JPH09227426A - アルカジエノール類の製造方法 - Google Patents

アルカジエノール類の製造方法

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JPH09227426A
JPH09227426A JP8337008A JP33700896A JPH09227426A JP H09227426 A JPH09227426 A JP H09227426A JP 8337008 A JP8337008 A JP 8337008A JP 33700896 A JP33700896 A JP 33700896A JP H09227426 A JPH09227426 A JP H09227426A
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phosphine
compound
reaction
alkadienols
group
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JP8337008A
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English (en)
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Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカジエノール類の製造方法の提供。 【解決手段】 パラジウム化合物及びホスフィン化合物
から成る触媒を用いて共役アルカジエンを水和二量化さ
せることによりアルカジエノール類を製造する方法にお
いて、反応生成液中のホスフィン変化物の少なくとも一
部を分解処理してホスフィン類を再生し、該ホスフィン
類を反応系に再循環する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカジエノール
類の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、パラジウ
ム化合物及びホスフィン化合物から成る触媒の存在下、
共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエノール
を製造する際に、反応生成液中のホスフィン変化物を分
解処理してホスフィン類を再生し、これを反応系にて再
循環することを特徴とするアルカジエノール類の製造方
法に関する。アルカジエノール類、特にオクタ−2,7
−ジエン−1−オールを初めとするオクタジエノール類
は、n−オクタノール或いはそのエステル等を製造する
ための中間体として、化学工業的に重要な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】かかるアルカジエノール類を製造する方
法として、従来パラジウム化合物及びホスフィン化合物
を触媒として用い、二酸化炭素の存在下に共役アルカジ
エンと水とを反応させて、二量化水和物であるアルカジ
エノール類を製造する方法が、例えば、ケミカルコミュ
ニケーションズ(Chemical Communic
ations),330(1971)、及び特公昭50
−10565号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記水和二量化反応に
おいては、ホスフィン化合物は、反応生成液中ではその
一部又は全部をホスホニウム塩等のホスフィン変化物に
形態を変化させることが知られている。この場合、反応
生成液は、目的物のアルカジエノール類、必要に応じて
溶媒類を蒸留等公知の方法で分離した後、触媒液とし
て、反応系へ循環再使用されるが、このホスフィン変化
物の生成によりホスフィン配位子の濃度が低下するの
で、高価なホスフィン化合物を補給せねばパラジウム化
合物の触媒としての機能を維持できなくなり、ホスホニ
ウム塩等の形態変化物の生成による経済的な損失は極め
て大きいという問題点がある。
【0004】本発明の課題は、パラジウム化合物及びホ
スフィン化合物を触媒として用い、二酸化炭素の存在
下、共役ジエンと水とを反応させる二量化反応におい
て、所望のアルカジエノール類をホスフィン化合物の損
失なく製造するところの工業的に有利なアルカジエノー
ル類の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、パラジウム化合物
及びホスフィン化合物から成る触媒を用い、二酸化炭素
の存在下に共役アルカジエンと水とを反応させてアルカ
ジエノール類を製造する方法において、反応に伴い生成
するホスフィン変化物を分解処理することによりホスフ
ィン類を再生できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0006】即ち、本発明は、パラジウム化合物及びホ
スフィン化合物から成る触媒を用い、二酸化炭素の存在
下に共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエノ
ール類を製造する方法において、前記反応により得られ
る反応生成液中のホスフィン変化物の少なくとも一部を
