JPH09212848A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH09212848A
JPH09212848A JP8024329A JP2432996A JPH09212848A JP H09212848 A JPH09212848 A JP H09212848A JP 8024329 A JP8024329 A JP 8024329A JP 2432996 A JP2432996 A JP 2432996A JP H09212848 A JPH09212848 A JP H09212848A
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JP
Japan
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magnetic
recording medium
ferromagnetic metal
metal powder
magnetic recording
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Application number
JP8024329A
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English (en)
Inventor
Kouji Nishibuchi
浩二 西渕
Manabu Hosoya
学 細矢
Kunio Ando
邦雄 安藤
Tadashi Yasuoka
正 安岡
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性の経時安定性及び保存安定性に優れ
た磁気記録媒体及びその製造方法の提供。 【解決手段】 強磁性金属粉末、燐酸エステル及び極性
基を有するバインダを含む磁性塗料から形成された磁性
層を有する本発明の磁気記録媒体は、上記磁性塗料が、
上記燐酸エステルが添加され高剪断処理されて調製され
たものであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、更に詳しくは、磁性粉末の分散性が向上し、磁気特
性の経時安定性及び保存安定性に優れた磁気記録媒体及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】保存安
定性や耐酸化性に優れた磁気記録媒体を得るために、強
磁性金属微粒子の製造時に、その表面を種々の酸、例え
ば燐酸やその塩の水溶液で処理することが知られている
(例えば、特開平5−20676号公報、特開平5−8
1648号公報)。
【0003】上記公報記載の技術を用いれば、磁性塗料
の保存安定性や耐酸化性はある程度改善される。しか
し、上記公報記載の技術では、バルク状態で強磁性金属
微粒子の表面が処理されるため、十分に表面が処理され
ているとはいえない。また、燐酸として純度の高くない
ものを用いると、不純物質である低分子量物がヘッドコ
ンタミの原因となり、磁気記録媒体の走行性を悪化させ
る。更に、バルク状態での表面処理では、強磁性金属微
粒子の製造時に投入した燐酸が、全て該強磁性金属微粒
子の表面に有効に付着するとは限らないので、処理効率
が悪い。その結果、飽和磁化等の磁気特性に経時劣化が
生じ、十分な保存安定性が得られない。
【0004】従って、本発明の目的は、磁気特性の経時
安定性及び保存安定性に優れた磁気記録媒体及びその製
造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
たところ、特定の化合物と特定のバインダとを含む磁性
塗料を用い、且つ、該磁性塗料の調製に際して特定の上
記化合物を特定の時期に添加することにより、上記目的
を達成し得る磁気記録媒体が得られることを知見した。
【0006】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、強磁性金属粉末、燐酸エステル及び極性基を
有するバインダを含む磁性塗料から形成された磁性層を
有する磁気記録媒体において、上記磁性塗料は、上記燐
酸エステルが添加され高剪断処理されて調製されたもの
であることを特徴とする磁気記録媒体を提供することに
より上記目的を達成したものである。
【0007】また、本発明は、上記磁気記録媒体の好ま
