JP3463409B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP3463409B2
JP3463409B2 JP11549295A JP11549295A JP3463409B2 JP 3463409 B2 JP3463409 B2 JP 3463409B2 JP 11549295 A JP11549295 A JP 11549295A JP 11549295 A JP11549295 A JP 11549295A JP 3463409 B2 JP3463409 B2 JP 3463409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は動力伝達装置に係り、特
に、相対回転速度に対応して伝達トルクが大きくなる動
力伝達装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(a)一中心線まわりの回転可能に配設
された第1回転部材と、(b)その第1回転部材と同心
に設けられて一体的に回転させられる外歯歯車、および
その外歯歯車と偏心して噛み合う内歯歯車から成るポン
プ歯車対と、(c)そのポンプ歯車対を内側に収容する
とともに前記内歯歯車を前記一中心線から偏心した位置
に位置決めする収容穴を有して、その一中心線まわりの
回転可能に配設された第2回転部材と、(d)前記一中
心線方向において前記ポンプ歯車対の両側に位置するよ
うに配設され、前記外歯歯車と前記内歯歯車との間にポ
ンプ室を形成して流体を保持するカバー部材と、(e)
前記ポンプ歯車対のポンプ作用における吐出側から吸入
側へ前記流体が戻ることを許容する戻し通路とを有し、
前記第1回転部材と前記第2回転部材との間の伝達トル
クがそれ等の相対回転速度に対応して大きくなる動力伝
達装置が、例えば4輪駆動車の前後輪を連結する駆動力
伝達軸や左右の車輪の差動を制限する差動制限装置など
に用いられている。特開昭62−261739号公報に
記載されている装置はその一例で、前記流体の戻し通路
に配設されたピストンによって多板式の摩擦クラッチが
係合させられるようになっており、相対回転速度に対応
してポンプ作用による吐出量が増大し、ピストンに作用
する流体圧力が高くなることによって伝達トルクが大き
くなる。
【0003】また、実開昭61−206156号公報に
は、第2回転部材の前記内歯歯車の外周側に位置する前
記収容穴の壁面に環状溝が設けられるとともに、その内
歯歯車にその環状溝とポンプ室とを連通させる複数の連
通孔が設けられ、それ等の環状溝および連通孔が戻し通
路として機能する動力伝達装置が記載されている。この
場合は、第1回転部材と第2回転部材との相対回転速度
に対応して前記ポンプ作用による吐出量が増大し、戻し
通路(特に連通孔)における流通抵抗で流体圧力が上昇
することにより、その第1回転部材と第2回転部材との
間の伝達トルクが相対回転速度に対応して大きくなる。
すなわち、相対回転速度に対応して吐出量が増大する
と、戻し通路で流体の流通が制限されることからポンプ
室内の吐出部分で圧力が高くなり、その流体圧力で内歯
歯車が第2回転部材に押圧されることにより、それ等を
一体的に前記一中心線まわりに回転させようとする力が
増大するとともに、流体圧力の上昇に伴ってポンプ作用
による吐出が困難になるため、内歯歯車と外歯歯車とを
一体的に一中心線まわりに回転させようとする力が増大
し、これ等の力で第1回転部材と第2回転部材との間の
伝達トルクが大きくなるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、摩擦ク
ラッチを用いて動力伝達を行う前者においては、部品点
数が多いとともに構造が複雑で大掛かりとなり、装置が
高価になる。戻し通路における流通抵抗に基づく流体の
圧力上昇によりトルクを伝達する後者は比較的構造が簡
単であるが、第2回転部材に環状溝を設ける必要がある
ため径寸法が大きくなるとともに、第2回転部材に環状
溝を設けたり内歯歯車に連通孔を設けたりしなければな
らないため、加工が面倒でコスト高になる。