パラジウム化合物の存在下分解してホスフィン類を再生
し、該ホスフィン類を反応系に再循環することを特徴と
するアルカジエノール類の製造方法にある。以下、本発
明の方法を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
1.アルカジエノール類の製造 (共役アルカジエン)本発明方法により水と反応させて
アルカジエノール類を製造するための共役アルカジエン
としては、1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−
ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、
1,3−オクタジエン等が挙げられる。原料が1,3−
ブタジエンである場合、通常容易に入手可能のものとし
て、精製1,3−ブタジエン及び所謂BBP(ブテン−
ブタジエン留分)即ち、ナフサ分解生成物中のC4 留分
混合物等が挙げられる。
【0008】主に経済性を考慮してBBPを原料とする
場合においては、原料BBP中に含有されるアセチレン
類及びアレン類を予め分離除去して置くことが望まし
い。アセチレン類及びアレン類を低減化するための方法
は特に限定されず、公知の諸法が適宜採用可能である。
アセチレン類及びアレン類を除去或いは低減化した後、
オクタジエノール類を製造するための二量化水和反応に
供すべき1,3−ブタジエン原料中のアセチレン類及び
アレン類の総濃度は、可能な限り低いことが望ましい
が、通常1,3−ブタジエンに対して1.0重量%以下
程度が好ましい。
【0009】(水)一方、他の原料である水としては二
量化水和反応に影響を与えない程度の純度の水が適宜使
用される。水の使用量については特に限定的ではない
が、共役アルカジエンの1モルに対して、通常0.5〜
10モル、好ましくは1〜5モルの範囲から選択され
る。
【0010】(パラジウム化合物)本発明においては、
主触媒としてパラジウム化合物を使用する。使用される
パラジウム化合物の形態及びその原子価状態については
必ずしも限定的ではない。共触媒として使用するホスフ
ィン化合物を配位子として持つビス(ホスフィン)パラ
ジウム、トリス(ホスフィン)パラジウム、テトラキス
(ホスフィン)パラジウムの他、テトラキス(トリフェ
ニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデン
アセトン)二パラジウム、(1,5−シクロオクタジエ
ン)(無水マレイン酸)パラジウム等の0価パラジウム
錯体;硝酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;酢酸パ
ラジウム等のパラジウム有機酸塩;ビス(アセチルアセ
トン)パラジウム、ビス(トリ−ブチルホスフィン)パ
ラジウム酢酸塩等の二価パラジウム錯体等が挙げられ
る。
【0011】これらのパラジウム化合物の使用量は広範
囲に可変であるが、通常共役アルカジエン1モル当りパ
ラジウムとして0.000002−1グラム原子、好ま
しくは0.00002−0.1グラム原子の範囲内で選
択される。なお、本発明の方法に従えば、反応液中の触
媒成分が有効に利用されるため、0.00002−0.
002グラム原子、更には0.00002−0.000
6グラム原子という非常に低いパラジウム濃度の範囲内
でも良好に反応が行われる。
【0012】(ホスフィン化合物)一方、共触媒として
使用するホスフィン化合物の種類としては、従来公知の
トリアルキルホスフィン、ジアルキルモノアリールホス
フィン、モノアルキルジアリールホスフィン、及びトリ
アリールホスフィン等が挙げられるが、殊にモノアルキ
ルジアリールホスフィン、及びトリアリールホスフィン
が好ましい。ホスフィン化合物としては上記の化合物の
中でもオルト位に置換基を有するアリール基を少なくと
も一箇有するトリアリールホスフィン化合物がより好ま
しい。かかる化合物の例としては、トリ(o−メチルフ
ェニル)ホスフィン、ジ(o−メチルフェニル)−フェ
ニルホスフィン、(o−メチルフェニル)−ジフェニル
ホスフィン、トリ(o−エチルフェニル)ホスフィン、
ジ(o−エチルフェニル)−フェニルホスフィン、(o
−エチルフェニル)ジ(フェニル)ホスフィン、トリ
(o−プロピルフェニル)ホスフィン、トリ(o−ブチ
ルフェニル)ホスフィン、トリ(o−ビフェニリル)ホ
スフィン、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィ
ン、トリ(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、ト
リ(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ
(2,3−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,
4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,
4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,
