JPH09220214A - 細胞機能測定用反応器及び細胞機能測定用キット - Google Patents

細胞機能測定用反応器及び細胞機能測定用キット

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Publication number
JPH09220214A
JPH09220214A JP8031972A JP3197296A JPH09220214A JP H09220214 A JPH09220214 A JP H09220214A JP 8031972 A JP8031972 A JP 8031972A JP 3197296 A JP3197296 A JP 3197296A JP H09220214 A JPH09220214 A JP H09220214A
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JP
Japan
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blood
cell function
reactor
value
measuring
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Application number
JP8031972A
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English (en)
Inventor
Koji Kobayashi
幸司 小林
Kiyoshi Kuriyama
澄 栗山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の細胞機能測定方法の欠点を解消し、従
来よりも操作が簡単で危険性がなく、精度良く細胞機能
測定できる細胞機能測定用反応器及び細胞機能測定用キ
ットを提供する。 【解決手段】 血液と接触することにより該血液に、ミ
エロペルオキシダーゼ(MPO)又はマトリックスメタ
ロプロテイナーゼ(MMP)の産生を誘導する、中心線
平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、でこぼ
こ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にある凹
凸を表面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が減圧
にされた容器内に、血液と接触可能な状態とされている
ことを特徴とする細胞機能測定用反応器、並びに、上記
細胞機能測定用反応器と誘導されたMPO又はMMPの
量を定量可能な試薬とからなる細胞機能測定用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫反応や炎症反
応等に関する細胞機能測定、特に顆粒球、単球、マクロ
ファージなどの貪食細胞機能の測定に用いられる細胞機
能測定用反応器及び細胞機能測定用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】顆粒球、単球、マクロファージ、リンパ
球等の白血球は、血液中や各臓器、器官において、炎症
反応、免疫反応などの種々の生体防御反応において様々
な役割を担っている。これらの細胞は、感染症;肝炎や
腎炎などの炎症性疾患;慢性関節リウマチや喘息などの
免疫・アレルギー性疾患;癌などの種々の病態において
重要な働きをしており、病態の変動と共にこれらの細胞
の機能が抑制されたり、増強されたりすることが知られ
ている。
【0003】また、これらの疾患の治療に、抗炎症剤、
免疫抑制剤、免疫増強剤、抗癌剤等の種々の薬剤が用い
られており、その際にもこれらの細胞の機能が抑制され
たり、または増強されたりすることもまた知られてい
る。そのため、各種疾患の病態や薬剤の効果あるいは副
作用を把握し、治療指針を決定したり、薬剤の投与量や
タイミングを決定するために、これらの細胞の機能を調
べることが重要である。
【0004】ミエロペルオキシダーゼ(以下、MPOと
いう)は、顆粒球の細胞内顆粒に存在し、食作用におけ
る殺菌反応を触媒する酵素であり、食作用とともに細胞
外に遊離され、種々の微生物感染症や炎症、アレルギー
性疾患の病態において重要な役割をしている。また、マ
トリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMPとい
う)は、顆粒球や単球、マクロファージが炎症組織に遊
走する際、組織の細胞間マトリックスを分解する反応を
触媒する酵素で、MPOと同様に、種々の微生物感染症
や炎症、アレルギー性疾患の病態において重要な役割を
している。したがって、MPOやMMPは、顆粒球、単
球、マクロファージなどの貪食細胞の細胞機能を推し量
る重要な動態指標の一つである。
【0005】従来、病院の検査室や検査センターでは、
上記のような理由から、このような細胞機能を測定する
ため、顆粒球貪食機能試験、顆粒球殺菌能(活性酸素産
生能)試験、リンパ球幼若化試験等が行われてきた。ま
た、最近では、フローサイトメトリー装置と各種免疫担
当細胞表面抗原に対する蛍光標識モノクローナル抗体を
用いた表面抗原試験等が行われるようになってきた。
【0006】また、細胞の機能を測定する別の方法とし
て、これらの細胞から分泌されるサイトカインなどの各