【0005】また、後者の場合、ポンプ作用による流体
の吐出部分すなわちポンプ歯車対の噛合い部分で高圧と
なるため、偏荷重により第1回転部材や第2回転部材が
撓み変形する恐れがあるとともに、内歯歯車は一中心線
に対して偏心して配設されているため、第2回転部材と
の間のトルク伝達が一中心線まわりにおいて不均一にな
るなど、一中心線まわりにおける力学的なバランスが悪
く、こじりや偏摩耗、回転振動などを生じ易いという問
題があった。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、相対回転速度に対応
して伝達トルクが大きくなる動力伝達装置を簡単且つ安
価でコンパクトに構成できるようにすることにある。ま
た、回転中心である一中心線まわりにおける伝達トルク
などの力学的なアンバランスを改善することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】第1発明は、前記
(a)第1回転部材と、(b)ポンプ歯車対と、(c)
第2回転部材と、(d)カバー部材と、(e)戻し通路
とを有し、前記第1回転部材と前記第2回転部材との相
対回転時にその相対回転速度に対応して前記ポンプ作用
による吐出量が増大し、前記戻し通路における流通抵抗
で流体圧力が上昇することにより、その第1回転部材と
第2回転部材との間の伝達トルクがその相対回転速度に
対応して大きくなる動力伝達装置であって、(f)前記
戻し通路は、前記外歯歯車および前記内歯歯車の少なく
とも一方と、それ等の外歯歯車および内歯歯車の両側に
配設されて前記ポンプ室を形成する前記カバー部材との
の隙間で、前記流体がその隙間を流通する際の流通抵
抗に基づいてトルク伝達が行われることを特徴とする。
【0008】
【作用および第1発明の効果】すなわち、戻し通路にお
ける流通抵抗で相対回転速度に対応して流体圧力が上昇
させられることにより、第1回転部材と第2回転部材と
の間の伝達トルクが相対回転速度に対応して大きくなる
動力伝達装置において、外歯歯車および内歯歯車の少な
くとも一方とカバー部材との間に隙間を設け、その隙間
を戻し通路として機能させるようにしたのであり、第2
回転部材に環状溝を設けるとともに内歯歯車に連通孔を
設ける場合に比較して加工コスト等が低減され、装置が
一層簡単且つ安価に構成されるとともに、環状溝の分だ
け第2回転部材の径寸法を小さくしてコンパクト化,軽
量化を図ることができる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】第2発明は、上記
第1発明の動力伝達装置において、前記ポンプ歯車対を
前記一中心線方向に隣接して複数備えているとともに、
その複数のポンプ歯車対の内歯歯車は、前記一中心線ま
わりにおいて略等角度間隔で位置するように前記第2回
転部材によって位置決めされ、且つその複数のポンプ歯
車対の間には前記カバー部材として仕切りプレートが配
設されていることを特徴とする。
【0010】
【作用および第2発明の効果】このような動力伝達装置
においては、仕切りプレートによって分離されることに
よりそれぞれポンプ作用に基づいてトルクを伝達させる
複数のポンプ歯車対が、一中心線まわりにおいて略等角
度間隔で配設されているため、一中心線まわりにおける
力学的なアンバランスが軽減され、こじりや偏摩耗、回
転振動などが抑制される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の一実施例である動力伝
達装置10の断面図で、その左側面図を示す図2のI−
I断面に相当する図であり、例えば4輪駆動車の前後輪
を連結する駆動力伝達軸(プロペラシャフト)などに配
設され、スリップなどで前後輪に回転速度差が生じた場
合に、その回転速度差に応じた駆動力を伝達するスタン
バイ4WD車等に好適に用いられる。この動力伝達装置
10は、第1回転部材としてのインプットシャフト12
と、第2回転部材としてのアウトプット部材14と、3
組のポンプ歯車対16,18,20とを備えて構成され
