JPH09217763A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JPH09217763A
JPH09217763A JP2688096A JP2688096A JPH09217763A JP H09217763 A JPH09217763 A JP H09217763A JP 2688096 A JP2688096 A JP 2688096A JP 2688096 A JP2688096 A JP 2688096A JP H09217763 A JPH09217763 A JP H09217763A
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JP
Japan
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pump
rotating member
center line
power transmission
transmission device
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Application number
JP2688096A
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English (en)
Inventor
Koichi Kayashima
浩一 萱嶋
Seiji Takamori
誠二 高森
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Publication of JPH09217763A publication Critical patent/JPH09217763A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対回転に伴って発生するポンプ作用でトル
ク伝達を行うとともに、その伝達トルクを制限する機構
を備えた動力伝達装置を、簡単な構造でコンパクトに構
成する。 【解決手段】 ハブ12とハウジング14とが相対回転
させられることにより、一対のギヤ式のポンプ16,1
8が流体圧を発生してトルク伝達を行う一方、流体圧が
高くなると、ポンプ16,18の側壁を構成しているピ
ストン38,40が圧縮コイルスプリング42の付勢力
に抗して後退させられ、吐出側から吸入側へ流通する流
体の流通抵抗が低下させられて、伝達トルクの上昇が制
限される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝達装置に係
り、特に、相対回転に伴ってポンプの吐出量が増大させ
られることによりトルク伝達を行う動力伝達装置の改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 一中心線まわりの相対回転可能に配設された第1回
転部材および第2回転部材と、(b) その第1回転部材と
第2回転部材との間に前記一中心線と同軸に一体的に設
けられ、その第1回転部材および第2回転部材の相対回
転に伴って流体圧を発生するポンプと、(c) そのポンプ
の吐出部から吸入部へ流体が戻ることを許容する戻し通
路とを有し、前記第1回転部材と前記第2回転部材との
相対回転に応じて前記ポンプの吐出量が増大することに
より、前記戻し通路における流通抵抗に基づいてその第
1回転部材と第2回転部材との間でトルク伝達を行う動
力伝達装置が、例えば前後輪を連結する駆動力伝達軸や
左右の車輪の差動を制限する差動制限装置などに用いら
れている。特開平3−167034号公報に記載されて
いる装置はその一例で、ベーン式ポンプによって流体圧
を発生するとともに、軸方向において互いに反対側に設
けられた吐出部と吸入部とを結ぶ戻し通路はハウジング
に設けられている。また、その戻し通路の途中にはピス
トンが配設されているとともに、そのピストンを付勢す
る付勢手段が設けられ、流体圧により付勢手段の付勢力
に抗してピストンが移動させられることにより、戻し通
路の流通断面積を変化させて所定の伝達トルク特性が得
られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の動力伝達装置においては、戻し通路がハウジ
ングに形成されているとともに、その戻し通路の途中に
ピストンなどが配設されているため、構造が複雑で径寸
法および軸方向寸法が大きくなるという問題があった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、伝達トルクを制限す
