JPH09222062A - 内燃機関用の燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関のケーシングつまりシリンダヘッド
から燃料噴射弁を取り外す際に、シールリングが脱落し
て、シリンダヘッドにおける受容孔に残ることを回避す
ることができる燃料噴射弁を提供する。 【解決手段】 シールリング２１が軸方向で固定され
て、弁本体１の直径を減じられたシャフト部分７に配置
されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用の燃料
噴射弁であって、円筒形の弁本体が設けられており、該
弁本体の外径部が、リング段部を形成しながら噴射開口
に向かって減じられていて、弁本体が、リング段部に係
合作用する緊定ナットを用いて軸方向で保持体に対して
緊定されており、燃料噴射弁が、内燃機関のケーシング
における段付けされた受容孔内に挿入されており、該受
容孔が、緊定ナットのリング端面と受容孔のケーシング
段部との間に緊定されたシールリングを介してシールさ
れている形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】ヨーロッパ特許第０４１８２７１号明細
書に基づいて公知のこのような形式の燃料噴射弁は、円
筒形の弁本体を有しており、この弁本体の外径部は、リ
ング段部を形成しながら噴射開口に向かって減じられて
いる。そして弁本体は、リング段部に係合作用する緊定
ナットを用いて軸方向で保持体に対して緊定されてお
り、この保持体と共に、内燃機関のケーシングにおける
段付けされた受容孔内に挿入されており、この受容孔は
直径の小さな区分で、内燃機関の燃焼室に開口してい
る。この場合内燃機関のケーシングにおける受容孔の、
燃焼室側の孔区分のシールは、緊定ナットのリング端面
と受容孔のケーシング段部との間に緊定されたシールリ
ングを用いて行われる。

【０００３】このシールリングの寸法を次のように、す
なわちシールリングが弁本体のシャフトに沿って、又は
シールリングの外径部が受容孔の壁に沿って滑動して案
内されるように、選択することは、上に述べた先行技術
に基づいて公知である。

【０００４】しかしながらこの公知の燃料噴射弁には、
次のような欠点がある。すなわち公知の燃料噴射弁では
シールリングは、内燃機関のケーシングからの燃料噴射
弁の取外し時に、内燃機関のケーシング（シリンダヘッ
ド）における受容孔に残り、そこから除去するにはかな
りの手間を必要とする。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ゆえに本発明の課題
は、冒頭に述べた形式の燃料噴射弁を改良して、内燃機
関のケーシングつまりシリンダヘッドから燃料噴射弁を
取り外す際に、シールリングが脱落して、シリンダヘッ
ドにおける受容孔に残ることを回避することができる燃
料噴射弁を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、シールリングが軸方向で固定され
て、弁本体の直径を減じられたシャフト部分に配置され
ているようにした。

【０００７】

【発明の効果】本発明のように構成された燃料噴射弁に
は、公知のものに比べて次のような利点がある。すなわ
ち本発明による燃料噴射弁では、シールリングが軸方向
で固定されて弁本体のシャフトに配置されているので、
シールリングを、噴射弁の弁本体と一緒に受容孔から除
去することができる。

【０００８】この場合に重要なことは、シールリングが
可能な限り小さな力しか弁本体に伝達しないように又は
弁本体をまったく変形しないように、シールリングを弁
本体シャフトに固定することである。弁本体シャフトの
締め付けもしくは変形は、弁本体とその中で軸方向にお
いて可動な弁部材（弁ニードル）との間における、極め
て小さな遊びをもって構成された案内を損なうおそれが
あり、このような場合には、これによって弁部材のひっ
かかりが生じ、ひいては不正確な開閉や、さらに噴射弁
の故障が引き起こされることがある。

【０００９】したがって本発明の別の有利な構成では、
シールリングが摩擦力結合を用いて、弁本体のシャフト
において固定されており、この場合この摩擦力結合は有
利には、全周にわたって対称的に分配されている部分領
域においてしか行われない。

【００１０】有利には、これらの部分領域は、シールリ
ングの内壁面に半径方向内側に向かって突出する３つの
一体成形部によって形成されており、これらの一体成形
部の横断面はシールリングの厚さに比べて減じされてい
る。なおこの場合択一的に、２つ又は４つ以上の一体成
形部を設けることも可能である。一体成形部は有利には
半径形状に構成されており、しかも一体成形部は有利に
は、緊定ナットに向けられた、シールリングの内径部へ
の移行面に、弁本体シャフトへのシールリングの均一か
つ容易な差し嵌めを可能にするような傾斜部もしくは半
径を有している。この場合に弁本体の変形を確実に回避
するために、シールリングは、弁本体に比べて柔らかい
材料、有利には銅から製造されている。