種免疫因子や酵素等を細胞機能の動態指標として測定す
る方法が考えられる。例えば、特表平5−502099
号公報には、細胞に活性化物質を接触させ、酵素基質を
供給して、酵素−基質反応の生成物を測定する方法が開
示されている。
【0007】しかしながら、従来、病院の検査室や検査
センターで行われてきた細胞機能測定方法や前記の公開
特許公報に開示の方法には、以下のような問題点があっ
た。すなわち、これらの試験は、いずれも被検者から注
射器で血液を採血後、ピペッティングなどの用手法の手
段で血液を種々の反応容器に移し変えたり、白血球など
を分離するための細胞分離、機能測定のための細胞培養
等の特殊な操作が必要であった。そのため、検査従事者
は、血液に触れて、肝炎、エイズなどの種々の感染症に
感染する危険性があった。また、これらの操作中に、血
液試料中に種々の雑菌や埃などが混入する恐れがあり、
これらの汚染物あるいは操作による物理的刺激によっ
て、血液試料中の細胞が不必要に刺激され、測定結果に
悪影響を及ぼす恐れがあった。
【0008】また、従来の試験法には、上記のような、
細胞分離、細胞培養、顕微鏡測定等の特殊な技術が要求
され、測定に時間がかかり、RI(ラジオアイソトー
プ)施設やフローサイトメーターなどの高価な装置が必
要であった。
【0009】これらの問題のため、従来よりも、操作が
簡単で危険性がなく、精度の良い細胞機能測定方法が望
まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の細胞機能測定方法の欠点を解消し、従来よりも操作が
簡単で危険性がなく、精度良く細胞機能測定できる細胞
機能測定用反応器及び細胞機能測定用キットを提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
細胞機能測定用反応器は、血液と接触することにより該
血液に、ミエロペルオキシダーゼの産生を誘導する、中
心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、で
こぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にあ
る凹凸を表面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が
減圧にされた容器内に、血液と接触可能な状態とされて
いることを特徴とする。
【0012】また、本発明の請求項4記載の細胞機能測
定用反応器は、血液と接触することにより該血液に、マ
トリックスメタロプロテイナーゼの産生を誘導する、中
心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、で
こぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にあ
る凹凸を表面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が
減圧にされた容器内に、血液と接触可能な状態とされて
いることを特徴とする。
【0013】本発明で用いられる血液と接触することに
より該血液に、MPO(又はMMP)の産生を誘導す
る、凹凸を表面に有する材料とは、材料の種類を問わ
ず、中心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであ
り、かつ、でこぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μ
mの範囲にある凹凸を表面に有するものであれば任意の
材料を用いることができる。後述する実施例から明らか
なように、中心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μ
mの範囲外の材料では、MPO(又はMMP)の誘導量
が低下する。また、中心線平均粗さRa値が0.2μm
〜10μmの範囲にある材料でも、でこぼこ平均間隔S
m値が5μm〜200μmの範囲外の材料では、やは
り、MPO(又はMMP)の誘導量が低下する。
【0014】なお、上記Ra値とは、JIS B 06
01−1982における中心線平均粗さである。また、
上記でこぼこ平均間隔Sm値は、以下のようにして定義
される値である。
【0015】でこぼこ平均間隔Sm値 現在のJIS規格では、表面粗さの高さ方向の情報につ
いては規定されているが、面方向の情報に関しては規定
されていない。しかしながら、本発明における凹凸は、
凹凸の面方向における間隔によっても後述の実施例から
明らかなように限界付けられるものである。そこで、本
発明では、でこぼこ平均間隔Sm値を用いることによ
り、凹凸の面方向の範囲を規定する。
【0016】上記でこぼこ平均間隔Sm値は、以下のよ
うにして求められる。まず、図1に示す粗さ曲線Aの中
心線Bに対して、それぞれ、一定の高さ及び深さの位置
に上側カウントレベル及び下側カウントレベルを引く。
次に、下側のカウントレベルと粗さ曲線Aとが交差する
2点間において、上側カウントレベルと粗さ曲線とが交
差する点が一回以上存在するときに、一つの山として
「山」を定義する。そして、でこぼこ平均間隔Sm値
は、図2に示すように、基準長さLの間にある山の間隔
をSmiとしたときに、下記の数式(1)で定義される
値である。
【0017】
【数1】
【0018】すなわち、でこぼこ平均間隔Sm値とは、
基準長さLの間にある山同士の間隔の平均値を示す。こ
