JPH09213573A - アルミ電解コンデンサ用電解紙 - Google Patents

アルミ電解コンデンサ用電解紙

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JPH09213573A
JPH09213573A JP1442696A JP1442696A JPH09213573A JP H09213573 A JPH09213573 A JP H09213573A JP 1442696 A JP1442696 A JP 1442696A JP 1442696 A JP1442696 A JP 1442696A JP H09213573 A JPH09213573 A JP H09213573A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミ電解コンデンサを構成する電解紙にお
いて、酵素により処理された繊維を使用することで電解
紙自体の持つ抵抗値を低減させ、インピ−ダンス特性を
向上させる。 【解決手段】アルミ電解コンデンサの陽極と陰極との間
に存在して、電解液を保持し、かつ両極間を隔てる機能
を有する電解紙では、その電解紙自体の持つ抵抗値が低
いことが必要とされる。この抵抗値の低い電解紙を得る
手段として、酵素で処理された繊維を10〜100重量
%の配合で含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミ箔等で成る陽極箔
と陰極箔との間に介在させて電解液を含浸させる電解コ
ンデンサ用の電解紙にかかり、特にはその耐電圧を低下
させること無く電解コンデンサの等価直列抵抗(ES
R)特性を改善する為に電解液に対する膨潤度を高めた
アルミ電解コンデンサ用電解紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミ電解コンデンサにおいては、陰・
陽両極の各アルミニウム箔の間に電解紙を介在させ、巻
き付け形成してコンデンサ素子を形成し、この素子を電
解液の中に浸漬して電解液を含浸させ、封口して制作し
ている。従ってアルミ電解コンデンサは電解液を含浸さ
せているので、コンデンサとしてのインピ−ダンス特
性、特に等価直列抵抗(以下ESRと略称する)が高く
なり易いことが問題である。
【0003】ESRを低下させる手段としては、電解液
の抵抗値を下げる、電解紙を薄くする(特開昭61−2
9118号)、セルロ−スを誘導体化する(特開昭63
−254717号、特開昭63−226020号、特開
昭63−104317号)、異種の繊維の混抄による
(特開昭61−45372号、特開昭62−12662
2号、特開平4−242913号、特開平5−2671
03号、特開平6−165848号)、無機成分の添加
(特開平5−251273号、特開平5−251274
号)などの方法が取られている。
【0004】しかしながら電解紙を薄くすることは本来
の目的である隔離機能を低下させることにもなり、ショ
−ト不良率増加の危険を高めることとなる。セルロ−ス
の誘導体化については、誘導体とする工程に手間がかか
り、生産性が悪化する。又、誘導体の種類によっては廃
棄の際に問題が生ずるものも有る。異種繊維の混抄で
は、目的に合う繊維の選定に手間がかかる上、配合、抄
造においても、複数の繊維種の使用の為、管理が大変で
ある。無機成分の添加では、目的とする成分の添加方
法、紙中への均一分散法、同定着法が繁雑となる。更に
電解紙本来の用途からすれば、繊維以外の成分を紙中に
添加すること自体も望ましくない。
【0005】一方製紙用繊維の酵素処理については、針
葉樹パルプ或は広葉樹パルプを高度叩解する際の補助的
手段としての利用(例えば特開平6−316899号、
特開平7−331588号)、脱墨の補助的手段(特開
平2−80683号)、漂白工程の補助手段(例えば特
開平2−293486号)等の例があるが、何れも従来
技術の補完的な利用になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電解紙においてはその
インピ−ダンス特性を向上させる為には、繊維径が出来
るだけ細く、且つ繊維の断面は円形に近いことが望まし
い。合成繊維の中には比較的この要求に合う種類もある
が、合成繊維はその基本となる高分子の性質により、抄
造法に工夫が必要であったり、原料となる高分子の性質
とアルミ電解コンデンサに使用される電解液の成分との
関係、或は耐熱性等のコンデンサの使用条件等の関係か
ら電解紙の用途には不向きであったりする。更に合成繊
維は一般には天然繊維との混抄ではセルロ−スとの馴染
みが悪く、出来上がった紙の地合の悪化や強度の低下の
問題もある。
【0007】再生セルロ−ス繊維では合成繊維程の欠点
は無いものの、細い径の繊維の入手が難しく、又、ビス
コ−スレ−ヨンでは紡糸時の口金の形状から繊維の断面
は円形には程遠い形である。溶剤紡糸型レ−ヨンやポリ
ノジックレ−ヨンでは円形断面の繊維もあるが、これら
のレ−ヨンでは繊維の特徴としてフィブリル化が生じや
すく、工程中で結束となって生産に阻害を生じやすい。
【0008】又、何れのレ−ヨンも通常はそのまま使用
