JPH09219371A - 化合物半導体の結晶成長法 - Google Patents
化合物半導体の結晶成長法Info
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Abstract
成長させる際に、表面欠陥のない良好な表面モルホロジ
ーを実現し、かつ、良好な結晶品質を保ちつつ、所望の
高い正孔濃度を得ることのできる化合物半導体の結晶成
長法を提供すること。 【解決手段】V 族元素を含む第1のガスと、III 族元素
を含む第2のガスと、IV族元素もしくは VI 族元素を含
む第3のガスを供給ガスとし、基板を回転させながら、
上記 IV 族元素もしくは VI 族元素を不純物として添加
した上記 V 族元素とIII族元素とからなる化合物半導体
を、上記基板上に気相成長により形成させる化合物半導
体の結晶成長法において、上記基板もしくは該基板の支
持台の回転数をω回/分、上記基板上に導入する原料ガ
スおよびキャリアガスの総流量をVリットル/分、成長
室内の圧力をP気圧としたとき、成長条件式 ω> 3.2
×V2×P を満足する条件下で結晶成長を行わせる結晶
成長法とすること。
Description
れた III − V 族化合物半導体の結晶成長法に係り、特
に、表面欠陥のない良好な表面モルホロジーを実現し、
かつ、良好な結晶品質を保ちつつ、所望の高い自由キャ
リア濃度を得ることのできる化合物半導体の結晶成長法
に関する。
族化合物半導体に対して、p型の導電型を与える不純物
としての炭素(C)が注目されている。C は拡散定数が小
さく、高濃度のドーピングが可能であるという特性を有
しており、実用上極めて優れていて、例えば、C がドー
プされた GaAs や AlGaAs は、AlGaAs/GaAs ヘテロ接合
型バイポーラトランジスタ(HBT)のベース層に広く用い
られている。
来、MOCVD 法による GaAs の結晶成長において、ハロメ
タン系の物質を C の原材料とする方法が多く用いられ
てきた。例えば、MOCVD 法によって C ドープ GaAs を
結晶成長させる場合、C の原材料として四塩化炭素(CCl
4)を用いる。すなわち、CCl4中の C が C 源となって、
成長している結晶中への C ドーピングが可能となる。
このとき、CCl4供給量あるいは成長温度あるいはIII族
ガス供給量に対する V 族ガス供給量比(V/III比)を変化
させて C ドーピングによる正孔濃度を制御することも
できる。
大させて正孔濃度を高くするためには、CCl4供給量を増
加させること、成長温度を低くすること、V/III比を低
くすることなどの手法が有効である。CCl4供給量を増加
させると、CCl4供給量に比例して正孔濃度は増加する。
これは、CCl4供給量に比例して成長層表面に到達するC
原材料の量が増加するためである。また、成長温度を低
くすると、基板表面への C 源の吸着係数が増加するた
めに、C ドーピングによる正孔濃度が増加する。さら
に、V/III比を低くすると、成長表面の As の被覆率が
減少するため、Cの取り込まれるサイト数が増加し、し
たがって C の固相への取り込みが増加して正孔濃度が
増加すると考えられる。
GaAs を気相成長させながら C をドーピングするとき
に、CCl4 供給量を増加させること、成長温度を低くす
ることあるいは V/III比を低くすることで、結晶への C
の高濃度ドーピングが可能となる。
させて正孔濃度を高くするために CCl4供給量を増加さ
せた場合、成長層の表面モルホロジーが劣化すること
や、成長層表面に円錐型の表面欠陥が高密度に生成する
などの問題があった。
によると考えられる。CCl4 は気相中あるいは成長層表
面で分解して、塩化水素(HCl)あるいは塩素ガス(Cl2)を
発生すると考えられる。これらの HCl や Cl2 は GaAs
などIII‐V 族化合物半導体をエッチングする作用を有
しているため、結晶成長と同時にエッチングが生じるこ
とになる。このエッチング効果のために成長層の表面の
平坦性が損なわれ、表面モルホロジーが劣化すると考え
られる。
な原因によると考えられる。この円錐状の欠陥の核は大
半が C からなり、円錐の斜面部分は GaAs であること
が報告されている(T. Nittono, N. Watanabe, H. Ito,
H. Sugahara, K. Nagata and O. Nakajima, Jpn. J. A