のようにして、でこぼこ平均間隔Sm値により、凹凸の
面方向の条件が定義される。
【0019】本発明において用い得る上記材料として
は、人体に対して無害なもの、例えば血液と材料が接触
された際に有害な金属や可塑剤などの添加物の溶出がな
いものであれば、その種類を問わずに利用することがで
きる。すなわち、ガラス及びアルミナ等の無機材料、並
びに酢酸セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パ
ーフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リウレタン、アクリル樹脂、エチルセルロース等の合成
及び天然の有機高分子材料などが例示できる。
【0020】また、材料表面に凹凸(表面粗さ)を付与
する方法としては研磨法が一般的であるが、他の方法に
よって上記特定の表面粗さを有するように構成してもよ
い。例えば、材料表面に微粒子を物理的あるいは化学的
に固定する方法や、表面が多孔質の材料を用いる方法等
も利用することができる。
【0021】材料表面に微粒子を固定する方法として
は、例えば0.1μm〜20μmの微粒子をコーティン
グする方法が挙げられ、それによってMPO(又はMM
P)を産生誘導させ得る。ここで用いる微粒子は、例え
ばスチレン系やアクリル系などのビニル系モノマーの単
独あるいは2成分以上の混合物を乳化重合や懸濁重合す
ることにより調製することができる。これらの微粒子と
しては、望ましくは、例えば、ジビニルベンゼンのよう
な2官能基以上の多官能性モノマーとの共重合体からな
るものがよい。
【0022】上記微粒子をコーティングする方法として
は、先ず、コーティングのための結合剤としての合成高
分子や天然高分子を0.1〜5重量%程度溶解させた液
に、これらの微粒子を懸濁させる。次に、この懸濁液に
予め成形しておいた有機もしくは無機材料からなるビー
ズ、繊維またはフィルム状の材料を浸漬し、その後乾燥
することにより本発明のMPO(又はMMP)産生誘導
材料を作製することができる。この場合のRa値の調整
は微粒子の大きさにより、またSm値の調整は懸濁粒子
の濃度によって行い得る。
【0023】また、多孔質材料の場合でも、その形状は
膜状、繊維状またはビーズ状の何れでもよく、かつ表面
のみが多孔性であってもよく、材料全体が多孔性であっ
てもよい。表面のみが多孔性の材料については、例えば
有機もしくは無機材料からなるビーズ、繊維またはフィ
ルム状の担体に、コーティング液として合成高分子や天
然高分子をそれらの良溶媒中に0.1〜5重量%程度溶
解させた液を、スプレーによって霧状に吹き付けて加熱
乾燥することによって得られる。また、材料全体が多孔
性になっているものの製法としては、一般的な多孔性膜
及び多孔性ビーズなどの製法を使用することができる。
例えば膜状の場合では、合成高分子を良溶媒に溶解させ
てガラス板上に流延させてキャスティングフィルムを作
製し、その後、合成高分子の貧溶媒にてフィルムを洗浄
し、良溶媒を抽出することによって多孔性膜を調製する
ことができる。
【0024】多孔性材料の場合のRa値やSm値の調整
は、細孔径や細孔量を調整することによって達成され、
細孔径や細孔量は材料を溶解させる溶媒の種類や量を変
えることにより容易に調節することができる。
【0025】本発明の細胞機能測定用反応器において
は、上記MPO(又はMMP)の産生を誘導する材料
が、内部が減圧にされた容器内に、血液と接触可能な状
態とされている。上記血液と接触可能な状態としては、
例えば、上記MPO(又はMMP)の産生を誘導する材
料が上記容器内に収容されている場合が挙げられ、請求
項2及び5記載の細胞機能測定用反応器においては、こ
の場合に限定されるが、請求項1及び4記載の細胞機能
測定用反応器においては、この他に、該細胞機能測定用
反応器の内壁面が上記特定の表面粗さを有するように加
工されているものが含まれる。内壁面を上記特定の表面
粗さを有するように加工するには、例えば、梨地加工の
ように、砂などの適当な微粒子を金型に塗布、固着し、
しかる金型を使用して射出成形を行う方法や、該反応器
の内壁面に、前記のような微粒子を固定する方法が挙げ
られる。
【0026】上記MPO(又はMMP)の産生を誘導す
る材料の形状としては、粒子状、繊維状、中空糸状、膜
状等いずれの公知の形状のものでもよく、上記容器中で
は前記MPO(又はMMP)誘導材料の表面に気泡が残
ると、転倒混和等により血液と接触させる際に過度の溶
血を引き起こし、測定系に影響する恐れがあるため、以
下に示すような希釈液に浸しておくのが好ましい。
【0027】上記の希釈液としては、例えば、リン酸緩
衝液、ハンクス緩衝液などの緩衝液やMEM、RPMI
−1640等の通常の培地など、生理的緩衝液であれ
ば、いずれであっても利用できる。
【0028】また、本発明の細胞機能測定用反応器は、
血液中の細胞機能測定に用いられるので、血液が凝固し
ないように、上記容器中に血液抗凝固剤が収容されてい
る必要がある。
【0029】上記血液抗凝固剤は、該容器の中に液体又
は固体のいずれの状態で存在されても良い。
【0030】上記血液抗凝固剤としては、例えば、ヘパ
リン化合物、クエン酸化合物、シュウ酸化合物などが挙
げられ、ヘパリンナトリウムなどが細胞の生物学的反応
を阻害しないので好ましい。
【0031】上記ヘパリンナトリウムの該容器中の収容