されるので、供給された繊維の性質がそのまま電解紙の
性能に影響を及ぼすことになり、それ故に使用する繊維
の選択が重要になる。
【0009】木材パルプは抄造しやすい繊維であるがそ
の繊維形態は偏平であり、又、低インピ−ダンスを達成
させる為にろ水度を低くして抄造しようとすると低強度
化が先行し、目的達成は困難である。現在の電解紙の原
料の主流となっているマニラ麻繊維は比較的入手し易
く、抄造も容易であり、得られた紙もかなり低インピ−
ダンスではあるが、更に低インピ−ダンス化が望まれ
る。他の天然セルロ−ス系繊維も電解紙に使用される
が、その性質、入手の点でマニラ麻繊維に劣る。
【0010】前述のように現在電解紙に使用されている
原料としてはマニラ麻が最も良いものであるが、インピ
−ダンス特性の点からはまだ問題が残る。又、マニラ麻
繊維、木材パルプ等の天然繊維に対して従来技術である
機械的な叩解処理を行なうと、繊維はある程度細くなる
が真円とすることは出来ず、逆に叩解処理の結果繊維の
ろ水度が低下し、製紙特性が変化するので、得られる電
解紙は、例えばグラシン紙のような高密度の紙となり、
結果として高ESRで電解液の保液率は低いものとな
る。従ってこのような電解紙では一部の高電圧用途のア
ルミ電解コンデンサには使用出来るものの、一般の低電
圧用途のアルミ電解コンデンサにはとても使用出来ない
ものである。
【0011】再生セルロ−ス繊維にあっては、前述のよ
うに紡糸法と口金の形状で真円に近い断面を有する繊維
もあるが、それでも細さについては現在の技術ではポリ
ノジックレ−ヨンの0.5デニ−ルが最も細いものであ
る。一般的に使用されるビスコ−スレ−ヨンでは細さの
下限は0.7デニ−ルであり、且つ繊維断面は真円には
程遠い。
【0012】以上のように従来の技術では繊維径が細
く、その断面が真円に近い繊維を得ることは非常に困難
であるので、他の手段にてアルミ電解コンデンサのイン
ピ−ダンス特性を改善する方法を検討する必要がある。
例えば電解コンデンサの製造工程では、素子巻きを行な
った後に所定の電解液を含浸させるので、含浸前の状態
では電解紙が適当な密度と厚さを保持しており、電解液
の含浸により電解紙を構成する繊維が膨潤して実質的に
電解紙の密度が低下することによりインピ−ダンス特性
を低下させられれば、電解コンデンサの製造上で有利で
ある。
【0013】そこで本発明ではこのような観点から天然
繊維、再生セルロ−ス繊維の膨潤性を改良し、電気特性
の良い、低インピ−ダンスの電解紙を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミ電解コ
ンデンサ用電解紙は、アルミ電解コンデンサの陽極と陰
極との間に使用される電解紙を構成する繊維の全部又は
一部に、酵素処理された繊維が使用してあることを特徴
としている。
【0015】この結果、酵素にて処理した繊維を使用す
ることにより繊維の膨潤性を高め、酵素処理をしない繊
維を使用した場合よりも低インピ−ダンス化された電解
紙となる。
【0016】本発明にかかる電解紙は叩解処理されず、
酵素処理された繊維を使用して抄造されたものである。
電解紙のインピ−ダンス特性、特にESR特性を低下さ
せる為には、前述のように繊維の膨潤性を改善すること
が有効であるが、既存の機械的処理ではこのような要求
を満たすことは極めて困難なので、発明者らは生物化学
的手法に着目し、適当な酵素を選択・使用することによ
りESR特性が低い電解紙を発明した。
【0017】本発明で処理の対象となる繊維は、天然繊
維、再生セルロ−ス繊維の区別は無く、電解紙に使用で
きるセルロース繊維であればどのような繊維でも良い。
そして、これら酵素処理された繊維を一種で使用又は複
数種で混抄して使用しても良い。
【0018】本発明に使用される酵素は、天然繊維で
は、セルロ−ス分解酵素、ヘミセルロ−ス分解酵素、ペ
クチン質分解酵素、リグニン分解酵素等が挙げられる。
再生セルロ−ス繊維ではセルロ−ス分解酵素が使用でき
る。
【0019】本発明にかかる酵素とはセルロ−ス分解酵
素、ヘミセルロ−ス分解酵素、ペクチン質分解酵素、リ
グニン分解酵素である。これら各酵素は何れも高分子物
質の分解酵素であるので、酵素によってはその作用様式
がエンド型とエクソ型に大別されるものもあるが、本発
明を実施するにあたってはどちらの型を使用しても良
い。或は両者の型を混合使用しても良い。
【0020】酵素はその由来により基質特異性、作用p
H域、作用温度域に特徴があるが、本発明を実施するに
あたっては特に酵素の性質や由来の限定は無い。処理の
対象となる繊維についても、電解紙の原料として使用可
能な繊維であれば、天然繊維、再生セルロ−ス繊維の区
別無く利用できる。天然繊維にあっては、その繊維のろ
水度、晒しパルプ・未晒しパルプの別、木材パルプ・非
木材パルプの別等に限定は無い。再生セルロ−ス繊維に
あってはその製造方法、繊維径、繊維長等に限定は無
い。
【0021】本発明においては天然繊維、又は再生セル
ロ−ス繊維に対して、pH3〜13、温度10〜70℃
の範囲で、望ましくはpH4〜12、温度20〜60℃