ており、インプットシャフト12は複数の取付穴22を
介して図示しない駆動側回転部材に連結され、軸心であ
る一中心線Oまわりに回転駆動される。アウトプット部
材14は、ベアリング24,26を介してインプットシ
ャフト12に一中心線Oまわりの相対回転可能に配設さ
れた一対のケース部材28および30と、それ等のケー
ス部材28,30内に形成される円環形状のポンプ収容
空間内に配設された3枚のリング状部材32,34,3
6とから成り、複数の締結ボルト38により一体的に締
結されているとともに、ケース部材30に設けられた複
数のねじ穴40を介して図示しない従動側回転部材に連
結されるようになっている。ケース部材28,30とイ
ンプットシャフト12との間はそれぞれシール部材4
2,44によって液密にシールされているとともに、ケ
ース部材28および30の外周側突き合わせ部分はシー
ル部材46によって液密にシールされている。なお、図
1ではインプットシャフト12を一体物として図示して
あるが、加工や組付などの都合で、取付穴22が設けら
れた円板状の部材は段付円柱状の軸部と別体に構成さ
れ、相対回転不能に一体的に固設される。
【0012】上記リング状部材32,34,36は、図
3〜図5から明らかなように同一形状を成しており、一
中心線Oから偏心した位置を中心として円形の収容穴4
8,50,52が設けられているとともに、それ等の収
容穴48,50,52の中心が一中心線Oまわりにおい
て略等角度間隔で位置する状態、すなわち120°ずつ
ずれた状態で、前記締結ボルト38によって一体的に締
結されている。前記ポンプ歯車対16,18,20も全
く同じもので、それぞれ外歯歯車16a,18a,20
aおよび内歯歯車16b,18b,20bから成り、上
記収容穴48,50,52内に収容されている。外歯歯
車16a,18a,20aは、それぞれ前記インプット
シャフト12と同心に且つキー突起を介して相対回転不
能に配設され、インプットシャフト12と一体的に一中
心線Oまわりに回転させられる一方、内歯歯車16b,
18b,20bは外歯歯車16a,18a,20aより
も歯数が多くて前記収容穴48,50,52の内径より
僅かに小さい外径を有し、その収容穴48,50,52
の内壁面に略接触する状態で偏心位置に位置決めされて
外歯歯車16a,18a,20aと噛み合わされてい
る。前記図1は、図3〜図5におけるI−I断面に相当
する。
【0013】一中心線O方向において上記リング状部材
32,34,36の相互間、リング状部材32とケース
部材30との間、リング状部材36とケース部材28の
底部との間には、カバー部材としてそれぞれ仕切りプレ
ート54が配設されている。この仕切りプレート54
は、外径がリング状部材32,34,36の外径と略同
じで内径がインプットシャフト12の外径と略同じであ
り、前記締結ボルト38によりリング状部材32,3
4,36に一体的に固設されている。このように、仕切
りプレート54が前記ポンプ歯車対16,18,20の
両側に配設されることにより、外歯歯車16a,18
a,20aと内歯歯車16b,18b,20bとの間に
それぞれポンプ室56,58,60が形成され、そのポ
ンプ室56,58,60内に所定の流体が充填されて、
外歯歯車16a,18a,20aと内歯歯車16b,1
8b,20bとが相対回転させられることによりポンプ
作用が得られる。
【0014】上記ポンプ作用をポンプ歯車対16につい
て具体的に説明すると、例えば図6に示すように、リン
グ状部材32が固定で外歯歯車16aおよび内歯歯車1
6bが左まわりに回転させられる場合、その噛合い部分
の上流側ポンプ室部分56aすなわち図の右側の部分で
は容積が減少して流体を外部へ吐出する一方、噛合い部
分の下流側ポンプ室部分56bすなわち図の左側の部分
では容積が増大して外部から流体を吸入する。このよう
なポンプ作用を継続して得るためには、吐出側すなわち
上流側ポンプ室部分56aから吸入側すなわち下流側ポ
ンプ室部分56bへ流体を流通させる戻し通路を設ける
必要があるが、本実施例では、図7に示すように仕切り
プレート54と各ポンプ歯車対16,18,20との間
