JPH09208814A - ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物からなる射出成形品 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物からなる射出成形品

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JPH09208814A
JPH09208814A JP8044055A JP4405596A JPH09208814A JP H09208814 A JPH09208814 A JP H09208814A JP 8044055 A JP8044055 A JP 8044055A JP 4405596 A JP4405596 A JP 4405596A JP H09208814 A JPH09208814 A JP H09208814A
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JP
Japan
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polyethylene terephthalate
weight
glass fiber
resin composition
molded article
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JP8044055A
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English (en)
Inventor
Satoyuki Kotani
智行 小谷
Satoyuki Itagaki
智行 板垣
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性等の特性、製造時のコスト面にも優
れ、その素材のポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂とし
ては使用済みのボトル等も利用され、更にパレット、コ
ンテナ−等の大型品の製造にも好適なポリエチレンテレ
フタレ−ト系樹脂成形品を得ようとするものである。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂10
0重量部に対し、ガラス繊維を40〜90重量%含有す
るポリオレフィン樹脂組成物3〜45重量部をドライブ
レンドして射出成形してなる組成物であって、且つ全組
成物中におけるガラス繊維の濃度が1〜25重量%であ
るポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物からなる射
出成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、機械的
性質及びコスト面にも極めて優れたガラス繊維強化ポリ
エチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物からなる射出成形
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、製品輸送や保管等の用途に合成樹
脂製のパレットやコンテナ−を用いることが多くなって
きている。合成樹脂製のものがよく使用されるようにな
ってきた理由としては、その衛生性及び製造の容易さ等
が挙げられる。合成樹脂製のパレットやコンテナ−の多
くは、ポリエチレンやポリプロピレン等を原料として射
出成形したものであり、一般的な用途においては、実用
上有用なものである。
【0003】しかしながら、かかる合成樹脂製のパレッ
ト、コンテナ−等を特殊な用途に用いる場合、その材質
に起因した問題点が生じる場合がある。即ち、本質的に
融点が低く且つ曲げ強度が弱いので、80℃付近以上の高
温下にて使用したり、非常に重い荷物の輸送や保管等に
用いる場合に制約があるのである。かかる問題点を解決
する方法として、特開平5-193653号公報に記載されてい
るように、ポリエチレンテレフタレ−トを合成樹脂パレ
ットに適用する試みがなされている。
【0004】ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−
トは、例えば、特公昭44-457号公報及び特開昭51-37943
号公報に記載されているように、曲げ強度、耐熱性及び
耐薬品性等だけでなく、コスト面にも優れた材料であ
る。しかしながら、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフ
タレ−トの成形品は、ポリエチレンやポリプロピレンの
成形品に比べ、耐衝撃性の改良効果が不十分である。従
って、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−トから
得られるパレットでは、耐衝撃性が不十分であるため
に、前述の問題点を完全に解決したことにはなり得な
い。更に、成形品を高温下にて使用する場合、往々にし
て、耐衝撃性が劣るようになるため、実用に耐えないの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、ポリエチレンテ
レフタレ−ト等の熱可塑性ポリエステルの耐衝撃性を改
良する試みとして様々な方法が提案されている。例え
ば、ポリエステルにエチレン−プロピレンラバ−、ポリ
イソブテンあるいはポリブテン等を添加する方法(特公
昭46-5225 号公報)、ポリエステルにα,β−不飽和カ
ルボン酸又はその誘導体をグラフト重合した結晶化度75
%以下の変性エチレン重合体を溶融混合する方法(特公
昭57-54058号公報、特公昭57-59261号公報)、あるいは
ポリエステルとα, β−不飽和カルボン酸の誘導体、不
飽和エポキシド等の極性基を有する特定のランダム共重
合体との組成物(特公昭59-28223号公報)等が提案され
ている。
【0006】しかしながら、いずれの方法においても、
耐衝撃性の改良はみられるものの未だ不十分であった。
更には、ポリエステルにα−オレフィンとα, β−不飽
和カルボン酸のグリシジルエステルとの共重合体及びエ
