JPH09217138A - 耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウム合金複合材 - Google Patents
耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウム合金複合材Info
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- JPH09217138A JPH09217138A JP8048296A JP4829696A JPH09217138A JP H09217138 A JPH09217138 A JP H09217138A JP 8048296 A JP8048296 A JP 8048296A JP 4829696 A JP4829696 A JP 4829696A JP H09217138 A JPH09217138 A JP H09217138A
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Abstract
用ピストン、シリンダライナーなど高温で使用される摺
動部材として好適なアルミニウム合金複合材を提供す
る。 【解決手段】 Si:15 〜25%、Fe:3.5〜6.5 %、C
u:0.4〜1.2 %、Mg:0.2〜0.7 %を含有し、さらにZ
r、V、Moのうちの1種または2種以上を合計量で0.
6 〜2.0 %含有し、残部Alおよび不可避的不純物より
なるアルミニウム合金から構成され、合金マトリックス
中に分散するSi粒子の平均粒径が5 μm以下で、さら
にマトリックス中に500 以上のビッカース硬度をもつ平
均粒径2 μm 以上5 μm 未満の硬質粒子が0.3 〜5 %分
散している。
Description
耐熱高靭性アルミニウム合金複合材、とくに、ピスト
ン、シリンダライナーなど高温で使用されるする摺動部
材として好適に使用されるアルミニウム合金複合材に関
する。
温で使用される摺動部材として、従来、JIS AC9B、AC8A
などのAl−Si系鋳物合金が使用されてきたが、最近
におけるエンジンの高出力化、小型化、軽量化に伴って
部材にかかる負荷が高まったため、従来の鋳物合金では
高温強度が不十分となり、また従来の鋳物合金では、高
温強度の不足することに起因してエンジンの軽量化が抑
えられることから、さらに高温特性に優れた材料が要求
されるようになってきている。
に、Si:15 〜25%、Fe:3.5〜6.5 %、Cu:0.4〜1.
2 %、Mg:0.2〜0.7 %を含有し、さらにZr、V、M
oのうちの1種以上を総量で0.6 〜2.0 %含み、残部A
lおよび不可避的不純物からなる合金組成を有し、合金
組織中のSi粒子の平均粒子径が5 μm 以下、平均粒子
間隔が10μm 以下であり、好ましくは急冷凝固粉末合金
として供給され、とくにエンジンのコンロッド、コンプ
レッサのベーン材等として好適に使用される耐熱アルミ
ニウム合金を共同開発した。( 特開平6-41666 号公報)
用した場合には、負荷を高めた時、ピストンリング溝部
あるいはシリンダライナーと摩擦するスカート部に摩耗
が生じ易いため、高負荷をかけることができず、当該合
金が有する強度特性を十分に生かすことができなかっ
た。
0 %、Mg:0.3〜3.5 %、Fe:2.0〜10.0%、Mn::0.
5 〜2.9 %および不可避的不純物を含むアルミニウム合
金のマトリックスに、Al2 O3 粒子、SiC粒子、S
i3 N4 粒子およびSi粒子から選択される少なくとも
1種の粒径が5 〜74μm の硬質粒子を1.5 〜15%分散さ
せ、コンロッドのキャップなどに適用される高強度アル
ミニウム合金も提案されている(特開昭63-42343号公
報) が、この合金材においても靭性が必ずしも十分では
なく、摺動部材として使用した場合、相手材に損傷を与
えることが少なくないという難点がある。
靭性に優れ、高負荷に耐える強度特性をそなえ、ピスト
ン、シリンダライナーなど、摺動部材として好適なアル
ミニウム材料を開発するために、上記のAl−Si系合
金をベースとして、成分組成、マトリックス中に分散す
るSiのサイズ、硬質粒子の特性、サイズ、添加量の組
合わせと諸特性との関係について再検討した結果として
なされたものであり、その目的は、高度な耐摩耗性をそ
なえ、高温強度、靭性に優れ、とくにエンジン用ピスト
ン部材として適用した場合、ピストンリングやピストン
スカートとの摩擦に十分耐えることができるアルミニウ
ム合金複合材を提供することにある。
めの本発明による耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニ
ウム合金複合材は、Si:15 〜25%、Fe:3.5〜6.5
%、Cu:0.4〜1.2 %、Mg:0.2〜0.7 %を含有し、さ
らにZr、V、Moのうちの1種または2種以上を合計
量で0.6 〜2.0 %含有し、残部Alおよび不可避的不純
物よりなるアルミニウム合金から構成され、合金マトリ
ックス中に分散するSi粒子の平均粒径が5 μm 以下で
あり、さらに合金マトリックス中に、平均粒径2 μm 以
上5 μm 未満で500 以上のビッカース硬さを有する硬質
粒子が0.3 〜5 %分散していることを構成上の特徴とす
る。好ましい硬質粒子としては、Al2 O3 、SiC、
AlN、Si3 N4 のうちの1種または2種以上が使用
される。
および弾性率を向上させ、線膨張係数を低下させるため