の範囲で上記の酵素の一種類又は二種類以上を作用さ
せ、繊維の処理を行なう。処理の内容と程度は目的とす
る電解紙の種類・用途により決定されるので、使用する
酵素の種類・量もこれに従って選択する。
【0022】そして、アルミ電解コンデンサの電解紙に
使用される繊維の処理において、該繊維の酵素処理を行
う際の酵素の添加率が、当該繊維に対して0.1重量%
以上100重量%以下であることが好ましい。
【0023】0.1重量%未満では所定のESR低下を
実現させるのに処理時間が大幅に延長されることとな
る。また、100重量%を越えると、処理時間の短縮に
対する酵素処理費用の点で経済的に不利となる。
【0024】即ち、繊維が蒸煮直後の高アルカリ性の状
態であれば、アルカリセルラ−ゼ等のアルカリ域に至適
pHを有する酵素を使用し、既にパルプ化されその分散
液が中性乃至は酸性である場合は中性・酸性域に至適p
Hを有する酵素を使用する。又、未晒しパルプの場合は
ヘミセルロ−ス分解酵素、リグニン分解酵素を、ペクチ
ン質が存在する場合はペクチン質分解酵素を単独或は他
の酵素と併用して使用すれば良い。再生セルロ−ス繊維
の場合も同様に処理内容・目的に合う酵素を使用する。
高価な酵素であれば低添加量・長処理時間とする。
【0025】天然繊維はその殆どが植物由来である為、
繊維内に残存するリグニンやヘミセルロ−スを除去する
為にヘミセルロ−ス分解酵素、リグニン分解酵素が使用
される。これらの成分の除去には各酵素の単独使用でも
混合使用でも、又はセルロ−ス分解酵素を含めた混合使
用でも良い。
【0026】以上のような繊維、酵素を用いて酵素処理
した繊維を作り、酵素処理繊維単独或は酵素処理を行な
っていない繊維と混抄することにより、膨潤性を改良し
た電解紙、即ち電解コンデンサ組込み時の電解液の含浸
により低インピ−ダンス特性を発揮出来る電解紙を抄造
する。
【0027】このようにして酵素により処理された繊維
はコンデンサ電解紙に使用される全ての繊維に対して1
0重量%以上100重量%以下の配合で含むことがES
R特性の観点から好ましい。酵素により処理された繊維
は繊維が10重量%未満であると、好適なESR特性を
得ることができなくなる。 〔作用〕天然、再生を問わずセルロ−スの分子は多くの
水酸基(OH基)を有しており、繊維を構成するフィブ
リルは水酸基間に形成される水素結合で強固に結合して
いる。このようなセルロ−ス繊維は、電解コンデンサの
電解液の成分として使用されるγ−ブチロラクトンのよ
うな親水性に乏しい溶媒に浸漬しても、その水素結合の
部分には溶媒は浸入できず、その為繊維の膨潤が期待出
来ない。又、同じ理由で、セルロ−ス繊維が絡み合って
形成されている紙においても、繊維が絡み合った部分に
形成される水素結合により溶媒の浸入が阻害されるの
で、紙としての膨潤についても不利である。
【0028】一般に再生セルロ−ス繊維も含めて、セル
ロ−ス繊維にセルロ−ス分解酵素を作用させると、酵素
作用により繊維のセルロ−ス鎖が切断される。セルロ−
ス鎖の切断は通常表面より生ずるので、エンド型のセル
ラ−ゼを使用した場合は、叩解による繊維のフィブリル
化とは異なった表面処理効果が得られる。例えばセルロ
−ス分解酵素により処理されたマニラ麻繊維において
は、繊維の表面に存在するシワが除去されて、繊維表面
が平滑化が観察された。再生セルロ−ス繊維や他のセル
ロ−ス繊維についても表面の改質が為されることは同様
である。
【0029】即ち、セルロ−ス分子表面の非結晶領域の
セルロ−ス鎖が前述のようにセルラ−ゼの作用により切
断されるので、セルロ−ス分子間に切れ目が生じ、この
結果セルロ−ス繊維を構成しているミクロフィブリル間
の水素結合も切断され、ミクロフィブリル間に溶媒が浸
透し易い間隙が形成されると推定される。従って酵素の
作用を受けた非結晶領域のみならず、ここからセルロ−
ス分子中の結晶領域への溶媒の浸透性が向上することに
なる。これは電解紙においては実施例で示されるように
電解液の浸透性が向上することを意味するので、非常に
望ましい作用である。この現象も再生セルロ−ス繊維や
天然セルロ−ス繊維の差無く生ずるものである。
【0030】天然繊維はその殆どが植物由来である為、
漂白工程を経た繊維でも微量のリグニンやヘミセルロ−
スを含有している。これら成分を除去する為にヘミセル
ロ−ス分解酵素、リグニン分解酵素の使用の必要性が認
められている。特にセルロ−ス、ヘミセルロ−ス、リグ
ニンの三者はLCC(リグニン・炭水化物複合体)と呼
ばれる複合体を形成している場合が知られているが、こ
のような複合体の除去にはセルロ−ス分解酵素、ヘミセ
ルロ−ス分解酵素、リグニン分解酵素の混合使用が有効
と考えられる。もちろん個々の成分の除去には各酵素の
単独使用でも、又はセルロ−ス分解酵素を含めた混合使
用でも良い。
【0031】上記構成の発明によれば、酵素で処理され
た繊維はその酵素の基質となり得る成分の一部又は全部
が分解、或は繊維より除去されるという改質作用を受
け、従来の繊維とは異なった形状、性質が付与される。
更に酵素に依る処理は従来の機械に依る処理とは異なっ
て、処理条件が温和なので、例えば酵素処理したマニラ
