JPH09225677A - 一体型アルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents

一体型アルミニウム合金製熱交換器

Info

Publication number
JPH09225677A
JPH09225677A JP3182396A JP3182396A JPH09225677A JP H09225677 A JPH09225677 A JP H09225677A JP 3182396 A JP3182396 A JP 3182396A JP 3182396 A JP3182396 A JP 3182396A JP H09225677 A JPH09225677 A JP H09225677A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
aluminum alloy
heat exchanger
less
oil cooler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3182396A
Other languages
English (en)
Inventor
Takenobu Dokou
武宜 土公
Koji Okada
光司 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP3182396A priority Critical patent/JPH09225677A/ja
Publication of JPH09225677A publication Critical patent/JPH09225677A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Details Of Heat-Exchange And Heat-Transfer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 リサイクルが容易で、耐食性に優れ、タンク
かしめの工程が不要なアルミニウム合金製熱交換器。 【解決手段】 冷媒タンク、ラジエーター、およびオイ
ルクーラーがブレージング工法により接合されており、
オイルクーラーに使用されるブレージングシートのろう
材が、7.0重量%を越え、重量%で12.0以下のS
i、0.4を越え8.0以下のCu、0.5を越え、
6.0以下のZn、0.05を越え、1.2以下のM
n、0.05を越え、0.5以下のFeを含有し、残部
アルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウム
合金である、冷媒タンクがアルミニウム合金製であり、
アルミニウム合金製のラジエーターとオイルクーラーと
を一体にした一体型アルミニウム合金製熱交換器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム合金
製熱交換器に関するものであり、更に詳しくは、冷媒タ
ンクがアルミニウム合金製であり、アルミニウム合金製
のラジエーターとオイルクーラーとを、アルミニウム合
金ブレージングシートを用いて、ブレージング工法によ
り一体にした熱交換器に関するものである。本発明に使
用されるブレージングシートのろう材はリサイクル性に
優れており、更に、本発明による熱交換器は樹脂タンク
を使用していない為、リサイクルが容易であり、耐食性
に優れており、タンクかしめの工程が不要である とい
う特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】ラジエーターとオイルクーラーとを一体
にした熱交換器は、例えば図2に示すように、それぞれ
別々に製造されたラジエーターコア10と、オイルクー
ラー20と、タンク5とを機械的に組み立てて製造され
ている。ラジエーターの部分に注目すると、該ラジエー
ターは、偏平チューブ1、薄肉フィン2、ヘッダー3、
およびサイドプレート4からなるラジエーターコア10
と、タンク5とから構成されており、ヘッダー3は、樹
脂パッキング6を介して、樹脂製のタンク5に機械的に
(かしめ工程により)締結されている。而して、複数本
の偏平チューブ1の間に、コルゲート状に加工した薄肉
フィン2が一体に形成されており、該偏平チューブ1の
両端はヘッダー3とタンク5とで構成される空間7にそ
れぞれ開口しており、一方のタンク側の空間7から偏平
チューブ1内を通して高温冷媒を他方のタンク側の空間
7に送り、チューブ1およびフィン2の部分で熱交換し
て低温になった冷媒を再び循環させるものである。
【0003】このようなラジエーターのチューブ材およ
びヘッダー材としては、例えばJIS3003合金を芯
材とし、該芯材の内側、すなわち冷媒に常時触れている
側には内張材としてJIS7072合金を、そして、該
芯材の外側には、通常JIS4045等のろう材をクラ
ッドしたブレージングシートを用い、コルゲート加工を
行ったフィン等の他の部材とともにブレージングにより
一体に製造されている。この場合のフィン材としては、
3000系の合金にZnを添加したものや、純アルミニ
ウム系の合金にZnを添加したものが使われている。
【0004】オイルクーラー20は、ブレージングシー
トからなるオイルクーラープレート21と、当該オイル
クーラープレート21により形成されるオイル通路22
とから構成されている。而して、前記オイル通路22が
タンク5側の空間7を通り、高温のオイルが冷却液にて
冷却されるものである。このようなオイルクーラープレ
ート21には、芯材にJIS3003合金等が使用さ
れ、該芯材の外側、すなわち冷媒に常時触れている側に
は外張材としてJIS7072合金等を、そして、該芯