3,4−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,
3,4,5−テトラメチルフェニル)ホスフィン、トリ
(2,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,
4−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,5−ジ
プロピルフェニル)ホスフィン、トリ(2,4−ジプロ
ピルフェニル)ホスフィン、トリ(2,5−ジブチルフ
ェニル)ホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(2−メチル−4−オクチルフェ
ニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−5−オクチルフ
ェニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−4−メトキシ
フェニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−5−メトキ
シフェニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−4−オク
トキシフェニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−5−
オクトキシフェニル)ホスフィン等の疎水性ホスフィン
化合物及びトリ(2−メチル−4−(2′−ナトリウム
スルホネートエチル)フェニル)ホスフィン、トリ(2
−メチル−5−(2′−ナトリウムスルホネートエチ
ル)フェニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−4−
(2′−リチウムスルホネートエチル)フェニル)ホス
フィン、トリ(2−メチル−5−(2′−リチウムスル
ホネートエチル)フェニル)ホスフィン、トリ(2−メ
チル−5−ナトリウムスルホネートフェニル)ホスフィ
ン、トリ(2−メチル−5−リチウムスルホネートフェ
ニル)ホスフィン、トリ(2−メチル−4−N,N−ジ
メチルアミノフェニル)ホスフィン等の親水性ホスフィ
ン化合物等が挙げられる。なお、アリール基のオルト位
の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキ
シ基等が挙げられる。
【0013】また、アリール基の3−位、4−位及び5
−位には、それぞれ独立にアルキル基、アルキルアミノ
基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等の電子
供与性の基又はアルキルスルホネート等の電子吸引性基
を有していてもよい。電子供与性の基の中ではアルキル
基及びアルコキシ基が好ましい。本発明では、前記ホス
フィン化合物の使用量は、通常パラジウム1グラム原子
に対して0.1〜250モル程度から測定されるが、好
ましくは3〜150モル、更に好ましくは、10〜10
0モル程度である。なお、ホスフィン化合物の使用量
は、上記範囲の中で反応の条件下で反応液中に溶解する
範囲内が望ましい。
【0014】(二酸化炭素)本発明の共役アルカジエン
と水との反応は、上記の如きパラジウム化合物及びホス
フィン化合物を触媒として使用し、二酸化炭素の存在下
に行われる。本発明で使用される二酸化炭素は、反応系
で二酸化炭素として存在するものであればよく、特にそ
の供給形態は問わない。例えば分子状の二酸化炭素、炭
酸、炭酸塩、重炭酸塩、或いは二酸化炭素又は炭酸とア
ミンとの付加物等が挙げられる。二酸化炭素の使用量の
上限は経済的理由により決定されるものであり、過剰に
使用しても特に反応を阻害することはない。通常二酸化
炭素はパラジウム1グラム原子に対して1モル以上、好
ましくは10モル以上使用される。
【0015】(溶媒)上記共役アルカジエンと水との反
応を行うに当っては、反応をより円滑に行うためには溶
媒を使用するのが好適である。使用し得る溶媒として
は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチ
レングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、エチル−nブチルケトン等のケトン
類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン類の
アルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニト
ロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等
のピリジン誘導体、トリエチルアミン等のアミン類、ア
セトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
エチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−オクタ
ノール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸等のカルボン酸類等が例示される。かかる溶媒を使
