例えば、グアニジン、尿素、ホ
ルムアルデヒドの縮合物等)で処理し、イオン性物質を
除去した後、脱色剤(例えば、活性炭)による処理を行
うと、イオン交換体、脱色剤、それぞれ単独ではできな
かった脱色が可能になるとし、さらに実施例では、カチ
オン交換体、アニオン交換樹脂、活性炭の順に処理した
アクリロニトリルは、これを重合すると、アクリロニト
リルの重合速度が大きくなること等が記載されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等が試験した
ところによれば、特開昭63−118305、特公昭5
7−26264、特公昭61−35171に記載されて
いるように、アクリロニトリルをカチオン交換樹脂によ
り精製する方法は、アクリロニトリル中のオキサゾール
を代表とする塩基性物質を除去することは可能である
が、これを銅系触媒の存在下、水と接触水和して得られ
るアクリルアミドの品質は、これを単独、あるいは、他
のコモノマーと重合して得られるアクリルアミド系ポリ
マーの水溶性および分子量に関して不十分である。
【0019】また、前述のカチオン交換体、アニオン交
換樹脂、活性炭を用いた実施例がある、1948年成立
の米国特許USP2444589の成立当時は、銅系触
媒の存在下におけるアクリロニトリルの水和反応で得ら
れるアクリルアミドの製造法は、工業化されておらず、
この特許の方法による、銅系触媒の存在下で、アクリロ
ニトリルと水とを接触水和して得られるアクリルアミド
を単独、あるいは、他のコモノマーと重合して得られる
アクリルアミド系ポリマーの物性に関する効果について
は、この特許中に記載は無く、またこれまでに公知の例
は無い。さらに、この特許の実施例ではアクリロニトリ
ルを、カチオン交換体、アニオン交換樹脂、活性炭の順
で処理しているが、この特許の主張するところは、イオ
ン性物質を除去することにより、着色等の原因となる中
性の不純物を容易に除去することであり、即ち、脱色剤
(例えば、活性炭)処理の前に、カチオン交換処理およ
びアニオン交換処理を行えばよく、このイオン交換処理
におけるカチオン交換処理とアニオン交換処理の順序を
限定するものではない。
【0020】また、特開平7−145123に記載され
ているように、アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
樹脂、1級及び/または2級アミン基を有する弱塩基性
アニオン交換樹脂、さらに、必要に応じて、活性炭の順
に接触させる方法は、その目的の一つがアクリロニトリ
ルに含まれる微量なアクロレインに代表されるようなア
ルデヒド類の除去にあるため、強酸性カチオン交換樹脂
に接触させた後、1級及び/または2級アミン基を有す
る弱塩基性アニオン交換樹脂と接触させている。しかし
ながら、3級アミン基を有する弱塩基性アニオン交換樹
脂については、この特許中に全く記載されていない。
【0021】本発明は、原料のアクリロニトリルを精製
することによって、銅系触媒の存在下、アクリロニトリ
ルと水との接触水和反応によるアクリルアミドの製造に
おいて、分子量が十分高く、水溶性も良好なポリマー製
造を可能とする、高品位なアクリルアミドを製造するこ
とを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アクリル
アミドを重合して得られるアクリルアミド系ポリマーの
十分な水溶性と分子量を得るため、原料であるアクリロ
ニトリルの精製法について鋭意検討を加えた結果、本発
明に達した。
【0023】すなわち、上記した本発明の目的は、アク
リロニトリルを強酸性カチオン交換樹脂と接触させる工
程、及び3級アミン基を有する樹脂と接触させる工程の
少なくとも2つの工程を経由し強酸性カチオン交換樹脂
を後工程とする場合はさらに活性炭と接触させる工程を
経由した後、銅系触媒の存在下で水和反応させることを
特徴とするアクリルアミドの製造方法の提供によって達
成される。
【0024】本発明では、アクリロニトリルを強酸性カ
チオン交換樹脂と接触させた後、3級アミン基を有する
アニオン交換樹脂と接触させ、さらに活性炭と接触させ
る方法であること、アクリロニトリルを3級アミン基を
有するアニオン交換樹脂と接触させた後、強酸性カチオ
ン交換樹脂と接触させ、さらに活性炭と接触させる方法
であること、及びアクリロニトリルを強酸性カチオン交
換樹脂と接触させた後、活性炭と接触させ、さらに3級