に所定の隙間62が形成され、その隙間62が戻し通路
として機能するようになっている。すわなち、仕切りプ
レート54の板厚は一定であるが、リング状部材32,
34,36の板厚寸法はポンプ歯車対16,18,20
の軸方向寸法より大きく、軸方向寸法が等しい外歯歯車
16a,18a,20aおよび内歯歯車16b,18
b,20bと仕切りプレート54との間に隙間62が形
成されるのである。図7は図1におけるA部の拡大図で
ある。
【0015】ここで、インプットシャフト12およびア
ウトプット部材14の回転数が等しく、両者が一体的に
一中心線Oまわりに回転している場合は、ポンプ歯車対
16,18,20の外歯歯車16a,18a,20aお
よび内歯歯車16b,18b,20bも一体的に一中心
線Oまわりに回転するため上記ポンプ作用は得られず、
インプットシャフト12とアウトプット部材14とが相
対回転させられる場合にポンプ作用を発生する。また、
このポンプ作用は、インプットシャフト12とアウトプ
ット部材14との相対回転速度が大きくなる程大きくな
り、吐出量が増大して流体の流通量が多くなる。
【0016】一方、本実施例ではポンプ室56,58,
60内に充填する流体として高粘性流体、具体的には高
粘度のシリコンオイルが用いられ、隙間62を流通する
際に比較的大きな流通抵抗を発生する。このため、イン
プットシャフト12とアウトプット部材14との相対回
転速度に対応してポンプ作用による吐出量が増大する
と、上記流通抵抗によって流体圧力が上昇し、それ等イ
ンプットシャフト12とアウトプット部材14との間の
伝達トルクが相対回転速度に対応して大きくなる。すな
わち、相対回転速度に対応して吐出量が増大すると、ポ
ンプ室56,58,60内の吐出部分で圧力が高くな
り、その流体圧力で内歯歯車16b,18b,20bが
リング状部材32,34,36に押圧されることによ
り、それ等を一体的に前記一中心線Oまわりに回転させ
ようとする力が増大するとともに、流体圧力の上昇に伴
ってポンプ作用による吐出が困難になるため、ポンプ作
用を抑制するように内歯歯車16b,18b,20bと
外歯歯車16a,18a,20aとを一体的に一中心線
Oまわりに回転させようとする力が増大し、これ等の力
でインプットシャフト12とアウトプット部材14との
間の伝達トルクが大きくなるのである。この伝達トルク
の特性は、使用する流体の粘性や前記隙間62の寸法に
よって調整できるが、本実施例では高粘度のシリコンオ
イルを用いているため、多板式の摩擦クラッチを用いる
ことなく高トルクの伝達が可能である。
【0017】このような本実施例の動力伝達装置10に
おいては、ポンプ歯車対16,18,20と仕切りプレ
ート54との間に隙間62が設けられ、その隙間62が
戻し通路として機能させられるようになっているため、
実開昭61−206156号公報に記載の装置と同様に
リング状部材32,34,36に環状溝を設けるととも
に内歯歯車16b,18b,20bに連通孔を設ける場
合に比較して加工コスト等が低減され、装置が一層簡単
且つ安価に構成される。また、環状溝の分だけリング状
部材32,34,36の径寸法を小さくすることができ
るため、動力伝達装置10のコンパクト化,軽量化が可
能である。
【0018】また、本実施例では、一中心線O方向に隣
接して配設されるとともに仕切りプレート54によって
分離された3組のポンプ歯車対16,18,20が、一
中心線Oまわりにおいて略等角度間隔で配設されている
ため、一中心線Oまわりにおける力学的なアンバランス
が軽減され、こじりや偏摩耗、回転振動などが抑制され
る。
【0019】更に、上記ポンプ歯車対16,18,20
を収容する収容穴48,50,52が設けられたリング
状部材32,34,36は、その板厚寸法がポンプ歯車
対16,18,20の軸方向寸法より大きく、複数のリ
ング状部材32,34,36の間に一定の板厚の仕切り
プレート54が配設されることにより、その仕切りプレ
ート54とポンプ歯車対16,18,20の内歯歯車1
6b,18b,20bおよび外歯歯車16a,18a,