用する場合には、これらを単独で、又は混合溶媒として
のいずれでも差しつかえない。これらの中、特に低級ア
ルコールを使用した場合には、アルコキシオクタジエン
等の副生成物の生成を伴ない、低級カルボン酸を使用し
た場合には、アシルオクタジエン等の副生成物の生成を
伴ない、反応系を複雑にするので特に注意を要する。
【0016】溶媒を使用する場合の使用量は必ずしも限
定的ではないが、通常共役アルカジエン1重量部に対し
て0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部の範
囲から任意に選択される。
【0017】(反応方法)共役アルカジエンと水とを反
応させるための反応温度は、室温から180℃程度の範
囲から選択することができるが、50〜130℃程度の
温度範囲を選ぶのがより一般的であり、好ましくは、7
0〜110℃の温度範囲がより望ましい。反応圧力は常
圧から200kg/cm2 程度の範囲から選択される。
この際、二酸化炭素の他に窒素、ヘリウム、アルゴン等
の反応に不活性な気体を共存させることも可能である。
【0018】2.ホスフィン変化物の分解 本発明においては、パラジウム化合物及びホスフィン化
合物から成る触媒を用いて、二酸化炭素の存在下共役ア
ルカジエンと水とを反応させてアルカジエノール類を製
造するが、この反応により得られた反応生成液中では、
ホスフィン化合物はその一部又は全部がホスホニウム塩
等のホスフィン変化物に形態を変えて存在している。
【0019】反応生成液は、目的物のアルカジエノール
類、必要に応じて溶媒類を蒸留等公知の方法で分離し、
触媒液として循環再使用されるが、ホスフィン化合物は
その一部又は全量がホスフィン変化物に変化しているの
で反応を維持するために新たにホスフィン化合物を補給
する必要がある。本発明は、ホスホニウム塩等に形態変
化し、その配位子としての機能を失ったホスフィン変化
物を分解処理することによりホスフィン類を再生し、こ
の再生ホスフィン類を反応系に再循環することにより高
価なホスフィン化合物を損なうことなく反応を良好に行
うものである。
【0020】なお、本発明に云う「ホスフィン変化物」
とは、例えばホスフィン化合物に原料アルカジエン若し
くはそのダイマー又は副反応生成物であるエーテル類若
しくはカルボン酸類等が配位して形成されるところのホ
スホニウム塩を指す。この中、主成分はホスフィン化合
物に原料アルカジエン又はそのダイマーが配位して形成
される下記一般式(I)又は(II)で表わされるホスホ
ニウム塩である。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】(式(I)及び式(II)において、Xはア
ルキル基を表わし、Yは水素、アルキル基、アルコキシ
ル基、スルホン酸基若しくはその塩、又はアミノ基若し
くはアルキル置換アミノ基を表わし、nは0から3の整
数であり、nが2又は3のとき、Yは互いに同一でも、
異なっていてもよく、X、Yはアリール基毎に同一で
も、異なっていてもよい。R1 、R2 及びR3 はそれぞ
れ置換基を有していてもよい炭素数1〜14の炭化水素
基を表わし、Zは水酸基、ヒドロキシカルボキシ基又は
低級アルキルカルボニルオキシ基を表わす。)
【0024】ホスフィン変化物を分解処理してホスフィ
ン類を再生する方法は、加熱による分解が有利である
が、その他の方法、例えば水素と接触させる方法、水酸
化ナトリウムのような塩基性物質と接触させる方法など
が可能である。この中で、加熱による分解が最も簡単で
望ましい方法である。
【0025】(加熱処理)熱でホスフィン変化物を分解
するには、80〜160℃に加熱するのが一般的であ
り、好ましくは100〜160℃、更に好ましくは10
5〜140℃がよい。80℃以下ではホスフィン変化物
の分解は殆んど起きず、160℃以上ではパラジウム化
合物がメタル化する問題がある。
【0026】ホスフィン変化物を分解するための熱処理
は、反応生成液をそのまま熱処理してもよいし、目的物
のアルカジエノール類、或いは溶媒等を蒸留等の公知の
方法で分離してから熱処理してもよい。加熱分解する方
法は特に限定されるものではなく、撹拌槽、押し出し流
れ型の反応器、蒸留塔内での熱処理等種々の方法が可能
である。
【0027】中でも、反応生成液を蒸留する際に同時に
熱分解する方法は、分解のための装置を新設する必要が
ないので工業的には有利である。この場合、熱分解を反
応生成物から溶媒を分離する蒸留塔において行う方法或
いは反応生成物から目的物であるアルカジエノール類を
分離する蒸留塔において行う方法が好ましい。また、薄
膜蒸留装置を用いて蒸留する場合でも、良好に熱分解を
行うことができる。なお、この際、加熱によりホスフィ
ン変化物が十分に分解するよう温度を設定することが必
要である。好ましい温度としては105℃以上にするの
がよく、更に好ましくは110℃以上とするのがよい。
【0028】(水素処理)水素と接触させる方法は、水
素ガスを使うのが望ましく、大気圧以上の加圧下で接触
させるのがよい。但し、圧力が高くなると処理設備が高
価な物になるので、圧力としては0〜300kg/cm
2 ・Gがよく、好ましくは0〜100kg/cm2