アミン基を有するアニオン交換樹脂と接触させる方法で
あることが望ましい。
【0025】本発明のアクリロニトリルの精製方法は、
従来公知の方法によって製造された何れのアクリロニト
リルに対しても適用できる。例えば、プロピレンのアン
モオキシデーションによるアクリロニトリルの製造法と
は、プロピレン、アンモニア、酸素あるいは空気の混合
ガスを、例えば、モリブデン−ビスマス系触媒、ウラン
−アンチモン系触媒、あるいは鉄−アンチモン系触媒な
どの触媒存在下に直接反応させる気相接触アンモオキシ
デーション反応による製造法のことである。
【0026】次に、本発明が適用されるアクリルアミド
の製造方法について概略説明する。本発明の方法に用い
られる銅系触媒の例としては、 (A)銅線、銅粉等の形の銅と銅イオンの組み合わせ (B)銅化合物を還元剤で還元して得られるもの(還元
銅) (C)銅化合物を熱などにより分解して得られるもの
(分解銅)及び、 (D)ラネー合金をアルカリなどで展開して得られるも
の(ラネー銅) がある。
【0027】上記の還元銅の製法の例としては、 (1)酸化銅を気相中で水素、一酸化炭素、またはアン
モニアで還元する方法 (2)銅の塩、または水酸化物を水溶液中でホルマリ
ン、ヒドラジン、または水素化ホウ素ナトリウムで還元
する方法及び、 (3)銅の塩または水酸化物を水溶液中で元素状のアル
ミニウム、亜鉛、または鉄で還元する方法 などがあり、得られるものの主たる触媒成分は、いずれ
も元素状の銅と考えられる。
【0028】上記の分解銅の製法の例としては、 (1)銅化合物を次亜塩素酸ナトリウムなどで処理して
得られる水素化銅をアルカリ水中で熱分解する方法 (2)ギ酸銅またはシュウ酸銅を熱分解する方法 (3)特開昭49−108015に示されたいわゆるク
ラスター銅を熱分解する方法及び、 (4)銅アセチリドまたは窒化銅を直接アクリロニトリ
ルの水和反応系へ加える方法 等があり、得られるものの主たる触媒成分は(4)項の
ものも含めて元素状の銅と考えられる。
【0029】上記のラネー銅の製法の例としては、
(1)銅−アルミニウム合金を苛性ソーダ、硫酸、水、
有機アミンなどでほぼ完全に展開する方法及び、(2)
銅−アルミニウム合金を苛性ソーダ、硫酸、水、有機ア
ミンなどで部分的に展開してアルミニウムの一部を銅と
ともに残す方法などがあり、得られるものの主たる触媒
成分はいずれも元素状の銅と考えられる。
【0030】これらの銅系触媒は、通常用いられる担体
に担持されていても差し支えないし、銅以外の金属、例
えばクロムまたはモリブデンを含んでいても差し支えな
い。
【0031】上記したこれらの銅系触媒は、その調整方
法によって触媒活性自体には差異があるが、例えば、還
元銅、水素化銅、ラネー銅などの相違によって副反応な
どの反応形式が相違することはなく、不純物の生成傾向
に関しては同一傾向を有する。
【0032】触媒は使用前および使用後を通じて酸素お
よび酸素含有ガスとの接触をさけることが望ましい。そ
の理由は、酸素が触媒としての活性を損ない、エチレン
シアンヒドリンなどの副生成物を増加させるからであ
る。
【0033】本発明のアクリロニトリルの水和反応は、
上記した銅系触媒の存在下に次のようにして行われる。
反応の形式は、液相中の懸濁床または固定床の触媒床
で、流通式または、回分式で行われる。
【0034】水和反応に供されるアクリロニトリルと水
の重量比は、実質的には任意であるが、好ましくは6
0:40〜5:95であり、さらに好ましくは50:5
0〜10:90の範囲である。また、アクリロニトリル
の反応率は、好ましくは10〜98%であり、更に好ま
しくは30〜95%の範囲である。
【0035】アクリロニトリルと水との水和反応におけ
る反応温度は、好ましくは50〜200℃、さらに好ま
しくは70〜150℃の範囲である。
【0036】反応器内は、上記した温度と組成における
蒸気圧、またはそれに窒素等の不活性ガスを加えた圧力
に保たれるが、その圧力は、通常、常圧〜10気圧であ
る。反応器に供給される触媒、アクリロニトリル、水な
どに含まれる溶存酸素は、触媒の活性を損ない、エチレ
ンシアンヒドリン等の副生成物を増加させるので、反応
器に供給するまえに十分除去することが望ましく、また
同じ理由から反応器内は酸素を含まない雰囲気に保つこ
とが望ましい。なお、水和反応後反応器から取り出され
る反応液は、主として、未反応アクリロニトリル、未反
応水、及びアクリルアミドからなり、さらにエチレンシ