ppl. Phys. 33(1994)6129)。過剰に供給された CCl4 が
分解・凝集して C 原子の核を形成し、それを中心にして
GaAs が異常成長したためと考えられる。以上説明した
ように、CCl4 供給量を増加させた場合に、成長速度の
低下や表面欠陥の生成といった問題があった。
度を高くするために成長温度を低くした場合、上述のよ
うな成長速度の低下や表面欠陥の生成を抑制することが
可能であるが、成長温度を低くした場合、不活性な炭素
など再結合中心となる欠陥が結晶中に生成してしまうた
め C ドープ GaAs の結晶品質が低下するという問題が
あった。
を高くするために V/III 比を低くした場合、気相中の
AsH3 分圧が低下して成長表面からの As の脱離速度が
増大すると考えられる。このために、成長層の表面モル
ホロジーが低下してしまうという問題点があった。以上
のような問題点は、CCl4だけでなく、四臭化炭素(CBr4)
など他のハロメタン系材料でも同様に生じる。
て C ドープ GaAs を成長させる際に生じる上記のよう
な問題点を解決して、表面欠陥のない良好な表面モルホ
ロジーを実現し、かつ、良好な結晶品質を保ちつつ、所
望の高い正孔濃度を得ることのできる化合物半導体の結
晶成長法を提供することにある。
含む第1のガスと、III 族元素を含む第2のガスと、IV
族元素もしくは VI 族元素を含む第3のガスを供給ガ
スとし、基板を回転させながら、上記 IV 族元素もしく
は VI 族元素を不純物として添加した上記 V族元素とII
I族元素とからなる化合物半導体を、上記基板上に気相
成長により形成させる化合物半導体の結晶成長法におい
て、上記基板もしくは該基板の支持台の回転数をω回/
分、上記基板上に導入する原料ガスおよびキャリアガス
の総流量をVリットル/分、成長室内の圧力をP気圧と
したとき、次に示す成長条件式 ω> 3.2×V2×P (1) を満足する条件下で結晶成長を行わせることを特徴とす
る化合物半導体の結晶成長法とすることによって達成す
ることができる。
十分高い成長温度において、低いハロメタン供給量で表
面欠陥のない良好な表面モルホロジーを有し、かつ、所
望の高い正孔濃度を持つ化合物半導体層を得ることがで
きる。
概要を説明する。C は As サイトに取り込まれてアクセ
プターとなるから、成長表面の C と Asとは同じサイト
に吸着して固相に取り込まれる。C の取り込みは、成長
表面における C 反応種と As 反応種との競合吸着過程
により律速されると考えられる。このとき、正孔濃度N
pは、C の表面被覆率θCによって決まり、(2)式で表わ
される。 Np=kθC (2) ここでkは定数である。As との競合吸着過程における
θCは、Langmuirの等温吸着式を用い、(3)式で表わされ
る。
種の吸着/脱離の速度比(吸着係数)および分圧であ
る。
+βCpCであるから、(3)式は以下のような形で表わさ
れる。
As 分圧(pAsH3)は通常の成長条件では十分高いた
め、基板表面での As 分圧pAsはpAsH3と熱平衡状態に
ある。したがって、 pAs∝pAsH3 (5) 一方、C の平衡蒸気圧は比較的低く、また、導入した C
分圧(pCXyH4-y)もpAsH3に比べて十分低いため、基
板表面での C 分圧pCは C 原料ガス CXyH4-yが境界層
内を拡散するフラックス(JCXyH4-y)に比例する。し
たがって、
以下の自然数、δは粘性流体が形成する境界層の厚さで
ある。以上から、正孔濃度Npは
望の高い正孔濃度を得るには、上記(7)式中のδを減少
させればよい。
する境界層の厚さは
させることによって境界層厚を減少させることができ、
所望の高い正孔濃度を得ることができる。
以下のような理由によって決められる。基板を回転させ
た場合、基板直上の気体は遠心力により径方向外側に排
気される。排気される流量分は基板上方から供給され
る。
で与えられる値以下である場合、遠心力により径方向外
側に排気される流量よりも、基板上方から供給される気
体流量の方が大きくなる。このような状況にあっては、
基板上のガス流速は供給ガス流量により決定され、基板
回転数に律速されない。従って、境界層厚は式(8)で与
えられる関係を示さず、基板回転数に依存しなくなる。
すなわち、正孔濃度は基板回転数によって変化しない。
えられる値を越えると、遠心力により径方向外側に排気
される流量よりも、基板上方から供給される気体流量の