G、更に好ましくは0〜80kg/cm2 ・Gとするの
がよい。処理温度は、120℃以下で処理するのが望ま
しく、高すぎるとパラジウム化合物がメタル化する。低
すぎると処理に長時間かかるので20℃以上が良く、好
ましくは30〜120℃、最も好ましくは40〜100
℃の範囲である。
【0029】(塩基性化合物処理)塩基性化合物と接触
させてホスフィン変化物を分解する方法で用いられる塩
基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及
びアンモニウムイオンを形成する水酸化物、酸化物、ア
ルコキサイド、カルボン酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩が使
用される。
【0030】具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カル
シウム、酸化バリウム、ナトリウムエトキサイド、酢酸
ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カル
シウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。この中で入
手の容易性、価格等を考慮すると、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムが好ましい。
【0031】塩基性化合物で処理する場合の温度は、0
〜160℃、望ましくは20〜140℃が採用される。
塩基性化合物をそのまま、或いは水溶液としてホスフィ
ン変化物を含む液と接触させ、混合することによりホス
フィン類に分解することができる。以上の本発明の方法
は、回分でも、連続でも良好に行うことができ、また減
圧、加圧下でも良好に実施できる。
【0032】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例
によって限定されるものではない。
【0033】(反応生成液の調製)10Lステンレス製
の電磁誘導撹拌機付きのオートクレーブにビス(アセチ
ルアセトン)パラジウム2.86g(9.4ミリモ
ル)、トリ(o−トリル)ホスフィン39.0g(11
3ミリモル)、1,3−ブタジエン1000g、水32
0g、アセトン2587gを仕込み、二酸化炭素で20
kg/cm2 ・Gに加圧して75℃で3時間反応させ
た。反応生成液より常圧蒸留でアセトンを分離し、蒸留
残液を静置後油水分離し、ヒドロキシオクタジエン類と
パラジウム触媒を含む生成液を得た。この生成液を使っ
て実施例1〜4のホスフィン変化物の分解試験を行っ
た。
【0034】実施例1 200mlの撹拌機付きステンレス製オートクレーブ
に、前記反応生成液70mlを仕込み、水素50気圧、
温度70℃で3時間の処理を行った。冷却後、内液を抜
き出し、31P−NMRを測定した。結果を表1に示す
が、ホスフィン変化物の分解によりトリ(o−トリル)
ホスフィン濃度が32%上昇した。
【0035】実施例2 ガラス製ジャケット付きフラスコに、前記反応生成液3
0g、1N−NaOHを30g仕込み、80℃で30分
間撹拌した。冷却後、油相の31P−NMRを測定した。
結果を表2に示すが、ホスフィン変化物の分解によりト
リ(o−トリル)ホスフィン濃度が44%上昇した。
【0036】実施例3 前記反応生成液70mlを、200mlの撹拌機付きス
テンレス製オートクレーブに仕込み、窒素加圧下、温度
140℃で10分の処理を行った。冷却後、内液を抜き
出し、31P−NMRを測定した。結果を表3に示すが、
ホスフィン変化物の分解によりトリ(o−トリル)ホス
フィン濃度が35%上昇した。
【0037】実施例4 ステンレス製薄膜蒸留装置に、前記反応生成液を86g
/時で供給して連続蒸留を行った。薄膜蒸留は、圧力2
0mmHgで行い、140℃の熱媒で加熱した。缶出液
31P−NMR分析を行い、結果を表4に示す。ホスフ
ィン変化物の分解によりトリ(o−トリル)ホスフィン
濃度が46%上昇した。
【0038】実施例5 図1に示す装置を用いて、触媒を循環しながら、1,3
−ブタジエンと水との反応を行った。反応器1は、内容
積10Lのステンレス製の電磁誘導撹拌機付きオートク
レーブを使用し、循環溶媒アセトン高沸点副生物を含む
循環触媒液、水、1,3−ブタジエンを連続的に供給し
た。
【0039】この時、オートクレーブ内は、二酸化炭素
により10kg/cm2 ・Gに維持され、反応温度75
℃、反応器内液量5L、反応液の滞留時間5.1時間で
あった。また、反応は、酢酸パラジウムとトリ(2,5
−キシリル)ホスフィンを用いて行った。
【0040】反応器から連続的に抜き出された反応液
は、気液分離器2に供給され、1kg/cm2 ・G、3
0℃で気液分離された液は、蒸留塔3に連続的に供給さ
れた。蒸留塔3は、理論段15段で、塔頂圧力760m
mHg、還流比0.5で操作した。蒸留塔3の塔頂から
留出した溶媒アセトンは反応器に戻され、缶出液は油水
分離器4で油水分離され油相は蒸留塔5に連続的に供給
された。
【0041】蒸留塔5は、理論段5段で、塔頂の圧力2
0mmHg、還流比0.5で操作した。塔底部の温度を