20aとの間に所定の隙間62が形成されるため、3組
のポンプ歯車対16,18,20を有する動力伝達装置
10を比較的簡単且つ安価に構成できる。
【0020】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通す
る部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0021】図8および図9に示す動力伝達装置70
は、前記動力伝達装置10に比較してケース部材72,
74が相違するもので、ケース部材74側から前記締結
ボルト38を挿入してケース部材72に締結するように
したものである。図9は図8の左側面図で、図8は図9
のVIII−VIII断面図である。この場合には、有底円筒形
状を成して内部にリング状部材32,34,36を収容
するケース部材72の底部に、締結ボルト38を挿通さ
せる挿通孔が無いため、そのケース部材72内にリング
状部材32,34,36や仕切りプレート54を挿入し
ながらシリコンオイルを充填する組付作業等が容易とな
る。なお、この実施例では、上記ケース部材72,74
およびリング状部材32〜36によって第2回転部材と
してのアウトプット部材76が構成される。
【0022】図10に示す動力伝達装置80は非分解型
のもので、第1回転部材としてのハブ82と、第2回転
部材としてのハウジング84と、2組のポンプ歯車対8
6,88とを備えて構成されており、ハブ82は、例え
ば図13に示すスタンバイ4WDにおけるリヤ側ディフ
ァレンシャル装置130のドライブピニオン132に相
対回転不能にスプライン嵌合される。ハウジング84
は、円筒形状の円筒部材92と、その円筒部材92の両
端部に圧入などによって一体的に固設されて内部にポン
プ収容空間を形成する一対のフロントカバー94および
リヤカバー96とから構成されており、カバー94,9
6はハブ82に対して一中心線Oまわりの相対回転可能
に配設されているとともに、シール部材98,100よ
って液密にシールされている。フロントカバー94には
複数のねじ穴102が設けられ、例えば図13に示すよ
うに複数のボルト134により連結部材136を介して
駆動力伝達軸(プロペラシャフト)に連結される。
【0023】上記円筒部材92の外周面は一中心線Oを
中心とする円形であるが、内周面104は、図11およ
び図12から明らかなように、一中心線Oから互いに反
対方向、図では上下方向へ同じ寸法だけ偏心した2つの
偏心位置を中心とする円弧を結んだ繭形状乃至は楕円形
状を成しており、前記ポンプ歯車対86,88を収容し
ている。ポンプ歯車対86,88は、前記実施例と同様
にそれぞれ外歯歯車86a,88aおよび内歯歯車86
b,88bから成り、外歯歯車86a,88aはスプラ
イン嵌合によって前記ハブ82に相対回転不能に係合さ
せられている一方、内歯歯車86b,88bは、一中心
線Oを中心として互いに反対側へずれた位置に配設され
て、上記内周面104との係合により位置決めされ、外
歯歯車86a,88aと噛み合わされている。内周面1
04が楕円形の場合、内歯歯車86b,88bは、外歯
歯車86a,88aとの噛合いによって他方への移動が
阻止される。内周面104は収容穴に相当し、上記円弧
の曲率半径は内歯歯車86b,88bの外径より少し大
きめである。図11,図12はそれぞれポンプ歯車対8
6,88部分の断面図で、前記図10は図11,図12
におけるX−X断面を示す図である。
【0024】上記2組のポンプ歯車対86,88の間に
は、カバー部材として仕切りプレート106が配設され
ている。この仕切りプレート106は、前記ハブ82の
外周面側スプラインより大径の円穴を有するとともに、
外形は前記円筒部材92の内周面104と略同一形状を
成しており、円筒部材92内に相対回転不能に配設され
ている。このように、仕切りプレート106がポンプ歯
車対86と88との間に配設されることにより、前記カ
バー94,96とによって、外歯歯車86a,88aと
内歯歯車86b,88bとの間にそれぞれポンプ室10
8,110が形成され、そのポンプ室108,110内
