JPH09216903A - 高内相比乳化状重合体組成物の製造方法 - Google Patents

高内相比乳化状重合体組成物の製造方法

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JPH09216903A
JPH09216903A JP2538096A JP2538096A JPH09216903A JP H09216903 A JPH09216903 A JP H09216903A JP 2538096 A JP2538096 A JP 2538096A JP 2538096 A JP2538096 A JP 2538096A JP H09216903 A JPH09216903 A JP H09216903A
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JP
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polymerization
radical
reducing agent
weight
oxidizing agent
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JP2538096A
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English (en)
Inventor
Yukihisa Hoshino
幸久 星野
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高内相比乳化重合の重合速
度を制御し、効率的に安定して重合体微粒子組成物を製
造する重合方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、ラジカル重合開始能を有する
酸化剤と還元剤を互いに異なる相に配合する高内相比乳
化重合の重合方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂や熱
硬化性樹脂の製造時に添加される重合体微粒子や塗料、
接着剤、粘着剤、シーラントなどのバインダーなどに使
用される高濃度の乳化状重合体組成物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、耐衝撃強度を向上させることを目
的にして熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の製造時に添加さ
れる重合体微粒子や、塗料、接着剤、粘着剤、シーラン
トなどのバインダーなどに使用される乳化状重合体組成
物は、大量の界面活性剤水溶液を用いた乳化重合によっ
て製造されるのが一般的である。しかしながら、この方
法では重合に伴って成長する重合体粒子同士の凝集を抑
制する必要性から、重合時に使用する水の量を少なくす
るのが困難である。特に、重合体粒子は球状で存在する
ため、球状粒子の細密充填比容積0.74によって大き
な制限を受ける。言い替えれば、重合体粒子を重合の進
行と共に成長させる従来の乳化重合では、分散相を形成
する重合体粒子が容積比で74%を越えることは不可能
である。実際には、完全剛体とは異なる重合体粒子の場
合、細密充填構造よりはるかに低容積比で重合体粒子同
士が合一し、凝集を起こすため、容積比が70%以上で
粒径が揃った重合体粒子組成物を得ることは困難であ
る。
【0003】濃度の高い重合体粒子組成物を得る方法の
1つには、通常の乳化重合で得られた乳化状重合体粒子
組成物に乳化状態を変化させるような2価以上の塩を添
加したり、塩酸などの強い酸を加えて重合体粒子を凝集
・析出させる方法がある。しかしながら、この方法では
重合体粒子は一般的には乳化破壊と呼ばれる凝集状態と
なり、重合体粒子が本来の粒径を保ったまま独立して存
在できない。従って、このような乳化破壊した重合体粒
子は多量の水中に再分散することは困難である。
【0004】一方、濃度の高い乳化状重合体組成物を得
る他の方法として、水分を留去して濃縮する方法が行わ
れている。一般的には、熱もしくは減圧によって水を留
去するのが一般的であるが、この方法では外的に過剰の
エネルギーを加えることから乳化系の不安定を招き易
く、凝集を起こさないで高濃度に濃縮するのは限界があ
る。また、水分を留去するために、大量の余分なエネル
ギーが必要である。
【0005】この他、乳化状組成物を濃縮する方法とし
ては、凍結乾燥法が知られている。しかしながら、この
方法は水分を凍結し、その上で留去するため、単純な水
分留去より更に大量のエネルギーが必要であり、非常に
高コストとなる。
【0006】一方、少量の水及び界面活性剤を使用して
効率良く微粒子状の重合体を合成する新しい形式の乳化
重合法として、高内相比乳化現象を利用する重合方法が
知られており、例えばK.Lissantによって米国特許3,
988,508号にポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど
の高内相比乳化重合が記載されている。ここで記載され
ている重合方法によれば、ポリスチレンやポリ塩化ビニ