アンヒドリン等の副生成物と銅を含む。上記の反応で得
られた反応液は、必要ならば通常の蒸発または蒸留操作
に付して濃縮されたアクリルアミド水溶液を得ると共
に、未反応アクリロニトリルと水を留出回収する。これ
らの回収物は新規反応原料として、再使用することがで
きる。
【0037】なお、本発明に記載されるアクリロニトリ
ル中の不純物等の含有量は、新規に供給されるアクリロ
ニトリルにおける含有量のことであって、新規供給分と
回収再使用分との合計量における含有量ではない。
【0038】上記の反応液を濃縮したアクリルアミド水
溶液(以下これ等の液をアクリルアミド水溶液と略称す
る)は、ついでカチオン交換処理、キレート樹脂処理、
アニオン交換処理、空気または酸素ガス処理、活性炭処
理の様な各種の精製方法により精製される。また活性炭
やイオン交換樹脂と類似の方法で用いられるいわゆる合
成吸着樹脂(例えば、北越炭素工業社製、商品名:吸着
樹脂)も使用できる。これらの精製工程の途中または後
に上記の濃縮処理に付しても良いし、また、再濃縮する
ことがあっても差し支えない。
【0039】次に、アクリロニトリルの精製法について
詳しく述べる。
【0040】アクリロニトリルの精製に用いる強酸性型
カチオン交換樹脂は、例えば、レバチットS100(商
品名、バイエル社製)、ダイヤイオンSK1B(商品
名、三菱化学社製)、ダウエックスHCRW2(商品
名、ダウケミカル社製)等のゲル型樹脂、あるいは、例
えば、レバチットSP112(商品名、バイエル社
製)、ダウエックスMSC1(商品名、ダウケミカル社
製)等のマクロポーラス型樹脂の何れでもよく、これを
希薄な酸で前処理してH型とし、十分水洗したものをそ
のまま用いることもできるが、さらに望ましくは、これ
を、熱風、乾燥窒素、または減圧乾燥により、十分乾燥
して用いる。
【0041】また、3級アミン基を有する樹脂は、交換
基として3級アミン基が存在すればよく、例えば、ダイ
ヤイオンWA30(商品名、三菱化学社製)、レバチッ
トMP62(商品名、バイエル社製)等の樹脂が使用さ
れる。また、本発明で用いる3級アミンを有する弱塩基
性アニオン交換樹脂の概念の中には、いわゆる中塩基性
アニオン交換樹脂、例えば、レバチットMP64(商品
名、バイエル社製)のように、3級アミンと4級アンモ
ニウムを併せ持つものも含まれる。これらは、市販のも
のを十分に水洗して用いることができるが、希薄なアル
カリで前処理し遊離塩基型とした後、十分水洗して用い
ることが好ましい。あるいは、希薄なアルカリでの前処
理の有無を問わず、水洗後の樹脂を熱風、乾燥窒素、ま
たは減圧乾燥により、十分乾燥して用いてもよい。
【0042】さらに、活性炭と接触させる場合には、用
いる活性炭は、特に種類は問わないが、例えば、カルゴ
ンCPG(商品名、カルゴン社製)の様なコールベース
活性炭、あるいは、白鷺LHc(商品名、武田薬品工業
社製)の様なヤシガラベース活性炭等を用いることがで
きる。これらの活性炭は、市販のものをそのまま用いる
ことができる。無論、水洗して用いてもよいし、あるい
は水洗した後、熱風、乾燥窒素、または減圧乾燥により
十分乾燥して用いてもよい。
【0043】これらの樹脂、活性炭は、塔類に充填し、
固定層としてアクリロニトリルと連続的に接触・精製で
きるほか、回分式でも利用できる。しかし、精製効率、
運転の容易さ等の理由から、前者を用いることが望まし
い。
【0044】本発明では、アクリロニトリルの精製の処
理にあたっては、(イ)強酸性カチオン交換樹脂との接
触は必須であるが、それとともに、(ロ)3級アミン基
を有する弱塩基性アニオン交換樹脂さらに、必要に応じ
て、(ハ)活性炭と接触させる。接触の順序としては、 (イ)−(ロ) (イ)−(ロ)−(ハ) (ロ)−(イ)−(ハ) (イ)−(ハ)−(ロ) の方法がよく、何れも本発明の範囲内である。〜の
精製処理にあたって、予め(ハ)活性炭と接触、精製し
ておく方法もよく、本発明の範囲内である。
【0045】これらの樹脂や活性炭を塔に充填して用い
る場合、塔の材質は、例えば、SUS304等のアクリ
ロニトリルに侵されない材質であれば良い。
【0046】これらの塔での処理時の液温は、通常5〜
50℃、好ましくは15〜30℃である。塔へのアクリ
ロニトリルの通液速度は、充填樹脂あるいは活性炭の容
量に対し、1時間当たり0.1〜50倍、好ましくは
0.5〜10倍程度の流量から選ばれる。