チレン系共重合体とを添加した組成物(特開昭58-17148
号公報)又はポリエステルに不飽和カルボン酸あるいは
その無水物をグラフトしたエチレン−α−オレフィン共
重合体及びポリエポキシ化合物とを添加した組成物(特
開昭60-28446号公報)が提案されている。
【0007】このような方法においても、耐衝撃性の改
良はみられるものの未だ不十分であるだけでなく、溶融
流動性が低下し、成形性も悪化するものであった。ま
た、上記の方法のような特殊な耐衝撃性改良剤を配合す
る方法は往々にして、コスト面において不利な方法であ
り、仮に耐衝撃性が改良されたとしてもポリエチレンテ
レフタレ−トの最たる特徴の一つであるコスト面におけ
る優位性が損なわれる。
【0008】このように、耐衝撃性に優れ、更に高温下
でも使用でき、且つ高強度を有する合成樹脂製のパレッ
ト、コンテナ−等に適したガラス繊維強化ポリエチレン
テレフタレ−ト系樹脂組成物が強く望まれていたのであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、特定の組成のポリエチレ
ンテレフタレ−ト系樹脂を射出成形して得られる成形品
であれば、上記の課題を解決し得ることを見い出し本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、ポ
リエチレンテレフタレ−ト系樹脂100 重量部に対し、ガ
ラス繊維を40〜90重量%含有するポリオレフィン樹脂組
成物3.0 〜45重量部をドライブレンドして射出成形して
なる組成物であって、且つ全組成物中におけるガラス繊
維の濃度が1 〜25重量%であることを特徴とするガラス
繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物から
なる射出成形品に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエチレンテレフ
タレ−ト系樹脂とは芳香族ジカルボン酸又はそのエステ
ルとグリコ−ルとを主たる出発原料として得られるポリ
エステルであり、繰り返し構造単位の70〜100 %、好ま
しくは90〜100 %、更に好ましくは90〜99%、特に好ま
しくは95〜98%がエチレンテレフタレ−ト単位を有する
ポリエステルを指す。エチレンテレフタレ−ト単位が70
%未満では、得られる成形品の曲げ強度等の機械的性質
が劣るようになり、好ましくない。
【0011】芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸が好ましく、これ以外にイソフタル酸、フタル
酸、2,6 −ナフタレンジカルボン酸、オキシカルボン酸
(例えば、 p−オキシエトキシ安息香酸)などを用いる
ことができる。一方、グリコ−ル成分としては、エチレ
ングリコ−ルが好ましく、これ以外にジエチレングリコ
−ル、プロピレングリコ−ル、1,4 −ブタンジオ−ル、
1,4 −シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリ
コ−ルの一種又は二種以上を用いることが可能である。
【0012】特に好ましいものとして、グリコ−ル成分
に、ジエチレングリコ−ルを構造単位として含有するも
のが挙げられる。その含有量としては、好ましくはポリ
エチレンテレフタレ−ト全体に対し1 〜5 重量%、更に
好ましくは2 〜4 重量%、特に好ましくは2 〜3.5 重量
%の範囲である。グリコ−ル成分にジエチレングリコ−
ルを所定量含有させる方法は、機械的性質を損なわず、
コスト的にも有利であるので好ましく用いられる。ま
た、ジエチレングリコ−ル含有量が1 〜5 重量%の範囲
内の場合、後述する本発明の好ましい要件の一つである
溶融急冷後の昇温結晶化温度(Tcc)を容易に規定範囲
内とすることができる。
【0013】本発明においては、かかるポリエチレンテ
レフタレ−ト系樹脂として、再生ポリエチレンテレフタ
レ−トを用いることが好ましい。ポリエチレンテレフタ
レ−ト系樹脂は、その優れた特性によって、ボトル、フ
ィルム及び繊維等の分野に多用されている。中でもボト
ル用途においては、得られる成形品が優れた透明性と表
面光沢を示し、更に極めて衛生的なことから各種飲料を
充填する食品用、その他化粧品用及び医療用として幅広
く使用されており、その使用量は年々増加の傾向を示し
ている。しかしながら、その消費量の増加に伴って廃棄
物として排出される量も必然的に増加するため、環境問
題として非常に大きな問題となる。特に一般廃棄物であ
る一般消費者から排出されるPETボトルの廃棄物大き
な問題として苦慮されている。従って、本発明の組成物
の材料に、再生ポリエチレンテレフタレ−トを用いるこ
とは、環境問題の解決及び資源の有効利用として非常に
好ましいのである。再生品の割合としては、用いるポリ
エチレンテレフタレ−ト系樹脂に対して70重量%以上が
好ましく、80重量%以上が更に好ましく、95重量%以上
が特に好ましい。
【0014】本発明の組成物は、かかるポリエチレンテ
レフタレ−ト系樹脂100重量部に対し、ガラス繊維を40
〜90重量%含有したポリオレフィン樹脂組成物3.0〜45
重量部をドライブレンドして射出成形してなる組成物で
ある。次にかかるポリオレフィン樹脂組成物に関して説
明する。ポリオレフィン樹脂組成物は主として、ガラス
繊維のマスタ−バッチ用のバインダ−樹脂としての役割
を担うものであり、本発明者らは、以下に示すように、
様々な理由からバインダ−樹脂としてポリオレフィン樹
脂組成物を用いる必要性があることを見い出したのであ
る。すなわちポリオレフィン樹脂組成物を用いるとコス
ト的に有利であること、最終成形品の物性、特に成形品
の外観や耐衝撃性が優れていること、後述するように溶
融熱安定性が優れている点や、更にはポリオレフィン樹
脂組成物には容易に好ましい離型剤を多量に配合できる
ため、離型剤のマスタ−バッチとしても用いることがで
きるために離型剤のマスタ−バッチのコンパウンドレス
化が可能となり、更なるコストダウン化を実現すること
ができるため好ましいのである。
【0015】かかるポリオレフィン樹脂としては特に限
定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、上記以外のプロピレン