量としては、該容器に血液が収容された時に、その血液
中の濃度が、低くなると血液凝固の恐れがあり、高くな
ると細胞に不測の活性化や不活性化を起こす恐れがある
ので、6〜20U/mlになるように収容するのが好ま
しい。
【0032】本発明の反応器の容器の材質としては、例
えば、プラスチックまたはガラスが挙げられるが、MP
O(又はMMP)の誘導反応後、上記MPO(又はMM
P)を測定するための遠心分離操作に耐えられるだけの
強度を有するものが好ましい。上記プラスチックとして
は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれもが用いられ
得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、
スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水
マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、
スチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、
エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ
る。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステ
ル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリレート樹脂等
が挙げられる。
【0033】本発明の反応器には、その内部を減圧に維
持するために、通常、栓体を使用する。栓体の材質とし
ては、例えばブチルゴム、塩素化ブチルゴム、熱可塑性
エラストマー等が挙げられる。
【0034】本発明の反応器の減圧の程度は、常圧の検
体血液と上記反応器が連通された時に、上記反応器の中
に常圧の検体血液が吸入されうる程度の圧力であればよ
く、その圧力は、吸入しようとする検体血液の量によっ
て決められる。すなわち、吸入しようとする検体血液の
量が多ければ多いほど減圧の程度を大きくする必要があ
る。
【0035】本発明の反応器を用いて細胞機能を測定す
る場合の血液量は、反応器の容積によって異なるが、通
常、4〜5mlの容積の反応器を用いる場合であれば、
0.5〜2ml程度でよい。
【0036】本発明の反応器の製造方法の一例を挙げる
と、内部を減圧にすることが可能である容器に、前記M
PO(又はMMP)誘導材料及び血液抗凝固剤を加え、
容器を所定の減圧状態にした後、上記容器に栓をするこ
とによって製造する。
【0037】上記の容器としては、例えば、一端が開口
し他端が閉塞してなる有底管体が好ましく、開口部は、
栓体によって閉塞可能なものが好ましい。上記有底管体
としては、例えば、MPO(又はMMP)の誘導反応
後、上記MPO(又はMMP)量を測定するための遠心
分離操作に好適な試験管状のものがより好ましく、その
サイズとしては、外径が、5〜30mm、高さ20〜1
50mm程度が好ましい。
【0038】また、本発明の反応器は、エンドトキシン
や雑菌の混入を避けるため、できる限りクリーンな環境
で製造されるのが好ましく、また、製造後に公知の滅菌
処理を施すのが好ましい。
【0039】本発明の反応器によって、細胞機能を測定
するには、採血容器と上記反応器とを連通させ、上記反
応器中に検体血液を吸入させる。次いで、上記反応器を
適度に振とうしながら、血液細胞と上記MPO(又はM
MP)誘導材料とを反応させる。反応後、静置もしくは
遠心分離により、血球と血漿に分離して、血漿中のMP
O(又はMMP)量を各々の測定試薬により定量する。
【0040】上記の採血容器と上記反応器を連通させる
方法としては、例えば、採血容器を注射針付きの注射筒
としておき、上記注射針を上記反応器の栓体に突き刺す
方法が挙げられる。
【0041】上記の血液と上記MPO(又はMMP)誘
導材料との反応温度は、上記MPO(又はMMP)の産
生が効率的に行われ、過度の溶血を引き起こさない温度
である15〜42℃が好ましく、より好ましくは、30
〜40℃である。反応時間は、上記MPO(又はMM
P)の産生が効率的に行われ、過度の溶血を引き起こさ
ない反応時間である1〜12時間が好ましく、より好ま
しくは、2〜6時間である。
【0042】本発明の反応器を用いることにより誘導さ
れたMPO(又はMMP)を測定する方法としては、例
えば、測定しようとする上記MPO(又はMMP)に対
するモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、
ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼなどの酵
素及び各々の酵素の発色基質を利用した酵素免疫測定方
法が挙げられる。
【0043】以下に、本発明の反応器を用いて、MPO
の産生を誘導する細胞機能測定の1態様を詳しく説明す
る。先ず、血液と上記MPO誘導材料とを上記反応器の
中で反応させ、MPOを誘導し、誘導後の反応器を12
00Gで遠心分離して、血球成分と血漿成分を分離させ
る。次いで、分離された血漿を、上記MPOに対するモ
ノクローナル抗体を固定化したマイクロプレートのウェ
ルに、ピペッティングにより添加し、37℃で2時間反
応させる。次いで、反応後の血漿液を吸引除去等の手段
で廃棄し、さらに、未反応成分を除くため、Tween20 等
