JPH09206099A - 細胞機能測定方法 - Google Patents

細胞機能測定方法

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JPH09206099A
JPH09206099A JP1526896A JP1526896A JPH09206099A JP H09206099 A JPH09206099 A JP H09206099A JP 1526896 A JP1526896 A JP 1526896A JP 1526896 A JP1526896 A JP 1526896A JP H09206099 A JPH09206099 A JP H09206099A
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JP
Japan
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blood
mmp
production
mpo
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JP1526896A
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Koji Kobayashi
幸司 小林
Kiyoshi Kuriyama
澄 栗山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全血を用いて、より簡略化された測定系に
て、ミエロペルオキシダーゼ又はマトリックスメタロプ
ロテイナーゼの産生能を測定することによって、細胞機
能測定を行う、新しい測定方法を提供する。 【解決手段】 中心線平均粗さRa値が0.2μm〜1
0μmであり、でこぼこ平均間隔Sm値が5μm〜20
0μmの範囲にある凹凸を表面に有する材料と血液とを
接触させることにより、ミエロペルオキシダーゼ(又
は、マトリックスメタロプロテイナーゼ)の産生を誘導
させ、該ミエロペルオキシダーゼ(又は、マトリックス
メタロプロテイナーゼ)の産生量を測定することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫反応や炎症反
応等に関する細胞機能測定、特に顆粒球、単球、マクロ
ファージなどの貪食細胞機能の測定方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】顆粒球、単球、マクロファージ、リンパ
球等の白血球は、血液中や各臓器、器官において、炎症
反応、免疫反応などの種々の生体防御反応において様々
な役割を担っている。これらの細胞は、感染症;肝炎や
腎炎などの炎症性疾患;慢性関節リウマチ、喘息などの
アレルギー性・免疫疾患;癌などの種々の病態において
重要な働きをしており、病態の変動と共にこれらの細胞
の機能が抑制されたり、増強されたりすることが知られ
ている。
【0003】また、これらの疾患の治療に、抗炎症剤、
免疫抑制剤、免疫増強剤、抗癌剤等の種々の薬剤が用い
られており、その際にもこれらの細胞の機能が抑制され
たり、または増強されたりすることもまた知られてい
る。そのため、各種疾患の病態や薬剤の効果あるいは副
作用を把握し、治療指針を決定したり、薬剤の投与量や
タイミングを決定するために、これらの細胞の機能を調
べることが重要である。
【0004】従来、病院の検査室や検査センターでは、
上記のような理由から、このような細胞の機能を測定す
るため、顆粒球貪食機能試験、顆粒球殺菌能(活性酸素
産生能)試験、リンパ球幼若化試験等が行われてきた。
また、最近では、フローサイトメトリー装置と各種免疫
担当細胞表面抗原に対する蛍光標識モノクローナル抗体
を用いた表面抗原試験等が行われるようになってきた。
しかしながら、これらの試験には、細胞分離、細胞培
養、顕微鏡測定等の用手法の特殊な技術が要求され、ま
た、時間がかかり、RI(ラジオアイソトープ)施設や
高価な装置が必要なことから、もっと簡単で危険性がな
く、精度の良い測定方法が望まれている。
【0005】また、細胞の機能を測定する別の方法とし
て、これらの細胞から分泌されるサイトカインなどの各
種免疫因子や酵素等を細胞機能の動態指標として測定す
る方法が考えられる。例えば、特表平5−502099
号公報には、細胞に活性化物質を接触させ、酵素基質を
供給して、酵素−基質反応の生成物を測定する方法が開
示されている。しかしながら、この方法は、全血を用い
て行うことはできず、白血球分離が必要である。白血球
分離には特殊な技術と時間がかかるうえ、この過程で白
血球の活性低下または不要な活性化が起こることがあ