麻の製紙特性は未処理マニラ麻と差が無く、その結果未
処理マニラ麻と同等の抄紙条件で、密度を変化させるこ
となく低インピ−ダンスの電解紙の抄造が可能となる。
【0032】
【実施例】以下に本発明の構成を各種実施例、及び得ら
れた電解紙の下に記す特性を測定した結果を示すことに
より説明する。なお、各試料の作成と測定は次の測定方
法及び装置により行なった。 (1) 使用原料 本実施例においては、電解紙の構成繊維として現在最も
一般的に電解紙原料として使用されているマニラ麻を使
用した。又、再生セルロ−ス繊維としては、電解紙に使
用が適すると考えられる、溶剤紡糸レ−ヨン(商品名:
テンセル、コートルズ社製)を用いた。 (2) 使用酵素 使用酵素は、中性セルロ−ス分解酵素としてはノボ・ノ
ルディスク社のNovozym 342を、酸性セルロ−ス分解
酵素としては天野製薬(株)のセルラ−ゼTアマノを、
アルカリ性セルロ−ス分解酵素としては花王の花王CF
Dを使用した。又、ペクチン質分解酵素としては天野製
薬(株)のペクチナ−ゼPL、ヘミセルラ−ゼ分解酵素
としてはノボ・ノルディスク社のPulpzymeHC
を、リグニン分解酵素としてはシグマ社のTYROSI
NASEをそれぞれ用いた。(なお、各酵素の名前はそ
れぞれの会社の製品名或は商品名である。) (3) 試験試料の抄造 試験試料の抄造は、手抄品にあっては25cm×20c
mの角型シ−トマシンを使用し、機械抄にあってはテス
ト抄紙機にて円網2層抄にて抄紙した。 (4) 厚さ、密度の測定 測定項目中の厚さと密度についてはJISC2111
(電気絶縁紙試験方法)、JISC2301(電解コン
デンサ紙)、JISP8118(紙及び板紙の厚さと密
度の試験方法)に従った。測定はマイクロメ−タ−を使
用した。又、密度を求める際に必要な、試験片の坪量の
測定はJISP8124(紙のメ−トル坪量測定方法)
に従った。 (5) ESR(等価直列抵抗) ESRの測定は以下のようにして行なった。電解紙試料
から10cm×10cmの試験片を切り取り、アルミ箔
を重ね、全体を二つ折りとする。電解紙の内側に5cm
×10cmのアルミ箔を入れ、全体を支持体で挟み、セ
ロハンテ−プにて固定する。このモデルコンデンサを4
−ブチロラクトン(γ−ブチロラクトン)を含む電解液
中に10分間浸漬する。電解液を浸漬させたモデルコン
デンサは25℃の温度条件下でLCRメ−タ−にて10
0KHzでのESRを測定する。
【0033】ESRについては厚さによるバラツキを補
正するため、測定値を試料片の厚さで除して1μm当た
りのESR値として表記する。 (6) 膨潤度 膨潤度の測定においては、電解紙試料を10枚重ねにし
て試験片とし、その厚さを(4)の方法にて測定する
(この厚さをAμmとする)。続いてJISP8101
(溶解パルプ試験法)中のαセルロ−ス分測定に用いる
17.5%の水酸化ナトリウム水溶液中に、試験片を1
0枚重ねのまま正確に10分間浸漬する。10分後に試
験片を取り出し、膨潤後の厚さを同じく(4)の方法に
て測定する(この厚さをBμmとする)。膨潤度は次式
により求めた。
【0034】 膨潤度の測定においては、セルロ−スの膨潤が最大近く
になる17.5%の水酸化ナトリウム水溶液を試験液と
して用いた。 (7) 保液率 電解紙が電解液を保持する割合の指標として電解液の保
液率を測定した。電解液は4−ブチロラクトン(γ−ブ
チロラクトン)を含む電解液を使用した。
【0035】電解紙試料から5cm×5cmの試験片を
切り取り、化学天秤でその重量を正確に小数点以下4桁
まで測定する(この重量をCgとする)。次に上記の電
解液中に試験片を正確に30分間浸漬する。30分後に
試験片を取り出し、自然落下により電解液が試験片から
滴下しなくなるまでピンセットにて試験片を保持する。
電解液の自然落下が終了したら、試験片を適当なガラス
板に10秒間密着させて余分な電解液を完全に除去す
る。このようにして余分の電解液を除去した試験片の重
量を化学天秤で正確に小数点以下4桁まで測定する(こ
の重量をDgとする)。
【0036】保液率は次式にて求めた。 (8) ろ水度 ろ水度の測定はJIS P8121(パルプのろ水度試
験方法)に従い、カナダ標準ろ水度(以下CSFと略
記)を測定した。なお、実施例12から実施例15まで
と比較例4については2種原料の混合例又は再生セルロ
−ス繊維使用例なので、これらの原料についてのろ水度
の測定は行わなかった。但し、実施例12から実施例1
4までの混合前の原料についてはそれぞれ実施例1及び
比較例1にて測定した。
【0037】(実施例1)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液50
0ml(pH7.0)と中性セルラ−ゼのNovozym 34
2を3g加えて40℃にて120分間処理した。
【0038】処理終了後マニラ麻を取り出し、5リット
ルの水に入れて洗浄後80メッシュの金網にてろ過し
た。更に洗浄後のマニラ麻を再度10リットルの水に入
れて洗浄し、80メッシュの金網にてろ過を行なった。
このようにして得た酵素処理マニラ麻を用いて上記
(3)の方法にて手抄し、厚さ65.2μm、密度0.