【0047】また、(イ)強酸性カチオン交換樹脂は、
アクリロニトリルと接触中、例えば、オキサゾールに代
表される塩基性物質の流出が確認された場合、常温〜1
00℃の水、水蒸気、メタノール、希薄な酸、あるいは
これらの混合物と接触させることにより、容易に再生す
ることができる。
【0048】このようにして得られた精製アクリロニト
リルを用いて、銅系触媒による水との接触水和法により
アクリルアミドの製造を行い、このアクリルアミドを用
いて、アクリルアミド単独、あるいは他のコモノマーと
重合し、アクリルアミド系ポリマーとして評価した場
合、格段の水溶性向上と、十分に高い分子量が得られ
た。
【0049】他方、上記〜以外の精製方法、例え
ば、 (a)(イ)強酸性カチオン交換樹脂のみのアクリロニ
トリルの処理 (b)(ロ)3級アミン基を有する樹脂のみのアクリロ
ニトリル処理 (c)(ハ)活性炭のみのアクリロニトリルの処理 あるいは、 (d)(イ)強酸性カチオン交換樹脂を最後に接触させ
る方法、例えば、(ロ)−(イ)、(ロ)−(ハ)−
(イ)他 等を前述と同様の方法で行ったところ、(a)及び
(d)の処理ではオキサゾールの除去を確認した。
【0050】しかしながら、(a)、(b)、(c)及
び(d)の処理を行った何れのアクリロニトリルを用い
ても、前述の銅系触媒を用いた水との接触水和によりア
クリルアミドを製造した場合、これを単独あるいは他の
コモノマーと重合して得られる、アクリルアミド系ポリ
マーでは、水溶性は満足できるものではなかった。
【0051】この理由については、(a)及び(d)で
はオキサゾールは除去されているが、(イ)強酸性カチ
オン交換樹脂との接触を最後にすると、アクリロニトリ
ル中のアルデヒド類等の不純物はかえって増大し、その
結果アクリルアミドの品質は改良されなかったものと考
えられる。また(b)及び(c)ではオキサゾールは除
去されておらず、アクリルアミドの品質の改良には全く
不十分であると考えられる。
【0052】本発明においては、上記〜の方法の中
では、の、 (イ)強酸性カチオン交換樹脂 (ロ)3級アミン基を有する弱塩基性アニオン交換樹脂 (ハ)活性炭 の順に接触させた場合が、最もよい結果、即ち、高品質
なアクリルアミドを得ることができる。
【0053】この理由は、明らかではないが、本発明に
よるアクリロニトリルの精製効果は、強酸性カチオン交
換樹脂、3級アミン基を有する樹脂、あるいは活性炭、
それぞれが独立に不純物を除去しているのみならず、あ
る特定の有害不純物に関しては、(イ)強酸性カチオン
交換樹脂から(ロ)3級アミン基を有する樹脂、次いで
(ハ)活性炭という順序で共同的に作用し、除去を行っ
ているものと考えられる。
【0054】次に、凝集剤などに用いられる高分子量ア
クリルアミド系ポリマーの製造方法は、概略以下のよう
である。
【0055】アクリルアミドは、単体、または他のビニ
ル重合型のコモノマーと共に用いられる。コモノマーと
しては、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの水溶
性塩:アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルアミノ
アルキルエステルまたはそれらの第4級アンモニウム誘
導体:N−(ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミ
ドまたはその4級アンモニウム誘導体:酢酸ビニル:ア
クリロニトリル等を挙げることが出来る。これらのコモ
ノマーとアクリルアミドとの混合比率は普通アクリルア
ミド100モルに対して100モル以下、特に50モル
以下である。
【0056】アクリルアミドとコモノマーとの重合は、
水溶液重合、乳化重合等の周知の方法で行われるが、こ
のうち最も広く用いられる水溶液重合の一般的方法を述
べる。アクリルアミドとコモノマーの合計濃度は、通
常、5〜60%とする。重合開始剤には、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイ
ル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(4−アミジノプロパン)2塩酸塩、
4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウ
ム)などのアゾ系遊離基開始剤;上記過酸化物と重亜硫
酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アン
モニウム等の還元剤を併用する、いわゆるレドックス系
触媒が用いられる。
【0057】重合反応の温度に関しては、アクリルアミ
ドとコモノマーとの合計濃度が15重量%以上であっ
て、得られるポリマーの分子量が1000万以上の高分
子量の場合には、冷却などによる温度の制御が困難であ
るため、普通断熱的な重合の形式が採られ、この場合、
重合系の温度は重合の進行と共に重合熱によって上昇す
る。この場合において重合の開始時の温度は、−5〜4
0℃の範囲から選ばれることが多く、反応終了後の温度
は、例えば、55〜100℃の高温に達する。
【0058】分子量を1000万以上、特に1500万
程度の高分子量とするため、アクリルアミドおよびコモ
ノマーの合計濃度、使用する重合開始剤の種類と濃度、
反応温度などについて工夫がなされる。未反応アクリル
アミドを例えば0.2重量%以下の微量とするためにも
同様の工夫がなされるが、特に2種類以上の重合開始剤
を異なった温度領域で作用させる方法が多く提案され実
施されている。
【0059】上記のような重合反応によって得られるも
のは、含水ゲル、即ちアクリルアミドとコモノマーとを
水溶液にするために用いた水をほぼそのまま含むゴム状
のゲルであるが、通常はこれを乾燥粉末状の製品とする
ため、水の抽出または加熱乾燥による脱水、あるいは、
含水ゲルまたは乾燥ゲルの破砕または粉砕などの処理を
加える。なお、これらの処理に先立ってまたはその途中
で、含水ゲルに苛性ソーダをねりこみ加熱して、アミド
基の一部をカルボキシル基に変ずるなど、アクリルアミ
ド系ポリマーを化学的に変性することもある。
【0060】以上のようにして高分子量化し、未反応モ
ノマーを減少させ、乾燥粉末化し、場合によっては、化
学的変性を行う結果として、得られるポリマーは、しば
しば水に溶解しにくいものとなり、凝集剤などの商品と
しての価値を失いがちである。その解決のために重合反
応の前、途中、または後に不溶化防止剤を添加する方
法、特定の重合開始剤を用いる方法、あるいは含水ゲル
の乾燥を特定の条件下で行う方法などが行われる。
【0061】本発明の方法が適用されるアクリルアミド
は、概略上記のようなアクリロニトリル精製、水和反
応、蒸留操作、各種の精製処理及びその他の付帯的工程
からなる方法で製造され、概略上記のような高分子量ア
クリルアミド系ポリマーの製造に共される。
【0062】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例1 <アクリロニトリルの精製>常法に従い、希塩酸で処理
してH型とし、十分水洗した強酸性カチオン交換樹脂レ
バチットS100(商品名、バイエル社製)1Lを、9
0℃、常圧で、約8時間乾燥後、内径70mm、長さ4
00mmのSUS304製カラムに充填した。また3級
アミン基を有する樹脂レバチットMP62(商品名、カ
ルゴン社製)1Lを水洗したのち、内径70mm、長さ
400mmのSUS304製カラムに充填した。また活
性炭カルゴンCPG(商品名、カルゴン社製)1Lを水
洗したのち、内径70mm、長さ400mmのSUS3
04製カラムに充填した。
【0063】この3つのカラムを、第1塔にレバチット
S100、第2塔にレバチットMP62、第3塔にカル
ゴンCPGの順になるように接続した。これにアクリロ
ニトリルを6L/hの流量で通液した。 <アクリルアミドの製造>上記の方法で得られた精製ア
クリロニトリルを用い、以下のように銅系触媒の存在下
で水和反応させることにより、アクリルアミドを得た。 水和反応の触媒:80メッシュ以下のラネー銅合金を常
法により苛性ソーダを用いて展開し、水洗して、ラネー
銅触媒を製造した。製造中及びその後の取扱いに際し
て、空気等の酸素含有ガスとの接触を避けた。 接触水和反応:SUS製で攪拌機と触媒分離器を内蔵し
た、約2Lの反応器に上記の触媒を400g仕込み、こ
れに予め、窒素ガスを用いて溶存酸素を除いたアクリロ
ニトリルと水を各々600g/h、900g/hの速度
で供給し、120℃で反応させた。反応液は、触媒と共
に攪拌されて懸濁液となり、ついで触媒分離器を通って
触媒を殆ど含まない液として反応器から取り出される。
この反応を3日間続けた。 濃縮:得られた反応液を回分式の減圧濃縮にかけ、未反
応アクリロニトリルの全量と未反応水の一部を留去して