−αオレフィン共重合体、上記以外のエチレン−αオレ
フィン共重合体等の重合体が代表的に挙げられる。しか
しながら、かかる樹脂組成物の熱分解温度は410 ℃以上
が好ましい。ここで熱分解温度とは、TG/DTAによ
り測定される熱分解開始温度を示すものであるが、かか
る温度が410℃未満の場合では、ポリエチレンテレフタ
レ−ト系樹脂組成物の生産時の射出成形工程において、
滞留した溶融物が熱劣化するトラブルが発生し、製品の
外観が不良になったり、耐衝撃性が低下するために好ま
しくない。
【0016】本発明において用いられるポリオレフィン
樹脂組成物は、ガラス繊維のマスタ−バッチであり、最
終的な本発明の組成物、すなわち、ガラス繊維を予め40
〜90重量%含有したポリオレフィン樹脂組成物を前述の
ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂に配合した組成物を
用いて射出成形する方法によれば、驚くべきことに、極
めて優れた耐衝撃性等の特性を有する成形品を得ること
ができるのである。一般に、ガラス繊維強化ポリエチレ
ンテレフタレ−ト樹脂成形材料は、ポリエチレンテレフ
タレ−ト樹脂にガラス繊維を配合して押出機にて溶融混
練して得られるものであり、通常はそれを更に溶融成形
することにより成形品が得られる。しかしながら、かか
る成形品は、耐衝撃性の改良効果が不十分である。しか
も本発明の組成物の製造方法は、従来法におけるガラス
繊維とこれに配合されるべきポリオレフィン樹脂とを押
出機で混練する工程を省くことができるので、コスト面
において極めて優れている。
【0017】本発明に用いるポリオレフィン樹脂にはガ
ラス繊維を40〜90重量%含有せしめることが必要であ
る。この含有量が40重量%未満では、本発明のガラス繊
維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物にポリ
オレフィン樹脂が多量に配合されることになり、該組成
物の曲げ強度等の機械的性質が損なわれるので好ましく
ない。一方、含有量が90重量%を越える場合には、バイ
ンダ−樹脂量が少なすぎるために不適である。ガラス繊
維含有量の更に好ましい範囲は55〜85重量%、特に好ま
しい範囲は70〜85重量%である。本発明に用いるポリオ
レフィン樹脂組成物中に含有されているガラス繊維の直
径の平均値は5〜20μmが好ましく、7〜15μmの範囲が更
に好ましい。かかる直径が上記の範囲外である場合、得
られるガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹
脂組成物の耐衝撃性の改良効果が小さくなり好ましくな
い。また、かかるポリオレフィン樹脂組成物中に含有さ
れているガラス繊維の長さの平均値は、1 〜20 mm の範
囲が好ましく、1 〜10 mm の範囲が更に好ましい。
【0018】ガラス繊維長さの平均値が1 mm未満の場
合、ガラス繊維が単なる充填材としての性質しか示さな
くなるため、最終的に得られるポリエチレンテレフタレ
−ト系樹脂組成物の耐衝撃性の改良効果が小さくなり好
ましくない。一方、20 mm を越える場合には、最終的に
得られるポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物の成
形性が劣ったり、外観不良の問題等が生じることがあり
好ましくない。また、本発明において用いるポリオレフ
ィン樹脂組成物中には、上記のガラス繊維以外に、離型
剤を好ましくは0.1 〜20重量%、更に好ましくは1 〜10
重量%、特に好ましくは2 〜10重量%含有させる方法を
採れば、離型剤のコンパウンドの工程を省略することが
できるために、更なるコストダウンが可能となり非常に
好ましい。
【0019】また、ここで離型剤としては、離型性の改
良効果が大きく、かつコスト面において有利なことによ
って、離型剤としてワックスを用いるのが好ましい。更
に好ましいワックスとしては、JIS K2235 −5.3 に準拠
して測定される融点が40〜100 ℃、特に好ましくは50〜
80℃のものである。融点が40℃未満では、常温にてワッ
クスが融解し始めるので、取り扱い性が悪くなり好まし
くない。一方、融点が100 ℃を越える場合は離型性の改
良効果が小さいために好ましくない。またワックスの種
類としては、コスト面や離型性の改良効果の点より天然
ワックスが好ましく、更に好ましくは石油ワックス、特
に好ましくはパラフィンワックスである。
【0020】また、本発明に用いるポリオレフィン樹脂
組成物中には、上記のガラス繊維や離型剤以外に、必要
に応じて、各種の安定剤、耐候性改良剤、染料や顔料等
の着色剤、フレカ、マイカ、カ−ボンファイバ−、チタ
ン酸カリファイバ−等の強化剤、シリカ、クレ−、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、ガラスビ−ズ等の充填
材、無機及び有機系の核剤や可塑剤、接着剤、接着剤助
剤、難燃剤、難燃助剤、発泡剤を任意に含有させること
は、各種配合剤のコンパウンドの工程を減らすことがで
きるので好ましい形態である。本発明に用いるポリオレ
フィン樹脂組成物の製造方法は、本発明の要旨を越えな
い範囲内であれば特に限定されるものでないが、連続ガ
ラス繊維を、必要に応じて上記添加剤が配合された溶融
状態のポリオレフィン樹脂中に含浸させた後に、引き出
して樹脂等を冷却固化し、所定の長さに切断しペレット
状にして製造することが好ましい方法として推奨され
る。
【0021】更に、上記ペレット状の重合体(ポリオレ
フィン樹脂組成物)の平均粒径はタイラ−標準篩で2.5
〜35メッシュの範囲のものが特に好ましい。またこの重
合体ペレットには、10〜数百本のガラス繊維チョップス
トランドが集束されていることが特に好ましい。重合体
ペレットの形状及び粒径が上記の範囲外である場合、成
形性及び最終的に得られるポリエチレンテレフタレ−ト
系樹脂組成物中におけるガラス繊維の分散性が劣る場合
があり好ましくない。本発明のガラス繊維強化ポリエチ
レンテレフタレ−ト系樹脂組成物には、更に第三成分と
して、ポリエステル以外のポリマ−、例えばポリカ−ボ