しい製造方法として、強磁性金属粉末、燐酸エステル及
び極性基を有するバインダを含む磁性塗料から形成され
た磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法において、上
記磁性塗料を、上記燐酸エステルを添加して高剪断処理
することにより調製することを特徴とする磁気記録媒体
の製造方法を提供するものである。
【0008】また、本発明は、強磁性金属粉末、極性基
を有するバインダ及び溶剤を含む混合物を固練りして高
剪断処理した後に溶剤で希釈・分散させて磁性塗料を製
造する方法において、燐酸エステルを添加して上記高剪
断処理することを特徴とする方法を提供するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体の好ましい
一実施形態を図面を参照して説明する。ここで、図1
は、本発明の磁気記録媒体の好ましい一実施形態の構造
を示す概略断面図である。
【0010】図1に示す実施形態の磁気記録媒体1は、
非磁性支持体2と、該非磁性支持体2上に設けられた磁
性層3とを具備している。また、上記磁気記録媒体1
は、上記非磁性支持体2における上記磁性層3が設けら
れた面とは反対の面側にバックコート層4を具備してい
る。
【0011】図1に示す実施形態の磁気記録媒体1にお
いて用いられる上記非磁性支持体2としては、通常公知
のものを特に制限されることなく用いることができる。
具体的には、高分子樹脂からなる可撓性フィルムやディ
スク;Cu,Al,Zn等の非磁性金属、ガラス、磁
器、陶器等のセラミック等からなるフィルム、ディス
ク、カード等を用いることができる。
【0012】上記可撓性フィルムや上記ディスクを形成
する上記高分子樹脂としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンビスフェノキシカルボキシレート等
のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルロースアセテートブチレート、
セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘
導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル
系樹脂、或いはポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリスルフォン、ポリエーテル・エーテルケト
ン、ポリウレタン等が挙げられ、使用に際しては、単独
で若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0013】図1に示す実施形態の磁気記録媒体1にお
ける上記非磁性支持体2上に設けられる上記磁性層3
は、強磁性金属粉末、燐酸エステル及び極性基を有する
バインダを含む。そして、該磁性層3は、該強磁性金属
粉末、該燐酸エステル及び該バインダを含むと共に、溶
剤を含む磁性塗料から形成される。
【0014】上記磁性塗料に含まれる上記強磁性金属粉
末としては、例えば、金属分が70重量%以上であり且
つ該金属分の60重量%以上がFeである鉄を主体とし
た強磁性金属粉末が挙げられる。そのような強磁性金属
粉末の具体例としては、例えば、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Co−N
i、Fe−Ni−Al−Zn、Fe−Al−Si等が挙
げられる。
【0015】また、上記強磁性金属粉末としては、長軸
長が0.01〜0.1μmである針状強磁性金属粉末を
用いることが好ましい。かかる強磁性金属粉末を用いる
と媒体ノイズが低くなり、高出力、高C/Nを有する磁
気記録媒体が得られるので好ましいが、微粒子である分
だけ分散性に劣るという欠点がある。しかしながら、本
発明においては、上記燐酸エステルを特定の時期に添加
した磁性塗料を用いることにより、かかる強磁性金属粉
末を用いた場合であってもその分散性を高くすることが
できる。上記針状強磁性金属粉末の更に好ましい長軸長
は0.03〜0.1μmであり、一層好ましい長軸長は
0.05〜0.08μmである。また、上記針状強磁性
金属粉末は、その針状比が好ましくは3〜10であり、
そのX線粒径が好ましくは150〜210Åであり、そ
のBET比表面積が好ましくは50〜70m2 /gであ
る。
【0016】上記強磁性金属粉末の保磁力は、2000