ルの微粒子を通常の1/10程度の界面活性剤水溶液使
用量で製造できると報告されている。ここで用いている
ラジカル重合は可視光照射や有機過酸化物単独使用のラ
ジカル重合開始系によるものである。
【0007】また、E.Ruckensteinらによって例えばJ.A
ppl.Polym.Sci.,36(4),907(1988)などにポリスチレン、
ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリアクリル酸エ
ステルなどの高内相比乳化重合がConcentrated Emulsio
nまたはGel-Like-Emulsion重合の呼称で報告されてい
る。この同研究者らの報告でも高濃度の重合体粒子が得
られること、及びポリスチレンの場合平均粒径0.1〜
0.3μmで粒径分布が非常に狭いことが報告されてい
る。ここで用いているラジカル重合はアゾビスイソブチ
ロニトリル単独使用のラジカル重合開始系によるもので
ある。
【0008】高内相比乳化重合は、少量の非重合性の連
続相に大量のラジカル重合性モノマーを分散相として重
合を行うことが特徴である。一般に高内相比乳化重合で
は分散相の比率が75容量%以上であり、これはラジカ
ル重合性モノマーの濃度が75容量%以上であることを
意味する。このような高濃度では、ラジカル重合によっ
て発生する重合熱の除去が問題となり、特に高内相比乳
化重合では温度の上昇と共に高内相比乳化の安定性が低
下するため、重合熱の除去が大きな問題である。しかる
に、単独のラジカル重合開始剤を使用した重合方法で
は、温度の変化によって開始剤の分解速度を制御し、こ
れによって重合速度を制御する。ところが、ラジカル重
合開始剤の分解速度は温度変化に対し指数関数的に増加
するため、ラジカル重合性モノマーが高濃度の場合は、
発熱量が大きいことと相まって急速なラジカル重合開始
剤の分解を招き、その結果、重合速度を制御できなくな
ることがある。逆に、ラジカル重合開始剤の分解速度が
小さな低い温度で重合を行うと、ラジカル濃度が低過ぎ
て重合に非常に長時間かかり、非効率となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高内
相比乳化重合の重合速度を制御し、効率的に安定して重
合体微粒子組成物を製造する重合方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高濃度乳化
重合法が微小重合体粒子の製造に適することに着目し、
広範囲なラジカル重合性モノマーへの適用を図るべく検
討を加えた処、特にラジカル重合速度が大きなモノマー
に高内相比乳化重合を適用する場合の重合速度制御の方
法として、ラジカル重合開始能を有する酸化剤と還元剤
を、互いに異なる相に配合して重合することが有効であ
ることを見出し、本発明に到ったものである。
【0011】本発明において重要なことは、酸化剤と還
元剤の接触によって速やかに分解してラジカル重合開始
能力を有するラジカルを発生させる、いわゆるレドック
ス反応を高内相比乳化重合に応用することであり、酸化
剤と還元剤をそれぞれ連続相または分散相に分離して高
内相比乳化状態を作り、これらが拡散等によって接触し
て重合反応が開始することである。
【0012】本発明において、高内相比乳化とは分散相
の容量が非常に多く、分散相が独立した粒子として存在
するのが困難な70容量%以上、特に球状分散相の細密
充填構造の比率である74容量%以上でも均一な分散の
状態を指す。また、高内相比乳化重合とは、分散相にラ
ジカル重合性モノマーを含有し、高内相比乳化の状態を
維持したまま、当該ラジカル重合性モノマーを重合せし
め、重合体が微粒子として分散した状態の重合体組成物
を製造する方法を指す。特に限定されないが、一般的に
は連続相として界面活性剤水溶液が、分散相として実質
的に水に溶解しないラジカル重合性モノマーが用いられ
る。
【0013】高内相比乳化を形成する方法としては、特
に限定されないが、好ましくは界面活性剤水溶液1〜3
0重量%、特に好ましくは5〜25重量%に、撹拌しな
がら実質的に水に溶解しないラジカル重合性モノマー7
0〜99重量%、特に好ましくは75〜95重量%を滴
下する方法が好ましい。
【0014】本発明において、界面活性剤水溶液におけ
る界面活性剤とは、水に溶解することでその表面張力を
低下させる機能を有する有機化合物を表す。このような
界面活性剤としては、一般的に親水性が高く、油相を水
相が取り囲む形のいわゆるO/W型エマルジョンを形成
するものが好ましい。このような界面活性剤としては、
アニオン型界面活性剤の場合は親水性基としてスルホン
酸ナトリウム、スルホン酸カリウムなどのスルホン酸塩
またはカルボン酸ナトリウムやカルボン酸カリウムなど
のようなカルボン酸塩を有するものが好ましい。カチオ
ン型界面活性剤の場合は親水性基としてアンモニウムク
ロリド、アンモニウムブロミド、アンモニウム酢酸塩な
どのアンモニウム塩やヒドロキシエチル基、アミノエチ
ル基のような親水性の大きな置換基が付いたアンモニウ
ム塩などを有するものが好ましい。ノニオン型界面活性
剤としてはその親水性/親油性のバランスを表す目安と