に所定の流体が充填されて、外歯歯車86a,88aと
内歯歯車86b,88bとが相対回転させられることに
よりポンプ作用が得られる。この場合には、第2回転部
材としてのハウジング84を構成しているカバー94,
96が、ポンプ室を形成するカバー部材を兼ねている。
なお、カバー94,96にはそれぞれ貫通孔112,1
14が設けられ、上記ポンプ室108,110内へシリ
コンオイル等の流体を充填できるようになっているとと
もに、その貫通孔112,114はボール116,11
8が圧入されることによって密封されている。
【0025】ここで、上記カバー94,96の相対向す
る面間の一中心線Oと平行な方向の離間距離は、ポンプ
歯車対86,88の軸方向寸法および仕切りプレート1
06の板厚寸法を加算した寸法より大きく、それ等のポ
ンプ歯車対86,88と仕切りプレート106,カバー
94,96との間には所定の隙間が形成され、その隙間
が流体の戻し通路として機能させられる。そして、この
戻し通路を通過する際の流体の流通抵抗に基づいて、ハ
ブ82とハウジング84との間でトルクが伝達されると
ともに、ハブ82およびハウジング84の相対回転速度
が大きくなるのに伴って伝達トルクが大きくなる。
【0026】このように、本実施例おいても、ポンプ歯
車対86,88と仕切りプレート106,カバー94,
96との間に形成される隙間が流体の戻し通路として機
能させられるため、動力伝達装置80が簡単且つ安価に
構成されるとともに、コンパクト化,軽量化が可能であ
るなど、前記第1実施例と同様の作用効果が得られる。
また、2組のポンプ歯車対86,88は一中心線Oを挟
んで反対側、すなわち一中心線Oまわりにおいて等角度
間隔(この場合は180°間隔)で配設されているた
め、一中心線Oまわりにおける力学的なアンバランスが
軽減され、こじりや偏摩耗、回転振動などが抑制される
点も、第1実施例の場合と同様である。
【0027】以上、本発明の幾つかの実施例を図面に基
づいて詳細に説明したが、本発明は更に別の態様で実施
することもできる。
【0028】例えば、前記第1実施例,第2実施例の動
力伝達装置10,70は3組のポンプ歯車対16,1
8,20を備えていたが、2組または4組以上のポンプ
歯車対を有して構成することもできるし、1組のポンプ
歯車対だけで構成することも可能である。第3実施例の
動力伝達装置80についても、ポンプ歯車対の数は適宜
変更できる。
【0029】また、前記第1実施例ではリング状部材3
2とケース部材30との間、リング状部材36とケース
部材28の底部との間にも仕切りプレート54が配設さ
れていたが、ケース部材30や28をそのままポンプ室
56,60を形成するカバー部材として用いることによ
り、それ等の仕切りプレート54を省略することも可能
である。リング状部材32をケース部材30に一体に設
けたり、リング状部材36をケース部材28に一体に設
けたりすることもできる。第2実施例についても同様で
ある。
【0030】また、前記第1実施例,第2実施例では仕
切りプレート54がリング状部材32,34,36に一
体的に固定されていたが、インプットシャフト12と一
体的に回転するように配設したり、インプットシャフト
12およびリング状部材32,34,36の双方に対し
て相対回転可能に配設したりすることもできる。
【0031】
【0032】また、前記実施例ではスタンバイ4WD車
の前後輪を連結する駆動力伝達軸(プロペラシャフト)
に用いる場合について説明したが、他の駆動伝達経路に
配設したり、差動装置と並列に配設されて差動を制限す
る差動制限装置として用いたりすることも可能である。
トルクの伝達方向も、インプットシャフト12側からア
ウトプット部材14,76側へ伝達するだけでなく、ア
ウトプット部材14,76側からインプットシャフト1
2側へトルク伝達が行われるような態様で使用すること
もできる。第3実施例の動力伝達装置80についても、
ハブ82側からハウジング84側へ動力伝達する態様で
使用することが可能である。
【0033】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である動力伝達装置の断面図