〜3000Oeであることが好ましく、2000〜24
00Oeであることが更に好ましい。上記強磁性金属粉
末の保磁力が2000Oe未満であると、減磁しやすい
ため短波長RF出力が低下する場合があり、3000O
eを超えるとヘッド磁界が不充分となり書き込み能力が
不足し、更にはオーバーライト特性が低下する場合があ
るので、上記範囲内とすることが好ましい。また、上記
強磁性金属粉末の飽和磁化は、100〜150emu/
gであることが好ましく、130〜150emu/gで
あることが更に好ましい。上記強磁性金属粉末の飽和磁
化が、100emu/g未満であると、上記強磁性金属
粉末の充填率が低くなり、出力が低下する場合があり、
150emu/gを超えると、バインダの配合量を減少
させる必要が生じ、各強磁性金属粉末間の相互作用が大
きくなり、結果的に、強磁性金属粉末が凝集状態となっ
て、所望の出力を得るのが困難となる場合があるので、
上記範囲内とすることが好ましい。
【0017】上記強磁性金属粉末には、必要に応じて、
稀土類元素や遷移金属元素を含有せしめることもでき
る。また、上記強磁性金属粉末の分散性等を一層向上さ
せるために、該強磁性金属粉末に表面処理を施してもよ
い。かかる表面処理は、「Characterization of Powder
Surfaces 」;Academic Pressに記載されている方法等
と同様の方法により行うことができ、例えば上記強磁性
金属粉末の表面を無機質酸化物で被覆する方法が挙げら
れる。この際、用いることができる無機質酸化物として
は、Al2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Sn
2 、Sb2 3 、ZnO等が挙げられ、使用に際して
は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができ
る。なお、上記表面処理は、上記の方法以外に、シラン
カップリング処理、チタンカップリング処理及びアルミ
ニウムカップリング処理等の有機処理により行うことも
できる。
【0018】次に、上記磁性塗料に含まれる上記燐酸エ
ステルについて説明すると、該燐酸エステルは上記強磁
性金属粉末の分散性及び磁気記録媒体の保存安定性を高
めるために用いられるものである。即ち、上記燐酸エス
テルは、上記強磁性金属粉末の表面に付着することによ
って立体障害作用を発現する。かかる立体障害作用によ
って上記強磁性金属粉末同士の凝集が防止され分散性が
高まる。また、上記燐酸エステルの付着によって上記強
磁性金属粉末の表面が覆われ、該強磁性金属粉末の磁気
特性の経時劣化が抑えられ、磁気記録媒体の保存安定性
が高まる。後述するように、上記燐酸エステルは、上記
磁性塗料の調製における特定の時期に添加される。
【0019】上記作用を有する燐酸エステルであれば、
本発明において特に制限無く用いることができるが、特
に下記式(1)で表される燐酸エステルが好ましく用い
られる。
【0020】
【化2】
【0021】(式中、nは1又は2であり、n+m=3
であり、lは0〜20の整数であり、RはC4 〜C30
炭化水素基を表す。)
【0022】上記式(1)においてlが0の場合、Rは
炭素数10〜20の直鎖アルキル基であることが好まし
い(即ち、モノアルキルフォスフェート又はジアルキル
フォスフェート)。一方、lが1以上の場合、Rは炭素
数1〜20の直鎖アルキルアリール基であることが好ま
しい。また、lが1以上の場合、lは1〜20の整数で
あることが好ましい。本発明においては、上記式(1)
で表される燐酸エステルを単独で用いてもよく、或いは
2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】上記式(1)で表される燐酸エステルの具
体例としては、下記式(2)及び(3)で表されるもの
が好ましく挙げられる。
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】なお、上記式(3)で表される燐酸エステ
ルにおいて、添字1.5は、上記式(1)において、n
=1でm=2の燐酸エステルとn=1でm=1の燐酸エ
ステルとの1:1(モル)混合物であることを示す。
【0027】上記燐酸エステルの使用量は、上記強磁性
金属粉末100重量部に対して0.001〜5重量部と
することが好ましい。上記燐酸エステルの使用量が0.