に機能する。好ましい含有量は、15〜25%の範囲であ
り、15%未満ではその効果が十分でなく、25%を越える
と、靭性が低下し、被削性、押出性、鍛造性の低下も生
じ易くなる。Feは、合金の耐熱性、高温強度および弾
性率を向上させ、線膨張係数を低下させる元素である。
好ましい含有量は、3.5〜6.5 %の範囲であり、3.5 %
未満ではその効果が小さく、とくに十分な高温強度を得
ることができず、6.5 %を越えて含有すると、被削性、
押出性、鍛造性が低下し、高温強度も飽和する傾向にあ
る。
るいはS´相(Al2 CuMg中間相)を形成すること
によって、常温から高温までの疲労強度を高める機能を
有する。好ましい含有範囲は0.4 〜1.2 %であり、0.4
%未満ではその効果が十分でなく、1.2 %を越えると、
室温付近での靭性が低下し易くなる。Mgは、合金マト
リックス中に固溶し、あるいはCuと同様、S´相を形
成することにより常温から高温までの疲労強度を高め
る。好ましい含有量は0.2 〜0.7 %の範囲であり、0.2
%未満ではその効果が十分でなく、0.7 %を越えると室
温付近における靭性が低下し易い。
は2種以上をFeを含む高Siアルミニウム合金に添加
した場合、靭性をほとんど損なうことなしに、高温強度
を向上させるよう作用する元素である。好ましい含有量
は、合計量で0.6 〜2 %の範囲であり、合計含有量が0.
6 %未満ではその効果が小さく、2 %を越えて含有する
と、靭性の低下が生じ易くなる。なお、Mn、Crも合
金の高温強度を高めることができるので、それぞれ0.4
%以下の範囲で添加してもよい。
均粒径5 μm 以下のサイズに制御することが必要であ
り、この範囲において十分な強度および靭性が得られ、
押出性、鍛造性、切削性の改善も得られる。また、本発
明においては、マトリックス中に、ビッカース硬度500
以上で、平均粒径2 μm 以上5 μm 未満の硬質粒子を、
0.3 〜5 %の範囲で添加、分散させることにより、合金
の耐摩耗性を著しく改善することができる。硬質粒子と
しては、Al2 O3 、SiC、AlNおよびSi4 N4
の1種または2種以上を使用するのが好ましい。
子が凝集し易くなり、マトリックス中に分散させ難くな
る。5 μm 以上のサイズになると、硬質粒子による分散
強化が生じ難くなるため強度向上が得られず、疲労亀裂
の起点となって疲労強度が低下し易くなる。また、切削
性が劣化し、摩擦する相手材に損傷を与えるようにな
る。硬質粒子の添加量は、0.3 %未満ではその効果が不
十分であり、5 %を越えると耐摩耗性向上の効果が飽和
し、靭性、切削性の低下も生じる。
合材の製造は、急冷凝固アルミニウム合金粉末の固化成
形するPM法、または溶融アルミニウム合金を不活性ガ
スによりスプレーし、急冷凝固させながら堆積させるス
プレーフォーミング法(SF法)により行うのが好まし
い。PM法による場合には、前記の所定組成を有するア
ルミニウム合金溶湯を、ガスアトマイズ法などによって
急冷凝固し、急冷凝固粉末を作製する。アルミニウム合
金粉末は、高強度、高靭性の成形体を得るため、また硬
質粒子を均一に分散させるため、出来るだけ微細である
ことが望ましい。
と所定の硬質粒子を公知の撹拌式混合機、ボールミルな
どの粉砕機により混合し、アルミニウム合金粉末の表面
に付着している水分やガスを除去するために、混合粉末
をアルミニウム缶などの缶に充填し、400 〜500 ℃の温
度で真空引きする方法、あるいは混合粉末を冷間圧縮し
た予備成形体を、不活性雰囲気または真空中において40
0 〜500 ℃の温度に加熱する方法により脱ガス処理を行
う。脱ガス後、300 〜500 ℃の温度で熱間押出またはホ
ットプレスを行うことにより、混合粉末を100 %緻密化
し、必要に応じて、さらに鍛造、切削などの加工を行い
製品とする。
形成される溶融アルミニウム合金のスプレーとともに硬
質粒子を噴射させ、これらをコレクタ上に堆積させて急
冷凝固体を作製し、必要に応じて外面を切削したのち、
押出、鍛造などを行うことによって製品とする。本発明
においては、合金組成、合金マトリックス中に分散する
Si粒子の平均粒径、特定された硬質粒子の平均サイ
ズ、分散量の組合わせにより、耐摩耗性、高温強度な
ど、とくに高温で使用される摺動部材として好適な材料
特性が得られる。
て説明する。
し、表1に示す組成を有するアルミニウム合金粉末を作
製した。粉末を150 μm に分級したのち、アルミニウム
合金粉末に、表1に示す硬質粒子を、強制撹拌羽付きク
ロスロータリーミキサーにより15分間混合し、得られた
混合粉を、外径90mm、高さ200mm のアルミニウム製缶容
器に充填し、480 ℃の温度で1 時間脱ガス処理した。脱
ガス処理後、封缶し、これを押出用ビレットとして、40
0 ℃の温度で径20mmの丸棒に熱間押出成形した。なお、
アトマイズにおける冷却速度や押出条件を調整すること
により、合金マトリックス中に分散するSiの平均粒径
を5 μm 以下とした。
℃での引張試験を行って、引張強さ( σB ) および伸び
( δ) を測定して強度特性を評価し、室温および200 ℃
での切欠き耐力比( 切欠き引張強さ/平滑試験での耐
力、切欠き形状はASTM E-602による) により靭性の評価
を行った。疲労強度は、150 ℃における回転曲げ疲労試
験の106 サイクルまでの未破断強度により評価し、ピ
ン−ディスク式摩耗試験におけるピンの摩耗長さに基づ
いて耐摩耗性の評価を行った。なお、摩耗試験における