で、図2〜図5のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1におけるポンプ歯車対16部分の断面図で
ある。
【図4】図1におけるポンプ歯車対18部分の断面図で
ある。
【図5】図1におけるポンプ歯車対20部分の断面図で
ある。
【図6】図1の実施例のポンプ歯車対16によるポンプ
作用を説明する図である。
【図7】図1におけるA部の拡大図である。
【図8】本発明の他の実施例の断面図で、図9のVIII−
VIII断面に相当する図である。
【図9】図8の左側面図である。
【図10】本発明の更に別の実施例の断面図で、図1
1,図12のX−X断面に相当する図である。
【図11】図10におけるポンプ歯車対86部分の断面
図である。
【図12】図10におけるポンプ歯車対88部分の断面
図である。
【図13】図10の動力伝達装置がスタンバイ4WD車
に用いられた場合の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,70,80:動力伝達装置 12:インプットシャフト(第1回転部材) 14,76:アウトプット部材(第2回転部材) 16,18,20,86,88:ポンプ歯車対 48,50,52:収容穴 54,106:仕切りプレート(カバー部材) 56,58,60,108,110:ポンプ室 62:隙間(戻し通路) 82:ハブ(第1回転部材) 84:ハウジング(第2回転部材) 94:フロントカバー(カバー部材) 96:リヤカバー(カバー部材) 104:内周面(収容穴) O:一中心線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 31/04 F16H 3/74

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一中心線まわりの回転可能に配設された
    第1回転部材と、 該第1回転部材と同心に設けられて一体的に回転させら
    れる外歯歯車、および該外歯歯車と偏心して噛み合う内
    歯歯車から成るポンプ歯車対と、 該ポンプ歯車対を内側に収容するとともに前記内歯歯車
    を前記一中心線から偏心した位置に位置決めする収容穴
    を有して、該一中心線まわりの回転可能に配設された第
    2回転部材と、 前記一中心線方向において前記ポンプ歯車対の両側に位
    置するように配設され、前記外歯歯車と前記内歯歯車と
    の間にポンプ室を形成して流体を保持するカバー部材
    と、 前記ポンプ歯車対のポンプ作用における吐出側から吸入
    側へ前記流体が戻ることを許容する戻し通路とを有し、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転時に
    該相対回転速度に対応して前記ポンプ作用による吐出量
    が増大し、前記戻し通路における流通抵抗で流体圧力が
    上昇することにより、該第1回転部材と該第2回転部材
    との間の伝達トルクが該相対回転速度に対応して大きく
    なる動力伝達装置であって、前記戻し通路は、 前記外歯歯車および前記内歯歯車の少
    なくとも一方と、該外歯歯車および該内歯歯車の両側に
    配設されて前記ポンプ室を形成する前記カバー部材との
    の隙間で、前記流体が該隙間を流通する際の流通抵抗
    に基づいてトルク伝達が行われることを特徴とする動力
    伝達装置。
  2. 【請求項2】 前記ポンプ歯車対を前記一中心線方向に
    隣接して複数備えているとともに、該複数のポンプ歯車
    対の内歯歯車は、前記一中心線まわりにおいて略等角度
    間隔で位置するように前記第2回転部材によって位置決
    めされ、且つ該複数のポンプ歯車対の間には前記カバー
    部材として仕切りプレートが配設されている請求項1に
    記載の動力伝達装置。
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