材の内側には、通常JIS4045等のろう材をクラッ
ドしたブレージングシートが使用されており、600℃
付近の温度に加熱してろう付けするブレージングによ
り、オイル通路22が製造されている。前記ラジエータ
ー、およびオイルクーラーのいずれも600℃付近の温
度に加熱してろう付けするブレージングにより組み立て
られているが、ブレージング工法としては、フラックス
ブレージング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロ
ックブレージング法等が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような熱交換器の
問題点として、樹脂製のタンク5と、ヘッダー3との締
結部に使用されている樹脂パッキング6と、前記ヘッダ
ー3との境界で隙間腐食が発生しやすいことがある。さ
らに、近年、地球資源の有効利用の見地からリサイクル
問題が注目されている。自動車用の熱交換器は解体時に
外され、アルミニウム合金として溶解される。しかし、
図2に示すように、樹脂製のタンク5を有しているの
で、解体時にわざわざ取り外す必要があり、リサイクル
のネックとなっている。
【0006】さらに、自動車用の熱交換器は解体時に外
され、アルミニウム合金として溶解されるが、上記のよ
うに、ろう付工法で製造されるアルミニウム合金製熱交
換器は、チューブ材、フィン材等の部材毎に合金組成が
異なり、熱交換器全体の平均組成はMn、Si、Zn等
を含有した半端な組成となっている。そのため、ブレー
ジングにより製造した熱交換器を溶解してもほとんど鋳
物用合金にしかならない。今後、廃車量の増加と銅製の
熱交換器からアルミニウム合金製の熱交換器への変化に
よるアルミニウム合金製熱交換器の増加を考えると、熱
交換器から熱交換器用材料へのリサイクルの必要性が高
まっている。また、熱交換器用ブレージングシートをア
ルミニウム工場で製造する際にも、ブレージングシート
の平均組成が半端であるため、製造途中で発生する屑の
処理が問題となっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の点に鑑
み、種々検討の結果、使用済の熱交換器からリサイクル
が容易に出来るアルミニウム合金ろう材を使用したブレ
ージングシートを用い、かつ、樹脂タンクを使用してい
ないため、リサイクルが容易であり、耐食性に優れ、タ
ンクかしめの工程が不要という特徴を有するアルミニウ
ム合金製熱交換器を開発したものである。
【0008】即ち、本願請求項1の発明は、 冷媒タン
クがアルミニウム合金製であり、アルミニウム合金製の
ラジエーターとオイルクーラーとを一体にした熱交換器
であって、前記冷媒タンク、ラジエーター、およびオイ
ルクーラーがブレージング工法により接合されており、
オイルクーラーに使用されるブレージングシートのろう
材が、7.0wt%を越え、12.0wt%以下のS
i、0.4wt%を越え、8.0wt%以下のCu、
0.5wt%を越え、6.0wt%以下のZn、0.0
5wt%を越え、1.2wt%以下のMn、0.05w
t%を越え、0.5wt%以下のFeを含有し、残部ア
ルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウム合
金であることを特徴とする一体型アルミニウム合金製熱
交換器である。
【0009】また、請求項2の発明は、 冷媒タンクが
アルミニウム合金製であり、アルミニウム合金製のラジ
エーターとオイルクーラーとを一体にした熱交換器であ
って、前記冷媒タンク、ラジエーター、およびオイルク
ーラーがブレージング工法により接合されており、オイ
ルクーラーに使用されるブレージングシートのろう材
が、7.0wt%を越え、12.0wt%以下のSi、
0.4wt%を越え、8.0wt%以下のCu、0.5
wt%を越え、6.0wt%以下のZn、0.05wt
%を越え、1.2wt%以下のMn、0.05wt%を
越え、0.5wt%以下のFeを含有し、更に、0.0
02wt%を越え、0.3wt%以下のIn、0.00
2wt%を越え、0.3wt%以下のSnの内、1種ま
たは2種を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物
とからなるアルミニウム合金であることを特徴とする一
体型アルミニウム合金製熱交換器である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本願発明について、詳細に
説明する。本願発明は、図1に示すようなラジエーター
とオイルクーラーとを一体にした熱交換器において、タ
ンク5をアルミニウム合金(ブレージングシート)とし
て、偏平チューブ1、薄肉フィン2、ヘッダー3、およ
びサイドプレート4からなるラジエーターコア10と、
オイルクーラー20と、タンク5とを一度のろう付加熱
により製造することができるようにした熱交換器に関す
るものである。即ち、本願発明においては、タンク5を
アルミニウム合金製として、全部を一度にろう付するの
で、図2に示した、樹脂パッキング6を介してヘッダー
3を前記タンク5にかしめる工程が不要となり、従来樹
脂パッキング6と、ヘッダー3との間で生じていた隙間
腐食を回避することが出来る。また、屑として回収され
たときに、タンクを外すことなく、熱交換器全体をアル
ミニウム合金としてリサイクルできる。
【0011】本願発明は、このようにタンク5をアルミ
ニウム合金製とした一体型の熱交換器に関するものであ
るが、その特徴は、オイルクーラーに使用されるブレー
ジングシートのろう材合金に、『7.0wt%を越え、
12.0wt%以下のSi、0.4wt%を越え、8.
