JP3930090B2 - (メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液より不純物を除去し、高度に精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリルアミドは、通常、金属銅触媒、たとえばラネー銅または還元銅の存在下において、(メタ)アクリロニトリルと水とを反応させることにより、その水溶液の形態として容易に得ることができる。
【0003】
上記反応により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液は、一般に、▲1▼未反応(メタ)アクリロニトリル、▲2▼原料(メタ)アクリロニトリル中に含まれる不純物、▲3▼反応副生物、▲4▼触媒から溶出した銅などの金属イオン、または、▲5▼場合により装置の汚れ、などが含まれたものとして得られるのが通常である。これらのうち、未反応(メタ)アクリロニトリル分は減圧蒸留などの操作により比較的容易に分離・除去することができる。
【0004】
上記した(メタ)アクリルアミド水溶液は、これを用い比較的低分子量、たとえば数十万程度の分子量をもつ、紙力増強剤などの分野に使用されるような(メタ)アクリルアミド重合体を製造する場合には通常は問題を生ずることが少ない。
【0005】
しかしながら、たとえば高分子凝集剤の分野に使用されるような、分子量が数百万ないしは一千万以上の(メタ)アクリルアミド重合体を得ようとする場合は非常に困難となる。すなわち、不純物、反応副生物、または金属イオンなどが含まれる(メタ)アクリルアミド水溶液は、上記した用途などに適するような(メタ)アクリルアミド重合体を得ようとした場合において、所望とする分子量のものが得られないのみならず、しばしば重合完結時間を変動させることから、(メタ)アクリルアミド重合体を製造する上で影響が生ずる。また、得られる(メタ)アクリルアミド重合体は、水に対する溶解性が悪くかつ凝集能も低下したものとなり、良品質のものが得られない。
【0006】
これらの原因として、(メタ)アクリロニトリルの接触水和反応時に副生する3,3-ニトリロトリスプロピオンアミドなどの還元性物質などのような種々の不純物が重合反応において影響を与えているとされている。また、水溶性悪化および凝集能を低下させる原因としては、反応時に副生したジ(メタ)アクリルイミドなどの架橋性物質が影響を与えていると考えられている。
【0007】
そこで、これらの不純物は重合に先立ち、予め除去し精製しておく必要があるが、従来より知られている代表的な精製方法として、たとえば特開昭52-91819号公報には、アクリルアミド水溶液を強酸性陽イオン交換樹脂で処理した後、さらに弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの研究によれば、上記したような、アクリロニトリルの接触水和法により得られたアクリルアミド水溶液を、単に強酸性陽イオン交換樹脂および弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理する方法では、未だアクリルアミド水溶液中の不純物を十分に除去することが困難である。
【0009】
本発明では、(メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液を、従来知られている方法にも増してさらに高度に精製することのできる方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液について、それに含まれる不純物、反応副生物、および金属イオンなどを高度に除去する方法につき、鋭意研究および検討を重ねてきた。
【0011】
その結果、上記方法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸またはその塩を添加した後、これを陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂と接触させることにより、(メタ)アクリルアミド水溶液を極めて高度に精製し得ることがわかり、前記した問題点が解決できることを見出した。
【0012】
さらには、シュウ酸またはその塩の添加に加え、アルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアをも添加した後に、イオン交換樹脂と接触させる方法を採用する場合は、さらにより好ましく(メタ)アクリルアミド水溶液が精製し得るものであることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1) (メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液を、シュウ酸またはその塩を添加した後、イオン交換樹脂と接触させることを特徴とする(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法であり、また、