388g/cm3 の手抄シ−トを得た。 (実施例2)マニラ麻30gをチャック付きのポリ袋に
入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液500ml(pH
7.0)と中性セルラ−ゼのNovozym 342を0.15
g加えて40℃にて120分間処理した。処理終了後マ
ニラ麻を取り出し、実施例1と同じ洗浄操作を行なった
後、この酵素処理マニラ麻を用いて上記(3)の方法で
手抄し、厚さ64.2μm、密度0.393g/cm3
の手抄シ−トを得た。 (実施例3)マニラ麻30gをチャック付きのポリ袋に
入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液500ml(pH
7.0)と中性セルラーゼのNovozym 342を0.15
g加えて40℃にて1200分間処理した。処理終了後
マニラ麻を取り出し、実施例1と同じ洗浄操作を行なっ
た後、この酵素処理マニラ麻を用いて上記(3)の方法
で手抄し、厚さ64.8μm、密度0.390g/cm
3 の手抄シ−トを得た。 (実施例4)マニラ麻30gをチャック付きのポリ袋に
入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液500ml(pH
7.0)と中性セルラ−ゼのNovozym 342を15g加
えて40℃にて120分間処理した。
【0039】処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1
と同じ洗浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻を
用いて上記(3)の方法で手抄し、厚さ67.9μm、
密度0.370g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0040】(実施例5)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mクエン酸−リン酸
緩衝液500ml(pH4.5)と酸性セルラ−ゼのセ
ルラ−ゼTアマノを3g加えて40℃にて120分間処
理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1と同
じ洗浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻を用い
て上記(3)の方法で手抄し、厚さ68.1μm、密度
0.367g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0041】(実施例6)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mグリシン−水酸化
ナトリウム緩衝液500ml(pH9.5)とアルカリ
セルラ−ゼの花王CFDを3g加えて40℃にて120
分間処理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例
1と同じ洗浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻
を用いて上記(3)の方法で手抄し、厚さ68.9μ
m、密度0.369g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0042】(実施例7)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mクエン酸−リン酸
緩衝液500ml(pH4.5)とペクチン質分解酵素
のペクチナ−ゼPLを3g加えて40℃にて120分間
処理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1と
同じ洗浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻を用
いて上記(3)の方法で手抄し、厚さ63.6μm、密
度0.400g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0043】(実施例8)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液50
0ml(pH7.0)とヘミセルラ−ゼ分解酵素のPu
lpzymeHCを3g加えて40℃にて120分間処
理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1と同
じ洗浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻を用い
て上記(3)の方法で手抄し、厚さ66.2μm、密度
0.385g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0044】(実施例9)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液50
0ml(pH7.5)とリグニン分解酵素のTYROS
INASEを3g加えて40℃にて120分間処理し
た。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1と同じ洗
浄操作を行なった後、この酵素処理マニラ麻を用いて上
記(3)の方法で手抄し、厚さ64.2μm、密度0.
386g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0045】(比較例1)マニラ麻30gをチャック付
きのポリ袋に入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液50
0ml(pH7.0)を加えて酵素は未添加として40
℃にて120分間処理した。処理終了後マニラ麻を取り
出し、実施例1と同じ洗浄操作を行なった後、この酵素
処理マニラ麻を用いて上記(3)の方法で手抄し、厚さ
63.6μm、密度0.395g/cm3 の手抄シ−ト
を得た。
【0046】(実施例10)マニラ麻100gを実験用
小型ビーターに入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液
2.5リットル(pH7.0)と中性セルラ−ゼのNovo
zym 342を10g加えて50〜40℃にて120分間
回流処理した。なお、この実施例を含め、後記する実施
例(実施例11,及び16)及び比較例(比較例2,
3,及び5)において実験用小型ビーター又は小型ビー
タを使用するのは、叩解のためではなく、攪拌のためで
あり、叩解作用はないように使用するものである。処理
終了後マニラ麻を取り出し、処理終了後マニラ麻を取り
出し、15リットルの水に入れて洗浄後80メッシュの
金網にてろ過した。更に洗浄後のマニラ麻を再度15リ
ットルの水に入れて洗浄し、80メッシュの金網にてろ
過を行なった。このようにして得た酵素処理マニラ麻を
用いて上記(3)の方法にて手抄し、厚さ63.0μ
m、密度0.410g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0047】(実施例11)マニラ麻100gを実験用
小型ビーターに入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液
2.5リットル(pH7.0)と中性セルラ−ゼのNovo
zym 342を5g加えて50〜40℃にて120分間回
流処理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例1
0と同じように15リットルの水にて2回洗浄操作を行
なった後、この酵素処理マニラ麻を用いて上記(3)の
方法で手抄し、厚さ65.0μm、密度0.391g/
cm3 の手抄シ−トを得た。
【0048】(比較例2)マニラ麻100gを実験用小
型ビーターに入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液2.