001重量部に満たないと、分散性の効果が十分得られ
ず、また、耐酸化性の効果の向上も期待できない。一
方、上記燐酸エステルの使用量が5重量部を超えると、
最終塗膜としたとき、ヘッド目詰まりが起こる可能性が
あり、カレンダー汚れの原因ともなる。また、上記強磁
性金属粉末のパッキング性を落とすことになるので出力
低下につながる。更に、5重量部以上使用しても、大き
な効果の向上は期待できないので、上記範囲内とするこ
とが好ましい。
【0028】次に、上記磁性塗料に含まれる、極性基を
有する上記バインダについて説明する。上記バインダと
しては、磁気記録媒体に通常用いられているものを特に
制限無く用いることができ、例えば熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂及び反応型樹脂等が挙げられるが、それらには
限定されない。使用に際しては単独で又は2種以上の混
合物として用いることができる。上記バインダの具体例
としては、塩化ビニル系の樹脂、ポリエステル、ポリウ
レタン、ニトロセルロース及びエポキシ樹脂等が挙げら
れる。上記バインダの使用量は、上記強磁性金属粉末1
00重量部に対して10〜30重量部とすることが好ま
しく、13〜25重量部とすることが更に好ましい。
【0029】また、上記バインダが有する極性基として
は、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基、燐酸塩基等が挙
げられるが、これらに限定されない。上記バインダが極
性基を有することにより、上記強磁性金属粉末とバイン
ダとのなじみが向上し、該強磁性金属粉末同士の凝集が
防止され、分散性が向上する。上記極性基としてはスル
ホン酸塩基を用いることが特に好ましい。
【0030】上記極性基を有するバインダの具体例とし
ては、スルホン酸塩基を有する塩化ビニル系バインダで
ある日本ゼオン製のMRシリーズ等や、スルホン酸塩基
を有するポリウレタン系バインダである東洋紡績(株)
製の「バイロンUR−8200」、「バイロンUR−8
300」、「バイロンUR−8700」(何れも商品
名)等が挙げられる。
【0031】次に、上記磁性塗料に含まれる上記溶剤に
ついて説明する。上記溶剤としては、磁気記録媒体に通
常用いられているものを特に制限無く用いることがで
き、例えばケトン系の溶剤、エステル系の溶剤、エーテ
ル系の溶剤、芳香族炭化水素系の溶剤、及び塩素化炭化
水素系の溶剤等が挙げられ、具体的には、特開昭57−
162128号公報の第3頁右下欄17行〜第4頁左下
欄10行等に記載されている溶剤を用いることができ
る。上記溶剤は、上記磁性塗料中において、上記強磁性
金属粉末100重量部に対して好ましくは180〜40
0重量部配合され、更に好ましくは200〜350重量
部配合される。
【0032】上記磁性塗料には、上述した各成分に加え
て、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、防
黴剤、及び硬化剤等の通常磁気記録媒体に用いられてい
る添加剤を、必要に応じて添加することができる。上記
添加剤としては、具体的には、特開昭57−16212
8号公報の第2頁左上欄6行〜第2頁右上欄10行及び
第3頁左上欄6行〜第3頁右上欄18行等に記載されて
いる種々の添加剤等を挙げることができる。
【0033】而して、本発明の磁気記録媒体において
は、上記磁性塗料が、上記燐酸エステルが添加され高剪
断処理されて調製されたものであることを特徴とする。
更に詳細に説明すると、上記磁性塗料は、一般に、上記
強磁性金属粉末、上記バインダ、及び上記溶剤の一部を
混合した混合物を高固形分状態(例えば、固形分濃度7
0〜95重量%)で固練りすることにより高剪断処理を
施した後、上記溶剤の一部で希釈して固形分濃度を下げ
て(例えば、固形分濃度40〜60重量%)サンドミル
等を用いて分散処理した後、添加剤を混合して、濾過
し、更にポリイソシアネート等の硬化剤や残りの溶剤を
混合する等して調製され、本発明においては、上記燐酸
エステルを上記混合物に添加して上記固練りによる高剪
断処理することを特徴とする。即ち、本発明は、上記強
磁性金属粉末、上記バインダ及び上記溶剤を含む混合物
を固練りして高剪断処理した後に、該溶剤を添加し該混
合物を希釈・分散させて磁性塗料を調製するに際して、
上記燐酸エステルを添加して上記高剪断処理することを
特徴とするものである。上記燐酸エステルを添加して高
