JPH09208487A - ウイルス性疾患の予防または治療剤 - Google Patents

ウイルス性疾患の予防または治療剤

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JPH09208487A
JPH09208487A JP8021475A JP2147596A JPH09208487A JP H09208487 A JPH09208487 A JP H09208487A JP 8021475 A JP8021475 A JP 8021475A JP 2147596 A JP2147596 A JP 2147596A JP H09208487 A JPH09208487 A JP H09208487A
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JP
Japan
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group
therapeutic agent
preventive
amino acid
agent according
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Withdrawn
Application number
JP8021475A
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English (en)
Inventor
Toshifumi Watanabe
敏文 渡邉
Akira Matsumori
昭 松森
Hideki Igata
英樹 井形
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウイルス性疾患の予防または治療剤の提供。 【解決手段】抗エンドセリン作用を有する化合物を含有
するウイルス性疾患予防治療剤。 【効果】ウイルス性疾患に対する優れた予防治療効果。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗エンドセリン作
用を有する化合物を含有するウイルス性疾患の予防また
は治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ウイルス性疾患の予防にはウイル
スワクチンが主として用いられているが、ワクチンは各
々のウイルスに特異的なもので個々のウイルスに対して
のみ有効である。しかし、ウイルスの種類は多く、現
在、極めて限られたウイルスに対してのみ実用化されて
いる。また、ウイルスは変異株が多く同一のウイルスに
対してもワクチンが有効でないことも多い。さらに副作
用の少ないワクチンを数多く開発することは極めて困難
である。
【0003】一方、種々の抗ウイルス剤(アシクロビ
ル、ガンシクロビル、アラAなど)も開発され実用化さ
れているが極めて限られたウイルス感染症にのみ有効で
広範なウイルス性疾患に有効な薬剤は見当たっていな
い。また、これらの抗ウイルス剤は副作用が強く広く臨
床に用いることは困難である。近年、インターフェロン
がウイルス性肝炎などの治療に応用されているが、発熱
などの副作用が高頻度に出現している。またインターフ
ェロンはウイルスの増殖を抑制するが、細胞傷害を直接
防御するとの報告はみられない。ガンマグロブリンは、
広くウイルス性疾患の治療に用いられているが、その成
績は必ずしも一定ではない。一方、抗エンドセリン作用
を有する化合物としては、例えば特開平6−9689号
公報に式
【化5】 〔式中、XおよびYはそれぞれα−アミノ酸残基を、A
はD−酸性−α−アミノ酸残基を、Bは中性−α−アミ
ノ酸残基を、CはL−α−アミノ酸残基を、Dは芳香環
基を有するD−α−アミノ酸残基を示す。〕で表される
環状ペプチドまたはその塩が記載されている。しかしな
がら、抗エンドセリン作用を有する化合物がウイルス性
疾患に有用であるとの報告は見当たっていない。また、
エンドセリンとウイルス性疾患の関連についても全く示
唆はされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、ウイル
スには数多くの種類があり、各ウイルスに対する特異的
治療を行うのは困難である。従って、多くのウイルス性
疾患において発生する種々の臓器における細胞傷害を予
防または治療することが極めて重要である。ウイルス性
疾患における細胞傷害はウイルスの増殖による直接的な
傷害のほか、ウイルス感染によって引き起こされる種々
の免疫反応が関与すると考えられている。本発明は、ウ
イルスの種類にかかわらず種々の臓器における細胞傷害
の発症予防および治療作用を有するウイルス性疾患の予
防または治療剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような事情に鑑み、ウイルス性疾患の予防または治療剤
について鋭意研究した結果、抗エンドセリン作用を有す
る化合物が意外にも有効であることを見いだし、本発明
を完成した。すなわち、本発明は、(1)抗エンドセリ
ン作用を有する化合物を含有することを特徴とするウイ
ルス性疾患の予防または治療剤、(2)抗エンドセリン
作用がエンドセリン受容体拮抗作用である前記(1)記
載の予防または治療剤、(3)抗エンドセリン作用を有
する化合物が式〔I〕
【化6】 〔式中、XおよびYはそれぞれD−、L−もしくはDL
−体のα-アミノ酸残基を、AはD−酸性−α−アミノ
酸残基を、BはD−もしくはL−体の中性−α-アミノ
酸残基を、CはL−α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基
を有するD−α−アミノ酸残基を示す。〕で表される環
状ヘキサペプチドまたはそのエステルもしくはその塩で
ある前記(1)記載の予防または治療剤、
【0006】(4)XがL体である請求項3記載の予防
または治療剤、(5)Xが式
【化7】 で表される基であり、ここにおいてGは式
【化8】 (式中、X1およびX2はそれぞれ水素原子、C1-6アル
キル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子またはニト
ロ基を示すか、あるいはX1およびX2とが結合して環を
形成してもよい)で表される基である前記(3)記載の
予防または治療剤、(6)Gが
【化9】 からなる群から選ばれる基である前記(5)記載の予防
または治療剤、(7)YがL体である前記(3)記載の
予防または治療剤、(8)Yがアスパラギン酸、グルタ
ミン酸、アラニン、プロリン、ロイシン、トリプトファ
ンおよびO−ベンジルセリンからなる群から選ばれるア
ミノ酸の残基である前記(3)記載の予防または治療
剤、(9)Aが側鎖にカルボキシル基、スルホニル基ま
たはテトラゾリル基を有するD−酸性−α−アミノ酸残
基である前記(3)記載の予防または治療剤、(10)
AがD−グルタミン酸、D−アスパラギン酸、D−シス
テイン酸、D−ホモシステイン酸、D−β−(5−テト
ラゾリル)アラニンおよびD−2−アミノ−4−(5−
テトラゾリル)酪酸からなる群から選ばれるアミノ酸の
残基である前記(3)記載の予防または治療剤、(1
1)BがD−中性−α-アミノ酸残基である前記(3)
記載の予防または治療剤、(12)BがC1-6アルキル
基、C5-7シクロアルケニル基、C7-11アラルキル基、
6-10アリール基、C1-6アルコキシ基またはC1-6アル
カノイル基で置換されていてもよい、酸素原子、硫黄原
子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4
個含む5または6員複素環基を有していてもよいD−中
性−α-アミノ酸残基である前記(3)記載の予防また
は治療剤、
【0007】(13)BがD−ロイシン、D−アロイソ
ロイシン、D−tert−ロイシン、D−γ−メチルロ
イシン、D−フェニルグリシン、D−2−チエニルアラ
ニン、D−2−チエニルグリシン、D−3−チエニルグ
リシンおよびD−2−シクロペンンチルグリシンからな
る群から選ばれるアミノ酸残基である前記(3)記載の
予防または治療剤、(14)CがL−ロイシン、L−ノ
ルロイシン、L−トリプトファンまたはそのα−アミノ
基がC1-6アルキル基で置換されているアミノ酸の残基
である前記(3)記載の予防または治療剤、(15)E
がD−トリプトファン、D−フェニルアラニン、D−チ
ロシン、D−2−ナフチルアラニン、D−3−ベンゾチ
エニルアラニン、D−4−ビスフェニルアラニンおよび
D−ペンタメチルフェニルアラニンからなる群から選ば
れるアミノ酸の残基である前記(3)記載の予防または
治療剤、(16)環状ヘキサペプチドが式 Cyclo〔-D-Asp-Asp(R1)-Asp-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-〕 〔式中、Asp(R1)はアスパラギン酸β−4−フェニルピ
ペラジンアミド残基を、Thg(2)は2−チエニルグリシン
残基を示す。〕で表される化合物である前記(3)の予
防または治療剤、(17)ウイルス性疾患がRNAウイ
ルスまたは肝炎ウイルスによって引き起こされるもので
ある前記(1)記載の予防または治療剤、(18)RN
Aウイルスがオルトミクソウイルスまたはピコナウイル
スである前記(17)記載の予防または治療剤、および
(19)ウイルス性疾患がウイルス性肝炎(A型、B
型、C型、E型)、インフルエンザ、ウイルス性脳炎、
ウイルス性腸炎、ウイルス性心筋炎またはウイルス性心
膜炎である前記(1)記載の予防または治療剤等に関す
る。
【0008】本発明で用いられる抗エンドセリン作用を
有する化合物は、抗エンドセリン作用を有する医薬品と
して使用可能なもので、本発明の目的を達成することが
できる化合物が用いられる。本発明で用いられる好まし
い抗エンドセリン作用を有する化合物の一つである式
〔I〕で表される化合物の塩としては、薬学的に許容さ
れる塩が挙げられ、例えば、無機塩基との塩、有機塩基
との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸
性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の
好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩な
どのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩な
どのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、ア
ンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適
な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキ
シルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンな
どとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例として
は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など