(2) シュウ酸またはその塩の添加に加え、アルカリ金属水酸化物をも添加した後にイオン交換樹脂と接触させる、上記(1) に記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法であり、また、
(3) シュウ酸またはその塩の添加に加え、アンモニアをも添加した後にイオン交換樹脂と接触させる、上記(1) に記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法であり、また、
(4) (メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液を、シュウ酸またはその塩、アルカリ金属水酸化物およびアンモニアを添加した後、イオン交換樹脂と接触させることを特徴とする(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法であり、また、
(5) (メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸またはその塩を添加中または添加前または添加後に、該水溶液中に酸素または酸素含有ガスを通気することを特徴とする、上記 (1)〜(4) のいずれかに記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法であり、また、
(6) (メタ)アクリルアミド水溶液へのシュウ酸またはその塩の添加、および該水溶液のイオン交換樹脂との接触を連続的に行わせる、上記 (1)〜(5) のいずれかに記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法である。
【0014】
これら本発明の方法を採用する場合は、(メタ)アクリルアミド水溶液中の不純物、反応副生物、および金属イオンなどを極めて高度に除去することが可能であり、この結果、高分子凝集剤などの用途に好適な高分子量(メタ)アクリルアミド重合体を得ることも非常に容易となる。したがって、特に(メタ)アクリルアミド重合体の製造を行う場合はもちろんのこと、その応用面でも極めて有利となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に用いられる(メタ)アクリルアミド水溶液の種類については特に限定はなく、広い範囲の方法で製造されたものが使用できる。通常、(メタ)アクリルアミド水溶液は、ラネー銅または還元銅などの金属銅触媒の存在下、(メタ)アクリロニトリルを液相で水和反応させることにより合成される。金属銅触媒は、通常は懸濁状で用いられ、流通式または回分式の反応型式が採られるが、商業的規模で(メタ)アクリルアミド水溶液を製造する場合などは、流通式撹拌槽型式の反応器を使用するのが一般的である。
【0016】
触媒としての金属銅は、主たる成分が銅からなるものであればよく、たとえば、ラネー銅合金をアルカリ水溶液で展開したラネー銅触媒、あるいは銅塩を水溶液中でホルムアルデヒド、ヒドラジン、ホウ水素化ナトリウムなどで還元して得られた還元銅触媒が使用できる。これら金属銅触媒は、その活性低下および使用中における副生成物を抑制するため、使用前はもとより、使用中でも酸素または酸素を含有するガスとの接触を避けるのが通常である。
【0017】
また、(メタ)アクリロニトリルの接触水和反応は、副反応の抑制および重合物の生成を防止する点から、(メタ)アクリロニトリル:水との仕込みを重量比で50:50〜5:95の範囲とするのが通常である。反応温度は、通常30〜200 ℃で可能であり、より好ましくは50〜150 ℃の範囲である。反応時間は通常は 0.5〜20時間の範囲、より好ましくは1〜3時間の範囲である。
【0018】
反応により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液の濃度は反応条件により当然異なるが、通常は50重量%以下である。反応後は、触媒を濾別するなどして分離した後、反応液を減圧蒸留するなどにより未反応(メタ)アクリロニトリル分を除去する。
【0019】
本発明の方法では、上記により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸あるいはその塩、またはこれに加え、さらにアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアをも添加するが、使用するシュウ酸は結晶水を持たないものでも、あるいは二水和物のものでもいずれであっても構わない。また、シュウ酸の塩を使用する場合も特に制限はないが、好ましくはアルカリ金属塩等であり、たとえばナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。さらには、(メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸およびアルカリ金属水酸化物を加えることにより、系内でシュウ酸塩を生じさせることもでき、このような態様においても本発明の範疇に含まれるものである。シュウ酸を塩にするためのアルカリ金属水酸化物の量は、シュウ酸中のカルボキシル基に対し0.01〜1.01倍モルの範囲で用いるのがよい。