剪断処理することによって、高剪断処理により上記強磁
性金属粉末に生じた活性な新しい表面に上記燐酸エステ
ルを無駄なく効率的に且つ安定的に付着させることがで
き、該燐酸エステルの有する立体障害作用を効果的に発
現させることができると共に、安定性の一層高い磁性塗
料を調製することができる。その結果、塗工後の表面性
が高く且つ欠陥の少ない塗膜を得ることができる。ま
た、最終的に得られる磁気記録媒体のエラーレートも低
くなる。
【0034】上述の通り、本発明においては、高剪断処
理により上記強磁性金属粉末に活性な新しい表面を生じ
させることが重要である。この目的のために、本発明に
おける高剪断処理は、好ましくは剪断応力γが1×10
6 dyn/cm2 以上の条件下で行われる。なお、上記
高剪断処理は、例えば加圧ニーダや連続式押出機を用い
て行うことができる。
【0035】上記高剪断処理の時間に特に制限は無い
が、上記燐酸エステルを上記強磁性金属粉末の表面に効
率的且つ十分に付着させる観点から1〜240分である
ことが好ましく、1〜30分であることが更に好まし
い。
【0036】本発明においては、上記燐酸エステルは、
上記磁性塗料の調製における高剪断処理時に少なくとも
添加されていればよく、その他の工程、例えば高剪断処
理後の希釈・分散工程においても併せて上記燐酸エステ
ルを添加したり、上記強磁性金属粉末として、上記燐酸
エステルによって表面処理されたものを併用することも
できる。
【0037】上記磁性塗料を上記非磁性支持体上に塗布
して形成された磁性層においては、その保磁力が、20
00〜3000Oeであることが好ましく、2200〜
2600Oeであることが更に好ましい。また、該磁性
層の飽和磁束密度は、3500〜6000ガウスである
ことが好ましい。また、上記磁性層は、厚みが0.1〜
2μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであ
ることが更に好ましい。更に、上記磁性層は、分散性の
高い上記磁性塗料から形成されているので、その中心線
表面粗さ(Ra)を、1〜7nm(特に、1〜3nm)
という小さな値にすることができる。
【0038】図1に示す磁気記録媒体1において、上記
非磁性支持体2における上記磁性層3が設けられた面と
は反対の面側に設けられる上記バックコート層4は、磁
気記録媒体1の耐久性や走行性を向上させるために設け
られる。該バックコート層4は、公知のバックコート塗
料から特に制限なく形成することができる。
【0039】次に、本発明の磁気記録媒体を製造する好
ましい方法を述べる。本発明の磁気記録媒体は、強磁性
金属粉末、燐酸エステル及び極性基を有するバインダを
含む磁性塗料から形成された磁性層を有する磁気記録媒
体の製造方法において、上記磁性塗料を、上記燐酸エス
テルを添加して高剪断処理することにより調製すること
によって好ましく製造される。更に詳細に説明すると、
上述の方法に従って調製された上記磁性塗料を上記非磁
性支持体上に塗布する。該磁性塗料の塗布量は、塗膜の
乾燥厚みが所定の厚みとなるような量である。次いで、
該塗膜に対して磁場配向処理を行い、更に乾燥処理を行
い磁性層を形成する。引き続き、上記磁性塗料が塗布さ
れた面とは反対側の面に上記バックコート塗料を塗布
し、塗膜を乾燥してバックコート層を形成する。この
後、カレンダー処理を行い、上記磁性層及び上記バック
コート層の中心線表面粗さを所定範囲内となるようにす
る。次いで、必要に応じて、例えば磁気テープを得る場
合には、40〜70℃下にて、6〜72時間エージング
処理し、所望の幅にスリットする。
【0040】なお、上記磁場配向処理は、上記磁性塗料
が乾燥する前に行われ、例えば、本発明の磁気記録媒体
が磁気テープの場合には、上記磁性塗料の塗布面に対し
て平行方向に好ましくは約500Oe以上、更に好まし
くは約1000〜10000Oeの磁界を印加する方法
や、上記磁性塗料が湿潤状態のうちに好ましくは100
0〜10000Oeのソレノイド磁石等の中を通過させ
る方法等により行うことができる。
【0041】また、上記乾燥処理は、例えば、加熱され
た気体の供給により行うことができ、この際、気体の温
度とその供給量を制御することにより塗膜の乾燥の程度
を制御することができる。
【0042】更に、上記カレンダー処理は、メタルロー
ルとコットンロール若しくは合成樹脂ロールとの間、又