との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例として
は、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール
酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク
酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアル
ギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸
性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラ
ギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。式
〔I〕で表される化合物の塩としては、ジナトリウム塩
が最も好ましい。
【0009】式〔I〕において、XおよびYで表される
α-アミノ酸残基の母体となるアミノ酸はα-アミノ酸な
らばどのようなアミノ酸でもよく、例えば、アラニン、
アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイ
ン、グルタミン、グルタミン酸、2-アミノマロン酸、
2-アミノアジピン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロ
イシン、ロイシン、リジン、オルニチン、2,4-ジアミ
ノ酪酸、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、4
-ヒドロキシプロリン、チオプロリン、アゼチジン-2-
カルボン酸、ピペコリン酸(ピペリジン-2-カルボン
酸)、インドリン-2-カルボン酸、テトラヒドロイソキ
ノリン-3-カルボン酸、セリン、スレオニン、トリプト
ファン、5-メチルトリプトファン、チロシン、バリ
ン、アロイソロイシン、ノルバリン、ノルロイシン、t
ert-ロイシン、γ-メチルロイシン、フェニルグリシ
ン、2-アミノ酪酸、システイン酸、ホモシステイン
酸、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、2-
チエニルグリシン、3-チエニルグリシン、3-ベンゾチ
エニルアラニン、4-ビフェニルアラニン、ペンタメチ
ルフェニルアラニン、1-アミノシクロプロパン-1-カ
ルボン酸、1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸、1-
アミノシクロペンタン-1-カルボン酸、1-アミノシク
ロヘキサン-1-カルボン酸、1-アミノシクロヘプタン-
1-カルボン酸などが挙げられる。
【0010】これらのα-アミノ酸に官能基、例えば水
酸基、チオール基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル
基などがある場合、これらの官能基は適当な置換基で置
換されていてもよい。ここにおいて置換された水酸基と
してはC1-6アルカノイルオキシ(例えばホルミルオキ
シ、アセトキシ、プロピオニルオキシなど)、C4-9
環状カルボニルオキシ(例えばシクロペンタンカルボニ
ルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシなど)、C
7-15アリールカルボニルオキシ(例えばベンゾイルオキ
シ、4-メチルベンゾイルオキシなど)、C8-16アラル
キルカルボニルオキシ(例えばフェニルアセトキシ、2
-フェニルプロピオニルオキシ、3-フェニルプロピオニ
ルオキシ、ジフェニルアセトキシなど)、芳香族複素環
-アルキルカルボニルオキシ(例えばインドール-2-イ
ルアセトキシ、インドール-3-イルアセトキシなど)、
1-6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プ
ロポキシ、tert−ブトキシなど)、C3-8シクロア
ルコキシ(例えばシクロペンチルオキシ、シクロヘキシ
ルオキシなど)、C6-12アリールオキシ(例えばフェニ
ルオキシ、4-メチルフェニルオキシなど)、C7-15
ラルキルオキシ(例えばベンジルオキシ、フェネチルオ
キシ、ジフェニルメトキシなど)などが挙げられる。置
換された水酸基を有するα-アミノ酸としては、例えば
O-アセチルセリン、O-アセチルスレオニン、4-アセ
トキシプロリン、O-ベンゾイルセリン、O-ベンゾイル
スレオニン、4-ベンゾイルオキシプロリン、O-フェニ
ルアセチルセリン、O-フェニルアセチルスレオニン、
4-フェニルアセトキシプロリン、O-エチルセリン、O
-エチルスレオニン、4-エトキシプロリン、O-シクロ
ヘキシルセリン、O-シクロヘキシルスレオニン、4-シ
クロヘキシルオキシプロリン、O-フェニルセリン、O-
フェニルスレオニン、4-フェノキシプロリン、O-ベン
ジルセリン、O-ベンジルスレオニン、4-ベンジルオキ
シプロリン、O-ジフェニルメチルセリン、O-ジフェニ
ルメチルスレオニン、4-ジフェニルメトキシプロリン
などが挙げられる。
【0011】置換されたチオール基としてはC1-6アル
カノイルチオ(例えばホルミルチオ、アセチルチオ、プ
ロピオニルチオなど)、C4-9脂環状カルボニルチオ
(例えばシクロペンタンカルボニルチオ、シクロヘキサ
ンカルボニルチオなど)、C7-15アリールカルボニルチ
オ(例えばベンゾイルチオ、4-メチルベンゾイルチオ
など)、C8-16アラルキルカルボニルチオ(例えばフェ
ニルアセチルチオ、2-フェニルプロピオニルチオ、3-
フェニルプロピオニルチオ、ジフェニルアセチルチオな
ど)、C1-6アルキルチオ(例えばメチルチオ、エチル
チオ、n-プロピルチオ、tert−ブチルチオな
ど)、C3-8シクロアルキルチオ(例えばシクロペンチ
ルチオ、シクロヘキシルチオなど)、C6-12アリールチ
オ(例えばフェニルチオ、4-メチルフェニルチオな
ど)、C7-15アラルキルチオエーテル(例えばベンジル
チオ、フェネチルチオ、ジフェニルメチルチオなど)な
どが挙げられる。置換されたチオール基を有するα-ア
ミノ酸としては、例えばS-アセチルシステイン、S-ベ
ンゾイルシステイン、S-フェニルアセチルシステイ
ン、S-エチルシステイン、S-シクロヘキシルシステイ
ン、S-フェニルシステイン、S-ベンジルシステインな
どが挙げられる。
【0012】置換されたアミノ基としてはC1-6アルキ
ルアミノ(例えばN-メチルアミノ、N-エチルアミノ、
N−tert−ブチルアミノなど)、C3-8シクロアル
キルアミノ(例えばN-シクロペンチルアミノ、N-シク
ロヘキシルアミノなど)、C6- 12アリールアミノ(例え
ばN-フェニルアミノ、N-{4-メチルフェニル}アミ
ノなど)、C7-15アラルキルアミノ(例えばN-ベンジ
ルアミノ、N-フェネチルアミノ、N-{2-クロロベン
ジル}アミノ、N-{3-クロロベンジル}アミノ、N-
{4-クロロベンジル}アミノ、N-{2-メチルベンジ
ル}アミノ、N-{3-メチルベンジル}アミノ、N-
{4-メチルベンジル}アミノ、N-{2-メトキシベン
ジル}アミノ、N-{3-メトキシベンジル}アミノ、N
-{4-メトキシベンジル}アミノなど)、芳香族複素環
-C1-6アルキルアミノ(例えば2-フリルメチルアミ
ノ、3-フリルメチルアミノ、2-チエニルメチルアミ
ノ、3-チエニルメチルアミノ、インドール-2-イルメ
チルアミノ、インドール-3-イルメチルアミノ);およ
び置換されたアミド基として、C1-6脂肪族アシルアミ
ド(例えばホルムアミド、アセトアミド、プロピオンア
ミドなど)、C4-9脂環状アシルアミド(例えばシクロ
ペンタンカルボニルアミド、シクロヘキサンカルボニル
アミドなど)、C7-15アリールアシルアミド(例えばベ
ンズアミド、4-メチルベンズアミドなど)、C8-16
ラルキルアシルアミド(例えばフェニルアセトアミド、
2-フェニルプロピオンアミド、3-フェニルプロピオン
アミド、ジフェニルアセトアミド、1-ナフチルアセト
アミド、2-ナフチルアセトアミドなど)、芳香族複素
環-カルボキサミド(例えばインドール-2-イルカルボ
キサミド、インドール-3-イルカルボキサミドなど)、
芳香族複素環-アルキルカルボキサミド(例えばインド
ール-2-イルアセトアミド、インドール-3-イルアセト
アミドなど)、スルホニルアミド(例えばベンゼンスル
ホニルアミド、パラトルエンスルホニルアミド、4-メ
トキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニルアミド
など)などが挙げられる。置換されたイミノ基における
置換基は、それぞれ上記した置換されたアミノ基または
アミド基の置換基と同様の、C1-6アルキル、C3-8シク
ロアルキル、C6-12アリール、C7-15アラルキル、芳香
族複素環-C1-6アルキルなどが挙げられる。アミノ基が
置換されたα-アミノ酸としては、例えばN-メチルグリ
シン(サルコシン)、N-エチルグリシン、N-メチルロイ
シン、N-エチルロイシン、N-メチルフェニルアラニ
ン、N-エチルフェニルアラニン、N(α)-メチルトリプ
トファン、N(α)-エチルトリプトファン、N-シクロペ
ンチルグリシン、N-シクロヘキシルグリシン、N-フェ
ニルグリシン、N-フェニルロイシン、N-ベンジルグリ
シン、N-ベンジルロイシン、N(π)-ベンジルヒスチジ
ン、N(τ)-ベンジルヒスチジン、N(π)-フェナシルヒ
スチジン、N(π)-ベンジルオキシメチルヒスチジン、
g-ベンゼンスルホニルアルギニン、Ng-パラトルエン
スルホニルアルギニン、Ng-(4-メトキシ-2,3,6-ト
リメチルベンゼンスルホニル)アルギニン、N(ε)-ベン
ゼンスルホニルリジン、N(ε)-パラトルエンスルホニ
ルリジン、N(ε)-(4-メトキシ-2,3,6-トリメチル
ベンゼンスルホニル)リジン、Nin-メチルトリプトファ
ン、Nin-エチルトリプトファン、Nin-ホルミルトリプ
トファン、Nin-アセチルトリプトファン、N(ε)-ベン
ジルリジン、N(ε)-(2-フリルメチル)リジン、N(ε)
-(2-チエニルメチル)リジン、N(ε)-(インドール-3-
イルメチル)リジン、N(ε)-フェニルアセチルリジン、
N(ε)-({2-フリル}アセチル)リジン、N(ε)-({2
-チエニル}アセチル)リジン、N(ε)-({インドール-
3-イル}アセチル)リジン、N(ε)-ベンゾイルリジ
ン、N(ε)-(3-フェニルプロピオニル)リジン、N(δ)
-ベンジルオルニチン、N(δ)-(2-フリルメチル)オル
ニチン、N(δ)-(2-チエニルメチル)オルニチン、N
(δ)-(インドール-3-イルメチル)オルニチン、N(δ)-
ベンゾイルオルニチン、N(δ)-フェニルアセチルオル
ニチン、N(δ)-(3-フェニルプロピオニル)オルニチ