濃度約50%のアクリルアミド水溶液を得た。アクリル
アミド水溶液は、銅を含有していた。 脱銅処理:常法により希塩酸で前処理してH型とした強
酸性カチオン交換樹脂レバチットSP112(商品名、
バイエル社製)150mLをガラス製カラムに充填し、
これに前述の濃縮処理で得られたアクリルアミド水溶液
を900ml/hで通液した。得られた液の銅含有量は
0.01ppm以下、pHは3.5〜4.0であった。 pH調整:脱銅処理の間、苛性ソーダを連続的に添加し
て処理液のpHを約6.5に調整した。 <アクリルアミドポリマーの製造方法>上記の方法で得
られた、アクリルアミド水溶液を以下の方法で重合し、
アクリルアミドポリマーを得た。
【0064】アクリルアミド水溶液に水を加えて濃度2
0重量%とし、この500gを1Lポリエチレン容器に
入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸
素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロック
の中に入れた。
【0065】ついでこれに、200×10-6mpm(ア
クリルアミドに対するモル比)の4,4’−アゾビス
(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)、200×10
-6mpmのジメチルアミノプロピオニトリル、及び80
×10-6mpmの過硫酸アンモニウムを各々小量の水に
溶解して、この順次に素早く注入した。これらの試薬に
は、予め窒素ガスを通じておき、また、注入およびその
前後には上記ポリエチレン容器にも少量の窒素ガスを通
じておくなどして酸素ガスの混入を防止した。試薬を注
入して、数分間の誘導期の後、ポリエチレン容器の内部
の温度が上昇するのが認められたので窒素ガスの供給を
とめた。約100分後に温度が約70℃の頂点に達して
から、ポリエチレン容器を保温用ブロックから取りだし
て97℃の水に2時間浸漬し、ついで冷水に浸漬して冷
却した。
【0066】このようにして得られたアクリルアミドポ
リマーの含水ゲルを、小塊にわけ、肉挽器ですりつぶ
し、100℃の熱風で2時間乾燥し、高速回転刃粉砕器
で粉砕して乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを得
た。さらに、これを篩にかけ、32〜42メッシュのも
のを分取し、以後の試験に供するポリマーサンプルとし
た。ポリマーサンプルの水分を125℃、1液の熱風乾
燥による減量として求めたところ、何れのポリマーサン
プルについても約10重量%であった。 <アクリルアミドポリマーの試験法>上記の方法で得ら
れたポリマーサンプルの水溶性、標準粘度の測定を次の
方法で行った。 水溶性:水溶性は、1Lビーカーに水600mLを入
れ、定められた形状の攪拌羽根で攪拌しながら、ポリマ
ーサンプル0.66g(純分0.6g)を添加し、40
0rpmで2時間攪拌を行い、得られた溶液を150メ
ッシュの金網で濾過し、不溶解分の多少と濾過性から、
水溶性を判断した。即ち、完溶のものを◎、完溶に近い
ものを○、不溶解分があるが、それを濾別する事ができ
るものを△、濾液の通過が遅く、不溶解分の濾過が事実
上できないものを×とした。 分子量:分子量は、上記と同様の操作で得られた濾液を
用いて、濃度の異なるいくつかのアクリルアミドポリマ
ー水溶液を調整し、これに1mol/L濃度相当の硝酸
ナトリウムを加え、毛管型粘度計を用いて極限粘度を求
め、次式を用いて算出した。
【0067】極限粘度式=3.73×10-4×[重量平
均分子量]0.66 この式を分子量1000万以上のアクリルアミドポリマ
ーに適用することには疑問があることがReport
on Progress in PolymerPhy
sics in Japan,20,5(1977)か
ら示唆されるが、広く慣用もされている。
【0068】なお、上記の水溶性試験により得られる濾
液は、水溶性の良好な場合は、濃度0.1%のポリマー
水溶液であるが、これに1mol/L濃度相当の塩化ナ
トリウムを加え、BL型粘度計でBLアダプターを用い
て25℃、ローター回転数60rpmで粘度を測定した
(標準粘度)。このような方法で得られる標準粘度は、
分子量に相関のある値として慣用されているので、本実
施例でも併用した。このような方法で、評価したとこ
ろ、得られたポリマーの水溶性は、良好であり、分子量