【0020】
本発明の方法では、(メタ)アクリルアミド水溶液中に、上記したごとくシュウ酸またはその塩を添加することにより、後工程のイオン交換処理において該(メタ)アクリルアミド水溶液を高度に精製することが可能となるものであるが、より好ましい態様として、シュウ酸またはその塩の添加に加えて、さらにアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアをも添加するという方法が挙げられ、この方法を採用する場合は、含まれている銅の酸化、および副生物であるジ(メタ)アクリルイミドなどのような架橋性物質の分解がより十分に、しかもより短時間のうちに行うことが可能となる。この場合のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられ、使用に際してのこれら、およびアンモニアの濃度は特に限定がなく、任意のものを用いることが可能である。
【0021】
本発明において、(メタ)アクリルアミド水溶液へのシュウ酸またはその塩、アルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアの添加する方法については特に限定がなく、たとえば(メタ)アクリルアミド水溶液上部の気相中へ添加してもよいし、あるいは液中に添加される方法であってもよい。この場合、アンモニアは液状およびガス状のいずれでもよく、さらには水溶液であってもよいし、濃度に限定されるようなこともない。
【0022】
本発明において、シュウ酸またはその塩、さらにはこれに加えてアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアを添加する場合、(メタ)アクリルアミド水溶液のpHが8〜14となるように添加することが好ましい。通常、(メタ)アクリロニトリルの水和反応により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液には、反応時に溶出した銅イオンを10〜200 ppm 程度含有しているが、添加したシュウ酸またはその塩は一部、銅イオンにイオン結合すると考えられる。したがって、添加するシュウ酸またはその塩については、含有する銅イオンに対し0.01〜20倍モル、より好ましくは 0.5〜10倍モルの範囲で添加するのがよい。
【0023】
また、シュウ酸またはその塩の添加に加え、さらにアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアをも添加する場合、これらアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアは、含まれている銅イオンに対し0.01〜20倍モル、より好ましくは0.01〜10倍モルの範囲で添加するのがよい。通常、含まれる銅イオンに対しシュウ酸のみを添加する場合は、溶液中に存在するジ(メタ)アクリルイミドなどのような架橋性物質を分解する能力が低下してしまい、好ましくはない。
【0024】
シュウ酸またはその塩、アルカリ金属水酸化物、アンモニアを(メタ)アクリルアミド水溶液に添加し処理を行う方法としては、流通式または回分式などの型式があるが、効率よく連続的に(メタ)アクリルアミド水溶液を精製する場合には流通式撹拌槽型式で行うのが好ましい。
【0025】
また、本発明の方法では、シュウ酸またはその塩やさらにはこれに加えてアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアの添加を行う場合、その添加中または添加後において、(メタ)アクリルアミドの重合防止および含有する銅イオンの酸化を十分に行わせるために、酸素または空気などのような酸素含有ガスを(メタ)アクリルアミド水溶液中に連続的に通気することが好ましい。酸素または空気を用い、酸化を行う場合に必要とするその量は、処理する(メタ)アクリルアミド水溶液に対し、通常 0.1〜10容量倍である。
【0026】
(メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸またはその塩やさらにはこれに加えてアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアを添加し処理を行うに際しては、(メタ)アクリルアミドの変質しない60℃以下の温度であることが好ましく、通常は攪拌下で行われる。また、その処理時間には特に制限はないが、極端な長時間処理では(メタ)アクリルアミドの一部が加水分解を受け、(メタ)アクリル酸などになったりするため、通常は1〜20時間、より好ましくは2〜6時間の範囲である。
【0027】