ン、N(δ)-({2-メチルフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({3-メチルフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({4-メチルフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({2-クロロフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({3-クロロフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({4-クロロフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)-({2-メトキシフェニル}アセチル)オルニ
チン、N(δ)-({3-メトキシフェニル}アセチル)オル
ニチン、N(δ)-({4-メトキシフェニル}アセチル)オ
ルニチン、N(δ)-(4-ビフェニルアセチル)オルニチ
ン、N(γ)-ベンジル-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(2
-フリルメチル)-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(2-チエ
ニルメチル)-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(インドール
-3-イルメチル)-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-ベンゾ
イル-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-フェニルアセチル-
2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(3-フェニルプロピオニ
ル)-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(2-フリルアセチル)
-2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)-(2-チエニルアセチル)-
2,4-ジアミノ酪酸、N(γ)−({インドール-3-イ
ル}アセチル)-2,4-ジアミノ酪酸などが挙げられる。
【0013】置換されたカルボキシル基としてはカルバ
モイル基(-CONH2)、C1-6アルキルカルバモイル(例え
ばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n-プロ
ピルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイルな
ど)、C3-8シクロアルキルカルバモイル(例えばシク
ロペンチルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル
など)、C6-12アリールカルバモイル(例えばフェニル
カルバモイル、{4-メチルフェニル}カルバモイルな
ど)、C7-15アラルキルカルバモイル(例えばベンジル
カルバモイル、フェネチルカルバモイル、{1,2-ジフ
ェニルエチル}カルバモイルなど)、{芳香族複素環-
1-6アルキル}カルバモイル(例えば[2-{インドー
ル-2-イル}エチル]カルバモイル、[2-{インドール-
3-イル}エチル]カルバモイルなど)、ピペリジノカル
ボニル、ピペラジンカルボニル、N4-C1-6アルキルピ
ペラジンカルボニル(例えばN4-メチルピペラジンカル
ボニル、N4-エチルピペラジンカルボニルなど)、N4-
3-8シクロアルキルピペラジンカルボニル(例えばN4
-シクロペンチルピペラジンカルボニル、N4-シクロヘ
キシルピペラジンカルボニルなど)、N4-5ないし7員
異項環ピペラジンカルボニル(例えばN4-ピリジルピペ
ラジンカルボニル、N4-フリルピペラジンカルボニル、
4-チエニルピペラジンカルボニルなど)、N4-C6-12
アリールピペラジンカルボニル(例えばN4-フェニルピ
ペラジンカルボニル、N4-{4-メチルフェニル}ピペ
ラジンカルボニルなど)、N4-C7-15アラルキルピペラ
ジンカルボニル(例えばN4-ベンジルピペラジンカルボ
ニル、N4-フェネチルピペラジンカルボニル、N4-
{1,2-ジフェニルエチル}ピペラジンカルボニルな
ど)、N4-{芳香族複素環-C1-6アルキル}ピペラジン
カルボニル(例えばN4-[2-{インドール-2-イル}エ
チル]ピペラジンカルボニル、N4-[2-{インドール-3
-イル}エチル]ピペラジンカルボニルなど)、N4-C
1-6脂肪族アシルピペラジンカルボニル(例えばN4-ア
セチルピペラジンカルボニル、N4-プロピオニルピペラ
ジンカルボニルなど)、N4-C4-9脂環状アシルピペラ
ジンカルボニル(例えばN4-シクロペンタンカルボニル
ピペラジンカルボニル、N4-シクロヘキサンカルボニル
ピペラジンカルボニルなど)、N4-C7-15アリールアシ
ルピペラジンカルボニル(例えばN4-ベンゾイルピペラ
ジンカルボニル、N4-{4-メチルベンゾイル}ピペラ
ジンカルボニルなど)、N4-C8-16アラルキルアシルピ
ペラジンカルボニル(例えばN4-フェニルアセチルピペ
ラジンカルボニル、N4-{2-フェニルプロピオン}ピ
ペラジンカルボニル、N4-{3-フェニルプロピオニ
ル}ピペラジンカルボニル、N4-ジフェニルアセチルピ
ペラジンカルボニル、N4-{1-ナフチルアセチル}ピ
ペラジンカルボニル、N4-{2-ナフチルアセチル}ピ
ペラジンカルボニルなど)、N4-{芳香族複素環-カル
ボニル}ピペラジンカルボニル(例えばN4-{インドー
ル-2-イルカルボニル}ピペラジンカルボニル、N4-
{インドール-3-イルカルボニル}ピペラジンアミドな
ど)、N4-{芳香族複素環-アルキルカルボニル}ピペ
ラジンカルボニル(例えばN4-{インドール-2-イルア
セチル}ピペラジンカルボニル、N4-{インドール-3-
イルアセチル}ピペラジンカルボニルなど)、C1-6
ルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、エト
キシカルボニル、n-プロポキシカルボニルなど)、C
3-8シクロアルキルオキシカルボニル(例えばシクロペ
ンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボ
ニルなど)、C7-15アラルキルオキシカルボニル(例え
ばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボ
ニル、1-フェニルエトキシカルボニル、ジフェニルメ
トキシカルボニルなど)などが挙げられる。上記したカ
ルバモイル基のなかにはα-アミノ酸とのアミドやオリ
ゴペプチド(例えばジペプチド、トリペプチド、テトラ
ペプチドなど)とのアミドも含まれる。カルボキシル基
が置換されたα-アミノ酸としては、例えばN4-メチル
アスパラギン、N4-フェニルアスパラギン、N4-ベンジ
ルアスパラギン、N4-フェネチルアスパラギン、N4-
(2-{インドール-3-イル}エチル)アスパラギン、N5
-メチルグルタミン、N5-フェニルグルタミン、N5-ベ
ンジルグルタミン、N5-フェネチルグルタミン、N5-
(2-{インドール-3-イル}エチル)グルタミン、アス
パラギン酸 β-メチルエステル、アスパラギン酸 β-シ
クロプロピルエステル、アスパラギン酸 β-ベンジルエ
ステル、アスパラギン酸 β-フェネチルエステル、アス
パラギン酸 β-N4-フェニルピペラジンアミド、アスパ
ラギン酸 β-N4-(2-メチルフェニル)ピペラジンアミ
ド、アスパラギン酸 β-N4-(3-メチルフェニル)ピペ
ラジンアミド、アスパラギン酸 β-N4-(4-メチルフ
ェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸 β-N4-(2
-メトキシフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸
β-N4-(3-メトキシフェニル)ピペラジンアミド、ア
スパラギン酸β-N4-(4-メトキシフェニル)ピペラジン
アミド、アスパラギン酸 β-N4-(2-クロロフェニル)
ピペラジンアミド、アスパラギン酸 β-N4-(3-クロロ
フェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸 β-N4-
(4-クロロフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン
酸 β-N4-(4-ニトロフェニル)ピペラジンアミド、ア
スパラギン酸 β-N4-(4-フルオロフェニル)ピペラジ
ンアミド、アスパラギン酸β-N4-(3-トリフルオロメ
チルフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸β-N
4-(2,3-ジメチルフェニル)ピペラジンアミド、アスパ
ラギン酸 β-N4-(2-ピリジル)ピペラジンアミド、ア
スパラギン酸 β-N4-(2-ピリミジル)ピペラジンアミ
ド、グルタミン酸 γ-メチルエステル、グルタミン酸
γ-シクロプロピルエステル、グルタミン酸 γ-ベンジ
ルエステル、グルタミン酸 γ-フェネチルエステルなど
が挙げられる。
【0014】式〔I〕において、XおよびYで表される
α-アミノ酸残基の母体となるα-アミノ酸はD体、L
体、DL体のいずれでもよいが、X、YのいずれもL体
がより好ましい。Yとしては、アスパラギン酸、グルタ
ミン酸、アラニン、プロリン、ロイシンおよびトリプト
ファンからなる群から選ばれるアミノ酸残基が好まし
く、とりわけL-アスパラギン酸残基が好ましい。
【0015】Xとしては、好ましくは次の式
【化10】 で表される基を示し、ここにおいて、Gは部分構造式
【化11】 (式中、X1およびX2はそれぞれ水素原子、C1-6アル
キル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子またはニト
ロ基を示し、
【化12】 はX1およびX2とが結合して環を形成してもよいことを
示す。)で表される基を示す。X1およびX2で表される
1-6アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n
−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシ
ルなどが用いられ、特にメチル、エチル、n−プロピ
ル、iso−プロピルなどのC1-3アルキル基などが好
ましく、なかでもメチルが好ましい。X1およびX2で表
されるC1-6アルコキシ基としては、例えばメトキシ、
エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチ
ルオキシ、n−ヘキシルオキシなどが用いられ、特にメ
トキシ、エトキシ、n−プロポキシなどのC1-3アルコ
キシ基などが好ましく、なかでもメトキシ、エトキシが
好ましい。X1およびX2で表されるハロゲン原子として
は、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが用いら
れ、特に塩素が好ましい。
【0016】X1とX2とが結合して環を形成する場合、
Gは、式
【化13】 で表される基が好ましい。環Qとしては、例えばO,
N,Sなどのヘテロ原子を1ないし3個程度含んでいて