り、精度のよい測定結果が得られないという問題点があ
った。
【0006】ミエロペルオキシダーゼ(以下、MPOと
いう)は、顆粒球の細胞内顆粒に存在し、食作用におけ
る殺菌反応を触媒する酵素であり、食作用とともに細胞
外に遊離され、種々の微生物感染症や炎症、アレルギー
性疾患の病態において重要な役割をしている。また、マ
トリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMPとい
う)は、顆粒球や単球、マクロファージが炎症組織に遊
走する際、組織の細胞間マトリックスを分解する反応を
触媒する酵素で、MPOと同様に、種々の微生物感染症
や炎症、アレルギー性疾患の病態において重要な役割を
している。したがって、MPOやMMPは、顆粒球、単
球、マクロファージなどの貪食細胞の細胞機能を推し量
る重要な動態指標の一つである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の測定方法の欠点を解消し、全血を用いて、より簡略化
された測定系にて、ミエロペルオキシダーゼ又はマトリ
ックスメタロプロテイナーゼの産生能を測定することに
よって、細胞機能測定を行う、新しい測定方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためになされたものであり、請求項1および2に
記載の発明は、それぞれ、下記の構成を備える。
【0009】すなわち、請求項1に記載の発明は、中心
線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、でこ
ぼこ平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にある
凹凸を表面に有する材料と血液とを接触させることによ
り、ミエロペルオキシダーゼの産生を誘導させ、該ミエ
ロペルオキシダーゼの産生量を測定することを特徴とす
る細胞機能測定方法である。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、中心線平
均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、でこぼこ
平均間隔Sm値が5μm〜200μmの範囲にある凹凸
を表面に有する材料と血液とを接触させることにより、
マトリックスメタロプロテイナーゼの産生を誘導させ、
該マトリックスメタロプロテイナーゼの産生量を測定す
ることを特徴とする細胞機能測定方法である。
【0011】上記のように、請求項1及び2に記載の発
明は、特定の凹凸を表面に有する材料と血液とを接触さ
せることにより、酵素(ミエロペルオキシダーゼ又はマ
トリックスメタロプロテイナーゼ)の産生を誘導し、該
酵素の産生量を測定することにおいて共通するものであ
り、上記酵素の産生能力を測定することにより、顆粒
球、単球、マクロファージなどの貪食細胞の細胞機能を
測定することを可能とする、より正確かつ簡便な細胞機
能測定方法を提供するものである。
【0012】以下、本発明について詳述する。本発明に
用いられる凹凸を表面に有する材料とは、材料の種類を
問わず、中心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μm
であり、かつ、でこぼこ平均間隔Sm値が5μm〜20
0μmの範囲にある凹凸を表面に有するものであれば任
意の材料を用いることができる。後述する実施例から明
らかなように、中心線平均粗さRa値が0.2μm〜1
0μmの範囲外の材料では、MPO(又はMMP)の誘
導量が低下する。また、中心線平均粗さRa値が0.2
μm〜10μmの範囲にある材料でも、でこぼこ平均間
隔Sm値が5μm〜200μmの範囲外の材料では、や
はり、MPO(又はMMP)の誘導量が低下する。
【0013】なお、上記Ra値とは、JIS B 06
01−1982における中心線平均粗さである。また、
上記でこぼこ平均間隔Sm値は、以下のようにして定義
される値である。
【0014】でこぼこ平均間隔Sm値現在のJIS規格
では、表面粗さの高さ方向の情報については規定されて
いるが、面方向の情報に関しては規定されていない。し
かしながら、本発明における凹凸は、凹凸の面方向にお
ける間隔によっても後述の実施例から明らかなように限
界付けられるものである。そこで、本発明では、でこぼ
こ平均間隔Sm値を用いることにより、凹凸の面方向の
範囲を規定する。
【0015】上記でこぼこ平均間隔Sm値は、以下のよ
うにして求められる。まず、図1に示す粗さ曲線Aの中
心線Bに対して、それぞれ、一定の高さ及び深さの位置