本発明の方法では、上記した処理において、(メタ)アクリルアミド水溶液がアルカリ雰囲気下になるにもかかわらず、残存する銅イオンが水酸化銅などとして析出することがなく、水溶性の銅錯イオンとして溶解しており、次工程において、そのまま陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通液し精製操作を行うことが可能であり、工業的にも非常に有利である。
【0028】
本発明では、上記により処理された(メタ)アクリルアミド水溶液を、次に陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂と接触させて精製処理を行う。これに用いることのできる陽イオン交換樹脂としては、上記にて処理された(メタ)アクリルアミド水溶液中の銅イオンとイオン交換可能なものであればいずれでも用い得るが、中でもより好適に用いられるものとしては、強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーライトIR-200C 、同IR-120B (以上、東京有機化学(株)社製)、レバチットSP 112、同S100(以上、バイエル社製)など、弱酸性陽イオン交換樹脂であるダイヤイオンWK10、同WK20(以上、三菱化学(株)社製)、レバチットCNP 80(バイエル社製)などの商品名で市販されているものが挙げられる。これらの中でも強酸性陽イオン交換樹脂は非常に好ましく用いられる。そして、対イオンとしては、Na+ イオンやK+ イオンなどでもイオン交換は不可能ではないが、これらはイオン交換の選択性の関係から銅イオンの交換効率の低下があることや、これらイオンの製品への混入が避けられないため、通常はH+ イオンを用いるのが好ましい。
【0029】
一方、陰イオン交換樹脂としては、反応副生成物である(メタ)アクリル酸などの有機酸とイオン交換可能なものであればいずれでも用い得るが、より好適に用いられるものとしては、強塩基性陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンPA 304、同PA 306、同PA 404、同PA 408(以上、三菱化学(株)社製)、レバチットMP 500(バイエル社製)など、弱塩基性陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンWA30、同WK20(以上、三菱化学(株)社製)、レバチットMP62(バイエル社製)などの商品名で市販されているものを挙げることができる。これらの中でも弱塩基性陰イオン交換樹脂は非常に好ましく用いられる。そして、対イオンとしてはOH- イオンを用いるのが好ましい。また、強塩基性陰イオン交換樹脂にあっては、水溶液中に(メタ)アクリルアミドが存在する場合にその一部が加水分解を受け、少量の(メタ)アクリル酸を副生することがあるため、弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いる方がより好ましい。これらの現象は、強酸性陽イオン交換樹脂でも同様に起きやすいため、(メタ)アクリルアミド水溶液の通液順序としては、陽イオン交換樹脂に接触させた後に、陰イオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
【0030】
また、これらと接触させる際の(メタ)アクリルアミド水溶液の温度は、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂の耐用温度以下で、しかも(メタ)アクリルアミドの変質しない温度であればよく、通常は60℃以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法におけるイオン交換樹脂との接触操作としては、通常はイオン交換樹脂はカラムなどに充填され、その中に(メタ)アクリルアミド水溶液を通液する操作で行われる。この場合における(メタ)アクリルアミド水溶液の通液方向は、充填塔の上方より下方に流すダウンフロー式を採ることが好ましい。また、通液流速は、空間速度(以下、SVという)で通常1〜50hr-1の範囲にあればよく、より好ましくは3〜10hr-1の範囲である。
【0032】
また、(メタ)アクリルアミド水溶液の精製に使用したイオン交換樹脂の再生方法としては、強酸性陽イオン交換樹脂を再生するのであれば、通常、3〜10重量%の塩酸を総交換容量に対し1〜10倍の塩酸量で接触させることにより可能である。一方、弱塩基陰イオン交換樹脂は、2〜8重量%の水酸化ナトリウム水溶液を総交換容量の1〜6倍の量で接触させることにより再生することが可能である。再生操作時の通液速度はいずれの場合もSVで1〜40hr-1の範囲で行うことが好ましく、これにより吸着した銅イオンなどのカチオン成分、有機酸などのアニオン成分を回収することができる。また、これら処理したイオン交換樹脂は繰り返し使用することが十分可能である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法を実施例によりさらに詳細に説明する。以下において、「%」および「ppm 」は全て重量基準である。