ネ−ト、ポリオレフィン、ポリアミド等を本発明の要旨
を越えない範囲、例えば全体の30重量%以下であれば配
合してもよい。
【0022】このようにして得られる本発明のガラス繊
維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物は、更
に下記に示すように、熱的性質及びガラス繊維の濃度及
び長さにつき必要な条件又は好ましい要件が存在する。
本発明においては、上記ガラス繊維強化ポリエチレンテ
レフタレ−ト系樹脂組成物の溶融急冷後の昇温結晶化温
度(Tcc)が140 〜200 ℃であることが好ましい。ここ
で溶融急冷後の昇温結晶化温度(Tcc)とは、上記組成
物を窒素中にて3分間溶融し、次いでドライアイスで急
冷した後に一定速度で昇温して測定した昇温結晶化温度
のピ−ク値(℃)を示す。なお、昇温速度は、20℃/分
である。Tccの値が140 ℃未満の場合、成形時に又は成
形品が例えば80℃付近以上の高温に曝された際に、上記
組成物の結晶化が進行し易くなり、耐衝撃性の改良効果
が損なわれる。一方、Tccの値が200 ℃を越える場合、
溶融成形性が劣るか、又は曲げ強度等の機械的性質が劣
ることとなり好ましくない。なお、Tccの更に好ましい
範囲は150 〜180 ℃であり、特に好ましい範囲は155 〜
175 ℃である。
【0023】このように、本発明においては、得られる
成形品の耐衝撃性改良の効果は、ガラス繊維強化ポリエ
チレンテレフタレ−ト系樹脂組成物の結晶化挙動に大き
く影響される。本発明の組成物のTccを上記範囲内とす
るのは、核剤や可塑剤等の組合わせや配合量を工夫する
ことにより可能である。また本発明においては、上記組
成物の溶融急冷後の融解温度Tmは200 〜270℃の範囲で
あることが好ましく、230 〜265 ℃の範囲であることが
更に好ましく、245 〜265 ℃の範囲であることが特に好
ましい。かかる温度範囲内の場合に成形品の強度等の物
性と射出成形における成形性のバランスがとれており好
ましいのである。
【0024】更に本発明においては、射出成形品におけ
る全組成物中のガラス繊維の濃度(以下、Wという。)
が1 〜25重量%であることが必要である。上記Wが1 重
量%未満の場合では、本発明によってガラス繊維を配合
したことによる耐衝撃性の改良効果が不十分であり好ま
しくない。一方、Wが25重量%を越える場合には、ガラ
ス繊維を多量に配合することによる耐衝撃性の低下及び
成形品の外観悪化等の欠点が大きくなるため好ましくな
い。Wの更に好ましい範囲は3 〜20重量%であり、特に
好ましい範囲は5 〜13重量%である。なおここで、W
は、添加剤等も含めた組成物全体に対する濃度である。
【0025】本発明のガラス繊維強化ポリエチレンテレ
フタレ−ト系樹脂組成物中におけるガラス繊維の平均長
さ(以下、Lという。)は200 〜2000μm の範囲である
ことが好ましい。このL値が200 μm 未満の場合では、
耐衝撃性の改良効果が不十分であるため好ましくなく、
一方、L値が2000μm を越える場合には、得られる成形
品の外観が劣るため好ましくない。
【0026】本発明におけるポリエチレンテレフタレ−
ト系樹脂組成物の極限粘度は0.30〜1.2 であることが好
ましく、0.35〜0.80であることが更に好ましく、0.35〜
0.75が特に好ましい。極限粘度が0.30未満では最終的に
得られる成形品の機械的性質、特に耐衝撃性等が劣るた
め好ましくない。一方、極限粘度が1.2 を越える場合に
おいては、これにガラス繊維含有ポリオレフィン樹脂組
成物を配合して射出成形すると、ガラス繊維の折れが著
しくなり、そのために、本発明の主要な目的の一つであ
る耐衝撃性の改良効果が不十分となり好ましくない。こ
のように、本発明のガラス繊維強化ポリエチレンテレフ
タレ−ト系樹脂組成物は、特定の方法によってポリエチ
レンテレフタレ−ト系樹脂に、ガラス繊維及び必要に応
じて離型剤等を含有させたポリオレフィン樹脂組成物を
配合して射出成形することにより、コスト面及び耐衝撃
性に極めて優れた成形品を得ることができる。
【0027】ところで前述したように、本発明の成形材
料に用いるポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂は、再生
ポリエチレンテレフタレ−ト、特に一般消費者から排出
される廃棄ボトルからなる材料を用いることが好まし
く、従って様々な形状、特にフレ−ク状の成形材料をも
使用する場合が生じる。その場合、射出成形の製造工程
において様々な問題を生じることがある。例えば、フレ
−ク状の成形材料を乾燥する場合においては、そのかさ
密度が非常に低いために、乾燥機の容量を大きくした
り、熱伝導の悪化を補うために、より高温、長時間の乾
燥が必要となる。一方、本発明においては、ポリオレフ
ィン樹脂をバインダ−としたガラス繊維のマスタ−バッ
チを成形材料として直接ドライブレンドして配合するも
のである。従って成形材料の乾燥温度が、該ポリオレフ
ィン樹脂の軟化点付近より高温であると、可塑化不良、
ガラス繊維量のばらつき及び/又は離型不良トラブルが
生じてしまう問題がある。
【0028】かかる二種の問題点を解決する方法として
は、ベント付き射出成形機を用いることが好ましい。な
お、ベント付き射出成形機とは少なくとも1 つのベント
孔を設けた射出成形機であり、水分を除去するために、
ベント孔の少なくとも1 つは、好ましくは100 ト−ル以
下、更に好ましくは50ト−ル以下、特に好ましくは30ト
−ル以下の減圧度に保持する。また様々な形のフレ−ク
状の再生ポリエチレンテレフタレ−トやポリオレフィン
樹脂組成物の成形を行なうには、成形機のホッパ−内の
ブリッジングや安定供給が困難であったり、材料の食い
込み不良が生じたり、更には材料の分散不良が生じ易
い。この課題を解決する好ましい方法として、射出成形
機上にフィ−ダ−を取り付ける方法、好ましくはスクリ
ュ−式のフィ−ダ−のような材料供給装置を設ける方法
がある。
【0029】ここで、射出成形条件としては、特に制限
はなく周知の条件が採用されるが、例えば溶融温度(樹
脂温度)は240 〜310 ℃の範囲が好ましく採用できる。
また、射出成形時における金型の実質温度についても特