【００１１】３つの一体成形部の製造は、有利には３-
エッジ-ポンチ（３-Ｋａｎｔ-Ｓｔｅｍｐｅｌ）を用い
て行われ、この３-エッジ-ポンチの形状に基づいて、３
つの一体成形部の内円直径が同時に加工され（例えば７
±０.０５ｍｍ）、これによって１回の作業工程で簡単
かつ正確に製造が可能になる。

【００１２】有利には３つの一体成形部を製造する別の
可能性としては、打抜き加工を挙げることができる。こ
の場合には、３つの一体成形部を除いて、シールリング
における残りの材料が打ち抜かれる。

【００１３】さらにまた一体成形部は、力作用時に容易
に変形し、ひいてはわずかな保持力しか弁本体シャフト
に伝達しないように、寸法設定されている。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に図面につき本発明の実施の形
態を説明する。

【００１５】図１に全体図で示されかつ図２に拡大され
た部分図で示されている、内燃機関用の燃料噴射弁は、
円筒形の弁本体１を有しており、この弁本体１の外径は
リング段部３を形成しながら減少している。そしてこの
場合直径を減じられたシャフト部分７の自由端部は、内
燃機関の図示されていない燃焼室に開口する少なくとも
１つの噴射開口５を有している。弁本体１は、リング段
部３に係合する緊定ナット９を用いて、噴射開口５とは
反対側の端部において、保持体１１に対して軸方向で緊
定されている。この保持体１１は、噴射ポンプに通じる
噴射導管（図示せず）のための接続管片１３を有してお
り、かつ保持体１１には、高圧下にある燃料を噴射弁に
供給するための圧力通路１５が設けられている。この場
合公知の形式で弁部材が軸方向で弁本体１内において案
内されており、この弁部材は、その行程運動によって噴
射弁における開口横断面を開閉する。

【００１６】噴射弁は、燃料を供給される内燃機関のケ
ーシング１９（シリンダヘッド）における段付けされた
受容孔１７（図２参照）内に挿入されており、この受容
孔１７の、直径を減じられた領域は、内燃機関の燃焼室
内に開口している。受容孔１７の、燃焼室側の孔部分を
シールするために、シールリング２１が、緊定ナット９
のリング端面２３と、受容孔１７の横断面移行部に形成
されたケーシング段部２５との間に緊定されており、こ
のシールリング２１は弁本体１のシャフト７において案
内されている。

【００１７】図３においては平面図でかつ図４において
は断面図で拡大されて示された、有利には銅製のシール
リング２１は、半径方向内側に向かって突出している３
つの一体成形部２７を有しており、これらの一体成形部
２７の横断面は、シールリングの厚さに対して減じられ
ており、かつ一体成形部２７の、半径方向内側に向かっ
て突出している端部は、摩擦力結合部（Reibschluss）
を形成しながら弁本体シャフト７の壁に接触している。
対称的な支持及び力導入のために、これらの一体成形部
はシールリング内径部全周にわたって均一に分配配置さ
れている。

【００１８】発生する力がシールリング２１の一体成形
部２７における変形を生ぜしめるが、弁本体シャフト７
における変形を生ぜしめないことを保証するために、一
体成形部２７の横断面は半径方向内側に向かって減じら
れており、このために一体成形部２７は、シールリング
２１を通る半径方向の断面において半径形状に構成され
ている。

【００１９】さらにシールリング２１の内径部と一体成
形部２７との間における緊定ナット側の移行部は、半径
Ｒを有しており、この半径Ｒは、弁本体１のシャフト７
へのシールリング２１の差し嵌めもしくは押し嵌めを容
易にしている。

【００２０】一体成形部２７は、シールリング２１の、
緊定ナット９とは反対側の端面３１に作用する３-エッ
ジ-ポンチ２９（図３参照）を用いて、シールリング２
１に形成され、この３-エッジ-ポンチ２９は次のよう
に、すなわち一体成形部２７の形成時に同時に一体成形
部２７の内径部Ｄのための所望の寸法が生ぜしめられる
ように、構成されている。

【００２１】択一的に、シールリング２１における一体
成形部２７は、シールリング２１の内輪郭の打抜きによ
って形成することも可能であり、この場合には一体成形
部２７を除いて、これらの一体成形部２７の間の切欠き
における残りの材料が除去される。