5リットル(pH7.0)を加えて酵素は未添加とし、
50〜40℃にて120分間回流処理した。処理終了後
マニラ麻を取り出し、実施例10と同じように15リッ
トルの水にて2回洗浄操作を行なった後、この酵素処理
マニラ麻を用いて上記(3)の方法で手抄し、厚さ6
4.1μm、密度0.398g/cm 3 の手抄シ−トを
得た。
【0049】(比較例3)マニラ麻100gを実験用小
型ビーターに入れ、ここに0.01Mリン酸緩衝液2.
5リットル(pH7.0)と100℃にて10分間加熱
して酵素活性を失活させた中性セルラ−ゼのNovozym 3
42を10g加えて50〜40℃にて120分間回流処
理した。処理終了後マニラ麻を取り出し、実施例10と
同じように15リットルの水にて2回洗浄操作を行なっ
た後、この酵素処理マニラ麻を用いて上記(3)の方法
で手抄し、厚さ67.0μm、密度0.379g/cm
3 の手抄シ−トを得た。
【0050】(実施例12)実施例1の酵素処理マニラ
麻を25重量%と比較例1の未処理マニラ麻を75%と
を混合し、上記(3)の方法で手抄し、厚さ64.0μ
m、密度0.388g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0051】(実施例13)実施例1の酵素処理マニラ
麻を50重量%と比較例1の未処理マニラ麻を50%と
を混合し、上記(3)の方法で手抄し、厚さ63.0μ
m、密度0.397g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0052】(実施例14)実施例1の酵素処理マニラ
麻を75重量%と比較例1の未処理マニラ麻を25%と
を混合し、上記(3)の方法で手抄し、厚さ69.0μ
m、密度0.372g/cm3 の手抄シ−トを得た。
【0053】(実施例15)溶剤紡糸レ−ヨン(商品名
テンセル)30gをチャック付きのポリ袋に入れ、ここ
に0.01Mリン酸緩衝液500ml(pH7.0)と
中性セルラ−ゼのNovozym 342を3g加えて40℃に
て120分間処理した。処理終了後テンセルを取り出
し、実施例1と同じ洗浄操作を行なった後、この酵素処
理テンセルを50重量%と比較例1の未処理マニラ麻を
50%とを混合し、上記(3)の方法で手抄し、厚さ1
06μm、密度0.242g/cm 3 の手抄シ−トを得
た。
【0054】(比較例4)酵素処理を行なっていない溶
剤紡糸レ−ヨン(商品名テンセル)を50重量%と比較
例1の未処理マニラ麻を50%とを混合し、上記(3)
の方法で手抄し、厚さ108μm、密度0.241g/
cm3 の手抄シ−トを得た。
【0055】(実施例16)マニラ麻10Kgを300
リットル容量の小型ビーターに入れ、ここに0.01M
リン酸緩衝液250リットル(pH7.0)と中性セル
ラ−ゼのNovozym 342を1Kg加えて50〜40℃に
て120分間回流処理した。処理終了後、この酵素処理
マニラ麻を用いて上記(3)に示すテスト抄紙機にて円
網2層抄にて抄紙し、厚さ51.1μm、密度0.55
2g/cm3 のシ−トを得た。
【0056】(比較例5)マニラ麻10Kgを300リ
ットル容量の小型ビーターに入れ、ここに0.01Mリ
ン酸緩衝液250リットル(pH7.0)を加えて酵素
は未添加で50〜40℃にて120分間回流処理した。
処理終了後、この酵素処理マニラ麻を用いて上記(3)
に示すテスト抄紙機にて円網2層抄にて抄紙し、厚さ4
8.9μm、密度0.548g/cm3 のシ−トを得
た。
【0057】上記の実施例、比較例の各々の測定結果を
表1及び表2に示す。表1及び表2に示す如く、本発明
による酵素処理を行った繊維を使用した電解紙では、例
えば実施例1では厚さ65.2μmで密度0.388g
/cm3 で比較例1の厚さ63.6μm、密度0.39
5g/cm3 と比べても紙として殆ど差は無いにも係ら
ず、膨潤度では比較例1の189%に対して実施例1で
は214%と25%増加し、また、電解液の保液率は比
較例1における291%から実施例1では380%と8
9%の増加となっている。ESRの測定値は比較例1の
4.79×10-3Ω/μmから実施例1の2.70×1
-3Ω/μmと実に43.6%の低下となっている。
又、製紙特性の指標となるろ水度では比較例1の655
mlが実施例1の675mlで僅か20mlの変化であ
り、これは実際上は製紙特性は変化していないことを示
している。従って、酵素未処理の原料の抄紙条件で酵素
処理した原料を抄紙すると、厚さと密度は従来の酵素未
処理原料から得られる電解紙と同一でありながら、膨潤
度、保液率が高められてその結果ESR特性が低下した
電解紙が得られることとなる。これは本発明が電解紙の
ESR特性向上に有効であることを示すのみならず、電
解紙の抄紙上においても従来の抄紙技術がそのまま使用
出来ることを示しており、本発明の有用性の証明であ
る。
【0058】実施例2と実施例3は中性セルロース分解
酵素のマニラ麻に対する添加量を同じにして、処理時間
を変化させた例である。実施例2の如く同じ添加量0.