のノニオン系の界面活性剤を含有する、中性pHの洗浄用
緩衝液で上記ウェルを洗浄する。次いで、西洋わさびペ
ルオキシダーゼを固定化した上記MPOに対するポリク
ローナル抗体をピペッティングにより上記ウェルに添加
し、37℃で1時間反応させる。次いで、未反応の西洋
わさびペルオキシダーゼ固定化抗体を除くため、上記ウ
ェルを上記洗浄用緩衝液で洗浄した後、過酸化水素、テ
トラメチルベンジジンを含む基質溶液を添加し、5〜1
0分間反応させる。次いで、1M硫酸溶液を添加して、
反応を停止させて、酵素反応による基質の発色を450
nmの吸光度から測定する。この測定値と既知濃度の上
記MPOを用いて作成した検量線から、上記MPOの産
生誘導量を測定する。
【0044】次に、本発明の請求項3記載の細胞機能測
定用キットは、請求項1又は2記載の細胞機能測定用反
応器と、誘導された前記MPOの量を定量可能な試薬と
からなることを特徴とする。
【0045】本発明の細胞機能測定用キットに使用され
る試薬としては、誘導された上記MPOの量を定量可能
な試薬であれば、特に限定されないが、例えば、定量し
ようとするMPOに対するモノクローナル抗体もしくは
ポリクローナル抗体、ペルオキシダーゼ、アルカリフォ
スファターゼなどの酵素及び各々の酵素の発色基質など
を利用する酵素免疫測定法用試薬が挙げられる。
【0046】上記細胞機能測定用キットの使用方法の1
例としては、前記の、本発明の細胞機能測定用反応器を
用いて細胞機能を測定する1態様を説明した方法と同様
である。
【0047】次に、本発明の請求項6記載の細胞機能測
定用キットは、請求項4又は5記載の細胞機能測定用反
応器と、誘導された前記MMPの量を定量可能な試薬と
からなることを特徴とする。
【0048】本発明の細胞機能測定用キットに使用され
る試薬としては、誘導された上記MMPの量を定量可能
な試薬であれば、特に限定されないが、例えば、定量し
ようとするMMPに対するモノクローナル抗体もしくは
ポリクローナル抗体、ペルオキシダーゼ、アルカリフォ
スファターゼなどの酵素及び各々の酵素の発色基質など
を利用する酵素免疫測定法用試薬が挙げられる。
【0049】本発明による細胞機能測定用反応器及び細
胞機能測定用キットを用いれば、被検者から血液を採血
後、ピペッティングなどの用手法の手段で血液を種々の
反応容器に移し変えたり、細胞分離、細胞培養等の操作
を必要とせず、試験者は、肝炎、エイズなどの種々の感
染症に感染する危険性がほとんどない。また、血液試料
中に種々の雑菌や埃などが混入する恐れもなく、これら
の汚染物や種々の操作による細胞の不要な活性化または
活性低下が惹起される問題もない。また、細胞分離、細
胞培養、顕微鏡測定等の特殊な技術も必要なく、測定時
間も短縮でき、RI施設やフローサイトメーターなどの
高価な装置も必要としない。そのため、従来よりも、操
作が簡単で危険性がなく、精度良く細胞機能測定ができ
る。
【0050】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明をさらに詳細に述べる。
【0051】まず、後述の実施例1〜11及び比較例1
〜8に用いたMPO及びMMP産生誘導材料の作製方
法、細胞機能測定用反応器の製造方法、並びにMPO及
びMMPの誘導能の測定方法につき説明する。
【0052】(1)研磨フィルムの作製方法(実施例1
〜6、比較例1〜6) 後述の実施例1〜6及び比較例2、3、5、6において
は、MPO及びMMP産生誘導材料として研磨フィルム
を使用したが、そのフィルムの作製方法は、まず、フィ
ルムを用意し、該フィルムの表面をメチルアルコールで
洗浄した後、ストルアス社(デンマーク)製、自動研磨
機(商品名;プラノボールペデマックス)に、後述の表
1に示すように、220、500、1200、240
0、又は4000メッシュのサンドペーパーを取り付け
たものを用いて研磨し、表面の両側に表面粗さを持つ研
磨フィルムを作製する方法によった。なお、比較例1と
比較例4においては、比較のために未研磨のフィルムを
使用した。
【0053】(2)表面粗さの測定方法 後述の各実施例及び比較例において記した中心線平均粗
さRa値(カットオフ値、フィルムでは0.8mm、ビ
ーズでは0.08mm)及びでこぼこ平均間隔Sm値
は、表面粗さ測定装置((株)小坂研究所製、商品名;
サーフコーダSE−30D)により測定、または、走査
型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製、商品名;1ML2
1W)により観察した表面画像を画像解析システム(三谷
商事社製、商品名;SUPER ASPECT )にて処理して測定
したものである。
【0054】(3)細胞機能測定用反応器の製造方法
(実施例1〜6、比較例1〜6) 後述の実施例1〜6、比較例1〜6に記したフィルムを
3cm×4cmの大きさに切り、これをさらに5mm×
5mmの大きさの細片にした。これらを注射用生理食塩
水(大塚製薬社製)で洗浄後、洗浄後のフィルム細片を
ポリエチレンテレフタレート製の4mlの試験管(12.6
φ×75mm)に、かさ体積で0.5ml添加し、さらに、
40U/mlになるようにヘパリンナトリウム(ノボ・
ノルディスクA/S 社製、商品名: ノボ・ヘパリン注100
0)を含有させた注射用生理食塩水(大塚製薬社製)を
0.5ml添加した。
【0055】次いで、管径に合うブチルゴム製の栓体を