に上側カウントレベル及び下側カウントレベルを引く。
次に、下側のカウントレベルと粗さ曲線Aとが交差する
2点間において、上側カウントレベルと粗さ曲線とが交
差する点が一回以上存在するときに、一つの山として
「山」を定義する。そして、でこぼこ平均間隔Sm値
は、図2に示すように、基準長さLの間にある山の間隔
をSmiとしたときに、下記の数式(1)で定義される
値である。
【0016】
【数1】
【0017】すなわち、でこぼこ平均間隔Sm値とは、
基準長さLの間にある山同士の間隔の平均値を示す。こ
のようにして、でこぼこ平均間隔Sm値により、凹凸の
面方向の条件が定義される。
【0018】本発明において用い得る上記材料として
は、人体に対して無害なもの、例えば血液と材料が接触
された際に有害な金属や可塑剤などの添加物の流出がな
いものであれば、その種類を問わずに利用することがで
きる。すなわち、ガラス及びアルミナ等の無機材料、並
びに酢酸セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パ
ーフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リウレタン、アクリル樹脂、エチルセルロース等の合成
及び天然の有機高分子材料などが例示できる。
【0019】また、表面に凹凸(表面粗さ)を付与する
方法としては研磨法が一般的であるが、他の方法によっ
て上記特定の表面粗さを有するように構成してもよい。
例えば、材料表面に微粒子を物理的あるいは化学的に固
定する方法や、表面が多孔質の材料を用いる方法等も利
用することができる。
【0020】材料表面に微粒子を固定する方法として
は、例えば0.1μm〜20μmの微粒子をコーティン
グする方法が挙げられ、それによってMPO(又はMM
P)を産生誘導させ得る。ここで用いる微粒子は、例え
ばスチレン系やアクリル系などのビニル系モノマーの単
独あるいは2成分以上の混合物を乳化重合や懸濁重合す
ることにより調製することができる。これらの微粒子と
しては、望ましくは、例えば、ジビニルベンゼンのよう
な2官能基以上の多官能性モノマーとの共重合体からな
るものがよい。
【0021】上記微粒子をコーティングする方法として
は、先ず、コーティングのための結合剤としての合成高
分子や天然高分子を0.1〜5重量%程度溶解させた液
に、これらの微粒子を懸濁させる。次に、この懸濁液に
予め成形しておいた有機もしくは無機材料からなるビー
ズ、繊維またはフィルム状の材料を浸漬し、その後乾燥
することにより本発明のMPO(又はMMP)産生誘導
材料を作製することができる。この場合のRa値の調整
は微粒子の大きさにより、またSm値の調整は懸濁粒子
の濃度によって行い得る。
【0022】また、多孔質材料の場合でも、その形状は
膜状、繊維状またはビーズ状の何れでもよく、かつ表面
のみが多孔性であってもよく、材料全体が多孔性であっ
てもよい。表面のみが多孔性の材料については、例えば
有機もしくは無機材料からなるビーズ、繊維またはフィ
ルム状の担体に、コーティング液として合成高分子や天
然高分子をそれらの良溶媒中に0.1〜5重量%程度溶
解させた液を、スプレーによって霧状に吹き付けて加熱
乾燥することによって得られる。また、材料全体が多孔
性になっているものの製法としては、一般的な多孔性膜
及び多孔性ビーズなどの製法を使用することができる。
例えば膜状の場合では、合成高分子を良溶媒に溶解させ
てガラス板上に流延させてキャスティングフィルムを作
製し、その後、合成高分子の貧溶媒にてフィルムを洗浄
し、良溶媒を抽出することによって多孔性膜を調整する
ことができる。
【0023】多孔性材料の場合のRa値やSm値の調整
は、細孔径や細孔量を調整することによって達成され、
細孔径や細孔量は材料を溶解させる溶媒の種類や量を変
えることにより容易に調節することができる。
【0024】本発明は、上記材料と血液とを接触させる
ことにより、MPO(又はMMP)の産生を誘導させ、
該MPO(又はMMP)の産生量を測定する。上記血液
とは、生体から得られる全血そのもの、または全血を希
釈した血液である。
【0025】上記において血液の採取は常法に従い、任
意の方法で実施できる。例えば、ヘパリン採血、クエン
酸採血等が挙げられる。ただし、MPO(又はMMP)
の産生誘導は、細胞の生物学的反応であるため、血液中
のカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどをキレー
トしないヘパリン採血などがより好ましい。
【0026】また、血液を希釈する場合には、例えばリ
ン酸緩衝液、ハンクス緩衝液、MEM、RPMI−16