る機構を備えた動力伝達装置を簡単な構造でコンパクト
に構成できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、(a) 一中心線まわりの相対回転可能に
配設された第1回転部材および第2回転部材と、(b) そ
の第1回転部材と第2回転部材との間に前記一中心線と
同軸に一体的に設けられ、その第1回転部材および第2
回転部材の相対回転に伴って流体圧を発生するポンプ
と、(c) そのポンプの吐出部から吸入部へ流体が戻るこ
とを許容する戻し通路とを有し、前記第1回転部材と前
記第2回転部材との相対回転に応じて前記ポンプの吐出
量が増大することにより、前記戻し通路における流通抵
抗に基づいてその第1回転部材と第2回転部材との間で
トルク伝達を行う動力伝達装置において、(d) 前記ポン
プは、前記一中心線と略直角な共通の一平面内に前記吸
入部および吐出部が設けられているものである一方、
(e) その吸入部および吐出部を含む部分に前記ポンプの
ポンプ室に連続して前記一中心線と略平行に設けられた
シリンダボアと、(f) そのシリンダボア内に軸方向の摺
動可能に嵌合され、前記一平面との間の隙間によって前
記戻し通路を形成するとともに、その一平面に対して接
近離間させられることによりその戻し通路の流通断面積
を変化させるピストンと、(g) そのピストンを前記一平
面に向かって付勢する付勢手段とを有することを特徴と
する。
【0006】
【発明の効果】このような動力伝達装置においては、ポ
ンプ室に連続して設けられたシリンダボア内にピストン
および付勢手段を配設するだけで良いため、構造が簡単
でコンパクトに構成される。また、流体圧の上昇により
付勢手段の付勢力に抗してピストンが後退させられる
と、戻し通路の流通断面積が増大するため、所定値以上
の伝達トルクの増加が抑制されるとともに、その上限値
は付勢手段の付勢力により車種などに応じて適宜設定で
きる。
【0007】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の動力伝達装置
は、スタンバイ4WD車の前後輪を連結する駆動力伝達
軸(プロペラシャフト)に好適に用いられるが、他の駆
動伝達経路に配設したり、差動装置と並列に配設されて
差動を制限する差動制限装置として用いたりすることも
可能である。スタンバイ4WD車の駆動力伝達軸に配設
した場合、駆動輪がスリップした時に発生する前後輪の
回転差に応じて速やかに受動輪に駆動力が伝達されるよ
うになるが、付勢手段の付勢力によって伝達トルクの上
限を調節できるため、タイトコーナーブレーキング現象
を防止しつつ低μ路でのトラクション性能を十分に確保
することが可能である。また、伝達トルクが制限される
ことから、動力伝達部材の要求強度が低減され、部材の
スリム化により重量低減、燃費向上、低コスト化を図る
ことができる。なお、車両以外の動力伝達系に利用する
ことも可能である。
【0008】ポンプとしては、ベーン式ポンプやギヤポ
ンプが好適に用いられる。ギヤポンプの場合の好適な実
施態様は、(a) 一中心線まわりの回転可能に配設された
第1回転部材と、(b) 該第1回転部材と同心に設けられ
て一体的に回転させられる外歯歯車、および該外歯歯車
と偏心して噛み合う内歯歯車から成るポンプ歯車対と、
(c) 該ポンプ歯車対を内側に収容するとともに前記内歯
歯車を前記一中心線から偏心した位置に位置決めする収
容穴を有して、該一中心線まわりの回転可能に配設され
た第2回転部材と、(d) 前記収容穴に連続して前記一中
心線と同心に前記第1回転部材と第2回転部材との間に
形成された円環形状のシリンダボアと、(e) そのシリン
ダボア内に摺動可能に嵌合され、前記ポンプ歯車対の端
面との間の隙間によって該ポンプ歯車対のポンプ作用に
おける吐出部から吸入部へ流体が流動することを許容す
る戻し通路を形成するとともに、該ポンプ歯車対の端面
に接近離間させられることにより該戻し通路の流通断面
積を変化させる円環形状のピストンと、(f) そのピスト
ンを前記一平面に向かって付勢する付勢手段とを有して
構成される。上記収容穴に配設された外歯歯車と内歯歯
車との間の隙間部分がポンプ室で、そのポンプ室やポン
プ歯車対によってギヤポンプが構成されており、ピスト
ンは実質的にポンプの側壁として機能するもので可動側
壁と言い換えることもできる。また、第1回転部材およ
び第2回転部材は、どちらが入力側であっても差し支え
ない。