もよい4ないし7員環(飽和炭素環、芳香族炭素環、飽
和複素環、芳香族複素環など)などが用いられる。環Q
の内、環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等
の炭素数3ないし8のシクロアルキル基、例えばシクロ
プロペニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテ
ニル、3−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、
2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル等の炭素
数3ないし8のシクロアルケニル基、例えばフェニル、
1−または2−ナフチル、1−,2−または9−アント
リル、1−,2−,3−,4−または9−フェナントリ
ル、1−,2−,4−,5−または6−アズレニル等の
炭素数6ないし14のアリール基等が用いられる。
【0017】環Qの内、複素環基としては、例えば2−
または3−チエニル、2−または3−フリル、2−また
は3−ピロリル、2−、4−または5−オキサジリル、
2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5
−ピラゾリル、2−、4−または5−イミダゾリル、3
−、4−または5−イソオキサゾリル、3−、4−また
は5−イソチアゾリル、3−または5−(1,2,4−オ
キサジアゾリル)、1,3,4−オキサジアゾリル、3−
または5−(1,2,4−チアジアゾリル)、1,2,5−
チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−
トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル等の炭
素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ば
れたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基、例えば2
−、3−または4−ピリジル、N−オキシド−2−、3
−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジ
ニル、N−オキシド−2−、4−または5−ピリミジニ
ル、チオモルホリニル、モルホリニル、オキソイミダジ
ニル、ジオキソトリアジニル、ピロリジニル、ピペラジ
ニル、ピラニル、チオピラニル、1,4−オキサジニ
ル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジ
ニル、トリアジニル、オキソトリアジニル、3−または
4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−ま
たは4−ピリダジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫
黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし
4個含む6員環基、例えばベンゾフリル、ベンゾチアゾ
リル、ベンゾオキサゾリル、テトラゾロ〔1,5−b〕
ピリダジニル、トリアゾロ〔4,5−b〕ピリダジニ
ル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、シ
ンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリ
ニル、インドリジニル、キノリジニル、1,8−ナフチ
リジニル、プリニル、プテリジニル、ジベンゾフラニ
ル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナントリジニ
ル、クロマニル、ベンゾオキサジニル、フェナジニル、
フェノチアジニル、フェノキサジニル等の炭素原子以外
に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ
原子を1ないし4個含む2環性または3環性縮合環基等
の炭素原子以外に例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子
などのヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし8員環ま
たはその縮合環等が用いられる。
【0018】上記したもののなかでも、Gは式
【化14】 (X3は水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ
基、ハロゲン原子またはニトロ基を示す。)で表される
基が好ましい。その具体例を挙げれば、例えば
【化15】 などであり、とりわけ
【化16】 が好ましい。すなわち、Xとしてはアスパラギン酸β−
4−フェニルピペラジンアミド残基が最も好ましい。ま
た、Gには、D体、L体、DL体のいずれも含まれる
が、なかでもL体が好ましい。
【0019】式〔I〕において、Aで表されるD-酸性-
α-アミノ酸残基の母体となるアミノ酸としては、例え
ば側鎖にカルボキシル基、スルホニル基またはテトラゾ
リル基のような酸性基を有するアミノ酸が挙げられる。
その具体例としては、D-グルタミン酸、D-アスパラギ
ン酸、D-システイン酸、D-ホモシステイン酸、D-β-
(5-テトラゾリル)アラニン、D-2-アミノ-4-(5-テ
トラゾリル)酪酸などが挙げられるが、特にD-グルタミ
ン酸、D-アスパラギン酸、D-システイン酸が好まし
い。Aとしては、D-アスパラギン酸残基が最も好まし
い。式〔I〕において、Bで表される中性-α-アミノ酸
残基の母体となるアミノ酸としては、例えばアラニン、
バリン、ノルバリン、 ロイシン、イソロイシン、アロイ
ソロイシン、ノルロイシン、tert-ロイシン、γ-メ
チルロイシン、フェニルグリシン、フェニルアラニン、
1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、プロリ
ン、4-ヒドロキシプロリン、アゼチジン-2-カルボン
酸、ピペコリン酸(ピペリジン-2-カルボン酸)、2-チ
エニルアラニン、2-チエニルグリシン、3-チエニルグ
リシン、1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸、1-
アミノシクロブタン-1-カルボン酸、1-アミノシクロ
ペンタン-1-カルボン酸、1-アミノシクロヘキサン-1
-カルボン酸、1-アミノシクロヘプタン-1-カルボン
酸、2-シクロペンチルグリシン、2-シクロヘキシルグ
リシンなどのα-アミノ酸が挙げられる。上記の中性-α
-アミノ酸にL体とD体が存在する場合はD体の方が好
ましい。中でも、C1-6アルキル基、C5-7シクロアルケ
ニル基、C7-11アラルキル基、C6-10アリール基、C
1-6アルコキシ基またはC1-6アルカノイル基で置換され
ていてもよい酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選
ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5または6員複素
環基を有していてもよいD-中性−α-アミノ酸残基が好
ましく、とりわけD-ロイシン、D-アロイソロイシン、
D-tert-ロイシン、D-γ-メチルロイシン、D-フ
ェニルグリシン、D-2-チエニルアラニン、D-2-チエ
ニルグリシン、D-3-チエニルグリシン、D-2-シクロ
ペンチルグリシンがより好ましい。Bとしては、D-2
−チエニルグリシン残基が最も好ましい。これらの中性
-α-アミノ酸のα-アミノ基はC1-6アルキル基(例えば
メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチルなど)
で置換されていてもよい。このようなα-アミノ酸とし
ては、例えばN-メチルロイシン、N-メチルアロイソロ
イシン、N-メチル-tert-ロイシン、N-メチル-γ-
メチルロイシン、N-メチルフェニルグリシンなどが挙
げられ、これらもD体の方が好ましい。
【0020】式〔I〕において、Cで表されるL-α-ア
ミノ酸残基の母体となるアミノ酸としては、例えばグリ
シン、L-アラニン、L-バリン、L-ノルバリン、L-ロ
イシン、L-イソロイシン、L-tert-ロイシン、L-
ノルロイシン、L-メチオニン、L-2-アミノ酪酸、L-
セリン、L-スレオニン、L-フェニルアラニン、L-ア
スパラギン酸、L-グルタミン酸、L-アスパラギン、L
-グルタミン、L-リジン、L-トリプトファン、L-アル
ギニン、L-チロシン、L-プロリンなど、通常一般に知
られているL-α-アミノ酸が挙げられ、特にL-ロイシ
ン、L-ノルロイシン、L-トリプトファンが好ましい。
CとしてはL-ロイシン残基が最も好ましい。これらの
L-α-アミノ酸のα-アミノ基はC1-6アルキル基(例え
ばメチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチルな
ど)で置換されていてもよい。このようなL-α-アミノ
酸としては、例えばL-N-メチルロイシン、L-N-メチ
ルノルロイシン、L-N(α)-メチルトリプトファンなど
が挙げられる。
【0021】式〔I〕において、Eで表される芳香環基
を有するD-α-アミノ酸残基の母体となるアミノ酸とし
ては、例えば側鎖に芳香環基を有するD-α-アミノ酸が
挙げられる。その具体例としては、D-トリプトファ
ン、D-5-メチルトリプトファン、D-フェニルアラニ
ン、D-チロシン、D-1-ナフチルアラニン、D-2-ナ
フチルアラニン、D-3-ベンゾチエニルアラニン、D-
4-ビフェニルアラニン、D-ペンタメチルフェニルアラ
ニンなどが挙げられ、D-トリプトファン、D-5-メチ
ルトリプトファンが好ましい。なかでもD-トリプトフ
ァンがより好ましい。これらの芳香環を有するD-α-ア
ミノ酸のα-アミノ基はC1-6アルキル基(例えばメチ
ル、エチル、n-プロピル、tert-ブチルなど)で置
換されていてもよく、また、D-トリプトファンのイン
ドール環のアミノ基はC1-6アルキル(例えばメチル、
エチル、n-プロピル、tert-ブチルなど)、C3-8
シクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシ
ルなど)、C6-12アリール(例えばフェニル、4-メチ
ルフェニルなど)、C7-15アラルキル(例えばベンジ
ル、フェネチルなど)などの炭化水素基やC1-6脂肪族
アシル(好ましくはC1-6アルカノイル)(例えばホル
ミル、アセチル、プロピオニルなど)、C4-9脂環状ア
シル(好ましくはC5-7シクロアルキルカルボニル)
(例えばシクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカ
ルボニルなど)、C7-15アリールアシル(好ましくはC
6- 12アリールカルボニル)(例えばベンゾイル、4-メ
チルベンゾイルなど)、C8-16アラルキルアシル(好ま
しくはC6-12アリール−C2-4アルカノイル)(例えば
フェニルアセチル、2-フェニルプロピオニル、3-フェ
ニルプロピオニル、ジフェニルアセチルなど)、C1-6
アルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、エ
トキシカルボニルなど)などのアシル基で置換されてい
てもよい。このようなα-アミノ酸としては、例えばD-
N(α)-メチルトリプトファン、D-N-メチルフェニル
アラニン、D-N-メチルチロシン、D-Nin-メチルトリ
プトファン、D-Nin-エチルトリプトファン、D-Nin-
ホルミルトリプトファン、D-Nin-アセチルトリプトフ
ァンなどが挙げられる。なかでもD-Nin-メチルトリプ
トファン、D-Nin-ホルミルトリプトファン、D-Nin-
アセチルトリプトファンがより好ましい。Eとしては、
D-トリプトファン残基が最も好ましい。
【0022】式〔I〕で表わされるペプチドまたはその
塩の好ましい具体例は次のようなものである。XがL
体、YがL体、AがD-グルタミン酸、D-アスパラギン
酸、D-システイン酸およびD-テトラゾリルアラニン残
基からなる群から選ばれる基、BがD体、Bが1-アミ
ノシクロプロパン-1-カルボン酸、1-アミノシクロブ
タン-1-カルボン酸、1-アミノシクロペンタン-1-カ
ルボン酸、1-アミノシクロヘキサン-1-カルボン酸お
よび1-アミノシクロヘプタン-1-カルボン酸残基から
なる群から選ばれる基、BがD-ロイシン、D-アロイソ
ロイシン、D-tert-ロイシン、D-γ-メチルロイシ
ン、D-フェニルグリシン、D-2-チエニルグリシン、
D-3-チエニルグリシン、D-2-シクロペンチルグリシ
ン、D-フェニルアラニン、D-2-チエニルアラニン、
D-バリン、D-2-フリルグリシンおよびD-3-フリル
グリシン残基からなる群から選ばれる基、CがL-ロイ
シン、L-イソロイシン、L-バリン、L-ノルロイシン
および芳香族基を有するL-αアミノ酸残基からなる群
から選ばれる基、EがD-トリプトファンもしくはその
誘導体、D-1-ナフチルアラニン、D-2-ナフチルアラ
ニン、D-ベンゾチエニルアラニン、D-4-ビスフェニ
ルアラニンおよびD-ペンタメチルフェニルアラニン残
基からなる群から選ばれる基、D-トリプトファンの誘
導体が、D-Nin-メチルトリプトファン、D-Nin-ホル
ミルトリプトファンおよびD-Nin-アセチルトリプトフ
ァン残基からなる群から選ばれる基である、さらに好ま
しい具体例は次のようなものである。AがD-アスパラ
ギン酸残基;Xがトリプトファン、L-(β-4-フェニ
ルピペラジンアミド)アスパラギン酸、L-〔β-4-(2
-メトキシフェニル)ピペラジンアミド〕アスパラギン
酸、L−N(δ)-フェニルアセチルオルニチン、L-(N
4-〔インドール-3-イル〕アセチル)オルニチン、L-
(4−ベンジルオキシ)プロリン、L-(N5-ベンジ
ル)グルタミンもしくはL-(N(δ)-〔インドール-3-
イル〕エチル)アスパラギン残基;YがL-ロイシン、L
-アスパラギン酸もしくはL-O-ベンジルセリン残基;
BがD-ロイシン、D-γ−メチルロイシン、D-2-チエ
ニルグリシンもしくはD-3-チエニルグリシン残基;C
がL-ロイシン、L-フェニルアラニンおよびL-トリプ
トファン残基からなる群から選ばれる基;およびEがD
-トリプトファン残基である。
【0023】式〔I〕で表される環状ヘキサペプチドま
たはそのエステルもしくはその塩としては式 Cyclo〔-D-Asp-Asp(R1)-Asp-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-〕 〔式中、Asp(R1)はアスパラギン酸β−4−フェニルピ
ペラジンアミド残基を、Thg(2)は2−チエニルグリシン
残基を示す。〕で表される化合物またはその塩が最も好
ましく、その際塩としてはジナトリウム塩が好ましい。
式〔I〕で表される化合物のエステルとしては、α−ア
ミノ酸残基の側鎖としてカルボキシル基を有する場合の
アルキルエステルなどが用いられる。そのようなアルキ
ル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso
−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−
ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどのC1-6アル
キル基などが用いられる。
【0024】本発明の環状ヘキサペプチド〔I〕(式
〔I〕で表される化合物)は特開平6−9689号公報
記載の方法によりまたはその方法に準じて製造すること
ができ、またペプチド合成の常套手段で製造しうる。す
なわち、液相合成法、固相合成法のいずれによってもよ
いが、液相合成法が好ましい場合もある。そのようなペ
プチド合成の手段は、任意の公知の方法に従えばよく、
例えば、M. Bodansky および M. A. Ondetti 著、ペプ
チド シンセシス(Peptide Synthesis)、インターサイエ
ンス、ニューヨーク、1966年;F. M. Finn および K. H
ofmann 著、ザ プロテインズ(The Proteins)、第2巻、
H. Nenrath、R. L. Hill 編集、アカデミック プレス
インク、ニューヨーク、1976年;泉屋信夫他著「ペプチ
ド合成の基礎と実験」丸善(株) 1985年;矢島治明、榊
原俊平他著、生化学実験講座1、日本生化学会編、東京
化学同人 1977年;木村俊他著、続生化学実験講座2、
日本生化学会編、東京化学同人 1987年;J. M. Stewart
および J. D. Young 著、ソリッド フェイズ ペプチド
シンセシス(SolidPhase Peptide Synthesis)、ピアス
ケミカル カンパニー、イリノイ、1984年などに記載さ
れた方法、たとえばアジド法、クロリド法、酸無水物
法、混酸無水物法、DCC法、活性エステル法、ウッドワ
ード試薬Kを用いる方法、カルボニルイミダゾール法、
酸化還元法、DCC/HONB法、BOP試薬を用いる方法などが
あげられる。
【0025】本発明の環状ヘキサペプチド〔I〕は、そ
のペプチド結合の任意の位置で2分される2種のフラグ
メントの一方に相当する反応性カルボキシル基を有する
原料と、他方のフラグメントに相当する反応性アミノ基
を有する原料をペプチド合成の常套手段で縮合させ、つ
いで生成物のC末端α-カルボキシル基およびN末端α-
アミノ基の保護基を同時にまたは段階的に除去したのち
この両者を公知の縮合方法により分子内で縮合し環状化
合物を得、さらに生成物が保護基を有する場合、その保
護基を常套手段で脱離することにより製造しうる。上記
第一の原料および他の第二の原料は通常アミノ酸および
/またはペプチドフラグメントであり、これらは両者を
結合させることによって目的とする式〔I〕の環状ヘキ
サペプチドもしくはそれらの塩を形成する。これらは通
常直鎖もしくは分枝状である。「反応性カルボキシル
基」とはすなわちカルボキシル基そのものもしくは活性
化されたカルボキシル基を指す。また「反応性アミノ
基」とはすなわちアミノ基そのものもしくは活性化され
たアミノ基を指す。通常は、上記縮合に作用する2つの
官能基の内の一方が活性化されている。該縮合反応に関
与しないカルボキシル基およびアミノ基は該縮合反応に
入る前に保護されている。原料の反応に関与すべきでな
い官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱
離、反応に関与する官能基の活性化などもまた公知の基
あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
【0026】原料のアミノ基の保護基としては、例えば
ベンジルオキシカルボニル、tert-ブチルオキシカ
ルボニル、tert-アミルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシ
カルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、ア
ダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、
フタリル、ホルミル、2-ニトロフェニルスルフェニ
ル、ジフェニルホスフィノチオイル、9-フルオレニル
メチルオキシカルボニルなどが挙げられる。カルボキシ
ル基の保護基としては、例えばアルキルエステル(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert-ブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル、2-アダマンチルなどのエステル
基)、ベンジルエステル、4-ニトロベンジルエステル、
4-メトキシベンジルエステル、4-クロロベンジルエス
テル、ベンズヒドリルエステル、フェナシルエステル、
ベンジルオキシカルボニルヒドラジド、tert-ブチ
ルオキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドな
どが挙げられる。
【0027】セリンの水酸基は、例えばエステル化また
はエーテル化によって保護することができる。このエス
テル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級
脂肪族アシル基、ベンゾイル基などのアリールアシル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基などの炭酸から誘導される基などが挙げられる。また
エーテル化に適する基としては、例えばベンジル基、テ
トラヒドロピラニル基、tert-ブチル基などであ
る。しかしながら、セリンの水酸基は必ずしも保護する
必要はない。チロシンのフェノール性水酸基の保護基と
しては、例えば、ベンジル、2, 6-ジクロロベンジ
ル、2-ニトロベンジル、2-ブロモベンジルオキシカル
ボニル、tert-ブチルなどが挙げられるが、必ずし
も保護する必要はない。メチオニンはスルホキシドの形
で保護しておいてもよい。ヒスチジンのイミダゾールの
保護基としては、パラトルエンスルホニル、4-メトキ
シ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、2,4-ジ
ニトロフェニル、ベンジルオキシメチル、tert-ブ
トキシメチル、tert-ブトキシカルボニル、トリチ
ル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニルなどが挙
げられるが、必ずしも保護する必要はない。トリプトフ
ァンのインドールの保護基としては、ホルミル、2,4,
6-トリメチルベンゼンスルホニル、2,4,6-トリメト
キシベンゼンスルホニル、4-メトキシ-2,3,6-トリ
メチルベンゼンスルホニル、2,2,2-トリクロロエト
キシカルボニル、ジフェニルホスフィノチオイルなどが
挙げられるが、必ずしも保護する必要はない。
【0028】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば対応する酸無水物、アジド、活性エス
テル[アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、