方が小さくなる。このような状況にあっては、基板上の
ガス流速は基板回転数により律速される。従って、境界
層厚は基板回転数と式(8)で与えられる関係を示す。す
なわち、基板回転数を増加させることにより正孔濃度を
も増加させることができる。
で与えられる範囲に設定することで、本発明の効果が最
も有効に現れることになる。
によって具体的に説明する。また、ここでは、C の原材
料として四臭化炭素(CBr4)を用い、形成する GaAs層に
炭素をドープする場合の例について説明する。
を説明するための正孔濃度と基板回転数との関係を示す
相関図である。ここで、成長圧力は 60Torr(=0.08気
圧)、ガス総流量は23リットル/分とした。従って、成長
条件式(1)で与えられるωの下限値は140回転/分であ
る。また、成長温度は540℃、V/III比を25とした。これ
らの条件は、十分に良好な結晶品質を実現できる条件で
ある。
に生成する表面欠陥密度と CBr4 供給量との関係は図2
に示すような相関にある。従って、CBr4 供給量を1×1
0~5mol/min以下にすることで、成長表面に生成する表面
欠陥密度が実用上問題のない程度に抑えることができ
る。
いるような本例における下限値140回転/分以下の低い基
板回転数においては、表面欠陥密度を実用上問題のない
範囲に抑えたまま実現できる最も高い正孔濃度は1×10
19cm~3程度であった。
転/分を越える基板回転数に設定することによって、表
面欠陥密度を実用上問題のない範囲に抑えたまま実現で
きる最も高い正孔濃度を増大させることができる。
基板回転数で、表面欠陥密度を実用上問題のない範囲に
抑えたまま実現できる最も高い正孔濃度として、4×10
19cm~3程度の高濃度ドーピングが実現できた。
は、表面欠陥密度を実用上問題のない範囲に抑えたまま
実現できる最も高い正孔濃度は飽和する傾向が得られ
た。
子の成長表面からの脱離速度が増加し、実効的に成長表
面に到達する原料ガス分子数が低下する効果が、境界層
厚減少によりフラックスが増加する効果と拮抗している
ためである。
高速で基板を回転させることにより、表面欠陥密度を実
用上問題のない範囲に抑えたまま、従来よりも高い高濃
度ドーピングを実現できた。
を用いた場合を例として説明したが、これに限るもので
はない。炭素原料として、CCl4や CCl3H などの塩化物
系ハロメタンや他の臭化物系ハロメタン・ヨウ化物系ハ
ロメタンでも同様の効果が得られる。
メタンを用いた場合を例にとり説明したが、III族原料
あるいは V 族原料中に含まれるアルキル基から炭素を
添加する場合にも同様の効果が得られる。
る不純物元素として炭素を例にとって説明したが、V 族
サイトに取り込まれてn型の導電性を与える VI 族元素
である硫黄(S)、セレン(Se)などでも同様の効果が得ら
れる。
II‐V 族化合物半導体として GaAsの場合を例にとり説
明したが、これに限るものではなく、AlAs、InAs、InP
など他の III‐V 族化合物半導体、あるいは、これらの
混晶などにおいても同様の効果が得られる。
結晶成長法を本発明開示の方法とすることによって、従
来技術の有していた課題を解決して、表面欠陥のない良
好な表面モルホロジーを実現し、かつ、良好な結晶品質
を保ちつつ、所望の高い正孔濃度を得ることのできる化
合物半導体の結晶成長法を提供することができた。。す
なわち、本発明の方法とすることによって、III‐V 族
化合物半導体の気相成長において、V 族サイトに不純物
を添加する場合に、成長条件や原料供給量を変化させる
ことなく、不純物元素を所望の高い濃度に結晶内に添加
することができ、この結果、所望の高い自由キャリア濃
度を、結晶品質や表面モルホロジーを損なうことなく得
ることができる。
孔濃度と基板回転数との関係を示す相関図。
長層表面に生成する表面欠陥密度と CBr4供給量との関
係を示す相関図。
Claims (4)
- 【請求項1】V 族元素を含む第1のガスと、III 族元素
を含む第2のガスと、IV 族元素もしくは VI 族元素を
含む第3のガスを供給ガスとし、基板を回転させなが
ら、上記 IV 族元素もしくは VI 族元素を不純物として
添加した上記 V 族元素とIII族元素とからなる化合物半
導体を、上記基板上に気相成長により形成させる化合物
半導体の結晶成長法において、上記基板もしくは該基板
の支持台の回転数をω回/分、上記基板上に導入する原