【0009】この場合は、一中心線と同心に円環形状の
ピストンが配設されるため、前記特開平3−16703
4号公報に記載の装置のようにピストンが一中心線から
ずれた位置に配設される場合に比較して、回転時の力学
的バランスが向上する。このことは、一中心線と同心に
円環形状のシリンダボアが形成されるとともに、そのシ
リンダボア内に摺動可能に円環形状のピストンが配設さ
れるようにすれば、ベーン式ポンプなどの他のポンプを
用いる場合も同様である。
【0010】また、上記のようなギヤポンプを用いた動
力伝達装置としては、更に、前記ポンプ歯車対を前記一
中心線方向に離間して2組備えているとともに、その2
組のポンプ歯車対の内歯歯車は、その中心が前記一中心
線を挟んで略反対側に位置するように前記第2回転部材
によって位置決めされる一方、その複数のポンプ歯車対
の間には共通のシリンダボアが設けられて一対のピスト
ンが配設され、該一対のピストン間には付勢手段として
共通の圧縮コイルスプリングが介在させられるように構
成される。この場合には、2組のポンプ歯車対の偏心位
置が一中心線を挟んで略反対側となるように配置されて
いるため、一中心線まわりにおける力学的なアンバラン
スが一層軽減され、こじりや偏摩耗、回転振動などが抑
制されるとともに、一対のピストンが背中合せに配設さ
れて共通の圧縮コイルスプリングにより付勢されるた
め、装置が簡単且つコンパクトに構成される。また、2
組のポンプが組み込まれているため、径寸法を小さく維
持しつつ大きな伝達トルクを発生させることができる。
【0011】なお、ポンプの配設数は適宜設定すること
が可能で、1台でも良いし、2台、或いは3台以上であ
っても良い。ポンプ室内に充填する流体としては、潤滑
油剤などの油を用いることもできるが、流通抵抗によっ
て大きな伝達トルクを発生させる上で、通常より粘性の
高いシリコンオイルを用いることが望ましい。また、ピ
ストンを付勢する付勢手段としては、上記のように圧縮
コイルスプリングなどのばね部材が好適に用いられる
が、弾性ゴム部材などを採用することも可能である。
【0012】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の一実施例である動力伝
達装置10の断面図で、図2および図3はそれぞれ図1
におけるI−I断面、II−II断面を示す図である。この
動力伝達装置10は、例えばスリップなどで前後輪に回
転速度差が生じた場合に、その回転速度差に応じた駆動
力を受動輪(通常の走行時は遊動輪となっている車輪)
に伝達するスタンバイ4WD車等に好適に用いられ、前
後輪を連結する駆動力伝達軸(プロペラシャフト)に配
設される。動力伝達装置10は、エンジン側から駆動力
が伝達される第1回転部材としてのハブ12と、第2回
転部材としてのハウジング14と、それ等のハブ12と
ハウジング14との間に一体的に設けられた2組のポン
プ16,18とを備えて構成されており、円筒形状のハ
ブ12は内周面に設けられたスプラインを介して図示し
ないインプットシャフトに相対回転不能に連結され、自
身の中心線である一中心線Oまわりに回転駆動される。
ハウジング14は、ハブ12の外周側に一中心線Oまわ
りの相対回転可能に配設された一対のカバー20および
22を備えており、それ等のカバー20および22は複
数の締結ボルト24により一体的に締結されているとと
もに、カバー20に設けられた複数のねじ穴26を介し
て図示しない受動輪側回転部材に連結されるようになっ
ている。カバー20,22とハブ12との間はそれぞれ
シールリングによって液密にシールされているととも
に、両カバー20および22は嵌め合いにより同心に位
置決めされ、且つ突合せ部分は液密に密着させられてい
る。
【0013】上記カバー20,22の相対向する部分に
は、一中心線Oから同じ距離だけ偏心した位置O1 ,O
2 を中心としてそれぞれ有底円形の収容穴28,30が
設けられており、カバー20,22は、それ等の収容穴
28,30の中心O1 ,O2が一中心線Oを挟んで反対
側に位置する状態で、すなわち180°位相がずれた状
態で前記締結ボルト24により一体的に固設されてい
る。前記ポンプ16,18は全く同じ構成のギヤポンプ
で、それぞれ外歯歯車16a,18aおよび内歯歯車1
6b,18bから成る歯車対を備えており、上記収容穴
28,30内に収容されている。外歯歯車16a,18
aは、それぞれ前記ハブ12と同心に且つキーを介して
相対回転不能に配設され、ハブ12と一体的に一中心線
Oまわりに回転させられる一方、内歯歯車16b,18