上記試験管の開口部に、開口部を密栓しないように、軽
く載せた後、減圧にできる容器内に置き、上記容器を減
圧にしてゆき、1mlの血液を吸引できるように、上記
容器を570mmHgに減圧したところで、該試験管の
開口部を密栓した。このようにして製造された減圧試験
管をγ線滅菌し、細胞機能測定用反応器とした。
【0056】(4)細胞機能測定用反応器の製造方法
(実施例7〜11、比較例7、8) 後述の実施例7〜11、比較例7、8に記したビーズ
を、15ml用γ線滅菌済みポリプロピレンチューブ
(岩城硝子社製)に、かさ体積で1ml入れ、注射用生
理食塩水(大塚製薬社製)を12ml添加して軽く撹拌
後、500rpmで5分間遠心分離し、遠心分離後、上
澄みを吸引して捨てる操作を5回繰り返して洗浄した。
洗浄後のビーズをポリエチレンテレフタレート製の4m
lの試験管(12.6φ×75mm)にかさ体積で0.5ml添
加し、さらに、40U/mlになるようにヘパリンナト
リウム(ノボ・ノルディスクA/S 社製、商品名: ノボ・
ヘパリン注1000)を含有させた注射用生理食塩水(大塚
製薬社製)を0.5ml添加した。
【0057】次いで、管径に合うブチルゴム製の栓体を
上記試験管の開口部に、開口部を密栓しないように、軽
く載せた後、減圧にできる容器内に置き、上記容器を減
圧にしてゆき、1mlの血液を吸引できるように、上記
容器を570mmHgに減圧したところで、該試験管の
開口部を密栓した。このようにして製造された減圧試験
管をγ線滅菌し、細胞機能測定用反応器とした。
【0058】(5)MPO及びMMPの誘導能の測定方
法 健常人ボランティアから、注射針のついた注射器にヘパ
リン採血し、その注射針を上記(3)又は(4)のよう
にして製造した細胞機能測定用反応器のブチルゴム製の
栓体部分に突き刺し、検体血液を前記反応器に採取した
(採取検体血液量、約1ml)。次いで、予め37℃に
保温しておいた恒温器中の転倒混和用ロッカープラット
フォームに血液を採取した各々の反応器をとりつけ、2
時間、転倒混和した。混和後、反応器を3000rp
m、10分間、4℃で遠心分離して、上澄みの血漿を採
取した。採取した血漿中のMPO及びMMP量(ng/
ml)を以下の(6)及び(7)の方法で測定した。
【0059】(6)血漿中MPO濃度の測定方法 MPOモノクローナル抗体を用いて、酵素抗体法(BIOX
YTECH.S.A.社製、商品名;MPO-EIA )にて測定した。こ
の測定方法の検出限界濃度は1.6ng/mlであった。
【0060】(7)血漿中MMP濃度の測定方法 (7−1)マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(9
2KDaゼラチナーゼ)(MMP−9)標準品の調製 MMP濃度の測定に使用するヒトMMP−9標準品を、
U.Bergmann等の方法(「Enzyme Linked Immunosorbent
Assay (ELISA) for the Quantitative Determination o
f Human Leukocyte Collagenase and Gelatinase」J.Cl
inical.Chem.Clin.Biochem.Vol.27,1989,pp351-359)に
従って、ヒト血液のバッフィコートから調製した。
【0061】(7−2)MMP産生誘導試験後の血漿中
のMMP濃度を以下のようにして測定した。0.2g/
l NaN3 、50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH
9.6)に、調製したMMP−9標準品を0.2μg/
mlになるように溶解し、96穴マイクロタイタープレ
ート(Nunc社製)の各ウェルに200μlずつ分注
し、12時間、4℃に静置し、MMP−9標準品を該プ
レート内面に物理吸着させた。12時間後、未吸着のM
MP−9標準品を吸引除去し、0.15M濃度で塩化ナ
トリウムおよび0.05%濃度でTween20を含
む、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)
(以下、洗浄液1という)で2回吸引洗浄した。
【0062】次に、牛血清アルブミンが2%(W/V) とな
るように溶解された洗浄液1(以下、MMP希釈液とい
う)で、MMP−9標準品を段階希釈し、0〜1000
ng/mlの希釈系列を作製し、各々に抗ヒトMMP−
9モノクローナル抗体(マウス産生)(富士薬品工業社
製)を20ng/mlになるように添加した。また、M
MP産生誘導試験後の各測定サンプル(血漿)は、各々
の測定サンプルに抗ヒトMMP−9モノクローナル抗体
(マウス産生)(富士薬品工業社製)を20ng/ml
になるように添加した。
【0063】この抗原抗体混合液を2時間、25℃で攪
拌後、前記のマイクロプレートの各ウエルに100μl
ずつ分注し、2時間、25℃で静置した。次に、プレー
トを洗浄液1で4回吸引洗浄し、西洋わさびペルオキシ
ダーゼで標識した抗マウスIgGヤギ抗体(生化学工業
社製)をMMP希釈液で2000倍に希釈した液を、各
ウェルに100μlずつ分注し、1時間、25℃で静置
した。
【0064】次に、プレートを洗浄液1で5回吸引洗浄
し、基質反応液〔0.5g/l 2,2’−azino
−bis(3−ethylbenzthiazolin
esulphonic acid)(ABTS)、1.
3mM H2 2 、0.05% Tween20、0.