0wt%以下のCu、0.5wt%を越え、6.0wt
%以下のZn、0.05wt%を越え、1.2wt%以
下のMn、0.05wt%を越え、0.5wt%以下の
Feを含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とか
らなるアルミニウム合金』、或いは、『上記アルミニウ
ム合金に、更に、0.002wt%を越え、0.3wt
%以下のIn、0.002wt%を越え、0.3wt%
以下のSnの内、1種または2種を添加したアルミニウ
ム合金』を使用する点にある。
【0012】上記本願発明に用いるろう材合金に類似の
合金として、特開平7−24593号や特開平7−90
442号等で低温ろう付用合金として提案されている合
金があるが、本願発明におけるろう材合金との大きな違
いは、本願発明では、イ)Mn添加により耐食性を向上
させている点と、ロ)リサイクルを考慮している点であ
る。
【0013】先ず、本願発明におけるろう材合金の選定
理由について、以下に述べる。タンクをアルミニウム合
金製とした一体型の熱交換器には、先に述べたようなメ
リットがあるにもかかわらず、このような一体型の熱交
換器が今まで実用化されていなかったのは、オイルクー
ラー部分のろう付が難しかったためである。即ち、図1
に示すように、オイルクーラー20は、タンク5に覆わ
れた状態でろう付けが行われる。従って、この部分のろ
う付けが不完全の場合、補修が不可能であるので、完全
にろう付けを行う必要があるが、従来は、オイルクーラ
ーの部分を完全にろう付けすることは困難だった。本願
発明ではオイルクーラーに用いられるブレージングシー
トのろう材合金について、種々検討した結果、上記組成
のろう材合金であれば、タンクをアルミニウム合金製と
した一体型熱交換器におけるオイルクーラーのろう材と
して使用可能なことを見い出したのである。
【0014】即ち、オイルクーラーのろう付部分の不具
合は、ろう付不良と耐食性の低下であるので、これらの
原因について調べた。前者のろう付不良が生じ易い原因
は、『オイルクーラー部分がタンクに覆われている為、
ろう付時温度が上がりにくいこと』であることが判明し
たので、先ず、オイルクーラーが十分に加熱されるろう
付条件の検討を行った。その結果、オイルクーラーをろ
う付不良が生じないように加熱すると、ラジエーターに
対するろう付温度が高くなりすぎ、ラジエーターチュー
ブやフィンにろう拡散が生じる不具合が生じることが判
明し、ラジエーターとオイルクーラーとを同時にろう付
出来る条件がないことが判明した。そこで、低融点のろ
う材をオイルクーラーに利用することを考え、本願発明
に至ったのである。
【0015】更に、後者のろう付部分の耐食性低下の問
題について検討したところ、オイルクーラーではろう付
部分が冷媒溶液に触れている為に、ろう材の耐食性向上
が重要であることが判明し、従来のブレージングシート
よりも耐食性を向上させる検討を行ったところ、Zn、
Cuをろう材に添加することで、ろう材の電位を調整
し、更にMnを添加することで、耐食性を向上させ得る
ことが明らかとなった。
【0016】以上のようにして選定したオイルクーラー
用ろう材合金について、添加元素の役割とその含有量の
限定理由を以下に説明する。Siは、合金の融点を下げ
る効果がある。本願発明では、Siの含有量を、7.0
wt%を越え、12.0wt%以下の範囲内に限定する