bは外歯歯車16a,18aよりも歯数が多くて前記収
容穴28,30の内径と略同じか僅かに小さい外径を有
し、その収容穴28,30の内壁面に略接触する状態で
偏心位置に位置決めされて外歯歯車16a,18aと噛
み合わされている。外歯歯車16a,18aと内歯歯車
16b,18bとの間には三日月状の隙間が形成される
が、その隙間には、それぞれカバー20,22に一体に
設けられた三日月状の仕切り32,34が位置させら
れ、それ等の外歯歯車16a,18aおよび内歯歯車1
6b,18bを位置決めしている。なお、図2では、カ
バー22が省略されている。
【0014】上記ポンプ18が配設されたカバー22に
は、収容穴30よりも大径の大径穴36が一中心線Oを
中心として収容穴30に連続して設けられており、ハブ
12の外周面との間に円環形状のシリンダボアを形成し
ている。このシリンダボア内には、一対の円環形状のピ
ストン38,40が軸方向の摺動可能に配設されている
とともに、その一対のピストン38,40の間には複数
(例えば8個)の圧縮コイルスプリング42が一中心線
Oまわりに略等角度間隔で介在させられ、それ等のピス
トン38,40を互いに離間する方向へ付勢している。
圧縮コイルスプリング42は付勢手段に相当するもの
で、この圧縮コイルスプリング42の付勢力によって、
ピストン38,40はそれぞれ収容穴28,30の開口
端面に当接させられる。ピストン38,40の背面、す
なわち相対向する面には、それぞれ圧縮コイルスプリン
グ42を位置決めするばね受け穴が形成されている。
【0015】ピストン38,40の外周面および内周面
にはそれぞれOリングが嵌め着けられ、大径穴36の内
壁面およびハブ12の外周面との間が液密にシールされ
ているとともに、ピストン38と40との間は空気室4
4とされている。空気室44は、ハブ12やカバー22
に径方向へ貫通して設けられた連通孔などを介して外部
に連通させるようにしても良い。また、ハブ12には、
前記収容穴28,30の開口端面間の寸法と略等しい長
さ寸法で大径部が設けられ、それ等の収容穴28,30
内に配設された外歯歯車16a,18aと係合させられ
ることにより、軸方向の位置決めが為されている。
【0016】上記一対のピストン38,40が収容穴2
8,30の開口端面に当接させられることにより、その
収容穴28,30内がそれぞれ略液密に密閉され、これ
により外歯歯車16a,18aと内歯歯車16b,18
bとの間にポンプ室46,48が形成される。ピストン
38,40は、実質的にポンプ16,18の側壁として
機能している。そして、このポンプ室46,48内に所
定の流体が充填されて外歯歯車16a,18aと内歯歯
車16b,18bとが相対回転させられることによりポ
ンプ作用が得られる。このポンプ作用をポンプ16につ
いて具体的に説明すると、例えば図5に示すように、カ
バー20が固定で外歯歯車16aがハブ12と共に左ま
わりに回転させられると、内歯歯車16bも偏心点O1
まわりに噛合い回転させられるが、噛合い部分の上流側
ポンプ室部分46aすなわち図の右側の部分では容積が
減少して流体を外部へ吐出する一方、噛合い部分の下流
側ポンプ室部分46bすなわち図の左側の部分では容積
が増大して外部から流体を吸入する。上流側ポンプ室部
分46aは吐出部で、下流側ポンプ室部分46bは吸入
部であり、歯車対の側面のうちピストン38側の面が請
求項1に記載の一平面に相当する。
【0017】また、上記のようなポンプ作用を継続して
得るためには、吐出側すなわち上流側ポンプ室部分46
aから吸入側すなわち下流側ポンプ室部分46bへ流体
を流通させる戻し通路を設ける必要があるが、本実施例
では、図4の(a) に示すようにポンプ歯車対の側部に所
定の隙間50が形成され、この隙間50が戻し通路とし
て機能するようになっている。すなわち、収容穴28,
30の深さ寸法は、ポンプ16,18の歯車対の歯幅寸
法(軸方向寸法)より僅かに大きく、ピストン38,4
0が収容穴28,30の開口端面に当接させられた状態
においても、ポンプ歯車対の側部に隙間50が形成され
るのである。
【0018】ここで、ハブ12およびハウジング14の
回転数が等しく、両者が一体的に一中心線Oまわりに回
転している場合は、ポンプ16,18の外歯歯車16
a,18aおよび内歯歯車16b,18bも一体的に一
中心線Oまわりに回転するため上記ポンプ作用は得られ
ず、ハブ12とハウジング14とが相対回転させられる
場合にポンプ作用を発生する。このポンプ作用は、ハブ
12とハウジング14との相対回転速度が大きくなる程