1Mクエン酸緩衝液(pH4.2)〕を各ウェルに20
0μlずつ分注し、1時間、25℃に静置後、OD40
5nmの吸光度をSJeia AUTOREADER
(三光純薬社製)にて測定した。
【0065】次に、MMP−9標準品の各希釈系列(0
〜1000ng/ml)と上記吸光度値との関係より標
準曲線を作成し、この標準曲線にMMP産生誘導試験後
の各測定サンプルより得られた上記吸光度値をあてはめ
てサンプル中のMMP−9の濃度を算出した。なお、各
測定サンプル(血漿)中のMMP−9濃度が1000n
g/ml以上となる場合には、サンプルをMMP希釈液
で希釈したものを用いて、上記と同様の操作を繰り返し
て測定した。
【0066】実施例1〜3及び比較例1〜3 PETフィルム(ユニチカ社製、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、商品名;エンブレットS−75)を用
い、上記(1)の研磨フィルムの作製方法に従って、5
段階に研磨されたフィルムを作製した(表1参照)。そ
して、未研磨のフィルム及び5段階に研磨されたフィル
ムのそれぞれについて、上記(2)に従ってRa値およ
びSm値を求めた後、それぞれ上記(3)に従って細胞
機能測定用反応器を製造し、上記(5)に従ってMPO
及びMMPの産生誘導試験を行った。結果を表1に示
す。
【0067】
【表1】
【0068】表1から明らかなように、Ra値が0.2
μm未満の比較例に比べて、Ra値が0.2〜10μm
の範囲内にある実施例では、MPO及びMMPの産生誘
導は急激に増加した。なお、Sm値に関しては、比較例
1の未研磨フィルムでは475μmであったのに対し
て、それ以外のフィルムでは30〜130μmの範囲で
あった。
【0069】実施例4〜6及び比較例4〜6 1200メッシュのサンドペーパーを用いて研磨する際
の研磨時間を変化させたこと以外は実施例1と同様にし
て、表面粗さRa値が0.6μm以上、Sm値が30〜
380μmの範囲にある5種類の研磨フィルムを作成し
た(表2参照)。上記5種類の研磨フィルムと未研磨の
PETフィルム(比較例4)とを用いて、それぞれ上記
(3)に従って細胞機能測定用反応器を製造し、上記
(5)に従ってMPO及びMMPの産生誘導試験を行っ
た。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】表2からも明らかなように、Sm値が20
0μmを超えている比較例4〜6に比べて、Sm値が2
00μm以下である実施例4〜6では、MPO及びMM
Pの産生誘導が著しく大きいことがわかる。すなわち、
同程度のRa値を持っていても、Sm値が200μm以
下でないとMPO及びMMPの産生誘導の効果が小さい
ことがわかる。
【0072】実施例7及び比較例7 ナイロン66ペレット(宇部興産社製、商品名;ウベ6
6 2020B)を射出成形し、直径2.5mmの球状
ビーズを作製した。ポットミル(東洋エンジニアリング
社製、商品名;51−セラミックポットミルBP−5)
に、上記ビーズ200ml及び同容量の研磨材〔WHI
TE ABRAX(WA)#34(日本研磨材工業社
製)〕を投入し、さらにセラミックポットミル用ボール
(東洋エンジニアリング社製、商品名;BB−13)数
個を投入し、ボール研磨機(日陶科学社製ポットミル、
商品名;AN−3S)により5時間研磨した。このよう
にして、Ra値9.1μm及びSm値123.5μmの
ビーズを得た(実施例7)。比較のために、上記研磨処
理をしなかった、Ra値0.19μm及びSm値29
4.4μmのビーズも用意した(比較例7)。次いで、
各々のビーズをメタノールで3回洗浄し、次いで注射用
生理食塩水(大塚製薬社製)で5回洗浄した。このビー
ズを用いて、それぞれ上記(4)に従って細胞機能測定
用反応器を製造し、上記(5)に従ってMPO及びMM
Pの産生誘導試験を行った。結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3からも明らかなように、Ra値9.1
μm、Sm値123.5μmのビーズでは、Ra値0.