【0034】
製造例1
内容積1リットルの4つ口フラスコに、ラネー銅触媒(商品名CDT-60:川研ファインケミカル(株)社製)20gを窒素雰囲気下に装入し、これにあらかじめ窒素ガスを通気して溶存酸素を除去したアクリロニトリル 250gおよびイオン交換水 250gを加え70℃で2時間反応させ、アクリルアミド81gを生成させた。反応液中より触媒をフィルターにより濾別した後、減圧蒸留して濃縮し、粗アクリルアミド水溶液を得た。この水溶液のアクリルアミド濃度は33%であり、アクリロニトリルの残存濃度は0.01%以下、銅イオン濃度は75ppm であった。
【0035】
製造例2
内容積1リットルの4つ口フラスコに、還元銅触媒15gを窒素雰囲気下に装入し、これにあらかじめ窒素ガスを通気して溶存酸素を除去したアクリロニトリル 250gおよびイオン交換水 250gを加え80℃で3時間反応させ、アクリルアミド75gを生成させた。反応液中より触媒をフィルターにより濾別した後、減圧蒸留して濃縮し、粗アクリルアミド水溶液を得た。この水溶液のアクリルアミド濃度は31%であり、アクリロニトリルの残存濃度は0.01%以下、銅イオン濃度は75ppm であった。
【0036】
実施例1
前記製造例1で得られた粗アクリルアミド水溶液 245gを、撹拌機、酸素ガス導入管および温度計を備えた内容積 0.5リットルの4つ口フラスコに入れ、これにシュウ酸二水和物0.0437gと1N−NaOH1.85mlを添加した後、液中に酸素ガスを流量2リットル/hrで通気しながら20℃で5時間攪拌下においた。撹拌機の回転数は300rpmであり、また、この場合における溶液はpHが10〜13にあった。次に、上記溶液を、アンバーライト IR-200C(商品名;東京有機化学(株)社製)のH型強酸性陽イオン交換樹脂を充填したカラム中にSV=3hr-1で通液し、銅イオン、グリシン、ナトリウムイオンその他カチオン成分を除去する操作を行った。この結果、EDTAによるキレート滴定法での溶液中の銅イオン濃度は0.05ppm 以下となり、またガスクロマトグラフィー法によるグリシン濃度は1ppm 以下となった。次いで、この溶液を、レバチット MP-62(商品名;バイエル(株)社製)のOH型弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム中に連続的に通液し、アクリル酸などのアニオン成分を除去する操作を行った。
上記イオン交換樹脂との接触操作におけるポリマー生成の有無確認を、上記処理水溶液5mlにメタノール45mlを混合し行ってみたが、アクリルアミド重合体の生成は全く認められなかった。
【0037】
・重合評価試験
上記処理により得られたアクリルアミド水溶液を用い、下記した方法により重合反応させ、得られた重合物を評価する試験を行った。
まず、上記実施例1により得られたアクリルアミド水溶液 240gに、純水を加え総量を 980gとした後、窒素導入管および温度計を備えた2リットルの反応容器に入れ、0℃に保ちながら窒素ガスを10リットル/分の流量で1時間通じ、溶液中の溶存酸素を除いた。次いで、これに0.03%過硫酸アンモニウム水溶液10gおよび0.03%硫酸第一鉄アンモニウム水溶液10gをほぼ同時に添加した。これらの添加より約 1.5時間後に反応温度は90℃の頂点に達した。さらにその時点より1時間放置した後、生成した重合物を取り出した。得られた重合物をミートチョッパーにより破砕した後、85℃で2時間乾燥させ、粉砕機で粉砕して粉末状のアクリルアミド重合体を得た。これを篩にかけて30〜60メッシュのものを分取し試験サンプルとした。
【0038】
・アクリルアミド重合体の評価方法
得られたアクリルアミド重合体について、水溶性試験、分子量測定、および凝集性能試験を以下の通りに行った。
【0039】
水溶性試験; 500mlビーカーに純水を 400ml入れ、常温下スクリュー型撹拌羽根にて撹拌しながら、これに得られた重合体粉末 0.4g(水分を除いた重合体純分の重量)を添加し、400rpmで 1.5時間撹拌した後、この液を 150メッシュの網で濾過し、不溶解分の有無を目視にて判定した。なお、判定の結果は下記のように示した。
◎・・・・・不溶解分全くなし
○・・・・・不溶解分わずかにあり
△・・・・・不溶解分多量にあり
【0040】
分子量の測定;上記で得られた濾液中に、塩化ナトリウムを濃度1規定となるように添加した後、ウベローデ粘度計を用いて粘度を測定し、その値より換算して求めた。
【0041】
凝集性能;凝集能はクラフトパルプ廃水に硫酸バンド400ppmを加え、pH6でポリアクリルアミドを1ppm 添加して、ジャーテスタで常法により凝集させ、このとき生成するフロックの大きさを判定し評価した。なお、判定の結果は下記のように示した。
○・・・・・フロック径 3〜4mm