に限定されないが、0 〜70℃の範囲が好ましく、0 〜60
℃の範囲が更に好ましく、0 〜50℃の範囲が特に好まし
い。かかる範囲である場合、耐衝撃性及び離型性の改良
効果が大きく、生産性が良好となる。なお、この場合、
ガラス繊維は射出成形時に溶融混練等により折れること
が多いが、ガラス繊維の平均長さL(μm)に関する前記
の範囲を満足するように可塑化条件を調整することが好
ましい。
【0030】本発明のガラス繊維強化ポリエチレンテレ
フタレ−ト系樹脂組成物中には、必要に応じて耐候性改
良剤や熱安定剤を配合することも好ましい。このような
添加剤としては、公知のベンゾトリアゾ−ル系、ヒンダ
−ドアミン系、ヒンダ−ドフェノ−ル系、チオエ−テル
系及びアミン系、ベンゾフェノン系などが例示される。
その配合量としては、本発明の組成物全体100重量部に
対して0.001 〜10重量部、特に0.01〜3 重量部の範囲が
好ましい。配合量が上記範囲未満の場合には耐候性改良
剤や熱安定剤としての効果が小さ過ぎ、また上記範囲を
越えると機械的性質が損なわれる等の理由により好まし
くない。これらの配合剤は本発明で用いる前記ポリオレ
フィン樹脂組成物中に予め配合するとコンパウンド化の
工程を減らすことができるので好ましい。
【0031】また、本発明においては、成形品の射出成
形時に発泡させる方法を採ることもできる。特にパレッ
ト及びコンテナ−等の大型成形品の用途においては、軽
量化及び成形品のヒケ防止等の点から発泡成形すること
が好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレ−ト
系樹脂100 重量部に対して、発泡剤を0.01〜5 重量部配
合し射出成形すれば、発泡倍率が1.05〜2 倍、好ましく
は1.1 〜1.6 倍の成形品が得られる。発泡倍率が1.05未
満では発泡成形の効果が小さ過ぎ、発泡倍率が2を越え
る場合は成形品の機械的性質、特に耐衝撃性や曲げ強度
等が劣り好ましくない。また、成形品の密度(比重)は
0.8 〜1.4 g /ccの範囲が好ましく、0.8 〜1.3 g /cc
の範囲が更に好ましく、0.9 〜1.2 g /ccの範囲が特に
好ましい。成形品の密度が0.8 g /cc未満の場合、特に
耐衝撃性や曲げ強度等が劣るようになるため好ましくな
い。一方、成形品の密度が1.4 g /ccを越える場合、取
り扱い等が劣るようになるため好ましくない。
【0032】発泡剤としては、具体的にはアゾジカルボ
ン酸アミド、ジイソプロピルヒドラゾジカルボキシレ−
ト、5 −フェニルテトラゾ−ル、ヒドラゾジカルボンア
ミド、バリウムアゾジカルボキシレ−ト、トリヒドラジ
ノトリアジン等が例示され、その分解開始温度は150 ℃
以上が好ましく、200 ℃以上が更に好ましく、240 ℃以
上が特に好ましい。
【0033】本発明のガラス繊維強化ポリエチレンテレ
フタレ−ト系樹脂組成物中には、上記の安定剤、離型剤
及び発泡剤以外に、必要に応じて、染料や顔料等の着色
剤、酸化チタンやカ−ボンブラック等の紫外線遮断剤及
び通常のガラス繊維やフレカ、マイカ、カ−ボンファイ
バ−及びチタン酸カリファイバ−等の強化剤、シリカ、
クレ−、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ガラスビ−
ズ等の充填材、無機及び有機系の核剤、可塑剤、接着
剤、接着剤助剤、難燃剤、難燃助剤等を任意に配合して
もよい。
【0034】更に、本発明の上記組成物の耐衝撃性を更
に改良するため、公知の耐衝撃性改良剤を配合すること
も好ましい。耐衝撃性改良剤は特に限定されるものでは
ないが、例えばα−オレフィンとα, β−不飽和カルボ
ン酸のグリシジルエステルとの共重合体及びエチレン系
共重合体等の組成物や、不飽和カルボン酸あるいはその
無水物をグラフトしたエチレン−α−オレフィン共重合
体及びポリエポキシ化合物とを添加した組成物等が挙げ
られる。本発明においては、射出成形品の重量が1 kg以
上であることが好ましい。更に好ましくは5 kg以上であ
る。
【0035】本発明においては、ガラス繊維、好ましく
は離型剤を含有させたマスタ−バッチをドライブレンド
にて成形材料として配合し、また好ましくは再生品を有
効利用することである。そのため、成形時における離型
不良や成形品の物性のばらつきが懸念されるものであ
る。よって、本発明の目的を達成するためには、得られ
る射出成形品の重量に好ましい範囲が存在するのであ
る。本発明においては、射出成形品のうちでも、特にパ
レット、コンテナ−等の大型射出成形品において、その
効果が顕著に発揮される。かかる成形品においては、成
形材料の重量が非常に大きく成形材料のコスト面がより
重視されること、及びより高いレベルでの耐衝撃性を要
求されることから、本発明の耐衝撃性に優れかつコスト
面で有利なガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト
系樹脂組成物が、パレット及びコンテナ−等の大型成形
品の用途として好ましく用いられる。
【0036】なお、このようなパレット及びコンテナ−
の形状、構造は、その用途及び必要強度等によって異な
るため特に限定されるものではない。例えば、パレット
においては、上下のデッキボ−ドとこのデッキボ−ド同
志を接続する脚部材が射出成形により一体に形成された
構造、デッキボ−ドと脚部材等を分割して形成し、これ
を合せて接着剤による接着、高周波や超音波による溶着
等の手段を用いて組み立てたもの等、任意である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例により何等制限されるものではない。なお、実施例
における種々の物性及び物性の測定方法、定義は下記の
通りである。また、実施例及び比較例中「部」とあるの
は「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を示す。 (1) 極限粘度 ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成
物中の灰分を除いたサンプル1 g をフェノ−ル/テトラ
クロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100 ml中に
溶解して30℃で測定した。 (2) 再生ポリエチレンテレフタレ−トの形状評価 再生ポリエチレンテレフタレ−トから任意に各々1000個
取り出し、平均径、平均厚み等を測定し形状の評価とし
た。
【0038】(3) 昇温結晶化温度(Tcc)及び融解温度
(Tm) 成形品から任意に約10 mg の試験片を取り出し、窒素中
にて300 ℃で3 分間溶融後、ドライアイスにて急冷し
た。急冷物をセイコ−電子(株)製I &E DSC20型に
て、昇温速度20℃/分の条件で昇温し、ピ−ク温度を測
定してTcc及びTmを求めた。 (4) 熱分解温度 ガラス繊維のマスタ−バッチから任意に約15 mg 取り出
し、セイコ−電子(株)製TG/DTA300にて昇温速度20℃
/分の条件で昇温し、熱分解開始温度を測定して熱分解
温度を求めた。
【0039】(5) ガラス繊維の平均長さ(L) 成形品から任意に約10 gの試験片を取り出し、それを60
0 ℃にて3 時間焼成した。次いで、得られた残渣につい
て、写真法にて100 本のガラス繊維の長さを測定し平均
値を求めた。この作業を10回繰り返して、ガラス繊維の
平均長さL値を求めた。 (6) 成形性 成形性の評価を下記の判断基準にて行なった。 ×:成形時に離型性等が悪く、製造上問題があり、実用
化が困難と判断される。 ○:特に問題はなく、成形性は良好である。 △:上記×と○の中間的状況。
【0040】(7) 特性評価 成形品である製品を100個製造し、下記方法にて成形品
の特性評価を行なった。なお、耐衝撃性及び曲げ強度の
評価に関しては、得られた成形品を100 ℃にて1時間熱
処理した後に、その特性評価を行なった。 (a) 外観 成形品外観の評価として、下記の判断基準で目視にて評
価した。 ×:成形品の表面の光沢が極めて低く、又は離型ムラ、
成形時の割れによる欠け等があり、製品としての外観が
不良であるため、実用に耐えないと判断される。 ○:特に問題はなく、外観が良好である。 △:上記×と○の中間的状況。 (b) 耐衝撃性 成形品を室温下に、0.75 mの高さから水平に落下させて
破損の有無を目視した。この作業を100 個の製品につい
て行ない、下記の評価基準により判定した。 ×:100 個中、5 個以上の破損が明らかに見られ、実用
に耐えないと判断される。 △:100 個中、5 個未満ではあるが明らかな破損が見ら
れ、大量製造には不安が残る。 ○:100 個中、破損は全くなく、極めて良好。
【0041】(c) 曲げ強度(パレット) 成形品を23℃にて荷重1000 kg 、圧縮速度12 mm /分、
間隔900 mmにて、たわみ量を測定し、この作業を100 個
の成形品に関して繰り返し、たわみ量の平均値を求め、
下記の評価基準により判定した。 ×:100 個の製品中、5 個以上の製品のたわみ量が15 m
m を超え、高強度パレットとして使用することができな
い。 △:100 個の製品中、5 個以上の製品のたわみ量が10〜
15 mm となり、高強度パレットとしては若干劣る。 ○:100 個の製品のたわみ量が10 mm 未満となり、極め
て良好である。
【0042】(c) 曲げ強度(コンテナ−) 成形品に内容物20 kg を等分布に入れ、50℃にて底面の
たわみ量を測定した。この作業を100 個の成形品に関し
て繰り返し、たわみ量の平均値を求め、下記の評価基準
により判定した。 ×:100 個の製品中、5 個以上の製品のたわみ量が10 m
m を超え、高強度コンテナ−として使用することができ
ない。 △:100 個の製品中、5 個以上の製品のたわみ量が5 〜
10 mm となり、高強度コンテナ−としては若干劣る。 ○:100 個の製品のたわみ量が5 mm未満となり、極めて
良好である。
【0043】実施例1 〔再生ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)の製造〕
分別回収された、一般消費者により使用された飲料用等
の使用済みボトルについて、まずX線を用いてポリエチ
レンテレフタレ−ト樹脂以外の素材のボトルを除いた。
次にボトルを弱アルカリ性の水溶液及び水で洗浄後、湿
式粉砕を行なった。更に比重差を利用して再生ポリエチ
レンテレフタレ−ト系樹脂以外の樹脂や金属を分離し
た。得られたフレ−ク状の再生ポリエチレンテレフタレ
−ト樹脂を実施例1の原料(A)として用いた。原料
(A)の形状は、平均径が5 mm、平均厚みが300μmであ
った。 〔ポリオレフィン樹脂組成物(B−1)の製造〕強化用
ガラス繊維の連続ロ−ビング(モノフィラメント径13μ
m)をポリプロピレンからなる溶融物中に含浸させた後、
引き抜いて冷却固化させ、ペレタイザ−で切断して、平
均長さ5 mmのポリオレフィン樹脂組成物(B−1)を得
た。得られた組成物(B−1)のガラス繊維の濃度は7
0.1%であった。
【0044】〔離型剤と安定剤のマスタ−バッチ(C)
の製造〕前記の再生ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
(A)100部に安定剤としてのベンゾトリアゾ−ル系化合
物〔チバガイギ−(株)製、商品名 TINUVIN234]0.75部
とヒンダ−ドアミン系化合物〔三共(株)製、商品名 S
anol LS770]0.755部及び離型剤として融点が69℃である
パラフィンワックス〔日本精蝋(株)製]2.5部を混合
し、二軸押出機を用いてペレット化した。得られたペレ
ットを離型剤と安定剤のマスタ−バッチ(C)とする。 〔大型射出成形品、パレットの製造〕前記の再生ポリエ
チレンテレフタレ−ト樹脂(A)68.6部、ポリオレフィ
ン樹脂組成物(B−1)14.3 部及び離型剤と安定剤のマ
スタ−バッチ(C)17.1 部を、未乾燥で、ベント付き射
出成形機上に備え付けた混合機にてドライブレンドし、
スクリュ−式の材料供給装置を用いて成形機内に、上記
ドライブレンドした成形材料を供給した。
【0045】上記の方法により、成形材料中には、再生
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)が85%、ポリプ
ロピレン樹脂が4.3 %、ガラス繊維が10%、離型剤が0.