2,4,5-トリクロロフェノール、 2,4-ジニトロフェ
ノール、 シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキ
シイミド、 N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフ
タルイミド、N-ヒドロキシベンズトリアゾール)との
エステル]などが挙げられる。 原料のアミノ基の活性
化されたものとしては、例えば対応するリン酸アミドが
挙げられる。縮合反応は溶媒の存在下に行うことができ
る。溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうること
が知られているものから適宜選択されうる。例えば無水
または含水のジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ピリジン、クロロホルム、ジオキサン、ジクロロ
メタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エ
チル、N-メチルピロリドンあるいはこれらの適宜の混
合物などが挙げられる。反応温度は、ペプチド結合形成
反応に使用されうることが知られている範囲から適宜選
択され、通常約−20℃〜30℃の範囲から適宜選択され
る。分子内環化反応はペプチドの任意の位置で公知の方
法で行なうことができる。たとえば、まず保護されたペ
プチドのC末端アミノ酸の末端α-カルボキシル保護基
を公知の方法で脱離しついでこれを公知の方法で活性化
したのちN末端アミノ酸の末端α-アミノ保護基を公知
の方法で脱離するとともに分子内で環化することもでき
る。あるいは保護されたペプチドのC末端アミノ酸の末
端α-カルボキシル保護基およびN末端アミノ酸の末端
α-アミノ保護基を同時に脱離したのち公知の縮合反応
により分子内で環化してもよい。また分子内環化反応は
高度希釈下で行なったほうが好ましい場合もある。
【0029】保護基の脱離方法としては、例えばPd黒
あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中で
の接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン
酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸
あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、また液体
アンモニア中ナトリウムによる還元なども挙げられる。
上記酸処理による脱離反応は、一般に−20℃ないし40℃
の温度でおこなわれるが、酸処理においては、アニソー
ル、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パ
ラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチ
オール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン補足
剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾー
ル保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基は
チオフェノール処理により除去され、トリプトファンの
インドール保護基として用いられるホルミル基は上記の
1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなど
の存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリ
ウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても
除去される。このようにして製造された環状ヘキサペプ
チド〔I〕は反応終了後、ペプチドの分離精製手段、例
えば、抽出、分配、再沈殿、再結晶、カラムクロマトグ
ラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどによって採
取される。本発明の環状ヘキサペプチド〔I〕は自体公
知の方法により上記の金属塩、塩基または塩基性化合物
との塩、無機酸付加塩、有機酸塩などとして得ることが
でき、とりわけ薬理学的に許容される酸付加塩、例え
ば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸)あるいは有機
酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、酒石酸、
リンゴ酸、蓚酸、メタンスルホン酸)などとの塩として
も得ることができる。
【0030】本明細書において、アミノ酸およびペプチ
ドなどを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Com
mission on Biochemical Nomenclature による略号ある
いは当該分野における慣用略号に基づくものであり、そ
の例を下記する。 Gly :グリシン Sar :サルコシン(N-メチルグリシン) Ala :アラニン Val :バリン Nva :ノルバリン Ile :イソロイシン aIle :アロイソロイシン Nle :ノルロイシン Leu :ロイシン N-MeLeu :N-メチルロイシン tLeu :tert-ロイシン γMeLeu :ガンマメチルロイシン Met :メチオニン Arg :アルギニン Arg(Tos) :Ng-パラトルエンスルホニルアルギニン(gは上付) Lys :リジン Lys(Mtr) :N(ε)-(4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼン スルホニル)リジン Orn :オルニチン Orn(COPh) :N(δ)-ベンゾイルオルニチン Orn(COCH2Ph) :N(δ)-フェニルアセチルオルニチン Orn(COCH2CH2Ph) :N(δ)-(3-フェニルプロピオニル)オルニチン Orn(COCH2-Ind) :N(δ)-({インドール-3-イル}アセチル)オルニチン His :ヒスチジン His(Bom) :N(π)-ベンジルオキシメチルヒスチジン His(Bzl) :N(τ)-ベンジルヒスチジン Asp :アスパラギン酸 Asn(CH2Ph) :N4-ベンジルアスパラギン Asn(CH2CH2Ph) :N4-フェネチルアスパラギン Asn(CH2CH2-Ind) :N4-(2-{インドール-3-イル}エチル)アスパラギ ン Asn(Me・CH2CH2Ph) :N4-メチル-N4-フェネチルアスパラギン Asn(CH2CHMePh) :N4-({2-フェニル}プロピル)アスパラギン Asp(R1) :アスパラギン酸 β-4-フェニルピペラジン アミド Asp(R2) :アスパラギン酸 β-4-フェニルピペリジン アミド Asp(R3) :アスパラギン酸 β-インドリン アミド Asp(R4) :アスパラギン酸 β-1-アミノインダン アミド Asp(R5) :アスパラギン酸 β-1-アミノテトラヒドロナフタレ ン アミド Asp(R6) :アスパラギン酸 β-4-アセチルピペラジン アミド Asp(R7) :アスパラギン酸 β-4-(2−クロロフェニル)ピペ ラジン アミド Asp(R8) :アスパラギン酸 β-4-(3−クロロフェニル)ピペ ラジン アミド Asp(R9) :アスパラギン酸 β-4-(4−クロロフェニル)ピペ ラジン アミド Asp(R10) :アスパラギン酸 β-4-(2−メトキシフェニル)ピ ペラジン アミド Asp(R11) :アスパラギン酸 β-4-(4−メトキシフェニル)ピ ペラジン アミド Asp(R12) :アスパラギン酸 β-4-(2−エトキシフェニル)ピ ペラジン アミド Asp(R13) :アスパラギン酸 β-4-(2−フルオロフェニル)ピ ペラジン アミド Asp(R14) :アスパラギン酸 β-4-(4−フルオロフェニル)ピ ペラジン アミド Asp(R15) :アスパラギン酸 β-4-(3−トリフルオロメチルフ ェニル)ピペラジン アミド Asp(R16) :アスパラギン酸 β-4-(2−ピリジル)ピペラジン アミド Glu :グルタミン酸 Gln(CH2Ph) :N5-ベンジルグルタミン Gln(CH2CH2Ph) :N5-フェネチルグルタミン Gln(CH2CH2-Ind) :N5-(2-{インドール-3-イル}エチル)グルタミン Glu(R3) :グルタミン酸 γ-インドリン アミド Glu(R4) :グルタミン酸 γ-1-アミノインダン アミド Glu(R5) :グルタミン酸 γ-1-アミノテトラヒドロナフタレン アミド) Cys :システイン Cta :システイン酸 Ser :セリン Ser(Bzl) :O-ベンジルセリン Thr :スレオニン Thr(Bzl) :O-ベンジルスレオニン Pro :プロリン Tpr :チオプロリン Hyp :4-ヒドロキシプロリン Hyp(Bzl) :4-ベンジルオキシプロリン Azc :アゼチジン-2-カルボン酸 Pip :ピペコリン酸(ピペリジン-2-カルボン酸) Phe :フェニルアラニン N-MePhe :N-メチルフェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン mTrp :5-メチルトリプトファン N-MeTrp :N(α)-メチルトリプトファン Trp(Me) :Nin-メチルトリプトファン Trp(For) :Nin-ホルミルトリプトファン Trp(Ac) :Nin-アセチルトリプトファン Phg :フェニルグリシン Nal(1) :1-ナフチルアラニン Nal(2) :2-ナフルアラニン Thi :2-チエニルアラニン Thg(2) :2-チエニルグリシン Thg(3) :3-チエニルグリシン Acpr :1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸 Acbu :1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸 Acpe :1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸 Achx :1-アミノシクロヘキサン-1-カルボン酸 Achp :1-アミノシクロヘプタン-1-カルボン酸 Tic :テトラヒドロイソキノリン-2-カルボン酸 Cpg :シクロペンチルグリシン また本明細書中で常用される保護基および試薬を下記の
略号で表記する。 AcOEt :酢酸エチル Boc :tert-ブトキシカルボニル Bzl :ベンジル BrZ :2-ブロモベンジルオキシカルボニル ClZ :2-クロロベンジルオキシカルボニル Tos :パラトルエンスルホニル For :ホルミル OBzl :ベンジルエステル OPac :フェナシルエステル ONB :HONBエステル TFA :トリフルオロ酢酸 TEA :トリエチルアミン IBCF :イソブチルクロロホルメート DMF :N,N-ジメチルホルムアミド DCC :N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド DCU :N,N'-ジシクロヘキシルウレア HONB :N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキ シイミド HOBt :1-ヒドロキシベンゾトリアゾール DCM :ジクロロメタン THF :テトラヒドロフラン