15gでも、実施例1と同じ120分間の処理では、E
SR特性の低下は極めて少ないが、実施例3のように処
理時間を延長すると、酵素添加量が少なくてもESR特
性の低下を実現させることができる。
【0059】実施例1、実施例5、実施例6、実施例
7、実施例8、実施例9はそれぞれ中性、酸性、アルカ
リ性セルロ−ス分解酵素及びペクチン質分解酵素、ヘミ
セルロ−ス分解酵素、リグニン分解酵素の使用例を示し
たものである。比較例1との対比において各実施例は何
れも厚さ、密度ろ水度は殆ど変化してい無いにかかわら
ず、ESR、膨潤度、保液率の向上が認められ、各酵素
により繊維を処理することが電解紙の特性向上に有効で
あることを示している。
【0060】実施例10、実施例11と比較例2、比較
例3は実際の生産に近い条件を想定しての試験例であ
る。ビーターに依る回流操作にても酵素処理の効果は充
分認められ、ろ水度の変化は僅かである。更に比較例3
にて加熱により酵素作用を失活させた酵素液を使用した
例を示したが、この例ではESR、膨潤度、保液率の向
上が認められず、従ってこの例より繊維の改質効果は酵
素の作用に依るものであることが証明された。
【0061】実施例12から実施例14は酵素未処理の
原料と酵素処理した原料との混合例である。実施例1と
比較例1をも含めて対比させると、酵素処理した原料を
未処理の原料に混合すれば、混合原料より抄紙された電
解紙は酵素処理された原料の配合比率にほぼ見合ったE
SR、膨潤度、保液率の向上が認められる。このことは
電解紙の実際の生産において酵素未処理原料と酵素処理
原料を混合することにより、酵素処理原料100%で抄
紙された電解紙のESR特性と酵素未処理原料100%
で抄紙された電解紙のESR特性との間の任意のESR
特性の電解紙が抄紙出来ることを示している。電解紙生
産に本発明は有利である。
【0062】実施例15と比較例4は原料に再生セルロ
−ス繊維を使用した実験例である。両者を対比させると
厚さと密度は差が無いもののESR、膨潤度、保液率に
ついては何れも酵素処理した再生セルロ−ス繊維を配合
した実施例14の結果が優れている。従って本発明は天
然繊維だけで無く、再生セルロ−ス繊維に対しても有効
である。
【0063】実施例16と比較例5は実生産と同じ方式
でテスト抄紙機にて本発明を試験した例である。本2例
ではJIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定さ
れるME2.5−50を実際に抄紙し、本発明の効果を
確認した。その結果厚さと密度とろ水度はほぼ同一であ
るが、ESR、膨潤度、保液率については比較例5の
8.56×10-3 Ω/μm、295%、158%に対
して実施例16では4.68×10 -3 Ω/μm、37
8%、223%とESR値では約45%の低下、膨潤
度、保液率ではそれぞれ約28%、約41%の増加とな
り、実生産においても本発明の効果が実現可能であるこ
とを証明している。
【0064】以上各例に示す如く、本発明によるアルミ
電解コンデンサ用電解紙では、従来の酵素処理をされて
いない繊維のみで抄造されたアルミ電解コンデンサ用電
解紙よりもインピ−ダンス特性が向上している。又、酵
素処理の効果は天然繊維のみならず、再生セルロ−ス繊
維に対しても有効である。
【0065】特許請求の範囲の欄に記載されないもので
あって、上記実施例から把握できる技術的思想について
以下にその効果とともに記載する。 (1)アルミ電解コンデンサの陽極と陰極との間に使用
される電解紙を構成する繊維の全部又は一部に、叩解さ
れず、酵素処理のみされた繊維が使用してあることを特
徴とするアルミ電解コンデンサ用電解紙。マニラ麻繊
維、木材パルプ等の天然繊維に対して機械的な叩解処理
を行なうと、繊維はある程度細くなるが真円とすること
は出来ず、逆に叩解処理の結果繊維のろ水度が低下し、
製紙特性が変化するので、得られる電解紙は、例えばグ
ラシン紙のような高密度の紙となり、結果として高ES
Rで電解液の保液率は低いものとなる。しかし、本願の
構成によれば、叩解処理が行われていないため、繊維の
ろ水度が低下せず、製紙特性が変化することがなく、結
果として低ESRで電解液の保液率を高くすることがで
きる。
【0066】(2) 請求項1乃至請求項4の電解紙の
うち何れかの電解紙を使用したアルミ電解コンデンサ。
アルミ電解コンデンサに実施例1乃至実施例16のいず
れかの電解コンデンサ用電解紙を使用すれば、アルミ電
解コンデンサのインピーダンス特性を改善することがで