はメタルロールとメタルロールとの間を通すスーパーカ
レンダー法等により行うことができる。
【0043】なお、本発明の磁気記録媒体の製造に際し
ては、必要に応じ、磁性層表面の研磨やクリーニング工
程等の仕上げ工程を施すこともできる。
【0044】本発明の磁気記録媒体は、8mmビデオテ
ープやDATテープ、DDS等の磁気テープとして好適
であるが、フロッピーディスク等の他の磁気記録媒体と
しても適用することができる。
【0045】以上、本発明をその好ましい実施形態に基
づいて説明したが、本発明の磁気記録媒体は上記実施形
態に制限されるものではなく、種々の実施形態が可能で
ある。例えば、高域の周波数特性を向上させるために、
上記磁性層として2層以上の磁性層を形成してもよい。
この場合、複数の磁性層のうちの何れか一層の磁性層又
は二層以上の磁性層が本発明の上記要件を満たしていれ
ばよい(特に最上層の磁性層が上記要件を満たしている
ことが好ましい)。また、本発明の磁気記録媒体におい
ては、上記非磁性支持体と上記磁性層との間に一層又は
二層以上の非磁性層を形成してもよい。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。しかしながら、かかる実施例は本発明の範囲を制
限するものでないことはいうまでもない。
【0047】〔実施例1〕下記配合の磁性塗料と、下記
配合のバックコート塗料とを用い、下記〔磁気記録媒体
の製造〕に従って磁気記録媒体を製造し、磁気記録媒体
としての磁気テープを得た。また、下記磁性塗料を用い
て形成した磁性層の保磁力及び飽和磁束密度を下記の
〔測定法〕に従い測定したところ、それぞれ2350O
e及び4800ガウスであった。
【0048】 磁性塗料 ・鉄を主体とする針状の強磁性金属粉末 100重量部 平均長軸長;0.065μm 保磁力;2130Oe 飽和磁化;135emu/g BET比表面積;63m2 /g 針状比;4.2 X線粒径;155Å ・アルミナ(平均粒径0.3μm) 5重量部 ・カーボンブラック(平均一次粒子径0.02μm) 1重量部 ・「MR−110」 10重量部 〔商品名、日本ゼオン(株)製、スルホン酸基含有塩化ビニル系重合体〕 ・「UR−8700」 7重量部 〔商品名、東洋紡績(株)製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂〕 ・ブチルステアレート 1重量部 ・「コロネートL」 4重量部 〔商品名、日本ポリウレタン工業(株)製、ポリイソシアネート化合物〕 ・混合溶剤 メチルエチルケトン 120重量部 トルエン 80重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0049】 バックコート塗料 ・微粒子カーボンブラック(平均一次粒径0.018μm) 67重量部 ・粗粒子カーボンブラック(平均一次粒径0.075μm) 3重量部 ・「ニッポラン2301」〔商品名,日本ポリウレタン工業(株)製のポリウレ タン〕 50重量部 ・ニトロセルロース(Hercules Powder Co.製の粘度表示 1/2秒のもの) 20重量部 ・ポリイソシアネート(武田薬品工業(株)製、商品名「D−250N」) 4重量部 ・銅フタロシアニン 5重量部 ・ステアリン酸 1重量部 ・混合溶剤 メチルエチルケトン 140重量部 トルエン 140重量部 シクロヘキサノン 140重量部
【0050】〔磁気記録媒体の製造〕100重量部の強
磁性金属粉末、1重量部のカーボンブラック、5重量部
のアルミナ、8重量部のMR110(結合剤)、及び5
重量部のUR8700(結合剤)をナウターミキサー中
に投入し、更に26重量部の混合溶剤を添加して予備混
合物を得た。この予備混合物を連続式加圧ニーダーに投
入すると共に、上記式(2)で表される燐酸エステル2
重量部を投入して、これらの混合物(固形分濃度;83
重量%)を固練りし、剪断応力1×106 dyn/cm2
以上の条件下で高剪断処理を15分間行いペーストを得
た。得られたペーストに、200重量部の混合溶剤を添
加して希釈し、サンドミルを用いて分散せしめ分散液を
得た。この分散液の固形分は36重量%であった。この
分散液に残部のMR110及びUR8700、並びに1
重量部のブチルステアレートを混合溶剤の残部と共に添
加し希釈して混合分散液を得た。この混合分散液をフィ
ルター〔日本濾器(株)製のHT20L〕で濾過した
後、コロネートL(硬化剤)を添加、混合して磁性塗料