43%、安定剤としてはベンゾトリアゾ−ル系化合物が0.
13%、ヒンダ−ドアミン系化合物が0.13%配合されてい
ることになる。次いで樹脂温度290 ℃、金型温度実質30
℃の成形条件で射出成形し、別途同一成形材料にて成形
した嵌合用の脚部材9 個(0.2 kg /1 個)を用いて、2
個の成形品を合わせて110 ×100 ×38 cm の大きさのパ
レットを製造した。得られたパレットの重量は15 kg で
あった。その評価結果を表1に示すが、極めて優れた性
能のパレットが得られた。
【0046】実施例2 実施例2は実施例1における離型剤と安定剤のマスタ−
バッチのコンパウンド化を省略した方法であり、更なる
コストダウン化を実現できた優れた方法であるといえ
る。 〔ポリオレフィン樹脂組成物(B−2)の製造〕まず、
ベンゾトリアゾ−ル系化合物(商品名:TINUVIN234)3
%、ヒンダ−ドアミン系化合物(商品名:Sanol LS770)
3 %及び融点が69℃であるパラフィンワックス〔日本精
蝋(株)製]10 %をポリプロピレン樹脂中に配合した。
実施例1と同様の方法で、この離型剤と安定剤を配合し
たポリプロピレン樹脂組成物中に、強化用ガラス繊維の
連続ロ−ビング(モノフィラメント径13μm)を含浸させ
た後、引き抜いて冷却固化させ、ペレタイザ−で切断し
て、平均長さ5mmのポリプロピレンン樹脂組成物(B−
2)を得た。得られたポリプロピレンン樹脂組成物(B
−2)のガラス繊維の濃度は70.0%であった。
【0047】〔大型射出成形品、パレットの製造〕成形
材料として、実施例1の再生ポリエチレンテレフタレ−
ト樹脂(A)85.7部及び前記のガラス繊維、離型剤、安
定剤含有ポリプロピレン樹脂組成物(B−2)14.3 部を
用いる以外は実施例1と同様にしてパレットを製造し
た。得られたパレットの評価結果を表1に示す。なお、
実施例2の方法による成形材料中には、再生ポリエチレ
ンテレフタレ−ト樹脂(A)が86%、ポリプロピレン樹
脂が3.6 %、ガラス繊維が10%、離型剤が0.43%、安定
剤としてはベンゾトリアゾ−ル系化合物が0.13%、ヒン
ダ−ドアミン系化合物が0.13%配合されていることにな
る。
【0048】比較例1 極限粘度が0.65であるホモポリエチレンテレフタレ−ト
樹脂57.2部に対し、実施例1のガラス繊維含有ポリプロ
ピレン樹脂組成物(B−1)42.8 部を配合し、実施例1
と同様の成形条件でパレットを製造した。得られたパレ
ットの評価結果を表1に示す。
【0049】比較例2 極限粘度が0.65であるホモポリエチレンテレフタレ−ト
樹脂84.5部、平均粒径が10μm 、平均長さが約3 mmであ
るガラス繊維チョップドストランド15部、ベンゾトリア
ゾ−ル系化合物(商品名:TINUVIN234)0.15部、ヒンダ
−ドアミン系化合物(商品名:Sanol LS770)0.15部及び
融点が69℃であるパラフィンワックス〔日本精蝋(株)
製]0.5部を混合し、二軸押出機を用いて、ペレット状の
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂組成物(D)を得た。
なお、ガラス繊維は常法にてサイドフィ−ド法により組
成物(D)に配合した。得られたペレット(D)を実施
例1と同様の成形条件にてパレットを製造した。得られ
たパレットの評価結果を表1に示す。
【0050】実施例3 実施例1において、金型を変更する以外は実施例1と全
く同様の材料にて射出成形し、50×80×29 cmの大きさ
のコンテナ−を製造した。得られたコンテナ−の重量は
22 kgであった。その評価結果を表2に示すが、極めて
優れた性質のコンテナ−が得られた。 実施例4 実施例2において、金型を変更する以外は実施例2と全
く同様の材料にて射出成形し、50×80×29 cmの大きさ
のコンテナ−を製造した。得られたコンテナ−の重量は
22 kgであった。その評価結果を表2に示すが、極めて
優れた性質のコンテナ−が得られた。
【0051】比較例3 比較例1において、金型を変更する以外は比較例1と全
く同様の材料にて射出成形し、50×80×29 cmの大きさ
のコンテナ−を製造した。得られたコンテナ−の評価結
果を表2に示す。 比較例4 比較例2において、金型を変更する以外は比較例2と全
く同様の材料にて射出成形し、50×80×29 cmの大きさ
のコンテナ−を製造した。得られたコンテナ−の評価結
果を表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】上記実施例及び比較例の効果について補足
するに、まず実施例1は従来法におけるポリエチレンテ
レフタレ−ト樹脂と、これに配合されるべきガラス繊維
を押出機で混練する工程を省くことができるので、コス
ト面において極めて優れている。また成形性や、成形さ
れたパレットとしての特性も優れており、総合的見地か
らも極めて優れている。実施例2においては、ポリオレ
フィン樹脂組成物中に離型剤と安定剤を予め配合した材
料処方を採用しているので実施例1よりも更にコスト面
において優れたものであり、成形性やパレットとしての
特性も実施例1と同様に優れており、総合的見地から、
実施例1よりも一層優れたものといえる。
【0055】比較例1は全組成物中のガラス繊維の濃度
が30重量%と高過ぎ、そのため本発明の構成要件を満た
しておらず、成形性のほか、成形品の外観、耐衝撃性が
劣っている。比較例2では、ガラス繊維濃度は本発明の