試験条件は、面圧:4.9MPa 、摩擦速度:0.5m/s 、潤滑:1
00℃のスピンドル油、相手材:FC20 、摩擦時間:60 分と
した。
2に示す。表2に示すように、本発明に従う試験材はい
ずれも、200 ℃での引張試験において235 MPa以上の引
張強さ、200 ℃の温度において1.50以上の切欠き耐力
比、150 ℃において147MPa以上の疲労強度、ピン摩耗量
が0.05mm未満の耐摩耗性をそなえ、高温強度特性、耐摩
耗性について優れた性能を有している。
ニウム合金粉末を作製し、実施例1と同一の工程により
丸棒材を製造し、実施例1と同じ評価試験を行った。丸
棒材における平均Si粒径および評価結果を表4に示
す。なお、表1において、本発明の条件を外れたものに
は下線を付した。
子が小さいため凝集を生じ、引張強さ、切欠き耐力比、
疲労強度、耐摩耗性ともに劣っている。試験材No.9はS
iC粒子が大き過ぎるため、疲労強度が劣り、相手材も
摩耗量が大きくなる。試験材No.10 は、SiCの含有量
が多いため、靭性が低下し、切欠き耐力比が劣ってい
る。試験材No.11 は硬質粒子が含有していないため、耐
摩耗性がわるい。試験材No.12 、No.14 は、Zr、V、
Moが添加されていないため、靭性が低い。試験材No.1
3 は、SiC粒子のサイズが大きいため、相手材の摩耗
量が大きく、Mnを含有するため靭性が低く、切欠き耐
力比が劣る。試験材No.15 はFe量が少ないため、高温
強度が低く、疲労強度も小さい。試験材No.16 はCuお
よびMgの含有量が少ないため、疲労強度が低い。
靭性に優れ、とくにエンジン用ピストン、シリンダライ
ナーなど高温で使用される摺動部材として好適なアルミ
ニウム合金複合材が提供される。当該複合材は、コンプ
レッサーベーン、コンプレッサーロータ、コンロッドな
どにも適用可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Si:15 〜25%(重量部%、以下同
じ)、Fe:3.5〜6.5 %、Cu:0.4〜1.2 %、Mg:0.2
〜0.7 %を含有し、さらにZr、V、Moのうちの1種
または2種以上を合計量で0.6 〜2.0 %含有し、残部A
lおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金から
構成され、合金マトリックス中に分散するSi粒子の平
均粒径が5 μm 以下であり、さらに合金マトリックス中
に、平均粒径2 μm 以上5 μm 未満で500 以上のビッカ
ース硬さを有する硬質粒子が0.3 〜5 %分散しているこ
とを特徴とする耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウ
ム合金複合材。 - 【請求項2】 硬質粒子が、Al2 O3 、SiC、Al
N、Si3 N4 のうちの1種または2種以上であること
を特徴とする請求項1記載の耐摩耗性に優れた耐熱高靭
性アルミニウム合金複合材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8048296A JPH09217138A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | 耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウム合金複合材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8048296A JPH09217138A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | 耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウム合金複合材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09217138A true JPH09217138A (ja) | 1997-08-19 |
Family
ID=12799486
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8048296A Pending JPH09217138A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | 耐摩耗性に優れた耐熱高靭性アルミニウム合金複合材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09217138A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012072474A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | シリンダスリーブ用合金及びそれを使用したシリンダスリーブ |
-
1996
- 1996-02-09 JP JP8048296A patent/JPH09217138A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012072474A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | シリンダスリーブ用合金及びそれを使用したシリンダスリーブ |
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