してHLB値が用いられるが、本発明においては好まし
くはHLB値13以上、特に好ましくは15以上の親水
性が大きな界面活性剤が好ましい。
【0015】本発明におけるアニオン型界面活性剤とし
ては、通常の乳化ラジカル重合に用いられる界面活性
剤、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、
ラウリル酸などの長鎖脂肪酸及びそれらの混合物である
ヤシ油、大豆油、牛脂などから得られる脂肪酸などのナ
トリウム塩、カリウム塩などの長鎖脂肪族カルボン酸塩
及びドデシル、セチル、ステアリル、オレイル、パルミ
チル、ラウリルなどの長鎖アルキル基のスルホン酸また
はそれらの長鎖アルキル基が付いたベンゼンスルホン酸
のナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸塩などの一
般にアニオン型界面活性剤と呼ばれる有機化合物が挙げ
られる。
【0016】また、本発明におけるカチオン型界面活性
剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチ
ルトリメチルアンモニウムクロリド、ヤシ油、大豆油、
牛脂などの天然物由来の長鎖アルキル基混合物のトリメ
チルアンモニウムクロリドなどのモノアルキルアンモニ
ウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロ
リド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ
セチルジメチルアンモニオウムクロリド、ヤシ油、大豆
油、牛脂などの天然物由来の長鎖アルキル基混合物2当
量のジメチルアンモニウムクロリドなどのジアルキルジ
メチルアンモニウムクロリドまたは同様の長鎖アルキル
モノ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、同様
の長鎖アルキルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウム
クロリドなどの一般にカチオン型界面活性剤と呼ばれる
有機化合物が挙げられる。
【0017】また、本発明におけるノニオン型界面活性
剤としては、ノニルフェノール、ステアリルアルコー
ル、セチルアルコールなどの高級アルコールのエチレン
オキシド付加物、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイ
ン酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸などの
長鎖アルキル脂肪酸のエチレンオキシド付加物、ヤシ
油、大豆油、牛脂などから誘導される長鎖アルキルアミ
ンのエチレンオキシド付加物などの一般にノニオン型界
面活性剤と呼ばれる有機化合物が挙げられる。
【0018】本発明における界面活性剤水溶液として
は、上記の界面活性剤を0.01〜25重量%、好まし
くは0.1〜10重量%溶解した水溶液が用いられる。
ここで、界面活性剤の濃度が小さければ、重合体組成物
が不安定となって分散が困難となり、界面活性剤の濃度
が大きければ界面活性剤の効率が低下し、また水溶液の
粘度が高くなり、ラジカル重合性モノマーを含む高内相
比乳化物を形成するのが困難となるが、界面活性剤の濃
度は界面活性剤の物性とも密接な関係があり、一概には
限定されない。また、本発明における界面活性剤水溶液
は、特に限定されるものではないが25dyn/cm以
上の表面張力を持つことが好ましい。表面張力が小さい
場合は高内相比乳化物の形成が困難であったり、生成し
た高内相比乳化物が不安定である場合が多い。
【0019】一般には、酸化剤、例えば有機過酸化物は
単独でも熱的に分解して遊離ラジカルを発生させ、ラジ
カル重合を開始させることが可能である。これに対し
て、酸化剤と還元剤の反応によって遊離ラジカルを発生
させ、これによってラジカル重合を開始させる方法がレ
ドックス重合開始剤系として一般に広く用いられてい
る。この方法は還元剤を接触させることで分解が非常に
促進され、低温でも分解して遊離ラジカルを発生させる
性質、いわゆるレドックス反応を利用したものである。
本発明において用いられる、ラジカル重合開始能を有す
る酸化剤と還元剤の組み合わせとはこのような、レドッ
クス重合開始剤系として知られているものを指す。
【0020】ラジカル重合開始剤を単独で使用した場合
には、温度によって開始剤の分解速度、重合速度を制御
するため、高温で重合を行うと、ラジカル重合性モノマ
ーが高濃度である高内相比乳化重合の場合は、発熱量が
大きいこともあって急速なラジカル重合開始剤の分解を
招き、その結果、重合速度を制御できなくなることがあ
る。また、高内相比乳化物の安定性が低下する。逆に、
低温で重合を行うと、ラジカル重合開始剤の分解速度が
小く、ラジカル濃度が低過ぎて重合に非常に長時間かか
り、非効率となる。本発明の高内相比乳化重合にレドッ
クス重合開始剤を用いる方法では、温度のみに依らずに
開始剤の分解速度、重合速度を制御することが可能とな
るので、このような弊害が少ない。
【0021】本発明においてレドックス重合開始剤系と