を得た。得られた磁性塗料の固形分は、28重量%であ
った。
【0051】厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート
(以下、「PET」という)フィルムの表面上に、上記
磁性塗料の乾燥厚みが0.2μmとなるようにライン速
度100m/分で該磁性塗料を塗布し、磁性層の塗膜を
形成した。次いで、該塗膜が湿潤状態のうちに5000
Oeのソレノイド磁石中を通過させて磁場配向処理を行
い、温度90℃の熱風が風速15m/secで供給され
る乾燥炉中にて10秒間乾燥した。次いで、90℃、3
50kg/cmの条件でカレンダー処理を行い磁性層を
形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム
の裏面上に上記バックコート塗料を乾燥厚さが0.5μ
mになるよう塗布し、90℃にて乾燥した後、巻き取っ
た。この後、直ちに8mm幅、90m長さに裁断し、磁
気テープを得た。
【0052】得られた磁気記録媒体としての磁気テープ
について、下記の〔測定法〕に示す如く、電磁変換特性
及び残留磁束密度を測定した。また、磁性塗料そのもの
の保存安定性を調べるために、下記の〔測定法〕に示す
如く中心線表面粗さ(Ra)を測定した。その結果を表
1に示す。
【0053】〔測定法〕 ◎保磁力並びに飽和磁束密度及び残留磁束密度 得られた磁気テープを所定寸法形状に打抜き、振動式磁
力計(VSM)を使用して、印加磁場10kOeにて、
保磁力並びに飽和磁束密度及び残留磁束密度をそれぞれ
測定した。 ◎中心線表面粗さRa 分散処理直後、及び常温(25℃)・常湿(50%R
H)の条件で3日間密封・静置した保存後の磁性塗料
を、ギャップ40μmのアプリケータを用い、PETフ
ィルム上に50cm/secの速度で塗布して磁性塗膜
を形成し、これを乾燥させて磁性層を形成した。この磁
性層について、株式会社東京精密製 表面粗さ形状測定
器商品名「サーフコム553A」を使用し、針の半径2
μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ
0.08mmの条件で中心線表面粗さRaの測定を行っ
た。 ◎電磁変換特性 分散処理直後、及び常温(25℃)・常湿(50%R
H)の条件で3日間密封・静置した保存後の磁性塗料
を、上記の〔磁気記録媒体の製法〕に従って塗布して得
られた磁気テープにおける磁性層について、電磁変換特
性〔出力(dB)〕を下記の方法で測定した。即ち、出
力(dB)は、ドラムテスターを使用し、TSSヘッド
(ソニー社製8mmビデオ用センダストヘッド;ヘッド
ギャップ0.2μm、トラック幅14μm、飽和磁束密
度1.1テスラ)の相対速度を10.2m/秒とし、1
/2Tb(λ=0.5μm)の入出力特性から最適記録
電流を決め、この出力を使用し測定した1/2Tbの出
力とした。
【0054】〔実施例2〕実施例1において用いた上記
式(2)で表される燐酸エステルに代えて、上記式
(3)で表される燐酸エステルを用いる以外は実施例1
と同様の操作により磁性塗料を得た。得られた磁性塗料
を用いて形成された磁性層を有する磁気テープについて
実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示
す。
【0055】〔比較例1〕実施例1において用いた上記
式(2)で表される燐酸エステルを用いない以外は実施
例1と同様の操作により磁性塗料を得た。得られた磁性
塗料を用いて形成された磁性層を有する磁気テープにつ
いて実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に
示す。
【0056】〔比較例2〕実施例1において、上記強磁
性粉末をその製造時に前以て上記式(2)で表される燐
酸エステルで表面処理し、該燐酸エステルを磁性塗料の
製造中に添加しない以外は実施例1と同様の操作により
磁性塗料を得た。得られた磁性塗料を用いて形成された
磁性層を有する磁気テープについて実施例1と同様の測
定を行った。その結果を表1に示す。
【0057】〔比較例3〕実施例1において、上記式
(2)で表される燐酸エステルを、高剪断処理後の希釈
工程で添加する以外は実施例1と同様の操作により磁性
塗料を得た。得られた磁性塗料を用いて形成された磁性
層を有する磁気テープについて実施例1と同様の測定を