が、その理由は、Si量が7.0wt%以下では融点が
十分に低下しなく、Si量が12.0wt%を越えると
逆に融点が上がり、ろう付性が低下する為である。特
に、ろう流れ性を考慮すると8.0〜11.0wt%の
添加量が望ましい。
【0017】Cuは、合金の融点を下げ、ろう流れ性を
向上させる効果がある。更に、オイルクーラーはろう付
けされた部分が直接冷媒と接触するので外部耐食性が要
求されるが、Cuは、ろう材の外部耐食性を高める作用
を有する。本願発明では、Cuの含有量を、0.4wt
%を越え、8.0wt%以下の範囲内に限定するが、そ
の理由は、Cu量が0.4wt%以下では、耐食性向上
の効果が不充分であり、Cu量が8.0wt%を越える
と、ろうの電位が貴になりすぎて、冷媒通路構成部材が
優先的に腐食するようになり、耐食性が低下する上に、
合金の圧延加工性が低下し、熱交換器用のブレージング
シートに用いるろうとしては適さなくなる為である。ま
た、安定したろう付性を確保する為には、1.0wt%
を越えるCu添加量が望ましく、特に、1.0〜3.5
wt%で安定した特性を示す。
【0018】Znは、合金の融点を下げ、ろう付け性を
安定させる効果がある。更に、本願発明のようにCuを
添加したろう材合金では、ろうの電位が芯の電位より貴
になり、腐食がピット状に進行しその速度が早いという
問題があるが、Znの添加はろうの電位を下げ、ろうの
電位を芯合金の電位に近づけ、耐食性を向上させる効果
がある。本願発明では、Znの含有量を、0.5wt%
を越え、6.0wt%以下の範囲内に限定するが、その
理由は、Zn量が0.5wt%以下では、耐食性向上の
効果が不充分であり、Zn量が6.0wt%を越える
と、ろうの自己耐食性が低下する上に、合金の圧延加工
性が低下し、熱交換器用のブレージングシートに用いる
ろうとしては適さなくなる為である。また、本合金は、
ろう流れ性を考慮すると2.0wt%を越えるZn添加
量が望ましく、圧延性を考慮すると、5.0wt%以下
のZn添加量が望ましい。
【0019】Mnは、ろうが溶融後凝固するときに生じ
る金属間化合物をMn系の化合物とすることで、耐食性
を向上させる効果がある。即ち、Mnが添加されていな
い合金ではFeを含んだAlーFeーSi系の金属間化
合物が凝固時に生じ、これが腐食の起点となるが、本願
発明ではこの化合物中にMnが含有されることで、金属
間化合物の特性が変化し、耐食性が極めて向上する。後
で実施例で示すように、このMnの作用により耐食寿命
が伸びるのである。このようなMnの効果を発揮させる
為には、0.05wt%を越えるMnの添加が必要であ
るが、Mn量が1.2wt%を越えると粗大なMn系化
合物が形成され、合金としての成形性が低下し、鋳造後
加工出来なくなるので、Mnの含有量は、0.05wt
%を越え、1.2wt%以下の範囲内に限定する。ま
た、本合金は、ろう流れ性を考慮すると0.8wt%以
下のMn添加量が望ましく、耐食性を考慮すると、0.
1wt%を越えるMn添加量が望ましい。
【0020】Feは、ろうが溶融後凝固するときの結晶
粒を微細化し、フィレットの強度を高める作用を有する
が、Fe量が0.05wt%以下では十分にその効果を
発揮しない。しかし、Fe量が多すぎると、凝固時にM
nを含まないAlーFeーSi系の金属間化合物が生
じ、これが腐食の起点となる。従って、結晶粒の微細化
効果と腐食性とのバランスから、Fe量の上限は、0.