40等の通常の培地など、いずれであっても利用でき
る。
【0027】本発明において、血液と上記材料とを接触
させる方法については、血液と上記材料が十分に接触さ
れ得る限り、任意の方法を用いることができる。例え
ば、繊維状の上記材料をカラムに充填し、該カラムに血
液を循環させる方法や、粒径50μm〜5mmのビーズ
状の材料をカラムに充填し、血液を循環させる方法を用
いることができる。
【0028】さらに、血液中に種々の形状の上記材料を
浮遊させることにより、血液と上記材料を接触させても
よい。血液中に上記材料を浮遊させる方法としては、具
体的には、例えば、フィルム状、ビーズ状、繊維状等の
上記材料を試験管、組織培養用フラスコ、組織培養用プ
レート等に収容しておき、これに血液を全血のまま、ま
たは希釈して加える方法が挙げられる。この場合は、試
験管、フラスコ、プレート等を振盪器や回転培養器を用
いて動かすことにより、上記材料と血液とをよく混和す
ることが、MPO(又はMMP)の産生誘導に好まし
い。
【0029】血液と上記材料とを接触させる際の温度つ
いては、MPO(又はMMP)の産生が効率的に行わ
れ、過度の溶血を引き起こさない温度である15℃〜4
2℃が好ましく、より好ましくは、30℃〜40℃であ
る。反応時間は、MPO(又はMMP)の産生が効率的
に行われ、過度の溶血を引き起こさない反応時間である
1〜12時間が好ましく、より好ましくは、2〜6時間
である。
【0030】血液と上記材料との接触後のMPOの産生
量の測定は、各種の酵素量および酵素活性測定法やMP
Oに特異的な抗体を用いた酵素抗体測定法等で行い得
る。
【0031】また、MMPの産生量の測定は、既存のコ
ラーゲン、変性コラーゲンを基質とした酵素量、酵素活
性測定法やMMPに特異的な抗体を用いた酵素抗体測定
法等で行い得る。
【0032】本発明では、上記材料と血液とを接触させ
ることにより、上記材料と顆粒球や単球、マクロファー
ジとの相互作用が起り、MPO(又はMMP)の産生誘
導が行われる。血液中のこれらの細胞が上記材料と作用
し、MPO(又はMMP)が産生誘導されるが、直接作
用せずとも、上記材料と血液中の何らかの因子とが作用
して誘導された別の因子を介して、MPO(又はMM
P)の産生が誘導されても良い。
【0033】上記材料を用いて、健常人あるいは各種疾
患の患者血液から簡便にMPO(又はMMP)を誘導す
ることができ、その誘導量の程度を測定することによ
り、個人のMPO(又はMMP)産生能力を調べること
ができる。これは、健康状態や種々の疾患の病態を反映
する有効な免疫学的パラメーターとなり得る。
【0034】本発明の細胞機能測定方法では、上記の通
り全血等をそのまま利用することができ、血液より単球
や顆粒球等を分離する必要がなく、それに伴う操作や処
理時間が不要であることは勿論のこと、それらの操作や
処理時間等による細胞の活性低下または不要な活性化が
惹起される問題もない。
【0035】さらに、本発明では、測定に必要とされる
血液量も非常に少なくてすみ、被採血者の負担も軽減さ
れる。また、全血またはその希釈液を用いるため、血液
中に含まれる様々な液性因子や細胞の関与が生体内と同
様に働き、より的確で、病態を反映した細胞機能の測定
が可能である。
【0036】(作用)本発明では、中心線平均粗さRa
値が0.2μm〜10μmであり、でこぼこ平均間隔S
m値が5μm〜200μmの範囲にある凹凸を表面に有
する材料と血液とを接触させるため、上記材料の上記表
面形状が、血液中のMPO(又はMMP)を産生する細
胞と該材料との相互作用を促進し、MPO(又はMM
P)の産生が効率よく誘導され得る。あるいは上記材料
の上記表面形状と血液中の何らかの因子とが相互作用
し、それによって誘導された別の因子により、MPO
(又はMMP)の産生が効率よく誘導され得る。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明をさらに詳細に述べる。
【0038】まず、後述の実施例1〜10及び比較例1
〜7に用いた試料の作製方法及び試験方法につき説明す
る。 (1)研磨フィルムの作製方法(実施例1〜6、比較例
1〜6) MPO及びMMP産生誘導材料としてのフィルムを用意
し、該フィルムの表面をメチルアルコールで洗浄した
後、ストルアス社(デンマーク)製、自動研磨機(商品
名;プラノボールペデマックス)に、220、500、
1200、2400、及び4000メッシュのサンドペ
ーパーを取り付けたものを用い、表面の両側に表面粗さ
を持つ研磨フィルムを作製した。
【0039】(2)フィルムによるMPO及びMMP産