行った。その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1に示す結果から明らかなように、燐酸
エステルを添加して高剪断処理されて調製された磁性塗
料を用いて形成された磁性層(実施例1及び2)におい
ては、燐酸エステルを添加しなかった磁性塗料を用いて
形成された磁性層(比較例1)、前以て燐酸エステルで
表面処理された強磁性金属粉末を含有する磁性塗料を用
いて形成された磁性層(比較例2)、及び高剪断処理後
の希釈・分散工程において燐酸エステルを添加した磁性
塗料を用いて形成された磁性層(比較例3)に比して、
磁気テープの中心線表面粗さ(Ra)の経時変化が小さ
く、しかも、磁気テープカートリッジとしたときの電磁
変換特性に優れている。更に、磁気テープカートリッジ
にしたときの磁気的安定性にも優れている。
【0060】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
燐酸エステルを添加して高剪断処理されて調製された磁
性塗料から磁性層を形成することにより、強磁性金属粉
末の分散性が向上し、塗工後の表面性が平滑であり欠陥
が少ない塗膜が得られる。その結果、磁気特性の経時安
定性及び保存安定性に優れた磁気記録媒体が得られる。
本発明は、特に、微粒子強磁性金属粉末を用いた場合に
有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の好ましい一実施形態の
構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 非磁性支持体 3 磁性層 4 バックコート層
フロントページの続き (72)発明者 安岡 正 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性金属粉末、燐酸エステル及び極性
    基を有するバインダを含む磁性塗料から形成された磁性
    層を有する磁気記録媒体において、 上記磁性塗料は、上記燐酸エステルが添加され高剪断処
    理されて調製されたものであることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 上記強磁性金属粉末が、長軸長0.01
    〜0.1μmの針状強磁性金属粉末である、請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記燐酸エステルが下記式(1)で表さ
    れる、請求項1又は2記載の磁気記録媒体。 【化1】 (式中、nは1又は2であり、n+m=3であり、lは
    0〜20の整数であり、RはC4 〜C30の炭化水素基を
    表す。)
  4. 【請求項4】 上記極性基がスルホン酸塩基である、請
    求項1〜3の何れかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 強磁性金属粉末、燐酸エステル及び極性
    基を有するバインダを含む磁性塗料から形成された磁性
    層を有する磁気記録媒体の製造方法において、 上記磁性塗料を、上記燐酸エステルを添加して高剪断処
    理することにより調製することを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 強磁性金属粉末、極性基を有するバイン
    ダ及び溶剤を含む混合物を固練りして高剪断処理した後
    に溶剤で希釈・分散させて磁性塗料を製造する方法にお
    いて、 燐酸エステルを添加して上記高剪断処理することを特徴
    とする方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005314648A (ja) * 2004-03-31 2005-11-10 Jsr Corp 酸化亜鉛粒子分散液及びその製造方法
JP2007009035A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Jsr Corp 液状硬化性組成物及びその硬化膜

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JP2005314648A (ja) * 2004-03-31 2005-11-10 Jsr Corp 酸化亜鉛粒子分散液及びその製造方法
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