120℃とし、缶出液の流量が1時間当り約100gに
なるように塔底部の液量を変えて調節した。塔底部の液
滞留時間は1〜2.5時間であった。
【0042】また、缶出液は、触媒液として反応器へ循
環した。500時間の連続運転を行い、定期的に反応器
の組成を分析し、ヒドロキシオクタジエンの生成量、ホ
スホニウム塩の変化を調べた。結果を表5に示すが、こ
の間、反応器中のブタジエン濃度、ヒドロキシオクタジ
エン類の濃度に変化はなく、反応速度、選択率は一定で
推移した。また31P−NMRにも変化はなく、ホスフィ
ン変化物の増大は見られなかった。
【0043】
【表1】 リン酸基準のシフト値で示す。 ※表1の24.6ppmのスペクトルは、トリ(o−ト
リル)ホスフィンから生成する一般式(I)のタイプの
ホスホニウム塩に帰属される。17.9ppmのスペク
トルは同じく一般式(II)のタイプのホスホニウム塩に
帰属される。−30.2ppmのスペクトルはトリ(o
−トリル)ホスフィンに帰属される。この表よりホスホ
ニウム塩の減少が見られる。
【0044】
【表2】 リン酸基準のシフト値で示す。
【0045】
【表3】 リン酸基準のシフト値で示す。
【0046】
【表4】 リン酸基準のシフト値で示す。
【0047】
【表5】 ※表5の23.1ppmのスペクトルは、トリ(2,5
−キシリル)ホスフィンから生成する一般式(I)のタ
イプのホスホニウム塩に帰属され、17.4ppmのス
ペクトルは同じく一般式(II)のタイプのホスホニウム
塩に帰属される。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、パラジウム化合物及び
ホスフィン化合物から成る触媒を用いて、共役アルカジ
エンの水和二量化反応によりアルカジエノール類を製造
する方法において、ホスホニウム塩等に形態変化し、そ
の配位子としての機能を失ったホスフィン変化物を分解
処理してホスフィン類を再生し、これを反応系に再循環
することによりホスフィン化合物を損失することなく工
業的に有利にアルカジエノール類を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 気液分離器 3 蒸留塔 4 油水分離器 5 蒸留塔
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 31/24 B01J 31/24 X 31/28 31/28 X 38/02 38/02 C07C 29/05 9155−4H C07C 29/05 29/46 9155−4H 29/46 29/80 9155−4H 29/80 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物及びホスフィン化合物
    から成る触媒を用い、二酸化炭素の存在下に共役アルカ
    ジエンと水とを反応させてアルカジエノール類を製造す
    る方法において、前記反応により得られる反応生成液中
    のホスフィン変化物の少なくとも一部をパラジウム化合
    物の存在下分解処理してホスフィン類を再生し、該ホス
    フィン類を反応系に再循環することを特徴とするアルカ
    ジエノール類の製造方法。
  2. 【請求項2】 ホスフィン変化物を加熱により分解処理
    してホスフィン類を再生する請求項1に記載のアルカジ
    エノール類の製造方法。
  3. 【請求項3】 ホスフィン変化物を水素添加により分解
    処理してホスフィン類を再生する請求項1に記載のアル
    カジエノール類の製造方法。
  4. 【請求項4】 ホスフィン変化物を塩基性化合物を用い
    て分解処理してホスフィン類を再生する請求項1に記載
    のアルカジエノール類の製造方法。
  5. 【請求項5】 ホスフィン変化物が下記一般式(I)又
    は(II)で表わされるホスホニウム塩である請求項1な
    いし4のいずれか1項に記載のアルカジエノール類の製
    造方法。 【化1】 【化2】 (式(I)及び式(II)において、Xはアルキル基を表
    わし、Yは水素、アルキル基、アルコキシル基、スルホ
    ン酸基若しくはその塩、又はアミノ基若しくはアルキル
    置換アミノ基を表わし、nは0から3の整数であり、n
    が2又は3のとき、Yは互いに同一でも、異なっていて
    もよく、X、Yはアリール基毎に同一でも、異なってい
    てもよい。R1 、R2 及びR3 はそれぞれ置換基を有し
    ていてもよい炭素数1〜14の炭化水素基を表わし、Z
    は水酸基、ヒドロキシカルボキシ基又は低級アルキルカ
    ルボニルオキシ基を表わす。)
  6. 【請求項6】 ホスフィン変化物の加熱による分解処理
    を反応生成物から溶媒を分離する蒸留塔にて行う請求項
    2に記載のアルカジエノール類の製造方法。
  7. 【請求項7】 ホスフィン変化物の加熱による分解処理
    を反応生成物からアルカジエノール類を分離する蒸留塔
    にて行う請求項2に記載のアルカジエノール類の製造方
    法。
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