【００２２】シールリング２１はいまや、前組立てされ
た噴射弁の弁本体シャフト７に沿って均一に、緊定ナッ
ト９のリング端面２３に接触するまで差し嵌められ、こ
の際に一体成形部２７の、半径方向内側を向いている端
部と、弁本体シャフト７の壁との間には、摩擦力結合部
が生ぜしめられ、この摩擦力結合部の緊張は、主として
シールリング２１における一体成形部２７の変形によっ
て支持される。

【００２３】このようにして、シールリング２１を取付
けユニットとして弁本体１のシャフト７に固定すること
が、構造上簡単に可能であり、しかもこの際に噴射弁の
機能が損なわれることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】シールリングを差し嵌められた噴射弁全体を示
す図である。

【図２】図示の噴射弁のシールリングの範囲を、内燃機
関のケーシングの受容孔に取り付けられた位置で拡大し
て示す図である。

【図３】シールリングと３-エッジ-ポンチとの拡大して
示す図である。

【図４】シールリングを示す断面図である。

【符号の説明】

１ 弁本体、 ３ リング段部、 ５ 噴射開口、 ７
シャフト部分、 ９緊定ナット、 １１ 保持体、
１３ 接続管片、 １５ 圧力通路、 １７受容孔、
１９ ケーシング、 ２１ シールリング、 ２３ リ
ング端面、２５ ケーシング段部、 ２７ 一体成形
部、 ２９ ３-エッジ-ポンチ、３１ 端面

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関用の燃料噴射弁であって、円筒
   形の弁本体（１）が設けられており、該弁本体（１）の
   外径部が、リング段部（３）を形成しながら噴射開口
   （５）に向かって減じられていて、弁本体（１）が、リ
   ング段部（３）に係合作用する緊定ナット（９）を用い
   て軸方向で保持体（１１）に対して緊定されており、燃
   料噴射弁が、内燃機関のケーシング（１９）における段
   付けされた受容孔（１７）内に挿入されており、該受容
   孔（１７）が、緊定ナット（９）のリング端面（２３）
   と受容孔（１７）のケーシング段部（２５）との間に緊
   定されたシールリング（２１）を介してシールされてい
   る形式のものにおいて、シールリング（２１）が軸方向
   で固定されて、弁本体（１）の直径を減じられたシャフ
   ト部分（７）に配置されていることを特徴とする、内燃
   機関用の燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 シールリング（２１）が摩擦力結合を用
   いて、弁本体（１）のシャフト（７）において位置固定
   されている、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 シールリング（２１）がシールリング孔
   の内壁面の部分領域だけを介して、弁本体シャフト
   （７）に接触しており、これらの接触領域が全周にわた
   って均一に分配配置されている、請求項２記載の燃料噴
   射弁。
4. 【請求項４】 シールリング（２１）の内壁面に、半径
   方向内側に向かって突出する有利には３つの一体成形部
   （２７）が配置されており、該一体成形部（２７）の横
   断面がシールリングの厚さに比べて減じられている、請
   求項３記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 一体成形部（２７）の横断面が、半径方
   向内側に向かって減じられている、請求項４記載の燃料
   噴射弁。
6. 【請求項６】 一体成形部（２７）がシールリング（２
   １）の半径方向の断面において、規定の半径で湾曲され
   て構成されている、請求項４記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 一体成形部（２７）の半径方向に突出す
   る端部が、緊定ナット（９）に向けられた側に、半径
   （Ｒ）を有している、請求項４記載の燃料噴射弁。
8. 【請求項８】 シールリング（２１）が、弁本体（１）
   に比べて柔らかい材料、有利には銅から製造されてい
   る、請求項１記載の燃料噴射弁。
9. 【請求項９】 請求項４記載の一体成形部（２７）を形
   成する方法であって、３つの一体成形部（２７）を、シ
   ールリング（２１）の、緊定ナット（９）とは反対側の
   端面（３１）に係合作用する３-エッジ-ポンチ（２９）
   を用いて成形し、この場合３-エッジ-ポンチ（２９）
   は、一体成形部（２７）の形成時に同時に、一体成形部
   （２７）の、半径方向内側を向いた端部の内径部（Ｄ）
   のための所望の寸法が生ぜしめられるように、構成され
   ていることを特徴とする、請求項４記載の一体成形部を
   形成する方法。
10. 【請求項１０】 請求項４記載の一体成形部（２７）を
    形成する方法であって、シールリング（２１）の内側リ
    ング輪郭を、一体成形部（２７）の間における材料の打
    抜きによって形成することを特徴とする、請求項４記載
    の一体成形部を形成する方法。