大きくなり、吐出量が増大して流体の流通量が多くな
る。
【0019】また、本実施例ではポンプ室46,48内
に充填する流体として高粘性流体、具体的には高粘度の
シリコンオイルが用いられ、隙間50を流通する際に比
較的大きな流通抵抗を発生する。このため、ハブ12と
ハウジング14との相対回転速度に対応してポンプ作用
による吐出量が増大すると、上記流通抵抗によって流体
圧力が上昇し、それ等ハブ12とハウジング14との間
の伝達トルクは、図6に示すように相対回転速度(差動
回転数)の増大に伴って大きくなる。すなわち、相対回
転速度に対応して吐出量が増大すると、ポンプ室46,
48の吐出部(上流側ポンプ室部分46a)で圧力が高
くなり、その流体圧力で内歯歯車16b,18bがカバ
ー20,22に押圧されることにより、それ等を一体的
に前記一中心線Oまわりに回転させようとする力が増大
するとともに、流体圧力の上昇に伴ってポンプ作用によ
る吐出が困難になるため、ポンプ作用を抑制するように
内歯歯車16b,18bと外歯歯車16a,18aとを
一体的に一中心線Oまわりに回転させようとする力が増
大し、これ等の力でハブ12とハウジング14との間の
伝達トルクが大きくなるのである。この伝達トルクの増
加特性は、使用する流体の粘性や前記隙間50の寸法に
よって調整できる。
【0020】一方、流体圧力が高くなると、圧縮コイル
スプリング42の付勢力に抗してピストン38,40が
互いに接近するように押し戻され、そのピストン38,
40とポンプ歯車対との間の隙間50が大きくなるた
め、その隙間50を流通する流体の流通抵抗が低下して
伝達トルクの増加が抑制される。図6の点Aは、圧縮コ
イルスプリング42の付勢力に抗してピストン38,4
0が後退し始めた部分であるが、この伝達トルクの上限
値(トルク制限値)は、圧縮コイルスプリング42の弾
性係数や組付け荷重、配設数量などにより適宜設定さ
れ、例えばタイトコーナーブレーキング現象を防止しつ
つ低μ路でのトラクション性能を十分に確保することが
できるように、車種などに応じて定められる。図6の伝
達トルク特性は一例である。
【0021】このように、本実施例の動力伝達装置10
によれば、駆動輪がスリップしてハブ12とハウジング
14との間で差動回転が生じると、その差動回転数に応
じて速やかに受動輪に駆動力が伝達されるとともに、圧
縮コイルスプリング42の付勢力に抗してピストン3
8,40が後退させられることにより、伝達トルクの所
定値以上の上昇が制限されるため、タイトコーナーブレ
ーキング現象を防止しつつ低μ路でのトラクション性能
を十分に確保することができる。また、伝達トルクが制
限されることから、動力伝達部材の要求強度が低減さ
れ、部材のスリム化により重量低減、燃費向上、低コス
ト化を図ることができる。
【0022】その場合に、本実施例ではポンプ室46,
48に連続するように大径穴36を設け、その大径穴3
6内に一対のピストン38,40および圧縮コイルスプ
リング42を配設するだけで良いため、構造が簡単でコ
ンパクトに構成される。
【0023】また、一中心線Oと同心に円環形状のピス
トン38,40が配設されるため、回転時の力学的バラ
ンスが向上する。特に、2組のポンプ16,18の偏心
点O 1 ,O2 が一中心線Oを挟んで反対側となるように
配置されているため、一中心線Oまわりにおける力学的
なアンバランスが一層軽減され、こじりや偏摩耗、回転
振動などが抑制される。
【0024】また、2組のポンプ16,18が組み込ま
れているため、径寸法を小さく維持しつつ大きな伝達ト
ルクを発生させることができる。また、一対のピストン
38,40が背中合せに配設されて共通の圧縮コイルス
プリング42により付勢されるため、装置が一層簡単且
つコンパクトに構成される。
【0025】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通す
る部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0026】図7に示す動力伝達装置60は前記ポンプ
16を省略した場合で、単一のポンプ18によって発生
する流体圧に基づいてトルク伝達を行うようにしたもの
である。この場合の圧縮コイルスプリング42は、カバ
ー20とピストン40との間に配設されてピストン40
を付勢するようになっている。
【0027】図8は、スタンバイ4WDにおけるリヤ側
ディファレンシャル装置70のドライブピニオン72と
図示しない駆動力伝達軸(プロペラシャフト)との間に