して用いられる酸化剤としては、これらに限定される訳
ではないが、例えばターシャリブチルハイドロパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタン
パーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、
ターシャリブチル−クミル−パーオキサイド、2−オク
タノン−ジターシャリブチルパーオキシケタール、シク
ロヘキサノン−ジターシャリブチルパーオキシケター
ル、3,3,5−トリメチル−ジターシャリブチルパー
オキシケタール、ベンゾイルパーオキサイド、アセチル
パーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、過酢酸、
過プロピオン酸、過安息香酸などの有機過酸化物類や過
塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナト
リウム、次亜塩素酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、過酸化水
素などの無機過酸化物などがある。また、塩化第二鉄、
硫酸第二鉄、酢酸第二鉄、炭酸第二鉄、水酸化第二鉄な
どの第二鉄塩など3価の鉄イオンを含む化合物、塩化第
二銅、硫酸第二銅などの2価の銅イオンを含む化合物、
塩化第二セリウム、硫酸第二セリウム、硝酸第二セリウ
ムなどの4価のセリウムイオンを含む化合物などのより
低い酸化状態と成り得る遷移金属塩や、塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲン分子や酸素分子などが用いられること
もある。
【0022】一方、還元剤としては、これらに限定され
る訳ではないが塩化第一鉄、硫酸第一鉄、酢酸第一鉄、
炭酸第一鉄、水酸化第一鉄などの第一鉄塩及びフェロセ
ン類など2価の鉄イオンを含む化合物、塩化第一銅、硫
酸第一銅などの1価の銅イオンを含む化合物、塩化第一
セリウム、硫酸第一セリウムなどの3価のセリウムイオ
ンを含む化合物など、より高い酸化状態と成り得る遷移
金属塩や、アンモニア、ジメチルアニリン、ジエチルア
ニリン、ピリジンなどのアミン類、ドデシルメルカプタ
ン、チオフェノール、メルカプトエタノール等のメルカ
プタン類、グルコース、フルクトース、ラクロース、ス
クロースなどの単糖類及びそれらが結合した多糖類、ア
スコルビン酸、α−トコフェロールなどの生体由来の化
合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズア
ルデヒドなどのアルデヒド類及びそれらの縮合物または
誘導体、イソプロピルアルコール、s−ブタノール、t
−ブタノール、2−オクタノール、フェノール、ハイド
ロキノンなどのアルコール、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、グラ
イム類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラヒドロフランなどのエーテル化合物
などが使用される。
【0023】本発明においては、特に限定するものでは
ないが、酸化剤と還元剤の組み合わせに酸化状態を変え
得る鉄、銅、セリウムなどの遷移金属イオンを加え、こ
の遷移金属イオンが酸化剤とレドックス反応してラジカ
ル重合を開始し、一方で酸化剤と反応して酸化状態とな
った遷移金属イオンを還元剤が還元する2つのサイクル
が共存するレドックス重合開始剤系を使用することが出
来る。
【0024】本発明においては、高内相比乳化物を形成
する際に、酸化剤と還元剤が連続相と分散相の互いに異
なる相にそれぞれ配合される。これらの配合される組み
合わせとしては、酸化剤が連続相に、還元剤が分散相に
含まれるものと、酸化剤が分散相に、還元剤が連続相に
含まれるものの2通りあるが、どちらの組み合わせも可
能である。
【0025】また、遷移金属イオンはどちらの相に配合
することも任意である。しかしながら、遷移金属イオン
は水溶性が高く、一般的にはラジカル重合性モノマーを
含有する有機物相には溶けにくいことが多い。これによ
って、ラジカル重合反応の開始が困難になる場合がある
が、この様な場合には金属イオンと錯体を形成し、有機
物相に溶解しやすくする化合物、例えば18−クラウン
−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8などの
クラウンエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコールなどのポリエーテル類、アセト酢酸
エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどのβ
−ケトカルボニル化合物類、エチレンジアミン、テトラ
メチルエチレンジアミン、ポリエチレンイミンなどのエ
チレンジアミンなどや酢酸、酪酸、蟻酸などの脂肪酸な
どが使用できる。
【0026】本発明における酸化剤及び還元剤は、高内
相比乳化物全体の中で界面活性剤水溶液とラジカル重合
性モノマーの合計100重量部に対して、それぞれ0.