5wt%と定めるが、耐食性の点からは、0.2wt%
以下が望ましい。
【0021】In、及びSnは、ろうの電位を卑にし、
冷媒通路構成部材の耐食性を向上させる効果がある。本
願請求項2の発明では、Zn添加の効果を助ける意味
で、In、及びSnの内、1種または2種を添加する。
而して、本願請求項2の発明では、In、及びSnの含
有量をそれぞれ0.002wt%を越え、0.3wt%
以下の範囲内に限定するが、その理由は、0.002w
t%以下では、効果が十分でなく、添加量が0.3wt
%を越えると合金の圧延加工性が低下する為である。
【0022】次に、不可避的不純物について説明する。
先ず、Niは、最近熱交換器用Al合金の強度を高める
元素として使用されている元素であり、従って、熱交換
器をリサイクルする際に無視できない元素である。Ni
がAl合金の特性に及ぼす影響は、Feとほぼ同じであ
るので、不可避的不純物としてのNiの上限は、0.5
wt%と定めるが、耐食性の点からは、0.2wt%以
下が望ましい。不可避的不純物として、他の元素もそれ
ぞれ0.30wt%以下であれば含有しても差し支えな
いが、0.05wt%以下が望ましい。ここで、代表的
な不可避的不純物としては、ブレージングシートにしば
しば添加されることのあるCr、Zr、Ti、Mg等を
挙げることができる。
【0023】本発明のアルミニウム合金ろう材における
合金元素は以上の通りであるが、上記ろう材の特徴は、
リサイクルを考慮して開発した合金である点である。ア
ルミニウム合金製熱交換器に用いられる合金では、合金
そのものの耐食性向上の為のCuの添加、犠牲効果をフ
ィン等に付与するためのZn等の添加、ろう材への多量
のSiの添加、更に、強度向上の為の芯材へのMnの添
加等がそれぞれの部材毎に行われている。従って、熱交
換器をスクラップとしてリサイクルする場合には、これ
らの全ての添加元素が全て平均化された組成となり、熱
交換器用の部材としては使用できない合金となってしま
っていた。結局、熱交換器のスクラップは、従来は、鋳
物用合金として使用されているが、これはあくまで再利
用であり、省資源の見地からは熱交換器から熱交換器へ
という真のリサイクルが望ましい。このような見地で本
発明によるろう材合金の添加元素を見ると、Si、C
u、Zn、Mn、Fe、In、Snを含有している。即
ち、ろう付工法で製造されるアルミニウム合金製熱交換
器に通常添加されている元素が全て含まれているのであ
る。即ち、本発明合金は、熱交換器から熱交換器部材へ
というリサイクルを可能にした合金である。
【0024】本発明に使用するオイルクーラーのブレー
ジングシートのろう材合金の成分限定理由は、以上の通
りであるが、芯材合金の成分については、特に限定はな
く、通常ブレージングシート用として使用しているアル
ミニウム合金を使用すればよい。具体的には、0.2w
t%を越え、2.5wt%以下のSi、0.05wt%
を越え、2.0wt%以下のFe、0.05wt%を越
え、2.5wt以下のCu、0.05wt%を越え、
2.0wt%以下のMnを含有し、残部アルミニウムと
不可避的不純物とからなるアルミニウム合金、並びにこ
れに更に、2.0wt%以下のNi、0.5wt%以下
のMg、0.3wt%以下のCr、0.3wt%以下の
Zr、0.3wt%以下のTiの内、1種または2種以
上を添加したアルミニウム合金等である。また、ブレー
ジングシートは必要があれば、犠牲材を被覆した3層構
造のブレージングシートとしてもよい。
【0025】ラジエーターおよびタンク用のアルミニウ
ム合金については特に限定はなく、通常使用されている
アルミニウム合金およびアルミニウム合金ブレージング
シートを使用すればよい。ここで、本発明のろう付条件
はラジエーターが不具合なくろう付できる通常の条件で
よい。即ち、フラックスブレージング法、非腐食性のフ
ラックスを用いたノコロックブレージング法等であれば
よく、特に限定するものではない。ろう付け前の組み立
て、洗浄、場合によってフラックス塗布等は通常通り行
えばよい。
【0026】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図1
に示す構成(図2における、樹脂パッキング6は使用し
ていない)のラジエーター、オイルクーラー一体型の熱
交換器を、600℃×5分の加熱条件でろう付けするこ
とにより、製造した。チューブ材、フィン材、ヘッダー
材、サイドプレート材、タンク材等のラジエーター用材
料としては、表1に示すものを用いた。尚、ラジエータ
ーのチューブは、表1に示したチューブ材を、電縫加工
により、チューブとしたものを用いた。
【0027】また、オイルクーラー用の材料としては、
芯材にAlー0.5wt%Siー0.3wt%Feー
0.5wt%Cuー1.1wt%Mn合金を使用し、犠
牲材(外側)として、Alー2wt%Zn合金を10%
クラッドし、ろう材として、表2に示す組成のろう合金
を10%クラッドした板厚0.6mmのブレージングシ
ート(O材)をプレス成形したものを用いた。ここで、
上記ろう合金は、表3に示す組成のブレージングシート
を工場で製造した際の屑、および熱交換器のスクラップ
屑を利用して製造したものである。但し、表2における
比較例の一部(K、L)、および従来例合金は、Cu、
Zn、Mn等の内の一部(または全部)を含有していな
い為、上記屑を利用できなかった。また、上記ろう合金
は、不可避的不純物として、Cr、Zr、Ti等の元素
を、それぞれ0.03wt%以下含有しており、特に合
金Bは、Niを0.06wt%以下含有している。ろう
材合金板の製造方法は、従来通り(DC鋳造、面削、均
質化処理、熱間圧延、(冷間圧延))である。
【0028】ここで、表3に示した屑の利用が可能かど
うか、および表2に示したろう合金を使用してオイルク
ーラー用のブレージングシートを製造した際に生じた屑
を同じブレージングシートを製造するために再利用でき
るかどうかを、表4にまとめて示した。表4から明らか
なように、本発明のろう合金(A〜J)は、リサイクル
による資源の有効利用が可能である。
【0029】以上のようにして得られた熱交換器からオ
イルクーラーの部分を切り出し、漏れ試験および耐食試
験を行った。耐食性試験は、オイルクーラーより漏れ不
良がない部分を切り出し、端部をマスキングした後、C
2+イオンを10ppm添加した水道水中に5カ月間浸
漬して、80℃×8時間と室温×16時間のサイクル腐
食試験を行い、ろう付部周辺の腐食の発生状況を断面を
観察して調査した。これらの結果を表4に示す。
【0030】表4から明らかなように、本発明例No.