【0031】本発明において使用される抗エンドセリン
作用を有する化合物の例としては、式〔I〕で表される
化合物またはそのエステルもしくはその塩のほかに下記
〔表1−1〕〜〔表1−6〕に示すものなどが挙げられ
る。
【表1】
【0032】本発明の有効成分として、式〔I〕で表さ
れる化合物またはそのエステルもしくはその塩などが好
ましい。上記〔表1−1〕〜〔表1−6〕に挙げられた
化合物は、公知の方法または上記表に記載の文献の開示
に従ってもしくは準じて製造することができる。本発明
の抗エンドセリン作用としては、例えばエンドセリン受
容体拮抗作用(例えばエンドセリンA受容体拮抗作用、
エンドセリンB受容体拮抗作用、エンドセリンA/エン
ドセリンB受容体拮抗作用)、エンドセリン変換酵素阻
害作用、エンドセリン合成阻害作用などが挙げられ、中
でもエンドセリン受容体拮抗作用が好ましい。本発明に
おいて、抗エンドセリン作用を有する化合物特に式
〔I〕の化合物またはそのエステルもしくはその塩など
を含有する製剤は、特に低毒性で、動物とりわけ哺乳動
物(例えば、ヒト,イヌ,ウサギ,マウス、ラットな
ど)に対するウイルス疾患の予防または治療剤として有
用である。
【0033】本発明で対象とするウイルス性疾患には、
DNAウイルスあるいはRNAウイルスのいずれに属す
る病原ウイルスによって引き起こされる疾患も含まれ
る。そのような病原ウイルスを以下に例示する。 DNAウイルス: ポックスウイルス、ヘルペスウイル
ス、アデノウイルス、パルボウイルス RNAウイルス: レオウイルス、トガウイルス、コロ
ナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、オ
ルトミクソウイルス、ブンヤウイルス、アレナウイル
ス、レトロウイルス、ピコナウイルス、カリシウイルス 次に、具体的なウイルス疾患名としては、ウイルス性肝
炎(A型、B型、C型、E型)、インフルエンザ、ウイ
ルス性肺炎、ウイルス性気管支炎、ヘルペス感染症(単
純ウイルス、EBウイルス(伝染性単核症)、帯状疱
疹)、ポリオ、エイズ(HIV感染症)、成人T細胞白
血病(ATL)、パピローマ、麻診、風疹、突発性発
疹、伝染性紅斑、ウイルス脳炎、ウイルス性髄膜炎、サ
イトメガロスウイルス感染症、流行性耳下腺炎、水痘、
狂犬病、ウイルス性腸炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス
性心膜炎などが挙げられる。とりわけ、本発明の製剤は
RNAウイルスまたは肝炎ウイルスによって引き起こさ
れる疾患の治療または予防に好ましく適用し得る。ここ
で、特に、RNAウイルスとしてはオルトミクソウイル
スあるいはピコナウイルスが挙げられる。さらに、上記
に挙げたウイルス性疾患の中でも、ウイルス性肝炎(A
型、B型、C型、E型)、インフルエンザ、ウイルス性
脳炎、ウイルス性腸炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性
心膜炎に対し好ましくは適用可能であり、とりわけウイ
ルス性心筋炎に好ましく適用し得る。
【0034】また、本発明においては抗エンドセリン作
用を有する化合物とともにウイルス性疾患の予防および
治療に有効な他の医薬活性成分を併用してもよい。この
ような医薬活性成分としては、例えば抗炎症剤(例えば
ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、インドメ
タシンなど)、抗菌剤(例えばセフィキシム、セフジニ
ル、オフロキサシン、トスフロキサンなど)などが挙げ
られる。式〔I〕の化合物またはそのエステルもしくは
その塩などの抗エンドセリン作用を有する化合物を含有
する本発明の製剤は、経口的に、非経口的に、吸入法、
直腸投入、あるいは局所投与により用いることができ、
医薬品組成物あるいは製剤(例えば、粉末、顆粒、錠
剤、ピル剤、カプセル剤、注射剤、シロップ剤、エマル
ジョン剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤など)として
用いることができ、それらは少なくとも一つの抗エンド
セリン作用を有する化合物を単独で、あるいは医薬とし
て許容される担体(アジュバンド剤、賦形剤、補形剤及
び/又は希釈剤など)と混合して用いることができる。
【0035】本発明の製剤中における抗エンドセリン作
用を有する化合物の含有割合は、通常、0.01ないし
100重量%、好ましくは0.1ないし50重量%であ
る。医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤化するこ
とができる。本明細書において、非経口とは、皮下注
射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射あるいは点滴
法などを含むものである。注射用調剤、例えば、無菌注
射用水性懸濁物あるいは油性懸濁物は、適当な分散化剤
または湿化剤及び懸濁化剤を用いて当該分野で知られた
方法で調整されうる。その無菌注射用調剤は、また、例
えば水溶液などの非毒性の非経口投与することのできる
希釈剤あるいは溶剤中の無菌の注射のできる溶液または
懸濁液であってよい。使用することのできるベーヒクル
あるいは溶剤として許されるものとしては、水、リンゲ
ル液、等張食塩液などが挙げられる。さらに、通常溶剤
または懸濁化溶媒として無菌の不揮発性油も用いられう
る。このためには、いかなる不揮発性油も脂肪酸も使用
でき、天然あるいは合成あるいは半合成の脂肪性油又は
脂肪酸、そして天然あるいは合成あるいは半合成のモノ
あるいはジあるいはトリグリセリド類も含められる。直
腸投与用の座剤は、その薬物と適当な非刺激性の補形
剤、例えば、ココアバターやポリエチレングリコール類
といった常温では固体であるが腸管の温度では液体で、
直腸内で融解し、薬物を放出するものなどと混合して製
造されることができる。
【0036】経口投与用の固形投与剤型としては、粉
剤、顆粒剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤などの上記した
ものがあげられる。そのような剤型において、活性成分
化合物は、少なくとも一つの添加物、例えば、ショ糖、
乳糖、セルロース糖、マニトール、マルチトール、デキ
ストラン、デンプン類、寒天、アルギネート類、キチン
類、キトサン類、ペクチン類、トラガントガム類、アラ
ビアゴム類、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、ア
ルブミン、合成又は半合成のポリマー類又はグリセリド
類と混合することができる。そのような剤型物はまた、
通常の如く、さらなる添加物を含むことができ、例えば
不活性希釈剤、マグネシウムステアレートなどの滑沢
剤、パラベン類、ソルビン酸などの保存剤、アスコルビ
ン酸、α−トコフェロール、システインなどの抗酸化
剤、崩壊剤、結合化剤、増粘剤、緩衝化剤、甘味付与
剤、フレーバー付与剤、パーフューム剤などが挙げられ
る。錠剤及びピル剤はさらにエンテリックコーティング
されて製造されることもできる。経口投与用の液剤は、
医薬として許容されるエマルジョン剤、シロップ剤、エ
リキシル剤、懸濁剤、溶液剤などが挙げられ、それらは
当該分野で普通用いられる不活性希釈剤、例えば水を含
んでいてよい。ある特定の患者の投与量は、年令、体
重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方
法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療
を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他
の要因を考慮して決められる。
【0037】抗エンドセリン作用を有する化合物を含有
する本発明の製剤は、低毒性で安全に使用することがで
き、その1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の
種類、投与経路などによって異なるが、例えば、成人
(60kg)のウイルス性疾患(例えばウイルス性心筋
炎)の治療剤として投与する場合、経口投与では1日量
10ないし1000mg、好ましくは50ないし100
0mg、静注では1日量1ないし500mg、好ましく
は10ないし200mgを1日1回又は2ないし3回に
分けて投与するのが好ましい。特に式〔I〕で表される
化合物またはそのエステルもしくはその塩を含有する製
剤を投与する場合は、経口投与では1日量10ないし1
000mg、好ましくは50ないし1000mg、静注
では1日量1ないし500mg、好ましくは10ないし
200mgを1日1回又は2ないし3回に分けて投与す
るのが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 試験例 ウイルス性心筋炎に対するエンドセリンAおよびB受容
体拮抗作用を有する化合物1の効果 化合物1:cyclo〔D−α−aspartyl−3−〔(4−phe
nylpiperazin−1−yl)carbonyl〕−L−alanyl−L−
α−aspartyl−D−2−(2−thienyl)glycyl−L−l
eucyl−D−tryptophyl〕disodium salt 方法:4週齢DBA/2マウス(雄、体重12.0g前
後)を2グループ(各グループn=20)に分け、EM
C(Encephalomyocarditis:脳心筋炎)ウイルス10p
fu(:プラーク形成単位)を腹腔内接種し、心筋炎を
発症させた(Circulation.65:1230−123
5,1982及び同66:355−360,198
2)。ウイルス接種直後から、対照として生理食塩水
(溶媒)(グループA)、化合物1 0.3mg/kg
(グループB)を、連日14日後まで投与(i.p.)し
た。14日目の、各グループの生存率は、kaplan-mayer
(カプラン−メイヤー)法によって比較した。生存例
は、体重(BW)、心重量(HW)、心体重比(HW/
BW)を測定し、心臓は、病理学的組織所見を心筋細胞
壊死、細胞浸潤、石灰化の3項目につきgrade 1(<2
5%)、2(25≦、<50%)、3(50≦、<75
%)、4(75%≦)に分類した。また、心臓および血
中のエンドセリン−1濃度はエンザイムイムノアッセイ
法により測定した。各グループ間の比較は、ANOVA
検定によった。 結果:生存率は、14日後で、グループA(n=8)4
0%、グループB(n=12)60%で、グループBに
おいて改善傾向が見られた(P=0.3243)。生存