01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部使用
される。ここで、酸化剤や還元剤の量が少なければラジ
カル重合が進行しにくくなり、多ければ重合開始剤とし
ての効率が悪くなる他、不必要な成分として乳化状重合
体組成物中に残留することになる。
【0027】また、触媒的な働きをする遷移金属イオン
は、界面活性剤水溶液とラジカル重合性モノマーの合計
100重量部に対して、0〜0.1重量部、好ましくは
0.0001〜0.1重量部、特に好ましくは0.00
1〜0.05重量部使用される。これは、遷移金属イオ
ンは触媒的な働きをするため少量で十分な効果があるこ
とと、多量に使用すると遷移金属イオンの多方面にわた
る触媒作用の悪影響などで着色や劣化、毒性などの原因
となるためである。
【0028】酸化剤及び還元剤の使用量の割合は、等し
いモル量が基本的である。しかしながら、好ましい割合
は、レドックス反応や生成する遊離ラジカルの重合開始
反応の特性、遷移金属イオンとの相性などによって大き
く変化するため、限定できない。そのため、使用の割合
が極端に偏る場合も有り得る。
【0029】本発明においてラジカル重合性モノマーと
しては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの
ラジカル重合性ジエン系モノマー、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニル
シクロヘキサンなどのオレフィン系モノマー、酢酸ビニ
ル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カ
プロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、カプリル酸ビニ
ル、クロロ酢酸ビニル、けい皮酸ビニル、クロトン酸ビ
ニル、オクタン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ピバル
酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ラウ
リン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビ
ニリデン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビ
ニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニル系
モノマー、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチル
スチレン、p−ターシャリブチルスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジ
ビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマー、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メ
タクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル
酸ステアリル、メタクリル酸オレイル、メタクリル酸セ
チルなどのメタクリル酸アルキルエステルモノマーやア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸オレイ
ル、アクリル酸セチルなどのアクリル酸アルキルエステ
ルモノマー、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ
オクチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチ
ル、フェニルマレイミド、エチルマレイミド、ブチルマ
レイミドなどのマレイン酸誘導体モノマー、フマル酸ジ
メチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル
酸ジオクチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチ
ル、フマル酸モノオクチルなどのフマル酸エステル系モ
ノマーなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノ
マーは単独、または複数が混合されて使用される。ま
た、これらに溶媒あるいは可塑剤を添加して使用するこ