きる。
【0067】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明にかか
る電解紙は酵素で処理された繊維を使用するものであ
る。酵素処理により繊維が改質された結果、原料のろ水
度はほぼ同一の状態にあって抄紙後の厚さと密度は変化
しないにも係らず、膨潤度、保液率が向上している為、
得られた電解紙は未処理繊維使用の電解紙と比べて、低
インピ−ダンス化されたものとなっていることが特徴で
ある。従って以下に記す作用効果がもたらされる。
【0068】電解コンデンサの製造工程では、素子巻き
を行なった後に所定の電解液を含浸させるので、含浸前
の状態では電解紙が適当な密度と厚さを保持している
が、電解液を構成する繊維は酵素処理により膨潤度が向
上しているので、電解液を含浸させると繊維は顕著に膨
潤する。この結果素子巻き工程ではショ−ト不良を起こ
さない状態に電解紙の密度を保ちながら、電解液の含浸
により、繊維の膨潤による実質的な電解紙の密度低下が
生じてインピ−ダンス特性を低下させることが可能とな
り、アルミ電解コンデンサの性能向上に寄与出来る。
【0069】酵素による繊維の改質の結果、膨潤度のみ
ならず保液性の向上も得られている。現在電解コンデン
サの製造に使用されている4−ブチロラクトン(γ−ブ
チロラクトン)はエチレングリコ−ル等に比して親水性
が低い溶媒であるが、本発明による電解紙では同溶媒の
保液率が向上しているので同一重量の従来の電解紙に比
べて電解液含浸量が増え、これにより電解液のドライア
ップ効果の防止効果が高まり、アルミ電解コンデンサの
寿命の向上にも寄与出来る。
【0070】本発明による電解紙は酵素処理された原料
のろ水度が未処理の原料と殆ど同じなので、既存の抄紙
条件で従来品と同一の品種が抄造出来る。又、誘導体
化、異種成分の添加等を行っておらず、繊維成分100
%で供給可能である。このことは電解紙の製造に非常に
有利であるだけでなく、アルミ電解コンデンサの製造工
程においても、従来品との置き換えが容易であることを
意味している。
【0071】一定の厚さと、一定の密度を有するセルロ
ース繊維紙のESR値が33%低下すると、従来3個使
用していたアルミ電解コンデンサを2個の使用とするこ
とが可能とされている。このことは電子回路小型化や軽
量化に大きく貢献することになるといえる。
【0072】更に、本発明による電解紙は環境に有害な
成分を含まないので、アルミ電解コンデンサの廃棄の
際、電解紙については環境に対する特別の配慮、処理は
不要である。
【0073】以上のように本発明によるアルミ電解コン
デンサ用電解紙は、アルミ電解コンデンサの製造におい
て従来の電解紙よりも著しく有益なものである。
【表1】
【表2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ電解コンデンサの陽極と陰極との
    間に使用される電解紙を構成する繊維の全部又は一部
    に、酵素処理された繊維が使用してあることを特徴とす
    るアルミ電解コンデンサ用電解紙。
  2. 【請求項2】 前記アルミ電解コンデンサの電解紙に使
    用される繊維で、酵素処理の対象となる繊維が、天然繊
    維又は再生セルロ−ス繊維中の一種又は複数である請求
    項1に記載のアルミ電解コンデンサ用電解紙。
  3. 【請求項3】 前記アルミ電解コンデンサの電解紙に使
    用される繊維の処理に用いられる酵素が、セルロ−ス分
    解酵素、ヘミセルロ−ス分解酵素、ペクチン質分解酵
    素、リグニン分解酵素の中の一種又は複数である請求項
    1又は請求項2に記載のアルミ電解コンデンサ用電解
    紙。
  4. 【請求項4】 前記アルミ電解コンデンサの電解紙に使
    用される繊維の処理において、該繊維の酵素処理を行う
    際の酵素の添加率が、当該繊維に対して0.1重量%以
    上100重量%以下である請求項1乃至請求項3のうち
    いずれかに記載のアルミ電解コンデンサ用電解紙。
  5. 【請求項5】 前記アルミ電解コンデンサ電解紙におい
    て、使用されている電解紙中で酵素で処理された繊維の
    配合比率が、当該電解紙に使用される総ての繊維に対し
    て10重量%以上100重量%以下である請求項1乃至
    請求項4のうちいずれかに記載のアルミ電解コンデンサ
    用電解紙。
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