A〜Jは、いずれもオイルクーラーのろう付がよくでき
ており、漏れ不良が発生していない。また、ろう合金は
いずれも、リサイクル性に優れている。一方、比較例の
No.K、Lは、ろう合金にMnやCuを含有していな
い為、リサイクルができない上、外部耐食性に劣ってい
る。特に、No.LはCuを含有していない為、ろう付
性が低下してフィレットが十分に形成されておらず、漏
れ不良が発生している。比較例のNo.M,N,Oは、
ろう合金にSi、Zn、Cu、Mn、Feを含有してお
り、リサイクルは可能である。しかしながら、No.M
はろう材のSi量が本発明の範囲から外れているため、
ろう付性が低下してフィレットが十分に形成されておら
ず、漏れ不良が発生している。また、No.NはMn添
加量が本発明の範囲より多い例であり、ろう流れ性が低
下しており、フィレットが形成されておらず、漏れ不良
が発生している。また、No.OはZn添加量が本発明
の範囲より少ない例であるが、耐食性が低下している。
従来例No.P、Qは従来のろう合金を使用した例であ
り、ろう材にMn、Cu、Znが含有されていないので
リサイクルができない。さらに、これらの元素を含有し
ていない為、漏れ不良が発生し、腐食試験で貫通孔食が
発生している。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱交換器は、リ
サイクル性、耐食性に優れており、工業上顕著な効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジエーターとオイルクーラーを一体とした、
本発明による熱交換器を示す一部断面の斜視図である。
【図2】ラジエーターとオイルクーラーを一体とした、
従来の熱交換器を示す一部断面の斜視図である。
【符号の説明】
1.偏平チューブ 2.フィン 3.ヘッダー 4.サイドプレート 5.タンク 6.樹脂パッキング 7.タンク部の空間 10.ラジエーターコア 20.オイルクーラー 21.オイルクーラープレート 22.オイル通路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒タンクがアルミニウム合金製であ
    り、アルミニウム合金製のラジエーターとオイルクーラ
    ーとを一体にした熱交換器であって、前記冷媒タンク、
    ラジエーター、およびオイルクーラーがブレージング工
    法により接合されており、オイルクーラーに使用される
    ブレージングシートのろう材が、7.0wt%を越え、
    12.0wt%以下のSi、0.4wt%を越え、8.
    0wt%以下のCu、0.5wt%を越え、6.0wt
    %以下のZn、0.05wt%を越え、1.2wt%以
    下のMn、0.05wt%を越え、0.5wt%以下の
    Feを含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とか
    らなるアルミニウム合金であることを特徴とする一体型
    アルミニウム合金製熱交換器
  2. 【請求項2】 冷媒タンクがアルミニウム合金製であ
    り、アルミニウム合金製のラジエーターとオイルクーラ
    ーとを一体にした熱交換器であって、前記冷媒タンク、
    ラジエーター、およびオイルクーラーがブレージング工
    法により接合されており、オイルクーラーに使用される
    ブレージングシートのろう材が、7.0wt%を越え、
    12.0wt%以下のSi、0.4wt%を越え、8.