ともできる。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。また、下記の例において、%は重
量%を示す。
【0031】(実施例1)5%塩化ビス(2−ヒドロキ
シエチル)オレイルメチルアンモニウム水溶液17g、
還元剤として1%硫酸第一鉄水溶液1gとマグネティッ
ク撹拌子を入れた300mlビーカーを約5分間撹拌し
た。ここに、イソプレン79gとクメンハイドロパーオ
キサイド0.1gの混合溶液を撹拌しながら滴下し、均
一な白濁したクリーム状の高内相比乳化物とした。
【0032】この乳化状組成物90gを200mlSU
S製オートクレーブに入れ、4気圧の加圧窒素を導入し
て窒素置換した後に大気圧に戻して密封し、30℃の水
浴中で10時間、引き続き50℃の水浴中で5時間保温
し、イソプレンの重合を行った。重合終了後の組成物を
赤外線加熱式の加熱減量測定器で150℃にて測定した
ところ、加熱減量20.7%(不揮発分79.3%)で
あった。また、カールフィッシャー法によって水分を測
定したところ、18.1重量%であった。これらのこと
から、イソプレンモノマーはほぼ定量的に重合し、ポリ
イソプレンを約79重量%含有する重合体組成物が得ら
れたことが確認された。
【0033】得られた白色ペースト状の生成物1gを純
水10gに投入したところ、速やかに水中で白濁状の筋
を生じて再分散し、10分後には白濁した牛乳状の液体
となった。この液体を超音波分散器で1時間処理して十
分に分散させ、米国コールター社製−モデルN4SD型
粒子径測定器で粒径分布を測定した。その結果、重量平
均粒子径は0.21μm、数平均粒子径は0.18μm
であった。また、粒子径分布は1.0μm以上の粗大粒
子は測定されず、狭い正規分布となった。
【0034】(比較例1)実施例1において、還元剤で
ある1%硫酸第一鉄を含まない他は同様に重合操作を行
った。その結果、実施例1と同様に測定した加熱減量
は、97.8%(不揮発分2.2%)であり、全く重合
が起こっていなかった。
【0035】(実施例2)10%ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム水溶液18gと10%過硫酸カリウム
水溶液2gとマグネティック撹拌子を入れた300ml
ビーカーを約5分間撹拌した。ここに、アクリル酸n−
ブチル79.8gと還元剤としてN,N−ジエチルアニ
リン0.2gの混合溶液を撹拌しながら滴下し、均一な
白濁したクリーム状の高内相比乳化物とした。
【0036】この乳化状組成物90gを200mlSU
S製オートクレーブに入れ、4気圧の加圧窒素を導入し
て窒素置換した後に大気圧に戻して密封し、30℃の水
浴中で10時間、引き続き50℃の水浴中で5時間保温
し、重合を行った。重合終了後の組成物を赤外線加熱式
の加熱減量測定器で150℃にて測定したところ、加熱
減量19.8%(不揮発分80.2%)であった。ま
た、カールフィッシャー法によって水分を測定したとこ
ろ、18.0重量%であった。これらのことから、アク
リル酸n−ブチルモノマーはほぼ定量的に重合し、ポリ
アクリル酸n−ブチルを約80重量%含有する重合体組
成物が得られたことが確認された。
【0037】得られた重合体組成物を実施例1と同様に
して、水に分散し、粒子径分布を測定した。その結果、
重量平均粒子径は0.31μm、数平均粒子径は0.2
9μmであった。また、粒子径分布も狭い正規分布とな
った。
【0038】(比較例2)実施例2において、還元剤で
あるN,N−ジエチルアニリンを用いない他は同様に重
合操作を行った。その結果、実施例2と同様に測定した
加熱減量は、98.2%(不揮発分1.8%)であり、
全く重合が起こっていなかった。
【0039】(実施例3)10%ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム水溶液18g、1%硫酸第1鉄水溶液
1g,10%アスコルビン酸水溶液1gとマグネティッ
ク撹拌子を入れた300mlビーカーを氷水で冷却しな
がら、約5分間撹拌した。ここに、酢酸ビニル79gと
クメンハイドロパーオキサイド1gの混合溶液を撹拌し
ながら滴下し、均一な白濁したクリーム状の乳化状組成
物とした。この乳化状組成物90gを200mlSUS
製オートクレーブに入れ、4気圧の加圧窒素を導入して
窒素置換した後に大気圧に戻して密封し、30℃の水浴
中で10時間、引き続き50℃の水浴中で5時間保温
し、酢酸ビニルの重合を行った。重合終了後の組成物を
赤外線加熱式の加熱減量測定器で150℃で測定したと
ころ、加熱減量21.1%(不揮発分78.9%)であ