2μm以下、Sm値が200μm以上のビーズより、M
PO及びMMPの産生誘導が著しく大きいことがわか
る。
【0075】実施例8〜10 ポリスチレン性多孔性ビーズダイヤイオンHP-50 (三菱
化成社製)、ポリアクリル酸エステル多孔性ビーズダイ
ヤイオンHP-1MG(三菱化成社製)、ポリアクリル酸エス
テル多孔性ビーズアンバーライトXAD-7 (オルガノ社
製)を蒸留水にて3回洗浄し、一晩室温にて静置した。
次いで、蒸留水にて3回洗浄し、メタノールにて洗浄
後、メタノールに懸濁して6時間静置した。これを蒸留
水、注射用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄し、注射
用生理食塩水に懸濁して超音波洗浄を行い、吸引ポンプ
にて脱気した。
【0076】このようにして、洗浄したビーズを用い
て、それぞれ上記(4)に従って細胞機能測定用反応器
を製造し、上記(5)に従ってMPO及びMMPの産生
誘導試験を行った。結果を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】実施例11 実施例8と同様にして洗浄したポリスチレン性多孔性ビ
ーズダイヤイオンHP-50 (三菱化成社製)を用いて、上
記(4)に従って10本の細胞機能測定用反応器を製造
し、上記(5)に従ってMPO及びMMPの産生誘導試
験を行った。結果を表5及び表6に示す。
【0079】比較例8 実施例11と同様にして洗浄したポリスチレン性多孔性
ビーズダイヤイオンHP-50 (三菱化成社製)を、ポリエ
チレンテレフタレート製の4mlの試験管(12.6φ×75
mm)10本に、かさ体積で0.5mlずつ添加し、さら
に、40U/mlになるようにヘパリンナトリウム(ノ
ボ・ノルディスクA/S 社製、商品名: ノボ・ヘパリン注
1000)を含有させた注射用生理食塩水(大塚製薬社製)
を0.5ml添加した。次いで、管径に合うブチルゴム
製の栓体で試験管の開口部に栓をし、γ線滅菌して、細
胞機能測定用反応器を製造した。次いで、実施例11で
用いたものと同様の血液を10本の反応器の各々に、栓
体を手ではずして、ピペットで1mlずつ添加し、栓体
を閉めた後、予め37℃に保温しておいた恒温器の中の
転倒混和用ロッカープラットフォームにとりつけ、2時
間、転倒混和した。混和後、各々の反応器を3000r
pm、10分間、4℃で遠心分離して、上澄みの血漿を
採取した。採取した血漿中のMPO及びMMP量を実施
例11と同様にして測定し、結果を表5及び表6に示し
た。
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】表5及び表6の結果から、本発明の細胞機
能測定用反応器を用いた場合の方が良い再現性を示し
た。
【0083】
【発明の効果】本発明の請求項1、2又は4、5記載の
細胞機能測定用反応器の構成は、上記の通りであり、上
記の細胞機能測定用反応器を用いると、被検者から血液
を採血後、ピペッティングなどの手段で血液を種々の反
応容器に移し変えたり、細胞分離、細胞培養等の操作を
必要としないため、試験者は、肝炎、エイズなどの種々
の感染症に感染する危険性がほとんどない。また、種々
の雑菌や埃などの混入の恐れがないため、これらの汚染
物や種々の操作による細胞の不要な活性化または活性低
下が惹起される問題もない。また、全血を用いるため、
測定時間を短縮でき、従来よりも、操作が簡単で精度良
く細胞機能測定できる。
【0084】本発明の請求項3記載の細細胞機能測定用
キットの構成は、上記の通り、請求項1又は2記載の細
胞機能測定用反応器と、誘導されたMPOの量を定量可
能な試薬とからなるので、従来よりも操作が簡単で危険
性がなく、精度良くより簡便に細胞機能測定できる。
【0085】本発明の請求項6記載の細細胞機能測定用
キットの構成は、上記の通り、請求項4又は5記載の細
胞機能測定用反応器と、誘導されたMMPの量を定量可
能な試薬とからなるので、従来よりも操作が簡単で危険
性がなく、精度良くより簡便に細胞機能測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】でこぼこ平均間隔Sm値における山の定義を説
明するための図。
【図2】でこぼこ平均間隔Sm値を説明するための図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液と接触することにより該血液に、ミ
    エロペルオキシダーゼの産生を誘導する、中心線平均粗
    さRa値が0.2μm〜10μmであり、でこぼこ平均
    間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にある凹凸を表
    面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が減圧にされ
    た容器内に、血液と接触可能な状態とされていることを
    特徴とする細胞機能測定用反応器。
  2. 【請求項2】 血液と接触することにより該血液に、ミ
    エロペルオキシダーゼの産生を誘導する、中心線平均粗
    さRa値が0.2μm〜10μmであり、でこぼこ平均
    間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にある凹凸を表
    面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が減圧にされ
    た容器内に収容されていることを特徴とする細胞機能測
    定用反応器。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の細胞機能測定用反
    応器と、誘導された前記ミエロペルオキシダーゼの量を
    定量可能な試薬とからなることを特徴とする細胞機能測
    定用キット。
  4. 【請求項4】 血液と接触することにより該血液に、マ
    トリックスメタロプロテイナーゼの産生を誘導する、中
    心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、で
    こぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にあ
    る凹凸を表面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が
    減圧にされた容器内に、血液と接触可能な状態とされて
    いることを特徴とする細胞機能測定用反応器。
  5. 【請求項5】 血液と接触することにより該血液に、マ
    トリックスメタロプロテイナーゼの産生を誘導する、中
    心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、で
    こぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にあ
    る凹凸を表面に有する材料及び血液抗凝固剤が、内部が
    減圧にされた容器内に収容されていることを特徴とする
    細胞機能測定用反応器。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の細胞機能測定用反
    応器と、誘導された前記マトリックスメタロプロテイナ
    ーゼの量を定量可能な試薬とからなることを特徴とする
    細胞機能測定用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010519505A (ja) * 2007-02-20 2010-06-03 ジーイー・ヘルスケア・バイオ−サイエンシズ・アーベー 紫外線検出に適したポリマーデバイス

Cited By (4)

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US9404862B2 (en) 2007-02-20 2016-08-02 Ge Healthcare Bio-Sciences Ab Polymeric device suitable for ultraviolet detection
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