    0wt%以下のCu、0.5wt%を越え、6.0wt
    %以下のZn、0.05wt%を越え、1.2wt%以
    下のMn、0.05wt%を越え、0.5wt%以下の
    Feを含有し、更に、0.002wt%を越え、0.3
    wt%以下のIn、0.002wt%を越え、0.3w
    t%以下のSnの内、1種または2種を含有し、残部ア
    ルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウム合
    金であることを特徴とする一体型アルミニウム合金製熱
    交換器
JP3182396A 1996-02-20 1996-02-20 一体型アルミニウム合金製熱交換器 Pending JPH09225677A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3182396A JPH09225677A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 一体型アルミニウム合金製熱交換器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3182396A JPH09225677A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 一体型アルミニウム合金製熱交換器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09225677A true JPH09225677A (ja) 1997-09-02

Family

ID=12341815

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3182396A Pending JPH09225677A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 一体型アルミニウム合金製熱交換器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09225677A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011511923A (ja) * 2008-02-13 2011-04-14 ヴァレオ システム テルミク 溝無しヘッダプレート
US7960071B2 (en) 2004-03-23 2011-06-14 Korea Institute Of Science And Technology Separator for fuel cell using a metal plate coated with titanium nitride, method for manufacturing the same, and polymer electrolyte membrane fuel cell comprising the separator
CN111712349A (zh) * 2018-02-22 2020-09-25 奥科宁克技术有限责任公司 用于低温钎焊和高强度材料的复合钎焊衬里

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7960071B2 (en) 2004-03-23 2011-06-14 Korea Institute Of Science And Technology Separator for fuel cell using a metal plate coated with titanium nitride, method for manufacturing the same, and polymer electrolyte membrane fuel cell comprising the separator
JP2011511923A (ja) * 2008-02-13 2011-04-14 ヴァレオ システム テルミク 溝無しヘッダプレート
CN111712349A (zh) * 2018-02-22 2020-09-25 奥科宁克技术有限责任公司 用于低温钎焊和高强度材料的复合钎焊衬里
KR20200115540A (ko) * 2018-02-22 2020-10-07 아르코닉 테크놀로지스 엘엘씨 저온 브레이징 및 고강도 재료용 복합 브레이즈 라이너
JP2021518813A (ja) * 2018-02-22 2021-08-05 アーコニック テクノロジーズ エルエルシーArconic Technologies Llc 低温ろう付けおよび高強度材料用の複合ろう付けライナー
US11396065B2 (en) 2018-02-22 2022-07-26 Arconic Technologies Llc Composite braze liner for low temperature brazing and high strength materials
CN111712349B (zh) * 2018-02-22 2024-04-19 奥科宁克技术有限责任公司 用于低温钎焊和高强度材料的复合钎焊衬里

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5837388A (en) Aluminum alloy solder material, its manufacturing method, brazing sheet using this material, and method of manufacturing aluminum alloy heat exchanger using this sheet
JP3533434B2 (ja) アルミニウム合金製熱交換器用ブレージングシート
JPH10249580A (ja) Al合金ろう材およびAl合金製熱交換器の製造方法
JPH09296996A (ja) アルミニウム合金製熱交換器
JPH09225677A (ja) 一体型アルミニウム合金製熱交換器
JP2006037135A (ja) 熱交換器用高耐食アルミニウムクラッド材
JPH1088265A (ja) ろう付け後の強度および犠牲陽極効果に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材
JPH09316577A (ja) 熱交換器の冷媒通路部材用ブレージングシート
JPH09302432A (ja) 熱交換器のフイン用ブレージングシート
JP2990027B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法
JPH07216485A (ja) アルミニウム合金フィン材
JP3876505B2 (ja) 耐エロージョン性に優れた熱交換器用Al合金フィン材
JPH0797651A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH0790442A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JP2002086295A (ja) 熱交換器用防食アルミニウム合金ろう材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材
JPH0788677A (ja) アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH0790454A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH09310137A (ja) 熱交換器のフイン用ブレージングシート
JPH09279271A (ja) Al合金製ブレージングシート
JP3316316B2 (ja) アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH101733A (ja) Al合金製ブレージングシート
JP2007500784A (ja) 熱交換器用の高強度合金
JPH0947893A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ろう材とこれを用いたアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH0947892A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ろう材ワイヤーとその製造方法およびこれを用いたアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JP2813484B2 (ja) アルミニウムブレージングシート