も十分であった。結果を表1に示した。 実施例2 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットS1
00、第2塔にレバチットMP62の順になるように接
続して、アクリロニトリルを通液し、アクリルアミドの
製造に供する以外は、実施例1と同様な操作を行い、最
終的に得られたアクリルアミドポリマーの評価を行った
ところ、良好な水溶性が得られ、また分子量も十分であ
った。結果を表1に示した。 実施例3 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットMP
62、第2塔にレバチットS100、第3塔にカルゴン
CPGの順になるように精製してアクリロニトリルを通
液し、アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1
と同様な操作を行い、最終的に得られたアクリルアミド
ポリマーの評価を行ったところ、実施例1ほどではない
が、水溶性は比較的良好であり、分子量も十分であっ
た。結果を表1に示した。 実施例4 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットS1
00、第2塔にカルゴンCPG、第3塔にレバチットM
P62の順になるように接続してアクリロニトリルを通
液し、アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1
と同様な操作を行い、最終的に得られたアクリルアミド
ポリマーの評価を行ったところ、実施例1ほどではない
が、水溶性は比較的良好であり、分子量も十分であっ
た。結果を表1に示した。 実施例5 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットSP
112、第2塔にレバチットMP62、第3塔にカルゴ
ンCPGの順になるように接続してアクリロニトリルを
通液し、アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例
1同様の操作を行い、最終的に得られたアクリルアミド
ポリマーの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様な
結果が得られた。結果を表1に示した。 実施例6 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットS1
00、第2塔にレバチットMP64、第3塔にカルゴン
CPGの順になるように接続してアクリロニトリルを通
液し、アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1
と同様の操作を行い、最終的に得られたアクリルアミド
ポリマーの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様な
結果が得られた。結果を表1に示した。 実施例7 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットS1
00、第2塔にレバチットMP62、第3塔に白鷺LH
cの順になるように接続してアクリロニトリルを通液
し、アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1と
同様な操作を行い、最終的に得られたアクリルアミドポ
リマーの評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が
得られた。結果を表1に示した。 比較例1 アクリロニトリルの精製を行わなかったこと以外は、実
施例1と同様な操作を行った。最終的に得られたアクリ
ルアミドポリマーの評価を行ったところ、得られたポリ
マーの水溶性は全く不十分であり、粘度は測定不能であ
った。結果を表1に示した。 比較例2 アクリロニトリルをレバチットS100のみに通液し、
アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1と同様
の操作を行い、最終的に得られたアクリルアミドポリマ
ーの評価を行ったところ、比較例1よりは若干の改良効
果は見られるものの、まだ不十分であり満足できるもの
ではなかった。結果を表1に示した。 比較例3 アクリロニトリルをレバチットMP62のみに通液し、
アクリルアミドの製造に供する以外は、実施例1と同様
の操作を行い、最終的に得られたアクリルアミドポリマ