生誘導試験方法(実施例1〜6、比較例1〜6) フィルムを3cm×4cmの大きさに切り、これをさら
に5mm×5mmの大きさの細片にした。これらを注射
用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄後、同じく注射用
生理食塩水で洗浄した2ml用ポリプロピレン製サンプ
ルチューブ(ダイヤトロン社製、商品名:エッペンドル
フセイフロックチューブ)にすべて充填した。フィルム
を充填したチューブにヘパリン採血した健常人新鮮血
2.0mlを加えて回転円盤に取り付けて、37℃にて
2時間、回転数26rpmで転倒混和した。しかる後、
血液を回収し、後述の方法で血漿中のMPO及びMMP
の濃度を測定した。
【0040】(3)ビーズによるMPO及びMMP産生
誘導試験方法(実施例7及び比較例7) ビーズを注射用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄後、
同じく注射用生理食塩水で洗浄した2ml用ポリプロピ
レン製サンプルチューブ(ダイヤトロン社製、商品名:
エッペンドルフセイフロックチューブ)に規定数を充填
した。各ビーズを充填したチューブにヘパリン採血した
健常人新鮮血1.6mlを加えて回転円盤に取り付け
て、37℃にて2時間、回転数26rpmで転倒混和し
た。しかる後、血液を回収し、後述の方法で血漿中のM
PO及びMMPの濃度を測定した。
【0041】(4)表面粗さの測定方法 各実施例及び比較例において記載されている中心線平均
粗さRa値(カットオフ値、フィルムでは0.8mm、
ビーズでは0.08mm)及びでこぼこ平均間隔Sm値
は、表面粗さ測定装置((株)小坂研究所製、商品名;
サーフコーダSE−30D)により測定、または、走査
型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製、商品名;1ML2
1W)により観察した表面画像を画像解析システム(三谷
商事社製、商品名;SUPER ASPECT )にて処理して測定
した。
【0042】(5)血漿中MPO濃度の測定方法 MPO産生誘導試験後の血液を遠心分離して血漿を採取
し、血漿中のMPOの濃度をMPOモノクローナル抗体
を用いて、酵素抗体法(BIOXYTECH.S.A.社製、商品名;
MPO-EIA )にて測定した。この測定方法の検出限界濃度
は1.6ng/mlであった。
【0043】(6)血漿中MMP濃度の測定方法 (6−1)マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(9
2KDaゼラチナーゼ)(MMP−9)標準品の調製 MMP濃度の測定に使用するヒトMMP−9標準品は、
U.Bergmann等の方法(「Enzyme Linked Immunosorbent
Assay (ELISA) for the Quantitative Determination o
f Human Leukocyte Collagenase and Gelatinase」J.Cl
inical.Chem.Clin.Biochem.Vol.27,1989,pp351-359)に
従って、ヒト血液のバッフィコートから調製した。
【0044】(6−2)MMP産生誘導試験後の血液を
遠心分離して血漿を採取し、血漿中のMMP濃度を以下
のようにして測定した。0.2g/l NaN3 、50
mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)に、調製した
MMP−9標準品を0.2μg/mlになるように溶解
し、96穴マイクロタイタープレート(Nunc社製)
に200μl/ウエルになるように分注し、12時間、
4℃に静置しMMP−9標準品を該プレート内面に物理
吸着させた。次いで、未吸着のMMP−9標準品を吸引
除去し、0.15M塩化ナトリウム、0.05%Twe
en20、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
4)(以下、洗浄液1という)で3回吸引洗浄した。
【0045】次に、MMP−9標準品を牛血清アルブミ
ンが2%(W/V) となるように溶解された洗浄液1(以
下、MMP希釈液という)で段階希釈し0〜1000n
g/mlの希釈系列を作製し、各々に抗ヒトMMP−9
モノクローナル抗体(マウス産生)(富士薬品工業社
製)を20ng/mlになるように添加した。また、M
MP産生誘導試験後の各測定サンプル(血漿)は、各々
の測定サンプルに抗ヒトMMP−9モノクローナル抗体
(マウス産生)(富士薬品工業社製)を20ng/ml
になるように添加した。
【0046】この抗原抗体混合液を2時間、25℃で攪