例のBW、HW、HW/BWは、以下の通りであった。 グループ BW(g) HW(mg) HW/BW(×103) A(n=8) 12.6±0.7 105.2±6.3 8.54±0.68 B(n=12) 13.1±0.9 107.3±7.1 8.45±0.77 表示はMEAN±S.E. 病理所見は、以下の通りであった。 グループ 心筋細胞壊死 細胞浸潤 石灰化 A(n=8) 2.4±0.3 2.4±0.3 2.8±0.3 B(n=12) 1.9±0.2 2.4±0.3 2.4±0.3 表示はMEAN±S.E. これらの結果より、化合物1がウイルス性心筋炎に対し
て、生存率を改善し、心筋傷害を軽減することは明らか
である。心臓エンドセリン−1濃度は非感染マウスで1
07.2±11.0pg/g wetweight tissue(湿重
量)(n=13)、感染マウス5日後で174.5±1
6.7pg/g wet weight tissue(湿重量)(n=
8、p<0.01)、14日後で481.3±76.4p
g/g wet weight tissue(湿重量)(n=9、p<
0.01)と有意に上昇していた。また、血中エンドセ
リン−1濃度は非感染マウスで1.2±0.2pg/ml
(n=10)、感染マウス5日後で2.2±0.5pg/
ml(n=7、p<0.05)と有意に上昇し、14日
後で1.9±0.5pg/ml(n=9、p=0.13
8)と高値を示した。これより、ウイルス性心筋炎にお
いて心臓または血中エンドセリン−1濃度が増加してい
ることは明らかである。以上の結果から、抗エンドセリ
ン作用を有する化合物とりわけエンドセリンAおよびB
受容体拮抗作用を有する化合物を含有する本発明の製剤
が、ウイルス性疾患とりわけウイルス性心筋炎に有効で
あることは明らかである。
【0039】製剤例 本発明の抗エンドセリン作用を有する化合物を有効成分
として含有するウイルス性疾患の予防または治療剤は、
例えば、次の様な処方によって製造することが可能であ
る。なお、以下の化合物1は上記試験例で用いた化合物
1を示す。 1.カプセル剤 (1)化合物1 10mg (2)ラクトース 90mg (3)微結晶セルロース 70mg (4)ステアリン酸マグネシウム 10mg 1カプセル 180mg (1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和し
た後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体を
ゼラチンカプセルに封入する。 2.錠剤 (1)化合物1 10mg (2)ラクトース 35mg (3)コーンスターチ 150mg (4)微結晶セルロース 30mg (5)ステアリン酸マグネシウム 5mg 1錠 230mg (1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)
の1/2を混和後、顆粒化する。残りの(4)および
(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。
【0040】 3.注射剤 (1)化合物1 10mg (2)イノシット 100mg (3)ベンジルアルコール 20mg 1アンプル 130mg (1)、(2)、(3)を全量2mlになるように、注
射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無
菌状態で行う。 4.カプセル剤 (1)化合物1 10mg (2)ラクトース 90mg (3)微結晶セルロース 70mg (4)ステアリン酸マグネシウム 10mg 1カプセル 180mg (1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和し
た後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体を
ゼラチンカプセルに封入する。
【0041】 5.錠剤 (1)化合物1 10mg (2)ラクトース 35mg (3)コーンスターチ 150mg (4)微結晶セルロース 30mg (5)ステアリン酸マグネシウム 5mg 1錠 230mg (1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)
の1/2を混和後、顆粒化する。残りの(4)および
(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。 6.注射剤 (1)化合物1 10mg (2)イノシット 100mg (3)ベンジルアルコール 20mg 1アンプル 130mg (1)、(2)、(3)を全量2mlになるように、注
射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無
菌状態で行う。
【0042】
【発明の効果】本発明によると、ウイルスに起因する細
胞傷害が抗エンドセリン作用を有する化合物の投与によ
って改善効果が認められ、ウイルス性疾患の治療効果が
あり、また該疾患の予防にも有用である。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗エンドセリン作用を有する化合物を含有
    することを特徴とするウイルス性疾患の予防または治療
    剤。
  2. 【請求項2】抗エンドセリン作用がエンドセリン受容体
    拮抗作用である請求項1記載の予防または治療剤。
  3. 【請求項3】抗エンドセリン作用を有する化合物が式
    〔I〕 【化1】 〔式中、XおよびYはそれぞれD−、L−もしくはDL
    −体のα-アミノ酸残基を、AはD−酸性−α−アミノ
    酸残基を、BはD−もしくはL−体の中性−α-アミノ
    酸残基を、CはL−α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基
    を有するD−α−アミノ酸残基を示す。〕で表される環
    状ヘキサペプチドまたはそのエステルもしくはその塩で
    ある請求項1記載の予防または治療剤。
  4. 【請求項4】XがL体である請求項3記載の予防または
    治療剤。
  5. 【請求項5】Xが式 【化2】 で表される基であり、ここにおいてGは式 【化3】 (式中、X1およびX2はそれぞれ水素原子、C1-6アル
    キル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子またはニト
    ロ基を示すか、あるいはX1およびX2とが結合して環を
    形成してもよい)で表される基である請求項3記載の予
    防または治療剤。
  6. 【請求項6】Gが 【化4】 からなる群から選ばれる基である請求項5記載の予防ま
    たは治療剤。
  7. 【請求項7】YがL体である請求項3記載の予防または
    治療剤。
  8. 【請求項8】Yがアスパラギン酸、グルタミン酸、アラ
    ニン、プロリン、ロイシン、トリプトファンおよびO−
    ベンジルセリンからなる群から選ばれるアミノ酸の残基
    である請求項3記載の予防または治療剤。
  9. 【請求項9】Aが側鎖にカルボキシル基、スルホニル基
    またはテトラゾリル基を有するD−酸性−α−アミノ酸
    残基である請求項3記載の予防または治療剤。
  10. 【請求項10】AがD−グルタミン酸、D−アスパラギ
    ン酸、D−システイン酸、D−ホモシステイン酸、D−
    β−(5−テトラゾリル)アラニンおよびD−2−アミ
    ノ−4−(5−テトラゾリル)酪酸からなる群から選ば
    れるアミノ酸の残基である請求項3記載の予防または治
    療剤。
  11. 【請求項11】BがD−中性−α-アミノ酸残基である
    請求項3記載の予防または治療剤。
  12. 【請求項12】BがC1-6アルキル基、C5-7シクロアル
    ケニル基、C7-11アラルキル基、C6-10アリール基、C
    1-6アルコキシ基またはC1-6アルカノイル基で置換され
    ていてもよい、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から
    選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5または6員複
    素環基を有していてもよいD−中性−α-アミノ酸残基
    である請求項3記載の予防または治療剤。
  13. 【請求項13】BがD−ロイシン、D−アロイソロイシ
    ン、D−tert−ロイシン、D−γ−メチルロイシ
    ン、D−フェニルグリシン、D−2−チエニルアラニ
    ン、D−2−チエニルグリシン、D−3−チエニルグリ
    シンおよびD−2−シクロペンンチルグリシンからなる
    群から選ばれるアミノ酸の残基である請求項3記載の予
    防または治療剤。
  14. 【請求項14】CがL−ロイシン、L−ノルロイシン、
    L−トリプトファンまたはそのα−アミノ基がC1-6
    ルキル基で置換されているアミノ酸の残基である請求項
    3記載の予防または治療剤。
  15. 【請求項15】EがD−トリプトファン、D−フェニル
    アラニン、D−チロシン、D−2−ナフチルアラニン、
    D−3−ベンゾチエニルアラニン、D−4−ビスフェニ
    ルアラニンおよびD−ペンタメチルフェニルアラニンか
    らなる群から選ばれるアミノ酸の残基である請求項3記
    載の予防または治療剤。
  16. 【請求項16】環状ヘキサペプチドが式 Cyclo〔-D-Asp-Asp(R1)-Asp-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-〕 〔式中、Asp(R1)はアスパラギン酸β−4−フェニルピ
    ペラジンアミド残基を、Thg(2)は2−チエニルグリシン
    残基を示す。〕で表される化合物である請求項3記載の
    予防または治療剤。
  17. 【請求項17】ウイルス性疾患がRNAウイルスまたは
    肝炎ウイルスによって引き起こされるものである請求項
    1記載の予防または治療剤。
  18. 【請求項18】RNAウイルスがオルトミクソウイルス
    またはピコナウイルスである請求項17記載の予防また
    は治療剤。
  19. 【請求項19】ウイルス性疾患がウイルス性肝炎、イン
    フルエンザ、ウイルス性脳炎、ウイルス性腸炎、ウイル
    ス性心筋炎またはウイルス性心膜炎である請求項1記載
    の予防または治療剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005060362A (ja) * 2003-07-28 2005-03-10 Shionogi & Co Ltd セスキテルペン誘導体を含有する抗HIV剤、抗BVDV剤、抗HCV剤又は抗CoV剤
WO2011004843A1 (ja) * 2009-07-08 2011-01-13 株式会社蛋白科学研究所 Sirsまたは強毒性インフルエンザ感染症処置のための医薬組成物
JP2011231107A (ja) * 2010-04-06 2011-11-17 Kyoto Prefectural Public Univ Corp エンドセリン受容体を標的とした高病原性鳥インフルエンザh5n1感染の治療薬

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