料ガスおよびキャリアガスの総流量をVリットル/分、
成長室内の圧力をP気圧としたとき、次に示す成長条件
式 ω> 3.2×V2×P を満足する条件下で結晶成長を行わせることを特徴とす
る化合物半導体の結晶成長法。 - 【請求項2】上記不純物元素が炭素(C)であることを特
徴とする請求項1記載の化合物半導体の結晶成長法。 - 【請求項3】上記炭素(C)の原材料がハロメタン系材料
であることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体の
結晶成長法。 - 【請求項4】V 族元素を含む第1のガスと、III族元素
を含む第2のガスを供給ガスとし、かつ、上記第1のガ
スもしくは第2のガスに炭素が含まれており、基板を回
転させながら、炭素を不純物として添加した上記 V 族
元素とIII族元素とからなる化合物半導体を、上記基板
上に気相成長により形成させる化合物半導体の結晶成長
法において、上記基板もしくは基板の支持台の回転数を
ω回/分、上記基板上に導入する原料ガスおよびキャリ
アガスの総流量をVリットル/分、成長室内の圧力をP
気圧としたとき、次に示す成長条件式 ω> 3.2 ×V2×P を満足する条件下で結晶成長を行わせることを特徴とす
る化合物半導体の結晶成長法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02645996A JP3715017B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | 化合物半導体の結晶成長法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02645996A JP3715017B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | 化合物半導体の結晶成長法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09219371A true JPH09219371A (ja) | 1997-08-19 |
JP3715017B2 JP3715017B2 (ja) | 2005-11-09 |
Family
ID=12194102
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02645996A Expired - Lifetime JP3715017B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | 化合物半導体の結晶成長法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3715017B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003218467A (ja) * | 2002-01-28 | 2003-07-31 | Ricoh Co Ltd | 半導体分布ブラッグ反射鏡およびその製造方法および面発光型半導体レーザおよび光通信モジュールおよび光通信システム |
WO2003071011A1 (de) * | 2002-02-22 | 2003-08-28 | Aixtron Ag | Verfahren und vorrichtung zum abscheiden von halbleiterschichten |
CN113136616A (zh) * | 2021-03-29 | 2021-07-20 | 大庆溢泰半导体材料有限公司 | 一种生长半绝缘砷化镓单晶的掺碳装置及掺碳方法 |
-
1996
- 1996-02-14 JP JP02645996A patent/JP3715017B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113136616A (zh) * | 2021-03-29 | 2021-07-20 | 大庆溢泰半导体材料有限公司 | 一种生长半绝缘砷化镓单晶的掺碳装置及掺碳方法 |
CN113136616B (zh) * | 2021-03-29 | 2022-02-08 | 大庆溢泰半导体材料有限公司 | 一种生长半绝缘砷化镓单晶的掺碳装置及掺碳方法 |
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