拌後、前記のマイクロプレートの各ウエルに100μl
/ウエル分注し、2時間、25℃で静置した。次に、プ
レートを洗浄液1で4回吸引洗浄し、西洋わさびペルオ
キシダーゼで標識した抗マウスIgGヤギ抗体(生化学
工業社製)をMMP希釈液で2000倍に希釈した液を
100μl/ウエル分注し、1時間、25℃で静置し
た。
【0047】次に、プレートを洗浄液1で5回吸引洗浄
し、基質反応液〔0.5g/l 2,2’−azino
−bis(3−ethylbenzthiazolin
esulphonic acid)(ABTS)、1.
3mM H2 2 、0.05% Tween20、0.
1Mクエン酸緩衝液(pH4.2)〕を200μl/ウ
エル分注し、1時間、25℃に静置後、OD405nm
の吸光度をSJ eia AUTOREADER(三光
純薬社製)にて測定した。
【0048】次に、MMP−9標準品の各希釈系列(0
〜1000ng/ml)と上記吸光度値との関係より標
準曲線を作成し、この標準曲線にMMP産生誘導試験後
の各測定サンプルより得られた上記吸光度値をあてはめ
てサンプル中のMMP−9の濃度を算出した。なお、各
測定サンプル(血漿)中のMMP−9濃度が1000n
g/ml以上となる場合には、サンプルをMMP希釈液
で希釈したものを用いて、上記と同様の操作を繰り返し
て測定した。
【0049】実施例1〜3及び比較例1〜3 PETフィルム(ユニチカ社製、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、商品名;エンブレットS−75)を用
い、上述した研磨フィルムの作製方法に従って、5段階
に研磨されたフィルムを作製した。そして、未研磨のフ
ィルム及び5段階に研磨されたフィルムのそれぞれにつ
いて、Ra値を求めた後、上述したフィルムによるMP
O及びMMP産生誘導試験を行った。結果を表1に示
す。
【0050】
【表1】
【0051】表1から明らかなように、Ra値が0.2
μm未満の比較例に比べて、Ra値が0.2〜10μm
の範囲内にある実施例では、MPO及びMMPの産生誘
導は急激に増加した。なお、Sm値に関しては、比較例
1の未研磨フィルムでは475μmであったのに対し
て、それ以外のフィルムでは30〜130μmの範囲で
あった。
【0052】実施例4〜6及び比較例4〜6 1200メッシュのサンドペーパーを用いて研磨したこ
と、及び研磨時間を変化させたこと以外は実施例1〜3
と同様にして、表面粗さRa値が0.6μm以上、Sm
値が30〜370μmの範囲にある5種類の研磨フィル
ムを作成した(表2参照)。上記5種類の研磨フィルム
と未研磨のPETフィルム(比較例4)とを用意し、実
施例1と同様にしてMPO及びMMPの産生誘導試験を
行った。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2からも明らかなように、Sm値が20
0μmを超えている比較例4〜6に比べて、Sm値が2
00μm以下である実施例4〜6では、MPO及びMM
Pの産生誘導が著しく大きいことがわかる。すなわち、
同程度のRa値を持っていても、Sm値が200μm以
下でないとMPO及びMMPの産生誘導の効果が小さい
ことがわかる。
【0055】実施例7及び比較例7 ナイロン66ペレット(宇部興産社製、商品名;ウベ6
6 2020B)を射出成形し、直径2.5mmの球状
ビーズを作製した。ポットミル(東洋エンジニアリング
社製、商品名;51−セラミックポットミルBP−5)
に、上記ビーズ200ml及び同容量の研磨材〔WHI
TE ABRAX(WA)#34(日本研磨材工業社
製)〕を投入し、さらにセラミックポットミル用ボール
(東洋エンジニアリング社製、商品名;BB−13)数
個を投入し、ボール研磨機(日陶科学社製ポットミル、
商品名;AN−3S)により5時間研磨した。このよう
にして、Ra値9.1μm及びSm値123.5μmの
ビーズを得た(実施例7)。同様に、研磨していない、
Ra値0.19μm及びSm値294.4μmのビーズ
を作製した(比較例7)。次いで、各々のビーズをメタ
ノールで3回洗浄して、注射用生理食塩水(大塚製薬社
製)で5回洗浄した。その後、同じく注射用生理食塩水
で洗浄した2ml用ポリプロピレン製サンプルチューブ
(ダイヤトロン社製、商品名:エッペンドルフセイフロ
ックチューブ)に充填した。充填量はビーズ70個とし
た。次いで、MPO及びMMP産生誘導実験を行った。
結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表3からも明らかなように、Ra値9.1
μm、Sm値123.5μmのビーズでは、Ra値0.