ーの評価を行ったところ、得られたポリマーの水溶性は
全く不十分であり、粘度は測定不能であった。結果を表
1に示した。 比較例4 アクリロニトリルをカルゴンCPGのみに通液した以外
は、実施例1と同様な操作を行い、最終的に得られたア
クリルアミドポリマーの評価を行ったところ、得られた
ポリマーの水溶性は全く不十分であり、粘度は測定不能
であった。結果を表1に示した。 比較例5 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットMP
62、第2塔にレバチットS100の順になるように接
続して、アクリロニトリルを通液し、アクリルアミドの
製造に供する以外は、実施例1と同様な操作を行い、最
終的に得られたアクリルアミドポリマーの評価を行った
ところ、得られたポリマーの水溶性は全く不十分であ
り、粘度は測定不能であった。結果を表1に示した。 比較例6 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットMP
62、第2塔にカルゴンCPGの順になるように接続し
て、アクリロニトリルを通液する以外は、実施例1と同
様な操作を行い、最終的に得られたアクリルアミドポリ
マーの評価を行ったところ、得られたポリマーの水溶性
は全く不十分であり、粘度は測定不能であった。結果を
表1に示した。 比較例7 アクリロニトリルの精製時に、第1塔にレバチットMP
62、第2塔にカルゴンCPG、第3塔にレバチットS
100の順になるように接続して、アクリロニトリルを
通液する以外は、実施例1と同様な操作を行い、最終的
に得られたアクリルアミドポリマーの評価を行ったとこ
ろ、得られたポリマーの水溶性は全く不十分であり、粘
度は測定不能であった。結果を表1に示した。
【0069】
【表1】 (注1)ガスクロマトグラフィーにより濃度を求めた。
N.D.は未検出を表す。検出下限は1.0重量ppm
である。 (注2)ジニトロフェニルヒドラジンを塩酸酸性下で反
応発色させ、その吸光度から求めた。 (注3)ヨウ化カリウムと反応発色させ、その吸光度か
ら求めた。
【0070】
【発明の効果】接触水和法アクリルアミド原料用のアク
リロニトリルは、オキサゾールに代表されるような弱塩
基性物質が微量含まれている場合、高品質なアクリルア
ミドの製造には適さない。このようなアクリロニトリル
を用いる場合、本発明の方法により接触水和反応前に簡
単なカラム吸着処理を行うだけで、高品質のアクリルア
ミドが得られ、このアクリルアミドは凝集剤用ポリアク
リルアミドの原料として特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させる工程及び3級アミン基を有する樹脂と
    接触させる工程の少なくとも2つの工程を経由し、強酸
    性カチオン樹脂を後工程とする場合は、さらに活性炭と
    接触させる工程を経由した後、銅系触媒の存在下で水和
    反応させることを特徴とするアクリルアミドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで3級アミン基を有する樹脂と接
    触させる工程を経由した後、銅系触媒の存在下に水和反
    応させる請求項1記載のアクリルアミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで3級アミン基を有する樹脂と接
    触させ、さらに活性炭と接触させる工程を経由した後、
    銅系触媒の存在下に水和反応させる請求項1記載のアク
    リルアミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで活性炭と接触させ、さらに3級
    アミン基を有する樹脂と接触させる工程を経由した後、
    銅系触媒の存在下に水和反応させる請求項1記載のアク
    リルアミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 アクリロニトリルを3級アミン基を有す
    る樹脂と接触させ、次いで強酸性カチオン交換樹脂と接
    触させ、さらに活性炭と接触させる工程を経由した後、
    銅系触媒の存在下に水和反応させる請求項1記載のアク
    リルアミドの製造方法。
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