動力伝達装置74が配設されている場合である。動力伝
達装置74は、実質的に前記図1の動力伝達装置10と
同じであるが、ハブ12が出力側のドライブピニオン7
2に相対回転不能にスプライン嵌合され、ハウジング1
4が複数のボルト76により連結部材78を介して入力
側の駆動力伝達軸に連結されるようになっている。ま
た、ハウジング14は非分解型で、カバー20および2
2は溶接やかしめ加工、圧入などにより液密に一体的に
固設されている。
【0028】以上、本発明の幾つかの実施例を図面に基
づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも本発明の
一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種
々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である動力伝達装置の一中心
線を含む断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面を示す図である。
【図3】図1における III− III断面を示す図である。
【図4】図1における左側のポンプ部分を示す断面図
で、ピストンの作動を説明する図である。
【図5】図1の実施例の左側のポンプのポンプ作用を説
明する図である。
【図6】図1の実施例の伝達トルク特性の一例を示す図
である。
【図7】本発明の他の実施例の断面図で、図1に相当す
る図である。
【図8】本発明の更に別の実施例の動力伝達装置がスタ
ンバイ4WD車に用いられた場合の一例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
10,60,74:動力伝達装置 12:ハブ(第1回転部材) 14:ハウジング(第2回転部材) 16,18:ポンプ 36:大径穴(シリンダボア) 38,40:ピストン 42:圧縮コイルスプリング(付勢手段) 46,48:ポンプ室 46a:上流側ポンプ室部分(吐出部) 46b:下流側ポンプ室部分(吸入部) 50:隙間(戻し通路) O:一中心線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一中心線まわりの相対回転可能に配設さ
    れた第1回転部材および第2回転部材と、 該第1回転部材と第2回転部材との間に前記一中心線と
    同軸に一体的に設けられ、該第1回転部材および第2回
    転部材の相対回転に伴って流体圧を発生するポンプと、 該ポンプの吐出部から吸入部へ流体が戻ることを許容す
    る戻し通路とを有し、前記第1回転部材と前記第2回転
    部材との相対回転に応じて前記ポンプの吐出量が増大す
    ることにより、前記戻し通路における流通抵抗に基づい
    て該第1回転部材と該第2回転部材との間でトルク伝達
    を行う動力伝達装置において、 前記ポンプは、前記一中心線と略直角な共通の一平面内
    に前記吸入部および吐出部が設けられているものである
    一方、 該吸入部および吐出部を含む部分に前記ポンプのポンプ
    室に連続して前記一中心線と略平行に設けられたシリン
    ダボアと、 該シリンダボア内に軸方向の摺動可能に嵌合され、前記
    一平面との間の隙間によって前記戻し通路を形成すると
    ともに、該一平面に対して接近離間させられることによ
    り該戻し通路の流通断面積を変化させるピストンと、 該ピストンを前記一平面に向かって付勢する付勢手段と
    を有することを特徴とする動力伝達装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002035110A1 (fr) * 2000-10-26 2002-05-02 Yue Li Embrayage de type pompage pour vehicule
DE102010020118A1 (de) * 2010-05-10 2011-11-10 Mahle International Gmbh Kupplungseinrichtung
JP2015525862A (ja) * 2012-08-07 2015-09-07 マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテルハフツングMAHLE International GmbH ポンピング装置

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