2μm以下、Sm値が200μm以上のビーズより、M
PO及びMMPの産生誘導が著しく大きいことがわか
る。
【0058】実施例8〜10 ポリスチレン性多孔性微粒子ダイヤイオンHP-50 (三菱
化成社製)、ポリアクリル酸エステル多孔性粒子ダイヤ
イオンHP-1MG(三菱化成社製)、ポリアクリル酸エステ
ル多孔性粒子アンバーライトXAD-7 (オルガノ社製)を
蒸留水にて3回洗浄し、一晩室温にて静置した。次い
で、蒸留水にて3回洗浄し、メタノールにて洗浄後、メ
タノールに懸濁して6時間静置した。これを蒸留水、注
射用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄し、注射用生理
食塩水に懸濁して超音波洗浄を行い、吸引ポンプにて脱
気した。
【0059】このようにして、洗浄した各粒子を滅菌及
び洗浄を行った2ml用ポリプロピレン製サンプルチュ
ーブ(ダイヤトロン社製、商品名:エッペンドルフセイ
フロックチューブ)にかさ体積で500μl 充填した。
このチューブにヘパリン採血した健常人新鮮血1.6m
lを加えて回転円盤に取り付けて、37℃にて2時間、
回転数26rpmで転倒混和した。しかる後、血液を回
収し、前述の方法で血漿中のMPO及びMMPの濃度を
測定した。結果を表4に示した。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、特定の凹凸を表面に有
する材料と血液とを接触させるだけで、簡便にかつ迅速
に全血からミエロペルオキシダーゼ又はマトリックスメ
タロプロテイナーゼの産生を誘導できる。これを用いれ
ば、検査される者自身の血液からのミエロペルオキシダ
ーゼ又はマトリックスメタロプロテイナーゼ産生誘導量
を測定することによって、検査される者の免疫、炎症に
関係する生体反応を検出することが可能になり、種々の
疾患の予防や各種疾患における病態の把握、治療指針の
決定に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】でこぼこ平均間隔Sm値における山の定義を説
明するための図。
【図2】でこぼこ平均間隔Sm値を説明するための図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心線平均粗さRa値が0.2μm〜1
    0μmであり、でこぼこ平均間隔Sm値が5μm〜20
    0μmの範囲にある凹凸を表面に有する材料と血液とを
    接触させることにより、ミエロペルオキシダーゼの産生
    を誘導させ、該ミエロペルオキシダーゼの産生量を測定
    することを特徴とする細胞機能測定方法。
  2. 【請求項2】 中心線平均粗さRa値が0.2μm〜1
    0μmであり、でこぼこ平均間隔Sm値が5μm〜20
    0μmの範囲にある凹凸を表面に有する材料と血液とを
    接触させることにより、マトリックスメタロプロテイナ
    ーゼの産生を誘導させ、該マトリックスメタロプロテイ
    ナーゼの産生量を測定することを特徴とする細胞機能測
    定方法。
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Cited By (7)

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