った。また、カールフィッシャー法によって水分を測定
したところ、18.2重量%であった。これらのことか
ら、酢酸ビニルモノマーはほぼ定量的に重合し、ポリ酢
酸ビニルを約79重量%含有する粒子状重合体組成物が
得られたことが確認された。
【0040】得られた重合体組成物を実施例1と同様に
して、水に分散し、粒子径分布を測定した。その結果、
重量平均粒子径は0.35μm、数平均粒子径は0.2
5μmであった。また粒径分布は狭い正規分布となっ
た。
【0041】(実施例4)300mlSUS製トラップ
缶をドライアイス/メタノールバスで冷却して、塩化ビ
ニルモノマー60gを液化させた。ここに、クメンハイ
ドロパーオキサイド0.1gとフタル酸ジオクチル20
gを添加して密封し、トラップ缶内を窒素置換した。こ
れを室温で静置し、20℃まで昇温させた。一方、撹拌
装置の付いた300mlガラス製オートクレーブに10
%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液18
g、1%硫酸第1鉄水溶液1g,10%アスコルビン酸
水溶液1gを入れ、窒素置換して5分間撹拌した。ここ
に、塩化ビニルモノマーとクメンハイドロパーオキサイ
ドの混合溶液の入ったトラップ缶を接続し、塩化ビニル
モノマーとクメンハイドロパーオキサイドの混合物を加
圧下で撹拌しながら滴下し、均一な白濁したクリーム状
の乳化状組成物とした。この乳化状組成物が入ったオー
トクレーブはそのまま30℃の水浴中で10時間、引き
続き50℃の水浴中で5時間保温し、塩化ビニルの重合
を行った。重合終了後の組成物を赤外線加熱式の加熱減
量測定器で150℃で測定したところ、加熱減量20.
4%(不揮発分79.6%)であった。また、カールフ
ィッシャー法によって水分を測定したところ、18.2
重量%であった。また、フタル酸ジオクチルの含有量を
ガスクロマトグラフィーによって測定したところ、配合
量からの計算値と一致する20重量%の結果を得た。こ
れらのことから、塩化ビニルモノマーはほぼ定量的に重
合し、フタル酸ジオクチル25重量%とポリ塩化ビニル
75重量%を含有する分散相粒子約80重量%からなる
粒子状重合体組成物が得られたことが確認された。
【0042】得られた重合体組成物を実施例1と同様に
して、水に分散し、粒子径分布を測定した。その結果、
重量平均粒子径は0.28μm、数平均粒子径は0.2
3μmであった。また粒径分布は狭い正規分布となっ
た。
【0043】
【発明の効果】これらの実施例と比較例との対比から、
本発明にかかる酸化剤と還元剤を互いに異なる相に配合
する高内相比乳化状重合方法の効果は明らかである。す
なわち、比較例で示した如く、ラジカル重合開始剤分解
速度が遅く重合制御が困難な重合温度においても、本発
明の方法によれば実施例で示した如く容易に重合速度が
制御可能である。このことは、本発明の方法におけるラ
ジカル重合開始剤の分解制御が単純な重合温度に依るの
ではなく、連続相からラジカル重合性モノマーが存在す
る分散相への還元剤の拡散・移相速度を主たる要因とし
ていることに由来すると推定される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤水溶液1〜30重量%を連続
    相、ラジカル重合性モノマー70〜99重量%を分散相
    とし、ラジカル重合開始能を有する酸化剤と還元剤を、
    互いに異なる相に配合することを特徴とする乳化状重合
    体組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤水溶液が5〜25重量%、ラ
    ジカル重合性モノマーが75〜95重量%であることを
    特徴とする請求項1記載の乳化状重合体組成物の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002145914A (ja) * 2000-11-08 2002-05-22 Japan Chemical Innovation Institute ラジカル重合における立体規則性の制御方法
JP2007308725A (ja) * 2007-09-03 2007-11-29 Yunimatekku Kk 含フッ素共重合体の製造方法
JP2015504960A (ja) * 2012-01-31 2015-02-16 ローディア オペレーションズ リビング反応安定剤の存在下でのハロゲン化ビニルモノマーの分散相重合

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