構成要件を満たしているが、本発明の重要な構成要件で
ある、ポリオレフィン樹脂のガラス繊維マスタ−バッチ
を用いず、従来法によりガラス繊維を配合しているの
で、パレットとしての耐衝撃性が劣るだけでなく、コス
ト面においても劣っている。
【0056】実施例3は、上記実施例1と同様、ポリエ
チレンテレフタレ−ト樹脂と、これに配合されるべきガ
ラス繊維を押出機で混練する工程を省くことができるの
で、コスト面において極めて優れている。また成形性
や、コンテナ−としての特性も優れており、総合的見地
からも非常に優れている。実施例4はポリオレフィン樹
脂組成物中に離型剤と安定剤を予め配合した材料処方を
採用しているので実施例3よりも更にコスト面において
優れたものであり、成形性やコンテナ−としての特性
も、実施例3と同様に優れており、総合的見地から、実
施例3よりも一層優れたものといえる。
【0057】比較例3は全組成物中のガラス繊維の濃度
が30重量%と高過ぎ、本発明の構成要件を満たしておら
ず、成形性のほか、成形品の外観、耐衝撃性が劣ってい
る。比較例4では、ガラス繊維濃度は本発明の構成要件
を満たしているが、本発明の重要な構成要件である、ポ
リオレイン樹脂のガラス繊維マスタ−バッチを用いず、
従来法によりガラス繊維を配合しているので、コンテナ
−としての耐衝撃性が劣るだけでなく、コスト面におい
ても劣っている。
【0058】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化ポリエチレンテ
レフタレ−ト系樹脂組成物は極めて優れた耐衝撃性等の
物性を有するだけでなく、コスト面においても優れたも
のである。特にパレットやコンテナ−等の大型製品用と
して好適であり、その工業的価値は極めて高いものであ
る。更には、本発明はポリエチレンテレフタレ−ト系樹
脂製の使用済みのボトル廃棄物の有効利用に適用でき、
環境問題の解決方法をも提供し得る極めて価値の高いも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 67/02 23:00)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂10
    0重量部に対し、ガラス繊維を40〜90重量%含有す
    るポリオレフィン樹脂組成物3.0〜45重量部をドラ
    イブレンドして射出成形してなる組成物であって、且つ
    全組成物中におけるガラス繊維の濃度が1〜25重量%
    であることを特徴とするガラス繊維強化ポリエチレンテ
    レフタレ−ト系樹脂組成物からなる射出成形品。
  2. 【請求項2】 再生ポリエチレンテレフタレ−ト100
    重量部に対し、ガラス繊維を40〜90重量%含有する
    ポリオレフィン樹脂組成物3.0〜45重量部をドライ
    ブレンドして射出成形してなる組成物であって、且つ該
    組成物を溶融急冷後昇温速度20℃/分で測定した融解
    温度が200〜270℃であることを特徴とするガラス
    繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物から
    なり、且つ重量が1kg以上の大型射出成形品。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂組成物がガラス繊維
    を40〜90重量%、離型剤を0.1〜20重量%含有
    し、且つ該組成物中におけるガラス繊維の平均長さが2
    00〜2000μmであることを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の射出成形品。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の離型剤が融点40〜10
    0℃のワックスであることを特徴とする請求項3記載の
    射出成形品。
  5. 【請求項5】 成形品がパレットであることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかの項に記載の射出成形品。
  6. 【請求項6】 成形品がコンテナ−であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかの項に記載の射出成形品。
JP8044055A 1996-02-07 1996-02-07 ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレ−ト系樹脂組成物からなる射出成形品 Pending JPH09208814A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11181486A (ja) * 1997-10-15 1999-07-06 Chisso Corp 洗浄用熱可塑性樹脂組成物及び洗浄方法
WO2001091988A1 (de) * 2000-05-31 2001-12-06 Remaplan Anlagenbau Gmbh Verfahren zum spritzpressen eines formkörpers
JP2009012827A (ja) * 2007-07-06 2009-01-22 Taisei Kikaku:Kk 輸送用コンテナ

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