△・・・・・フロック径 1〜3mm
×・・・・・フロック径 1mm未満
以上、これらの結果を表1に示す。
【0042】
実施例2
実施例1において、シュウ酸二水和物0.0437g、1N−NaOH1.85ml及び26%アンモニア水溶液0.038gを添加して行ったほかは全て同様に操作した。この場合における溶液のpHは10〜14で、溶液は青紫色を呈し、また陽および陰イオン交換樹脂との接触処理操作後における溶液中のポリマー生成の有無確認でもアクリルアミド重合体の生成は全く認められなかった。得られたアクリルアミド水溶液について、実施例1同様の重合試験を行った。結果を表1に示す。
【0043】
実施例3
前期製造例2で得られた粗アクリルアミド水溶液を用い、以下、実施例1に記載した方法と全く同様に操作し、さらに得られたアクリルアミド水溶液について実施例1同様の重合試験を行った。結果を表1に示す。
【0044】
実施例4
前記製造例1の方法で得られた粗アクリルアミド水溶液 5200gを撹拌機、空気導入管及び温度計を備えた内容積10リットルの貯槽に入れ、液中に空気を流量240 リットル/hr で通気しながら20℃で1時間撹拌した。次に、上記溶液を5リットル/hr の速度で、及び、シュウ酸二水和物0.928g、NaOH1.276g、26% アンモニア水溶液0.802gを含有する水溶液300gを0.3 リットル/hr の速度で連続的に混合し、続いて、ラシヒリングを充填したカラム、陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR-200C )を充填したカラム、陰イオン交換樹脂(レバチットMP-62 )を充填したカラムの順に連続的にSV=2.7hr-1で通液した。ただし、ラシヒリングを充填したカラムはカラム中の溶液の滞留時間が3時間になるように設定した。得られたアクリルアミド水溶液について実施例1同様の重合試験を行った結果、アクリルアミド重合体の重量平均分子量は11700000であり水溶性試験も不溶解分は見られなかった。
【0045】
比較例1
実施例1において、シュウ酸および1N−NaOH水溶液を添加することなく行ったほかは、全て同様に操作した。得られたアクリルアミド水溶液について、同様に重合試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
製造例2で得られた粗アクリルアミド水溶液について、上記比較例1同様、直接陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に接触させて精製処理操作を行った。得られたアクリルアミド水溶液について同様に重合試験を行い、その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
(メタ)アクリロニトリルの接触水和により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液を、シュウ酸またはその塩、あるいはさらにアルカリ金属水酸化物および/またはアンモニアをも添加した後に、イオン交換樹脂と接触させることによる本発明の精製方法によれば、従来にも知られる方法にも増して、さらに(メタ)アクリルアミド水溶液を高度に精製することのできることが、実施例の結果からも明らかである。
また、本発明により精製された(メタ)アクリルアミド水溶液を用い、(メタ)アクリルアミド重合体とした際には水への不溶解分がほとんどなく、しかも1100万〜1200万程度の分子量をもつ重合体を容易に得ることが可能である。
Claims (4)
- (メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液にシュウ酸またはその塩と、アルカリ金属水酸化物とを添加した後、その(メタ)アクリルアミド水溶液をイオン交換樹脂と接触させることを特徴とする(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法。
- (メタ)アクリロニトリルの接触水和法により得られる(メタ)アクリルアミド水溶液に、シュウ酸またはその塩、アルカリ金属水酸化物およびアンモニアを添加した後、その(メタ)アクリルアミド水溶液をイオン交換樹脂と接触させることを特徴とする(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法。
- (メタ)アクリルアミド水溶液中に酸素または酸素含有ガスを通気することを特徴とする、請求項1または2に記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法。
- 上記添加、および上記イオン交換樹脂との接触を連続的に行わせる、請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリルアミド水溶液の精製方法。
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